JP2009220277A - 積層フィルム及び積層フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ロール・ツー・ロール方式により連続的に形成した機能層の機能が劣化することのない積層フィルム及び積層フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】基材フィルム上に機能層と易滑層を順に備え、前記易滑層表面のステンレスに対する静摩擦係数μが0.4以下であることを特徴とする積層フィルムとした。また、真空装置内において、ロール・ツー・ロール方式により、巻き取り状の基材フィルムを連続的に送り出す工程と、走行する基材フィルムの一方の面に機能層を成膜する工程と、該走行する基材状フィルム上の機能層上に易滑層を成膜する工程と、走行する基材フィルムを巻き取る工程とを順に備え、且つ、前記走行する基材フィルムの一方の面に機能層を成膜する工程と、機能層上に易滑層を成膜する工程の間において走行する基材フィルム上の機能層が部材と接触しないことを特徴とする積層フィルムの製造方法とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材フィルム上に真空成膜法により形成されるガスバリア層、反射防止層、導電層、帯電防止層、電磁波シールド層、磁性層等の機能層を備える積層フィルムに関する。
従来から化学的、物理的機能を付与するために基板表面に機能層として薄膜を形成することがおこなわれてきた。近年では、軽量性・耐衝撃性・可とう性・大型化に優れたプラスチックフィルムを基板として用い、ロール状に巻き取られたプラスチックフィルムを巻き出し、連続的に薄膜を成膜し、再び巻き取ること(ロール・ツー・ロール方式)により、低コストで大量に様々な機能層が付与されたフィルムを生産することが可能となった。
代表的な機能性薄膜技術としては、比較的酸素や水蒸気を容易に透過するプラスチックフィルムにガスバリア層を形成することが挙げられ、これまでも多くのガスバリアフィルムの研究がなされてきた。食品等の包装材料用途として、酸素および/あるいは水蒸気透過性の低いプラスチックフィルムの使用し、該プラスチックフィルム上に酸素および/あるいは水蒸気透過性の低いポリマーを塗工する方法、あるいはSiOxやAlOx等の無機酸化物を真空成膜法により成膜する方法により、プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に機能層としてガスバリア層を備えるガスバリアフィルムが提案されている。
プラスチックフィルム等の基材フィルム上に機能層を形成するにあっては、真空中でおこなう真空成膜法を用いて機能層を形成することにより、塗液を用いた湿式成膜法と比較してより高い機能を有する機能層を形成することができる場合が多い。
特開平6−344495号公報 特開2003−89874号公報 特開平11−28783号公報 特開平10−296899号公報
真空成膜法を用いロール・ツー・ロール方式により、プラスチックフィルム等の基材フィルム上にガスバリア層等の機能層を形成する場合、機能層表面は巻き取りの際に基材フィルムの機能層が成膜されていない面(反対側の面)に接触する。また、機能層を成膜する工程と機能層が形成された基材フィルムを巻き取る工程の間においては、ガイドロール等が存在することにより、機能層表面がロール等の部材に接触することがある。
そして、基材フィルム上に機能層が形成された積層フィルムを巻き取る際、または、走行する積層フィルムがガイドロールを通過する際には、機能層が他の物質に接触することにより機能層の機能性が劣化してしまうことがあった。
例えば、基材フィルム上にバリア膜を形成した場合、基材フィルムとして用いるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム表面のステンレスロールに対する静摩擦係数はμ=0.5〜0.7であるが、ガスバリア層であるSiOxをCVD法を用いて成膜すると、機能層表面とステンレスロール表面の静摩擦係数はμ=0.7〜0.8に増大し、機能層とガイドロールとの間の摩擦により機能層が剥離し、バリア機能が劣化することがあった。
機能層が剥離した場合にあっては、剥離した膜がガイドロールに付着することによりガイドロール表面の摩擦係数が上昇し、さらなる剥離の原因ともなる。また、ガイドロールに付着することがなくとも、その薄膜片が製造される積層フィルムの表面等に付着することにより、欠陥、汚染の原因ともなる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、ロール・ツー・ロール方式により連続的に形成した機能層の機能が劣化することのない積層フィルム及び積層フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、基材フィルム上に機能層と易滑層を順に備え、前記易滑層表面のステンレスに対する静摩擦係数μが0.4以下であることを特徴とする積層フィルムとした。
また、請求項2に係る発明としては、前記機能層がガスバリア層であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルムとした。
また、請求項3に係る発明としては、前記易滑層の層厚が2nm以上20nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層フィルムとした。
また、請求項4に係る発明としては、前記易滑層が、非晶質ダイヤモンド状炭素膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層フィルムとした。
また、請求項5に係る発明としては、真空装置内において、ロール・ツー・ロール方式により、巻き取り状の基材フィルムを連続的に送り出す工程と、走行する基材フィルムの一方の面に機能層を成膜する工程と、該走行する基材状フィルム上の機能層上に易滑層を成膜する工程と、走行する基材フィルムを巻き取る工程とを順に備え、且つ、前記走行する基材フィルムの一方の面に機能層を成膜する工程と、機能層上に易滑層を成膜する工程の間において走行する基材フィルム上の機能層が部材と接触しないことを特徴とする積層フィルムの製造方法とした。
また、請求項6に係る発明としては、前記機能層がガスバリア層であることを特徴とする請求項5記載の積層フィルムの製造方法とした。
また、請求項7に係る発明としては、前記易滑層の層厚が2nm以上20nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の積層フィルムの製造方法とした。
また、請求項8に係る発明としては、前記易滑層が、非晶質ダイヤモンド状炭素膜であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法とした。
本発明の積層フィルムとすることにより、機能層の機能低下がなく、機能層の機能が十分に発揮された機能フィルムを得ることができた。
本発明の積層フィルムについて説明する。
図1に本発明の積層フィルムの説明断面図を示した。本発明の積層フィルム1にあっては、基材フィルム11上に機能層12と易滑層13を順に備えることを特徴とする。
本発明の積層フィルムはロール・ツー・ロール方式により、連続走行する基材フィルム上に機能層、易滑層が成膜され、基材フィルム11としてはウェブ状のものを用いることができる。
本発明の機能層としては、ガスバリア層、反射防止層、導電層、帯電防止層、電磁波シールド層、磁性層等を挙げることができる。機能層上には、ステンレスに対する静摩擦係数μが0.4以下の表面の滑り性の良い層である易滑層が設けられる。
本発明の易滑層の静摩擦係数は、JIS K 7125に基づき測定することができる。なお、測定に用いられるステンレスは、SUS304表面を鏡面研磨したものである。
本発明の易滑層は表面の滑り性が良く、傷等がつきにくいというという特徴を有する。したがって、易滑層を最表面に有する積層フィルムにあっては、走行中にガイドロールと易滑層が接触した場合にあっても、易滑層、機能層が剥離する、また、易滑層、機能層表面にクラック等の傷が発生することがない。また、積層フィルムを巻き取る際に、基材フィルムのもう一方の面と易滑層が接触した場合にあっても、易滑層、機能層が剥離する、また、易滑層、機能層表面にクラック等の傷が発生することがない。
易滑層のステンレスに対する静摩擦係数が0.4を超える場合、十分な表面滑り性を有する易滑層とすることができない。したがって、易滑層自身の剥離や傷つきが発生する。易滑層の静摩擦係数は小さいほど表面の滑り性が良好であり好ましい。しかしながら、静摩擦係数を0.1未満とすることは困難であり、静摩擦係数は0.1以上であることが好ましい。
本発明の積層フィルムにあっては、ロール・ツー・ロール方式により真空成膜装置内において走行する基材フィルムに対し、機能層、易滑層が連続的に成膜される。このとき、機能層成膜工程と易滑層成膜工程の間で走行する基材フィルム上の機能層が部材と接触しないことを特徴とする。ここで、部材とは、たとえば、ガイドロール等の真空装置内のロールであり、また、基材フィルム自身を指す。
本発明の積層フィルムにあっては、機能層成膜直後に易滑層を成膜することを特徴とする。機能層を成膜後、たとえば、機能層を有する基材フィルムの機能層とガイドロールが接触した場合や、機能層を有する基材フィルムを一旦巻き取った場合には、機能層と部材が接触することにより機能層の剥離が発生したり機能層が傷つくことがあり、機能層本来に機能を発揮することができなくなる。
本発明の積層フィルムは、機能層成膜直後に、機能層と他の部材が接触する前に表面滑り性の良い易滑層を成膜することにより、機能層の剥離や傷つきにより機能低下を防ぐことが可能となる。
例えば、機能層としてガスバリア層を設けた場合、ガスバリア層が剥離すること及びガスバリア層表面に傷がつくことは、バリア性の低下を招く。また、機能層として反射防止層を設けた場合、反射防止層の剥離や、剥離した反射防止層の付着により、部分的に反射率が高くなる揮点と呼ばれる欠陥が発生する。また、機能層として導電層、帯電防止層、電磁波シールド層を設けた場合には、これらの機能層が剥離すること及びこれらの機能層表面に傷がつくことにより、機能層の表面抵抗値の上昇を招き、性能が低下する。本発明の積層フィルムにあっては、このような機能層の性能低下を防ぐことができる。
また、本発明の積層フィルムにあっては、ガスバリア層を機能層として設けた場合に高い効果を得ることができる。ガスバリア層にあっては、ガスバリア層の剥離や欠陥といった少しの欠陥が大きな性能低下を招く。すなわち、少しでもあった場合は、その欠陥箇所からガスが透過することにより、大きな性能低下を招く。また、欠陥箇所を特定することが困難である。本発明の易滑層をガスバリア層上に設けることにより、このような性能低下を防ぐことができる。
また、本発明の積層フィルムにあっては、易滑層の層厚が2nm以上20nm以下の範囲内であることが好ましい。易滑層の層厚が2nmに満たない場合、十分な表面滑り性を有する易滑層とすることが困難になってしまう。また、表面に均一に易滑層を形成することが困難になってしまう。一方、易滑層の膜厚が20nmを超える場合にあっては、機能層の機能を低下させる場合がある。
また、本発明の易滑層は非晶質ダイヤモンド状炭素膜(DLC膜)であることが好ましい。非晶質ダイヤモンド状炭素膜(DLC膜)は、一般に易滑コートとして工具等の表面に用いられる材料でありCVD法等の真空成膜法を用いて形成できることから、機能層と連続して積層させるのに適している。なお、非晶質ダイヤモンド状炭素膜とは、ダイヤモンドとグラファイトの中間的な結晶構造をもち、ダイヤモンド結合とグラファイト結合の両方の結合が混在した非晶質構造をもった膜である。
また、本発明の積層フィルムにあっては、基材フィルムが積層構造であってもよいし、機能層が積層構造であっても良いし、他の機能層を含んでいても良い。本発明の積層フィルムにあっては、目的とする1つの機能層上に易滑層が形成されていれば良い。
図2に本発明の積層フィルムの別の態様の説明断面図を示した。
図2の積層フィルムにあっては基材フィルム11、機能層12、易滑層13のほかにハードコート層14を備える。図2(a)にあっては基材フィルム11と機能層12の間にハードコート層14が設けられており、図2(b)にあっては、基材フィルム11上に、機能層12、易滑層13、ハードコート層14が順に設けられている。また、図2(c)にあっては、機能層12、易滑層13が設けられている側と反対側の基材フィルム11の表面にハードコート層14が設けられている。
本発明の積層フィルムの製造方法について説明する。
本発明の積層フィルムに用いる基材フィルムとしては成膜工程および後工程において十分な強度があり、表面の平滑性が良好であれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリアリレートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられる。特に表示装置前面板に適用する場合は、透明性と耐熱性に優れたポリカーボネートやポリエーテルサルホンが好適に用いられる。その厚さは積層フィルムを用いて形成される部材の薄型化と基材フィルムの可撓性とを考慮し、10〜200μm程度のものが好適に用いられる。これら基材の表面に周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されてもよい。またバリア層との密着性を改善するため、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理などを施してもよい。
本発明の積層フィルムに設けられる機能層としては、ガスバリア層、反射防止層、導電層、帯電防止層、電磁波シールド層、磁性層等を挙げることができる。
ガスバリア層としては、珪素又はアルミニウムの窒化物または酸化物または酸窒化物からなる層を例示することができる。ガスバリア層を形成するにあっては真空成膜法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法といった物理的気相析出法や、CVD法いった化学的気相析出法を用いることができる。
反射防止層としては、高屈折率層と低屈折率層の積層構造からなる層が挙げられる。例えば基材フィルム側から順に、高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の4層構造からなる反射防止層を例示することができる。
このとき高屈折率層形成材料としては、インジウム、錫、チタン、シリコン、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、マグネシウム、ビスマス、セリウム、タンタル、アルミニウム、ゲルマニウム、カリウム、アンチモン、ネオジウム、ランタン、トリウム、ハフニウム等の金属、あるいは、これら金属の2種類以上からなる合金、これらの酸化物、弗化物、硫化物、窒化物などを用いることができる。具体的には、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化セリウム等が挙げられるがこれに限られるものではない。一方、低屈折率層形成材料としては、酸化シリコン、窒化チタン、弗化マグネシウム、弗化バリウム、弗化カルシウム、弗化ハフニウム、弗化ランタン等の材料を用いることができる。反射防止層である、高屈折率層、低屈折率層を形成するにあっては、真空成膜法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等を用いることができる。
導電層、帯電防止層、電磁波シールド層は、導電性材料からなる導電性を有する層とすることによりその機能を発現させることができる。導電性材料としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化亜鉛、酸化亜鉛−酸化アルミニウム(AZO)、酸化亜鉛−酸化ガリウム(GZO)、酸化インジウム−酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化アンチモン−酸化スズ(ATO)、酸化タングステン等の導電性を有する金属酸化物材料や、銀、金、銅、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、鉄、白金、チタン、クロム、タングステン、モリブデン等の金属材料を用いることができる。導電層、帯電防止層、電磁波シールド層を形成するにあっては、真空成膜法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等を用いることができる。
易滑層を形成するにあっては、機能性薄膜表面の静摩擦係数を低減できる材料を用いることができる。具体的には、シリコン系あるいはフッ素系撥水剤、炭素材料などが挙げられる。
易滑層の形成方法は、機能性薄膜と同様に真空成膜法であれば良く、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、有機物蒸着法等を用いることにより成膜可能である。
有機物の成膜に関しては有機物蒸着法を用いることができる。例えば、モノマーやオリゴマー混合樹脂溶液を有機物蒸着装置で蒸発させ、成膜ドラム上のフィルム上に凝縮させ、その後、電子線照射装置にて硬化処理をおこなうことにより有機物層を形成することができる。また、電子線硬化の替わりに紫外線硬化を用いてもよい。
易滑層に非晶質ダイヤモンド状炭素膜(DLC膜)を形成する場合には、メタンあるいはアセチレン等を原料としてプラズマCVD法により形成する方法を用いることができる。DLC膜は平滑で摩擦係数の極めて小さいという特徴を有するが、膜が着色するという問題点もあり、透明な積層フィルムを製造する場合は、易滑層の性能を失わない範囲で易滑層であるDLC膜の膜厚を薄くすることが好ましい。DLC膜の成膜にプラズマCVD法を用いることにより、プラズマCVD法やスパッタリング法をはじめとする真空成膜により形成する機能層と成膜条件や成膜レートと整合をとり易く、かつ平滑な膜を形成することが可能となる。
易滑層は実使用上の耐擦傷性能の向上を目的とするものではなく、成膜工程において機能層表面と成膜装置のガイドロール等の他の部材との間の摩擦による機能性能の劣化を抑えようとする作用を有するものであり、易滑層の膜厚は薄くてもよい。さらには目的とする機能とは異なる特性の易滑層を必要最小限の膜厚に抑えることで、機能性薄膜の性能を損なうことを抑えられる。易滑層の層厚派2nm以上20nm以下の範囲内であることが好ましい。
ハードコート層は、透明性と適度な硬度と機械的強度があれば、特に限定されるものではない。電離放射線や紫外線の照射による硬化樹脂や熱硬化性の樹脂が使用でき、特に紫外線照射硬化型のアクリルや有機珪素系の樹脂や、熱硬化型のポリシロキサン樹脂が好適である。これらの樹脂は基材フィルムと屈折率が同等もしくは近似していることがより好ましい。膜厚は3μm以上あれば十分な強度となるが、透明性、塗工精度、取り扱いから5〜7μmの範囲が好ましい。
また、前記のハードコート層に平均粒子0.01〜3μmの透明な無機あるいは有機の微粒子を混合分散させる、または表面形状を凹凸させることで一般にアンチグレアと呼ばれる光拡散性の処理を施すことができる。これらの微粒子は、透明であれば特に限定されるものではないが、低屈折率材料が好ましく、無機の酸化珪素、フッ化マグネシウムが安定性、耐熱性等で好適である。これらのハードコート層は均一に塗布されるものであり、塗布方法はいかなる方法でもかまわない。ハードコート層は、易滑層上、基材フィルムと機能層の間、機能層とは反対側の基材フィルム表面等、適宜用途に応じて形成する。
図3に本発明の積層フィルムの真空成膜装置の概略図を示した。
本発明の真空成膜装置は、ロール・ツー・ロール方式の真空成膜装置である。本発明の真空成膜装置2において、ウェブ状の基材フィルムは巻き出し機構21から送り出され、成膜ドラム23を通過し、巻き取り機構25により巻き取られる。必要に応じて、基材フィルムは、ガイドロール22、24を通過する。なお、真空成膜装置2は図示しないポンプにより、真空状態にされる。本発明の真空成膜装置は複数の成膜手段を備え、図3の真空成膜装置2にあっては、第1の成膜手段26、第2の成膜手段27、第3の成膜手段28を備える。
そして、各成膜手段により、基材フィルム上に機能層と易滑層が連続して成膜される。なお、各成膜手段としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、有機物蒸着法等の成膜手段を用いることができ、各成膜手段はそれぞれ異なっていても構わない。図3に示したように、成膜手段は仕切り板により仕切られていることが好ましい。各成膜手段を備える成膜室の真空度は、成膜室に繋がれたポンプにより成膜手段に応じて真空度が調節されることが好ましい。
このような真空成膜装置を用いることにより、機能層を成膜した後、成膜された機能層が部材と接触しないうちに、易滑層を形成することができる。
(実施例1)
図3に示したようなロール・ツー・ロール方式の真空成膜装置を用い、ガスバリア性能を有する積層フィルムを作製した。基材フィルムとして200μm厚のPESを用い、ロールからプラスチックフィルムを巻き出し、機能層として、HMDSOおよびOを混合させRFプラズマ放電により膜厚20nmのSiOxガスバリア層を形成後、易滑層としてシリコン系撥水剤を有機物蒸着法により3nm成膜し、再びロールに巻き取った。なお、この時、ガスバリア層を形成してから易滑膜を形成するまで、成膜面にガイドロール等が触れないようにした。
大気解放直後、積層フィルムのガスバリア層表面のステンレス板に対する静摩擦係数をJIS K 7125に基づき測定したところ、μ=0.35だった。機能性フィルム積層体表面には100μm以上の欠陥は観察されず、水蒸気透過速度(WVTR)を測定したところ、0.1g/m/dayと良好なガスバリア性を示した。
(実施例2)
図3に示したようなロール・ツー・ロール方式の真空成膜装置を用い、反射防止性能を有する積層フィルムを作製した。一方の面にハードコート樹脂が5μm塗工された188μm厚のPETを基材フィルムとして用い、ロールから基材フィルムを巻き出し、ハードコート層上に機能層として、TiおよびSiをターゲットとしてArおよびOを混合させスパッタリング法により、TiOおよびSiOを順次積層させ4層構造の反射防止層を形成した後、易滑層としてアセチレンガスを原料としてRFプラズマCVD法によりDLC膜を5nm成膜し、再びロールに巻き取った。なお、この時、4層構造の反射防止層を形成してから易滑膜を形成するまで、成膜面にガイドロール等が触れないような装置構造とした。
大気解放直後、積層フィルムの反射防止層表面の静摩擦係数をJIS K 7125に基づき測定したところ、μ=0.29だった。積層フィルム表面の欠陥を確認したところ、100μm以上の欠陥は観察されず、異物付着、薄膜抜け起因で部分的に反射率が高くなる輝点と呼ばれる欠陥も確認されなかった。また、ハードコートを付与したことにより表面硬度が向上し、鉛筆硬度試験3H500g荷重においてもキズが確認されなかった。
(比較例1)
(実施例1)と同じロール・ツー・ロール方式の真空成膜装置を用い、ガスバリア性能を有する積層フィルムを作製した。基材フィルムとして200μm厚のPESを用い、ロールからプラスチックフィルムを巻き出し、機能層として、HMDSOおよびOを混合させRFプラズマ放電により膜厚20nmのSiOxガスバリア層を形成後、再びロールに巻き取った。
大気解放直後、積層フィルムのガスバリア層表面の静摩擦係数をJIS K 7125に基づき測定したところ、μ=0.76だった。積層フィルム表面には50cm角で100μm以上の欠陥は10個観察され、ガイドロールに転写剥離した膜が再転写したと考えられる異物も確認された。水蒸気透過速度(WVTR)を測定したところ、1.3g/m/dayと、ガスバリア性能が劣化した。
(比較例2)
(実施例2)と同じロール・ツー・ロール方式の真空成膜装置を用い、反射防止性能を有する積層フィルムを作製した。一方の面にハードコート樹脂が5μm塗工された188μm厚のPETを基材として用い、ロールから基材を巻き出し、ハードコート層上に機能層として、TiおよびSiをターゲットとしてArおよびOを混合させスパッタリング法により、TiOおよびSiOを順次積層させ4層構造の反射防止層を形成した後、再びロールに巻き取った。
大気解放直後気解放直後、積層フィルムの反射防止層表面の静摩擦係数をJIS K 7125に基づき測定したところ、μ=0.71だった。また、積層フィルム表面には膜抜け欠陥、異物による輝点欠陥が、50cm角で100μm以上のものが5個確認された。
図1は本発明の積層フィルムの別の態様の説明断面図である。 図2は本発明の積層フィルムの別の態様の説明断面図である。 図3は本発明の積層フィルムの真空成膜装置の概略図である。
符号の説明
1 積層フィルム
11 基材フィルム
12 機能層
13 易滑層
14 ハードコート層
2 真空成膜装置
21 巻き出し機構
22 ガイドロール
23 成膜ドラム
24 ガイドロール
25 巻き取り機構
26 第1の成膜手段
27 第2の成膜手段
28 第3の成膜手段

Claims (8)

  1. 基材フィルム上に機能層と易滑層を順に備え、前記易滑層表面のステンレスに対する静摩擦係数μが0.4以下であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記機能層がガスバリア層であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
  3. 前記易滑層の層厚が2nm以上20nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層フィルム。
  4. 前記易滑層が、非晶質ダイヤモンド状炭素膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 真空装置内において、ロール・ツー・ロール方式により、
    巻き取り状の基材フィルムを連続的に送り出す工程と、
    走行する基材フィルムの一方の面に機能層を成膜する工程と、
    該走行する基材状フィルム上の機能層上に易滑層を成膜する工程と、
    走行する基材フィルムを巻き取る工程とを順に備え、且つ、
    前記走行する基材フィルムの一方の面に機能層を成膜する工程と、機能層上に易滑層を成膜する工程の間において走行する基材フィルム上の機能層が部材と接触しないことを特徴とする積層フィルムの製造方法。
  6. 前記機能層がガスバリア層であることを特徴とする請求項5記載の積層フィルムの製造方法。
  7. 前記易滑層の層厚が2nm以上20nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の積層フィルムの製造方法。
  8. 前記易滑層が、非晶質ダイヤモンド状炭素膜であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
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