JP2009221293A - 樹脂粉末、樹脂粉末組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
ジイソシアネート成分としてHDIを使用したウレタン樹脂成形品であって、成形体の外観や触感を損なうことがなく、外観の経日安定性に優れる成形体を製造できる樹脂粉末を提供することである。
【解決手段】
熱可塑性ウレタン樹脂(A)を含有する樹脂粉末であって、熱可塑性ウレタン樹脂(A)のイソシアネート成分の少なくとも一部が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートであり、樹脂粉末(X)中に一般式(1)で示される2価の有機残基を有する分子量258〜568のウレアオリゴマー(B)を樹脂粉末(X)の重量に基づいて0.0001〜0.05重量%含有することを特徴とする樹脂粉末(X)を使用する。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、ジイソシアネート成分としてHDIを使用したウレタン樹脂成形体であって、成形体の外観や触感を損なうことがなく、外観の経日安定性に優れる成形体を製造できる樹脂粉末を提供することである。
すなわち本発明の樹脂粉末(X)の特徴は、熱可塑性ウレタン樹脂(A)を含有する樹脂粉末であって、
熱可塑性ウレタン樹脂(A)のイソシアネート成分の少なくとも一部が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートであり、
樹脂粉末(X)中に一般式(1)で示される2価の有機残基を有する分子量258〜568のウレアオリゴマー(B)を樹脂粉末(X)の重量に基づいて0.0001〜0.05重量%含有する点を要旨とする。
−(CH2)6−NH(C=O)NH− (1)
H2N{(-CH2)6-NH(C=O)NH}n(-CH2)6-NH2 (2)
また、分子量568のウレアオリゴマーとしては、一般式(3)においてn=3の場合のウレアオリゴマー(B21)が挙げられる。
また、分子量284のウレアオリゴマーとしては、一般式(4)で示されるウレアオリゴマー(B22)が挙げられる。
(1)水及び分散安定剤の存在下で、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとブロックされた鎖伸長剤(ケチミン化合物等)とを反応させる方法(特開平8−120041号公報等)。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。
なお、体積平均粒子径は、レーザー式粒度分布測定装置{たとえば、LA−920(堀場製作所製)}で測定できる。
洗浄時に使用する溶剤の使用量(重量%)は、樹脂粉末(G)に対して、10〜1000が好ましく、さらに好ましくは100〜1000である。
本発明の樹脂粉末組成物をスラッシュ成形用に適用する場合、樹脂粉末組成物の体積平均粒子径(μm)は、10〜500が好ましく、さらに好ましくは50〜300である。スラッシュ成形としては、本発明の樹脂粉末組成物が入ったボックスと加熱した金型とを共に振動回転させ、樹脂粉末組成物を金型内で溶融流動させた後、冷却・固化させて、成形体(表皮等)を製造する方法が適用できる。
金型の温度(℃)としては、200〜300が好ましく、さらに好ましくは210〜280である。
プレポリマー溶液の製造
内容積3Lのリボン型攪拌翼付き反応容器に、ポリブチレンアジペート(数平均分子量1,000、水酸基価112)49.7部、ポリヘキサメチレンイソフタレート(数平均分子量900、水酸基価125)12.4部、カオリン(Engelhard Corporation社、ASP−400P)9.1部及びフェノール系酸化防止剤(イルガノックス(登録商標)1010)0.1部を仕込み、窒素置換してから、2−エチルヘキサノール1.0部、安定剤(チヌビン(登録商標)571)0.2部及びメチルエチルケトン12.5部を添加し混合した後、50℃まで冷却してから、ヘキサメチレンジイソシアネート15.0部を仕込み、90℃で6時間反応させて、ウレタンプレポリマー(UP−1)100部を得た。
引き続き、ウレタンプレポリマー(UP−1)100部に、可塑剤85%(EB−300三洋化成工業(株))及びカーボンブラック15%を混練してなるブラック着色剤3部を添加し、着色ウレタンプレポリマー(UP−1)103部を得た。
ジアミンのMEKケチミン化物の製造
ヘキサメチレンジアミンと過剰のメチルエチルケトン(MEK、ヘキサメチレンジアミンに対して4倍モル量)とを80℃で24時間還流させながら生成水を系外に除去して、反応させた後、未反応のMEKを減圧留去して、MEKケチミン化物を得た。
着色ウレタンプレポリマー(UP−1)100部とヘキサメチレンジアミンのMEKケチミン化物10部とを攪拌棒で1分間混合した混合液に、分散剤水溶液(三洋化成工業(株)、サンスパール(登録商標)PS−800(無水マレイン酸ジイソブチレン共重合体のナトリウム塩)10%水溶液)(DS−1)300部を加えてミキサー(ULTRA−TURRAX T50、IKA−Labortechnik社)で混合攪拌し、乳化分散した後、得られた分散スラリーの脱溶剤(70℃減圧)を行い、ヌッチェを使用して減圧脱水することによりウエットケーキ(C−1)を得た。ヌッチェ上に得られたウエットケーキ(C−1)を(C−1)の10%の洗浄水ですすいだ後、乾燥機で乾燥し(70℃2時間、循風乾燥機)、ふるいで分級して、本発明の着色樹脂粉末(X−1)を得た。着色樹脂粉末(X−1)の体積平均粒子径は151μm、ウレアオリゴマー(B)(組成は一般式(4)で示されるウレアオリゴマー(B22)であった。m/e=285にM+1を観測し、1H−NMRにより化学構造を確認した。)の含有量は0.05%であった。
実施例1で得たウエットケーキ(C−1)を(C−1)の100%の洗浄水ですすいだ後、乾燥機で乾燥し(70℃2時間、循風乾燥機)、ふるいで分級して、本発明の着色樹脂粉末(X−2)を得た。着色樹脂粉末(X−2)の体積平均粒子径は151μm、ウレアオリゴマー(B)の含有量は0.035%であった。
実施例1で得たウエットケーキ(C−1)を(C−1)の200%の洗浄水ですすいだ後、乾燥機で乾燥し(70℃2時間、循風乾燥機)、ふるいで分級して、本発明の着色樹脂粉末(X−3)を得た。着色樹脂粉末(X−3)の体積平均粒子径は151μm、ウレアオリゴマー(B)の含有量は0.03%であった。
実施例1で得たウエットケーキ(C−1)を(C−1)の1000%の洗浄水ですすいだ後、乾燥機で乾燥し(70℃2時間、循風乾燥機)、ふるいで分級して、本発明の着色樹脂粉末(X−4)を得た。着色樹脂粉末(X−4)の体積平均粒子径は151μm、ウレアオリゴマー(B)の含有量は0.01%であった。
実施例1で得たウエットケーキ(C−1)を、循風乾燥機で乾燥し(70℃2時間)、ふるいで分級して、比較用の着色樹脂粉末(X−5)を得た。着色樹脂粉末(X−5)の体積平均粒子径は151μm、ウレアオリゴマー(B)の含有量は0.055%であった。
(1)樹脂粉末中のウレアオリゴマー抽出
樹脂粉末約1.0gを秤量した後、100mlの超純水を添加し、ソックスレー抽出器にて2時間抽出を行った。
(2)ウレアオリゴマー量の測定
(1)で得た抽出水溶液をミクロフィルターでろ過し、液体クロマトグラフ−質量分析計(LC−MS)(株式会社島津製作所、LC−MS 2010EV)を用いて次の条件にて定量した。
・カラム:ODS−II(ID2mm、長さ15cm)
・溶離液:メタノール/10mM酢酸アンモニウム水溶液=68/32
・流 速:0.2mL/分
<MS条件>
・イオン源:ESI(+)
・測定モード:スキャン
・機 器:AVANCE300(日本ブルカー株式会社、周波数300MHz)
・溶 媒:重水
<LC−UV測定>
LC−MS法と同様にして抽出溶液の上澄みをミクロフィルターでろ過し、LC−UV(株式会社島津製作所、プロミネンスUFLC)を用いて下記条件にて測定を行った。ウレアオリゴマーの標品を得ることは困難なため、本発明では標準物質としてN,N-ジメチルアセトアミドを使用して検量線を作成し、この検量線をウレアオリゴマーの検量線として用いた。
<HPLC条件>
・移動相:次のA液及びB液をグラジエント法で用いた。
A液 100mMNaH2PO4・2H2O・1mM Na2PO4・12H2O水溶液
B液 メタノール
・カラム:信和化工株式会社、Shimpak ODS−II(長さ150mm、内径2mm、粒径5μm)、温度40℃
・検出器:測定波長 200nm、スリット幅 1.2nm、セルセミミクロフローセル
・サンプル注入量:10μm
予め220℃に加熱したシボ付きNi電鋳型に、実施例1〜4及び比較例で得た樹脂粉末組成物(U−4)及び樹脂粉末組成物(UH−1)のいずれかを流し込み、電鋳型のもつ熱によって樹脂粉末組成物を溶融させた後、冷却させて厚さ1mm程度の均一な成形体(薄膜表皮)を作成した。
ついで、成形体(薄膜表皮)をポリエチレンの袋に入れて室温(23℃)下にて保管し、経日変化を目視、触感により以下の基準により判定し、表1に評価結果を示した。
0級:ブリードは観測されない
1級:成形体の裏面(Ni電鋳型に接触しなかった面)にのみわずかにブリードが見られる。
2級:成形体のシボ面・裏面ともわずかにブリードが見られる。
3級:一部分にはっきりブリードが見られる。
4級:全面にはっきりブリードが見られ、ブリード部にわずかなヌメリ・湿り気が感じられる。
5級:成形体の色やシボ模様が判断しにくい程度までブリードが見られ、ブリード部にはっきりとヌメリ・湿り気が感じられる。
Claims (12)
- 熱可塑性ウレタン樹脂(A)を含有する樹脂粉末であって、
熱可塑性ウレタン樹脂(A)のイソシアネート成分の少なくとも一部が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートであり、
樹脂粉末(X)中に一般式(1)で示される2価の有機残基を有する分子量258〜568のウレアオリゴマー(B)を樹脂粉末(X)の重量に基づいて0.0001〜0.05重量%含有することを特徴とする樹脂粉末(X)。
−(CH2)6−NH(C=O)NH− (1)
- 熱可塑性ウレタン樹脂(A)が、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)及び鎖伸長剤(F)を主成分として反応してなり、鎖伸長剤(F)の少なくとも一部が1,6−ヘキサメチレンジアミンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂粉末(X)。
- 熱可塑性ウレタン樹脂(A)が水中でイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E)を重合反応させることにより得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂粉末(X)。
- 樹脂成形用である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂粉末(X)。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂粉末(X)と添加剤とを含有する樹脂粉末組成物。
- スラッシュ成形用である請求項7に記載の樹脂粉末組成物。
- 請求項6に記載の樹脂粉末(X)又は請求項7に記載の樹脂粉末組成物を成形して得られる樹脂成形体。
- 自動車内装材である請求項9に記載の樹脂成形体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂粉末(X)を製造する方法であって、
熱可塑性ウレタン樹脂(A)を含有する樹脂粉末(G)を製造した後、樹脂粉末(G)を水洗する工程を含むことを特徴とする樹脂粉末(X)の製造方法。 - 樹脂粉末(G)を水洗する工程において、
樹脂粉末(G)に対して10〜1000重量%の水を使用してウレアオリゴマー(B)を水洗する請求項11に記載の樹脂粉末(X)の製造方法。
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