JP2009218268A - 圧粉磁心コアの製造方法、及びそれに用いられる金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】 圧縮成形で、圧縮成形体をダイから抜き出す際の、圧縮成形体と金型のキャビティ壁の間の高摩擦抵抗による樹脂コート鉄系粉末の樹脂剥離部を樹脂被覆し、圧縮成形体の強度を高めることが可能な圧粉磁心コア製造方法及びそれに用いられる金型を提供する。
【解決手段】 ダイ1と下パンチ3によって形成されるキャビティ2内へ樹脂コート系鉄粉末5を充填し、上パンチ7と下パンチ3により、プレスして圧縮成形体6を作製する。開口の水平断面の面積が、キャビティ2の水平断面の面積よりも大きい樹脂成形用金型9を、樹脂成形体6を覆うように配置し、充填孔10から溶融状態のシリコン樹脂12を充填する。下パンチ3を上方向にプレス圧を与えて変位させ、シリコン樹脂を圧縮成形体6に含浸し、側面6’に被覆する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ダイ1と下パンチ3によって形成されるキャビティ2内へ樹脂コート系鉄粉末5を充填し、上パンチ7と下パンチ3により、プレスして圧縮成形体6を作製する。開口の水平断面の面積が、キャビティ2の水平断面の面積よりも大きい樹脂成形用金型9を、樹脂成形体6を覆うように配置し、充填孔10から溶融状態のシリコン樹脂12を充填する。下パンチ3を上方向にプレス圧を与えて変位させ、シリコン樹脂を圧縮成形体6に含浸し、側面6’に被覆する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、圧粉磁心製コアを製造する方法、及びそれに用いられる金型に関し、さらに詳細には、樹脂で被覆される圧粉磁心製コアを製造する方法、及び当該方法に用いられる金型に関する。
近年、高電圧用リアクトルの磁心材料や、小型モータの高回転数化や電源トランスの高周波数化による小型化等に伴って高周波磁場で使用される磁心材料として、圧粉磁心製コアが使用されている。一般に、この圧粉磁心製コアは、表面にシリコン樹脂等の絶縁性樹脂をコーティングした鉄系粒子からなる粉末(以下、本明細書では、適宜「樹脂コート鉄系粉末」という。)を、ダイと、このダイのキャビティ内で変位可能な上パンチと下パンチとを具備する金型のキャビティ内に充填し、圧縮成形加工により作製されている。このような樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形して圧粉磁心製コアを製造することは、従来から行われている(例えば特許文献1参照)。
ところで、この圧縮成形加工では、ダイ壁面に潤滑剤を塗布しながら、高圧力(高プレス圧)を樹脂コート鉄系粉末にかけて圧縮成形体が作製されるが、この圧縮成形体をダイから抜き出す際に、圧縮成形体と金型のキャビティ壁との間に高い摩擦抵抗が発生し、この摩擦抵抗により、樹脂コート鉄系粉末の粒子表面を被覆していた樹脂が剥離される。この剥離部分は、鉄系材料が空気に曝される結果、酸化(錆びが発生)し易く、もって、この酸化(錆びの発生)部分が、圧粉磁心製コアの磁気特性を劣化させる要因となる。
また、樹脂コート鉄系粉末を構成する粒子は、略球状や少なくともエッジ部のないような滑らかな面を持つ形状であり、その上に樹脂コートが被覆されている。そして、圧粉磁心製コア作製工程に圧粉の粒子間を結合する焼結工程がないためもあって、圧粉磁心製コアとなる圧縮成形体の粒子同士の結合力が弱く、もって圧縮成形体の強度が低い。そのため、圧縮成形体(特にエッジ部)に欠けや割れ等の不具合を生じ易くなる。
特開2001−267160号公報
そこで、本発明は、樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形加工し、圧粉磁心コアを製造する際、樹脂コート鉄系粉末からなる圧縮成形体を、下パンチで鉛直下方から押圧しながら金型のキャビティから抜き出す(押し出す)ときに発生しうる樹脂コート鉄系粉末の樹脂の剥離部を、溶融状態の樹脂でさらに被覆し、もって、酸化(錆びの発生)を防止することが可能な圧粉磁心コアの製造方法を提供することを第1の目的とする。さらには、その樹脂被覆によって、同時に、圧粉磁心コアの強度を高めて、ハンドリング(若しくはアセンブリ)時に圧縮磁心コアに欠けや割れ等が発生することを防止することができる、圧粉磁心コアの製造方法を提供することを第2の目的とする。また、上記製造方法に使用される金型を提供することを第3の目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の圧粉磁心コアの製造方法は、ダイのキャビティ内で、樹脂コート鉄系粉末を下パンチと上パンチ間で圧縮成形し(以下、これらダイと上下パンチとで構成される金型の1セットを、適宜「第一の金型」という。)、樹脂コート鉄系粉末の圧縮成形体を形成し、上パンチを前記キャビティから除去し、樹脂充填孔を持つ樹脂成形用金型(以下、適宜「第二の金型」という。)を、前記ダイの上に前記キャビティを覆うようにして設置し、所定量の樹脂を、前記樹脂充填孔から前記圧縮成形体へ含浸かつ被覆し、前記下パンチを前記キャビティ内で変位させて、前記圧縮成形体を溶融状態の樹脂に覆われた樹脂成形用金型に当接させ、前記樹脂コート鉄系粉末の圧縮成形体を樹脂で被覆して圧粉磁心コアを製造する。これにより、圧粉磁心コアの酸化(錆びの発生)を防ぎ、かつ、その強度を高めることを可能とする。なお、本発明の圧粉磁心コア製造方法及び及びそれに用いられる金型の、各種態様およびそれらの作用および効果については、以下の、発明の態様の項において詳しく説明する。
<発明の態様>
<発明の態様>
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項乃至(5)項の各々が、請求項1乃至請求項5の各々に相当する。
(1) ダイと、このダイのキャビティ内で一軸方向に変位可能な上パンチと下パンチとを具備する金型を用いて、圧縮成形加工により圧粉磁心コアを製造する方法であって、
ダイと下パンチとによって形成されるキャビティへ、樹脂コート鉄系粉末を充填する工程Aと、
前記樹脂コート鉄系粉末を下パンチと上パンチで圧縮成形し、前記樹脂コート鉄系粉末の圧縮成形体を作製する工程Bと、
上パンチをキャビティから除去し、樹脂充填孔を持つ樹脂成形用金型を、前記ダイの上にキャビティを覆うようにして設置する工程Cと、
溶融状の樹脂を、前記樹脂充填孔から前記キャビティ内に充填する工程Dと、
前記下パンチを前記キャビティ内で鉛直上方向へ変位させ、前記溶融状の樹脂を前記圧縮成形体に含浸し被覆して、前記圧縮成形体の表面に樹脂層を形成する工程Eと、を含むことを特徴とする圧粉磁心コアの製造方法。
ダイと下パンチとによって形成されるキャビティへ、樹脂コート鉄系粉末を充填する工程Aと、
前記樹脂コート鉄系粉末を下パンチと上パンチで圧縮成形し、前記樹脂コート鉄系粉末の圧縮成形体を作製する工程Bと、
上パンチをキャビティから除去し、樹脂充填孔を持つ樹脂成形用金型を、前記ダイの上にキャビティを覆うようにして設置する工程Cと、
溶融状の樹脂を、前記樹脂充填孔から前記キャビティ内に充填する工程Dと、
前記下パンチを前記キャビティ内で鉛直上方向へ変位させ、前記溶融状の樹脂を前記圧縮成形体に含浸し被覆して、前記圧縮成形体の表面に樹脂層を形成する工程Eと、を含むことを特徴とする圧粉磁心コアの製造方法。
本項に記載の態様は、ダイのキャビティに充填された樹脂コート鉄系粉末を、上パンチ及び/又は下パンチのプレス圧で、圧縮成形(一軸方向圧縮成形)し、圧粉磁心コアを製造する際に適用可能である。当該圧縮成形の際に、上パンチ及び/又は下パンチのプレス圧により、樹脂コート鉄系粉末からなる圧縮成形品と金型のキャビティの内壁とが擦れ合うことで摩擦抵抗が生じ、樹脂コート鉄系粉末の粒子を覆っていた樹脂コートが剥離され非酸化面が露出するが、本項に記載の圧粉磁心コアの製造方法によれば、一連の成形工程の中で、その樹脂コート剥離部を、樹脂で被覆し、酸化(錆びの発生)を防止できる。また、この樹脂被覆によって、本来的に強度が低い圧粉磁心コアの強度を高めることができる。
(2) 工程Eにおいて、前記樹脂コート鉄系粉末の圧縮成形体の少なくとも側面に、前記樹脂層を形成することを特徴とする(1)に記載の圧粉磁心コアの製造方法。
本項に記載の態様によれば、例えば、(1)項の樹脂成形用金型を、下向きに開口された中空形状とすることによって、この中空内に、溶融状態の樹脂(シリコン樹脂等)を充填し、その充填された樹脂に対して、圧縮成形品を下パンチにより押し上げて含浸させることで、特に樹脂コート剥離部を含む側面に対して樹脂被覆を可能とする。さらに、圧縮成形品の側面を被覆した樹脂の余剰分が、圧縮成形品の上面にも回りこむようにすることが可能である。この際、圧縮成形品の側面、さらには上面に、溶融状態の樹脂が、圧縮成形品、すなわち圧粉磁心コアを構成する樹脂コート鉄系粉末の粒子間の空隙に入り込む。これにより、圧粉磁心コアの酸化(錆びの発生)を防止し、さらに圧粉磁心コアの強度を高めることができる。
本項に記載の態様によれば、例えば、(1)項の樹脂成形用金型を、下向きに開口された中空形状とすることによって、この中空内に、溶融状態の樹脂(シリコン樹脂等)を充填し、その充填された樹脂に対して、圧縮成形品を下パンチにより押し上げて含浸させることで、特に樹脂コート剥離部を含む側面に対して樹脂被覆を可能とする。さらに、圧縮成形品の側面を被覆した樹脂の余剰分が、圧縮成形品の上面にも回りこむようにすることが可能である。この際、圧縮成形品の側面、さらには上面に、溶融状態の樹脂が、圧縮成形品、すなわち圧粉磁心コアを構成する樹脂コート鉄系粉末の粒子間の空隙に入り込む。これにより、圧粉磁心コアの酸化(錆びの発生)を防止し、さらに圧粉磁心コアの強度を高めることができる。
本項に記載の態様では、上記被覆樹脂として、耐熱性があり、熱膨張、熱収縮に追従し易いシリコン樹脂を使用することが好ましい。また、シリコン樹脂(熱硬化性)を被覆樹脂とすれば、後工程で別途熱処理を施すことで、シリコン樹脂を、SiO2(シリコン酸化物)にさせることができ、圧粉磁心コアの表面に、強固な絶縁層の形成を可能とする。
(3) 樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、その圧縮成形体に溶融状の樹脂を含浸かつ被覆して圧粉磁心コアを製造するのに使用される金型であって、
ダイと、このダイのキャビティ内で樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、圧縮成形体を作製することが可能な上パンチと下パンチとを含む第一の金型と、
前記キャビティを覆うように前記ダイに配置された第二の金型と、を具備し、
この第二の金型が、下向きに開口され、溶融状の樹脂が充填可能な中空部を有し、この中空部の開口部の面積が、前記第一の金型のキャビティの開口部の面積よりも大きく形成されていることを特徴とする金型。
ダイと、このダイのキャビティ内で樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、圧縮成形体を作製することが可能な上パンチと下パンチとを含む第一の金型と、
前記キャビティを覆うように前記ダイに配置された第二の金型と、を具備し、
この第二の金型が、下向きに開口され、溶融状の樹脂が充填可能な中空部を有し、この中空部の開口部の面積が、前記第一の金型のキャビティの開口部の面積よりも大きく形成されていることを特徴とする金型。
本項に記載の態様は、(1)の態様に係る圧粉磁心コアの製造方法に用いられる金型の第一の基本構成を規定するものである。すなわち、ダイと、このダイのキャビティ内で樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、圧縮成形体を作製することが可能な上パンチと下パンチとを含む第一の金型と、前記キャビティを覆うようにダイに配置された第二の金型と、を基本構成要素とし、第二の金型が、下向きに開口され、溶融状の樹脂が充填可能な中空部を有するように形成されている。そして、中空部の水平方向の断面形状は、中空部の開口部の面積が、前記第一の金型のキャビティの開口部の面積よりも大きくなるようにして、圧粉磁心コアの水平方向の断面形状に対応して形成される。例えば、直方体状の圧粉磁心コアを製造する場合にあっては、第二の金型は、中空で開口を有する筐体の形状となるように作製され、溶融状の樹脂が隙間から漏洩しないように、ダイに対してシール状態に配置されるように壁部の端部が同一平面にあるように形成される。
本項に記載の態様では、溶融状の樹脂を外部から中空部へ注入し充填することができる開孔を、少なくとも一つ、第二の金型の頂壁に外部から中空部に向け貫通して設けることが好ましい。ただし、溶融状の樹脂の充填は、必ずしも中空部を充満する必要はなく、圧粉磁心コアの側面と上面を含浸し被覆できるような量であればよい。
また、本項に記載の態様では、一定時間まで、樹脂が溶融状態に維持されるように、加熱手段(ヒータ)で熱が第二の金型に付与されていることが好ましい。したがって、第二の金型は、その耐熱温度が、当該樹脂の融点以上であることを要する(第一の金型のダイや下パンチも同様)。樹脂は、粒子状のものを開孔から必要量投入し、同加熱手段からの熱で第二の金型の中空部内で溶融状態にするようにしてもよい。
(4) 樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、その圧縮成形体に溶融状の樹脂を含浸かつ被覆して圧粉磁心コアを製造するのに使用される金型であって、
ダイと、このダイのキャビティ内で樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、圧縮成形体を作製することが可能な上パンチと下パンチとを含む第一の金型と、
前記キャビティを覆うように前記ダイに配置された第二の金型と、を具備し、
この第二の金型が、前記第一の金型のキャビティに対向する平面部を含み、かつ、前記第一の金型のキャビティの溶融状の樹脂を充填する部位のキャビティの水平断面積が、前記圧縮成形体を成形する部位の水平断面積よりも大きく形成されていることを特徴とする金型。
ダイと、このダイのキャビティ内で樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、圧縮成形体を作製することが可能な上パンチと下パンチとを含む第一の金型と、
前記キャビティを覆うように前記ダイに配置された第二の金型と、を具備し、
この第二の金型が、前記第一の金型のキャビティに対向する平面部を含み、かつ、前記第一の金型のキャビティの溶融状の樹脂を充填する部位のキャビティの水平断面積が、前記圧縮成形体を成形する部位の水平断面積よりも大きく形成されていることを特徴とする金型。
本項に記載の態様は、(1)の態様に係る圧粉磁心コアの製造方法に用いられる金型の第2の基本構成を規定するものである。すなわち、当該金型は、ダイと、このダイのキャビティ内で樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、圧縮成形体を作製することが可能な上パンチと下パンチとを含む第一の金型と、前記キャビティを覆うようにダイに配置された第二の金型と、を基本構成要素とし、第二の金型とダイに、以下の構造的特徴を持たせている。
本項に記載の態様において、第二の金型は、板厚状中実ブロック体であって、好ましくは、溶融状の樹脂が隙間から漏れないように、ダイに対してシール状態に配置される。そして、溶融状の樹脂を、外部からダイと圧縮成形体により画成される中空部へ、注入し充填することができる開孔を、少なくとも一つ、第二の金型の頂壁に外部から中空部に向け貫通して設けることが好ましい。ただし、溶融状の樹脂の充填は、必ずしも中空部を充満する必要はなく、圧粉磁心コアの側面と上面を含浸し被覆できるような量であればよい。
なお、本項に記載の態様でも、上記(3)の態様の場合と同様にして、図示しない加熱手段(ヒータ)で熱が、特に、第二の金型に付与されることが好ましい。
本項に記載の態様では、上記ダイは、頂面から鉛直下方に向かって、一定距離まで、段部が設けられ、もって、第一の金型のキャビティの、溶融状の樹脂を充填する部位のキャビティの水平断面積を、前記圧縮成形体を成形する部位の水平断面積よりも大きくされている。
また、本項の態様では、基本的に、樹脂コート鉄系粉末が、この段部を含む仮想水平面よりも下のレベルになるように、充填されることが好ましい。段部上に、樹脂コート鉄系粉末が存在してしまい、上パンチがダイのキャビティに好適に嵌合せず、もって、かじり現象が生じることを未然防止するためである。
以上のような金型の構成によれば、溶融状の樹脂を充填後に、下パンチを、ダイのキャビティ内で鉛直上方向へ、好ましくは、下パンチが第二の金型の溶融状の樹脂で覆われた面と当接するまで変位させて、溶融状の樹脂を圧縮成形体に含浸し被覆して、圧縮成形体の表面(「表面」には、樹脂コート鉄系粉末の粒子間に存在する微小空間も含む(図4参照)。)に、樹脂層を形成することができる。その結果、酸化(錆びの発生)を防止し、かつ、強度を向上させる樹脂層を備えた圧粉磁心コアを製造することを可能とする。
さらに、本項に記載の態様によれば、樹脂層(シリコン樹脂層)を薄く形成して圧粉磁心コアを作製することができ、従来の射出成形による圧粉磁心コアの製造方法に比べて利点をもたらす。より具体的には、第一の実施形態の欄で、後述する。
さらに、本項に記載の態様によれば、溶融状態の樹脂が圧縮成形体の鉄系粒子同士の狭い隙間にも入りこみ、溶融状態の樹脂と樹脂コート鉄系粉末との密着性が高くなるため、圧粉磁心コアの強度が高まり、耐欠け性(欠けにくい性質)に優れた圧粉磁心コアを製造することを可能とする。
(5) 前記下パンチを前記キャビティ内で鉛直上方向へ変位し、前記溶融状の樹脂を前記圧縮成形体に含浸し被覆して、前記圧縮成形体の表面に樹脂層を形成する駆動手段を有することを特徴とする(3)又は(4)に記載の金型。
(5) 前記下パンチを前記キャビティ内で鉛直上方向へ変位し、前記溶融状の樹脂を前記圧縮成形体に含浸し被覆して、前記圧縮成形体の表面に樹脂層を形成する駆動手段を有することを特徴とする(3)又は(4)に記載の金型。
本項に記載の態様は、前述したように、(3)又は(4)に記載の態様の金型の下パンチを鉛直上方向に変位させる駆動手段を、当該金型に具備させるものである。この駆動手段による下パンチの駆動によって、溶融状の樹脂を圧縮成形体に含浸し被覆し、圧縮成形体の表面に樹脂層を形成することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1及び図2は、それぞれ、本発明の圧粉磁心コアを製造する方法を実施する第一の実施の形態及び第二の実施の形態を示すための図であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成は図に示す従来のものと同様である。
図1及び図2は、それぞれ、本発明の圧粉磁心コアを製造する方法を実施する第一の実施の形態及び第二の実施の形態を示すための図であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成は図に示す従来のものと同様である。
第一の実施の形態 以下、図1を参照し、(1)で、第一の実施形態に用いられる金型について説明し、(2)で、この金型を用いた第一の実施形態について説明する。
(1)当該金型は、図1に示されるように、ダイ1と、このダイ1のキャビティ2内で樹脂コート鉄系粉末5を圧縮成形し、圧縮成形体6を形成することが可能な上パンチ7と下パンチ3とを含む第一の金型8と、前記キャビティ2を覆うようにダイ1に配置される第二の金型9と、を基本構成要素とし、この後者の第二の金型9に、以下の構造的特徴を持たせている。
すなわち、図1の(c)に示されているように、第二の金型9は、下向きに開口され、溶融状の樹脂10が充填可能な中空部11を有している。そして、中空部11の水平方向の断面形状は、中空部11の開口部の面積が、前記第一の金型8のキャビティ2の開口部の面積よりも大きくなるように、圧粉磁心コア(図3参照)の水平方向の断面形状に対応して形成されている。例えば、直方体状の圧粉磁心コアを製造する場合は、第二の金型9は、枡のような形状の、開口部を備えた中空の筐体であって、ダイ1に対して、溶融状の樹脂10が隙間から漏洩しないようにシール状態に開口部の周辺端部が同一平面となるように形成されている。
そして、第二の金型9の頂壁に、溶融状の樹脂10を外部から中空部9へ注入し充填することができる開孔10を、少なくとも一つ、外部から中空部に向け貫通して設けるようにされている。溶融状の樹脂10の充填は、必ずしも中空部11を充満する必要はなく、圧粉磁心コアの側面6´と上面6Tを含浸し被覆できるような量で足りる(図3の参照符号12参照)。
また、一定時間(少なくとも図1の(e)、(d)に相当する工程の間)まで、樹脂が溶融状態に維持されるように、図示しない、加熱手段(ヒータ)で第二の金型9が加熱される。したがって、第二の金型9は(第一の金型8のダイ1や下パンチ3も同様であるが)、その耐熱温度が、当該樹脂の融点より大きくする必要がある。
なお、図1の(d)の段階で、樹脂は(好ましくは流動性の優れた)粉状のものを開孔10から必要量投入し、同加熱手段からの熱で第二の金型9の中空部11内で溶融状態にすることも可能である。
なお、図1の(d)の段階で、樹脂は(好ましくは流動性の優れた)粉状のものを開孔10から必要量投入し、同加熱手段からの熱で第二の金型9の中空部11内で溶融状態にすることも可能である。
以下に、上記金型の効果を述べるが、第二の実施態様で用いられる金型も同様な効果を奏するため、後述の第二の実施態様で用いられる金型の説明で効果の記載は省略する(よって、以下、説明の便宜のため、両実施態様で同一の材料名や同一部材名等に関し、第二の実施態様を示す図2の参照符号を括弧で括るようにして適宜付した)。
上記の金型によれば、溶融状の樹脂12(17)を充填後に、下パンチ3(30)を、ダイ1(4)のキャビティ内で鉛直上方向へ(好ましくは、下パンチ3(30)が、第二の金型9(16)の溶融状の樹脂12(17)で覆われた面9B(16B)と当接するまで変位させ、そして、溶融状の樹脂12(17)を圧縮成形体6(60)に含浸し被覆して、圧縮成形体6(60)の表面(「表面」には、樹脂コート鉄系粉末の粒子間に存在する微小空間も含むものとする(図4参照)。)に、図3及び図4に示されるような樹脂層12を形成し、もって、酸化(錆びの発生)を防止し、かつ、強度を向上させることができる樹脂層12を備えた圧粉磁心コア20(22)を製造することを可能とする。
さらに、同金型によれば、樹脂層(シリコン樹脂層)を薄くして圧粉磁心コアを製造することができ、従来の射出成形による製造方法に比べて利点をもたらす。より具体的には、従来の射出成形に比べて、同金型によれば、樹脂層が薄膜化されたとき、一般に0.5mm程度の厚さが限界であるが、樹脂層を0.05mm(50μm)程度以下の厚さに形成される。圧粉磁心コアの酸化(錆びの発生)防止目的には、樹脂コートの鉄系粉末が材料であるため、樹脂層の厚さは防錆にそれほど寄与せず、樹脂が剥離した部分の鉄系材料が酸素に触れなければ十分である。むしろ、樹脂層の薄膜化は、後工程で樹脂の除去をする工程を容易化し、さらに、圧粉磁心コアの寸法精度を優れたものとし、さらに全体の体積が、樹脂層が存在しても、無用に増加することがない利点がある。また、従来の射出成形に比べて、同金型によれば、圧粉磁心コア(ワーク)と、ダイのキャビティとの間のクリアランスが、ほぼなくなるため、ワークとこのワークの側面(外周部)に形成される樹脂層との位置関係が精確となり、加えて、樹脂層の厚みばらつき(偏肉)を小さくすることもできる。
さらに、同金型によれば、溶融状態の樹脂が圧縮成形体(圧粉磁心コア)の鉄系粒子同士の狭い隙間にも入りこみ(図4参照)、溶融状態の樹脂と樹脂コート鉄系粉末との密着性が高くなるため、圧粉磁心コアの強度が高まり、耐欠け性(欠けにくい性質)に優れた圧粉磁心コアを製造することを可能とする。
以上より、図3に示されたような、圧縮成形体6に樹脂層12に被覆された圧粉磁心コア20(22)が製造される。なお、この圧粉磁心コア20(22)は、その用途に応じて、上記金型を交換し、水平断面形状を変更することによって、直方体状、円柱状、棒状、円板状、トロイダル状等、任意の形状、並びに任意の体積に作製することができる。
(2)以下、第一の実施形態を、工程Aから工程Eに分けて説明をする。
工程A:この工程では、図1の(a)に示されているように、ダイ1と下パンチ3とによって形成されるキャビティへ、図示しないホッパーに収納された樹脂コート鉄系粉末5が、上方から図示しないチューブ部材を通過して充填される。ダイ1は、図示しないプレス成形機(圧縮成形機)に固定されているが、圧縮成形品(圧粉磁心コア)の形状を変更するときや、ダイ1、上パンチ7及び下パンチ3の間で、かじり等の現象が発生したときに、上パンチ7及び下パンチ3と共に、若しくは別個に交換することができる。
工程A:この工程では、図1の(a)に示されているように、ダイ1と下パンチ3とによって形成されるキャビティへ、図示しないホッパーに収納された樹脂コート鉄系粉末5が、上方から図示しないチューブ部材を通過して充填される。ダイ1は、図示しないプレス成形機(圧縮成形機)に固定されているが、圧縮成形品(圧粉磁心コア)の形状を変更するときや、ダイ1、上パンチ7及び下パンチ3の間で、かじり等の現象が発生したときに、上パンチ7及び下パンチ3と共に、若しくは別個に交換することができる。
このダイ1に嵌合された上パンチ7及び下パンチ3は、ダイ1のキャビティ2内の鉛直上下方向に沿って、任意のプレス圧力によって変位可能とされている。樹脂コート鉄系粉末5が、キャビティ内に充填される前に、ステアリン酸リチウム等の高級脂肪酸塩が潤滑剤として、ダイ1のキャビティ2の内壁に塗布される。これにより、上パンチ7又は下パンチ3のキャビティ2内の変位が円滑になされ、第1のキャビティ2内における、早発のかじり発生を予防することができる。
また、この工程Aにおいて、キャビティ2に樹脂コート鉄系粉末5が充填される際、ダイ1、上パンチ7、及び下パンチ3を含む金型(金型のセット)や、図示しないホッパーに収納されている樹脂コート鉄系粉末5を、適度に振動させながら、図示しないチューブ状部材を通じキャビティへ充填することもできる。また、キャビティに樹脂コート鉄系粉末5が充填されている最中又はその後に、振動により充填状態を均一化することもできる。
樹脂コート鉄系粉末5は、鉄系粒子をコア材として、その上にシリコン樹脂等の樹脂コートで予め被覆されたものである。鉄系粒子は、鉄を含む、強磁性の非酸化性金属粒子であって、例えば、鉄(純鉄のような非酸化鉄)、ケイ化鉄、パーマロイ、スーパーマロイ等の鉄系粒子や、ヘガネス社製のABC100.30(商品名)を用いることができる。鉄系粒子(鉄系粉粒)は、造粒若しくは粗粒でもよいが、高密度の圧粉磁心コアを得るには、その粒径が20から300μmが好ましく、さらに、50から200μmがさらに好ましい。該鉄系粒子に、公知の方法で樹脂被覆させ樹脂コート鉄系粉末を作製してもよいが、例えばヘガネス社製のSOMALOY500(商品名)のように予め樹脂コートが被覆された鉄粉を用いてもよい。
工程B:この工程では、図1の(b)に示されているように、下パンチ3の頂面と対向する底面を有する上パンチ7を、ダイ1のキャビティへ上方から嵌合させ、鉛直下方向に沿って変位させて、樹脂コート鉄系粉末5に、上パンチ7及び/又は下パンチ3でプレス圧を加え圧縮成形することで、圧縮成形体6が形成される。このとき、樹脂コート鉄系粉末5を、最密状態(樹脂コート鉄系粉末5を構成する粒子が最も充填された状態)まで圧縮成形してもよいが、後述する工程Eで、圧縮成形体6へ(樹脂コート鉄系粉末5を構成する粒子間に)溶融シリコン樹脂12を多めに含浸かつ被覆させるためには、最密状態よりも低い密度状態で圧縮成形をとどめておくようにする。
工程C:この工程では、図1の(c)に示されているように、上パンチ7を鉛直上方向に沿って変位させ、ダイ1のキャビティ2から除去させる。そして、その後、下向きに開口された中空形状を持ち、この開口の水平断面の面積が、前記キャビティの水平断面の面積よりも大きい樹脂成形用金型9であって、その頂面からその裏面に通じる樹脂充填孔10が設けられているものが、ダイ1のキャビティ2の上に、キャビティ2を覆うようにして、好ましくは溶融状態の樹脂が漏れないようにシール状態になるように配置される。樹脂充填孔10の位置は、ダイ1のキャビティの鉛直中心軸に沿った中央位置にあることが、樹脂コート鉄系粉末5が圧縮成形体6の上を均一に覆うようにするためには望ましい。なお、樹脂充填孔10を複数個、設けるようにしてもよい。
工程D:この工程では、図1の(d)に示されているように、樹脂成形用金型9の樹脂充填孔10から、シリコン樹脂12を充填する。充填前にシリコン樹脂12が溶融状態にされていることが好ましい。充填量は、少なくとも圧縮成形体6の側面全体6´を覆う量と、圧縮成形体6の上面6Tを覆う量との総計量であればよい。また、シリコン樹脂12が、圧縮成形体6に、好適に密着し、含浸かつ被覆するように、樹脂成形用金型9の温度を適宜上昇させるようにしてもよい。
工程E:この工程では、図1の(e)に示されているように、下パンチ3を、ダイ1のキャビティの鉛直上方向へプレス圧を与えて変位させ、圧縮成形体6を、溶融状のシリコン樹脂12に覆われた樹脂成形用金型9に当接させて、溶融状のシリコン樹脂12を用いて圧縮成形体6を被覆する。この工程Eにより、溶融状のシリコン樹脂12が、圧縮成形体6の側面6´及び上面6Tを被覆し、さらに、側面6´及び上面6Tの数μmから数十μmほど、圧縮成形体6の内部に含浸する。これにより、側面6´が、シリコン樹脂12でさらに被覆され、もって、その部分からの酸化(錆びの発生)を防止することができ、さらには、側面6´と上面6Tの樹脂による含浸によって、圧粉磁心コア20(図3)の全体強度を高めることができる。この工程Eの最後には、溶融状のシリコン樹脂を、冷却し、熱収縮させつつ固体状態にする。
この工程では、樹脂成形用金型9の樹脂充填孔10から、圧縮成形体6を含浸かつ被覆したシリコン樹脂に使用された以外の余剰のシリコン樹脂が、基本的に樹脂充填孔10から押し出される。かかる場合、この余剰のシリコン樹脂は、自然冷却し、熱収縮させつつ固体状態にされた後で、樹脂成形用金型9をダイ1面から取り除く前に、樹脂成形用金型9の頂面に沿って切断加工され、その後、樹脂成形用金型9をダイ1から取り除いた後で、樹脂充填孔10を充填していた分の凸状のシリコン樹脂部13についてさらに、圧縮成形体6の頂面に沿って切断加工する。このようにして、図3に示されたような樹脂コート鉄系粉末が圧縮成形され、かつ、樹脂コート12が含浸かつ被覆された圧粉磁心コア20(図3)が製造される。なお、凸状のシリコン樹脂部6を、切断加工せずに、圧粉磁心コア20(図3)の上に巻き線をするときの、巻き線のストッパー部、アセンブリ時の位置決め手段、若しくは固定手段等に適宜利用するようにしてもよい。
第二の実施の形態 以下、図2を参照して、(1)で、第二の実施形態に用いられる金型について説明し、(2)で、この金型を用いた第二の実施形態について説明する。なお、第二の実施の形態と第一の実施形態において重複する内容についての説明は適宜省略する。
(1)当該金型は、ダイ4と、このダイ4のキャビティ21内で樹脂コート鉄系粉末50を圧縮成形し、圧縮成形体60を形成することが可能な上パンチ70と下パンチ30とを含む第一の金型80と、前記キャビティ21を覆うようにダイ4に配置された第二の金型16と、を基本構成要素とし、第二の金型16とダイ4に、以下の構造的特徴を持たせている。
まず、図2の(c)に示されるように、第二の金型16は、板厚の中実ブロック体であって、溶融状の樹脂17を、外部から、ダイ4と圧縮成形体60により画成される中空部15へ、注入し充填することができる開孔18が、少なくとも一つ、第二の金型16の頂壁に外部から中空部15に向け貫通して設けられており、ダイ4に対してシール状態に配置されている。溶融状の樹脂17の充填は、必ずしも中空部15を充満する必要はなく、圧粉磁心コアの側面60´と上面60Tを含浸し被覆できるような量であればよい(図3の参照符号12参照)。
そして、図2の(a)に示されるように、ダイ4は、キャビティ21に、ダイ4の頂面4Tから鉛直下方に向かって、一定距離まで、段部4´が、仮想水平面に沿って設けられ、もって、第一の金型80のキャビティの溶融状の樹脂17を充填する部位のキャビティ15の水平断面積が、前記圧縮成形体を成形する部位60の水平断面積よりも大きく形成されている。
そして、同図から分かるように、基本的に、樹脂コート鉄系粉末50が、この段部4´を含む仮想水平面よりも下のレベルL以下になるように、充填される。段部4´上に、樹脂コート鉄系粉末21が存在してしまい、もって、上パンチ70がダイ4のキャビティ50に好適に嵌合せず、いわゆる、かじり現象を防止するためである。
(2)以下、当該第二の実施形態を、工程Aから工程Eに分けて説明をする。
工程A:この工程では、図2の(a)に示されているように、ダイ4と下パンチ30とによって形成されるキャビティ21へ、図示しないホッパーに収納された樹脂コート鉄系粉末50が、上方から充填されるが、第二の実施形態の工程Aでは、ダイ4に段部4´が設けられている。そして、樹脂コート鉄系粉末50は、この段部4´のレベルLよりも低いレベルまで充填されるに留まるようにされている。この段部4´のレベルLよりも上に、樹脂コート鉄系粉末5があるときは、かじり等の不具合をおこすおそれもあり、また後の溶融状態の樹脂に混在し樹脂被覆にも好ましくない。そのため、金型全体を振動させて、すべての樹脂コート鉄系粉末5をダイ2のキャビティ21内に落としこんでおくようにする。
工程A:この工程では、図2の(a)に示されているように、ダイ4と下パンチ30とによって形成されるキャビティ21へ、図示しないホッパーに収納された樹脂コート鉄系粉末50が、上方から充填されるが、第二の実施形態の工程Aでは、ダイ4に段部4´が設けられている。そして、樹脂コート鉄系粉末50は、この段部4´のレベルLよりも低いレベルまで充填されるに留まるようにされている。この段部4´のレベルLよりも上に、樹脂コート鉄系粉末5があるときは、かじり等の不具合をおこすおそれもあり、また後の溶融状態の樹脂に混在し樹脂被覆にも好ましくない。そのため、金型全体を振動させて、すべての樹脂コート鉄系粉末5をダイ2のキャビティ21内に落としこんでおくようにする。
工程B:この工程では、図2の(b)に示されているように、下パンチ30の頂面と対向する底面を有する上パンチを、ダイ4のキャビティ21へ上方から嵌合させ、鉛直下方向に沿って変位させて、樹脂コート鉄系粉末50に、上パンチ70、下パンチ30でプレス圧を加え圧縮成形し、圧粉磁心コアとなる圧縮成形体60を形成する。第二の実施形態の工程Bの特徴は、圧縮成形体60の頂面が、段部4´のレベルLと同じか、それよりも低いレベルに留まるようにされている点にある。
工程C:この工程では、図1の(c)に示されているように、上パンチ70を鉛直上方向に沿って変位させ、ダイ4のキャビティから除去するが、工程Cの特徴は、水平断面の面積が、ダイ4のキャビティの水平断面の面積よりも大きい、中実形状の樹脂成形用金型であって、その頂面からその裏面に通じる樹脂充填孔18が設けられているものを、ダイ4のキャビティ21の上に、キャビティ21を覆うようにして設置する点にある。
工程D:この工程では、図2の(d)に示されているように、樹脂成形用金型16の樹脂充填孔18から、溶融状態のシリコン樹脂17が充填されるが、第二の実施形態の工程Dの特徴は、シリコン充填箇所が、樹脂成形用金型16Bの下面から段部4´のレベルLまでの部分までを高さとする空間である点にある。
工程E:この工程では、図2の(e)に示されているように、図示しない駆動手段により、プレス圧を与えて、下パンチ30を、ダイ4のキャビティの鉛直上方向へ変位させ、圧縮成形体60を、樹脂充填孔18を持つ樹脂成形用金型16に当接するようにさせながら、溶融状のシリコン樹脂17を用いて圧縮成形体60を被覆する。第二の実施形態の工程Eで、段部4´の上に存在する溶融状のシリコン樹脂17が、圧縮成形体60の側面60´を被覆する。これにより、側面の樹脂コート鉄系粉末から成形された圧縮成形体60の樹脂剥離部が、シリコン樹脂17でさらに被覆することで補修され、もって、第一の実施形態の場合の圧粉磁心コア20と同様な、図3に示された圧粉磁心コア22が製造される。
本発明は、樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、圧粉磁心コアを作製する分野に利用できる。
1、4:ダイ、2、21:キャビティ、3、30:下パンチ、5、50:樹脂コート鉄系粉末、6、60:圧縮成形体、7、70:上パンチ、11、16:樹脂成形用金型、10、18:貫通口、11、15:中空形状、12、17:樹脂
Claims (5)
- ダイと、このダイのキャビティ内で一軸方向に変位可能な上パンチと下パンチとを具備する金型を用いて、圧縮成形加工により圧粉磁心コアを製造する方法であって、
ダイと下パンチとによって形成されるキャビティへ、樹脂コート鉄系粉末を充填する工程Aと、
前記樹脂コート鉄系粉末を下パンチと上パンチで圧縮成形し、前記樹脂コート鉄系粉末の圧縮成形体を形成する工程Bと、
上パンチをキャビティから除去し、樹脂充填孔を持つ樹脂成形用金型を、前記ダイの上にキャビティを覆うようにして設置する工程Cと、
溶融状の樹脂を、前記樹脂充填孔から前記キャビティ内に充填する工程Dと、
前記下パンチを前記キャビティ内で鉛直上方向へ変位させ、前記溶融状の樹脂を前記圧縮成形体に含浸し被覆して、前記圧縮成形体の表面に樹脂層を形成する工程Eと、を含むことを特徴とする圧粉磁心コアの製造方法。 - 工程Eにおいて、前記樹脂コート鉄系粉末の圧縮成形体の少なくとも側面に、前記樹脂層を形成することを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心コアの製造方法。
- 樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、その圧縮成形体に溶融状の樹脂を含浸かつ被覆して圧粉磁心コアを製造するのに使用される金型であって、
ダイと、このダイのキャビティ内で樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、圧縮成形体を作製することが可能な上パンチと下パンチとを含む第一の金型と、
前記キャビティを覆うように前記ダイに配置された第二の金型と、を具備し、
この第二の金型が、下向きに開口され、溶融状の樹脂が充填可能な中空部を有し、この中空部の開口部の面積が、前記第一の金型のキャビティの開口部の面積よりも大きく形成されていることを特徴とする金型。 - 樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、その圧縮成形体に溶融状の樹脂を含浸かつ被覆して圧粉磁心コアを製造するのに使用される金型であって、
ダイと、このダイのキャビティ内で樹脂コート鉄系粉末を圧縮成形し、圧縮成形体を作製することが可能な上パンチと下パンチとを含む第一の金型と、
前記キャビティを覆うように前記ダイに配置された第二の金型と、を具備し、
この第二の金型が、前記第一の金型のキャビティに対向する平面部を含み、かつ、前記第一の金型のキャビティの溶融状の樹脂を充填する部位のキャビティの水平断面積が、前記圧縮成形体を成形する部位の水平断面積よりも大きく形成されていることを特徴とする金型。 - 前記下パンチを前記キャビティ内で鉛直上方向へ変位し、前記溶融状の樹脂を前記圧縮成形体に含浸し被覆して、前記圧縮成形体の表面に樹脂層を形成する駆動手段を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の金型。
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WO2024080094A1 (ja) * | 2022-10-13 | 2024-04-18 | Ntn株式会社 | 圧粉磁心 |
-
2008
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