JP2009222867A - 3次元構造及び発光デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】3次元フォトニック結晶中の導波路接続部で発生する反射波を抑制する。
【解決手段】3次元構造は、フォトニック結晶中に、第1及び第2の導波路と、共振器と、第1及び第2の導波路が光を伝播させる導波モードとは異なる導波モードで光を伝播させる第1の領域とを含む。第1の導波路を共振器の方向に伝播する光のうち、第1の導波路と共振器との接続部で反射する光を第1の光とし、共振器に存在する光と結合して再び該第1の導波路を伝播する光と結合する光を第2の光とし、共振器に存在する光と結合した後、第2の導波路を伝播する光と結合し、再び共振器に存在する光と結合し、さらに第1の導波路を伝播する光と結合する光を第3の光とする。共振器、第1及び第2の導波路は、第1及び第2の光の強度が互いに異なるように形成され、第1及び第2の光のうち強度が高い方の光と第3の光との位相差φは、−1≦cos(φ) <0を満足する。
【選択図】図1

Description

本発明は、3次元周期構造を有する3次元フォトニック結晶中に反射抑制構造を設けた3次元構造及びこれを利用した発光デバイスに関する。
フォトニック結晶とも称される、入射波長以下の周期を有する周期構造体によって電磁波としての光の透過及び反射特性等を制御できることが、Yablonovitchによって提唱されている(非特許文献1)。
いわゆるフォトニックバンドギャップを有するフォトニック結晶を利用することにより、新しい機能を持つ光学素子の実現が可能となる。例えば、フォトニック結晶内に点状又は線状の周期欠陥部を設けることにより、共振器や導波路として動作させることができる。
フォトニック結晶内に、導波路として動作する線状欠陥部を設けると、光は導波路の構造に応じた固有の電磁エネルギー分布を有する状態で伝播する。また、フォトニック結晶の外部においても、光はその外部の構造に応じた固有の電磁エネルギー分布を有する状態で伝播する。
以下、固有の電磁エネルギー分布を有して伝播する光の状態をその光の導波モードという。また、ある導波モードでの固有の電磁エネルギー分布を導波モードパターンという。また、フォトニック結晶内の導波路を導波路1とし、該導波路1を伝播する光の導波モードを導波モード1とする。
フォトニック結晶内の導波路1を伝播する導波モード1の光は、該導波モード1とは異なる導波モード(以下、導波モード2という)で伝播する光と結合する、すなわち導波モードを変換することで利用可能となる。以下、導波モード1で伝播する光と導波モード2で伝播する光が結合する際に、導波モード1で伝播する光のエネルギーのうち導波モード2で伝播する光のエネルギーに変換される割合を結合効率という。
フォトニック結晶内の導波路1と導波モード2で光を伝播させる構造とを接続すると、導波路1を導波モード1で伝播する光の一部は導波モード2で伝播する光と結合する。また、導波モード1で伝播する光の一部は反射波となり、導波路1を伝播する。
導波モード1で伝播する光を導波モード2で伝播する光に変換して効率良く利用するためには、導波モード1で伝播する光と導波モード2で伝播する光との結合効率を向上させるとともに、導波路1を伝播する反射波を低減することが課題である。
このような課題を解決するために、特許文献1では、フォトニック結晶内における導波路1と自由空間との間に、線状欠陥部の幅を徐々に拡大することでテーパー状の欠陥部としての導波路2を形成する例が開示されている。ここで、自由空間を伝播する光の導波モードを導波モード2とし、テーパー状の欠陥部により形成される導波路2を伝播する光の導波モードを導波モード3とする。
特許文献1では、導波路2を、導波路1と自由空間とに接続することによって、導波路1を伝播する導波モード1の光を導波モード2の導波モードパターンに近いパターン形状を有する導波モード3の光に変換し、導波モード2の光と結合させる。これにより、導波路1を導波モード1で伝播する光と、自由空間を導波モード2で伝播する光との結合効率を向上させ、かつ導波路1を伝播する反射波を低減できる。
また、特許文献2には、互いに異なる導波モードを有する2つの導波路の間に、2つの導波モードとは異なる導波モードを有する第3の導波路を設けることが開示されている。具体的には、フォトニック結晶中に設けた導波路1と、フォトニック結晶の外部に設けた導波路2との間に、導波路1とは構造が異なる第3の導波路(導波路3)を設けた構造が開示されている。ここで、導波路2を伝播する光の導波モードを導波モード2、導波路3を伝播する光の導波モードを導波モード3とする。導波路1を伝播する光の一部は、導波路1と導波路3との接続部において、導波モード1と導波モード3が異なることに起因して反射波となる。また、導波路3を伝播する光の一部は、導波路2と導波路3との接続部において、導波モード2と導波モード3が異なることに起因して反射波となる。
そして、特許文献2には、これら2つの反射波を互いに干渉させることによって、導波路1を伝播する反射波を低減させ、導波路1を導波モード1で伝播する光と導波路2を導波モード2で伝播する光との結合効率を向上させることが開示されている。
また、非特許文献2には、導波路の途中に微小な構造を設けることで、結合効率を向上させる手法が述べられている。非特許文献2では、2次元フォトニック結晶内の導波路を伝播する光のインピーダンスを算出する手法と、微小なピラー構造を設計するための設計手法とが提案されている。
そして、非特許文献2では、2次元フォトニック結晶中に異なる2つの方向に延びる第1の導波路と第2の導波路を互いに接続した曲げ導波路において、第1の導波路中に2つの微小なピラー構造を挿入した構造が開示されている。2つの微小なピラー構造を調整することによって、ピラー構造が挿入された第1の導波路を伝播する光のインピーダンスと、第1の導波路と第2の導波路との接続部のインピーダンスとを調和させている。インピーダンスを調和させることによって、第1の導波路を伝播する反射波を低減して、第1の導波路を導波モード1で伝播する光と第2の導波路を導波モード2で伝播する光の結合効率を向上させている。
特開2003−315572号公報 特開2003−270458号公報 Physical Review Letters, Vol. 58, pp. 2059, 1987年 Journal of LightWave Technology, Vol.20, No.2, pp.304, 2002年
特許文献1に開示された構造において、フォトニック結晶内の導波路1を伝播する光の導波モード1と、テーパー状の欠陥部により形成された導波路2を伝播する光の導波モード3は互いに異なる導波モードである。このため、導波路1と導波路2とを接続すると、導波路1を導波モード1で伝播する光の一部は反射波となる。この反射波は、導波モード3で伝播する光と結合しないため、損失となる。つまり、導波路1と導波路2との接続部において、導波モード1で伝播する光の一部が反射波となることを抑制することができない。
また、特許文献2に開示された構造においては、反射波を低減して結合効率を向上させる条件を満たすために、第3の導波路を伝播する光の導波モード3が特定の波長帯域において適切なモード屈折率と光路長を同時に有することが求められる。しかし、導波路の構造を変化させ、モード屈折率を変化させると、導波モード3で伝播する光の波数ベクトルの導波方向(導波路が延びる方向)の大きさが変化し、この結果、光路長も変化する。したがって、導波モード3で伝播する光が適切なモード屈折率と光路長を同時に有するように導波路の構造を適切に設計することが容易ではない。また、フォトニック結晶中に異なる複数の線状欠陥部を設けることで複数の導波路を形成すると、構造が複雑になり、特に3次元フォトニック結晶では、その作製がきわめて困難になる。
さらに、非特許文献2には、2次元フォトニック結晶導波路を伝播する光のインピーダンスの算出手法が提案され、反射防止構造の設計手法が提案されている。
一般的に光のインピーダンスは、電磁波の電場と磁場の比で定義される。このため、電磁波の電磁場分布が、平面波とは異なる電磁場分布を有すると、電場と磁場の比から正確なインピーダンスを算出することはできない。非特許文献2で扱っている導波路を伝播する光は、導波路を構成する線状欠陥部の中心に近いほど平面波に近い電磁場分布を有している。また、線状欠陥部の中心に近いほど大きなポインティングベクトルを有している。そこで、非特許文献2では、電場と磁場の比にポインティングベクトルを乗ずることでインピーダンスを算出する方法を提案している。
一方、3次元フォトニック結晶内の導波路では、該導波路を伝播する光の電磁場分布は該導波路が延びる方向に直交する面内において複雑な分布を有しており、平面波の電磁場での分布とは全く異なる。このため、電場と磁場の比から3次元フォトニック結晶内の導波路を伝播する光の正確なインピーダンスを求めることは難しい。また、3次元フォトニック結晶内の導波路を伝播する光のポインティングベクトルも複雑な分布を有しているため、非特許文献2に提案されている方法を用いても正確なインピーダンスを算出することは難しい。このようなことから、非特許文献2で提案されている設計手法を3次元フォトニック結晶内の導波路の設計に適用することは困難である。
さらに、非特許文献2にて提案された設計手法では、ピラー構造の形状と導波路を伝播する光のインピーダンスとの関係が互いに線形な関係を有していることを利用して、挿入する2つのピラー構造の径を決定している。このため、この設計手法で設計されるピラー構造は、上記線形な関係が成立する非常に微小な構造に限定される。このような微小な構造を、正確な形状で正確な位置に作製することは非常に困難である。このことは、非特許文献2中でも、挿入するピラー構造の作製が非常に困難であることが述べられている。したがって、この設計手法によって作製が容易な構造を設計することは難しい。また、非特許文献2には、3次元フォトニック結晶内の導波路の具体的な構造が示されていない。
本発明は、3次元フォトニック結晶中の導波路と、該導波路とは異なる導波モードで光を伝播する領域とを接続する場合に、作製が容易な構造を用いて接続部において発生する反射波を抑制して、結合効率を向上させる3次元構造を提供する。また、本発明は、該3次元構造を用いた発光デバイスを提供する。
本発明の一側面としての3次元構造は、3次元フォトニック結晶中に、それぞれ線状欠陥部を設けることにより形成される第1の導波路及び第2の導波路と、点状欠陥部を設けることにより形成される共振器と、前記第1及び第2の導波路が光を伝播させる導波モードとは異なる導波モードで光を伝播させる第1の領域とを含む。第1の導波路は、入力部を有する。第1の導波路と第2の導波路はともに第1の導波モードで光を伝播させる。第2の導波路と第1の領域は、該第2の導波路を伝播する光のうち少なくとも一部が、該第1の領域を第2の導波モードで伝播する光と結合するように接続されている。また、共振器は、該共振器に存在する光の少なくとも一部が、第1及び第2の導波路をそれぞれ伝播する光と結合するように配置されている。
第1の導波路を共振器の方向に伝播する光のうち、第1の導波路と共振器との接続部で反射される光を第1の光とし、共振器に存在する光と結合して再び該第1の導波路を伝播する光と結合する光を第2の光とし、共振器に存在する光と結合した後、第2の導波路を伝播する光と結合し、再び共振器に存在する光と結合し、さらに第1の導波路を伝播する光と結合する光を第3の光とする。
このとき、共振器、第1の導波路及び第2の導波路は、第1の光の強度と第2の光の強度とが互いに異なるように形成され、かつ第1の光及び第2の光のうち強度が高い方の光と第3の光との位相差をφとするとき、
−1≦cos(φ) <0
なる条件を満足するように形成されていることを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としての発光デバイスは、上記3次元構造と、該3次元フォトニック結晶の内部に配置され、利得媒質を含む発光共振器と、3次元フォトニック結晶の外部に配置された第2の領域とを有する。発光共振器と第1の導波路は、該発光共振器に存在する光の少なくとも一部が該第1の導波路を伝播する光と結合するように配置されている。また、第1の領域と第2の領域は、該第1の領域を伝播する光の少なくとも一部が第2の領域を第2の導波モードとは異なる導波モードで伝播する光と結合するように配置されている。そして、利得媒質を励起することによって発光共振器で発生した光が、第1の導波路、第2の導波路及び第1の領域を伝播して第2の領域に射出されることを特徴とする。
本発明によれば、フォトニック結晶中に設けた第1及び第2の導波路と、該第1及び第2の導波路を伝播する光の導波モードとは異なる導波モードで光を伝播する第1の領域とを接続する場合に、接続部において発生する反射波を低減することができる。これにより、第1の導波モードで伝播する光と第2の導波モードで伝播する光との結合効率を向上させることができる。そしてこのような3次元構造を用いることにより、発光効率が高い発光デバイスを実現することができる。
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施例1である3次元構造について、図1を用いて説明する。図1は、反射抑制構造を含む3次元構造Aの概略構成を示している。
本実施例では、後述する実施例2〜7の具体的な3次元構造に共通する反射抑制原理について説明する。
3次元構造Aは、3次元フォトニック結晶(以下、単にフォトニック結晶という)100の内部に、導波路(第1の導波路)101と、導波路(第2の導波路)102と、共振器103とを含む。また、3次元構造Aは、第1の領域である出力領域104を含む。
フォトニック結晶100は、3次元的に周期的な屈折率分布を有する構造、すなわち、第1の媒質と該第1の媒質よりも屈折率が小さい第2の媒質とが周期的に配置された構造を持ち、フォトニックバンドギャップを有する。具体的には、実施例2以降で説明するように、第1の媒質により構成された複数の柱状構造部と、第2の媒質により構成された空気等の部分とを有する。
導波路101は、フォトニック結晶100の内部に、第1の媒質の屈折率以上の屈折率を有する第3の媒質により線状欠陥部を設けることによって得られる構造である。フォトニック結晶100中に線状欠陥部を設けると、フォトニック結晶100が有するフォトニックバンドギャップ内に含まれる周波数帯域の光のうち、一部の帯域の光が線状欠陥部に存在できる状態を作ることができる。また、フォトニック結晶100中に線状欠陥部を設けることによって、光は線状欠陥部が延びる方向に伝播する。線状欠陥部を伝播する光は、フォトニック結晶の構造や線状欠陥部の構造に応じて、固有の電磁エネルギー分布を有している。導波路101を伝播する光の導波モードを導波モード1(第1の導波モード)とする。
導波モードとは、固有の電磁エネルギー分布を有して伝播する光の状態を意味し、その光が伝播する導波路の構造によって決まる。また、ある導波モードでの固有の電磁エネルギー分布を導波モードパターンという。さらに、固有の電磁エネルギー分布で伝播する光の周波数を導波モード周波数という。
導波路102は、フォトニック結晶100の内部に、導波路101と同じ線状欠陥部を設けることによって得られる構造である。導波路102も、導波路101と同様に、第1の媒質の屈折率以上の屈折率を有する第3の媒質により形成される。
導波路102において、光は、導波路101を伝播する光の導波モードと同じ導波モード1で伝播する。また、導波路101は、フォトニック結晶100の内部に端部10を有し、導波路102はフォトニック結晶100の内部に端部11を有する。
共振器103は、フォトニック結晶100の内部に点状欠陥部を設けることによって得られる構造である。フォトニック結晶100内に点状欠陥部を設けると、フォトニック結晶100が有するフォトニックバンドギャップ内に含まれる周波数帯域の光のうち、一部の帯域の光が点状欠陥部に存在できる状態を作ることができる。また、フォトニック結晶100中に点状欠陥部を設けることによって、光は該点状欠陥部に局在する。点状欠陥部に局在(存在)する光は、フォトニック結晶の構造や点状欠陥部の構造に応じて、固有の電磁エネルギー分布を持つ。共振器103にて局在する光の局在モードを、局在モード1とする。
共振器103は、導波路101と導波路102の間(端部10と端部11との間)に配置されている。共振器103は、共振器103に存在する光のうち少なくとも一部が、導波路101を伝播する光及び導波路102を伝播する光と結合するように配置されている。
共振器103に存在する光のエネルギーのうち、単位時間あたりにおいて導波路を伝播する光のエネルギーに変換される割合を結合定数という。共振器103に存在する光と導波路101を伝播する光との結合定数を第1の結合定数とし、共振器103に存在する光と導波路102を伝播する光との結合定数を第2の結合定数とする。さらに、第1の結合定数と第2の結合定数の比、すなわち第1の結合定数を第2の結合定数で除した値を、結合定数比という。共振器103は、結合定数比が1とは異なる値となるように配置されている。
出力領域104は、導波路102とは異なる構造を有する導波路である。すなわち、出力領域104は、導波路101とは異なる導波モードを有する導波路である。
出力領域104は、導波路102を伝播する光の導波モード1とは異なる導波モードで光を伝播させる。出力領域104は、例えば、フォトニック結晶100の内部に導波路101とは異なる欠陥部を設けることで形成することができる。また、出力領域104は、フォトニック結晶100とは異なる3次元構造を用いて形成することもできる。さらに、出力領域104は、空気等の媒質を空間的に一様に分布させた領域としたり、細い線状の導波路を設けた領域としたりしてもよい。出力領域104を伝播する光の導波モードを導波モード2(第2の導波モード)とする。
なお、出力領域104は、導波路101とは、該導波路101が延びる方向に直交する面内における位置が異なる導波路を少なくとも1つ含む領域であってもよい。また、出力領域104に含まれる導波路は、導波路101に含まれる線状欠陥部が延びる方向とは異なる方向に延びる線状欠陥部で構成された導波路であってもよい。
導波路101を伝播する光の導波モード周波数と、出力領域104を伝播する光の導波モード周波数は、少なくとも一部の帯域において同じ周波数を含んでいる。導波路102と出力領域104は、接続領域(接続部)105で接続されている。
なお、導波路(線状欠陥部)が延びる方向又は光が伝播する方向を導波方向(又は伝播方向)ともいう。
図1で示した3次元構造Aにおいて、入力部106から光を入力すると、入力光は、導波路101を導波モード1で共振器103に向かって伝播する。
導波路101を伝播する光が該導波路101の端部10に到達すると、その導波モードパターンが乱される。導波モードパターンが乱されると、光の一部は導波路101を入力部106の方向に導波モード1で伝播する光と結合し、他の一部は共振器103にて局在モード1で存在する光と結合する。すなわち、導波路101を伝播する光の一部は、導波路101の端部10で反射される。このようにして導波路101の端部10で反射された光を、反射波(第1の光)107という。
反射波107の強度は、導波路101の端部10の形状、導波路101と共振器103との相対的な位置関係、及び共振器103の形状、媒質、位置を変えることで制御することができる。
入力部106から入力されて導波路101を伝播し、共振器103に存在する光と結合した光の一部は、再び導波路101を入力部106の方向へ伝播する光と結合し、導波路101を入力部106の方向に向かって伝播する。導波路101を入力部106の方向に向かって伝播する光を反射波(第2の光)108という。
また、入力部106から入力されて導波路101を伝播し、共振器103に存在する光と結合した光の一部は、導波路102を導波モード1で伝播する光と結合し、導波路102を接続領域105の方向に向かって伝播する。この接続領域105に向かって伝播する光は、接続領域105を経由して出力領域104を導波モード2で伝播する光と結合する。
導波路102を伝播する光の導波モード1と出力領域104を伝播する光の導波モード2とは互いに異なる導波モードであるため、接続領域105に到達した光の一部は、導波路102を共振器103の方向に伝播する光と結合する。すなわち、接続領域105に到達した光の一部は、接続領域105で反射される。
この反射された光は、導波路102を伝播し、導波路102の端部11における反射と導波路102の伝播と接続領域105における反射を繰り返す。導波路102の端部11及び接続領域105の間で反射を繰り返しながら伝播する光の一部は、共振器103にて存在する光と結合し、さらに導波路101を入力部106の方向に伝播する光と結合する。この入力部106の方向に伝播する光を反射波(第3の光)109という。
反射波107、反射波108及び反射波109は互いに干渉し、導波路101を入力部106の方向に伝播し、入力部106に戻る光となる。この光は、出力領域104に出力されず、損失となる。以下、入力部106から入力した光のうち、出力領域104に出力されずに入力部106に戻って損失となる光を、戻り光という。
このとき、反射波107,108,109の強度と位相を適切に制御することで、戻り光を抑制することができる。
結合定数比1を、1とは異なる値とし、反射波107と反射波108の強度を異なる値とする理由を以下に述べる。
結合定数比が1である場合、反射波107,108の強度が互いに等しくなる。このとき、反射波107,108,109の位相が適切に調整された状態で反射波107,108と反射波109とが干渉すると、反射波107,108は互いに干渉して打ち消し合うが、反射波109は残存する。この反射波109は戻り光となるため、戻り光を低減させることはできない。
一方、結合定数比を1よりも小さくすると、反射波107の強度は、反射波108の強度よりも高くなる。このとき、反射波107,108が互いに干渉すると、反射波107の一部が残存する。残存した反射波107の一部は反射波109と干渉し、これらは互いに打ち消し合う。その結果、戻り光が低減する。
また、結合定数比を1よりも大きくすると、反射波108の強度が、反射波107の強度よりも高くなる。このとき、反射波107,108が互いに干渉すると、反射波108の一部が残存する。残存した反射波108の一部は反射波109と干渉し、これらは互いに打ち消し合う。その結果、戻り光が低減する。
なお、結合定数比が1よりも大きい場合、共振器103に存在する光の強度が高くなるため、共振器103の形状、媒質及び位置の変化に対する反射波107,108,109の強度の変化が大きくなり、作製誤差の影響が大きくなる。このため、望ましくは、結合定数比が1よりも小さい値とするとよい。
以上のことから、結合定数比を1とは異なる値として適切な値に調整すると、反射波107,108,109の強度を適切に値にすることができ、戻り光を低減させることができる。
次に、反射波107,108,109の位相関係について説明する。前述したように結合定数比1が1よりも小さい場合は、反射波107の強度が反射波108の強度よりも高くなる。また、結合定数比が1よりも大きい場合は、反射波108の強度が反射波107の強度よりも高くなる。このとき、反射波107,108のうち強度が高い方の反射波と反射波109との位相差が、π/2+2πnから3π/2+2πn(nは整数)の範囲内となる条件で両反射波を干渉させると、戻り光の強度は低減する。さらに、反射波107,108,109の強度を適切に調整することで、干渉の効果が向上し、戻り光の強度を低減させることができる。したがって、反射波107,108のうち強度が高い方の反射波と反射波109との位相差をφとするとき、下記の式1の条件を満足することにより、戻り光を抑制(低減)することができる。
−1≦cos(φ) <0 (式1)
戻り光110の強度が低くなると、導波路102を接続領域105に向かって伝播する光の強度が増大し、その結果、出力領域104に出力される光の強度が高くなる。すなわち、導波路101を導波モード1で伝播する光と出力領域104を導波モード2で伝播する光との結合効率を向上させることができる。
反射波107の位相は、導波路101の端部11の形状によって制御することができる。また、反射波108の位相は、共振器103の形状、媒質、位置又は導波路101と共振器103との相対的な位置関係によって制御することができる。
反射波109の位相は、共振器103の形状、媒質及び位置や、導波路101又は102と共振器103との相対的な位置関係によって制御することができる。また、反射波109の位相は、導波路102の端部11の形状、導波路102を構成する媒質、導波路102の端部11と接続領域105との間の長さによっても制御することができる。
第1の結合定数、第2の結合定数及び結合定数比は、共振器103の形状、媒質及び位置や、共振器103と導波路101又は102との位置関係によって制御することができる。
なお、第1の結合定数及び第2の結合定数の値が小さい場合、導波路101,102を伝播する光や共振器103に存在する光と、放射モードで伝播する光との結合が大きくなり、損失が増大する。このため、第1及び第2の結合定数の値はそれぞれ大きい方が望ましい。
共振器103に存在する光のエネルギーのうち、単位時間あたりにおいて放射モードで伝播する光のエネルギーに変換される割合を、第3の結合定数という。第1及び第2の結合定数の値はそれぞれ、第3の結合定数の10倍以上の値であることが望ましい。
図2には、本発明の実施例2である3次元構造Bの概略構成を示している。図2の上段には3次元構造Bのxz断面を、下段にはyz断面をそれぞれ示している。
3次元構造Bは、フォトニック結晶200の内部に導波路(第1の導波路)201と導波路(第2の導波路)202と共振器203とを含む。
導波路201は、フォトニック結晶200の内部に線状欠陥部を設けることによって得られる。導波路201は、フォトニック結晶200の内部に端部24を有する。
導波路202は、フォトニック結晶200の内部に、導波路201と同じ線状欠陥部を設けることによって得られる。導波路202は、フォトニック結晶200の内部に端部25を有する。
共振器203は、導波路201と導波路202の間(端部24,25の間)に、点状欠陥部を設けることで形成されている。
3次元構造Bは、第1の領域である出力領域204を含む。出力領域204は、フォトニック結晶200の内部に形成された導波路205を含む領域である。導波路205は、フォトニック結晶200の内部に線状欠陥部を設けることによって得られる。
導波路202と導波路205は互いに異なる導波路構造を有し、接続領域(接続部)206で接続されている。
図3には、フォトニックバンドギャップを有するフォトニック結晶200の概略構造を示す。フォトニック結晶200は、xz平面を含む層2000〜2011の12層を基本周期として構成されている。
図4は、各層2000〜2011のxz断面(y軸方向視図)の一部を示している。柱状構造層としての第1層2000及び第7層2006ではそれぞれ、x軸方向(第1の方向)に延びる複数の柱状構造部(第1の構造体)2000a及び2006aが等間隔(周期)Pでz軸方向に配置されている。柱状構造部2000a及び2006aは、互いにz軸方向にP/2だけずれて配置されている。
また、柱状構造層としての第4層2003及び第10層2009ではそれぞれ、x軸方向に直交するz軸方向(第2の方向)に延びる複数の柱状構造部(第2の構造体)2003a及び2009aが等間隔(周期)Pでx軸方向に配置されている。柱状構造部2003a及び2009aは、互いにx軸方向にP/2だけずれて配置されている。
つまり、フォトニック結晶200は、x軸方向に延びる複数の柱状構造部を有する柱状構造層(第1層、第7層)と、z軸方向に延びる複数の柱状構造部を有する柱状構造層(第4層、第10層)とがy軸方向に交互に積層された基本構造を有する。
柱状構造層である第1層2000と第4層2003との間には、付加層としての第2層2001及び第3層2002が設けられている。第2層2001及び第3層2002ではそれぞれ、y軸方向視における第1層2000の柱状構造部2000aと第4層2003の柱状構造部2003aとの交点に相当する位置に配置された離散構造部(第3の構造体)2001a及び2002aを有する。言い換えれば、柱状構造部2000aと柱状構造部2003aとが立体的に交差する位置に離散構造部2001a及び2002aが設けられている。
離散構造部2001a及び2002aはそれぞれ矩形板形状を有し、第2層2001及び第3層2002におけるxz平面内で互いに接しないように離散的に配置されている。
なお、離散構造部2001a及び2002aは、一方をxz面内で90度回転させることで他方に重なる矩形板形状(対称性)を有している。
また、第4層と第7層の間、第7層と第10層の間及び第10層と次の基本周期における第1層の間にも、付加層としての第5層2004と第6層2006、第8層2007と第9層2008及び第11層2010と第12層2011がそれぞれ配置されている。これら第5層2004と第6層2006、第8層2007と第9層2008及び第11層2010と第12層2011も、第2層2001及び第3層2002と同様に構成されている。すなわち、互いに直交する方向に延びる柱状構造部を含む柱状構造層間のy軸方向視での柱状構造部の交点に相当する位置に、離散構造部2004a,2005a,2007a,2008a,2010a及び2011aが配置されている。
このようにフォトニック結晶200は、それぞれ第1の方向に延びる複数の第1の構造体が互いに間隔をあけて、第1の方向に直交する第2の方向に周期的に配置された第1層及び第3層を有する。また、それぞれ第2の方向に延びる複数の第2の構造体が互いに間隔をあけて第1の方向に周期的に配置された第2層及び第4層を有する。そして、フォトニック結晶200は、第1層から第4層が、該第1層から第4層の順に積層されて構成されている。
また、第1層に含まれる第1の構造体と第3層に含まれる第1の構造体とが第2の方向において半周期ずれて配置され、かつ第2層に含まれる第2の構造体と第4層に含まれる第2の構造体とが第1の方向において半周期ずれて配置されている。第1及び第2の構造体は第1の媒質により形成されている。
さらに、各層に平行な面内において第3の構造体が離散的に配置された少なくとも1つの層を含む付加層が、第1から第4層の間に挟まれている。第3の構造体は、第1の構造体と第2の構造体とが立体的に交差する位置に配置されている。第3の構造体は、第1及び第2の構造体と同じ第1の媒質により形成されている。第1、第2及び第3の構造体以外の部分は、第1の媒質よりも屈折率が低い第2の媒質(空気等)で形成されている。
各層の柱状構造部及び離散構造部は、隣接する層中の柱状構造部又は離散構造部と互いに接している。柱状構造部及び離散構造部の材料の屈折率、形状、間隔及び各層の厚さ等を適切に設定することにより、所望の周波数帯域(波長帯域)において広い完全フォトニックバンドギャップを得ることができる。
フォトニック結晶200の構造パラメータを表1に示す。面内格子周期は、図3に示した柱状構造部の間隔(周期)Pに相当する。また、面外格子周期は、複数層からなる基本周期をいい、フォトニック結晶200においては、12層2000〜2011の積層方向の長さに相当する。
表1に示す屈折率は、フォトニック結晶200の柱状構造部及び離散構造部を構成する媒質(第1の媒質)の屈折率を示す。フォトニック結晶200における柱状構造部及び離散構造部以外の部分の媒質(第2の媒質)は空気であり、屈折率は1.0である。
また、離散構造幅は、図3に示した各離散構造部の層内における長さ(幅)を示し、表1及び図2中に、Dw1,Dw2と記す。
さらに、離散構造高さとは、各離散構造部の積層方向(y軸方向)の長さ(厚さ)を示し、表1及び図3にDhと記す。
図5は、フォトニック結晶200のフォトニックバンドギャップを平面波展開法にて計算した結果を示すグラフである。グラフの横軸は波数ベクトル、すなわちフォトニック結晶200に入射する電磁波の入射方向を表している。
例えば、K点はx軸(又はz軸)に平行な波数ベクトルを、X点はxz平面内においてx軸(又はz軸)に対して45°の傾きを持った波数ベクトルを表している。グラフの縦軸は、格子周期で規格化した周波数(規格化周波数)を示している。図5において網掛けで示された周波数帯域においては、光の入射方向によらず光が存在できない完全フォトニックバンドギャップが形成されている。
このようなフォトニック結晶200の内部に周期を乱す欠陥部を設けると、完全フォトニックバンドギャップ内の周波数を有する欠陥モードの光が生成される。この欠陥モードは、欠陥部の形状や媒質によって、周波数(波長)及び波数ベクトルが決まるモードである。このとき、線状欠陥部を設けると、線状欠陥部が延びる方向には波数ベクトルの大きさが制限されないため、欠陥モードは、線状欠陥部が延びる方向に光が伝播する導波モードとなる。
導波路201,202は、図6A〜図6Cに示すように、フォトニック結晶200の内部に線状欠陥部20,21を設けることで形成される。図6Aは導波路201,202のxy断面を、図6B及び図6Cはそれぞれ、第1層2000及び第4層2003のxz断面をそれぞれ示す。
導波路201,202は、図3に示したフォトニック結晶200の第1層2000の内部に形成された第1の線状欠陥部20を有する。第1の線状欠陥部20は、第1層2000に含まれるx軸方向に延びる複数の柱状構造部2000aをz軸方向に横切るように形成されている。なお、第1の線状欠陥部20は、第1の媒質の屈折率以上の屈折率を有する媒質によって形成されればよい。
また、導波路201,202は、第1の線状欠陥部20を含む柱状構造層(第1層2000)とは異なる柱状構造層(第4層2003)において、z軸方向に延びる柱状構造部2003aの一部を変形させることで形成された第2の線状欠陥部21を有する。言い換えれば、第4層2003に含まれる複数の柱状構造部2003aのうち2つの柱状構造部2003aの間に第2の線状欠陥部21が形成されている。なお、第2の線状欠陥部21を、第1の媒質とは異なる媒質によって形成してもよい。
表2には、導波路201,202の構造パラメータ(数値例)を示す。本数値例では、第1の線状欠陥部20の欠陥部幅20wを0.60Pとし、また柱状構造部をその幅21wが0.00Pとなるように変形して第2の線状欠陥部21を構成している。
欠陥部幅20w,21wは、第1及び第2の線状欠陥部20,21のx軸方向での寸法である。また、欠陥部高さ20h,21hは、第1及び第2の線状欠陥部20,21の積層方向(y軸方向)での長さ(厚さ)である。さらに、欠陥部屈折率20nは、各線状欠陥部を構成する媒質の屈折率である。
なお、座標の原点は、図6Aのxz断面における第1の線状欠陥部20の中心である。
図7は、導波路201,202について、転送行列法(TMM)を用いて導波モードを計算した結果を示すグラフである。図7のグラフの横軸は、格子周期Pで規格化した波数ベクトルの導波方向(z軸方向)成分の大きさを表しており、グラフの縦軸は、格子周期Pで規格化した周波数(規格化周波数)を示している。また、領域αで示した周波数帯域は、完全フォトニックバンドギャップ以外の周波数帯域を示しており、領域βで示した周波数帯域は、完全フォトニックバンドギャップ内において欠陥部に起因した単一の導波モードが存在する周波数帯域を示している。
図7に示すように、導波路201,202は、0.480から0.498の規格化周波数の帯域において、単一の導波モード(導波モード1)の光が存在(伝播)する導波路である。
図8Aは出力領域204に設けられた導波路205のxy断面を、図8Bは導波路205(第1層2000)のxz断面をそれぞれ示す。また、表3には、導波路205の構造パラメータ(数値例)を示す。
導波路205は、図3に示すフォトニック結晶200の内部にz軸方向に延びる線状欠陥部22により構成されている。線状欠陥部22は、1.00Pの欠陥部幅(x軸方向の長さ)22wを有し、1.05Pの欠陥部高さ(y軸方向の長さ)22hを有する。線状欠陥部22は、フォトニック結晶200に含まれる柱状構造部を形成する第1の媒質と同じ屈折率(欠陥部屈折率)22nを有する媒質(第2の媒質より屈折率が高い媒質)で形成されている。線状欠陥部22における該線状欠陥部22が延びる方向に直交する断面における中心座標(x,y)は、(0.00P,0.00P)である。
なお、座標の原点は、図8Aのxy断面における線状欠陥部22の中心とする。

図9は、導波路205について、転送行列法を用いて導波モードを計算した結果を示すグラフである。図9のグラフの横軸は、格子周期Pで規格化した波数ベクトルの導波方向(z軸方向)成分の大きさを表しており、グラフの縦軸は格子周期Pで規格化した周波数(規格化周波数)を示している。また、領域αで示した周波数帯域は、完全フォトニックバンドギャップ以外の周波数帯域を示しており、領域βで示した周波数帯域は、完全フォトニックバンドギャップ内において欠陥部に起因した導波モードが存在する周波数帯域を示している。
図9に示すように、導波路205は、完全フォトニックバンドギャップ内に含まれる周波数帯域において、複数の導波モードが存在する導波路である。また、図7と図9を比べると、導波路201と導波路206の分散形状が大きく異なっていることが分かる。
導波路201と導波路205は、完全フォトニックバンドギャップ内において、互いに異なる導波モードを有している。
3次元構造Bにおいて、導波路202と導波路205は、接続領域206において互いに接続されている。導波路202を構成する線状欠陥部20の該線状欠陥部20が延びる方向に直交する断面における中心座標は、導波路205を構成する線状欠陥部22の該線状欠陥部22が延びる方向に直交する断面における中心座標に一致する。
共振器203は、図3に示すフォトニック結晶200の内部におけるz軸方向に延びる柱状構造部を含む層に点状欠陥部23を設けることで形成されている。共振器203は、フォトニック結晶200の内部に点状欠陥部23を設けることで形成される。図10A及び図10Bに、共振器203の概略構造を示す。図10Aは、共振器203のxy断面を、図10B及び図10Cは、共振器203のxz断面図である。
点状欠陥部23は、x軸方向に1.20Pの欠陥部幅23wを有し、z軸方向に0.40Pの欠陥部幅23dを有する。また、点状欠陥部23は、積層方向(y軸方向)に0.45Pの欠陥部高さ23hを有する。点状欠陥部23は、該点状欠陥部23が設けられた層に含まれる柱状構造部を構成する媒質と同じ屈折率(欠陥部屈折率)23nを有する媒質で形成されている。共振器203の構造パラメータを表4に示す。
なお、座標の原点は、図10Aに示すxy断面において、点状欠陥部23を含む層に隣接する層内に位置し、点状欠陥部23に接する柱状構造部の中心とする。
図11は、共振器203にz軸と平行な方向から平面波を入射させたときの透過スペクトルを転送行列法にて計算した結果を示すグラフである。図11の横軸は規格化周波数を示し、縦軸は透過係数を示している。図11に示すように、共振器203は、規格化周波数0.4947にて局在モードを有している。
3次元構造Bには、入力部207から規格化周波数0.4947の光が入力される。図7及び図9より、規格化周波数0.4947の光は、導波路201及び導波路205をそれぞれに固有の導波モードで伝播することができる。導波路201では、規格化周波数0.4947の光は、単一の導波モードで伝播する。このとき、導波路201を光が伝播する導波モードの波数ベクトルについて、線状欠陥部が延びる方向に平行な方向での大きさは、0.360である。
図2において、入力部207から入力された光は、導波路201を導波モード1で伝播する。実施例1で述べたように、導波路201を導波モード1で伝播する光が、導波路201の端部24に到達すると、導波路201を導波モード1で伝播する光の導波モードパターンが乱される。この導波モードパターンの乱れにより、光の一部は導波路201を入力部207の方向に導波モード1で伝播する光と結合し、他の一部は共振器203に局在モード1で存在する光と結合する。すなわち、導波路201を伝播する光の一部は、導波路201の端部24で反射される。導波路201の端部24で反射された光を反射波(第1の光)208という。
反射波208の強度は、導波路201の端部24の形状、導波路201と共振器203との相対的な位置関係及び共振器203の形状、媒質、位置を変えることで制御することができる。
入力部207から入力されて導波路201を伝播し、共振器203に存在する光と結合した光の一部は、再び導波路201を入力部207の方向に伝播する光と結合し、導波路201を入力部207の方向に向かって伝播する。導波路201を入力部207の方向に向かって伝播する光を反射波(第2の光)209という。
また、入力部207から入力されて導波路201を伝播し、共振器203に存在する光と結合した光の一部は、導波路202を導波モード1で伝播する光と結合し、導波路202を接続領域206の方向に向かって伝播する。接続領域206に向かって伝播する光は、接続領域206を経由し、出力領域204を導波モード2で伝播する光と結合する。
導波路202を伝播する光の導波モード1と出力領域204を伝播する光の導波モード2とは互いに異なる導波モードであるため、接続領域206に到達した光の一部は、導波路202を共振器203の方向に伝播する光と結合する。すなわち、接続領域206に到達した光の一部は、接続領域206で反射される。
この反射された光は、導波路202を伝播し、導波路202の端部25における反射と導波路202の伝播と接続領域206における反射とを繰り返す。導波路202の端部25及び接続領域206の間で反射を繰り返しながら伝播する光の一部は、共振器203に存在する光と結合し、さらに導波路201を入力部207の方向に伝播する光と結合する。この入力部207の方向に伝播する光を、反射波(第3の光)210という。
反射波208,209,210は互いに干渉し、導波路201を入力部207の方向に伝播し、入力部207に戻る光となる。この光は、出力領域204には出力されず、入力部207に戻って損失となる。以下、入力部207から入力した光のうち出力領域204に出力されずに入力部207に戻って損失となる光を、戻り光という。
共振器203に存在する光と導波路201を伝播する光との結合定数を第1の結合定数とし、共振器203に存在する光と導波路202を伝播する光との結合定数を第2の結合定数とする。また、第1の結合定数と第2の結合定数との比、すなわち第1の結合定数を第2の結合定数で除した値を、結合定数比という。
実施例1で述べたように、反射波208,209,210のそれぞれの位相を制御することで、これらは互いに干渉して打ち消し合うので、戻り光を抑制することができる。本実施例では例として、導波路202の端部25と接続領域206との間の長さL21(図2参照)を制御することで、反射波210の位相を制御し、戻り光の強度を低減できることを示す。
図12は、3次元構造Bにおいて、導波路202の端部25と接続領域206との間の長さL21を変化させたときの戻り光の強度を、転送行列法を用いて計算した結果を示すグラフである。図12のグラフの横軸は、導波路202の端部25と接続領域206との間の長さを格子周期Pで規格化した長さL21の値を表している。また、該グラフの縦軸は、入力光の強度を1としたときの戻り光の強度を示している。
ここでは、共振器203を構成する点状欠陥部23の中心と導波路201の端部24との間のz軸方向の長さを1.1Pとし、点状欠陥部23の中心と導波路202の端部25との間のz軸方向の長さを1.0Pとしている。
図12において、破線は共振器203を設けずに導波路201と出力領域204とを接続した場合の戻り光の強度を示している。共振器203を設けない場合は、破線で示したように、入力光のうち13.33%の強度の光が接続領域206で反射されて損失となる。
一方、共振器203を設けた場合は、戻り光の強度は、導波路202の端部25と接続領域206との間の長さL21を制御することで、破線で示した強度よりも低減されることが分かる。すなわち、導波路202の端部25と接続領域206との間の長さを制御して反射波210の位相を制御することで、共振器203を設けない場合よりも戻り光を低減させることができる。
さらに、実施例1で述べたように、結合定数比を1とは異なる適切な値にすることで、戻り光の強度を低減させることができる。本実施例では、例として、結合定数比が1よりも小さい場合を示している。
図13は、3次元構造Bにおいて、導波路201の端部24の位置をz軸方向に変化させたときの戻り光の強度を、転送行列法を用いて計算した結果を示すグラフである。グラフの横軸は、導波路201における端部24の位置の変化量を、格子周期Pで規格化した量Δzを表しており、グラフの縦軸は、入力光の強度を1としたときの戻り光の強度を示している。ここでは、共振器203を構成する点状欠陥部23の中心と導波路202の端部25との間のz軸方向での距離を1.0Pとし、導波路202の端部25と接続領域206との間の長さL21を11.0Pとしている。
導波路201の端部24の位置を+z方向に変化させると、共振器203に存在する光と導波路201を伝播する光との結合が強くなるため、第1の結合定数の値が大きくなり、結合定数比の値も大きくなる。一方、導波路201の端部24の位置を−z方向に変化させると、共振器203に存在する光と導波路201を伝播する光との結合が弱くなるため、第1の結合定数の値が小さくなり、結合定数比の値も小さくなる。
導波路201の端部24の位置を動かさないときは、第1の結合定数と第2の結合定数が等しいときを示し、結合定数比は1である。
また、図13において、破線は、共振器203を設けずに導波路201と出力領域204とを接続した場合の戻り光の強度を示している。共振器203を設けない場合は、破線で示すように、入力光のうち13.33%の強度の光が接続領域206で反射されて損失となる。
一方、導波路201の端部24の位置を−z方向に変化させ、共振器203の点状欠陥部23の中心と端部24とを結ぶz軸方向の長さを変化させると、戻り光の強度は、破線で示した強度よりも低減していることが分かる。すなわち、第1の結合定数の値を変化させて結合定数比を1とは異なる値にすることで、共振器203を設けない場合よりも戻り光を低減させることができる。
また、導波路201の端部24の位置を調整して結合定数比の値を適切な値にすることで、戻り光の強度を大幅に低減することができる。
以上のように、本実施例では、共振器203を、導波路201及び導波路202の近傍において、共振器203に存在する光が導波路201を伝播する光及び導波路202を伝播する光と結合する位置に設ける。そして、導波路202の端部25と接続領域206との間の長さを調整し、反射波210の位相を制御することで、戻り光の強度を低減させることができる。
また、導波路201の端部24の位置を制御することによって、第1の結合定数の値を調整し、結合定数比を1とは異なる値とすることで、戻り光の強度を低減させることができる。
戻り光の強度が低減されると、導波路202を接続領域206に向かって伝播する光の強度が増大し、その結果、出力領域204に出力される光の強度は高くなる。すなわち、導波路201を導波モード1で伝播する光と、出力領域204を導波モード2で伝播する光との結合効率を向上させることができる。
次に、3次元構造Bにおいて、出力領域が出力領域204とは異なる構造を有する場合においても、導波路201の近傍に共振器203を設けることによって戻り光を抑制できることを示す。
図14に、本発明の実施例3としての、反射抑制構造を含む3次元構造Cの概略構成を示している。図2の上段には3次元構造Cのxz断面を、下段にはyz断面をそれぞれ示している。
図14に示した3次元構造Cは、フォトニック結晶200の内部に導波路201と導波路202と共振器203を含む。フォトニック結晶200、導波路201、導波路202及び共振器203はそれぞれ、図3、図6A〜6C及び図10A,図10Bに示したものを使用している。
さらに、本実施例の3次元構造Cは、出力領域212を含む。出力領域212は、フォトニック結晶200の内部に形成された導波路213を含む領域である。また、出力領域212は、空間的に一様な媒質で形成された領域214を含む。
出力領域212に含まれる導波路213と領域214とは互いに接続されている。導波路202と出力領域212に含まれる導波路213とは互いに異なる構造を有しており、接続領域215で接続されている。
出力領域212に含まれる導波路213は、フォトニック結晶200の内部にテーパー形状を有する線状欠陥部26を形成することで設けられる。
図15A〜図15Cには、導波路213の概略構造を示す。図15A及び図15Bは、導波路213のxy断面を示す。図15Cは、導波路213(第1層2000)のxz断面を示す。導波路213の構造パラメータを表5に示す。
導波路213を構成する線状欠陥部26は、図14で示した断面AA′(xy面)内において、0.60Pの欠陥部幅(x軸方向の長さ)26w1を有し、0.25Pの欠陥部高さ(y軸方向長さ)26h1を有する。また、線状欠陥部26は、断面BB′(xy面)内において、2.00Pの欠陥部幅26w2を有し、2.35Pの欠陥部高さ26h2を有する。断面AA′と断面BB′の間のz軸方向の長さ(欠陥部長さ)は、9.00Pである。
線状欠陥部26は、図14において、断面AA′で示した位置から断面BB′で示した位置の間で、xy面内における幅と厚さが徐々に変化するテーパー形状を有する。また、線状欠陥部26は、フォトニック結晶200に含まれる柱状構造部を形成する媒質と同じ屈折率(欠陥部屈折率)26nを有する媒質で形成されている。線状欠陥部26の該線状欠陥部26が延びる方向に直交する断面における中心座標(x,y)は、(0.00P,0.00P)である。
なお、座標の原点は図15Bに示すxy断面において、線状欠陥部26の中心とする。
また、本実施例においては、出力領域212に含まれる空間的に一様な媒質で形成された領域214は、空気で形成された領域である。
導波路201は、導波路213に対して断面AA′の位置で接続されている。導波路201を構成する線状欠陥部20の該線状欠陥部20が延びる方向に直交する断面における中心座標は、導波路213を構成する線状欠陥部26の該線状線状欠陥部26が延びる方向に直交する断面における中心座標に一致している。また、領域214は、導波路213に対して断面BB′の位置で接続されている。
導波路201と導波路213を接続すると、導波路201を導波モード1で伝播する光の一部は、導波路213を導波モード2で伝播する光と結合して導波路213を伝播する。導波路213を導波モード2で伝播する光は、導波路213と接続された領域214を導波モード3で伝播する光と結合して領域214に射出される。
導波路213を伝播する光の導波モードパターンは、断面AA′から断面BB′の方向に伝播するにつれて拡大され、光は該パターンの大きさに応じた広がり角度で領域214に射出される。
テーパー形状を有する線状欠陥部26を適切に設計することで、所望の広がり角度と強度分布を有する光を領域214に射出することができる。このようなテーパー形状の線状欠陥部26を有する構造を、フォトニック結晶200の導波路202の端部に設けることで、射出パターンが制御された発光素子を得ることができる。また、フォトニック結晶の導波モードパターンを、ファイバや細線導波路等のモードパターンに近づけて射出することで、結合効率を向上させることもできる。
このような射出パターンを制御する構造をフォトニック結晶中の導波路の端部に設けると、導波路と射出パターン制御構造との接続領域において反射波が発生する。しかし、本実施例のように、導波路の近傍に共振器を適切に配置することによって、このような反射による損失を抑制することができる。そして、反射による損失を抑制することで、導波路201を導波モード1で伝播する光と、導波路213を導波モード2で伝播する光との結合効率を向上させることができる。
本実施例では、3次元構造Cに、入力部207から規格化周波数0.4947の光を入力させる。以下、入力部207から入力されて導波路201を伝播する光のうち、出力領域212に出力されずに入力部207に戻って損失となる光を、戻り光という。
図16は、3次元構造Cにおいて、導波路202の端部25と接続領域206との間の長さL21(図14参照)を変化させたときの戻り光の強度を、転送行列法を用いて計算した結果を示すグラフである。
ここでは、共振器203を構成する点状欠陥部23の中心と導波路201の端部24との間を結ぶz軸方向の長さを1.15Pとし、共振器203を構成する点状欠陥部23の中心と導波路202の端部25との間を結ぶz軸方向の長さを1.00Pとする。図16のグラフの横軸は、導波路202の端部25と接続領域214との間の長さを格子周期Pで規格化した長さL21の値を表しており、グラフの縦軸は、入力光の強度を1としたときの戻り光の強度を示している。また、図16において、破線は、共振器203を設けずに導波路201と出力領域212とを接続した場合の戻り光の強度を示している。
共振器203を設けない場合は、破線で示したように、入力光のうち35.37%の強度の光が接続領域215で反射されて損失となる。
一方、共振器203を設けた場合の戻り光の強度は、導波路202の端部25と接続領域215との間の長さL21を制御することで、破線で示した強度よりも低減することが分かる。すなわち、導波路202の端部25と接続領域215との間の長さを制御して、反射波210の位相を制御することで、共振器203を設けない場合よりも戻り光を低減させることができる。
さらに、実施例1で述べたように、結合定数比を1とは異なる適切な値にすることで、戻り光の強度を低減させることができる。
図17は、3次元構造Cにおいて、導波路201の端部24の位置をz軸方向に変化させたときの戻り光の強度を転送行列法を用いて計算した結果を示すグラフである。
ここでは、共振器203を構成する点状欠陥部23の中心と導波路202の端部25との間を結ぶz軸方向の長さを1.0Pとし、導波路202の端部25と接続領域206との間の長さL21を11.0Pとしている。導波路201の端部24の位置を+z方向に変化させると、共振器203に存在する光と導波路201を伝播する光との結合が強くなるため、第1の結合定数の値が大きくなり、結合定数比の値も大きくなる。一方、導波路201の端部24の位置を−z方向に変化させると、共振器203に存在する光と導波路201を伝播する光との結合が弱くなるため、第1の結合定数の値が小さくなり、結合定数比の値も小さくなる。
導波路201の端部24の位置を動かさないときは、第1の結合定数と第2の結合定数が等しいときを示し、結合定数比は1である。図17のグラフの横軸は、導波路201の端部24の位置の変化量を格子周期Pで規格化した長さΔzの値を表しており、グラフの縦軸は、入力光の強度を1としたときの戻り光の強度を示している。また、図17において、破線は、共振器203を設けずに導波路201と出力領域212とを接続した場合の戻り光の強度を示している。
共振器203を設けない場合は、入力光のうち35.37%の強度の光が接続領域215で反射され、損失となる。
図17において、戻り光の強度は、導波路201の端部24の位置を−z方向に変化させたときに、破線で示した強度よりも低減していることが分かる。すなわち、第1の結合定数の値を変化させて結合定数比を1とは異なる値にすることで、共振器203を設けない場合よりも戻り光を低減させることができる。
また、導波路201の端部24の位置を調整して結合定数比の値を適切な値にすることで、戻り光の強度を大幅に低減することができる。
以上のように、共振器203を、導波路201の近傍であって、共振器203に存在する光が導波路201を伝播する光及び導波路202を伝播する光と結合する位置に設ける。そして、導波路202の端部25と接続領域206との間の長さを調整し、反射波210の位相を制御することで、戻り光の強度を低減することができる。また、導波路201の端部24の位置を調整することで、第1の結合定数の値を調整し、結合定数比の値を1とは異なる値とすることで、戻り光の強度を低減させることができる。
戻り光の強度が低減すると、導波路202を接続領域215に向かって伝播する光の強度が増大し、その結果、出力領域212に出力される光の強度は高くなる。すなわち、導波路201を導波モード1で伝播する光と出力領域212を導波モード2で伝播する光との結合効率を向上させることができる。
このように、3次元構造の出力領域に含まれる構造は、フォトニック結晶中に線状欠陥部を設けることで形成された導波路とは異なる構造でもよく、フォトニック結晶中にテーパー形状の線状欠陥部を設けた構造でもよい。また、出力領域に含まれる構造は、入力部から接続領域に延びる導波路とは異なる方向に延びる線状欠陥部をフォトニック結晶中に形成することで設けた導波路でもよい。さらに、出力領域に含まれる構造は、3次元構造を有さなくてもよく、空気等の媒質を空間的に一様に設けてもよい。また、出力領域に含まれる構造は、細線導波路やプレーナー導波路を含んでもよい。
出力領域に設けた構造に応じて、3次元構造中に設けた共振器及び導波路を適切に設計することで、戻り光を抑制することができる。そして、戻り光を抑制し、出力領域に出力される光の強度を増大させることで、導波路を伝播する光と出力領域を伝播する光との結合効率を向上させることができる。
実施例1〜3では、共振器を1つ設けた場合について説明したが、共振器を複数設けてもよい。これにより、戻り光の強度をさらに低減させることができる。
図18には、本発明の実施例4である3次元構造Dの概略構成を示している。図18の上段には3次元構造Dのxz断面を、下段にはyz断面をそれぞれ示している。
3次元構造Dは、実施例3で説明した3次元構造Cに共振器203をもう1つ追加した構造に相当する。
3次元構造Dは、フォトニック結晶200の内部に導波路201と導波路202と導波路217と共振器203Aと共振器203Bを含む。導波路217は、実施例3の導波路201及び導波路202と同じ構造を有する。また、共振器203A,203Bは、実施例3の共振器203と同じ構造を有する。
3次元構造Dは、出力領域212を含む。出力領域212は、実施例3にて図15及び表5により示したものを使用している。
導波路201は、入力部207及び端部27を有し、導波路202は端部28及び端部29を有する。導波路217は端部30を有し、該端部30とは反対側の端部で接続領域215と接続されている。また、導波路201の端部27と導波路202の端部28との間には共振器203Aが、導波路202の端部29と導波路217の端部30の間には共振器203Bがそれぞれ設けられている。
共振器203Aは、該共振器203Aに存在する光のうち少なくとも一部の光が導波路201及び導波路202を伝播する光と結合するように配置されている。また、共振器203Bは、該共振器203Bに存在する光のうち少なくとも一部の光が導波路202及び導波路217を伝播する光と結合するように配置されている。
本実施例では、3次元構造Dに、入力部207から規格化周波数0.4947の光を入力させる。以下、入力部207から入力されて導波路201を伝播する光のうち、出力領域212に出力されずに入力部207に戻って損失となる光を、戻り光という。
図19は、3次元構造Dにおいて、入力部207から光を入力した場合の戻り光の強度を転送行列法を用いて計算した結果を示すグラフである。ここでは、導波路217の端部30と接続領域203との間の導波路217の長さを11.0Pとし、導波路202の端部28と端部29との間の導波路202の長さを11.0Pとしている。この値は、上述した実施例より、戻り光を低減することができる位相の条件である。
また、本実施例でも、導波路201の端部27と共振器203Aとの間のz軸方向の長さを1.15Pとし、導波路202の端部28と共振器203Aとの間のz軸方向の長さを1.00Pとしている。また、導波路202の端部29と共振器203Bとの間のz軸方向の長さを1.15Pとし、導波路217の端部30と共振器203Bとの間のz軸方向の長さを1.00Pとしている。
図19のグラフは共振器の個数(横軸)と戻り光の強度(縦軸)との関係を示している。図19において、破線は共振器を設けないときの戻り光の強度を示している。
図19において、共振器の個数が1つの場合よりも共振器の個数が2つの場合の方が戻り光の強度がさらに低減している。つまり、複数の共振器を用いることで、戻り光の強度をさらに低減させることができる。複数の共振器を設けることで、共振器の形状、共振器を構成する媒質の屈折率、及び共振器と導波路の端部との位置関係の変化に対する戻り光強度の変化を少なくすることができる。すなわち、反射抑制構造を含む3次元構造の作製において、複数の共振器を設けることで、作製誤差の影響が小さくなり、作製を容易にすることができる。
以上説明したように、実施例2〜4では、3次元構造内の導波路の近傍に1又は複数の共振器を設けて導波路を伝播する光の位相を制御することで、互いに異なる導波モードで光を伝播する構造間の接続領域において発生する反射波を抑制する。これにより、該構造間での光の結合効率を向上させることができる。
また、該実施例では、共振器に存在する光と導波路を伝播する光との結合定数(第1及び第2の結合定数のうち少なくとも一方)を制御することで、互いに異なる導波モードで光を伝播する構造間の接続領域において発生する反射波を抑制する。これにより、互いに異なる導波モードで光を伝播する構造間での光の結合効率を向上させることができる。
さらに、該実施例では、共振器と接続領域との間に位置する導波路の長さを変化させることで伝播光の位相を制御し、かつ共振器と導波路の端部との間の距離を変化させて共振器に存在する光と導波路を伝播する光との結合定数を制御する。これにより、反射波を抑制して光の結合効率を向上させることができる。
なお、フォトニック結晶中に設けた導波路は、実施例2〜4にて説明したものに制限されない。例えば、フォトニック結晶を構成する柱状構造部の1つを、柱状構造部を構成する媒質よりも低い屈折率を有する媒質で形成し、線状欠陥部とすることで形成した導波路でもよい。
また、伝播光の位相を制御する手段は上述したものに限定されるものではなく、共振器の形状を変化させることで位相を制御してもよい。また、共振器を構成する媒質を変化させて位相を制御してもよい。さらに、共振器と接続領域との間に配置した導波路の長さと共振器の形状又は媒質をともに変化させて位相を制御してもよい。
また、結合定数比を制御する手段は、入力部と共振器との間に設けられる導波路の端部と共振器との位置関係を変える以外の手段であってもよい。例えば、共振器の形状や共振器を構成する媒質又は共振器と接続領域の間に位置する導波路の端部と共振器との位置関係を変えることで結合定数比を制御してもよい。
図20には、本発明の実施例5である3次元構造Eの概略構成を示す。図20の上段には3次元構造Eのxz断面を、下段にはyz断面をそれぞれ示している。
本実施例では、フォトニック結晶として実施例2〜4で説明したフォトニック結晶200とは異なる構造を有するものを用いている。
3次元構造Eは、フォトニック結晶300の内部に、導波路(第1の導波路)301と導波路(第2の導波路)302と共振器303とを含む。
導波路301は、フォトニック結晶300の内部に線状欠陥部を設けることによって得られる。導波路301は、フォトニック結晶300の内部に端部34を有する。導波路302は、フォトニック結晶300の内部に導波路301と同じ線状欠陥部を設けることによって得られる。導波路302は、フォトニック結晶300の内部に端部35を有する。導波路301及び導波路302を伝播する光は同じ導波モードを有する。
共振器303は、導波路301と導波路302の間に配置され、点状欠陥部を設けることで形成されている。
さらに、3次元構造Eは、第1の領域である出力領域304を含む。出力領域304は、フォトニック結晶300の内部に導波路305を含んで構成されている。導波路305は、フォトニック結晶300の内部に線状欠陥部を設けることによって得られる。導波路302と導波路305は互いに異なる導波路構造を有し、接続領域306で接続されている。
完全フォトニックバンドギャップを有するフォトニック結晶300の概略構成を図21に示す。フォトニック結晶300は、xz平面を含む層3000〜3003の4層を基本周期として構成されている。
図22には、各層3000〜3003のxz断面の一部を示している。第1層3000及び第3層3002はそれぞれ、x軸方向(第1の方向)に延びる複数の柱状構造部(第1の構造体)3000a,3002aが等間隔(周期)Pでz軸方向(第2の方向)に配置されて構成されている。第1層3000の柱状構造部3000aと第3層3002の柱状構造部3002aは互いにz軸方向にP/2だけずれた位置に配置されている。
また、第2の層3001及び第4の層3003はそれぞれ、z軸方向に延びる複数の柱状構造部3001a,3003aが等間隔(周期)Pでx軸方向に配置されて構成されている。第2の層3001の柱状構造部3001aと第4の層3003の3003aは互いにx軸方向にP/2だれずれた位置に配置されている。
このようにフォトニック結晶300は、それぞれ第1の方向に延びる複数の第1の構造体が互いに間隔をあけて、第1の方向に直交する第2の方向に周期的に配置された第1層及び第3層を有する。また、それぞれ第2の方向に延びる複数の第2の構造体が互いに間隔をあけて第1の方向に周期的に配置された第2層及び第4層を有する。そして、フォトニック結晶300は、第1層から第4層が、該第1層から第4層の順に積層されて構成されている。
また、第1層に含まれる第1の構造体と第3層に含まれる第1の構造体とが第2の方向において半周期ずれて配置され、かつ第2層に含まれる第2の構造体と第4層に含まれる第2の構造体とが第1の方向において半周期ずれて配置されている。
柱状構造部の材料の屈折率、柱状構造部の形状、間隔及び各層の厚さ等を適切に設定することにより、所望の周波数帯域(波長帯域)において完全フォトニックバンドギャップを得ることができる。
フォトニック結晶300の構造パラメータを表6に示す。面内格子周期は、図22に示した柱状構造部の間隔(周期)Pに相当する。また、面外格子周期は、複数層からなる基本周期をいい、例えばフォトニック結晶300においては4層3000〜3003の積層方向の長さをいう。また、屈折率は、フォトニック結晶300の柱状構造部を構成する媒質(第1の媒質)の屈折率を表わしている。フォトニック結晶300における柱状構造部以外(第1及び第2の構造体以外)の部分の媒質(第2の媒質)は空気であり、屈折率は1.0である。
また、離散構造幅は、図3に示した各離散構造部の層内における長さ(幅)を示し、離散構造高さは、各離散構造部の積層方向(y軸方向)の長さ(厚さ)を示す。
図23は、フォトニック結晶300のフォトニックバンドギャップを平面波展開法にて計算した結果を示すグラフである。
グラフの横軸は、波数ベクトル、すなわちフォトニック結晶300に入射する電磁波の入射方向を表している。グラフの縦軸は、格子周期で規格化した周波数(規格化周波数)を示している。図23において網掛けで示された周波数帯域においては、光の入射方向によらず、光が存在できない完全フォトニックバンドギャップが形成されている。
このようなフォトニック結晶300の内部に周期を乱す欠陥部を設けると、完全フォトニックバンドギャップ内の周波数を有する欠陥モードの光が生成される。この欠陥モードは、欠陥部の形状や媒質によって、周波数(波長)及び波数ベクトルが決まるモードである。このとき、線状欠陥部を設けると、線状欠陥部が延びる方向には波数ベクトルの大きさが制限されないため、欠陥モードは、線状の欠陥部が延びる方向に光が伝播するモードとなる。
導波路301及び導波路302は、フォトニック結晶300の内部に線状欠陥部30,31を設けることで形成される。図24A〜図24Cに、導波路301及び導波路302の概略構成を示す。図24Aは導波路301,302のxy断面を、図24B及び図24Cはそれぞれ、第1層3000及び第2層3001のxz断面をそれぞれ示す。
導波路301,302は、図21に示したフォトニック結晶300の第1層3000の内部に形成さたれ第1の線状欠陥部30を有する。第1の線状欠陥部30は、第1層3000に含まれるx軸方向に延びる複数の柱状構造部3000aをz軸方向に横切るように形成されている。なお、第1の線状欠陥部30は、第1の媒質の屈折率以上の屈折率を有する媒質によって形成されればよい。
また、導波路301,302は、第1の線状欠陥部30を含む柱状構造層(第1層3000)とは異なる柱状構造層(第2層3001)において、z軸方向に延びる柱状構造部3001aの一部を変形させることで形成された第2の線状欠陥部31を有する。言い換えれば、第2層3001に含まれる複数の柱状構造部3001aのうち2つの柱状構造部3001aの間に第2の線状欠陥部31が形成されている。なお、第2の線状欠陥部31を、第1の媒質とは異なる媒質によって形成してもよい。
表7には、導波路301,302の構造パラメータ(数値例)を示す。本数値例では、第1の線状欠陥部30の欠陥部幅30wを0.45Pとし、また柱状構造部をその幅31wが0.05Pとなるように変形して第2の線状欠陥部31を構成している。
欠陥部幅30w,31wは、第1及び第2の線状欠陥部30,31のx軸方向での寸法である。また、欠陥部高さ30h,31hは、第1及び第2の線状欠陥部30,31の積層方向(y軸方向)での長さ(厚さ)である。さらに、欠陥部屈折率30nは、各線状欠陥部を構成する媒質の屈折率である。
なお、座標の原点は、図24Aのxz断面における第1の線状欠陥部30の中心である。
図25は、導波路301,302について転送行列法を用いて導波モードを計算した結果を示すグラフである。図25のグラフの横軸は、格子周期Pで規格化した波数ベクトルの導波方向(z軸方向)成分の大きさを表しており、グラフの縦軸は、格子周期Pで規格化した周波数(規格化周波数)を示している。また、領域αで示した周波数帯域は、完全フォトニックバンドギャップ以外の周波数帯域を示している。領域βで示した周波数帯域は、完全フォトニックバンドギャップ内において欠陥部に起因した単一の導波モードが存在する周波数帯域を示している。
図25に示すように、導波路301,302は、0.435から0.472の規格化周波数帯域において、単一の導波モード(導波モード1)が存在(伝播)する導波路である。
図26Aは出力領域304に設けられた導波路305のxy断面を、図26Bは導波路305(第1層3000)のxz断面をそれぞれ示す。また、表8には、導波路305の構造パラメータ(数値例)を示す。
導波路305は、フォトニック結晶300の内部に線状欠陥部32を設けることで得られる。導波路305は、図20に示したフォトニック結晶300の内部にy軸方向に延びるように形成された線状欠陥部32を有する。該線状欠陥部32は、1.00Pの欠陥部幅(x軸方向の長さ)32wを有し、0.90Pの欠陥部高さ(y軸方向の長さ)を有する。
線状欠陥部32は、フォトニック結晶300に含まれる柱状構造部を形成する第1の媒質と同じ屈折率(欠陥部屈折率)32nを有する媒質(第2の媒質よりも屈折率が高い媒質)により形成されている。線状欠陥部32における該線状欠陥部32が延びる方向に直交する断面における中心座標(x,y)は、(0.00P,0.00P)である。
なお、座標の原点は、図26Aのxy断面における線状欠陥部32の中心とする。
図27は、導波路305について転送行列法を用いて導波モードを計算した結果を示すグラフである。図27のグラフの横軸は、格子周期Pで規格化した波数ベクトルの導波方向(z軸方向)成分の大きさを表しており、グラフの縦軸は格子周期Pで規格化した周波数(規格化周波数)を示している。また、領域αで示した周波数帯域は、完全フォトニックバンドギャップ以外の周波数帯域を示しており、領域βで示した周波数帯域は、完全フォトニックバンドギャップ内の周波数帯域において欠陥部に起因した導波モードが存在する周波数帯域を示している。
図27に示したように、導波路305は、完全フォトニックバンド内の周波数帯域において複数の導波モードが存在する導波路である。また、図25と図27を比べると、導波路302と導波路305の分散形状は大きく異なっている。導波路302と導波路305は、完全フォトニックバンドギャップ内において、互いに異なる導波モードを有する導波路であることが分かる。
フォトニック結晶300において、導波路302と導波路305は接続領域306にて互いに接続されている。導波路302を構成する線状欠陥部30の該線状欠陥部30が延びる方向に直交する断面における中心座標は、導波路305を構成する線状欠陥部32の該線状欠陥部32が延びる方向に直交する断面における中心座標に一致している。
共振器303は、フォトニック結晶300の内部に点状欠陥部33を設けることで得られる。図28A及び図28Bに、共振器303の概略構成を示す。図28Aは共振器303のxy断面を示し、図28Bは共振器303(第2層3001)のxz断面を示している。
共振器303は、図21に示すフォトニック結晶300の内部におけるz軸方向に延びる柱状構造部を含む層に点状欠陥部33を設けることで形成される。点状欠陥部33は、x軸方向に0.75Pの欠陥部幅(x軸方向の長さ)33wを有し、z軸方向に0.375Pの欠陥部幅33d(z軸方向の長さ)を有する。また、点状欠陥部33は、積層方向(y軸方向)に0.30Pの欠陥部高さ33hを有する。
点状欠陥部33は、該点状欠陥部33が含まれる層の柱状構造部を構成する媒質と同じ屈折率(欠陥部屈折率)33nを有する媒質で形成されている。共振器303の構造パラメータを表9に示す。
なお、座標の原点は、図28Aに示すxy断面において、点状欠陥部33を含む層に隣接する層内に位置し、点状欠陥部33に接する柱状構造の中心とする。
図29は、共振器303にz軸と平行な方向から平面波を入射した際の透過スペクトルを転送行列法にて計算した結果を示すグラフである。図29の横軸は規格化周波数を示しており、縦軸は透過係数を示している。図29に示すように、共振器303は、規格化周波数0.450にて局在モードを有している。
本実施例では、3次元構造Eに、入力部307から規格化周波数0.450の光を入力させる。図25及び図27より、規格化周波数0.450の光は、導波路301,302,305をそれぞれの固有の導波モードで伝播することができる。導波路301,302では、規格化周波数0.450の光は単一の導波モードで伝播する。このとき、導波路301,302を伝播する導波モードの波数ベクトルの線状欠陥部が延びる方向に平行な大きさは、0.311である。
3次元構造Eにおいて、入力部307から入力された光は、導波路301を導波モード1で伝播する。実施例1で述べたように、導波路301を導波モード1で伝播する光が導波路301の端部34に到達すると、該光の導波モードパターンが乱される。導波モードパターンが乱されると、その光の一部は導波路301を入力部307の方向に導波モード1で伝播する光と結合し、他の一部は共振器303に局在モード1で存在する光と結合する。すなわち、導波路301を伝播する光の一部は、導波路の端部34で反射される。導波路301の端部34で反射された光を反射波308という。
反射波306の強度は、導波路301の端部34の形状、導波路301と共振器303との相対的な位置関係及び共振器303の形状、媒質、位置を変えることで制御することができる。
入力部307から入力されて導波路301を伝播し、共振器303に存在する光と結合した光の一部は、再び導波路301を入力部307の方向へ伝播する光と結合し、導波路301を入力部307の方向に向かって伝播する。導波路301を入力部307の方向に向かって伝播する光を反射波309という。また、入力部307から入力されて導波路301を伝播し、共振器303に存在する光と結合した光の一部は、導波路302を導波モード1で伝播する光と結合し、導波路302を接続領域306の方向に向かって伝播する。
接続領域306に向かって伝播する光は、接続領域306を経由して出力領域304を導波モード2で伝播する光と結合する。導波路302を伝播する光の導波モード1と出力領域304を伝播する光の導波モード2は互いに異なる導波モードであるため、接続領域306に到達した光の一部は、導波路302を共振器303の方向に伝播する光と結合する。すなわち、接続領域306に到達した光の一部は、接続領域306で反射される。この反射された光は、導波路302を伝播し、導波路302の端部35における反射と導波路302の伝播と接続領域306における反射を繰り返す。導波路302の端部35と接続領域306との間で反射を繰り返しながら伝播する光の一部は、共振器303に存在する光と結合し、さらに導波路301を入力部307の方向に伝播する光と結合する。この入力部307の方向に伝播する光を反射波310という。
反射波308,309,310は互いに干渉し、導波路301を入力部307の方向に伝播して入力部307に戻る光となる。この光は、出力領域304に出力されず、入力部307に戻って損失となる。入力部307から入力した光のうち、出力領域304に出力されずに入力部307に戻って損失となる光を、戻り光という。
本実施例でも、共振器303に存在する光と導波路301を伝播する光との結合定数を第1の結合定数とし、共振器303に存在する光と導波路302を伝播する光との結合定数を第2の結合定数とする。また、第1の結合定数と第2の結合定数との比、すなわち第1の結合定数を第2の結合定数で除した値を結合定数比という。
反射波308,309,反射波310の位相を制御することで、これらは互いに干渉して打ち消し合い、戻り光を抑制することができる。本実施例では、例として、導波路302の端部35と接続領域306との間の長さを制御することで、反射波310の位相を制御し、戻り光の強度を低減することができる。
図30は、3次元構造Eにおいて、導波路302の端部35と接続領域306との間の長さL31(図20参照)を変化させたときの戻り光の強度を、転送行列法を用いて計算した結果を示すグラフである。図30のグラフの横軸は、導波路302の端部35と接続領域306との間の長さを格子周期Pで規格化した長さL31の値を表しており、グラフの縦軸は、入力光の強度を1としたときの戻り光の強度を示している。
ここでは、共振器303を構成する点状欠陥部33の中心と導波路301の端部34との間のz軸方向の長さを1.1Pとし、点状欠陥部33の中心と導波路302の端部35との間のz軸方向の長さを1.0Pとしている。
図30において、破線は、共振器303を設けずに導波路301と出力領域304とを接続した場合の戻り光の強度を示している。共振器303を設けない場合は、破線で示すように、入力した光のうち30.29%の強度の光が接続領域306で反射されて損失となる。
一方、共振器303を設けた場合は、戻り光の強度は、導波路302の端部35と接続領域306との間の長さL31を制御することで、破線で示した強度よりも低減される。すなわち、導波路302の端部35と接続領域306との間の長さを制御して反射波310の位相を制御することで、共振器303を設けない場合よりも戻り光を低減させることができる。
さらに、実施例1でも述べたように、結合定数比を1とは異なる適切な値にすることで、戻り光の強度を低減させることができる。
図31は、3次元構造Eにおいて、導波路301の端部34の位置をz軸方向に変化させたときの戻り光の強度を、転送行列法を用いて計算した結果を示すグラフである。グラフの横軸は、導波路301における端部34の位置の変化量を格子周期Pで規格化した量Δzを表しており、グラフの縦軸は、入力光の強度を1としたときの戻り光の強度を示している。ここでは、共振器303を構成する点状欠陥部34の中心と導波路302の端部35との間のz軸方向の長さを1.0Pとし、導波路302の端部35と接続領域306との間のz軸方向の長さL31を11.0Pとしている。
導波路301の端部34の位置を+z方向に変化させると、共振器303に存在する光と導波路301を伝播する光との結合が強くなるため、第1の結合定数の値が大きくなり、結合定数比の値も大きくなる。一方、導波路301の端部34の位置を−z方向に変化させると、共振器303に存在する光と導波路301を伝播する光との結合が弱くなるため、第1の結合定数の値は小さくなり、結合定数比の値も小さくなる。
また、導波路301の端部34の位置を動かさない場合は、第1の結合定数の値と第2の結合定数の値は互いに等しくなり、結合定数比の値は1となる。
また、図31において、破線は、共振器203を設けずに導波路301と出力領域304とを接続した場合の戻り光の強度を示している。共振器303を設けない場合は、破線で示すように、入力光のうち30.29%の強度の光が接続領域306で反射されて損失となる。
一方、導波路301の端部34の位置を−z方向に変化させ、共振器303の点状欠陥部33の中心と端部34とをz軸方向に結ぶ長さを変化させると、戻り光の強度は、破線で示した強度よりも低減される。すなわち、第1の結合定数の値を変化させて結合定数比を1とは異なる値にすることで、共振器303を設けない場合よりも戻り光を低減させることができる。また、導波路301の端部34の位置を調整して結合定数比の値を適切な値にすることで、戻り光の強度を大幅に低減させることができる。
以上説明したように、本実施例でも、3次元構造内の導波路の近傍に1又は複数の共振器を設けて導波路を伝播する光の位相を制御することで、互いに異なる導波モードで光を伝播する構造間の接続領域において発生する反射波を抑制する。これにより、該構造間での光の結合効率を向上させることができる。すなわち、本発明の実施例としての3次元構造に含まれるフォトニック結晶は、実施例2〜4で説明した構造を有するものではなく、図20に示すウッドパイル構造を有するものであってもよい。
さらに言えば、実施例の3次元構造において、完全フォトニックバンドギャップを有する3次元フォトニック結晶を用いることで、共振器に存在する光又は導波路を伝播する光と放射モードで伝播する光との結合を抑制し、損失を低減させることができる。
また、本実施例でも、共振器に存在する光と導波路を伝播する光との結合定数を制御することで、互いに異なる導波モードで光を伝播する構造間の接続領域において発生する反射波を抑制して、該構造間での光の結合効率を向上させることができる。
さらに、本実施例でも、共振器と接続領域との間に位置する導波路の長さを変化させることで伝播光の位相を制御し、かつ共振器と導波路の端部との間の距離を変化させて共振器に存在する光と導波路を伝播する光との結合定数を制御する。これにより、反射波を抑制して光の結合効率を向上させることができる。
(変形例)
なお、フォトニック結晶中に設けた導波路は、本実施例にて説明したものに制限されない。例えば、フォトニック結晶を構成する柱状構造部の1つを、柱状構造部を構成する媒質よりも低い屈折率を有する媒質で形成し、線状欠陥部とすることで形成した導波路でもよい。
また、伝播光の位相を制御する手段も本実施例で説明したものに限定されるものではなく、共振器の形状を変化させることで位相を制御してもよい。また、共振器を構成する媒質を変化させて位相を制御してもよい。さらに、共振器と接続領域との間に配置した導波路の長さと共振器の形状又は媒質をともに変化させて位相を制御してもよい。
また、結合定数比を制御する手段は、入力部と共振器との間に設けられる導波路の端部と共振器との位置関係を変える以外の手段であってもよい。例えば、共振器の形状や共振器を構成する媒質又は共振器と接続領域の間に位置する導波路の端部と共振器との位置関係を変えることで結合定数比を制御してもよい。
さらに、共振器の個数は、1つに限定されるものではなく、複数の共振器を用いてもよい。
これらの変形例は、後述する実施例6,7でも同じである。
本発明の実施例6である発光デバイスについて説明する。本実施例の発光デバイスは、実施例1から5で説明した3次元構造を基本構造として有する。
発光デバイスFは、点状欠陥部により形成された共振器を有する。点状欠陥部の形状と媒質を適切に選択することによって、該共振器を、フォトニックバンドギャップ内の特定の周波数において共振モードを有する共振器として機能させることができる。そして、該共振器の内部に、発光スペクトルに共振波長が含まれる利得媒質を配置し、この利得媒質に対して外部から電磁波や電流等でエネルギーを供給することにより、効率の高いレーザやLED等の発光デバイスを実現することができる。
この共振器(以下、発光共振器という)の近傍に、該発光共振器の共振モード周波数に応じた導波モードで光を伝播する導波路を配置すると、発光共振器の内部で発生した光は該導波路を伝播する光と結合して発光共振器の外部に抽出され、該導波路を伝播する。
図32には、本実施例の発光デバイスFの構成例を示す。図32の上段には発光デバイスFのxz断面を、下段にはyz断面をそれぞれ示している。
発光デバイスFは,フォトニック結晶400中に点状欠陥部40を設けることにより形成された発光共振器401と、p型電極402と、p型キャリア伝導路403と、n型電極404と、n型キャリア伝導路405とを有する。発光共振器401の内部には、キャリア注入によって励起されることにより発光作用を呈する利得媒質(活性媒質)が配置されている。
p型電極402及びp型キャリア伝導路403を介して発光共振器401に正孔が供給され、n型電極404及びn型キャリア伝導路405を介して発光共振器401に電子が供給される。これらの正孔及び電子が発光共振器401の内部で結合することで光が発せられてレーザ発振が行われる。
光を発光共振器401の外部へ取り出すために、導波路406及び導波路407が設けられている。導波路406,407は、フォトニック結晶400内の柱状構造部と同じ屈折率を有する媒質で形成された第1の線状欠陥部41と、該第1の線状欠陥部41とは異なる層に配置された第2の線状欠陥部42とにより構成されている。
導波路406,407は、発光共振器401の共振モード周波数に応じた特定の導波モードで光を伝播する導波路である。導波路406を発光共振器401に対して適切な位置に配置することにより、発光共振器401に共振モードで存在する光を、導波路406を特定の導波モードで伝播する光に効率良く変換することができる。
導波路407の端部には、フォトニック結晶の外部に任意のモードパターンで光を射出するためのモード変換構造が設けられている。本実施例では、モード変換構造の例として、テーパー形状の欠陥部43により構成されるテーパー導波路408を設けている。テーパー導波路408は、該導波路が延びる方向に直交する面内における断面積が、該導波路が延びる方向に向かって変化(増加又は減少)する導波路である。テーパー導波路408は、接続領域409で導波路407と接続されている。
また、テーパー導波路408は、フォトニック結晶外部の自由空間(第2の領域)420と接続されている。第2の領域は、空気等の媒質により形成された一様な屈折率分布を有する領域である。
テーパー導波路408は、導波路407を伝播する光の導波モードパターンを、該導波路が延びる方向に直交する面内において、単峰性の強度分布を持ち、かつテーパー導波路408のテーパー形状に応じた大きさを有する導波モードパターンに変換する。テーパー導波路408を導波路407の端部に設けることで、該導波路407,408を伝播する光の導波モードパターンを制御するとともに、該光をフォトニック結晶外に取り出すことができる。
このように、フォトニックバンドギャップを有するフォトニック結晶中に、点欠陥共振器、導波路及びモード変換構造を設けることで、発光デバイスを得ることができる。このような発光デバイスにおいて、導波路とモード変換構造との接続領域又はモード変換構造とフォトニック結晶外部の自由空間との接続領域では反射波が発生する。発生した反射波は、フォトニック結晶外部に抽出されず、導波路を接続領域409とは反対の方向に伝播して損失となる。
そこで、本実施例では、発光デバイスに反射抑制構造を設ける。導波路(第1の導波路)406は、フォトニック結晶中に端部45を有し、導波路(第2の導波路)407は、フォトニック結晶中に端部46を有する。そして、共振器410が、導波路406の端部45と導波路407の端部46との間に設けられている。
共振器410は、フォトニック結晶400中に点状欠陥部44を設けることで形成されている。共振器410は、該共振器410に存在する光のうち少なくとも一部が、導波路406を伝播する光及び導波路407を伝播する光と結合するように配置されている。
共振器410に存在する光と導波路406を伝播する光との結合定数を第1の結合定数とし、共振器410に存在する光と導波路407を伝播する光との結合定数を第2の結合定数とする。また、第1の結合定数と第2の結合定数との比、すなわち第1の結合定数を第2の結合定数で除した値を結合定数比とする。
導波路406を伝播する光が導波路406の端部45に到達すると、導波モードパターンが乱される。導波モードパターンが乱された光の一部は、導波路406を発光共振器401の方向に伝播する光と結合する。すなわち、導波路406を共振器410の方向に伝播する光の一部は、端部45で反射される。この反射波を反射波(第1の光)411という。
また、導波路406を伝播する光の一部は、共振器410に存在する光と結合する。共振器410に存在する光と結合した光の一部は、再び導波路406を発光共振器401の方向へ伝播する光と結合して反射波となる。この反射波を、反射波(第2の光)412という。
さらに、共振器410に存在する光と結合した光の一部は、導波路407を伝播する光と結合し、導波路407を接続領域409の方向に伝播する。この光は、接続領域409又はテーパー導波路408と自由空間420との接続領域で反射され、導波路407の端部46と接続領域409との間で多重反射する。多重反射した光の一部は、共振器410に存在する光と結合し、さらに導波路406を発光共振器401の方向に伝播する光と結合して反射波となる。この反射波を反射波(第3の光)413という。
反射波411,412,413は互いに干渉し、戻り光として導波路406を発光共振器401の方向に伝播する。戻り光は、フォトニック結晶外部に抽出されず、損失となる。
前述した各実施例と同様に、共振器410の形状、共振器410を設ける位置、共振器410を構成する媒質、導波路407の端部46と接続領域408との間の長さを適切に設計することで、反射波の位相を制御し、戻り光の強度を抑制することができる。
また、共振器410に存在する光と、導波路406を伝播する光及び導波路407を伝播する光との結合定数(第1及び第2の結合定数)のうち少なくとも一方を制御し、結合定数比を1とは異なる適切な値とすることで、戻り光の強度を抑制することができる。第1及び第2の結合定数は、共振器410の形状、共振器410を設ける位置、共振器410を構成する媒質、導波路406の端部45と共振器410との位置関係、導波路407の端部46と共振器410との位置関係を制御することで制御することができる。
戻り光の強度を抑制することで、導波路406を接続領域409の方向に向かって伝播する光の強度を高め、自由空間420に出力される光を増大させることができる。すなわち、導波路406を伝播する光と自由空間420を伝播する光との結合効率を向上させることができる。
このように、フォトニック結晶中に点欠陥共振器及び導波路を設け、導波路の端部にテーパー導波路(モード変換構造)を設けることによって、導波モードパターンを変換するとともに、フォトニック結晶の外部に光を射出する発光デバイスを得ることができる。
そして、このような発光素子の導波路に反射抑制構造を設けることで、テーパー導波路の端部又は導波路とテーパー導波路との接続領域で発生する反射波を抑制することができる。これにより、低損失で射出光のパターンが制御された高性能な発光デバイスを実現することができる。
本発明の実施例7である3次元構造について説明する。本実施例の3次元構造は、反射抑制構造を含む曲げ導波路を有する。曲げ導波路は、フォトニックバンドギャップを有するフォトニック結晶中に、線状欠陥部で構成された導波路(第1及び第2の導波路)と、該導波路とは異なる方向に延びる線状欠陥部で構成された導波路(第3の導波路)とを形成することで構成される。
第3の導波路は、第2の導波路の端部近傍に配置されている。これにより、第2の導波路を伝播する光を第3の導波路を伝播する光と結合させ、第2の導波路を伝播する光とは異なる方向に伝播させることができる。このような伝播方向が異なる複数の導波路で構成され、光の伝播方向を変えることができる導波路を曲げ導波路という。フォトニック結晶中に、このような曲げ導波路を設けることで、光を自由な方向に伝播させて利用することができる。
図33には、本実施例の発光デバイスGの概略構成を示している。図33の上段には発光デバイスGのxz断面を、下段にはyz断面をそれぞれ示している。
曲げ導波路は,フォトニック結晶500中に、導波路(第1の導波路)501と導波路(第2の導波路)502に加えて、導波路(第3の導波路)503を設けることで構成されている。
導波路501は、フォトニック結晶500の柱状構造部と同じ屈折率を有する媒質で形成された第1の線状欠陥部50と、該第1の線状欠陥部50とは異なる層に配置された第2の線状欠陥部51とにより構成されている。第1及び第2の線状欠陥部50,51は、z軸方向に延びている。導波路501は、フォトニック結晶500が有するフォトニックバンドギャップの周波数帯域内において導波モード1で光をz軸方向に伝播させる導波路である。
また、導波路502は、フォトニック結晶500中に導波路501と同じ構造の線状欠陥部を設けることで構成され、z軸方向に延びている。導波路501を伝播する光と導波路502を伝播する光は同じ導波モードを有している。
導波路503は、フォトニック結晶500の柱状構造部と同じ屈折率を有する媒質で形成された第1の線状欠陥部52と、第1の線状欠陥部52とは異なる層に配置された第2の線状欠陥部53とにより構成されている。第1及び第2の線状欠陥部52,53は、x軸方向に延びている。
導波路503は、フォトニック結晶500が有するフォトニックバンドギャップの周波数帯域内において、導波路501,502とは異なる導波モード(ここでは、導波モード4とする)で光をx軸方向に伝播する。
導波路503を導波路502の近傍に配置することにより、導波路502を導波モード1でz軸方向に伝播する光は、導波路503を導波モード4で伝播する光と結合し、x軸方向に伝播する。
このように、フォトニックバンドギャップを有するフォトニック結晶500中に、導波路501,502とこれら導波路とは光の伝播方向が異なる導波路503とを設け、互いに近傍に配置することで、曲げ導波路を得ることができる。
このような曲げ導波路において、導波路502と導波路503との接続領域505では、導波路501,502が有する導波モードと導波路503が有する導波モードとが異なるため、光の一部は接続領域505で反射される。接続領域505で反射された光は、導波路502,501を接続領域505とは反対の方向に伝播して損失となる。
そこで、本実施例では、このような曲げ導波路に反射抑制構造を設けている。導波路501は、フォトニック結晶500中に端部55を有する。また、導波路502は、フォトニック結晶500中に端部56を有する。さらに、共振器504が、導波路501の端部55と導波路503の端部56との間に設けられている。
共振器504は、フォトニック結晶500中に点状欠陥部54を設けることで形成されている。共振器504は、該共振器504に存在する光のうち少なくとも一部が、導波路501を伝播する光及び導波路502を伝播する光と結合するように配置されている。共振器504に存在する光と導波路501を伝播する光との結合定数を第1の結合定数とし、共振器504に存在する光と導波路502を伝播する光との結合定数を第2の結合定数とする。また、第1の結合定数と第2の結合定数との比、すなわち第1の結合定数を第2の結合定数で除した値を結合定数比とする。
導波路501を伝播する光が導波路501の端部55に到達すると、該光の導波モードパターンが乱される。導波モードパターンが乱された光の一部は、導波路501を入力部506の方向に伝播する光と結合する。すなわち、導波路501を共振器504の方向に伝播する光の一部は、端部55で反射される。この反射波を反射波(第1の光)という。
また、導波路501を伝播する光の一部は、共振器504に存在する光と結合する。この光は、再び導波路501を入力部506の方向に伝播する光と結合して反射波となる。この反射波を反射波(第2の光)508という。
さらに、共振器504に存在する光と結合した光の一部は、導波路502を伝播する光と結合し、導波路502を接続領域505の方向に伝播する。またこの光は、接続領域505で反射されて、導波路502の端部56と接続領域505の間で多重反射する。多重反射する光の一部は、共振器504に存在する光と結合し、さらに導波路501を入力部506の方向に伝播する光と結合して反射波となる。この反射波を反射波(第3の光)509という。
反射波507,508,509は互いに干渉して、戻り光として導波路501を入力部506の方向に伝播する。戻り光は、導波路502が有する導波モードで伝播する光とは結合せずに損失となる。
上記各実施例と同様に、共振器504の形状、共振器504を設ける位置、共振器504を構成する媒質及び導波路502の端部55と接続領域505との間の長さを適切に設計することで、反射波の位相を制御し、戻り光の強度を抑制することができる。また、第1及び第2の結合定数のうち少なくとも一方を制御し、結合定数比を1とは異なる適切な値とすることで、戻り光の強度を抑制することができる。
第1及び第2の結合定数は、共振器504の形状、共振器504を設ける位置、共振器504を構成する媒質、導波路501の端部55と共振器504との位置関係、導波路502の端部56と共振器504の位置関係を制御することで制御することができる。
戻り光の強度を抑制することで、導波路502を、導波路501と導波路502の接続領域の方向に向かって伝播する光の強度を高め、導波路503を伝播する光を増大させることができる。すなわち、導波路501を伝播する光と導波路503を伝播する光との結合効率を向上させることができる。
以上説明したように、フォトニック結晶500中に、導波路501,502とは光の伝播方向が異なる導波路503を設けて互いに近傍配置することで曲げ導波路を得ることができる。そして、このような曲げ導波路において、反射抑制構造を導波路501,502中に設けることで、導波路502と導波路503との接続領域505で発生する反射波を抑制することができる。
また、導波路501,502を導波モード1で伝播する光と、導波路503を導波モード4で伝播する光との結合効率を向上させることができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
本発明の実施例1である3次元構造の概略構成を示す図。 本発明の実施例2である3次元構造の概略構成を示す図。 実施例2におけるフォトニック結晶の構造を示す斜視図。 実施例2におけるフォトニック結晶の各層を示すxz断面図。 実施例2におけるフォトニック結晶のフォトニックバンドギャップを示すグラフ。 実施例2における導波路のxy断面図。 実施例2における導波路(第1層)のxz断面図。 実施例2における導波路(第4層)のxz断面図。 実施例2における導波路での導波モードを計算した結果を示すグラフ。 実施例2における出力領域の導波路のxy断面図。 実施例2における出力領域の導波路のxz断面図。 実施例2における出力領域の導波路での導波モードを計算した結果を示すグラフ。 実施例2における共振器のxy断面図。 実施例2における共振器のxz断面図。 実施例2における透過係数を計算した結果を示すグラフ。 実施例2における戻り光の強度を計算した結果を示すグラフ。 実施例2における戻り光の強度を計算した結果を示すグラフ。 本発明の実施例3である3次元構造の概略構成を示す図。 実施例3における出力領域の導波路のxy断面図(A−A′断面図)。 実施例3における出力領域の導波路のxy断面図(B−B′断面図)。 実施例3における出力領域の導波路のxz断面図。 実施例3における戻り光の強度を計算した結果を示すグラフ。 実施例3における戻り光の強度を計算した結果を示すグラフ。 本発明の実施例4である3次元構造の概略構成を示す図。 実施例4における戻り光の強度を計算した結果を示すグラフ。 本発明の実施例5である3次元構造の概略構成を示す図。 実施例5におけるフォトニック結晶の構造を示す斜視図。 実施例5におけるフォトニック結晶の各層を示すxz断面図。 実施例5におけるフォトニック結晶のフォトニックバンドギャップを示すグラフ。 実施例5における導波路のxy断面図。 実施例5における導波路(第1層)のxz断面図。 実施例5における導波路(第2層)のxz断面図。 実施例5における導波路での導波モードを計算した結果を示すグラフ。 実施例5における出力領域の導波路のxy断面図。 実施例5における出力領域の導波路(第1層)のxz断面図。 実施例5における出力領域の導波路での導波モードを計算した結果を示すグラフ。 実施例5における共振器のxy断面図。 実施例5における共振器のxz断面図。 実施例5における透過係数を計算した結果を示すグラフ。 実施例5における戻り光の強度を計算した結果を示すグラフ。 実施例5における戻り光の強度を計算した結果を示すグラフ。 本発明の実施例6である発光デバイスの構造を示す概略図。 本発明の実施例7である3次元構造の概略構成を示す図。
符号の説明
100,200,300,400,500 3次元フォトニック結晶
101,201,301,406,501 導波路(第1の導波路)
102,202,302,407,502 導波路(第2の導波路)
104,204,212,304 出力領域
103,203,203A,203B,303,410,504 共振器
401 発光共振器
402 p型電極
403 p型キャリア伝導路
404 n型電極
405 n型キャリア伝導路
A〜E,G 3次元構造
F 発光デバイス

Claims (9)

  1. 3次元フォトニック結晶中に、それぞれ線状欠陥部を設けることにより形成される第1の導波路及び第2の導波路と、点状欠陥部を設けることにより形成される共振器と、前記第1及び第2の導波路が光を伝播させる導波モードとは異なる導波モードで光を伝播させる第1の領域とを含む3次元構造であって、
    前記第1の導波路は、光が入力する入力部を有し、
    前記第1の導波路と前記第2の導波路はともに第1の導波モードで光を伝播させ、
    前記第2の導波路と前記第1の領域は、該第2の導波路を伝播する光のうち少なくとも一部が、該第1の領域を伝播する光と結合するように接続され、
    前記共振器は、該共振器に存在する光の少なくとも一部が、前記第1及び第2の導波路をそれぞれ伝播する光と結合するように配置されており、
    前記第1の導波路を前記共振器の方向に伝播する光のうち、
    前記第1の導波路と前記共振器との接続部で反射される光を第1の光とし、
    前記共振器に存在する光と結合して再び該第1の導波路を伝播する光と結合する光を第2の光とし、
    前記共振器に存在する光と結合した後、前記第2の導波路を伝播する光と結合し、再び前記共振器に存在する光と結合し、さらに前記第1の導波路を伝播する光と結合する光を第3の光とするとき、
    前記共振器、前記第1及び第2の導波路は、
    前記第1の光の強度と前記第2の光の強度とが互いに異なるように形成され、かつ前記第1及び第2の光のうち強度が高い方の光と前記第3の光との位相差をφとするとき、
    −1≦cos(φ) <0
    なる条件を満足するように形成されていることを特徴とする3次元構造。
  2. 前記共振器に存在する光と前記第1の導波路を伝播する光との結合定数を第1の結合定数とし、前記共振器に存在する光と前記第2の導波路を伝播する光との結合定数を第2の結合定数とし、前記第1の結合定数を前記第2の結合定数で除した値を結合定数比とするとき、
    前記結合定数比は、1とは異なる値であることを特徴とする請求項1に記載の3次元構造。
  3. 前記結合定数比は、1よりも小さい値であることを特徴とする請求項2に記載の3次元構造。
  4. 前記3次元フォトニック結晶は、それぞれ第1の方向に延びる複数の第1の構造体が互いに間隔をあけて前記第1の方向に直交する第2の方向に周期的に配置された第1層及び第3層と、それぞれ前記第2の方向に延びる複数の第2の構造体が互いに間隔をあけて前記第1の方向に周期的に配置された第2層及び第4層とが、前記各層に平行な面内において第3の構造体が離散的に配置された少なくとも1つの層を含む付加層を間に挟んで前記第1層から前記第4層の順に積層されて構成され、
    前記第1層に含まれる前記第1の構造体と前記第3層に含まれる前記第1の構造体とが前記第2の方向において半周期ずれて配置され、かつ前記第2層に含まれる前記第2の構造体と前記第4層に含まれる前記第2の構造体とが前記第1の方向において半周期ずれて配置され、
    前記第3の構造体は、前記第1の構造体と前記第2の構造体とが立体的に交差する位置に配置され、
    前記3次元フォトニック結晶のうち、前記第1、第2及び第3の構造体は第1の媒質により形成され、該第1、第2及び第3の構造体以外の部分は、前記第1の媒質よりも屈折率が低い第2の媒質で形成されており、
    前記第1の導波路は、
    前記第1の媒質の屈折率以上の屈折率を有する媒質によって形成され、
    前記第1又は第2の方向に延びるように形成された第1の線状欠陥部と、前記第1及び第2の構造体のうち前記第1の線状欠陥部と同じ方向に延びる構造体の一部を変形して形成された第2の線状欠陥部とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の3次元構造。
  5. 前記3次元フォトニック結晶は、それぞれ第1の方向に延びる複数の第1の構造体が互いに間隔をあけて前記第1の方向に直交する第2の方向に周期的に配置された第1層及び第3層と、それぞれ前記第2の方向に延びる複数の第2の構造体が互いに間隔をあけて前記第1の方向に周期的に配置された第2層及び第4層とが、前記第1層から前記第4層の順に積層されて構成され、
    前記第1層に含まれる前記第1の構造体と前記第3層に含まれる前記第1の構造体とが前記第2の方向において半周期ずれて配置され、かつ前記第2層に含まれる前記第2の構造体と前記第4層に含まれる前記第2の構造体とが前記第1の方向において半周期ずれて配置され、
    前記3次元フォトニック結晶のうち、前記第1及び第2の構造体は第1の媒質により形成され、該第1及び第2の構造体以外の部分は、前記第1の媒質よりも屈折率が低い第2の媒質で形成されており、
    前記第1の導波路は、
    前記第1の媒質の屈折率以上の屈折率を有する媒質によって形成され、
    前記第1又は第2の方向に延びるように形成された第1の線状欠陥部と、前記第1及び第2の構造体のうち前記第1の線状欠陥部と同じ方向に延びる構造体の一部を変形して形成された第2の線状欠陥部とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の3次元構造。
  6. 前記第1の領域に含まれる導波路は、前記第1の導波路を構成する線状欠陥部が延びる方向と同じ方向に延びる線状欠陥部により構成され、この線状欠陥部が延びる方向に対して直交する面内での断面積が該方向に向かって変化することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の3次元構造。
  7. 前記第1の領域は、前記第1の導波路とは異なる導波モードを有する導波路、あるいは前記第1の導波路とは、該第1の導波路が延びる方向に直交する面内における位置が異なる導波路を少なくとも1つ含む領域であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の3次元構造。
  8. 前記第1の領域に含まれる導波路は、前記第1の導波路に含まれる線状欠陥部が延びる方向とは異なる方向に延びる線状欠陥部で構成された導波路であることを特徴とする請求項7に記載の3次元構造。
  9. 請求項1から8のいずれか1つに記載の3次元構造と、前記3次元フォトニック結晶の内部に配置され、利得媒質を含む発光共振器と、前記3次元フォトニック結晶の外部に配置された第2の領域とを有し、
    前記発光共振器と前記第1の導波路は、該発光共振器に存在する光の少なくとも一部が該第1の導波路を伝播する光と結合するように配置され、
    前記第1の領域と前記第2の領域は、該第1の領域を伝播する光の少なくとも一部が前記第2の領域を前記第2の導波モードとは異なる導波モードで伝播する光と結合するように配置され、
    前記利得媒質を励起することによって前記発光共振器で発生した光が、前記第1の導波路、前記第2の導波路及び前記第1の領域を伝播して前記第2の領域に射出されることを特徴とする発光デバイス。
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