JP2009216775A - 相関光子生成システムおよび相関光子生成方法 - Google Patents

相関光子生成システムおよび相関光子生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微細構造分裂に起因するエネルギー相関を消去し得る相関光子生成システムを提供する。
【解決手段】この相関光子生成システムは、偏光状態とエネルギー状態とに関して互いに相関する光子1p,2pを生成する光子対生成部31と、これら光子1p,2pの波長をそれぞれ変換してこれら光子1p,2p間のエネルギー状態に関する相関を消去することにより変換光1a,2aをそれぞれ生成する第1波長変換部1および第2波長変換部2と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、量子暗号通信や量子計算などの量子情報技術で使用されるエンタングルド状態(エンタングルメント)の光子対を生成する技術に関する。
光や物質の量子力学的な状態を利用する量子情報技術は、安全性の高い暗号通信や、秘匿性の高い認証などの高度なセキュリティ技術を提供できると期待されている。量子暗号通信は、偏光や位相といった量子力学的な自由度を用いて表現される量子情報(量子ビット)を光子に乗せて伝送し得る技術であり、この技術は、量子力学におけるハイゼンベルグの不確定性原理と複製不可能性とを安全性の根拠としているので、通信路上での盗聴者の存在を確実に検知することができ、安全な秘密鍵の配布を可能とするものである。
量子情報技術において重要な役割を果たすコンポーネントの一つが、エンタングルド状態(エンタングルメント:entanglement)にある光子対(以下「エンタングルメント光子対」と呼ぶ。)である。ここで、「エンタングルメント」とは、複数の部分系からなる量子系において、これら部分系の状態が分離不可能であるときに現れる非局所的な量子相関をいう。このようなエンタングルメント光子対に関する先行技術文献としては、たとえば、非特許文献1(A. K. Ekert, et al., Phys. Rev. Lett. 67, 661 (1991).)には、量子鍵配送に関する量子プロトコルの1つ(E91プロトコル)が開示されている。また、特許文献1(特開2005−258232号公報)および非特許文献2(P. G. Kwiat, et al., Phys. Rev. Lett. 75, 4337 (1995).)には、エンタングルメント光子対の生成方法が開示されている。
また、後述するように、半導体デバイスとして形成された量子ドット(半導体量子ドット)が、エンタングルメント光子対光源として研究開発されている。半導体量子ドットは、数ナノメートルの大きさを持つ半導体結晶であり、この半導体結晶中に電子や正孔を閉じ込めて離散的なエネルギー状態をつくり出す3次元構造を有する。エンタングルメント光子対光源用の量子ドットに関する先行技術文献としては、たとえば、非特許文献3(R. M. Stevenson, et al., Nature 439, 179 (2006).)、非特許文献4(B. D. Gerardot, et al., Appl. Phys. Lett. 90, 041101 (2007).)、非特許文献5(R. M. Stevenson, et al., Phys. Rev. B 73, 033306 (2006).)および非特許文献6(S. Seidl, et al., Appl. Phys. Lett. 88, 203113 (2006).)が挙げられる。
特開2005−258232号公報 A. K. Ekert, et al., Phys. Rev. Lett. 67, 661 (1991). P. G. Kwiat, et al., Phys. Rev. Lett. 75, 4337 (1995). R. M. Stevenson, et al., Nature 439, 179 (2006). B. D. Gerardot, et al., Appl. Phys. Lett. 90, 041101 (2007). R. M. Stevenson, et al., Phys. Rev. B 73, 033306 (2006). S. Seidl, et al., Appl. Phys. Lett. 88, 203113 (2006).
エンタングルメント光子対の中でも特に偏光状態に関して量子相関を有する光子対(偏光エンタングルメント光子対)については、この光子対を、波長板や偏光子などの光学素子を使用して操作および検出することが容易であることから、今までにその光子対の生成法が盛んに開発されてきた。偏光エンタングルメント光子対の最も一般的な生成法は、自発的パラメトリック下方変換(SPDC: Spontaneous Parametric Down Conversion)と呼ばれる非線形光学過程を用いた方法である。しかしながら、この方法の場合、確率的にしか量子相関した光子対を生成できないという問題がある(非特許文献3参照)。
近年、理想的な偏光エンタングルメント光子対として、半導体量子ドット中の励起子分子を用いたカスケード発光から生成される光子対が注目されている。図1(A)を参照しつつ、理想的なカスケード発光の原理を説明する。量子ドット中の励起子(電子と正孔の対)には通常スピンの異なる2つの状態が存在し、ここでは、これら2つの状態を、XとXという記号で表す。また、量子ドット中にはパウリの排他律に従う2個の励起子が存在し得る。これら2個の励起子の状態は、励起子分子と呼ばれ、ここでは、Xという記号で表す。この励起子分子状態は、2つの励起子それぞれの電子・正孔再結合により、2個の光子を放出して基底状態(励起子のない状態)に緩和する。このとき、2つの励起子のどちらが最初に光るかによって、図1(A)に示されるような2通りのパスが存在する。すなわち、励起子分子が光子1pとして右回り円偏光σを放出した後に、光子2pとして左回り円偏光σを放出する第1のパスと、励起子分子が光子1pとして左回り円偏光σを放出した後に、光子2pとして右回り円偏光σを放出する第2のパスとが存在し得る。理想的な状況では、放出された光子の偏光状態を測定するまでは、励起子分子が第1のパスと第2のパスのうちのどちらのパスを経て遷移したのかが分からない。それ故、以下の式で示されるように、放出された光子1pと光子2pとの間には偏光状態に関するエンタングルド状態が存在する。
Figure 2009216775
ここで、|σ>は、光子x(xは「1p」または「2p」)の偏光σに関する状態を表している。第1のパスは、この状態を表す式の第1項に相当し、第2のパスは、この状態を表す式の第2項に相当する。
しかしながら、実際には、図1(B)に示されるように、量子ドットの形状の非対称性に起因して励起子状態を表すエネルギー準位の分裂(微細構造分裂:fine-structure splitting)が起こり得る。たとえば、InAs/GaAs自己形成量子ドットの場合、微細構造分裂の幅Δは、典型的には10〜30μeV程度である。この場合、図1(B)に示されるように、放出される光子の偏光が、水平偏光Hまたは垂直偏光Vのいずれであるかによって、発光エネルギーが微細構造分裂の幅Δだけ異なる。よって、放出される2つの光子1p,2pは、偏光自由度のみならず、エネルギー自由度に関しても相関を持つ状態となる。
このような非理想的な状況では、偏光測定の際、発光エネルギーの違いを観測することにより、上記第1のパスと第2のパスのうちのいずれのパスを通って量子ドットが緩和したのかを判別することができる。それ故、偏光エンタングルメントを観測することができないという問題が生じる。言い換えれば、発光エネルギーを通して偏光情報が漏れてしまうため、エンタングルメント状態が壊れてしまう。
このような問題を解決する方法として、量子ドット中のエネルギー準位を制御することで微細構造分裂の幅Δをゼロに近づけるというアプローチがとられてきた。たとえば、非特許文献4には、量子ドットの成長軸に対して垂直な方向に外部電場を印加する方法が開示されている。また、非特許文献5には、外部磁場を印加する方法が開示されている。更に、非特許文献6には、外部ストレスを印加する方法が開示されている。
しかしながら、これらの非特許文献4〜6に開示される方法では、外部から無理に量子ドットの形状の対称性を変化させるために様々な問題が生じる。たとえば、外部電場の印加により量子ドット中の電子と正孔が互いに引き離され、これにより量子ドットの発光効率が低下し得る。また、外部磁場の印加により量子ドット中に暗状態とよばれる励起子状態が混入し、これにより、発光効率の低下やエンタングルメントの質(フィデリティ)の劣化が起こり得ると考えられる。
本発明は上記鑑みてなされたものであり、微細構造分裂に起因するエネルギー相関を消去し得、発生効率やフィデリティを悪化させることなくエンタングルメント光子対を生成し得る相関光子生成システムおよび相関光子生成方法を提供するものである。
本発明によれば、偏光状態とエネルギー状態とに関して互いに相関する第1および第2の光子を生成する光子対生成部と、前記第1および第2の光子の波長をそれぞれ変換して前記第1および第2の光子間の前記エネルギー状態に関する相関を消去することにより第1および第2の変換光をそれぞれ生成する第1波長変換部および第2波長変換部と、を備えた相関光子生成システムが提供される。前記第1および第2の変換光はエンタングルド状態の光子対を構成する。
また、本発明によれば、偏光状態とエネルギー状態とに関して互いに相関する第1および第2の光子を生成するステップと、前記第1および第2の光子の波長をそれぞれ変換して前記第1および第2の光子間の前記エネルギー状態に関する相関を消去することにより第1および第2の変換光をそれぞれ生成するステップと、を備えた相関光子生成方法が提供される。前記第1および第2の変換光はエンタングルド状態の光子対を構成する。
上記の通り、本発明による相関光子生成システムおよび相関光子生成方法は、偏光状態とエネルギー状態とに関して互いに相関する第1および第2の光子の波長をそれぞれ変換してこれらの光子間のエネルギー状態に関する相関を消去している。それ故、この結果得られた第1および第2の変換光は、エンタングルド状態の光子対を構成することとなる。非特許文献4〜6に開示されている方法は、外部電場や外部磁場、ストレスの印加により量子ドット中のエネルギー準位を制御して微細構造分裂をゼロに近づけているのに対し、本発明による相関光子生成システムおよび相関光子生成方法は、量子ドット自体のエネルギー準位を制御するのではなく、量子ドットから放出された光子の波長を調整することで光子間のエネルギー状態に関する相関を消去する。これにより、発生効率やフィデリティを低下させること無く、エンタングルド状態の光子対を生成することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において同一符号が付された構成要素は、同一機能および同一構成を有し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略される。
(第1の実施形態)
図2は、本発明に係る第1の実施形態である相関光子生成システム(または相関光子生成装置)の概略構成を示す図である。この相関光子生成システムは、光子対生成部3、第1波長変換部1および第2波長変換部2を有する。光子対生成部3は、偏光状態とエネルギー状態とに関して互いに相関する光子1pと光子2pとを生成する。第1波長変換部1および第2波長変換部2は、これら光子1p,2pの波長をそれぞれ変換して光子1p,2p間のエネルギー状態に関する相関を消去することにより、エンタングルド状態の光子1a,2aの対を生成するものである。本実施の形態では、第1波長変換部1および第2波長変換部2は、光子1p,2p間のエネルギー状態に関する相関を消去して偏光状態に関する相関のみを残すことにより、エンタングルド状態の光子1a,2aの対を生成する。
光子対生成部3は、ポンプ光源30および発光素子31を有する。この発光素子31は、1つの励起状態と、1つの基底状態と、これら励起状態と基底状態の間にある2つの中間励起状態とを有している。このような発光素子として、量子ドットを使用することができる。量子ドットでは、互いに異なる状態を持つ2つの励起子と、これら2つの励起子からなる励起子分子とが発生し得る。2つの励起子が発生した状態は「励起状態」に対応し、各励起子が発生した状態は「中間励起状態」に対応し、励起子のない状態は「基底状態」に対応する。本実施形態では、発光素子31を量子ドットとして説明する。ポンプ光源30がレーザ光を量子ドット31にレーザ光(励起光)を照射すると、量子ドット31は、当該レーザ光により励起して、基底状態から、互いに結合した2つの励起子からなる励起子分子を持つ状態に遷移する。励起光の強度を適当に調整することにより高い確率で励起子分子を生成することができる。
上記微細構造分裂が存在する場合、量子ドット31内の励起子分子は、図1(B)に示したカスケード発光により一対の光子1p,2pを放出する。ここで、2つの光子1p,2pはほぼ同時に生成され、放出されるが、光子1p,2p間には、クーロン相互作用分だけ異なるエネルギー差(2〜3meV)が存在し、光子1p,2pは互いに異なる波長を有する。このため、回折格子などの光学素子(図示せず)を用いて光子1pと光子2pとを空間的に分離して、光子1pを第1波長変換部1に導くとともに光子2pを第2波長変換部2に導くことができる。光子1pは、光ファイバ32を伝搬されて第1波長変換部1に入射し、光子2pは、光ファイバ33を伝搬されて第2波長変換部2に入射する。
光子1pの水平偏光成分H(第1の偏光状態を有する第1偏光成分)はエネルギーEを、光子1pの垂直偏光成分V(第2の偏光状態を有する第2偏光成分)はエネルギーE+Δをそれぞれ有する。また、光子2pの水平偏光成分H(第1の偏光状態を有する第3偏光成分)はエネルギーEを、光子2pの垂直偏光成分V(第2の偏光状態を有する第4偏光成分)はエネルギーE−Δをそれぞれ有している。この理由は、光子1p,2pの各々において、水平偏光成分Hと垂直偏光成分Vとの間に微細構造分裂の幅Δだけのエネルギー差が存在するからである。それ故、光子1p,2pは、偏光自由度のみならずエネルギー自由度に関して相関をもつ状態にある。上述の通り、光子1p,2pのエネルギー自由度を通じて偏光状態の情報が外部に漏れるので、光子1p,2pの偏光エンタングルメントを観測することはできない。
第1波長変換部1は、偏光ビームスプリッタ(PBS)4、ポンプ光源8,9、合波素子12,14、分波素子13,15、光周波数変換素子21,22および光合波器6を含む。また、第1波長変換部1は、これら構成要素4,12〜15,21,22,6を含むマッハ−ツェンダー干渉計型(Mach-Zehnder interferometer type)の光学系を有する。
偏光ビームスプリッタ4は、光ファイバ32から入射した光子1pを、水平偏光成分の光子1Hと垂直偏光成分の光子1Vとに分離する。光周波数変換素子(第1の光周波数変換素子)21は、ポンプ光源8から供給されたポンプ光(エネルギーE1pに対応する波長帯の励起光)PHを用いて水平偏光成分の光子1Hの周波数を変換する機能を有する。すなわち、合波素子12は、ポンプ光源8から供給されたポンプ光PHと光子1Hとを空間的に重ね合わせて合波し、その合波された光子を光周波数変換素子21に入射させる。光周波数変換素子21は、当該合波された光子に周波数上方変換を施して当該合波された光子の波長を変換する。光周波数変換素子21の導波路媒体としては、2次の非線形効果による波長変換を実現するPPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)を使用すればよい。PPLNは、和周波発生過程により、励起光PHと合波された光子1H(エネルギーEに対応する波長帯を持つ光)を、エネルギーE+E1pに対応する波長帯を持つ光子1aHに高効率で変換する。分波素子13は、光周波数変換素子21から出力された光からポンプ光PHを除去して水平偏光成分の光子1aHのみを出力する。
一方、光周波数変換素子(第2の光周波数変換素子)22は、ポンプ光源9から供給されたポンプ光(エネルギーE1p−Δに対応する波長帯の励起光)PVを用いて垂直偏光成分の光子1Vの周波数を変換する機能を有する。すなわち、合波素子14は、ポンプ光源9から供給されたポンプ光PVと光子1Vとを空間的に重ね合わせて合波し、その合波された光子を光周波数変換素子22に入射させる。光周波数変換素子22は、当該合波された光子に周波数上方変換を施して当該合波された光子の波長を変換する。光周波数変換素子22の導波路媒体としては、光周波数変換素子21と同様に、2次の非線形効果による波長変換を実現するPPLNを使用すればよい。PPLNは、和周波発生過程により、励起光PVと合波された光子1V(エネルギーE+Δに対応する波長帯を持つ光)を、エネルギーE+E1pに対応する波長帯を持つ光子1aVに高効率で変換する。分波素子15は、光周波数変換素子22から出力された光からポンプ光PVを除去して垂直偏光成分の光子1aVのみを出力する。
結果として、垂直偏光成分の光子1aVと水平偏光成分の光子1aHとは、同一エネルギーに対応する同一波長帯を有することとなる。光合波器(第1の光合波器)6は、分波素子13から伝搬された水平偏光成分の光子1aHと、分波素子15から伝搬された垂直偏光成分の光子1aVとを合波して第1の変換光1aを生成する。
第2波長変換部2も、第1波長変換部1と同様の構成を有する。すなわち、第2波長変換部2は、偏光ビームスプリッタ(PBS:Polarizing Beam Splitter)5、ポンプ光源10,11、合波素子16,18、分波素子17,19、光周波数変換素子23,24および光合波器7を含む。また、第2波長変換部2は、これら構成要素5,16〜19,23,24,7を含むマッハ−ツェンダー干渉計型(Mach-Zehnder interferometer type)の光学系を有する。
偏光ビームスプリッタ5は、光ファイバ33から入射した光子2pを、水平偏光成分の光子2Hと垂直偏光成分の光子2Vとに分離する。光周波数変換素子(第3の光周波数変換素子)23は、ポンプ光源10から供給されたポンプ光(エネルギーE2pに対応する波長帯の励起光)KHを用いて水平偏光成分の光子2Hの周波数を変換する機能を有する。すなわち、合波素子16は、ポンプ光源10から供給されたポンプ光(励起光)KHと光子2Hとを空間的に重ね合わせて合波し、その合波された光子を光周波数変換素子23に入射させる。光周波数変換素子23は、当該合波された光子に周波数上方変換を施して当該合波された光子の波長を変換する。光周波数変換素子21の導波路媒体としては、第1波長変換部1の光周波数変換素子21と同様にPPLNを使用すればよい。PPLNは、和周波発生過程により、励起光KHと合波された光子2H(エネルギーEに対応する波長帯を持つ光)を、エネルギーE+E2pに対応する波長帯を持つ光子2aHに高効率で変換する。分波素子17は、光周波数変換素子23から出力された光からポンプ光KHを除去して水平偏光成分の光子2aHのみを出力する。
一方、光周波数変換素子(第4の光周波数変換素子)24は、ポンプ光源11から供給されたポンプ光(エネルギーE2p+Δに対応する波長帯の励起光)KVを用いて垂直偏光成分の光子1Vの周波数を変換する機能を有する。すなわち、合波素子18は、ポンプ光源11から供給されたポンプ光KVと光子2Vとを空間的に重ね合わせて合波し、その合波された光子を光周波数変換素子24に入射させる。光周波数変換素子24は、当該合波された光子に周波数上方変換を施して当該合波された光子の波長を変換する。光周波数変換素子24の導波路媒体としては、上記第1波長変換部1の光周波数変換素子21と同様にPPLNを使用すればよい。PPLNは、和周波発生過程により、励起光KVと合波された光子2V(エネルギーE−Δに対応する波長帯を持つ光)を、エネルギーE+E2pに対応する波長帯を持つ光子2aVに高効率で変換する。分波素子19は、光周波数変換素子24から出力された光からポンプ光KVを除去して垂直偏光成分の光子2aVのみを出力する。
結果として、垂直偏光成分の光子2aVと水平偏光成分の光子2aHとは、同一エネルギーに対応する同一波長帯を有することとなる。光合波器(第2の光合波器)7は、分波素子17から伝搬された水平偏光成分の光子2aHと、分波素子19から伝搬された垂直偏光成分の光子2aVとを合波して第2の変換光2aを生成する。
ここで、第1波長変換部1のマッハ−ツェンダー干渉計型の光学系は、偏光ビームスプリッタ4から光周波数変換素子22を経由して光合波器6に至る第1の光路と、偏光ビームスプリッタ4から光周波数変換素子21を経由して光合波器6に至る第2の光路とを含む。第1の光路と第2の光路との間の光路長を調整することで、変換前の光子1pの偏光状態は、変換後の光子1aの偏光状態と同じものとすることができる。第2波長変換部2のマッハ−ツェンダー干渉計型の光学系についても同様である。
量子ドット31より放出された光子1p,2pは、以下の式に示されるように偏光自由度だけでなく、エネルギー自由度に関しても相関を持つ状態を有している。
Figure 2009216775
この式は、図1(B)のカスケード発光の状態を示すものである。ここで、|Y,E>は、光子x(xは「1p」または「2p」)の偏光Y(Yは「H」または「V」)およびエネルギーEに関する状態を表している。図1(B)に示されるように、理想的な励起子状態を表すエネルギー準位は、(X+X)/21/2を表す準位と、(X−X)/21/2を表す準位とに微細構造分裂する。また、量子ドット31が光子1pとして水平偏光Hを放出した後に、光子2pとして水平偏光Hを放出する第1のパスと、励起子分子が光子1pとして垂直偏光Vを放出した後に、光子2pとして垂直偏光Vを放出する第2のパスとが存在する。これに対し、変換後の光子1a,2aは、以下の式に示されるように、エネルギー自由度に関する相関が消去された、偏光自由度のみに関して相関を持つ状態を有する。
Figure 2009216775
この状態であれば、偏光エンタングルメントの観測が可能になる。
なお、第1波長変換部1において光子1pを光子1aへ変換する過程で偏光状態が保存されるためには、Δだけ異なるエネルギーを持つポンプ光PH,PVが、互いに決まった位相関係を持つこと(位相ロックされていること)が必要である。このように位相ロックされた2つのポンプ光PH,PVは、たとえば、音響光学変調器(AOM:Acoust Optical Modulator)を用いて生成することができる。第1波長変換部1で使用されるポンプ光KH,KVについても同様である。
図3(A)は、音響光学変調素子41によるポンプ光PV,PHの生成法を示す図であり、図3(B)は、音響光学変調素子42によるポンプ光KV,KHの生成法を示す図である。図3(A)に示されるように、音響光学変調素子41は、超音波伝搬媒質中に入射した光(エネルギーE1pに対応する波長帯の光)から、0次光(エネルギーE1pに対応する波長帯の光)と1次回折光(エネルギーE1p−Δに対応する波長帯の光)とを発生させる。0次光をポンプ光PHとして利用し、1次回折光をポンプ光PVとして利用することができる。一方、図3(B)に示されるように、音響光学変調素子42は、超音波伝搬媒質中に入射した光(エネルギーE2pに対応する波長帯の光)から、0次光(エネルギーE2pに対応する波長帯の光)と1次回折光(エネルギーE2p+Δに対応する波長帯の光)とを発生させる。0次光をポンプ光KHとして利用し、1次回折光をポンプ光KVとして利用することができる。たとえば、Δ=10μeVの場合、Δを周波数に換算すると2.4GHz程度であるから、市販の高周波用AOMを利用することが可能である。また、Δ=20μeVの場合でも、Δを周波数に換算すると3.6GHz程度であるから、市販の高周波用AOMを利用することができる。
次に、上記相関光子生成システムの具体例について説明する。量子ドット31から放出される2光子1p,2pのエネルギー条件は以下の通りである。光子1pの水平偏光成分Hのエネルギー:E=798.99meV(波長1551.76nm)、光子1pの垂直偏光成分Vのエネルギー:E+Δ=799.01meV(波長1551.72nm)、である。光子2pの水平偏光成分Hのエネルギー:E=801.01meV(波長1547.85nm)、光子2pの垂直偏光成分Vのエネルギー:E−Δ=800.99meV(波長1547.88nm)、である。ここで、光子1pと光子2pとの間のクーロン相互作用によるエネルギー差を2meVと仮定し、これら光子1p,2pそれぞれにおける微細構造分裂の幅Δを20μeVと仮定している。これらの光子1p,2pは、それぞれ、光ファイバ32,33を伝搬される。波長1550nm帯の光子であれば、ファイバー損失も小さいため、100km程度の長距離伝送も可能である。
ポンプ光PH,PVは、図3(A)の音響光学変調素子41を用いた方法により生成される。音響光学変調素子41への入射光として、波長1064nm(E1p=1165.26meV)の光を利用する。超音波伝搬媒質に印加すべき超音波の周波数を微細構造分裂の幅に相当する3.6GHz(20μeV)に設定すると、音響光学変調素子41は、超音波伝搬媒質をそのまま透過する0次光に加えて、波長1064.02nm(E1p−Δ=1165.24meV)を持つ1次回折光を発生させる。これにより、0次光をポンプ光PHとし、1次回折光をポンプPVとして周波数変換に利用することができる。なお、通常のAOMは変調周波数がMHzオーダーに限られているものが多いが、たとえばニオブ酸リチウム(LiNbO)を用いた高周波用AOMであれば、3.6GHz程度の高周波動作も十分可能である。
光周波数変換素子21,22は、これらポンプ光PH,PVを用いた和周波変換により、光子1Hと光子1Vを、それぞれ、同一エネルギーE+E1p=1964.25meV(波長631.18nm)を持つ光子1aHと光子1aVへ変換する。最後に、光合波器6は、光子1aHと光子1aVを空間的に重ね合わせて合波し、その合波光を変換光1aとして出力する。
第2波長変換部2でも、ポンプ光源10,11の構成を第1波長変換部1のポンプ光源8,9の構成と同一にすることで、光周波数変換素子23,24は、光子2Hと光子2Vを、それぞれ、同一エネルギーE+E2p=1966.25meV(波長630.56nm)を持つ光子2aHと光子2aVへ変換することができる。光合波器7は、光子2aHと光子2aVを合波し、その合波光を変換光2aとして出力する。
なお、波長変換により光子1p,2pの波長帯は可視光波長帯へと上方変換(アップコンバージョン)されるため、偏光測定の際の光子検出には、高効率かつ低コストなSiアバランシェフォトダイオード(APD)を使用することが望ましい。
以上のように波長変換を用いた方法であれば、通信波長1550nm帯の光子1p,2pをファイバー伝送した後、検出直前に可視光帯域の光1a,2aに変換し、光1a,2aを高感度なSi検出器で検出することが可能である。よって、本実施形態の相関光子生成システムは、ファイバー通信に適した構成を有している。
上記の通り、第1の実施形態の相関光子生成システムは、偏光状態とエネルギー状態とに関して互いに相関する光子1p,2pの波長をそれぞれ変換してこれらの光子1p,2p間のエネルギー状態に関する相関を消去することができる。それ故、この結果得られた変換光1a,2aは、エンタングルド状態の光子対を構成することとなる。この相関光子生成システムは、量子ドット31自体のエネルギー準位を制御するのではなく、量子ドット31から放出された光子1p,2pの波長を調整することでエネルギー状態に関する相関を消去するので、発生効率やフィデリティを低下させること無く、エンタングルド状態の光子1a,2aの対を生成することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態である相関光子生成システム(または相関光子生成装置)の概略構成を示す図である。この相関光子生成システムは、光子対生成部3、第1波長変換部1Sおよび第2波長変換部2Sを有する。
第1波長変換部1Sは、偏光ビームスプリッタ4、ポンプ光源8S、合波素子12,14、分波素子13,15および光周波数変換素子21,22を有する。偏光ビームスプリッタ4は合分波器として機能する。また、第1波長変換部1Sは、これら構成要素4,12〜15,21,22を含むサニャック干渉計型(Sagnac interferometer type)の光学系を有する。すなわち、第1波長変換部1Sのサニャック干渉計型の光学系は、合分波器4で分離された水平偏光成分の光子1Hを、合波素子12、光周波数変換素子21、分波素子13、分波素子15、光周波数変換素子22および合波素子14を介して合分波器4に伝搬するとともに、合分波器4で分離された垂直偏光成分の光子1Vを、合波素子14、光周波数変換素子22、分波素子15、分波素子13、光周波数変換素子21および合波素子12を介して合分波器4に伝搬するループ状光路を有している。
ポンプ光源8Sは、図3(A)に示した音響光学変調素子41と同じ音響光学変調素子を有し、位相ロックされたポンプ光PV,PHを生成する。合分波器4は、前記ループ状光路を経た戻り光1aH,1aVを合波し、その合波光を第1の変換光1aとして出力する。
第2波長変換部2Sも、第1波長変換部1Sと同様の構成を有する。第2波長変換部2Sは、偏光ビームスプリッタ5、ポンプ光源10S、合波素子16,18、分波素子17,19および光周波数変換素子23,24を有する。偏光ビームスプリッタ5は合分波器として機能する。また、第1波長変換部2Sは、これら構成要素5,16〜19,23,24を含むサニャック干渉計型(Sagnac interferometer type)の光学系を有する。すなわち、第1波長変換部2Sのサニャック干渉計型の光学系は、合分波器5で分離された水平偏光成分の光子2Hを、合波素子16、光周波数変換素子23、分波素子17、分波素子19、光周波数変換素子24および合波素子18を介して合分波器5に伝搬するとともに、合分波器5で分離された垂直偏光成分の光子2Vを、合波素子18、光周波数変換素子24、分波素子19、分波素子17、光周波数変換素子23および合波素子16を介して合分波器5に伝搬するループ状光路を有している。
ポンプ光源10Sは、図3(B)に示した音響光学変調素子42と同じ音響光学変調素子を有し、位相ロックされたポンプ光KV,KHを生成する。合分波器5は、前記ループ状光路を経た戻り光2aH,2aVを合波し、その合波光を第2の変換光2aとして出力する。
第2の実施形態の相関光子生成システムは、サニャック干渉計型の光学系を有するので、この光学系のループ状光路の光路長の安定化を容易に行うことができる。上記第1の実施形態の相関光子生成システムは、マッハ−ツェンダー干渉計型の光学系を有するが、この光学系では、図2に示されるように、偏光ビームスプリッタ4と光合波器6との間の2つの光路(光周波数変換素子21を経由する光路と光周波数変換素子22を経由する光路)の光路長を安定に維持する必要がある。実際、光学系の機械的な揺らぎを補償するために、伝搬光の位相安定化を実行する動的制御機構を設けることが望ましい。これに対し、第2の実施形態のサニャック干渉計型の光学系のループ状光路では、右回りの伝搬光と左回りの伝搬光とは同じ光路を通るため、右回りの光伝搬路の光路長と左回りの光伝搬路の光路長との間の差(光路差)はゼロである。したがって、前述の動的制御機構を設けなくても、光路長の安定化を容易に行うことができ、光子1p,2pの波長変換過程で偏光状態を自動的に保存することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。図5は、第3の実施形態である相関光子生成システム(または相関光子生成装置)の概略構成を示す図である。この相関光子生成システムは、光子対生成部3、第1波長変換部1Fおよび第2波長変換部2Fを有する。
第1波長変換部1Fは、光子1pの位相を変調する光変調器51と、帯域通過フィルタ52とを含む。光変調器51は、エネルギーΔ/2に対応する変調周波数Δfのマイクロ波を用いて入力光1pの位相を変調する機能を有する。この結果得られた位相変調光は、入力光1pのまわりに複数のサイドバンド(離散的な光スペクトル)を有する。帯域通過フィルタ52は、複数のサイドバンドのうちの少なくとも1つのサイドバンドを選択的に通過させて第1の変換光1aを生成する。なお、光変調器51としては、偏光無依存なものが使用される。
図6(A)のエネルギースペクトルに示されるように、位相変換前の光子1pは、エネルギーEに関して、互いにΔだけ分離した位置にピークを持つ水平偏光成分(第1の偏光状態を有する第1偏光成分)Hと垂直偏光成分(第2の偏光状態を有する第2偏光成分)Vとを含む。この光子1pが光変調器51により位相変調されたとき、図6(B)のエネルギースペクトルに示されるように、その位相変調光は、エネルギーEに関して、水平偏光成分Hと垂直偏光成分Vのまわりに現れる複数のサイドバンドを含む。これらサイドバンドは、エネルギーΔ/2に対応する変調周波数Δfの間隔で現れる。そして、図6(C)のエネルギースペクトルに示されるように、帯域通過フィルタ52は、これらサイドバンドのうち水平偏光成分のサイドバンドと垂直偏光成分のサイドバンドとの双方を含む成分を選択的に通過させる。したがって、帯域通過フィルタ52は、水平偏光成分と垂直偏光成分との重複(オーバーラップ)した波長帯(第1波長帯)のサイドバンド光のみを第1の変換光1aをとして通過させる。
第2波長変換部2Fも、第1波長変換部1Fと同様の構成を有する。すなわち、第2波長変換部2Fは、光子2pの位相を変調する光変調器53と、帯域通過フィルタ54とを含む。光変調器53は、エネルギーΔ/2に対応する変調周波数Δfのマイクロ波を用いて入力光2pの位相を変調する機能を有する。この結果得られた位相変調光は、入力光2pのまわりに複数のサイドバンド(離散的な光スペクトル)を有する。帯域通過フィルタ54は、複数のサイドバンドのうち水平偏光成分のサイドバンドと垂直偏光成分のサイドバンドとの双方を含む少なくとも1つのサイドバンド光を選択的に通過させて第2の変換光2aを生成する。言い換えれば、帯域通過フィルタ54は、水平偏光成分と垂直偏光成分との重複(オーバーラップ)した波長帯(第2波長帯)のサイドバンド光のみを第2の変換光2aとして通過させる。なお、光変調器53としては、偏光無依存なものが使用される。
光変調器51,52としては、たとえば電気光学変調器(EOM: Electro-Optic Modulator)を、帯域通過フィルタ52,54としては、たとえば干渉フィルターをそれぞれ使用すればよい。
第3の実施形態の相関光子生成システムでは、帯域通過フィルタ52,54がそれぞれ通過させた変換光1a,2aは、偏光成分間にエネルギー分裂を持たないので、フィデリティの良好なエンタングルメント光子対を構成する。これら変換光1a,2aの偏光状態に関するエンタングルメントを観測することが可能である。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、上記実施形態は、各々が水平偏光Hと垂直偏光Vとからなる光子1p,2pの波長を変換してエネルギー状態に関する相関を消去する構成を有するが、これに限定されるものではない。上記実施形態の構成が、各々が互いに直交する偏光成分からなる光子対の波長を変換してエネルギー状態に関する相関を消去する構成に変更してもよい。
また、第1波長変換部1、第2波長変換部2および光子対生成部3は、単一の装置内に組み込まれてもよいし、あるいは、独立した構成であってもよい。光子対生成部3と第1波長変換部1との間、あるいは、光子対生成部3と第2波長変換部2との間が、長距離の光ファイバ32で光学的に接続されてもよい。
なお、上記第1の実施形態では、第1波長変換部1と第2波長変換部2の各々は、偏光状態を保持しつつ光子1p,2pの波長を変換していた。しかしながら、第1波長変換部1および第2波長変換部2において偏光状態が変化した場合でも、偏光エンタングルメント光子対を生成することは可能である。たとえば、第1波長変換部1および第2波長変換部2において、光子1p,2pの偏光がそれぞれ45度回転して光子1a,2aが生成された場合、これらの波長変換後の光子1a,2aは、偏光エンタングルメント光子対となり得る。このように、第1波長変換部1または第2波長変換部2において光子1p,2pの偏光状態が変化した場合でも、全体として偏光エンタングルメントを有する状態を生成することができる。第2の実施形態および第3の実施形態でも、同様である。
(A)は、理想的なカスケード発光の原理を説明するための図であり、(B)は、微細構造分裂が存在する場合のカスケード発光を説明するための図である。 本発明に係る第1の実施形態である相関光子生成システムの概略構成を示す図である。 (A),(B)は、音響光学変調素子によるポンプ光の生成法を示す図である。 本発明に係る第2の実施形態である相関光子生成システムの概略構成を示す図である。 本発明に係る第3の実施形態である相関光子生成システムの概略構成を示す図である。 (A)〜(C)は、変換光子対の生成法を説明するためのエネルギースペクトルを示す図である。
符号の説明
1,1S,1F 第1波長変換部
2,2S,2F 第2波長変換部
3 光子対生成部
4,5 偏光ビームスプリッタ
6,7 光合波器
8,8S,9,10,10S,11 ポンプ光源
12,14,16,18 合波素子
13,15,17,19 分波素子
21,22,23,24 光周波数変換素子
30 ポンプ光源
31 量子ドット
32,33 光ファイバ
41,42 音響光学変調素子(AOM)
51,53 光変調器
52,54 帯域通過フィルタ

Claims (19)

  1. 偏光状態とエネルギー状態とに関して互いに相関する第1および第2の光子を生成する光子対生成部と、
    前記第1および第2の光子の波長をそれぞれ変換して前記第1および第2の光子間の前記エネルギー状態に関する相関を消去することにより第1および第2の変換光をそれぞれ生成する第1波長変換部および第2波長変換部と、
    を備え、
    前記第1および第2の変換光はエンタングルド状態の光子対を構成する、相関光子生成システム。
  2. 請求項1記載の相関光子生成システムであって、前記第1波長変換部および前記第2波長変換部は、前記第1および第2の光子間のエネルギー状態に関する相関を消去して前記偏光状態に関する相関のみを残すことにより前記第1および第2の変換光をそれぞれ生成する、相関光子生成システム。
  3. 請求項1または2記載の相関光子生成システムであって、前記光子対生成部は、1つの励起状態と、1つの基底状態と、前記励起状態と前記基底状態の間にある2つの中間励起状態とを有する発光素子を含み、前記2つの中間励起状態は互いに異なるエネルギー準位を有する、相関光子生成システム。
  4. 請求項3記載の相関光子生成システムであって、前記発光素子は、互いに結合した2個の励起子からなる励起子分子を有し、
    前記励起子分子の状態は、前記励起状態に対応しており、
    前記2個の励起子の状態は、それぞれ、前記2つの中間励起状態に対応しかつ微細構造分裂したエネルギー準位を有する、相関光子生成システム。
  5. 請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の相関光子生成システムであって、前記光子対生成部は、前記第1の光子を選択的に前記第1波長変換部に導くとともに前記第2の光子を前記第2波長変換部に導く光学素子を含む、相関光子生成システム。
  6. 請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の相関光子生成システムであって、前記第1波長変換部は、前記第1の光子を単一のエネルギーに対応する第1波長帯の光子に変換し、前記第2波長変換部は、前記第2の光子を単一のエネルギーに対応する第2波長帯の光子に変換する、相関光子生成システム。
  7. 請求項6記載の相関光子生成システムであって、
    前記第1波長変換部は、
    前記第1の光子を、第1の偏光状態を有する第1偏光成分と前記第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態を有する第2偏光成分とに分離する第1の偏光ビームスプリッタと、
    前記第1偏光成分の周波数を変換して前記第1波長帯を持つ偏光成分を生成する第1の光周波数変換素子と、
    前記第2偏光成分の周波数を変換して前記第1波長帯と同じ波長帯を持つ偏光成分を生成する第2の光周波数変換素子と、
    前記第1の光周波数変換素子で生成された偏光成分と前記第2の光周波数変換素子で生成された偏光成分とを合波して前記第1の変換光を生成する第1の光合波器と、を含み、
    前記第2波長変換部は、
    前記第2の光子を、前記第1の偏光状態を有する第3偏光成分と前記第2の偏光状態を有する第4偏光成分とに分離する第2の偏光ビームスプリッタと、
    前記第3偏光成分の周波数を変換して前記第2波長帯を持つ偏光成分を生成する第3の光周波数変換素子と、
    前記第4偏光成分の周波数を変換して前記第2波長帯と同じ波長帯を持つ偏光成分を生成する第4の光周波数変換素子と、
    前記第3の光周波数変換素子で生成された偏光成分と前記第4の光周波数変換素子で生成された偏光成分とを合波して前記第2の変換光を生成する第2の光合波器と、を含む、相関光子生成システム。
  8. 請求項6記載の相関光子生成システムであって、
    前記第1波長変換部は、
    前記第1の光子を、第1の偏光状態を有する第1偏光成分と前記第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態を有する第2偏光成分とに分離する第1の光合分波器と、
    前記第1偏光成分の周波数を変換して前記第1波長帯を持つ偏光成分を生成する第1の光周波数変換素子と、
    前記第2偏光成分の周波数を変換して前記第1波長帯と同じ波長帯を持つ偏光成分を生成する第2の光周波数変換素子と、
    前記第1の光周波数変換素子で生成された偏光成分を前記第2の光周波数変換素子を介して前記第1の光合分波器に伝搬するととともに、前記第2の光周波数変換素子で生成された偏光成分を前記第1の光周波数変換素子を介して前記第1の光合分波器に伝搬する第1のループ状光路と、を含み、
    前記第2波長変換部は、
    前記第2の光子を、前記第1の偏光状態を有する第3偏光成分と前記第2の偏光状態を有する第4偏光成分とに分離する第2の光合分波器と、
    前記第3偏光成分の周波数を変換して前記第2波長帯を持つ偏光成分を生成する第3の光周波数変換素子と、
    前記第4偏光成分の周波数を変換して前記第2波長帯と同じ波長帯を持つ偏光成分を生成する第4の光周波数変換素子と、
    前記第3の光周波数変換素子で生成された偏光成分を前記第4の光周波数変換素子を介して前記第2の光合分波器に伝搬するととともに、前記第4の光周波数変換素子で生成された偏光成分を前記第3の光周波数変換素子を介して前記第2の光合分波器に伝搬する第2のループ状光路と、を含み、
    前記第1の光合分波器は、前記第1の光周波数変換素子で生成されかつ前記第1ループ状光路を伝搬された偏光成分と前記第2の光周波数変換素子で生成されかつ前記第1のループ状光路を伝搬された偏光成分とを合波して前記第1の変換光を生成し、
    前記第2の光合分波器は、前記第3の光周波数変換素子で生成されかつ前記第2のループ状光路を伝搬された偏光成分と前記第4の光周波数変換素子で生成されかつ前記第2のループ状光路を伝搬された偏光成分とを合波して前記第2の変換光を生成する、
    相関光子生成システム。
  9. 請求項7または8記載の相関光子生成システムであって、
    前記第1、第2、第3および第4の光周波数変換素子の各々は、励起光を使用して光周波数を変換する非線形光学素子を含む、相関光子生成システム。
  10. 請求項9記載の相関光子生成システムであって、
    前記第1波長変換部は、入射光から0次光および1次回折光を生成する音響光学変調器を更に含み、
    前記第1の光周波数変換素子の非線形光学素子は、前記0次光を励起光として使用して光周波数を変換し、前記第2の光周波数変換素子の非線形光学素子は、前記1次回折光を励起光として使用して光周波数を変換する、相関光子生成システム。
  11. 請求項9記載の相関光子生成システムであって、
    前記第2波長変換部は、入射光から0次光および1次回折光を生成する音響光学変調器を更に含み、
    前記第3の光周波数変換素子の非線形光学素子は、前記0次光を励起光として使用して光周波数を変換し、前記第4の光周波数変換素子の非線形光学素子は、前記1次回折光を励起光として使用して光周波数を変換する、相関光子生成システム。
  12. 請求項6記載の相関光子生成システムであって、
    前記第1波長変換部は、
    前記第1の光子の位相を変調して、第1の偏光状態を有しかつ前記第1波長帯の光を含む第1偏光成分と、前記第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態を有しかつ前記第1波長帯と重複する波長帯の光を含む第2偏光成分とを持つ第1の位相変調光を生成する第1位相変調器と、
    前記第1の位相変調光のうち前記第1波長帯の光のみを通過させて前記第1の変換光を出力する第1帯域通過フィルタと、
    を含み、
    前記第2波長変換部は、
    前記第2の光子の位相を変調して、前記第1の偏光状態を有しかつ前記第2波長帯の光を含む第3偏光成分と、前記第2の偏光状態を有しかつ前記第2波長帯と重複する波長帯の光を含む第4偏光成分とを持つ第2の位相変調光を生成する第2位相変調器と、
    前記第2の位相変調光のうち前記第2波長帯の光のみを通過させて前記第2の変換光を出力する第2帯域通過フィルタと、
    を含む、相関光子生成システム。
  13. 偏光状態とエネルギー状態とに関して互いに相関する第1および第2の光子を生成するステップと、
    前記第1および第2の光子の波長をそれぞれ変換して前記第1および第2の光子間の前記エネルギー状態に関する相関を消去することにより第1および第2の変換光をそれぞれ生成するステップと、
    を備え、
    前記第1および第2の変換光はエンタングルド状態の光子対を構成する、相関光子生成方法。
  14. 請求項13記載の相関光子生成方法であって、前記第1および第2の変換光をそれぞれ生成するステップでは、前記第1および第2の光子間のエネルギー状態に関する相関を消去して前記偏光状態に関する相関のみを残す、相関光子生成方法。
  15. 請求項13または14記載の相関光子生成方法であって、1つの励起状態と、1つの基底状態と、前記励起状態と前記基底状態の間にある2つの中間励起状態とを有する発光素子から前記第1および第2の光子対が生成され、前記2つの中間励起状態は互いに異なるエネルギー準位を有する、相関光子生成方法。
  16. 請求項15記載の相関光子生成方法であって、前記発光素子は、互いに結合した2個の励起子からなる励起子分子を有し、
    前記励起子分子の状態は、前記励起状態に対応しており、
    前記2個の励起子の状態は、それぞれ、前記2つの中間励起状態に対応しかつ微細構造分裂したエネルギー準位を有する、相関光子生成方法。
  17. 請求項13から16のうちのいずれか1項に記載の相関光子生成方法であって、前記第1の光子を単一のエネルギーに対応する第1波長帯の光子に変換し、前記第2の光子を単一のエネルギーに対応する第2波長帯の光子に変換することにより前記第1および第2の変換光が生成される、相関光子生成方法。
  18. 請求項17記載の相関光子生成方法であって、
    前記第1の光子を、第1の偏光状態を有する第1偏光成分と前記第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態を有する第2偏光成分とに分離するステップと、
    前記第1偏光成分の周波数を変換して前記第1波長帯を持つ第1の変換偏光成分を生成するステップと、
    前記第2偏光成分の周波数を変換して前記第1波長帯と同じ波長帯を持つ第2の変換偏光成分を生成するステップと、
    前記第1の変換偏光成分と前記第2の変換偏光成分とを合波して前記第1の変換光を生成するステップと、
    前記第2の光子を、前記第1の偏光状態を有する第3偏光成分と前記第2の偏光状態を有する第4偏光成分とに分離するステップと、
    前記第3偏光成分の周波数を変換して前記第2波長帯を持つ第3の変換偏光成分を生成するステップと、
    前記第4偏光成分の周波数を変換して前記第2波長帯と同じ波長帯を持つ第4の変換偏光成分を生成するステップと、
    前記第3の変換偏光成分と前記第4の変換偏光成分とを合波して前記第2の変換光を生成するステップと、
    を含む相関光子生成方法。
  19. 請求項17記載の相関光子生成方法であって、
    前記第1の光子の位相を変調して、第1の偏光状態を有しかつ前記第1波長帯の光を含む第1偏光成分と、前記第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態を有しかつ前記第1波長帯と重複する波長帯の光を含む第2偏光成分とを持つ第1の位相変調光を生成するステップと、
    前記第1の位相変調光のうち前記第1波長帯の光のみを通過させて前記第1の変換光を出力するステップと、
    前記第2の光子の位相を変調して、前記第1の偏光状態を有しかつ前記第2波長帯の光を含む第3偏光成分と、前記第2の偏光状態を有しかつ前記第2波長帯と重複する波長帯の光を含む第4偏光成分とを持つ第2の位相変調光を生成するステップと、
    前記第2の位相変調光のうち前記第2波長帯の光のみを通過させて前記第2の変換光を出力するステップと、
    を含む相関光子生成方法。
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