JP2009223942A - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、信号再生時のS/N比を高くさせるとともに、記録層を多層化した場合にも、情報再生対象となる記録層の情報を確実に読み取らせる。
【解決手段】トラック線上のピットとなる領域(マーク部6)に、入射光の波長に対し、2/3波長以下の微細な凹凸を持つ凹凸構造4を形成し、情報の再生時に、凹凸構造4の方向に対し、90°異なる偏光方向の入射光を集光させて、トラック線上に記録された情報を再生させる。
【選択図】図1
【解決手段】トラック線上のピットとなる領域(マーク部6)に、入射光の波長に対し、2/3波長以下の微細な凹凸を持つ凹凸構造4を形成し、情報の再生時に、凹凸構造4の方向に対し、90°異なる偏光方向の入射光を集光させて、トラック線上に記録された情報を再生させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、情報を記録する記録媒体、特定波長の光を透過させる光学フィルタ、微小な偏光方向の変化を読み取るセンサなどとして使用される光情報記録媒体に関する。
近年の情報化社会において、情報量は増大の一途をたどり、従来よりも記憶容量の大きい情報記録媒体が期待されている。それに伴い、情報の書き込み、読み取りの単位となるピット、または情報を書き込むための案内溝となるグルーブのスケールを小さくしていく必要が生じている。しかし2次元平面内に記録を行う媒体では、光源の制限、記録再生ビームの大きさの制限により、限界が生じている。
このような状況の中、さらなる高密度、高容量記憶媒体として、3次元光記録媒体が注目されてきている。この3次元光記録媒体では、ディスク内に複数の記録層を形成することにより、数倍、数10倍の記録容量にすることができる。多層化の方法としては、(1)各記録層の透過率と反射率を最適化することで、各記録層の情報を読み取る方法(特許文献1)、(2)相異なる光吸収領域を有する複数のフォトクロミック材料を積層し、これらのフォトクロミック材料に対応する波長の光を照射することによって記録・再生を行う方法(特許文献2)、(3)ガラスマトリックスに光誘起屈折率を変化させて3次元的に記録する方法(特許文献3)、(4)記録膜に導電性高分子エレクトロクロミック材料を使用する方法(特許文献4)などが考案されている。
特公昭61−27815号公報
特開昭61−203450号公報
特開平8−220688号公報
特開2004−273055公報
R.Magnusson and S.S.Wang,Transmission band pass guided-mode resonance filters,Appl.Opt.Vol.34,No.35,8106(1995)
このような状況の中、さらなる高密度、高容量記憶媒体として、3次元光記録媒体が注目されてきている。この3次元光記録媒体では、ディスク内に複数の記録層を形成することにより、数倍、数10倍の記録容量にすることができる。多層化の方法としては、(1)各記録層の透過率と反射率を最適化することで、各記録層の情報を読み取る方法(特許文献1)、(2)相異なる光吸収領域を有する複数のフォトクロミック材料を積層し、これらのフォトクロミック材料に対応する波長の光を照射することによって記録・再生を行う方法(特許文献2)、(3)ガラスマトリックスに光誘起屈折率を変化させて3次元的に記録する方法(特許文献3)、(4)記録膜に導電性高分子エレクトロクロミック材料を使用する方法(特許文献4)などが考案されている。
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、各層の透過率と反射率を最適化して多層化を試みているが、各層に必ず反射層が必要となるため、各層の透過率と記録感度とがトレードオフの関係にあり、多層化においては良好なS/N比を得ることが難しいという問題がある。
また、特許文献2に開示されている従来技術は、各層の吸収波長が異ならせて多層化を試みているが、各層に応じた波長が必要となるため、層数の増加とともに、光源、装置構成が複雑になってしまうという問題がある。
また、特許文献3に開示されている従来技術は、光照射によりガラスの屈折率を変化させて、再生時に屈折率変化を読み取っているが、小さい屈折率の変化を検出する必要があるため、装置が複雑化するとともに、信号のS/N比を十分にとることができないという問題がある。
また、特許文献4に開示されている従来技術は、電圧をかけると透過率が変化する導電性高分子エレクトロクロミック材料を利用して記録層の多層化を行っているが、記録を行う層に電圧を印加する必要があるため、装置が複雑化し、また余分な時間もかかってしまうという問題がある。
本発明は上記の事情に鑑み、共鳴反射条件の偏光方向依存性を利用し、トラック線上のピット位置(マーク位置)に、偏光方向に対応する方向を持つ微細な凹凸構造を形成させ、入射光の共鳴反射領域と透過領域とを形成させることにより、簡易な装置構成で、高S/N比(コントラストの大きい)の再生信号が発生させることができ、これによってマージンの大きい光記録媒体を作製させることができる光情報記録媒体を提供することを目的としている。
また、特許文献2に開示されている従来技術は、各層の吸収波長が異ならせて多層化を試みているが、各層に応じた波長が必要となるため、層数の増加とともに、光源、装置構成が複雑になってしまうという問題がある。
また、特許文献3に開示されている従来技術は、光照射によりガラスの屈折率を変化させて、再生時に屈折率変化を読み取っているが、小さい屈折率の変化を検出する必要があるため、装置が複雑化するとともに、信号のS/N比を十分にとることができないという問題がある。
また、特許文献4に開示されている従来技術は、電圧をかけると透過率が変化する導電性高分子エレクトロクロミック材料を利用して記録層の多層化を行っているが、記録を行う層に電圧を印加する必要があるため、装置が複雑化し、また余分な時間もかかってしまうという問題がある。
本発明は上記の事情に鑑み、共鳴反射条件の偏光方向依存性を利用し、トラック線上のピット位置(マーク位置)に、偏光方向に対応する方向を持つ微細な凹凸構造を形成させ、入射光の共鳴反射領域と透過領域とを形成させることにより、簡易な装置構成で、高S/N比(コントラストの大きい)の再生信号が発生させることができ、これによってマージンの大きい光記録媒体を作製させることができる光情報記録媒体を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明は、請求項1の光情報記録媒体では、基材層上に高屈折率層、カバー層を順次、形成した光情報記録媒体において、記録情報と対応するように、前記高屈折率層に、入射光波長の2/3波長以下となる微細な凹凸構造を形成し、直線偏光の入射光を凹凸構造に集光させたときの共鳴反射光量、または透過光量に基づき、記録情報を再生させることを特徴としている。
また、請求項2の光情報記録媒体では、請求項1に記載の光情報記録媒体おいて、前記高屈折率層に形成されている微細な凹凸構造の方向を、入射光の偏光方向に垂直もしくは平行な方向とすることを特徴としている。
また、請求項3の光情報記録媒体では、請求項1に記載の光情報記録媒体おいて、前記入射光の偏光方向に対して、前記高屈折率層に形成されている微細な凹凸構造の方向角度を、多段階に変化させることを特徴としている。
また、請求項4の光情報記録媒体では、請求項1に記載の光情報記録媒体おいて、前記凹凸構造のピッチ周期として使用される各周期のうち、少なくとも1つは、前記入射光を共鳴反射させるものであることを特徴としている。
また、請求項5の光情報記録媒体では、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光情報記録媒体おいて、前記高屈折率層、前記カバー層を含む、再生をおこなう層を2層以上の多層構造にすることを特徴としている。
また、請求項2の光情報記録媒体では、請求項1に記載の光情報記録媒体おいて、前記高屈折率層に形成されている微細な凹凸構造の方向を、入射光の偏光方向に垂直もしくは平行な方向とすることを特徴としている。
また、請求項3の光情報記録媒体では、請求項1に記載の光情報記録媒体おいて、前記入射光の偏光方向に対して、前記高屈折率層に形成されている微細な凹凸構造の方向角度を、多段階に変化させることを特徴としている。
また、請求項4の光情報記録媒体では、請求項1に記載の光情報記録媒体おいて、前記凹凸構造のピッチ周期として使用される各周期のうち、少なくとも1つは、前記入射光を共鳴反射させるものであることを特徴としている。
また、請求項5の光情報記録媒体では、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光情報記録媒体おいて、前記高屈折率層、前記カバー層を含む、再生をおこなう層を2層以上の多層構造にすることを特徴としている。
本発明によれば、共鳴反射条件の偏光方向依存性を利用し、トラック線上のピット位置(マーク位置)に、偏光方向に対応する方向を持つ微細な凹凸構造を形成させ、入射光の共鳴反射領域と透過領域とを形成させることにより、簡易な装置構成で、高S/N比(コントラストの大きい)の再生信号が発生させることができ、これによってマージンの大きい光記録媒体を作製させることができる。
また、記録されている情報を読み取るとき、入射光に対する反射光量と透過光量との差を最大にさせることができ、これによって非常に大きな反射率差にさせて、媒体上のマーク有無を検知させ、高いS/N比を確保させることができる。
また、入射光の偏光方向に対して、媒体上に形成されている微細な凹凸による周期構造の方向の角度を多段階に変化させることにより、入射光の偏光方向に対する微細な凹凸による周期構造の角度によって連続的、または段階的に共鳴反射率を変化させて、一領域内における多段階の反射光量を確保させ、一平面内での記憶容量を大きくさせることができる。
また、微細な凹凸の周期が異なる領域を持たせることにより、少なくとも1つの領域については入射光を共鳴反射させる構造にすることができ、反射率のコントラストが大きい光記憶媒体を容易に製造させることができる。
また、再生をおこなう層を2層以上の多層構造にさせることにより、共鳴反射による信号の再生においては、入射光を集光させている層以外ではほとんどの光を透過させて、目的とする層以外の層で、反射率を非常に低く抑えさせ、これによって媒体の多層化が容易にし、かつ反射光量のコントラストを大きくさせて、再生信号を安定化させることができる。
また、記録されている情報を読み取るとき、入射光に対する反射光量と透過光量との差を最大にさせることができ、これによって非常に大きな反射率差にさせて、媒体上のマーク有無を検知させ、高いS/N比を確保させることができる。
また、入射光の偏光方向に対して、媒体上に形成されている微細な凹凸による周期構造の方向の角度を多段階に変化させることにより、入射光の偏光方向に対する微細な凹凸による周期構造の角度によって連続的、または段階的に共鳴反射率を変化させて、一領域内における多段階の反射光量を確保させ、一平面内での記憶容量を大きくさせることができる。
また、微細な凹凸の周期が異なる領域を持たせることにより、少なくとも1つの領域については入射光を共鳴反射させる構造にすることができ、反射率のコントラストが大きい光記憶媒体を容易に製造させることができる。
また、再生をおこなう層を2層以上の多層構造にさせることにより、共鳴反射による信号の再生においては、入射光を集光させている層以外ではほとんどの光を透過させて、目的とする層以外の層で、反射率を非常に低く抑えさせ、これによって媒体の多層化が容易にし、かつ反射光量のコントラストを大きくさせて、再生信号を安定化させることができる。
〈発明の基本説明〉
本発明による光情報記録媒体では、多層化させた場合にも、再生信号をS/N比を高くさせるために、使用波長サイズと同等程度かそれ以下の凹凸構造を使用させることによって、入射した光がその凹凸構造と共振して発生する共鳴反射を利用する。これは例えば、以下のような非特許文献1に示されるような光の共鳴特性を利用している。
[非特許文献1] R.Magnusson and S.S.Wang,Transmission band pass guided-mode resonance filters,Appl.Opt.Vol.34,No.35,8106(1995)
これは回折格子と光の波長によるアノマリー現象で、共鳴構造を最適化することにより特定条件のみ入射光を共鳴反射させることができる特性を持つ。
本発明による光情報記録媒体では、多層化させた場合にも、再生信号をS/N比を高くさせるために、使用波長サイズと同等程度かそれ以下の凹凸構造を使用させることによって、入射した光がその凹凸構造と共振して発生する共鳴反射を利用する。これは例えば、以下のような非特許文献1に示されるような光の共鳴特性を利用している。
[非特許文献1] R.Magnusson and S.S.Wang,Transmission band pass guided-mode resonance filters,Appl.Opt.Vol.34,No.35,8106(1995)
これは回折格子と光の波長によるアノマリー現象で、共鳴構造を最適化することにより特定条件のみ入射光を共鳴反射させることができる特性を持つ。
光の共鳴構造の一般的な構成・原理を図を用いて説明する。図18に示すように、基材層101、周期的な凹凸が表面に形成されている高屈折率層102、凹凸周期構造を覆っているカバー層103からなる。基材層101とカバー層103が低屈折率材料、高屈折率層102が高屈折率材料で形成され、凹凸によって、高屈折率層102の片側表面は高屈折部と低屈折率部が所定の周期で交互に形成されていることになる。
図19は、上記構造の周期、屈折率を最適化した場合、入射光の波長に対する光の透過率のグラフを示している。これは、入射光の波長以下のサイズでの特定周期、屈折率を有する構造によって、ある特定波長λ1でのみ、入射光が共鳴反射することを示している。これら材料は、入射光に対してすべて透明な材質で構成されているため、上記特定周期構造の条件のみ、入射光を共鳴反射させ、その以外の条件では、入射光をほとんど透過させることを示している。
本発明による光情報記憶媒体は、このような光の共鳴構造を利用して、情報の再生を行うものである。
図19は、上記構造の周期、屈折率を最適化した場合、入射光の波長に対する光の透過率のグラフを示している。これは、入射光の波長以下のサイズでの特定周期、屈折率を有する構造によって、ある特定波長λ1でのみ、入射光が共鳴反射することを示している。これら材料は、入射光に対してすべて透明な材質で構成されているため、上記特定周期構造の条件のみ、入射光を共鳴反射させ、その以外の条件では、入射光をほとんど透過させることを示している。
本発明による光情報記憶媒体は、このような光の共鳴構造を利用して、情報の再生を行うものである。
次に、本発明における光情報記憶媒体の基本的な構成について、図を用いて説明する。
本発明における光情報記録媒体の代表的な構成を図12に示す。
まず、通常の光ディスクメディアでは、記録面上のピット部に、突起を形成したり、屈折率を変化させたることにより、ピット部からの反射光量と、その他の部分からの反射光量とが異なることを利用し、記録されている情報を読み取るようになっている。
これに対し、本発明における光情報記録媒体111では、突起や屈折率変化として形成されたピット部の代わりに、図12に示すように、微細な凹凸で形成された周期構造のマーク部112を形成する。このようにして記録面上に形成されたマーク部112の部分が入射光との共鳴反射を起こすことによって、マーク部112で反射光量を大きくさせ、所望の情報を読み取らせることができる。また入射光との共鳴反射構造を有しない非共鳴反射領域113では、入射光をほとんど透過することになる。
本発明における光情報記録媒体の代表的な構成を図12に示す。
まず、通常の光ディスクメディアでは、記録面上のピット部に、突起を形成したり、屈折率を変化させたることにより、ピット部からの反射光量と、その他の部分からの反射光量とが異なることを利用し、記録されている情報を読み取るようになっている。
これに対し、本発明における光情報記録媒体111では、突起や屈折率変化として形成されたピット部の代わりに、図12に示すように、微細な凹凸で形成された周期構造のマーク部112を形成する。このようにして記録面上に形成されたマーク部112の部分が入射光との共鳴反射を起こすことによって、マーク部112で反射光量を大きくさせ、所望の情報を読み取らせることができる。また入射光との共鳴反射構造を有しない非共鳴反射領域113では、入射光をほとんど透過することになる。
マーク部112の断面の代表的な例は、図13に示すように、基材層114、高屈折率層115、カバー層116という構成になっており、高屈折率層115の入射光側表面に微細な凹凸による周期構造を形成して、入射光を共鳴反射させるようにしている。図13による構成では、入射光はカバー層116側から入射する。この構造により、入射光に対して共鳴反射条件であれば反射光が得られ、それ以外の条件ではほぼ入射光は透過光となる。入射光が共鳴構造を有する領域で共鳴反射するとき、非常に大きな反射光量が得られ、それ以外の領域では入射光が透過するため、大きなS/N比の信号を得ることが可能になる。
ここで、共鳴反射する条件は、基材層114、高屈折率層115の屈折率、高屈折率層115に形成された凹凸構造117の周期、深さ、形状などから決まる。このとき、高屈折率層115を導波層として機能させるため、周辺材料の屈折率よりも高いものが必要となる。また、このような共鳴反射が可能になる凹凸構造117の周期は、高屈折率層115の屈折率、深さ、隣接するカバー層116の屈折率などに依存するが、入射光の波長の2/3以下のサイズの周期が必要条件となる。入射光と共鳴反射する構造は図13に示す構造に限らず、例えば低屈折率材料によって構成される基材層上に、周期的に微細な凹凸構造を形成し、その上に高屈折率層を積層した構造や、高屈折率層と異なる材質で微細な凹凸構造を形成するようにした構造においても実現可能である。
ここで、共鳴反射する条件は、基材層114、高屈折率層115の屈折率、高屈折率層115に形成された凹凸構造117の周期、深さ、形状などから決まる。このとき、高屈折率層115を導波層として機能させるため、周辺材料の屈折率よりも高いものが必要となる。また、このような共鳴反射が可能になる凹凸構造117の周期は、高屈折率層115の屈折率、深さ、隣接するカバー層116の屈折率などに依存するが、入射光の波長の2/3以下のサイズの周期が必要条件となる。入射光と共鳴反射する構造は図13に示す構造に限らず、例えば低屈折率材料によって構成される基材層上に、周期的に微細な凹凸構造を形成し、その上に高屈折率層を積層した構造や、高屈折率層と異なる材質で微細な凹凸構造を形成するようにした構造においても実現可能である。
また、このような共鳴反射の条件は、入射光の偏光方向に影響を受ける。図14(b)に、周期構造をある条件に固定した場合において、入射光の偏光方向を変えたことに対する透過率のグラフを示す。入射光の偏光方向が周期構造に対して垂直な場合(図14(a)における90°)、特定波長λ1の入射光と、この構造とのあいだで共鳴を起こすが、周期構造に対して偏光方向が平行な光は(図14(a)における0°)、共鳴反射する特定波長がずれてλ2になる。つまり、入射光の偏光方向に対するマーク部の微細構造の方向が垂直の場合と、平行の場合で、共鳴反射条件となる構造が異なることになる。このため、入射光の偏光方向に対して、微細な周期構造が垂直の場合に共鳴反射するように微細構造が形成された領域をマーク部として形成し、その他の領域を入射光の偏光方向に対して平行な微細構造を形成すると、この媒体の反射光もしくは透過光の変化を検出することにより信号の再生を行うことができる。
このとき、図14(b)のグラフからもわかるように、共鳴反射する条件と共鳴反射しない条件では、反射率に非常に大きな差が得られる。そのため、信号の再生をする上で、非常に大きな信号のS/N比が得られることになる。ここで逆に、入射光の偏光方向に対して、微細な凹凸による周期構造が平行な場合を共鳴反射する条件としてマーク部を形成し、垂直な領域はほとんど透過するような媒体の構成にすることも可能である。
このとき、図14(b)のグラフからもわかるように、共鳴反射する条件と共鳴反射しない条件では、反射率に非常に大きな差が得られる。そのため、信号の再生をする上で、非常に大きな信号のS/N比が得られることになる。ここで逆に、入射光の偏光方向に対して、微細な凹凸による周期構造が平行な場合を共鳴反射する条件としてマーク部を形成し、垂直な領域はほとんど透過するような媒体の構成にすることも可能である。
これを利用した本発明における光情報記録媒体の基本構成の一例を図15に示す。光情報記録媒体平面上のグルーブ部120上に、入射光を共鳴反射させる微細周期構造によるマーク部121が形成され、集光ビーム122の走査方向に列になって並んでいる。マーク部121以外の部分(領域123)は、マーク部121とは90°回転した方向に微細周期構造が形成されている。これにより、図15に示すように集光ビーム122が、トラック方向に偏光した直線偏光のビームである場合、マーク部121で入射光を共鳴反射させる構成となる一方、同じ構造で方向を90°変えた他の部分では共鳴反射を起こさない。そのため、入射光の波長が図14(b)におけるλ1である場合、マーク部121を非常に高いS/N比で検出することが可能になる。
また、マーク部121として入射光を共鳴反射するような構造を形成し、その他の領域123については、構造の周期を共鳴反射条件からずらしたものにした光情報記録媒体の構成にすることも可能である。これによっても入射光と共鳴反射するマーク部121の領域で大きな反射光が得られ、構造が共鳴反射の条件からずれているその他の領域123では、反射光はほとんど得られないため、同様にS/N比の高い信号が得られることになる。このとき、マーク部121以外の領域123は入射光を反射させないことがS/N比を高めることにつながるため、共鳴反射条件よりも大きな凹凸構造にならないようにする。つまり、同様に凹凸の周期が入射光波長の2/3以下のサイズであることが望ましい。これにより、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差による入射光の反射が抑制できることになる。
また、マーク部121として入射光を共鳴反射するような構造を形成し、その他の領域123については、構造の周期を共鳴反射条件からずらしたものにした光情報記録媒体の構成にすることも可能である。これによっても入射光と共鳴反射するマーク部121の領域で大きな反射光が得られ、構造が共鳴反射の条件からずれているその他の領域123では、反射光はほとんど得られないため、同様にS/N比の高い信号が得られることになる。このとき、マーク部121以外の領域123は入射光を反射させないことがS/N比を高めることにつながるため、共鳴反射条件よりも大きな凹凸構造にならないようにする。つまり、同様に凹凸の周期が入射光波長の2/3以下のサイズであることが望ましい。これにより、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差による入射光の反射が抑制できることになる。
次に図16(a)に示すように、微細構造に対して入射光の偏光方向の角度を変化させたときの一例のグラフを示す。入射光の偏光方向の角度が0°と90°については、図14において示した条件と同じであり、そのほかの角度は偏光方向をその中間にした場合の入射光の透過率を示している。微細構造に対する入射光の偏光方向の角度を0°から徐々にずらしていった場合、0°のときの共鳴波長λ2の透過率が上がり(反射率が下がり)、その分ほぼ100%透過であった偏光方向の角度が90°のときの共鳴波長λ1での透過率が下がってくる。微細構造に対して入射光の偏光方向の角度が45°の場合は、λ1とλ2の反射率が同じになり、共鳴波長はλ1、λ2の2波長で半分ずつという状態になる。さらに偏光方向の角度を90°側に近づけていくと、λ1の透過率が下がり、90°となったときにλ1でほとんど共鳴反射し、λ2はほとんど透過する状態になる。これは共鳴反射させるためのある一定の微細構造が形成されている場合、入射光の偏光方向の角度を調整することにより、ある特定波長(図16(a)におけるλ1やλ2)において反射率の制御、つまり反射光量の制御を行うことができることを示している。つまり、入射光の偏光方向の角度が一定のとき、メディアの層上に形成される微細構造の偏光方向に対する角度を多段階化することにより、1つのマーク部121において多段階の情報が得られることになる。
このように、微細構造によるマーク部121の方向をメディア上で多段階に変えることにより反射光量を変えることができるため、一定領域のマーク部121における多値化の効果を得ることができる。
このように、微細構造によるマーク部121の方向をメディア上で多段階に変えることにより反射光量を変えることができるため、一定領域のマーク部121における多値化の効果を得ることができる。
また、微細構造によって入射光が共鳴反射する条件は、入射角度依存性も有している。入射角度がずれることによって共鳴条件が変わるため、微細構造が垂直入射のときに共鳴反射するように形成されている場合、斜めからの入射光はほとんど透過する。これにより、図17に示すように、入射ビームを集光してある特定の層を再生する場合、他の集光していない層では、ほとんど中心部のほんの一部の光以外は斜め入射していることになるため、入射光の大部分は集光している層以外では透過することになる。これにより、入射ビームを集光させた特定の層で大きな共鳴反射させることが可能であるため、記録媒体における多層化を容易にすることができる。
また、本発明では円盤状の記録媒体に限らず、記録再生に回転を伴わないカード型、またはテープ型やドラム型の記録媒体にも応用が可能である。
また、本発明では円盤状の記録媒体に限らず、記録再生に回転を伴わないカード型、またはテープ型やドラム型の記録媒体にも応用が可能である。
図1は本発明による光情報記録媒体のうち、第1の実施形態を示す断面図である。
図1に示すように光情報記憶媒体1aは、基材2の上に高屈折率層3が形成され、その表面には入射光に対する共鳴反射が可能となるように周期的な凹凸構造4が形成されている。その上に、周期的に形成された微細な凹凸構造4を覆うようにカバー層5が形成される。また、凹凸構造4が形成される高屈折率層3の材料と、凹凸構造4の凹凸間に充填されるカバー層5の材料との間に屈折率差を与え、入射光に対する共鳴反射を発生させるようにしている。
本形態例では、基材2の材料としてPMMA、その上の高屈折率層3にTiO2薄膜を使用した。この高屈折率層3の上の部分に微細な凹凸構造4が形成される。この上にカバー層5が形成されるが、ここではアクリルモノマーを有する光硬化性樹脂を使用して形成した。
また、入射光として405nmの波長の光を使用すると、PMMAによって構成される基材2の屈折率は1.50、TiO2薄膜によって構成される高屈折率層3の屈折率は2.25、光硬化性樹脂によって構成されるカバー層5の屈折率は1.52となる。このとき入射光の偏光方向と微細周期的な凹凸構造4の方向とが90°ずれている場合には、共鳴反射する条件は、図2に示すように、ピッチPを205nm、凹凸部の高さHを21nm、構造幅Wが100nmであり、凹凸構造4が形成されていない部分の高屈折率層3の厚さDは75nmである。
図1に示すように光情報記憶媒体1aは、基材2の上に高屈折率層3が形成され、その表面には入射光に対する共鳴反射が可能となるように周期的な凹凸構造4が形成されている。その上に、周期的に形成された微細な凹凸構造4を覆うようにカバー層5が形成される。また、凹凸構造4が形成される高屈折率層3の材料と、凹凸構造4の凹凸間に充填されるカバー層5の材料との間に屈折率差を与え、入射光に対する共鳴反射を発生させるようにしている。
本形態例では、基材2の材料としてPMMA、その上の高屈折率層3にTiO2薄膜を使用した。この高屈折率層3の上の部分に微細な凹凸構造4が形成される。この上にカバー層5が形成されるが、ここではアクリルモノマーを有する光硬化性樹脂を使用して形成した。
また、入射光として405nmの波長の光を使用すると、PMMAによって構成される基材2の屈折率は1.50、TiO2薄膜によって構成される高屈折率層3の屈折率は2.25、光硬化性樹脂によって構成されるカバー層5の屈折率は1.52となる。このとき入射光の偏光方向と微細周期的な凹凸構造4の方向とが90°ずれている場合には、共鳴反射する条件は、図2に示すように、ピッチPを205nm、凹凸部の高さHを21nm、構造幅Wが100nmであり、凹凸構造4が形成されていない部分の高屈折率層3の厚さDは75nmである。
そして、光情報記録媒体1を上記構造を形成することにより、図3(a)、(b)に示すように405nmの入射光の偏光方向が凹凸構造4の方向に対して90°の角度で入ってくる場合は、共鳴反射のためほとんど100%が反射光となる。一方、入射光が凹凸構造4の方向に対して偏光方向が0°の場合は、405nmの光はほぼ100%、この凹凸構造4を透過するため、反射光は0%である。これにより、図4に示す如く、入射光の偏光方向に対して、マーク部6となる領域の凹凸構造方向が垂直になり、その他の部分の凹凸構造方向が水平になるように、凹凸構造4を形成することにより、特別な反射層などを形成することなく、反射率ほぼ100%の領域と0%の領域を形成することが可能になる。もちろん、図4に示す組み合わせに限ることはなく、進行方向に対して垂直な偏光方向のビームを入射光とすることや、入射光の偏光方向と平行な構造が共鳴反射するような微細な凹凸による周期構造の条件で光情報記録媒体1を形成することも可能である。
また、本形態例では反射光によって信号検出をおこなっているが、透過光を検出して信号を読み取ることも可能である。
また、本形態例では反射光によって信号検出をおこなっているが、透過光を検出して信号を読み取ることも可能である。
このように、この形態では、トラック線上のピットとなる領域(マーク部6)に、入射光の波長に対し、2/3波長以下の微細な凹凸を持つ凹凸構造4を形成し、情報の再生時に、凹凸構造4の方向に対し、90°異なる偏光方向の入射光を集光させて、トラック線上に記録された情報を再生させるようにしているので、マーク部6で入射光を共鳴反射させ、強い反射光を発生させることができるとともに、マーク部6以外の領域で、入射光を透過させて、反射光を発生させないようにすることかでき、これによってコントラストの大きい再生信号を生成させることができる。
また、この形態では、高屈折率層3に形成された微細な凹凸構造4による周期構造の方向を、入射光の偏光方向に垂直もしくは平行な方向とするようにしているので、マーク部6の有無を非常に大きな反射率差として検知させることができ、高いS/N比を確保させることができる。
また、この形態では、高屈折率層3に形成された微細な凹凸構造4による周期構造の方向を、入射光の偏光方向に垂直もしくは平行な方向とするようにしているので、マーク部6の有無を非常に大きな反射率差として検知させることができ、高いS/N比を確保させることができる。
図5は本発明による光情報記録媒体のうち、第2の実施形態を示す断面図である。
この図に示す光情報記憶媒体1cは、図1に示す光情報記憶媒体1aと同様に、基材2の上に高屈折率層3が形成され、その表面には入射光と共鳴反射が可能となるように周期凹凸構造4が形成されている。その上に、微細周期的な凹凸構造4を覆うようにカバー層5が形成される。また、入射光の波長は上述した形態と同じ405nm、共鳴反射をさせるための微細な凹凸構造4の周期、屈折率も同じ構成にする。
ここで、図6(a)のグラフに示されるように、このような微細な凹凸構造4に対して405nmの青色光を入射すると、入射光の偏光方向と微細な凹凸構造4の方向とが成す角度によって共鳴反射の反射率が異なってくる。これを利用して、入射光の偏光方向に対して光情報記録媒体1c上に形成される微細な凹凸構造4の方向を0°〜90°まで多段階に変化させることにより、その方向に応じて反射光量を多段階に変化させることができ、情報の多値化を行わせることができる。ここで微細な凹凸構造4の方向に対する入射光の偏光方向とが成す角度と、反射率とが図6(b)のグラフに示すような関係になっている。
この図に示す光情報記憶媒体1cは、図1に示す光情報記憶媒体1aと同様に、基材2の上に高屈折率層3が形成され、その表面には入射光と共鳴反射が可能となるように周期凹凸構造4が形成されている。その上に、微細周期的な凹凸構造4を覆うようにカバー層5が形成される。また、入射光の波長は上述した形態と同じ405nm、共鳴反射をさせるための微細な凹凸構造4の周期、屈折率も同じ構成にする。
ここで、図6(a)のグラフに示されるように、このような微細な凹凸構造4に対して405nmの青色光を入射すると、入射光の偏光方向と微細な凹凸構造4の方向とが成す角度によって共鳴反射の反射率が異なってくる。これを利用して、入射光の偏光方向に対して光情報記録媒体1c上に形成される微細な凹凸構造4の方向を0°〜90°まで多段階に変化させることにより、その方向に応じて反射光量を多段階に変化させることができ、情報の多値化を行わせることができる。ここで微細な凹凸構造4の方向に対する入射光の偏光方向とが成す角度と、反射率とが図6(b)のグラフに示すような関係になっている。
次に、入射光の偏光方向に対する微細な凹凸構造4の方向を調整して、反射光量を多値化させる場合の構成例を図7に示す。光情報記録媒体1c上に形成されたトラック線7を、一定の面積で仮想的な領域(セル8)に分け、1つのセル8上で微細な周期構造の方向を変化させる。入射ビーム9の偏光方向はトラック線7の方向に対して常に一定であるため、トラック方向に対する微細な周期構造の方向を多段階に変化させることにより、反射光を多段階化させることができる。
この際、図6(b)のグラフに示されるように、偏光方向と微細な凹凸構造4とが成す角度に対して、反射率は線形には変化していないことから、反射光量の変動に対する値の読み違えを抑えるように、多段階とする微細な凹凸構造4による方向を、反射率の変化量が一定になるように設定するのが好ましい。具体的には、各セル8における多値のレベルを5段階とすると、微細な凹凸構造4のトラックに対する方向を0、30、45、60、90°と設定することにより、それぞれ0、25、50、75、100%となるため、入射ビーム9の偏光方向や光情報記録媒体1cのチルト角などによる反射光量の変動に対しても、耐性の大きなメディアとすることができる。
このように、この形態では、入射ビーム9の偏光方向に対して、トラック線7上の各セル8に形成される、微細な凹凸構造4による周期構造の方向の角度を、多段階に変化させるようにしているので、入射ビーム9の偏光方向に対する微細な凹凸による周期構造の角度によって連続的に共鳴反射率を変化させることができ、各セル8毎に多段階の反射光量を得ることができる。これによって、光情報記録媒体1cに形成される1記録面当たりの記憶容量を大きくすることができる(請求項3の効果)。
この際、図6(b)のグラフに示されるように、偏光方向と微細な凹凸構造4とが成す角度に対して、反射率は線形には変化していないことから、反射光量の変動に対する値の読み違えを抑えるように、多段階とする微細な凹凸構造4による方向を、反射率の変化量が一定になるように設定するのが好ましい。具体的には、各セル8における多値のレベルを5段階とすると、微細な凹凸構造4のトラックに対する方向を0、30、45、60、90°と設定することにより、それぞれ0、25、50、75、100%となるため、入射ビーム9の偏光方向や光情報記録媒体1cのチルト角などによる反射光量の変動に対しても、耐性の大きなメディアとすることができる。
このように、この形態では、入射ビーム9の偏光方向に対して、トラック線7上の各セル8に形成される、微細な凹凸構造4による周期構造の方向の角度を、多段階に変化させるようにしているので、入射ビーム9の偏光方向に対する微細な凹凸による周期構造の角度によって連続的に共鳴反射率を変化させることができ、各セル8毎に多段階の反射光量を得ることができる。これによって、光情報記録媒体1cに形成される1記録面当たりの記憶容量を大きくすることができる(請求項3の効果)。
図8は本発明による光情報記録媒体のうち、第3の実施形態を示す断面図である。
この図に示す光情報記憶媒体1dは、図1に示す光情報記憶媒体1aと同様に、基材2の上に高屈折率層3が形成され、その表面には入射光と共鳴反射が可能となるように周期凹凸構造4が形成されている。その上に、微細周期的な凹凸構造4を覆うようにカバー層5が形成される。また、入射光の波長は上述した形態と同じ405nm、共鳴反射をさせるための微細な凹凸構造4の周期、屈折率も同じ構成にする。
そして、図9に示すように、トラック線7の進行方向(移動方向)と、入射光の偏光方向とを同じにした場合、共鳴反射する波長は凹凸構造4の周期によって決まる。そのため共鳴波長からずれた周期で凹凸構造4を形成すると、その領域では入射光はほとんど凹凸構造4を透過する。共鳴反射させる領域(マーク部となる領域)10と、それ以外の領域(入射光を透過させる領域)11とをトラック線7上に形成させる場合には、マーク部となる領域10のピッチを205nmとし、領域11のピッチを180nmの凹凸形状にすることにより、マーク部となる領域10では、ほぼ100%の反射光量が得られ、それ以外の領域11では、ほぼ入射光は透過するため、高コントラストの信号が得られる。ここで透過させる領域11の周期構造をなくした場合や大きくした場合、ほとんどの入射光は透過するが、屈折率差によりある程度の反射光が発生してしまう。そのため、反射が必要でない領域11においても微細な凹凸構造を形成するのが望ましく、周期は入射光波長の2/3以下の構造とする必要がある。
このように、この形態では、マーク部となる領域10のピッチを205nmとし、領域11のピッチを180nmの凹凸形状にするようにしているので、マーク部となる領域10で、入射光をほぼ100%、共鳴反射させ、それ以外の領域11で、屈折率差によりある程度の反射を抑制し、入射光をほぼ100%、透過させることができ、これによって、コントラストの大きい光情報記憶媒体にすることができる(請求項4の効果)。
この図に示す光情報記憶媒体1dは、図1に示す光情報記憶媒体1aと同様に、基材2の上に高屈折率層3が形成され、その表面には入射光と共鳴反射が可能となるように周期凹凸構造4が形成されている。その上に、微細周期的な凹凸構造4を覆うようにカバー層5が形成される。また、入射光の波長は上述した形態と同じ405nm、共鳴反射をさせるための微細な凹凸構造4の周期、屈折率も同じ構成にする。
そして、図9に示すように、トラック線7の進行方向(移動方向)と、入射光の偏光方向とを同じにした場合、共鳴反射する波長は凹凸構造4の周期によって決まる。そのため共鳴波長からずれた周期で凹凸構造4を形成すると、その領域では入射光はほとんど凹凸構造4を透過する。共鳴反射させる領域(マーク部となる領域)10と、それ以外の領域(入射光を透過させる領域)11とをトラック線7上に形成させる場合には、マーク部となる領域10のピッチを205nmとし、領域11のピッチを180nmの凹凸形状にすることにより、マーク部となる領域10では、ほぼ100%の反射光量が得られ、それ以外の領域11では、ほぼ入射光は透過するため、高コントラストの信号が得られる。ここで透過させる領域11の周期構造をなくした場合や大きくした場合、ほとんどの入射光は透過するが、屈折率差によりある程度の反射光が発生してしまう。そのため、反射が必要でない領域11においても微細な凹凸構造を形成するのが望ましく、周期は入射光波長の2/3以下の構造とする必要がある。
このように、この形態では、マーク部となる領域10のピッチを205nmとし、領域11のピッチを180nmの凹凸形状にするようにしているので、マーク部となる領域10で、入射光をほぼ100%、共鳴反射させ、それ以外の領域11で、屈折率差によりある程度の反射を抑制し、入射光をほぼ100%、透過させることができ、これによって、コントラストの大きい光情報記憶媒体にすることができる(請求項4の効果)。
図10は本発明による光情報記録媒体のうち、第4の実施形態を示す断面図である。
この図に示す光情報記憶媒体1eは、記録層を多層化して、記憶容量を格段に大きくしたものであり、次に述べる手順で、製造する。
まず、図11(a)に示すように円盤状のポリカーボネート基板15を用意し、スピンコート法などの塗布方法で、ポリカーボネート基板15上にPMMA層16を形成する。この際、PMMA層16を構成するPMMAは分子量約50万のものをアニソール溶媒に15%の濃度で希釈し、膜厚は約1μmとなるように調整した。その上に図11(b)に示すように真空蒸着法によって高屈折率層17となるTiO2薄膜を形成する。成膜するTiO2の膜厚は、入射光を共鳴させるために設計され、凹凸構造を含めた最適な厚さとなるように成膜する。
次いで、図11(c)に示すように高屈折率層17上に光硬化性樹脂18を塗布し、所定の微細パターン(凹凸パターン)が形成されたモールド19を押し付ける。このモールド19の裏側から紫外線を照射して光硬化性樹脂18を硬化させ、パターンを転写させる。この際、モールド19の裏側から光硬化性樹脂18に紫外線を照射させる必要があるため、モールド19の材料として、合成石英ガラスを使用した。また、光硬化性樹脂18としては、エポキシ系のべ一ス樹脂に光重合開始剤、ラジカル発生剤などを混合したものを使用し、光硬化性樹脂の粘度としては、約50mPa・sec、押し付け圧力は0.3MPaに設定した。
この図に示す光情報記憶媒体1eは、記録層を多層化して、記憶容量を格段に大きくしたものであり、次に述べる手順で、製造する。
まず、図11(a)に示すように円盤状のポリカーボネート基板15を用意し、スピンコート法などの塗布方法で、ポリカーボネート基板15上にPMMA層16を形成する。この際、PMMA層16を構成するPMMAは分子量約50万のものをアニソール溶媒に15%の濃度で希釈し、膜厚は約1μmとなるように調整した。その上に図11(b)に示すように真空蒸着法によって高屈折率層17となるTiO2薄膜を形成する。成膜するTiO2の膜厚は、入射光を共鳴させるために設計され、凹凸構造を含めた最適な厚さとなるように成膜する。
次いで、図11(c)に示すように高屈折率層17上に光硬化性樹脂18を塗布し、所定の微細パターン(凹凸パターン)が形成されたモールド19を押し付ける。このモールド19の裏側から紫外線を照射して光硬化性樹脂18を硬化させ、パターンを転写させる。この際、モールド19の裏側から光硬化性樹脂18に紫外線を照射させる必要があるため、モールド19の材料として、合成石英ガラスを使用した。また、光硬化性樹脂18としては、エポキシ系のべ一ス樹脂に光重合開始剤、ラジカル発生剤などを混合したものを使用し、光硬化性樹脂の粘度としては、約50mPa・sec、押し付け圧力は0.3MPaに設定した。
この後、図11(d)に示すように、作製された光硬化性樹脂18のパターンをマスクとして所定の深さまで、TiO2薄膜をエッチングする。この際、最初、O2ガスによるエッチングで、光硬化性樹脂18の溝底部に残っている部分を除去し、その後CF4ガスにより光硬化性樹脂18の溝底部(開口部)を介して、所定の深さとなるまで、TiO2薄膜をエッチングし、最後に図11(e)に示すようにO2ガスを使用したエッチング処理で、光硬化性樹脂18の残膜を除去して、TiO2薄膜に格子層(凹凸構造)20を作製する。
このようにして、ピッチが205nm、深さが21nm、構造幅が100nmになる微細な凹凸構造20を作製した。また、ここで使用する石英ガラスのモールド19を作製する際、電子ビーム露光装置を用いた。このモールド19に形成される微細な凹凸パターンは、スパイラル状、または同心円状に連続して形成する必要があることから、電子ビーム露光装置として、モールド19の基板を回転させながら電子ビームを一方向に移動させるようなXθ型の装置を使用した。ここで微細な凹凸パターンの形状として、矩形を使用しているが、台形、波型などでも実現可能である。
次いで、図11(f)に示すように格子層(凹凸構造)20が形成された高屈折率層17上に、カバー層21を形成する。このカバー層21には、光硬化性樹脂であるアクリレートモノマー材料を使用し、スピンアウト後に5秒間のUV光照射(紫外線光照射)を行って硬化させる。これにより、一層目の記録再生層を持つ光情報記憶媒体を作製する。
このようにして、ピッチが205nm、深さが21nm、構造幅が100nmになる微細な凹凸構造20を作製した。また、ここで使用する石英ガラスのモールド19を作製する際、電子ビーム露光装置を用いた。このモールド19に形成される微細な凹凸パターンは、スパイラル状、または同心円状に連続して形成する必要があることから、電子ビーム露光装置として、モールド19の基板を回転させながら電子ビームを一方向に移動させるようなXθ型の装置を使用した。ここで微細な凹凸パターンの形状として、矩形を使用しているが、台形、波型などでも実現可能である。
次いで、図11(f)に示すように格子層(凹凸構造)20が形成された高屈折率層17上に、カバー層21を形成する。このカバー層21には、光硬化性樹脂であるアクリレートモノマー材料を使用し、スピンアウト後に5秒間のUV光照射(紫外線光照射)を行って硬化させる。これにより、一層目の記録再生層を持つ光情報記憶媒体を作製する。
次いで、2層目を積層させるために、図10に示すように、保護層を22形成する。ここでは保護層22として、SiO2とZnSを混合したZnS−SiO2膜を形成した。混合比率は、モル比でZnS:SiO2=80:20の割合のものとし、同組成のターゲットを使用し、スパッタリング法により成膜した。この保護層を22は、再び多層化のために溶剤をスピンコートする際、1層目のカバー層21と2層目の基材となるPMMA層16との混合を防止するための層である。
この後、再び1層目と同様の構成で2層目を構成する。3層目以降も同様の工程により作製することができ、これにより多層化した光情報記憶媒体1eとすることができる。積層させる最後の層では、再びZnS−SiO2を保護層22を形成し、その上にハードコート層23を形成して光情報記憶媒体1eとする。
この後、再び1層目と同様の構成で2層目を構成する。3層目以降も同様の工程により作製することができ、これにより多層化した光情報記憶媒体1eとすることができる。積層させる最後の層では、再びZnS−SiO2を保護層22を形成し、その上にハードコート層23を形成して光情報記憶媒体1eとする。
これにより、入射光が垂直入射している領域のみ共鳴反射を起こすので、焦点を合わせて再生している層のみが高反射率を得ることができ、集光されていない層(入射光が垂直入射していない層)においては反射光が少ない。そのため多層化の層間隔を小さくすることが可能である。実際には、再生を行う層の選択を容易にするため、15〜25μmとするのが好ましい。また記録するマーク部の大きさに関しては、共鳴を起こすための微細な凹凸の数が少ない場合、共鳴による反射率低下を抑えるために、凹凸の周期をλとした場合、4λ以上とした。
このように、この形態では、再生をおこなう層を2層以上の多層構造にし、共鳴反射による信号の再生においては、入射光を集光させている層以外では、ほとんどの光を透過させるような層構成にしているので、目的とする層以外の層では反射率を非常に低く抑えさせることができる。これにより、記録層の多層化を容易にするとともに、反射光量のコントラストを大きくさせて、安定した多層光記憶媒体を作製させることができる(請求項5の効果)。
このように、この形態では、再生をおこなう層を2層以上の多層構造にし、共鳴反射による信号の再生においては、入射光を集光させている層以外では、ほとんどの光を透過させるような層構成にしているので、目的とする層以外の層では反射率を非常に低く抑えさせることができる。これにより、記録層の多層化を容易にするとともに、反射光量のコントラストを大きくさせて、安定した多層光記憶媒体を作製させることができる(請求項5の効果)。
1a〜1e:光情報記憶媒体 2:基材 3:高屈折率層 4:凹凸構造 5:カバー層 6:マーク部 7:トラック線 8:セル 9:入射ビーム 10:共鳴反射させる領域 11:入射光を透過させる領域 15:ポリカーボネート基板 16:PMMA層 17:高屈折率層 18:光硬化性樹脂 19:モールド 20:凹凸構造 21:カバー層 22:保護層 23:ハードコート層
Claims (5)
- 基材層上に高屈折率層、カバー層を順次、形成した光情報記録媒体において、
記録情報と対応するように、前記高屈折率層に、入射光波長の2/3波長以下となる微細な凹凸構造を形成し、
直線偏光の入射光を凹凸構造に集光させたときの共鳴反射光量、または透過光量に基づき、記録情報を再生させる、
ことを特徴とする光情報記録媒体。 - 請求項1に記載の光情報記録媒体おいて、
前記高屈折率層に形成されている微細な凹凸構造の方向を、入射光の偏光方向に垂直もしくは平行な方向とする、
ことを特徴とする光情報記録媒体。 - 請求項1に記載の光情報記録媒体おいて、
前記入射光の偏光方向に対して、前記高屈折率層に形成されている微細な凹凸構造の方向角度を、多段階に変化させる、
ことを特徴とする光情報記録媒体。 - 請求項1に記載の光情報記録媒体おいて、
前記凹凸構造のピッチ周期として使用される各周期のうち、少なくとも1つは、前記入射光を共鳴反射させるものである、
ことを特徴とする光情報記録媒体。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光情報記録媒体おいて、
前記高屈折率層、前記カバー層を含む、再生をおこなう層を2層以上の多層構造にする、
ことを特徴とする光情報記録媒体。
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CN113874939A (zh) * | 2019-06-05 | 2021-12-31 | 索尼集团公司 | 光记录介质 |
-
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- 2008-03-14 JP JP2008066679A patent/JP2009223942A/ja active Pending
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