JP2009218730A - 色変換テーブル作成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所定の媒体に対する画質を向上させ、媒体との対応性を高める。
【解決手段】ある媒体の第1テーブル及び第2テーブルを作成する際に、その媒体とは別の媒体に第1パターンを形成し、別の媒体に形成された第1パターンの測色結果に基づいて、ある媒体のための第2テーブルを作成し、その第2テーブルを用いてある媒体に第2パターンを形成し、ある媒体に形成された第2パターンの測色結果に基づいて、ある媒体のための第1テーブルを作成する。
【選択図】図8

Description

本発明は、色変換テーブル作成方法に関する。
液体吐出装置(例えばプリンタ)で画像を形成する場合、画像データを、当該液体吐出装置で用いられる各液体(CMYKなど)の液体量に変換する必要がある。この変換の際に色変換テーブルが使用される。例えば、各機器に依存しない色空間(例えば、L***)を、各機器に依存する色空間(例えばR´G´B´)に変換するICC(International Color Consortium)プロファイルや、そのR´G´B´色空間を、各液体の液体量に変換するベースLUT(Look Up Table)が使用される(例えば、特許文献1参照)。
ところで、上述した色変換テーブルを作成する際には、まず、ベースLUTが最初に作成される。そして、ベースLUTを用いて形成したパターンの測色結果に基づいてICCプロファイルが作成される。つまり、ICCプロファイルは、ベースLUTと組み合わされて決まることになる。
特開2005−198000号公報
通常、ベースLUTは、媒体に多数のパッチからなるテストパターンを形成し、そのテストパターンの測色結果に基づいて作成されている。
しかし、特殊な媒体を用いた場合、測色の精度が低下するおそれがあった。例えば、凹凸の大きい媒体に印刷を行うと、同じ色であっても測定位置によって測色結果が異なることが多い。このように測定の精度が低下するため、ベースLUTを作成する際に色の連続性を保つことができない(色の階調が滑らかに変化しない)という問題があった。そして、このようなベースLUTを用いてICCプロファイルを作成すると、ICCプロファイルの精度も低下することとなった。このため、凹凸の大きい媒体に形成する画像の画質が低下するという問題点があった。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、所定の媒体に対する画質を向上させ、媒体との対応性を高めることを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、第1色空間の第1階調値を第1テーブルに基づいて第2色空間の第2階調値に変換し、前記第2色空間の前記第2階調値を第2テーブルに基づいて液体吐出装置で用いられる各液体の液体量に変換するための第1テーブル及び第2テーブルの作成方法であって、前記第2色空間の各色の階調値と、前記液体量との対応関係を示す色対応データを定める工程と、前記色対応データを参照して、特定の前記第2階調値に対応する液体量で形成された第1パターンを作成する工程と、前記第1パターンを測色する工程と、前記第1パターンの測色結果に基づいて、前記第2色空間の階調値と液体量とを対応づけることによって前記第2テーブルを作成する工程と、前記第2テーブルを用いて、特定の前記第2階調値で形成された第2パターンを作成する工程と、前記第2パターンを測色する工程と、前記第2パターンの測色結果に基づいて、前記第1色空間の階調値と前記第2色空間の階調値とを対応づけることによって前記第1テーブルを作成する工程と、を有し、ある媒体の前記第1テーブル及び前記第2テーブルを作成する際に、その媒体とは別の媒体に前記第1パターンを形成し、前記別の媒体に形成された前記第1パターンの測色結果に基づいて、前記ある媒体のための前記第2テーブルを作成し、その第2テーブルを用いて前記ある媒体に前記第2パターンを形成し、前記ある媒体に形成された前記第2パターンの測色結果に基づいて、前記ある媒体のための前記第1テーブルを作成することを特徴とする色変換テーブル作成方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
すなわち、第1色空間の第1階調値を第1テーブルに基づいて第2色空間の第2階調値に変換し、前記第2色空間の前記第2階調値を第2テーブルに基づいて液体吐出装置で用いられる各液体の液体量に変換するための第1テーブル及び第2テーブルの作成方法であって、前記第2色空間の各色の階調値と、前記液体量との対応関係を示す色対応データを定める工程と、前記色対応データを参照して、特定の前記第2階調値に対応する液体量で形成された第1パターンを作成する工程と、前記第1パターンを測色する工程と、前記第1パターンの測色結果に基づいて、前記第2色空間の階調値と液体量とを対応づけることによって前記第2テーブルを作成する工程と、前記第2テーブルを用いて、特定前記第2階調値で形成された第2パターンを作成する工程と、前記第2パターンを測色する工程と、前記第2パターンの測色結果に基づいて、前記第1色空間の階調値と前記第2色空間の階調値とを対応づけることによって前記第1テーブルを作成する工程と、を有し、ある媒体の前記第1テーブル及び前記第2テーブルを作成する際に、その媒体とは別の媒体に前記第1パターンを形成し、前記別の媒体に形成された前記第1パターンの測色結果に基づいて、前記ある媒体のための前記第2テーブルを作成し、その第2テーブルを用いて前記ある媒体に前記第2パターンを形成し、前記ある媒体に形成された前記第2パターンの測色結果に基づいて、前記ある媒体のための前記第1テーブルを作成することを特徴とする色変換テーブル作成方法が明らかとなる。
このような色変換テーブル作成方法によれば、ある媒体に形成する画像の画質を向上させることができる。
かかる色変換テーブル作成方法であって、前記第1パターンの測色結果に基づいて、前記液体量を変更して、前記色対応データを変更し、前記第2テーブルを作成する工程では、前記第2色空間の階調値と、変更された後の前記液体量とを対応づけることが望ましい。
このような色変換テーブル作成方法によれば、第2テーブルの色の精度を向上させることができる。
かかる色変換テーブル作成方法は、前記ある媒体が、前記別の媒体よりも凹凸が大きい場合に、より効果的に画質を向上させることができる。
かかる色変換テーブル作成方法であって、各媒体の所定面積に吐出する各液体量の制限値を定める工程をさらに有し、前記色対応データの前記液体量は、前記制限値を超えないように定められる、ことが望ましい。
このような色変換テーブル作成方法によれば、媒体の種類に応じた解像度で画像を形成することができる。
かかる色変換テーブル作成方法であって、前記第1色空間は、個々の前記液体吐出装置に依存しない色空間であり、前記第2色空間は、個々の前記液体吐出装置に依存する色空間である、ことが望ましい。
このような色変換テーブル作成方法によれば、各液体吐出装置に入力される画像データに対して正確な色変換処理を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を液体吐出装置の一つであるプリンタを用いて説明する。
===印刷システム100の構成===
図1は、印刷システム100の構成を説明する図である。例示した印刷システム100は、液体吐出装置としてのプリンタ1と、コンピュータ110とを含んでいる。具体的には、この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有している。プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体にインク(液体の一種)を吐出して画像を印刷する。また、以下の説明では、代表的な媒体である紙S(図3Aを参照。)を例に挙げて説明する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。表示装置120は、例えば、コンピュータプログラムのユーザーインタフェースを表示する。入力装置130は、例えば、キーボード131やマウス132である。記録再生装置140は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置141やCD−ROMドライブ装置142である。
===コンピュータ110===
<コンピュータ110の構成について>
図2は、コンピュータ110、およびプリンタ1の構成を説明するブロック図である。まず、図1及び図2を参照しつつコンピュータ110の構成について簡単に説明する。このコンピュータ110は、前述した記録再生装置140と、コントローラ111とを有している。記録再生装置140は、コントローラ111と通信可能に接続されており、例えばコンピュータ110の筐体に取り付けられている。
コントローラ111は、コンピュータ110における各種の制御を行うものであり、前述した表示装置120や入力装置130も通信可能に接続されている。このコントローラ111は、インターフェース部112と、CPU113と、メモリ114とを有する。インターフェース部112は、プリンタ1との間に介在し、データの受け渡しを行う。CPU113は、コンピュータ110の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ114は、CPU113が使用するコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM、磁気ディスク装置等によって構成される。このメモリ114に格納されるコンピュータプログラムとしては、前述したアプリケーションプログラムやプリンタドライバがある。そして、CPU113は、メモリ114に格納されているコンピュータプログラムに従って各種の制御を行う。
===プリンタ1===
<プリンタ1の構成について>
次に、図2及び図3を参照しつつプリンタ1の構成について説明する。ここで、図3Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。図3Bは、プリンタ1の全体構成の横断面図である。
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、紙Sを所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙Sをプリンタ内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタの外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモータ32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
ヘッドユニット40は、紙Sにインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
なお、本実実施形態では、ヘッド41には6個のノズル列が設けられている。6個のノズル列は、それぞれ濃シアン(C)、濃マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、淡シアン(Lc)、淡マゼンタ(Lm)のインクを吐出する。また、各ノズルからインク滴を吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が、それぞれのノズルに対して設けられている。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙Sの先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙Sの有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙Sの端部の位置を検出し、紙Sの幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙Sの先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64と、駆動信号生成回路65を有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。駆動信号生成部65は、ヘッド41の各ノズルに対応して設けられたピエゾ素子を駆動するための駆動信号を生成する。
印刷を行うとき、コントローラ60は、移動方向に移動中のヘッド41からインクを吐出させるドット形成動作と、搬送方向に紙を搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、無数のドットから構成される画像を紙に印刷する。なお、ドット形成動作のことを「パス」と呼ぶ。
===印刷時の処理について===
図4は、コンピュータ110の印刷処理時の機能ブロック図である。図5は、コンピュータ110のプリンタドライバが行う処理のフロー図である。プログラムであるプリンタドライバは、コンピュータ110のハードウェア(CPU113やメモリ114等)と協働して、図4の各モジュールや図5の各処理を実現する。
まず、プリンタドライバは、アプリケーションから画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を取得し(S101)、その画像データに対して,解像度変換処理を行う(S102)。解像度変換処理は、アプリケーションから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙Sに印刷する解像度(印刷解像度)の画像データに変換する処理である。例えば、印刷解像度が1440×720dpiに指定されている場合、アプリケーションから受け取ったベクター形式の画像データを1440×720dpiの解像度の画像データに変換する。解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間の256階調の階調値を示すデータである。
次に、プリンタドライバは、色変換処理を行う(S103)。色変換処理は、画像データの色空間(RGB色空間)の階調値を、プリンタ1で用いられる各インク(本実施形態の場合、C,M,Y,K,Lc,Lmの6色)のインク量に変換する処理である。色変換処理後の画素データは、C・M・Y・K・Lc・Lmの色空間により表される256階調の階調値を示すデータである。なお、色変換処理の詳細については後述する。
次に、プリンタドライバは、ラスタデータを抽出し、ハーフトーン処理を行う(S104)。なお、ラスタデータとは、一列分のラスタラインの画素に対応する画素データのことである。また、ハーフトーン処理は、256階調の画素データを、プリンタが形成可能な階調数である4階調の画素データに変換する処理である。ハーフトーン処理後の4階調の画素データは、対応する画素に形成するドットの大きさを示すデータとなる。具体的には、大ドット・中ドット・小ドット・ドット無しのいずれかを示すデータになる。
次に、プリンタドライバは、ラスタライズ処理を行う(S105)。ラスタライズ処理は、画像データの中から、各パスのドット形成対象となる画素の画素データを抽出し、パスごとに画素データを並べ替える処理である。
最後に、プリンタドライバは、ラスタライズ処理された画素データにコマンドデータを付加して印刷データを生成し、印刷データをプリンタ1に送信する(S106)。プリンタ1は、印刷データ中のコマンドデータに従って各ユニットを制御し、印刷データ中の画素データに従って各ノズルからインクを吐出する。こうすることによって、紙S上の画素にドットが形成され画像が印刷される。
===色変換処理について===
図6は、プリンタドライバで行われる色変換処理の説明図である。
本実施形態のプリンタドライバでは、図6に示す図中上側と図中下側の2通りの色変換処理を行うことができるようになっている。どちらの処理を行うかは、例えば、画像データのフォーマット形式や、あるいは、印刷時の指定に応じて選択される。
図6の上側の色変換処理は、一般のユーザが使用する通常時の処理であり、色変換はLUT(Look Up Table)が用いられる。なお、LUTは、ある色空間のデータと、別の色空間のデータとの対応関係を複数の参照点について定義したテーブルのことである。本実施形態では、ここでのLUTをPhotoLUTと呼ぶことにする。PhotoLUT10は、3次元の色変換テーブルであり、画像データのRGB色空間の階調値をインク量(C,M,Y,K,Lc,Lm)に変換する。
図7は、3次元のLUTを模式的に示した図である。図の原点は黒(K)であり、R軸、G軸、B軸で形成される色空間となっている。この色空間における各点は、座標(R,G,B)で表すことができる。なお、R、G、Bはそれぞれ256階調(0〜255)である。
また、本実施形態では、この3次元の色空間において、各軸を16分割するように格子を設けている。つまり、各軸に対して17(=256/16+1)個の格子点が設けられている。そして、この3次元の色空間の各格子点の座標(R,G,B)に対応して、インク量(C,M,Y,K,Lc,Lm)がそれぞれ定められている。例えば、図の(R,G,B)には(C,M,Y,K,Lc,Lm)が対応づけられている。
よって、PhotoLUT10を用いることにより、RGB色空間の各階調値を、インク量(C,M,Y,K,Lc,Lm)に変換することができる。なお、画像データの値が格子点に位置しない場合は、周囲の格子点にそれぞれ対応するインク量に基づいて補間を行うことによってインク量を算出する。
このPhotoLUT10を全ての画像のフォーマットについて準備するとデータ量が大きくなりすぎるので、PhotoLUT10は特定の画像フォーマットに対して用意されている。本実施形態では、PhotoLUT10は、一般的に使用されているsRGB及びAdobeRGBの2種類のフォーマットに対してそれぞれ用意されている。つまり、これ以外のフォーマットの画像に対して、PhotoLUT10を用いた色変換を行うと、色変換の処理が正確に行われず、形成される画像の画質が低下してしまうことになる。
一方、図6の下側の色変換処理は、色を忠実に再現したい場合に行われるカラーマネジメント用の処理である。この色変換処理では、ICC(International Color Consortium)の規格に従ったICCプロファイルを用いることで、様々なフォーマットの画像の処理に対応することができる。
ここでは、3種類の色変換が行われる。その色変換テーブルとして、それぞれICCプロファイル11、12および、ベースLUT13が用いられる。なお、ICCプロファイルとしては、LUT(Look Up Table)形式と、変換マトリクス形式の2つのいずれかを取りうる。
ICCプロファイル11は、例えば変換マトリクス形式が適用されている。そして、ICCプロファイル11による色変換処理では、変換式を用いた演算によって、画像データのRGB色空間の階調値を、機器に依存しない色空間(例えば、L***:第1色空間に相当する)の階調値に色変換している。
ICCプロファイル12(第1テーブルに相当する)は、PhotoLUT10と同様の3次元のLUT形式であり、各機器(プリンタ)に依存しないL***色空間の階調値を、各機器に依存する色空間(R′G′B′色空間:第2色空間に相当する)の階調値に変換する。ICCプロファイル12がPhotoLUT10と異なるのは、入力がL***色空間の階調値であり、出力がR′G′B′色空間の階調値である点である。このように、ICCプロファイル12を用いた色変換では、L***色空間の階調値をR′G′B′色空間の階調値に変換している。なお、ICCプロファイル12はプリンタ及び媒体(紙S)毎に差し替えることが可能である。これにより、画像データの色を忠実に再現することが可能となる。
ベースLUT13(第2テーブルに相当する)も、PhotoLUT10と同様の3次元のLUTであり、プリンタに依存するR′G′B′色空間の階調値を、インク量(C,M,Y,K,Lc,Lm)に変換する。ベースLUT13がPhotoLUT10と異なるのは、入力がプリンタに依存するR′G′B′色空間の階調値である点である。このように、ベースLUT13を用いた色変換では、R′G′B′色空間の階調値をインク量(C,M,Y,K,Lc,Lm)に変換している。
このように、図6の紙面下側の色変換処理では、ICCプロファイル11、ICCプロファイル12、ベースLUTによる3回の色変換を行うことによって、画像データのRGB色空間の階調値を各インクのインク量に変換している。
以下、図6に示す色変換テーブル(PhotoLUT10、ICCプロファイル12、ベースLUT13)の作成方法について説明する。なお、ICCプロファイル11は、周知の変換マトリクス(変換式)であるので、説明は省略する。
===色変換テーブルの作成について===
<参考>
各色変換テーブル(PhotoLUT10、ICCプロファイル12、ベースLUT13)は、紙Sの種類毎に用意される。そして、これらの色変換テーブルを作成する際は、作成の対象となる紙Sに、階調値の異なる多数のパッチからなるテストパターンを印刷し、そのテストパターンを、測色器を用いて測色することに基づいて作成される。
この3つの色変換テーブルにおいて、最初に、ベースLUT13が作成される。そして、そのベースLUT13を用いることによって、PhotoLUT10及びICCプロファイル12が作成される。
ところで、紙Sとして特殊なものがある。例えば、アート系の紙には凹凸の大きいものがある(例えば、エプソン社製のTextured Fine Art Paper)。このような紙についても、対応する色変換テーブルを求める必要がある。
ところが、凹凸の大きい紙Sに、テストパターンを形成した場合、測色器によって測色する際に反射光が散乱してしまい、安定した測色結果が得られない。例えば、同じ色であっても測定位置によって測定結果が異なることが多い。このように、凹凸の大きい紙Sに対して精度の高い測色を行うことが困難であった。そして、測色結果がばらつくためベースLUT13を作成する際に、色の連続性が保てない(色の階調が滑らかに変化しない)という問題があった。
また、測色の精度が低下するのは、PhotoLUT10及びICCプロファイル12を作成する場合も同様であり、この場合、色の階調が滑らかに変化していないベースLUT13を用いるため、色の精度がさらに低下することになった。
よって、凹凸の大きい紙Sに形成する画像の画質を向上させるのは困難であった。
<本実施形態>
前述したように、図6の色変換テーブルを作成する際、最初にベースLUT13を作成する。そして、ICCプロファイル12及びPhotoLUT10は、ベースLUT13と組み合わされて後で決まる。つまり、インク量は、後から形成されるICCプロファイル12やPhotoLUT10の設定に依存することになるので、ベースLUT13の作成時には、目的の色を形成するためのインク量を厳密に定めておく必要はない。ベースLUT13を作成する際には、その液体吐出装置によって表現できる色の領域(以下、ガマットともいう)を最大限に定めておくことと、色の連続性を保つようにすることが重要になる。これに対し、ICCプロファイル12及びPhotoLUT10を作成する際には、色の連続性と色の精度が要求される。
そこで、本実施形態では、凹凸の大きい紙SのベースLUT13を作成する場合、その紙Sに対して発色特性が近似しており、表面が平滑な紙S′にテストパターンを形成する。これにより、測色を安定して行うことができ、ベースLUT13の色の連続性を保つようにすることができる。
そして、色の連続性が保たれたベースLUT13を用いて、目的の凹凸の大きい紙Sにテストパターンを形成し、その測色結果をスムージングすることによりICCプロファイル12及びPhotoLUT10を作成する。こうすることにより、ICCプロファイル12やPhotoLUT10の精度を向上させることができる。
以下、本実施形態の色変換テーブルの作成方法の詳細について説明する。
図8は、プリンタ1の色変換テーブル作成時のシステムの説明図である。ここでは、色変換テーブル作成用のコンピュータ200と測色器300(例えば、Gretag社製のSpectrolino)とプリンタ1が用意されている。測色器300は、予めコンピュータ200に接続されている。図中のコンピュータ200内に描かれた各モジュールは、ソフトウェア及びハードウェアによって実現される。
前述したように、最初にベースLUT13の作成を行う。このベースLUT13の作成には、デューティ制限値、分版データ(色対応データに相当する)を使用する。まず、このデューティ制限値、分版データについて説明する。
<デューティ制限値について>
デューティ制限値は、紙の単位面積の中に、打ち込む(吐出する)ことのできるインク量を示すものである。デューティ制限値は、紙の種類や形成する画像の解像度に依存する。また、デューティ制限値として、インク単色によるデューティ制限値や、複数色の合計によるデューティ制限値がある。例えば、ある紙のある解像度におけるデューティ制限値として、単色では80%、各色の合計では120%のように定められる。
<分版データについて>
分版データは、R′G′B′色空間の階調値と、プリンタ1で使用する各インクのインク量との対応関係を示すデータである。
図9は、R′G′B′色空間を3次元で示した図である。また、図10Aは、図9のグレー軸上の各格子点の分版データであり、図10Bは、図9の黒−赤軸上の各格子点の分版データである。図10A及び図10Bの横軸は階調値を示しており、縦軸はインク量を示している。なお、グレー軸上ではR′=G′=B′であり、図10Aの横軸は、そのうちの一つの色の階調値を示している。例えば図10Aの階調値0はR′G′B′の階調値が全て0であることを示しており、図10Aの階調値255は、R′G′B′の階調値が全て255であることを示している。また、図10BではR′の階調値を示している(G′B′の階調値はともに0)。例えば、図10Bの階調値255は、R′の階調値が255であり、G′B′の階調値が0であることを示している。この図10A及び図10Bは、使用するインクが6色(C,M,Y,K,Lc,Lm)である場合の分版データの一例である。分版データは、プリンタで使用するインクの数や種類、形成する画像の解像度などによって変わる。
図9に示すように、R′G′B′色空間は図7と同様に3次元の色空間である。そしてその色空間内に複数の格子点を設けている。本実施形態では、R′G′B′色空間の各軸上にそれぞれ17個の格子点を設けている。
図9のグレー軸上の各格子点の分版データは図10Aのようになっている。図の左側ほど黒が強くなり、右側ほど白が強くなる。例えば、階調値0では使用されるインクはブラック(K)のみである。ブラック(K)の使用量は、右側になるほど(階調値が高くなるほど)少なくなっている。また、階調値が低い部分(例えば140未満)では、主に、濃マゼンダ(M)、濃シアン(C)、イエロー(Y)が使用され、階調値が高い部分(例えば140以上)では、主に、淡シアン(Lm)、淡マゼンダ(Lc)、イエロー(Y)が使用される。そして、階調値255では、すべてのインクについてインク量が0(すなわちインクを吐出しない)となっている。このように、階調値に応じて、使用するインクの種類やインク量が変化している。
また、図9の黒−赤軸上の各格子点の分版データは図10Bのようになっている。図の左側ほど黒が強くなり、右側ほど赤が強くなる。この場合もグレー軸と同様に各格子点において、インク量が定められている。例えば、階調値0ではブラック(K)の量が多く、階調値が高くなると、ブラック(K)の量が減少し、濃マゼンタ(M)の量が増加する。そして、さらに階調値が高くなると濃マゼンタ(M)が減少し、淡ゼンダ(Lm)の量が増加している。
この例ではR′G′B′色空間の2つの軸上の分版データについて説明したが、他の軸上の格子点についても、同様にして、それぞれ分版データが定められている。なお、分版データには、上述したデューティ制限値が加味されている。また、各インクの組み合わせによって、表現可能な色が多いほど画質向上上で好ましいことから、表現できる色の領域(ガマット)が出来るだけ広くなるように定められている。つまり、分版データは、プリンタ1のガマットを最大限に利用でき、且つ、デューティ制限値を越えない範囲で定められている。
このように、分版データは、R′G′B′色空間の各色の階調値とインク量との対応関係を示すデータである。
<ベースLUT13の作成について>
次に、ベースLUT13の作成フローについて説明する。
図11は、図8で示したシステムにおける本実施形態のベースLUT13の作成のフロー図である。
まず、コンピュータ200は、色変換テーブル作成の印刷対象となる紙Sの特性及び印刷の解像度に応じて、デューティ制限値、及び分版データの設定を行う(S201)。
次に、コンピュータ200の印刷モジュールが、分版データに従って、例えば図9に示すベースLUTの格子点を間引きして得た格子点に対応するインク量を用いたテストパターン(第1パターンに相当する)の印刷データを作成する(S202)。そしてその印刷データをプリンタ1に送信する。
プリンタ1は、印刷データを受信すると、紙S′にテストパターンを印刷する(S203)。測色器300は、例えばコンピュータ200に制御されて、テストパターンの測色を行なう(S204)。本実施形態では、表面が平滑な紙S′にテストパターンを形成しているので、凹凸の大きい紙Sにテストパターンを形成した場合に比べて、安定した測色を行うことができ、測色の精度を向上させることができる。
なお、紙S′としては、紙Sに発色特性が近似しており、デューティ制限値が紙Sのデューティ制限値よりも高いものも用いるようにする。もし仮に紙S′のデューティ制限値の方が紙Sのデューティ制限値よりも低いとすると、紙Sのデューティ制限値で紙S′にパターンを形成すると滲んでしまうおそれがある。本実施形態では、凹凸の大きい紙Sとして、Textured Fine Art Paper(エプソン社製)を使用し、表面が平滑な紙S′として、Ultra Smooth Fine Art Paper(エプソン社製)を使用した。
コンピュータ200は、測色器300から測色結果を取得する(S205)。この測色により、R′G′B′色空間の各格子点の階調値で印刷されたパッチの測色結果がL***色空間の階調値(以下、L***値ともいう)として取得される。測色結果を取得すると、コンピュータ200は、測色結果の色が滑らかに変化しているか否かの判断を行う(S206)。測色結果の色が滑らかに変化していないと判断した場合(S206でNO)、スムージング処理を行う(S207)。なお、ここでのスムージング処理とは、測色結果の色の階調値の変化が滑らかになるように、分版データのインク量を調整する処理である。
図12A及び図12Bは、ベースLUT13作成時のスムージング処理の説明図である。図12Aは、測色結果を示す図であり、図12Bは、その測定結果に対応する分版データを示す図である。なお、図12Aの横軸は、黒−赤軸の階調値を示し、縦軸は、測色結果のうちのa*及びb*のそれぞれの大きさを示している。
図12Aでは、階調値Aのところで測定結果が滑らかになっていない。具体的には、階調値Aではa*が低く、b*が高くなっている。この場合、図12Bのように、分版データの階調値Aに対応するマゼンダ(M)のインク量が少なく、イエロー(Y)のインク量が多いことを示している。そこで、コンピュータ200のスムージング処理モジュールは、この測定結果に基づいて、a*及びb*の変化が滑らかになるように分版データの階調値Aのマゼンダ(M)のインク量を多くし、イエロー(Y)のインク量を少なくする。このようにして、分版データが修正される。
その後、コンピュータ200は、S206の判断を再度実行する。
一方、S206で色の変化が滑らかであると判断した場合(S206でYES)。LUT作成モジュールは、前記間引きして得た格子点の分版データに基づいて、ベースLUT13における各格子点に対するインク量を算出する(S208)。すなわち、測色していない格子点のインク量を、測色した格子点に定められたインク量を用いて階調値が連続的に変化するように、各格子点に対応するインク量を算出する。そして、色空間R′G′B′の階調値と各インクのインク量とを対応づけたベースLUT13を作成する。(S209)。このベースLUT13は記憶部に記憶される。
以上説明したように、本実施形態では、凹凸の大きい紙SのベースLUT13を作成する際、表面が平滑な紙S′を用いてテストパターンを作成しているので、安定した測色を行うことができ、色の連続性を保つことが可能となる。
<ICCプロファイルの作成について>
ICCプロファイル12及びPhotoLUT10では、色の連続性に加えて色の精度が要求される。このため、凹凸の大きい紙SのICCプロファイル12及びPhotoLUT10を作成する際には、それ以外の紙を使用することができない。従って、凹凸の大きい紙Sにテストパターンを形成することになるので、測色の精度が低下し(測色誤差が増大し)、ICCプロファイル12やPhotoLUT10の精度が低下するおそれがある。そこで、本実施形態では、ICCプロファイル12、PhotoLUT10を作成する際には、測定結果の平滑化を行なうことにより測色の誤差を取り除き、測色の精度の向上を図るようにしている。
図13は、本実施形態のICCプロファイル12の作成のフロー図である。
まず、コンピュータ200の印刷モジュールは、表面が平滑な紙S′を使用して生成されたベースLUT13を記憶部から読み出す(S301)。そして、ベースLUT13の格子点(階調値)に対応するテストパターン(第2パターンに相当する)の印刷データを作成する(S302)。なお、ベースLUT13には、R′G′B′色空間の各格子と各インクのインク量とが対応づけられているので、このR′G′B′色空間の階調値の印刷データは、それに対応する各色のインク量による印刷データと等価である。
そして、コンピュータ200は、その印刷データをプリンタ1に送信する。プリンタ1は、印刷データを受信すると、紙Sにテストパターンを印刷する(S303)。測色器300は、例えばコンピュータ200に制御されて、テストパターンの測色を行う(S304)。
そして、コンピュータ200は、測色器300から測色結果を取得する(S305)。ここで、印刷データは、色の連続性が保たれたベースLUT13を用いて作成されているので、例えば表面が平滑な紙S′にテストパターンを印刷した場合には、測定結果が滑らかになっているはずである。言い換えると、S305で得られた測色結果が滑らかでない場合、その原因は、凹凸の大きい紙Sにテストパターンを印刷したことによる測色の誤差によるものと考えられる。
そこで、コンピュータ200のスムージング処理モジュールは、測定結果のスムージング処理を行う(S306)。ここでのスムージング処理は、測定結果が滑らかになるように、測色結果を調整する処理である。
以下、図14A〜図14Cを参照しつつ、スムージング処理、及び、マッピング処理について説明する。図14Aは、ベースLUT13を3次元で示した図である。図14Bは、スムージング処理の説明図である。図14Cは、L***色空間の3次元の概略図である。
図14Bの横軸は階調値を示し(図10Aの横軸と同じ)、縦軸はL*の大きさを示している。また、図14Bの黒色の四角は、各階調でのテストパターンの測定結果を示しており、実線(曲線)は、測定結果をスムージング処理した結果を示している。
図14CのL*軸は明度の軸であり、プラス側ほど明るくなり(白に近づく)、0に近づくほど暗くなる(黒に近づく)。その間は、明るさ(階調値)の違う灰色となっている。このL*軸から離れるほど彩度が高くなり、鮮やかな色になる。例えば、a*がプラス側になるほど、赤味が強くなり、a*がマイナス側になるほど、緑味が強くなる。また、b*がプラス側になるほど、黄味が強くなり、b*がマイナス側になるほど、青味が強くなる。なお、図示していないが、このL***色空間にも複数の格子点が設けられている。
ICCプロファイル12は、図14CのL***色空間の階調値を図14AのR′G′B′色空間の階調値に変換する色変換テーブルである。この場合、前述したPhotoLUT10と同様に、図14CのL***色空間の複数の格子点にそれぞれ対応するR′G′B′色空間の階調値が設定される。従って、ICCプロファイル12を作成するには、L***色空間の各格子点にそれぞれ対応するR′G′B′色空間の階調値を求めなければならない。以下の説明では、説明の都合上、ICCプロファイル12を作成する際の処理を、図14Aのグレー軸上の格子点を用いて説明する。
S303で印刷されたテストパターンには、図14Aのグレー軸にある格子点の階調値のパッチが形成されている。そして、S304の測色結果から、その各格子点に対応するL***値が得られる。例えば、図14Bの黒色の四角は、各格子点のL*の測定結果を示している。
ICCプロファイル12を作成する際には、凹凸の大きい紙Sにテストパターンを形成しているので、図14Bに示すように測色から得られる測定結果はばらついている。そこで、スムージング処理によって、測定結果の平滑化を行う。本実施形態では、測定結果に対して5次の多項式近似を用いて平滑化を行った。これにより、図14Bのように、滑らかな近似曲線を得ることができた。なお、本実施形態では測定結果に対して、5次の多項式近似を行ったが、次数が少なすぎると平滑にならず、逆に次数が多すぎると誤差を取り除くことが困難になる。この平滑化に最適な次数は設定する格子点の数によって異なってくる。なお、本実施形態では、多項式近似を用いたがこれ以外の方法で平滑化を行うようにしてもよい。
次に、求めた図14Bの多項式近曲線を用いて、各格子点の正確なL***値を求める。例えば図14Bにおいて、R′=G′=B′=mの階調値の階調値に対応するL*値がlとなり、R′=G′=B′=m、R′=G′=B′=mの階調値に対応するL*値l、lも近似曲線から求められる。
同様にa**についても同じスムージング処理を行い、測色値を滑らかにする。以上の処理により、ベースLUT13において、R′G′B′階調値と印刷したパターンの正確なL***の値の対応関係を求めることができた。
そして、LUT作成モジュールは、L***色空間と、上記ベースLUT13でのL***値を対応させる処理(いわゆるマッピング処理S307)を行い、上記ベースLUT13で求めたR′G′B′階調値とL***の値の対応関係を使い、ICCプロファイル12を作成する(S308)。マッピング処理技術に関しては、一般に公知されているものを用いるので、ここでの説明は省略する。
<PhotoLUTの作成について>
図15は、本実施形態のPhotoLUT10の作成のフロー図である。
まず、コンピュータ200の印刷モジュールは、表面が平滑な紙S′を使用して生成されたベースLUT13を記憶部から読み出す(S401)。そして、ベースLUT13の格子点に対応するテストパターンの印刷データを作成する(S402)。なお、ベースLUT13には、R′G′B′色空間の各格子と各インクのインク量とが対応づけられているので、このR′G′B′色空間の階調値の印刷データは、それに対応する各色のインク量による印刷データと等価である。
プリンタ1は、印刷データを受信すると、紙Sにテストパターンを印刷する(S403)。測色器300は、例えば、コンピュータ200に制御されて、このテストパターンの測色を行う(S404)。この測色により、R′G′B′色空間の特定の階調値で印刷されたパッチのL***値が取得される。
コンピュータ200は、測色器300から測色結果を取得する(S405)。ここでも、凹凸の大きい紙Sにテストパターンを印刷しているので、測色の誤差が大きくなっている。コンピュータ200のスムージング処理モジュールは、測定結果のスムージング処理を行う(S406)。なお、このスムージング処理は、ICCプロファイル12を作成する場合(S306)と同じであるので、説明を省略する。
ここで、PhotoLUT10の入力信号RGB色空間(例えばsRGB、AdobeRGBなど)を設定し、このRGB色空間の各格子点の階調値は予め定めておく。なお、このRGB色空間の格子点の階調値は、例えばICCプロファイル11のような周知の変換式によりL***色空間の値に変換できる。つまり、PhotoLUT10に登録するRGB色空間の格子点に対応するL***値が定められている。
次に、コンピュータ200のマッピング処理モジュールは、平滑化された測色結果を用いてマッピング処理を行う(S407)。ここでは、PhotoLUT10に登録する格子点に対応するL***値と、上記スムージング処理を行ったベースLUT13のL***値とを対応させる処理(マッピング処理)を行う。マッピング処理技術に関しては、一般に公知されているものを用いるので、ここでの説明は省略する。
すなわち、PhotoLUT10に登録するRGB色空間の格子点の階調値と、R′G′B′色空間の階調値とが対応づけられる。なお、R′G′B′色空間の階調値は、ベースLUT13によって各インクのインク量と対応付けられているので、このマッピング処理により、PhotoLUT10のRGB色空間の階調値と各インクのインク量とが対応づけられることになる。そして、LUT作成モジュールは、マッピング処理の結果に基づいて、PhotoLUT10を作成する(S408)。
以上説明したように、表面が平滑な紙S′を用いてベースLUT13を作成することにより、ベースLUT13での色の連続性を保つようにすることができる。また、ICCプロファイル12及びPhotoLUT10を作成する際、色の連続性が保たれたベースLUT13を用いているので、凹凸の大きい紙Sにテストパターンを形成しても、測定結果を平滑化することにより、測色の誤差を取り除くことができる。よって、ICCプロファイル12及びPhotoLUT10の精度を高めることができる。
よって、紙Sに形成される画像の画質を向上させることができ、プリンタ1の媒体との対応性を高めることができる。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<プリンタについて>
前述の実施形態では、プリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタの実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。
<コンピュータについて>
前述の実施形態では、コンピュータ110のプリンタドライバが色変換処理を行っていたが、これに限らない。例えばデジタルスチルカメラ(不図示)にコンピュータ110のプリンタドライバと同様の機能を設け、デジタルスチルカメラとプリンタ1とが直接接続されることで、コンピュータ110を用いずに図4の処理を行うようにしてもよい。また、図4のプリンタドライバの機能をプリンタ1に設けるようにしてもよい。
<スムージング処理について>
前述の実施形態では、ベースLUT13を作成する際、測色結果に基づいてインク量を調整するスムージング処理を行っていたが、スムージング処理を行わずにベースLUT13を作成してもよい。こうすることにより、ベースLUT13の作成工程を簡略化することができる。また、前述の実施形態では、ICCプロファイル12及びPhotoLUT10の作成時に、スムージング処理として測定結果の平滑化を行っていたが、平滑化を行わずにICCプロファイル12及びPhotoLUT10を作成してもよい。
印刷システムの構成を説明する図である。 コンピュータ、およびプリンタの構成を説明するブロック図である。 図3Aは、プリンタの全体構成の概略図である。また、図3Bは、プリンタの全体構成の横断面図である。 コンピュータによる印刷処理時の機能ブロック図である。 コンピュータのプリンタドライバが行う処理のフロー図である。 色変換処理の説明図である。 3次元のLUTを模式的に示した図である。 プリンタの色変換テーブル作成時のシステムの説明図である。 R′G′B′色空間を3次元で示した図である。 図10Aは、グレー軸上の各格子点の分版データの説明図であり、図10Bは、黒−赤軸上の各格子点の分版データの説明図である。 本実施形態のベースLUTの作成のフロー図である。 ベースLUT作成時のスムージング処理の説明図である。図12Aは、測色結果を示す図であり、図12Bは、その測定結果に対応する分版データのインク量を示す図である。 本実施形態のICCプロファイルの作成フロー図である。 図14Aは、R′G′B′色空間を3次元で示した図である。図14Bは、スムージング処理及びマッピング処理の説明図である。図14Cは、L***色空間の3次元の概略図である。 本実施形態のPhotoLUTの作成フロー図である。
符号の説明
1 プリンタ、10 PhotoLUT、11,12 ICCプロファイル、
13 ベースLUT、20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、
22 搬送モータ(PFモータ)、23 搬送ローラ、24 プラテン、
25 排紙ローラ、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモータ(CRモータ)、40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60,111 コントローラ、61、112 インターフェース部、
62,113 CPU、63,114 メモリ、64 ユニット制御回路、
65 駆動信号生成回路、110,200 コンピュータ、120 表示装置、
130 入力装置、131 キーボード、132 マウス、140 記録再生装置、
141 フレキシブルディスクドライブ装置、142 CD−ROMドライブ装置、
300 測色器

Claims (5)

  1. 第1色空間の第1階調値を第1テーブルに基づいて第2色空間の第2階調値に変換し、
    前記第2色空間の前記第2階調値を第2テーブルに基づいて液体吐出装置で用いられる各液体の液体量に変換するための第1テーブル及び第2テーブルの作成方法であって、
    前記第2色空間の各色の階調値と、前記液体量との対応関係を示す色対応データを定める工程と、
    前記色対応データを参照して、特定の前記第2階調値に対応する液体量で形成された第1パターンを作成する工程と、
    前記第1パターンを測色する工程と、
    前記第1パターンの測色結果に基づいて、前記第2色空間の階調値と液体量とを対応づけることによって前記第2テーブルを作成する工程と、
    前記第2テーブルを用いて、特定の前記第2階調値で形成された第2パターンを作成する工程と、
    前記第2パターンを測色する工程と、
    前記第2パターンの測色結果に基づいて、前記第1色空間の階調値と前記第2色空間の階調値とを対応づけることによって前記第1テーブルを作成する工程と、
    を有し、
    ある媒体の前記第1テーブル及び前記第2テーブルを作成する際に、
    その媒体とは別の媒体に前記第1パターンを形成し、
    前記別の媒体に形成された前記第1パターンの測色結果に基づいて、前記ある媒体のための前記第2テーブルを作成し、
    その第2テーブルを用いて前記ある媒体に前記第2パターンを形成し、
    前記ある媒体に形成された前記第2パターンの測色結果に基づいて、前記ある媒体のための前記第1テーブルを作成する
    ことを特徴とする色変換テーブル作成方法。
  2. 請求項1に記載の色変換テーブル作成方法であって、
    前記第1パターンの測色結果に基づいて、前記液体量を変更して、前記色対応データを変更し、
    前記第2テーブルを作成する工程では、前記第2色空間の階調値と、変更された後の前記液体量とを対応づける
    ことを特徴とする色変換テーブル作成方法。
  3. 請求項1又は2に記載の色変換テーブル作成方法であって、
    前記ある媒体は、前記別の媒体よりも凹凸が大きい
    ことを特徴とする色変換テーブル作成方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の色変換テーブル作成方法であって、
    各媒体の所定面積に吐出する各液体量の制限値を定める工程をさらに有し、
    前記色対応データの前記液体量は、前記制限値を超えないように定められる
    ことを特徴とする色変換テーブル作成方法。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の色変換テーブル作成方法であって、
    前記第1色空間は、個々の前記液体吐出装置に依存しない色空間であり、
    前記第2色空間は、個々の前記液体吐出装置に依存する色空間である
    ことを特徴とする色変換テーブル作成方法。
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