JP2009216067A - 触媒劣化判定装置及び触媒劣化判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】CPUの処理負荷を軽減しながらも、適切に触媒の劣化を検知できる触媒劣化判定装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気系3に設置された排ガス浄化触媒17の上流側の酸素濃度を検出する第一の酸素濃度センサ18からの入力信号A1及び前記排ガス浄化触媒17の下流側の酸素濃度を検出する第二の酸素濃度センサ19からの入力信号B1の夫々を矩形波A2、B2に変換する波形整形回路460a、460bと、前記波形整形回路460a、460bで波形整形された両信号の信号レベルの一致不一致を比較する比較回路463と、前記比較回路463の出力信号A5に基づいて信号レベルが一致する時間と相違する時間の比率に対応した判定信号を、前記排ガス浄化触媒17の劣化度を判定可能な判定信号A6として生成する判定信号生成回路464を触媒劣化判定装置46に備える。
【選択図】図5
【解決手段】内燃機関の排気系3に設置された排ガス浄化触媒17の上流側の酸素濃度を検出する第一の酸素濃度センサ18からの入力信号A1及び前記排ガス浄化触媒17の下流側の酸素濃度を検出する第二の酸素濃度センサ19からの入力信号B1の夫々を矩形波A2、B2に変換する波形整形回路460a、460bと、前記波形整形回路460a、460bで波形整形された両信号の信号レベルの一致不一致を比較する比較回路463と、前記比較回路463の出力信号A5に基づいて信号レベルが一致する時間と相違する時間の比率に対応した判定信号を、前記排ガス浄化触媒17の劣化度を判定可能な判定信号A6として生成する判定信号生成回路464を触媒劣化判定装置46に備える。
【選択図】図5
Description
本発明は、内燃機関の排気系に設置された排ガス浄化触媒の上流側の酸素濃度を検出する第一の酸素濃度センサからの入力信号及び前記排ガス浄化触媒の下流側の酸素濃度を検出する第二の酸素濃度センサからの入力信号に基づいて、排ガス浄化触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定装置及び触媒劣化判定方法に関する。
内燃機関に供給される燃料と空気の混合比を設定空燃比に制御しながら、排ガス系に配設された触媒の劣化判断を行なうことを目的とした触媒の劣化診断装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、排気ガス浄化用触媒を備えた内燃機関の制御装置における触媒の劣化診断装置であって、その出力信号に応じて機関への燃料の供給量を調整すべく触媒の上流側に設けた酸素濃度センサと、触媒の下流側に設けた酸素濃度センサと、両センサの出力信号を比較してこの触媒の転換効率を求める触媒転換効率判定装置と、転換効率から触媒の劣化度を求める触媒劣化度判定装置とを有する触媒の劣化診断装置が提案されている。
また、特許文献2には、空燃比センサの性能バラツキを考慮して、触媒劣化を安定して精度よく検出できる検出方法として、少なくとも、排気ガスを浄化するために設けられた触媒コンバータと、該触媒コンバータの上流側及び下流側のそれぞれに付設されて、排気ガス中の特定成分濃度を検出する空燃比センサと、該空燃比センサの出力を該出力波形の軌跡比に基づいて処理して信号を出力する制御装置と、該制御装置からの前記信号を受けて作動する触媒劣化警報手段からなり、しかも前記上流側空燃比センサの応答性よりも、前記下流側空燃比センサの応答性の方が、20以上100%以下の範囲で応答性の遅い空燃比センサとすることで触媒の劣化を検知する触媒劣化検知法が提案されている。
特開平05−141227号公報
特開平08−189343号公報
しかし、近年、車両の内燃機関を制御する電子制御装置(以下、本明細書では単に、「ECU」と記す。)では、複雑化する内燃機関に対応して様々な機能が付加されるようになり、ECUに組み込まれたCPUが処理すべきタスクも増加の一方を辿っているため、設定された処理時間内に必要なタスクが処理できない事態に到る虞が生じつつある。
そのようなタスクの一つに上述した触媒劣化検知処理が含まれ、CPUの処理負荷を軽減するべく、一層の改良が要請されている。
本発明は、上述の問題に鑑み、CPUの処理負荷を軽減しながらも、適切に触媒の劣化を検知できる触媒劣化判定装置及び触媒劣化判定方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明による触媒劣化判定装置の特徴構成は、内燃機関の排気系に設置された排ガス浄化触媒の上流側の酸素濃度を検出する第一の酸素濃度センサからの入力信号及び前記排ガス浄化触媒の下流側の酸素濃度を検出する第二の酸素濃度センサからの入力信号の夫々を矩形波に変換する波形整形回路と、前記波形整形回路で波形整形された両信号の信号レベルの一致不一致を比較する比較回路と、前記比較回路の出力信号に基づいて信号レベルが一致する時間と相違する時間の比率に対応した判定信号を、前記排ガス浄化触媒の劣化度を判定可能な判定信号として生成する判定信号生成回路を備えて構成される点にある。
上述の構成によれば、ECUに組み込まれたCPUは、第一または第二の酸素濃度センサからの入力信号を演算処理することなく、判定信号生成回路により生成される判定信号に基づき、小さな処理負荷で触媒劣化を検知することができるようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、CPUの処理負荷を軽減しながらも、適切に触媒の劣化を検知できる触媒劣化判定装置を提供することができるようになった。
以下、本発明による触媒劣化判定装置及び触媒劣化判定方法について説明する。
本発明による触媒劣化判定装置を有する車両には、内燃機関の一例であるガソリンエンジンが搭載されている。前記エンジンの主要部は、図1に示すように、シリンダやピストンを備えた内燃部1と、内燃部1に連通した吸気部2及び排気部3により構成され、エンジン制御部であるECU4により制御される。
内燃部1は、吸気部2からシリンダ内に吸入した燃料と空気の混合気体を点火プラグ12の火花により着火して燃焼させることにより得られるエネルギーを動力に変換する。
吸気部2では吸入口から吸入されてエアフィルタにより浄化された空気とインジェクタ15から噴射された燃料が吸気管10内で混合され、混合気体として吸気部2から内燃部1に供給される。
排気部3は、内燃部1で混合気体が燃焼されて発生したガス(以下、「排ガス」と記載する。)を外部へ排出するように構成され、排ガスの通路となる排気菅16と、排ガスに含まれる有害成分であるハイドロカーボンHC、一酸化炭素CO、窒素酸化物NOxを酸化または還元除去する三元触媒でなる排ガス浄化触媒17と、排ガス浄化触媒17の上流側の酸素濃度を検出する第一の酸素濃度センサ18と、排ガス浄化触媒17の下流側の酸素濃度を検出する第二の酸素濃度センサ19を備えて構成される。
排ガス浄化触媒17は、ある程度の酸素を吸蔵することができ、排ガス中に含まれるNOxを活性化して還元させると共に、その還元の過程で放出された酸素を吸蔵し、排ガス中に含まれるHCやCOなどの未燃成分を活性化させて吸蔵している酸素を放出して酸化させることで、排ガスを浄化するように構成される。
第一及び第二の酸素濃度センサ18、19は、排気管16の内部に向けて突設され、図2に示すように、断面がコ字形状で、その周壁にカバー内外を連通する多数の小孔180、190が形成されたカバー181、191と、空燃比がリーン領域またはリッチ領域における酸素濃度に対応する限界電流を発生するセンサ本体182、192と、ヒータ183、193から構成され、センサ本体182、192は、有低筒状の固体電解質層182a、192aの、外表面に排気ガス側電極層182b、192bが固着され、内表面に大気側電極層182c、192cが固着され、排気ガス側電極層182b、192bの外側に拡散抵抗層182d、192dがプラズマ溶射されている。
ヒータ183、193は大気側電極層182c、192cの内側に収容されており、その発熱によりセンサ本体182、192が400℃程度に加熱される活性化され、第一及び第二の酸素センサ18、19による排ガス中の酸素濃度の検出が可能となる。活性化された第一及び第二の酸素濃度センサ18、19の出力電圧は、酸素濃度と正の相関を有し、排ガス中の酸素濃度が高いときに高く、酸素濃度が低いときに低く出力される。また、排ガスが排ガス浄化触媒17を通過することに起因して、第二の酸素濃度センサ19から出力される信号B1は、第一の酸素濃度センサ18から出力される信号A1に対して相対的な位相遅れを有する。ここで、ヒータ183、193への通電は同時に開始されるように構成されるため、第一及び第二の酸素センサ18、19は略同時期に活性化される。
ECU4は、図3に示すように、マイクロコンピュータ40と、本発明における触媒劣化判定装置としての触媒劣化判定用回路46などの周辺回路を備えて構成され、マイクロコンピュータ40及び前記周辺回路により、車両の走行状態に応じてエンジンを駆動制御する。マイクロコンピュータ40は、CPU41と、CPU41の動作プログラムが格納されたROM42と、CPU41の作業領域となるRAM43と、入出力I/F回路44と、A/Dコンバータ45などを備えて構成される。
入出力I/F回路44は、第一及び第二の酸素濃度センサ18、19などの各種センサからの信号をCPU41に入力し、インジェクタ15や点火プラグ12に対するイグナイタ12aなどのアクチュエータへの制御信号を出力するように構成され、A/Dコンバータ45は、CPU41からの指示に基づいて動作し、センサなどから入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換してCPU41に入力するように構成される。
ECU4は、排ガス浄化触媒17に吸蔵可能な酸素容量の関係から排ガスの浄化率が低下することのないよう、第一の酸素濃度センサ18の出力信号A1と第二の酸素濃度センサ19の出力信号B1に基づき、排ガス中の酸素濃度が高いときには、吸気部2から吸入される混合気体の空燃比が理想空燃比より高いリッチ状態となるように、排ガス中の酸素濃度が低いときには、前記空燃比が前記理想空燃比より低いリーン状態となるように制御するように構成される。ECU4により、前記空燃比は第一の酸素濃度センサ18からの出力信号A1に基づいてフィードバック制御され、第二の酸素濃度センサ19からの出力信号B1に基づいて前記フィードバック制御量が補正される。
ECU4により制御された空燃比の混合気体が内燃部1で燃焼されて排出された排ガス中の酸素濃度を検出する第一の酸素濃度センサ18から出力される信号A1が、図4(a)に示すように、ハイレベルとローレベルを繰り返すとき、排ガス中に含まれ、またはNOxの還元により発生した酸素は排ガス浄化触媒17に吸蔵され、また、排ガス中に含まれ、または排ガス浄化触媒17に吸蔵された酸素はHCまたはCOを酸化するため、排ガス浄化触媒17を通過した排ガス中の酸素濃度を検出する第二の酸素濃度センサ19から出力される信号B1は、図4(b)に示すように、第二の酸素濃度センサ19及び排ガス浄化触媒17が共に正常に動作している状態(ケース3)であれば、第一の酸素濃度センサ18から出力される信号A1より長い周期でハイレベルとローレベルを繰り返す。
しかし、吸蔵可能な酸素容量が低下するなど排ガス浄化触媒17が劣化している(ケース1、2)場合には、信号B1は、信号A1と略同等の周期でハイレベルとローレベルを繰り返す。また、第二の酸素濃度センサ19が劣化している(ケース2、4)ときには、出力信号B1の信号レベルは小さくなる。
ECU4は、触媒劣化判定用回路46から出力される判定信号A6に基づき、排ガス浄化触媒17の劣化度を判定するように構成される。
触媒劣化判定用回路46は、図5に示すように、前記内燃機関であるガソリンエンジンの排気系である排気部3に設置された排ガス浄化触媒17の上流側の酸素濃度を検出する第一の酸素濃度センサ18からの入力信号A1を矩形波に変換する波形整形回路460a及び排ガス浄化触媒17の下流側の酸素濃度を検出する第二の酸素濃度センサ19からの入力信号B1を矩形波に変換する波形整形回路460bと、波形整形回路460a、460bで波形整形された両信号の信号レベルの一致不一致を比較する比較回路463と、比較回路463の出力信号A5に基づいて信号レベルが一致する時間と相違する時間の比率に対応した判定信号を、排ガス浄化触媒17の劣化度を判定可能な判定信号A6として生成する判定信号生成回路464を備えて構成される。
波形整形回路460aはコンパレータCMP460aにより、波形整形回路460bはコンパレータCMP460bにより構成され、コンパレータCMP460aの反転入力端子には基準電圧V460aが、非反転入力端子には第一の酸素濃度センサ18の出力信号A1が入力され、コンパレータCMP460aからは、信号A1が基準電圧V460aより高いとき、プルアップ抵抗R460aによりプルアップされたハイレベルの信号が出力され、信号A1が基準電圧V460aより低いとき、ローレベルの信号が出力される。コンパレータCMP460bの反転入力端子には基準電圧V460bが、非反転入力端子には第二の酸素濃度センサ19の出力信号B1が入力され、コンパレータCMP460bからは、信号B1が基準電圧V460bより高いとき、プルアップ抵抗R460bによりプルアップされたハイレベルの信号が出力され、信号B1が基準電圧V460bより低いとき、ローレベルの信号が出力される。
ところで、第二の酸素濃度センサ19からの出力信号B1は、第一の酸素濃度センサ18からの出力信号A1に対して相対的な位相遅れを有しているため、コンパレータ460bから出力される信号B2も、コンパレータ460aから出力される信号A2に対して、排ガスを浄化する排ガス浄化触媒17に起因する相対的な位相遅れ、即ち、時間のずれを有する。
そこで、触媒劣化判定用回路46は、比較回路463の前段に、第一の酸素濃度センサ18からの入力信号A1と第二の酸素濃度センサ19からの入力信号B1の相対的な位相遅れを補償する位相補償回路461を備え、位相補償回路461により信号A2を所定時間遅延させて前記位相遅れを補償するように構成される。
位相補償回路461は、固定の抵抗値を有する抵抗R461と固定の静電容量を有するコンデンサC461から構成され、抵抗R461の抵抗値とコンデンサC461の静電容量から定まる時定数でなる所定時間、入力信号を遅延させる遅延回路でなり、波形整形回路460aから出力される信号A2を前記所定時間遅延させて、排ガスが排ガス浄化触媒17を通過することで信号A2に対して生じる信号B2の相対的な位相遅れを補償するように構成される。
抵抗R461の抵抗値及びコンデンサC461の静電容量は、例えば、前記所定時間が、エンジン回転数が3000回転の通常運転時における前記位相遅れを補償する時間となるような固定の値に設定されている。位相補償回路461の出力信号は、位相補償回路461により変動した信号レベルがコンパレータCMP460bの出力信号B2の信号レベルと一致するようにバッファB462により調整されて信号A3として出力される。
位相補償回路461により信号B2に生じた信号A2に対する相対的な位相遅れは補償されるため、信号A2の周期と信号B2の周期が略同等となる排ガス浄化触媒17の異常時には信号A3と信号B2の信号レベルが一致する時間は不一致である時間に較べて長い。しかし、信号A2の周期より信号B2の周期が長い排ガス浄化触媒17の正常時には信号A3と信号B2の信号レベルが一致する時間は不一致である時間と略同等となる。
比較回路463はXOR回路G463及びインバータIV463から構成され、XOR回路G463はバッファB462から出力された信号A3とコンパレータCMP460bから出力された信号B2の排他論理和の論理レベル、即ち、信号A3と信号B2の信号レベルが一致するときにはローレベルで、信号A3と信号B2の信号レベルが不一致であるときにはハイレベルで信号A4を出力するように構成され、XOR回路G463の出力信号A4はインバータIV463により論理レベルが反転された信号A5として出力される。
即ち、比較回路463は、XOR回路G463及びインバータIV463でなるXNOR回路により構成され、信号A3と信号B2の信号レベルが一致するときにはハイレベルで、信号A3と信号B2の信号レベルが不一致であるときにはローレベルで信号A5を出力するように構成される。よって、排ガス浄化触媒17が異常であるときには比較回路463からの信号A5は略ハイレベルで出力され、排ガス浄化触媒17が正常であるときには比較回路463からの信号A5は、ハイレベルとローレベルが略同等に出力される。
判定信号生成回路464は、抵抗R464とコンデンサC464から構成され、比較回路463の出力信号A5を積分する積分回路でなり、比較回路463の出力信号A5のハイレベルとローレベルの相対時間比で出力が変動するように構成される。信号A3と信号B2の信号レベルが一致して比較回路463から出力される信号A5がハイレベルのときには、コンデンサC464が充電されて判定信号A6の信号レベルは上昇し、信号A3と信号B2の信号レベルが不一致であり比較回路463から出力される信号A5がローレベルのときには、コンデンサC464が放電されて判定信号A6の信号レベルは下降する。
よって、比較回路463からの信号A5が長い時間ハイレベルで出力され、相対的に短い時間ローレベルで出力される排ガス浄化触媒17の異常時には、コンデンサC464の充電時間は放電時間よりも長く、判定信号生成回路464の出力信号レベルは徐々に増加し、比較回路463からの信号A5のハイレベルとローレベルが略同等の時間で出力される排ガス浄化触媒17の正常時には、コンデンサC464の充電時間と放電時間は略等しく、判定信号生成回路464の出力信号レベルは一定の範囲内で上昇下降を繰り返す。
マイクロコンピュータ40は、A/Dコンバータ45を介して判定信号A6の信号レベルを監視し、前記信号レベルが予め設定された触媒劣化判定閾値を超えたときに、排ガス浄化触媒17が劣化状態にあると判定するように構成される。ここで、前記触媒劣化判定閾値は前記一定の範囲より高い値に設定される。
ところで、センサ本体182、192が十分に加熱されておらず不活性状態にあるとき、第一及び第二の酸素濃度センサ18、19は酸素濃度の検出を行うことができず、夫々からはローレベルの信号A1、B1が出力されるため、比較回路463からはハイレベルの出力信号A5が出力され、判定信号生成回路464のコンデンサC464は放電されることなく充電される。従って、判定信号A6の信号レベルは増加を続けて前記触媒劣化判定閾値を超え、実際の排ガス浄化触媒17の劣化度に関わらず、マイクロコンピュータ40により排ガス浄化触媒17は劣化状態にあると判定されてしまう。
そこで、触媒劣化判定用回路46には、第一の酸素濃度センサ18が不活性状態であるときに、判定信号生成回路464の出力をリセットするスイッチ回路465が備えられる。スイッチ回路465はスイッチングトランジスタQ465で構成される。
マイクロコンピュータ40は、バッファ463から出力された信号A3の信号レベルに基づいて第一の酸素濃度センサ18の活性、不活性を判定するように構成され、第一の酸素濃度センサ18が不活性状態であると判定するとスイッチングトランジスタQ465のベースにハイレベルの信号を出力するように構成され、スイッチングトランジスタQ465を介して、コンデンサC464の電荷が放電されて判定信号生成回路464がリセットされ、リセットされた判定信号生成回路464からはローレベルの判定信号A6が出力される。
よって、判定信号A6の信号レベルが前記触媒劣化判定閾値を超えることはなく、第一及び第二の酸素濃度センサ18、19が不活性状態にあるときにおける、判定信号生成回路464からの誤った判定信号A6に基づくマイクロコンピュータ40による排ガス浄化触媒17の劣化度に対する誤判定が防止される。ここで、マイクロコンピュータ40は、信号A3の信号レベルがローレベルに維持された状態にあるときには第一の酸素濃度センサ18は不活性状態にあると判定し、信号A3の信号レベルが変動し始めると活性状態にあると判定するように構成される。
触媒劣化判定用回路46による判定信号A6の生成、及び、マイクロコンピュータ40による排ガス浄化触媒17の触媒劣化判定方法について、図6に示すフローチャート、及び、図7を用いて説明する。
マイクロコンピュータ40により、第一の酸素濃度センサ18が不活性状態にあると判定されると(S1)、スイッチ回路465により判定信号生成回路464がリセットされてローレベルの判定信号A6が出力され(S2)、マイクロコンピュータ40により排ガス浄化触媒17の劣化状態にあると判定されることが防止される。
マイクロコンピュータ40により、第一の酸素濃度センサ18が活性状態にあると判定されると(S1)、第一の酸素濃度センサ18からの入力信号A1、及び第二の酸素濃度センサ19からの入力信号B1は夫々、コンパレータCMP460a、CMP460bにより基準電圧V460a及び基準電圧V460bを基準としてハイレベルとローレベルを繰り返す矩形波A2及び矩形波B2に変換される(S3)。ここで、入力信号A1、B1には、排ガスが排ガス浄化触媒17を通過することに起因する相対的な位相遅れ、即ち、時間のずれΔtが生じている。また、排ガス浄化触媒17の正常時には、入力信号B1は入力信号A1よりも長い周期でハイレベルとローレベルを繰り返す。
矩形波A2は、遅延回路461により所定時間遅延され、信号A3として出力される(S4)。遅延回路461により遅延される前記所定時間は、矩形波A2と矩形波B2の相対的な位相遅れを補償するように設定されるものであるが、固定の値をとるために、走行状況やエンジン負荷などによっては矩形波B2と信号A3の位相ずれ、即ち、時間のずれΔtと若干の誤差が生じることがある。
比較回路463では、信号A3と信号B2の信号レベルの一致不一致を比較するXOR回路G463により信号A3と信号B2の排他論理和の論理レベルで信号A4が出力され(S5)、インバータIV463により論理レベルが反転された信号A5が出力される(S6)。排ガス浄化触媒17の劣化時には、信号A3と信号B2は略一致するため、信号A5は基本的にはハイレベルで出力されるが、信号A2と信号B2に時間のずれΔtがあるときには当該時間のずれΔtの期間、ローレベルで出力される。排ガス浄化触媒17の正常時には、信号B2の周期は信号A3の周期より長く、信号A5は略等間隔のデューティ比でハイレベルとローレベルを繰り返して出力される。
比較回路463からの出力信号A5を積分する判定信号生成回路464により、信号A3と信号B2の信号レベルが一致する時間と相違する時間の比率に対応した判定信号が、排ガス浄化触媒17の劣化度を判定可能な判定信号A6として生成される(S7)。
排ガス浄化触媒17の劣化時には、判定信号A6は、基本的にハイレベルで出力されており、また、信号A3と信号B2に時間のずれΔtがあるときでもローレベルで出力される時間よりもハイレベルで出力される時間が長いため、判定信号生成回路464のコンデンサC464の充電時間は放電時間よりも長く、判定信号生成回路464の出力する信号レベルは徐々に高くなっていく。
排ガス浄化触媒17の正常時には、判定信号A6は、ローレベルで出力される時間とハイレベルとして出力される時間が略同等であるため、判定信号生成回路464のコンデンサC464は、ハイレベルの時間充電されても、ローレベルの時間で十分に放電され、コンデンサC464の電荷が増加し続けることはなく、判定信号生成回路464の出力する信号レベルは触媒劣化判定閾値以下の一定の範囲内で増加し、下降する。
マイクロコンピュータ40に入力された判定信号A6は、A/Dコンバータ45を介してデジタル化されてCPU41に入力され、CPU41により前記触媒劣化判定閾値と比較され、当該閾値を超えると排ガス浄化触媒17は劣化状態にあると判定される。
以下、別の実施形態について説明する。
上述の実施形態では、位相補償回路461は、遅延時間が固定の値に設定された遅延回路からなるものとしたが、例えば、抵抗R461の抵抗値またはコンデンサC461の静電容量を変更可能に構成し、エンジン回転数に基づき、複数の遅延時間に切替え可能に構成されるものであってもよい。この場合、第一及び第二の酸素濃度センサ18、19の出力信号A1、B1の相対的な位相遅れをより正確に補償することができ、排ガス浄化触媒17の劣化状態を正確に判定することができる。
上述の実施形態では、位相補償回路461は、遅延時間が固定の値に設定された遅延回路からなるものとしたが、第一及び第二の酸素濃度センサ18、19の出力信号A1、B1の相対的な位相遅れが小さくなるように構成されているときには、位相補償回路461を備える必要はなく、前記回路の設置にかかるコストを削減することができる。
上述の実施形態では、判定信号生成回路464は積分回路により構成されるものとして説明したが、図8(a)に示すように、カウンタ回路464により構成されるものであってもよい。カウンタ回路464は、図8(b)に示すように、信号A5の信号レベルがハイレベルであるときにはカウント値をアップし、ローレベルであるときにはカウント値をダウンするように構成されたアップダウンカウンタでなり、クロック生成部から所定間隔で入力されるクロック信号の立上りエッジをカウントするように構成され、カウント値が予め設定された触媒劣化判定閾値を超えると、予め設定されたレベルで、例えば、図8(b)に示すハイレベルで判定信号A6を出力するように構成される。
また、カウンタ回路464は、リセット端子を有し、前記リセット信号が入力されるとカウント値をクリアするように構成される。即ち、前記リセット端子から入力されるリセット信号に基づいてカウンタをリセットする回路部により、第一の酸素濃度センサが不活性状態であるときに、前記判定信号生成回路464の出力をリセットするスイッチ回路が構成される。
マイクロコンピュータ40は、カウンタ回路464から出力される判定信号A6が前記予め設定されたレベルであるときに排ガス浄化触媒17が劣化状態にあると判定するように構成され、これにより、A/Dコンバータ45による判定信号A6のA/D変換が不要となり、A/Dコンバータ45の処理負荷を軽減することができる。また、マイクロコンピュータ40は、バッファB462から出力される信号A3に基づき、第一の酸素濃度センサ18が不活性状態にあると判定すると、カウンタ回路464のリセット端子にリセット信号を出力するように構成される。
ここで、上述のカウンタ回路464が、カウント値が触媒劣化判定閾値を超えるときに予め設定されたレベルで判定信号A6を出力するように構成されるものを説明したが、図9に示すように、カウンタ回路464がカウント値をそのまま出力するように構成され、カウンタ回路464の後段に、カウンタ回路464から出力されるカウンタ値と触媒劣化判定閾値を比較して、カウンタ値が触媒劣化判定閾値を超えるときに予め設定されたレベルで信号を出力するように構成された比較回路467が備えられ、比較回路467の出力する信号に基づいてマイクロコンピュータ40により排ガス浄化触媒17の劣化度が判定されるものであってもよい。このとき、カウンタ回路464を判定信号生成回路とするとカウント値が判定信号A6であり、比較回路467を判定信号生成回路とすると比較回路467の出力信号が判定信号A6である。
上述の実施形態では、比較回路463は、XOR回路G463及びインバータIV463からなるXNOR回路により構成されるものとしたが、図8(a)に示すように、XNOR回路G466により構成されるものであってもよい。
上述した実施形態では、触媒劣化判定装置は、内燃機関の一例であるガソリンエンジンを搭載する車両に設置されたものとして説明したが、前記触媒劣化判定装置は、排ガス浄化触媒と、前記排ガス浄化触媒の上流側と下流側に排ガス中の酸素濃度を検出する第一及び第二の酸素濃度センサを備え、内燃機関を有するものであれば、車両以外のものであっても設置することができる。
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
4:ECU(エンジン制御部)
18:第一の酸素濃度センサ
19:第二の酸素濃度センサ
40:マイクロコンピュータ
45:A/Dコンバータ
46:触媒劣化判定装置(触媒劣化判定用回路)
460a、460b:波形整形回路
461:位相補償回路
463:比較回路(XNOR回路)
464:判定信号生成回路(積分回路)
465:スイッチ回路
18:第一の酸素濃度センサ
19:第二の酸素濃度センサ
40:マイクロコンピュータ
45:A/Dコンバータ
46:触媒劣化判定装置(触媒劣化判定用回路)
460a、460b:波形整形回路
461:位相補償回路
463:比較回路(XNOR回路)
464:判定信号生成回路(積分回路)
465:スイッチ回路
Claims (5)
- 内燃機関の排気系に設置された排ガス浄化触媒の上流側の酸素濃度を検出する第一の酸素濃度センサからの入力信号及び前記排ガス浄化触媒の下流側の酸素濃度を検出する第二の酸素濃度センサからの入力信号の夫々を矩形波に変換する波形整形回路と、前記波形整形回路で波形整形された両信号の信号レベルの一致不一致を比較する比較回路と、前記比較回路の出力信号に基づいて信号レベルが一致する時間と相違する時間の比率に対応した判定信号を、前記排ガス浄化触媒の劣化度を判定可能な判定信号として生成する判定信号生成回路を備えて構成される触媒劣化判定装置。
- 前記比較回路がXNOR回路で構成され、前記判定信号生成回路が前記比較回路の出力信号を積分する積分回路で構成されている請求項1記載の触媒劣化判定装置。
- 前記第一の酸素濃度センサが不活性状態であるときに、前記判定信号生成回路の出力をリセットするスイッチ回路を備えている請求項1または2記載の触媒劣化判定装置。
- 前記比較回路の前段に、第一の酸素濃度センサからの入力信号と第二の酸素濃度センサからの入力信号の相対的な位相遅れを補償する位相補償回路を備えている請求項1から3の何れかに記載の触媒劣化判定装置。
- 内燃機関の排気系に設置された排ガス浄化触媒の上流側の酸素濃度を検出する第一の酸素濃度センサからの入力信号及び前記排ガス浄化触媒の下流側の酸素濃度を検出する第二の酸素濃度センサからの入力信号の夫々を矩形波に変換する波形整形ステップと、前記波形整形ステップで波形整形された両信号の信号レベルの一致不一致を比較して、信号レベルが一致する時間と相違する時間の比率に対応した判定信号を、前記排ガス浄化触媒の劣化度を判定可能な判定信号として生成する判定信号生成ステップを備えて構成される触媒劣化判定方法。
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JP2008063396A JP2009216067A (ja) | 2008-03-12 | 2008-03-12 | 触媒劣化判定装置及び触媒劣化判定方法 |
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CN104279035A (zh) * | 2013-07-11 | 2015-01-14 | 苏州奥易克斯汽车电子有限公司 | 发动机的催化器的诊断方法 |
JP2015031263A (ja) * | 2013-08-07 | 2015-02-16 | 本田技研工業株式会社 | 燃料ポンプの制御装置 |
JP2015075030A (ja) * | 2013-10-09 | 2015-04-20 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 電子制御装置 |
CN113447616A (zh) * | 2021-06-22 | 2021-09-28 | 成都归谷环境科技有限责任公司 | 一种co2传感器pwm输出数值计算方法 |
-
2008
- 2008-03-12 JP JP2008063396A patent/JP2009216067A/ja not_active Withdrawn
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