本発明は、媒体を走査して読取範囲の画像を読み取る画像読取装置及び該画像読取装置を含む画像読取システムに関し、特に、一度の走査で複数の読取範囲の画像を読取可能な画像読取装置及び画像読取システムに関する。
近年、スキャナ等の画像読取装置が普及し、パーソナルコンピュータ(PC)の周辺機器として広く利用されている。
このPC等の上位装置と画像読取装置とからなる画像読取システムでは、上位装置が、ユーザの指定に基づき、読取処理を行う読取範囲と、解像度やカラーモード等の読取条件とを設定する。そして、画像読取装置が、読取対象の原稿を走査して、設定された読取条件に基づき、読取範囲に対する読取処理を行い、画像を取得する。取得された画像は、上位装置に入力されて保存される。この画像読取システムを利用して、ユーザは、例えば新聞や雑誌等の原稿から、所望の記事の画像を読み取らせて保存できる。
この種の画像読取システムでは、一枚の原稿から複数の読取範囲の画像を読み取って保存する場合、画像読取装置は、指定された読取範囲毎に原稿全体の走査を繰り返さなければならず、時間がかかるという問題があった。
一方、下記特許文献1には、スキャナ自体の解析度を下げるために、選択を行う読取範囲と選択を行わない読取範囲とを設定し、一度の走査で選択を行わない読取範囲を読み取らずに、複数の選択を行った読取範囲の領域の画像を読み取ることで、解析度を落として速度を上げるスキャン方法の技術が開示されている。
特開2000−307815号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術を使用すると、スキャナ自体の設定が変更されるので、スキャナの読取部は、出力する画像を全て同じ設定で読み取ることとなる。そのため、従来技術において、原稿との位置が変わるスキャナの読取部が一度の走査で読み取る複数の読取範囲それぞれに対して、異なる読取条件を指定することはできなかった。
したがって、原稿との位置が変わる読取部を原稿に対して複数回往復して位置を変更させて走査せずとも、各読取範囲に対して異なる読取条件に基づく読取処理が可能な画像読取装置及び画像読取システムが望まれていた。
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
本発明に係る画像読取装置は、媒体から画像を読み取るために、媒体に対する複数の読取範囲を指定するための各範囲情報と、各読取範囲に対応してそれぞれの読取条件を指定するための指定条件情報とを入力する入力部と、入力された範囲情報及び指定条件情報を記憶する記憶部と、媒体との位置を物理的に移動しながら、範囲情報及び指定条件情報に基づいて、媒体から読取範囲の画像を読み取る読取部と、記憶部から各読取範囲に対応する範囲情報及び指定条件情報を読み出し、読取部に対して媒体との位置を物理的に移動指示すると共に、媒体に対する読取部の位置情報と範囲情報と指定条件情報とに基づいて読取部を設定して、読取範囲の画像の読み取りを実行する制御部とを備えることを特徴とする。
〈構成2〉
本発明に係る画像読取システムは、上位装置と、該上位装置に接続され、媒体から画像を読み取るための画像読取装置とを含み、上位装置は、媒体に対する複数の読取範囲を指定するための各範囲情報と、各読取範囲に対応してそれぞれの読取条件を指定するための指定条件情報とを入力する入力部と、入力された各範囲情報及び指定条件情報を画像読取装置へ送信する上位送信部とを備え、画像読取装置は、上位装置から範囲情報及び指定条件情報を受信する受信部と、受信された範囲情報及び指定条件情報を記憶する記憶部と、媒体との位置を物理的に移動しながら、範囲情報及び指定条件情報に基づいて、媒体から読取範囲の画像を読み取る読取部と、記憶部から各読取範囲に対応する範囲情報及び指定条件情報を読み出し、読取部に対して媒体との位置を物理的に移動指示すると共に、媒体に対する読取部の位置情報と範囲情報と指定条件情報とに基づいて読取部を設定して、読取範囲の画像の読み取りを実行する制御部とを備えることを特徴とする。
本発明の画像読取装置及び画像読取システムによれば、各読取範囲に対して読取条件がそれぞれ設定されると共に、各読取範囲の読取順が指定され、該読取順に従って、設定された読取条件に基づく読取範囲の画像の読取処理が実行される。したがって、媒体の走査を繰り返さずとも、複数の読取範囲の画像を、それぞれ、所望の読取条件に基づき読取可能となるので、効率的な読取処理が実現される。
以下、本発明の実施形態を、図を用いて詳細に説明する。ここでは、本発明をスキャナ及びホストPCからなるスキャナシステムに適用した場合を例に、説明を行う。
図2は、本発明に係るスキャナシステムの概略構成図である。
本実施例のスキャナ11は、図2に示されるように、ホストPC12に接続され、スキャナシステム10を構成する。このスキャナシステム10を利用して、新聞や雑誌等の原稿13から複数の読取範囲の画像を読み取って保存できる。
図1は、本発明の実施例1に係るスキャナシステムの構成を示すブロック図である。
スキャナシステム10は、図1に示されるように、画像読取装置としてのスキャナ11と、上位装置としてのホストPC12とを備えている。スキャナ11とホストPC12との接続方法は、USB(Universal Serial Bus)接続やパラレル接続、ネットワーク接続等、何れでも良い。
ホストPC12は、パーソナルコンピュータ(PC)からなり、図1に示されるように、表示部14、選択入力部15、PC通信部16、PC記憶部17及びPC制御部18を備えている。
表示部14は、本実施例ではディスプレイからなり、情報を表示するために使用される。
選択入力部15は、本実施例ではキーボード及びマウスからなり、入力部としての入力機能を有する。選択入力部15は、表示部14において表示された情報に対して、ユーザに指定或いは選択させるために使用される。
表示部14に表示される情報は、例えば原稿13をプレスキャンして得られた画像、即ち原稿画像であり、該原稿画像において、ユーザは、選択入力部15を操作して、所望の読取範囲を指定できる。
図3は、原稿画像における読取範囲の指定例を示す説明図(その1)である。
本実施例では、スキャナ11は、図3(a)及び図3(b)に示されるように、矩形の原稿画像30を取得する。ユーザは、表示部14に表示されたこの原稿画像30において、選択入力部15を操作することにより、複数の矩形領域をそれぞれ、読取範囲として指定できる。原稿画像30における読取範囲の指定例として、2つの矩形領域31−1及び31−2を、図3(a)に示す。
選択入力部15は、ユーザの操作に基づき、原稿画像30において読取範囲として矩形領域を指定すると、該指定に基づいて、各読取範囲を示す範囲情報として、矩形領域が有する4つの頂点a、b、c、dのうち、2つの頂点a及びcの座標値、即ちa座標(xa,ya)及びc座標(xc,yc)を、PC制御部18に入力する。本実施例では、頂点bの座標値、即ちb座標を(xb,yb)、頂点dの座標値、即ちd座標を(xd,yd)とすると、xa=xd<xb=xc及びya=yb<yc=ydを満たすべく、a座標、b座標、c座標及びd座標を選択する。
なお、原稿画像30(図3(a))において、座標値(x,y)は、原稿画像30の頂点30aを原点とし、頂点30a及び頂点30bを結ぶ方向をx軸、頂点30a及び頂点30dを結ぶ方向をy軸として得られる座標値である。なお、x軸はスキャナ11における主走査方向に相当し、y軸はスキャナ11における副走査方向に相当する。
例えば、読取範囲として矩形領域31−1(図3(a))が指定されると、選択入力部15は、該矩形領域31−1の4つの頂点31a−1、31b−1、31c−1及び31d−1のうち、2つの頂点31a−1及び31c−1の各座標値(xa1,ya1)及び(xc1,yc1)を、a座標及びc座標として入力する。
また、表示部14に表示される情報は、指定解像度情報及び指定カラーモード情報からなる読取条件情報であり、ユーザは、選択入力部15を操作して、所望の解像度及びカラーモードを選択できる。
図4は、読取条件設定画面の一例を示す説明図である。
読取条件設定画面32は、図4に示されるように、選択可能な解像度のリストを表示可能な解像度選択領域33と、選択可能なカラーモードのリストを表示可能なカラーモード選択領域34とを有している。また、読取条件設定画面32には、読取条件情報の設定を要求するための「OK」ボタン35が表示されている。
本実施例では、読取条件設定画面32において、100dpi(ドット/インチ)、200dpi、300dpi、400dpi、500dpi及び600dpiのうち何れかの解像度を選択可能となっている。ユーザは、選択入力部15を操作して、所望の解像度を選択し、解像度選択領域33に表示させる。
また、本実施例では、読取条件設定画面32において、モノクロ、グレースケール及びカラーのうち何れかのカラーモードを選択可能となっている。ユーザは、選択入力部15を操作して、所望のカラーモードを選択し、カラーモード選択領域34に表示させる。
読取条件設定画面32において、各読取範囲に対応する解像度及びカラーモードが選択された後、「OK」ボタン35が押下されると、選択入力部15は、解像度選択領域33に表示された解像度を指定解像度情報として、カラーモード選択領域34に表示されたカラーモードを指定カラーモード情報として、それぞれ入力する。入力された指定解像度情報及び指定カラーモード情報は、PC制御部18に送られる。
例えば、図4に示される読取条件設定画面32において、「OK」ボタン35が押下されると、選択入力部15は、指定解像度情報「100dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」を、PC制御部18に入力する。
更に、選択入力部15は、スキャナ11に画像の読取処理の実行を要求するための読取要求を、PC制御部18に入力する。
PC通信部16は、上位送信部及び上位受信部として、スキャナ11との間でデータの送受信を行う機能を有する。PC通信部16は、スキャナ11から画像データを受信して、PC制御部18に送る。また、PC通信部16は、PC制御部18から各読取範囲に対応するa座標及びc座標と、指定解像度情報及び指定カラーモード情報とを受け取って、スキャナ11へ送信する。
PC記憶部17は、PC制御部18の制御に基づき、スキャナ11から受信した画像データを記憶する。
PC制御部18は、上記した各部の制御を行う。
スキャナ11は、図1に示されるように、スキャナ通信部19、載置部20、検知部21、読取部22、画像記憶部23、設定記憶部24、指定部25及びスキャナ制御部26を備えている。
スキャナ通信部19は、送信部及び受信部として、ホストPC12との間でデータの送受信を行う。スキャナ通信部19は、ホストPC12からa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を受信して、スキャナ制御部26に送る。また、スキャナ通信部19は、スキャナ制御部26から画像データを受け取って、ホストPC12へ送信する。
載置部20は、本実施例では、原稿カバー11a(図2)の下側に配置されるプラテンガラスからなり、読取対象の原稿13が載置される載置台である。
検知部21は、センサからなり、載置部20に載置された原稿13を検知して、該検知を示す検知信号をスキャナ制御部26に送る。
読取部22は、例えばLEDやCCD等からなる読取センサであり、図2に示されるように、本実施例では載置部20の下方に配置される。
読取部22は、読取処理の開始前において、所定の位置に静止しており、スキャナ制御部26からの読取開始指示に基づき、該所定の位置から図2に矢印で示す副走査方向に平行移動を開始する。この平行移動に伴い、読取部22は、載置部20に下向きに載置された原稿13を走査して、スキャナ制御部26により各読取範囲に対して指定されたa座標及びc座標と、指定解像度情報及び指定カラーモード情報とに基づいて、原稿13から該読取範囲の画像を読み取る。読み取られた画像は画像データに変換されて、画像記憶部23に送られる。各読取範囲に対する読取処理が終了すると、読取部22は、所定の位置に戻って静止する。
また、読取部22は、スキャナ制御部26からのプレスキャン指示に基づき、所定のプレスキャン解像度及びプレスキャンカラーモードに基づき原稿13を走査し、原稿画像30を読み取る。本実施例では、読取部22にはプレスキャン解像度「100dpi」及びプレスキャンカラーモード「カラー」が予め設定されているものとする。
画像記憶部23は、読取部22により取得された画像データを一時的に記憶する一時記憶部である。
設定記憶部24は、記憶部として、各読取範囲の範囲情報としてのa座標及びc座標と、読取条件情報としての指定解像度情報及び指定カラーモード情報とを記憶する。
図5は、実施例1における設定記憶部の構成を示す説明図である。
設定記憶部24には、図5(a)及び図5(b)に示されるように、各読取範囲の範囲番号「i」(i=1、2・・・)に対応して、a座標項目とc座標項目とが設けられる。各座標項目には、対応する読取範囲のa座標(xai,yai)及びc座標(xci,yci)が、それぞれ記憶される。範囲番号「i」の読取範囲(xi,yi)は、a座標及びc座標により指定され、(xai,yai)≦(xi,yi)≦(xci,yci)となる。各読取範囲の範囲番号「i」は、該読取範囲の読取順を示し、後述する指定部25により指定される。
また、設定記憶部24には、範囲番号「i」(i=1、2・・・)に対応して、更に指定解像度項目及び指定カラーモード項目が設けられている。これらの指定解像度項目及び指定カラーモード項目には、各読取範囲に対応して設定された指定解像度情報及び指定カラーモード情報が、それぞれ記憶される。
例えば、図5(a)において、設定記憶部24には、範囲番号「1」に対応して、a座標(50,50)及びc座標(300,150)が、それぞれ記憶されている。これは、原稿画像30(図3(a))において読取範囲として指定された矩形領域31−1に対応する範囲情報に相当する。また、これらに対応して、設定記憶部24には、更に指定解像度情報「200dpi」及び指定カラーモード情報「カラー」が、それぞれ記憶されている。
更に、設定記憶部24(図5(a))には、範囲番号「2」に対応して、a座標(200,600)及びc座標(450,700)が、それぞれ記憶されている。これは、原稿画像30(図3(a))において読取範囲として指定された矩形領域31−2に対応する範囲情報に相当する。また、これらに対応して、設定記憶部24には、更に指定解像度情報「300dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」が、それぞれ記憶されている。
指定部25は、原稿画像30に対して指定された複数の読取範囲に対して、読取順を指定する機能を有する。指定部25は、スキャナ制御部26から各読取範囲のa座標及びc座標と、指定解像度情報及び指定カラーモード情報とを受け取ると、受け取ったa座標からy座標値を読み出して、このy座標値と、設定記憶部24の各a座標項目に記憶されているそれぞれのy座標値とを比較する。そして、該y座標値が小さい順に読取順を指定し、該読取順に基づき、各読取範囲に範囲番号を付与する。
例えば、設定記憶部24において、読取範囲1、2・・・n−1に関するa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報が記憶されている場合について考える。このとき、設定記憶部24には、範囲番号「1」、「2」・・・「n−1」に対応して、各a座標(xa1,ya1)、(xa2,ya2)・・・(xan−1,yan−1)が記憶されている。ここで、各a座標に含まれるy座標値は、範囲番号の順に、ya1<ya2<・・・<yan−1となっている。
スキャナ制御部26から読取範囲nに対応するa座標(xan,yan)を含む各情報を受け取ると、指定部25は、受け取ったa座標からy座標値yanを読み出すと共に、設定記憶部24から、まず範囲番号「1」に対応するa座標のy座標値ya1を読み出して、これらのy座標値yan及びya1を比較し、大小を判断する。yanがya1より小さい場合、指定部25は、各読取範囲に対して既に指定された範囲番号「1」、「2」・・・「n−1」にそれぞれ1を加えて、範囲番号「2」、「3」・・・「n」と変更すると共に、この読取範囲nの範囲番号を「1」と指定する。そして、指定部25は、範囲番号「1」に対応させて、スキャナ制御部26から受け取ったa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、設定記憶部24に記憶させる。
yanがya1より大きい場合、指定部25は、範囲番号「2」に対応するa座標のy座標値ya2を読み出して、これらのy座標値yan及びya2を比較し、大小を判断する。
このようにy座標値の比較判断を行って、yanが範囲番号「i」に対応するa座標のy座標値yaiより小さいと判断されると、指定部25は、範囲番号「i」、「i+1」・・・「n−1」に1を加えて、範囲番号「i+1」、「i+2」・・・「n」と変更する。そして、指定部25は、読取範囲nの範囲番号を「i」と指定し、スキャナ制御部26から受け取ったa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、範囲番号「i」に対応させて、設定記憶部24に記憶させる。
スキャナ制御部26は、制御部として、上記した各部の制御を行う。スキャナ制御部26は、検知部21から検知信号を受け取ると、読取部22にプレスキャン指示を送る。また、スキャナ制御部26は、ホストPC12からの読取要求を受け取ると、読取部22に読取開始指示を送って、各読取範囲からの読取処理を実行させる。
続いて、本実施例のスキャナシステム10の動作について、説明する。
まず、スキャナ11において、原稿13をプレスキャンする処理の流れについて、図6に沿って説明する。
図6は、本発明に係るスキャナのプレスキャン動作を示すフローチャートである。
ユーザが、スキャナ11の載置部20に原稿13を載置すると、検知部21が該原稿13を検知して、検知信号をスキャナ制御部26に送る(ステップS101)。
スキャナ制御部26は、検知信号を受け取ると、該原稿13の原稿画像30を取得すべく、読取部22にプレスキャン指示を送る。プレスキャン指示を受けると、読取部22は、所定のプレスキャン解像度及びプレスキャンカラーモードに基づき原稿13を走査して、原稿画像30を読み取る(ステップS102)。本実施例では、読取部22は、プレスキャン解像度「100dpi」及びプレスキャンカラーモード「カラー」に基づき、原稿画像30の読み取りを行う。原稿画像30の画像データは、画像記憶部23に送られて記憶される。
スキャナ制御部26は、続いて、画像記憶部23から原稿画像30の画像データを読み出して、スキャナ通信部19に送る。そして、スキャナ通信部19が、該画像データをホストPC12へ送信する(ステップS103)。これにより、スキャナ11におけるプレスキャン処理が終了する。
上記のように、スキャナ11において原稿13が載置部20に載置されると、該原稿13の画像が読み取られて、画像データがホストPC12へ送信される。
次に、ホストPC12において複数の読取範囲を指定する場合の処理の流れについて、図7に沿って説明する。
図7は、ホストPCの読取範囲指定動作を示すフローチャートである。
ここでは、図3(b)に示されるように、原稿画像30において、3つの矩形領域31−1、31−2及び31−3を、読取範囲として順に指定する場合を例に、説明を行う。
ホストPC12において、PC通信部16がスキャナ11から原稿画像30の画像データを受信する(ステップS201)と、PC制御部18は、表示部14を制御して、該画像データに基づき原稿画像30の表示を実行させる(ステップS202)。
表示部14に表示された原稿画像30において、ユーザが選択入力部15を操作して、読取範囲の指定を行う。まず、図3(a)に示されるように、矩形領域31−1を読取範囲として指定すると、選択入力部15は、該矩形領域31−1の2つの頂点31a−1及び31c−1の座標値を、それぞれ、a座標(xa,ya)及びc座標(xc,yc)として取得し、PC制御部18に入力する(ステップS203)。ここでは、選択入力部15は、a座標(50,50)及びc座標(300,150)を入力する。
この入力を受けて、PC制御部18は、表示部14を制御して、読取条件設定画面32(図4)を表示させる(ステップS204)。
読取条件設定画面32(図4)において、ユーザが選択入力部15を操作して、所望の解像度を解像度選択領域33に、所望のカラーモードをカラーモード選択領域34に、それぞれ表示させた後、「OK」ボタン35を押下すると、選択入力部15は、解像度選択領域33に表示されている解像度を指定解像度情報として、カラーモード選択領域34に表示されているカラーモードを指定カラーモード情報として、それぞれPC制御部18に入力する(ステップS205)。ここでは、選択入力部15は、指定解像度情報「200dpi」及び指定カラーモード情報「カラー」を、PC制御部18に入力する。
続いて、PC制御部18は、入力されたa座標及びc座標と、指定解像度情報及び指定カラーモード情報とを、PC通信部16によりスキャナ11へ送信する(ステップS206)。PC通信部16は、a座標(50,50)、c座標(300,150)、指定解像度情報「200dpi」及び指定カラーモード情報「カラー」を、スキャナ11へ送信する。
スキャナ11において、矩形領域31−1に対応するa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報が受信されると、該矩形領域31−1の読取順が指定され、矩形領域31−1が読取範囲として設定記憶部24に設定される。このスキャナ11における読取範囲の設定処理の流れについては、後述する。
矩形領域31−1が読取範囲として設定されると、スキャナ11からホストPC12へ、読取範囲の設定完了が通知される(ステップS207)。PC通信部16がこの通知を受け取ると、PC制御部18は、読取範囲の指定続行及び読取処理の開始の何れかをユーザに選択させるための図示されない選択画面を、表示部14に表示する。
この選択画面において、読取範囲の指定続行が選択される(ステップS208)と、PC制御部18は、表示部14を制御して、原稿画像30の表示を実行させる(ステップS202)。続いて、ホストPC12は、ステップS203からステップS206までの処理を繰り返し、図3(a)に示されるように、矩形領域31−2を読取範囲として指定する。そして、該矩形領域31−2に対応するa座標(200,600)、c座標(450,700)、指定解像度情報「300dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」が、ホストPC12からスキャナ11へ送信される(ステップS206)。
その後、スキャナ11において、矩形領域31−2のa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報が、設定記憶部24に記憶され、矩形領域31−2が読取範囲として設定された後、スキャナ11からホストPC12へ、読取範囲の設定完了が通知される(ステップS207)と、PC制御部18は、選択画面を表示部14に表示する。
この選択画面において、読取範囲の指定続行が選択された(ステップS208)後、表示部14に原稿画像30が表示される(ステップS202)。そして、ホストPC12は、ステップS203からステップS206までの処理を繰り返し、図3(b)に示されるように、矩形領域31−3を読取範囲として指定する。ホストPC12は、該矩形領域31−3に対応するa座標(100,300)、c座標(400,500)、指定解像度情報「600dpi」及び指定カラーモード情報「グレースケール」を、スキャナ11へ送信する(ステップS206)。
スキャナ11において、矩形領域31−3のa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報が、設定記憶部24に記憶された後、ホストPC12へ読取範囲の設定完了が通知される(ステップS207)と、PC制御部18は、再度、選択画面を表示部14に表示する。
このように、読取範囲として、3つの矩形領域31−1、31−2、31−3が設定され、選択画面において、ユーザが読取処理の開始を選択する(ステップS208)と、選択入力部15は、読取要求をPC制御部18に入力する(ステップS209)。
PC制御部18は、入力された読取要求を、PC通信部16によりスキャナ11へ送信する(ステップS210)。これにより、ホストPC12における読取範囲の指定処理が終了する。
上記のように、ホストPC12において読取範囲及び読取条件が指定された後、該読取範囲の範囲情報としてのa座標及びc座標と、読取条件情報としての指定解像度情報及び指定カラーモード情報とが、スキャナ11へ送信されて、読取範囲が設定される。
次に、スキャナ11における各読取範囲の設定及び読取処理の流れについて、図8及び図9に沿って説明する。
図8は、本発明に係るスキャナの実施例1における設定読取動作を示すフローチャート(その1)であり、図9は、本発明に係るスキャナの実施例1における設定読取動作を示すフローチャート(その2)である。
ここでは、図7において説明したように、ホストPC12において、矩形領域31−1、31−2及び31−3(図3(b))が読取範囲として順に指定された後、読取要求が入力され、スキャナ11へ送信される場合を例に、説明を行う。
スキャナ11において、スキャナ通信部19が、ホストPC12から矩形領域31−1(図3(a))に対応するa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を受信する(ステップS301)と、スキャナ制御部26が、該矩形領域31−1を読取範囲として設定すべく、受信したa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を指定部25に送る。ここでは、a座標(50,50)、c座標(300,150)、指定解像度情報「200dpi」及び指定カラーモード情報「カラー」が、スキャナ制御部26から指定部25へ送られる。
指定部25は、スキャナ制御部26からa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を受け取ると、これらを一時的に記憶すると共に、設定記憶部24における設定済の読取範囲の有無を判断する(ステップS302)。設定記憶部24には、読取範囲は未設定であるので、指定部25は、設定済の読取範囲が無いと判断する(ステップS302)。
設定済の読取範囲が無い場合、指定部25は、矩形領域31−1の読取順としての範囲番号を「1」と指定する(ステップS303)。そして、指定部25は、受け取ったa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、指定された範囲番号「1」に対応させて、設定記憶部24に記憶させる(ステップS303)。設定記憶部24には、範囲番号「1」に対応するa座標項目に(50,50)、c座標項目に(300,150)、指定解像度項目に「200dpi」、指定カラーモード項目に「カラー」が、それぞれ記憶される。これにより、矩形領域31−1が、読取範囲として設定される。
続いて、スキャナ制御部26は、読取範囲の設定完了を、スキャナ通信部19によりホストPC12へ通知する(ステップS304)。
ホストPC12は、スキャナ11から設定完了を通知されると、次に、矩形領域31−2(図3(a))を読取範囲として指定し、a座標(200,600)、c座標(450,700)、指定解像度情報「300dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」を、スキャナ11へ送信する。
スキャナ11において、スキャナ通信部19がホストPC12から矩形領域31−2に対応するa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を受信する(ステップS301)と、スキャナ制御部26は、受信したa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、指定部25に送る。
指定部25は、受け取ったa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を一時的に記憶すると共に、設定記憶部24における設定済の読取範囲の有無を判断する(ステップS302)。設定記憶部24には、範囲番号「1」に対応して、矩形領域31−1のa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報が記憶されているので、指定部25は、設定済の読取範囲が有ると判断する(ステップS302)。
設定済の読取範囲が有る場合、指定部25は、矩形領域31−2の読取順を指定する。指定部25は、設定済の読取範囲のa座標に含まれるy座標値と、矩形領域31−2に対応するa座標のy座標値とを比較して、該y座標値が小さい順に読取順を指定する。
まず、指定部25は、設定済の読取範囲数nを読み出す(ステップS305)。設定記憶部24には、範囲番号「1」に対応する読取範囲のみが設定されているので、指定部25は、n=1を読み出す。
続いて、指定部25は、範囲番号を「i」(i=1、2・・・n)として、該範囲番号「i」に対応して設定されている読取範囲と、矩形領域31−2との読取順について、判断を行う。
まず、i=1とし(ステップS306)、このiと、設定記憶部24に設定済の読取範囲数nとを比較して、該範囲番号「i」に対応する読取範囲が設定されているか否かを判断すべく、i>nであるか否かを判断する(ステップS307)。ここでは、i=n=1であるので、指定部25は、i>nでない、即ち範囲番号「i」に対応する読取範囲が設定されていると判断する(ステップS307)。
続いて、指定部25は、矩形領域31−2のa座標(xa2,ya2)からy座標値ya2を読み出すと共に、範囲番号「i=1」に対応して設定済のa座標(xa1,ya1)からy座標値ya1を読み出す。そして、指定部25は、読み出されたya2とya1とを比較し、大小を判断する(ステップS308)。ここで、ya2=600であり、ya1=50であることから、指定部25は、ya2>ya1と判断する(ステップS308)。これに基づき、指定部25は、矩形領域31−2の読取順が、範囲番号「i=1」に対応して設定済の読取範囲、即ち矩形領域31−1の読取順よりも後であると判断する。
次に、指定部25は、範囲番号「i=1」に1を加え、「i=2」とする(ステップS311)。このとき、設定済の読取範囲数がn=1であることから、指定部25は、i>n、即ち、該範囲番号に対応する読取範囲は設定されていないと判断する(ステップS307)。
そして、指定部25は、矩形領域31−2の範囲番号を「i=2」と指定し、該矩形領域31−2のa座標(200,600)、c座標(450,700)、指定解像度情報「300dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」を、図5(a)に示されるように、指定された範囲番号「2」に対応させて設定記憶部24に記憶させる(ステップS310)。これにより、矩形領域31−2が、読取範囲として設定される。
続いて、スキャナ制御部26は、読取範囲の設定完了を、スキャナ通信部19によりホストPC12へ通知する(ステップS304)。
ホストPC12は、スキャナ11から設定完了を通知されると、続いて、矩形領域31−3(図3(b))を読取範囲として指定し、該矩形領域31−3のa座標(100,300)、c座標(400,500)、指定解像度情報「600dpi」及び指定カラーモード情報「グレースケール」を、スキャナ11へ送信する。
スキャナ11において、スキャナ通信部19がホストPC12から矩形領域31−3に対応するa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を受信する(ステップS301)と、スキャナ制御部26は、受信したa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を指定部25に送る。
指定部25は、受け取ったa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を一時的に記憶すると共に、設定記憶部24における設定済の読取範囲の有無を判断する(ステップS302)。設定記憶部24には、範囲番号「1」に対応して、矩形領域31−1のa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報が、範囲番号「2」に対応して、矩形領域31−2のa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報が、それぞれ記憶されているので、指定部25は、設定済の読取範囲が有ると判断し(ステップS302)、設定済の読取範囲数n=2を読み出す(ステップS305)。
続いて、指定部25は、矩形領域31−3の読取順を指定する。まず、範囲番号を「i=1」とし(ステップS306)、該範囲番号「i=1」に対応する読取範囲が設定されている、即ちi>nではないと判断する(ステップS307)。
そして、指定部25は、矩形領域31−3のa座標(xa3,ya3)からy座標値ya3を読み出すと共に、範囲番号「i=1」に対応して設定済のa座標(xa1,ya1)からy座標値ya1を読み出す。そして、指定部25は、読み出されたya3とya1とを比較し、大小を判断する(ステップS308)。ここで、ya3=300であり、ya1=50であることから、指定部25は、ya3>ya1と判断する(ステップS308)。これに基づき、指定部25は、矩形領域31−3の読取順が、範囲番号「i=1」に対応して設定済の読取範囲、即ち矩形領域31−1の読取順よりも後であると判断する。
次に、指定部25は、範囲番号「i=1」に1を加え、「i=2」とする(ステップS311)。このとき、設定済の読取範囲数がn=2であることから、指定部25は、i>nではない、即ち、該範囲番号「i=2」に対応する読取範囲が設定されていると判断する(ステップS307)。
そして、指定部25は、範囲番号「i=2」に対応して設定済のa座標(xa2,ya2)からy座標値ya2を読み出す。そして、指定部25は、読み出されたya2と、ya3とを比較し、大小を判断する(ステップS308)。ここで、ya3=300であり、ya2=600であることから、指定部25は、ya3<ya2と判断する(ステップS308)。これに基づき、指定部25は、矩形領域31−3の読取順が、範囲番号「i=2」に対応して設定済の読取範囲、即ち矩形領域31−2の読取順よりも前であると判断する。
この判断に基づき、指定部25は、設定記憶部24に設定された範囲番号i=1〜nの各読取範囲のうち、範囲番号i=2〜nに対応する各読取範囲の読取順を、矩形領域31−3の読取順よりも後にすべく、範囲番号i=2〜nにそれぞれ1を加えて、i=3〜n+1と変更する(ステップS309)。ここでは、n=2であるので、設定記憶部24における範囲番号「2」を範囲番号「3」に変更する。
続いて、指定部25は、矩形領域31−3の範囲番号を「i=2」と指定し、該矩形領域31−3のa座標(100,300)、c座標(400,500)、指定解像度情報「600dpi」及び指定カラーモード情報「グレースケール」を、図5(b)に示されるように、範囲番号「2」に対応させて設定記憶部24に記憶させる(ステップS310)。これにより、矩形領域31−3が、読取範囲として設定される。
続いて、スキャナ制御部26は、読取範囲の設定完了を、スキャナ通信部19によりホストPC12へ通知する(ステップS304)。
ホストPC12が、スキャナ11から設定完了を通知された後、ユーザにより読取処理の開始が選択され、読取要求が入力されると、該読取要求はスキャナ11へ送信される。
スキャナ11において、スキャナ通信部19がホストPC12から読取要求を受信する(ステップS312)と、スキャナ制御部26は、読取部22を制御して、各読取範囲の読取処理を開始する。
スキャナ制御部26は、まず、設定記憶部24から、設定済の読取範囲数nを読み出す(ステップS313)。設定記憶部24(図5(b))には、3つの読取範囲が設定済であるので、スキャナ制御部26は、n=3を読み出す。
続いて、スキャナ制御部26は、i=1とし(ステップS314)、このiと、読み出された読取範囲数nとを比較して、該範囲番号「i」に対応する読取範囲が設定されているか否かを判断すべく、i>nであるか否かを判断する(ステップS315)。ここでは、i=1及びn=3より、i<nであるので、スキャナ制御部26は、範囲番号「i=1」の読取範囲が設定されていると判断する(ステップS315)。
次に、スキャナ制御部26は、設定記憶部24(図5(b))から、範囲番号「i=1」に対応して設定済のa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を読み出す(ステップS316)。スキャナ制御部26は、範囲番号「i=1」に対応する読取範囲、即ち矩形領域31−1(図3(b))のa座標(50,50)及びc座標(300,150)と、指定解像度情報「200dpi」及び指定カラーモード情報「カラー」とを読み出す。
そして、スキャナ制御部26からの読取開始指示に基づき、読取部22が、矩形領域31−1を読取範囲として、該読取範囲の画像を読み取る(ステップS317)。読取部22は、まず、読み出されたa座標のy座標値ya1=50の位置まで、副走査方向に平行移動すると、a座標のx座標値xa1=50からc座標のx座標値xc1=300まで、1ライン分の画像を読み取って、画像記憶部23に送って記憶させる。このとき、読取部22は、カラーモードで、主走査方向に200dpi(ドット/インチ)間隔で画像を読み取る。読取部22は、更に平行移動を続けながら、副走査方向に1/200インチ進む毎に、xa1=50からxc1=300までの画像を1ライン分読み取って、画像データを画像記憶部23に送って記憶させる。読取部22は、この読取処理を、a座標のy座標値ya1=50の位置からc座標のy座標値yc1=150の位置まで繰り返す。これにより、矩形領域31−1の画像の読み取りが完了する。
読み取りが完了すると、スキャナ制御部26は、画像記憶部23から矩形領域31−1の画像データを読み出して、スキャナ通信部19により該画像データをホストPC12へ送信する(ステップS318)。
ホストPC12において、PC通信部16が画像データを受信すると、PC制御部18は該画像データをPC記憶部17に記憶させる。
また、スキャナ制御部26は、範囲番号「i=1」に1を加えて、「i=2」とする(ステップS319)と、このiと読取範囲数nとを比較して、該範囲番号「i」に対応する読取範囲が設定されているか否かを判断すべく、i>nであるか否かを判断する(ステップS315)。ここでは、i=2及びn=3より、i<nであるので、スキャナ制御部26は、範囲番号「i=2」の読取範囲が設定されていると判断する(ステップS315)。
次に、スキャナ制御部26は、設定記憶部24(図5(b))から、範囲番号「i=2」に対応して設定済のa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を読み出す(ステップS316)。スキャナ制御部26は、範囲番号「2」に対応する読取範囲、即ち矩形領域31−3(図3(b))のa座標(100,300)及びc座標(400,500)と、指定解像度情報「600dpi」及び指定カラーモード情報「グレースケール」とを読み出す。
そして、スキャナ制御部26の制御に基づき、読取部22が、矩形領域31−3を読取範囲として、該読取範囲の画像を読み取る(ステップS317)。読取部22は、まず、範囲番号「1」に対応する矩形領域31−1のc座標のy座標値yc1=150の位置から、範囲番号「2」に対応する矩形領域31−3のa座標のy座標値ya3=300の位置まで、副走査方向に平行移動した後、a座標のx座標値xa3=100からc座標のx座標値xc3=400まで、1ライン分の画像を読み取って、画像記憶部23に送って記憶させる。このとき、読取部22は、グレースケールモードで、主走査方向に600dpi(ドット/インチ)間隔で画像を読み取る。読取部22は、副走査方向に平行移動しながら、1/600インチ進む毎に、xa3=100からxc3=400までの画像を1ライン分読み取って、画像データを画像記憶部23に送って記憶させる。読取部22は、この読取処理を、a座標のy座標値ya3=300からc座標のy座標値yc3=500まで繰り返し、矩形領域31−3の画像を読み取る。
続いて、スキャナ制御部26は、画像記憶部23から矩形領域31−3の画像データを読み出して、スキャナ通信部19により該画像データをホストPC12へ送信する(ステップS318)。
ホストPC12において、PC通信部16が画像データを受信すると、PC制御部18は該画像データをPC記憶部17に記憶させる。
また、スキャナ制御部26は、範囲番号「i=2」に1を加えて、「i=3」とする(ステップS319)と、このiと読取範囲数nとを比較して、該範囲番号「i」に対応する読取範囲が設定されているか否かを判断すべく、i>nであるか否かを判断する(ステップS315)。ここでは、i=3及びn=3より、i=nであるので、スキャナ制御部26は、範囲番号「i=3」の読取範囲が設定されていると判断する(ステップS315)。
次に、スキャナ制御部26は、設定記憶部24(図5(b))から、範囲番号「i=3」に対応して設定済のa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を読み出す(ステップS316)。スキャナ制御部26は、範囲番号「3」に対応する読取範囲、即ち矩形領域31−2(図3(b))のa座標(200,600)及びc座標(450,700)と、指定解像度情報「300dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」とを読み出す。
そして、スキャナ制御部26の制御に基づき、読取部22が、矩形領域31−2を読取範囲として、該読取範囲の画像を読み取る(ステップS317)。読取部22は、まず、範囲番号「2」に対応する矩形領域31−3のc座標のy座標値yc3=500の位置から、範囲番号「3」に対応する矩形領域31−2のa座標のy座標値ya2=600の位置まで、副走査方向に平行移動した後、a座標のx座標値xa2=200からc座標のx座標値xc2=450まで、1ライン分の画像を読み取って、画像記憶部23に送って記憶させる。このとき、読取部22は、モノクロモードで、主走査方向に300dpi(ドット/インチ)間隔で画像を読み取る。読取部22は、副走査方向に平行移動しながら、1/300インチ進む毎に、xa2=200からxc2=450までの画像を1ライン分読み取って、画像データを画像記憶部23に送って記憶させる。読取部22は、この読取処理を、a座標のy座標値ya2=600からc座標のy座標値yc2=700まで繰り返して、矩形領域31−2の画像を読み取る。
続いて、スキャナ制御部26は、画像記憶部23から矩形領域31−2の画像データを読み出して、スキャナ通信部19により該画像データをホストPC12へ送信する(ステップS318)。
ホストPC12において、PC通信部16が画像データを受信すると、PC制御部18は該画像データをPC記憶部17に記憶させる。
また、スキャナ制御部26は、範囲番号「i=3」に1を加えて、「i=4」とする(ステップS319)と、このiと読取範囲数nとを比較して、該範囲番号「i」に対応する読取範囲が設定されているか否かを判断すべく、i>nであるか否かを判断する(ステップS315)。ここでは、i=4及びn=3より、i>nであるので、スキャナ制御部26は、範囲番号「i=4」の読取範囲は設定されていないと判断する(ステップS315)。これにより、スキャナ11における設定読取処理が終了する。
上記のように、ホストPC12において指定された各読取範囲の読取順が指定され、読取条件と共に設定記憶部24に設定される。そして、この読取順に従って、各読取範囲の読取処理が、設定された読取条件に基づいて実行される。
以上のように、本実施例のスキャナシステム10は、1つの原稿画像30において複数の読取範囲が指定された場合、スキャナ11の副走査方向における各読取範囲の位置に基づいて、読取順を指定する。そして、この読取順に従って、スキャナ11が、各読取範囲の画像を読み取るので、読取動作の短縮が可能となる。また、各読取範囲に対して異なる読取条件が設定された場合も、原稿13の走査を繰り返すことなく、読取範囲毎に読取条件を変えて画像を読み取ることができるので、更なる読取動作の短縮が可能となる。したがって、効率的な読取処理の実行が可能となる。
なお、本実施例では、スキャナ11は矩形の原稿画像30を取得するが、これに限定されない。矩形以外の画像を取得することも可能である。同様に、各読取範囲の指定も、矩形領域に限定されない。
また、本実施例では、スキャナ11は、読取範囲毎に画像データをホストPC12へ送信しているが、全ての読取範囲に対する読取処理の終了後に、各読取範囲の画像データをまとめて送信しても良い。
実施例1のスキャナ11では、原稿画像30(図3(a)及び図3(b))における各読取範囲の副走査方向の位置に基づいて、読取順が指定され、この読取順に従って、各読取範囲の画像の読取処理が実行された。
ところで、複数の読取範囲に重なり合う重複部分が存在する場合がある。図11にその一例を示す。
図11は、原稿画像における読取範囲の指定例を示す説明図(その2)である。
図11(a)では、原稿画像50において、3つの矩形領域51−1、51−2及び51−3が、それぞれ、読取範囲として指定されている。矩形領域51−1及び51−3は、斜線で示される矩形領域52において、互いに重なり合っている。即ち、矩形領域52は、矩形領域51−1及び51−3の重複部分となっている。
このように、複数の読取範囲に重複部分が存在し、且つ各読取範囲に異なる読取条件が設定されている場合、スキャナ11は、該重複部分の画像の読み取りを読取条件毎に行わなければならない。したがって、一度の走査では各読取範囲の画像を読み取ることができないという問題があった。
本実施例のスキャナ及びスキャナシステムは、上記した問題を解決すべく、以下のように構成される。
図10は、本発明の実施例2に係るスキャナシステムの構成を示すブロック図である。
本実施例のスキャナシステム40は、スキャナ41に判断選択部45及び変換部46を追加する構成が、実施例1とは異なる。
なお、本実施例において、実施例1と同様な構成を同一の符号で示し、これらについての説明を省略する。
スキャナシステム40は、図10に示されるように、画像読取装置としてのスキャナ41と、上位装置としてのホストPC12とを備えている。スキャナ41とホストPC12との接続方法は、USB接続やパラレル接続、ネットワーク接続等、何れでも良い。
スキャナ41は、図10に示されるように、スキャナ通信部19、載置部20、検知部21、読取部42、画像記憶部23、設定記憶部43、指定部44、判断選択部45、変換部46及びスキャナ制御部47を備えている。
読取部42は、スキャナ制御部47により通知されたA座標及びC座標(後述)と、解像度情報及びカラーモード情報とに基づいて、原稿13からA座標及びC座標により指定される優先読取範囲(後述)の画像を読み取って、画像データ、即ち優先画像に変換し、画像記憶部23に送る。
設定記憶部43は、記憶部として、各読取範囲の範囲情報としてのa座標及びc座標と、読取条件情報としての指定解像度情報及び指定カラーモード情報とを記憶する。
図12は、実施例2における設定記憶部の構成を示す説明図である。
設定記憶部43には、図12(a)、図12(b)及び図12(c)に示されるように、各読取範囲の範囲番号「i」(i=1、2・・・)に対応して、a座標項目と、c座標項目とが設けられ、対応する読取範囲のa座標(xai,yai)及びc座標(xci,yci)が、それぞれ記憶される。これらのa座標及びc座標は、実施例1と同様に、ホストPC12においてユーザの指定に基づき入力され、スキャナ41へ送信される。また、各読取範囲の範囲番号は、該読取範囲の読取順を示している。この範囲番号は、指定部44により、各読取範囲の副座標方向即ちy座標方向における位置に基づいて、ya1≦ya2≦・・・を満たすべく指定される。指定部44による範囲番号の指定手順については、後述する。
また、設定記憶部43には、範囲番号「i」(i=1、2・・・)に対応して、更に指定解像度項目及び指定カラーモード項目が設けられ、各読取範囲に対応して設定された指定解像度情報及び指定カラーモード情報が、それぞれ記憶されている。これらの指定解像度情報及び指定カラーモード情報は、同様に、ホストPC12においてユーザの指定に基づき入力され、スキャナ41へ送信される。
更に、本実施例の設定記憶部43には、範囲番号「i」(i=1、2・・・)に対応して、A座標項目とC座標項目とが設けられる。A座標項目及びC座標項目には、対応する読取範囲のA座標(xAi,yAi)及びC座標(xCi,yCi)が、それぞれ記憶される。A座標及びC座標は、後述する判断選択部45により設定される座標値からなり、矩形領域を指定する。この矩形領域が、読取部42により実際に読取処理が実行される読取範囲となる。即ち、読取部42による実際の読取範囲(xi,yi)は、(xAi,yAi)≦(xi,yi)≦(xCi,yCi)を満たす座標領域となる。このA座標及びC座標により指定される読取範囲を優先読取範囲とし、上記したa座標及びc座標により指定される読取範囲を指定読取範囲と記す。各A座標及びC座標は、それぞれの矩形領域が副走査方向において重なり合わないように、yA1<yC1≦yA2<yC2≦・・・を満たすべく設定される。
また、本実施例の設定記憶部43には、範囲番号「i」(i=1、2・・・)に対応して、更に優先解像度項目と及び優先カラーモード項目が設けられ、各優先読取範囲に対応して設定された優先解像度情報及び優先カラーモード情報が、それぞれ記憶される。これらの優先解像度情報及び優先カラーモード情報は、判断選択部45により選択して設定され、読取部42による読取処理実行時に、優先条件情報として使用される。
例えば、図12(c)において、設定記憶部43には、範囲番号「1」に対応して、a座標(50,50)及びc座標(250,150)が、それぞれ記憶されている。これは、原稿画像50(図11(a))において、ホストPC12により指定された指定読取範囲としての矩形領域51−1が有する2つの頂点51a−1及び51c−1の座標値に相当する。また、これらに対応して、設定記憶部43には、更に指定解像度情報「200dpi」及び指定カラーモード情報「カラー」が、それぞれ記憶されている。
更に、図12(c)において、設定記憶部43には、範囲番号「1」に対応して、A座標(50,50)及びC座標(350,150)が、それぞれ記憶されている。これは、原稿画像50(図11(b))において、判断選択部45により設定された優先読取範囲としての矩形領域53−1が有する2つの頂点53A−1及び53C−1の座標値に相当する。また、これらに対応して、設定記憶部43には、更に優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「カラー」が、それぞれ記憶されている。本実施例では、読取部42は、この優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「カラー」に基づいて、A座標(50,50)及びC座標(350,150)により指定される矩形領域53−1に対する読取処理を行う。
指定部44は、原稿画像50に対して指定された複数の指定読取範囲に対して、読取順を指定して、該読取順に基づき、各指定読取範囲に範囲番号を付与する。本実施例では、指定部44は、設定記憶部43に設定済の各a座標に含まれるy座標値と、スキャナ制御部47から受け取ったa座標に含まれるy座標値とに基づいて、読取順を指定する。
例えば、設定記憶部43において、指定読取範囲1、2・・・n−1に関するa座標及びc座標を含む各情報が、範囲番号「1」、「2」・・・「n−1」に対応して記憶されている場合について考える。
指定部44は、スキャナ制御部47から指定読取範囲nに対応するa座標(xan,yan)及びc座標(xcn,ycn)と、指定解像度情報及び指定カラーモード情報とを受け取ると、まず、受け取ったa座標からy座標値yanを読み出すと共に、設定記憶部43に各範囲番号「1」、「2」・・・「n−1」に対応して記憶されているa座標からそれぞれのy座標値ya1、ya2・・・yan−1を読み出して、これらを比較し、大小を判断する。ここで、各a座標に含まれるy座標値は、範囲番号の順に、ya1≦ya2≦・・・≦yan−1となっている。
yai−1<yan<yaiと判断された場合、指定部44は、設定記憶部43に設定済の範囲番号「i」、「i+1」・・・「n−1」にそれぞれ1を加えて、「i+1」、「i+2」・・・「n」と変更する。そして、指定読取範囲nの範囲番号を「i」と指定し、該範囲番号「i」に対応させて、スキャナ制御部47から受け取ったa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、設定記憶部43に記憶させる。
また、yanが何れかのy座標値、例えば範囲番号「i」に対応するa座標のy座標値yaiに等しいと判断された場合、即ちyan=yaiである場合、指定部44は、更にc座標に基づいて、読取順を指定する。即ち、指定部44は、スキャナ制御部47から受け取ったc座標からy座標値ycnを読み出すと共に、設定記憶部43に範囲番号「i」に対応して記憶されているc座標からy座標値yciを読み出して、ycn及びyciを比較し、大小を判断する。
ycn<yciと判断された場合、指定部44は、設定記憶部43に設定済の範囲番号「i」、「i+1」・・・「n−1」にそれぞれ1を加えて、「i+1」、「i+2」・・・「n」と変更すると共に、この読取範囲nの範囲番号を「i」と指定し、該範囲番号「i」に対応させて、スキャナ制御部47から受け取ったa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、設定記憶部43に記憶させる。
また、ycn≧yciと判断された場合、指定部44は、設定記憶部43に設定済の範囲番号「i+1」、「i+2」・・・「n−1」にそれぞれ1を加えて、「i+2」、「i+3」・・・「n」と変更すると共に、この指定読取範囲nの範囲番号を「i+1」と指定し、該範囲番号「i+1」に対応させて、スキャナ制御部47から受け取ったa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、設定記憶部43に記憶させる。
指定部44は、上記のように範囲番号を指定して、a座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を設定記憶部43に記憶させると、読取範囲の設定完了をスキャナ制御部47に通知する。
判断選択部45は、判断部として、設定記憶部43に設定されている各指定読取範囲に、副走査方向における重なりが有るか否かを判断する。また、判断選択部45は、各指定読取範囲に対して、読取部42により実際に読取処理を行うべき矩形領域、即ち優先読取範囲の設定を行う。更に、判断選択部45は、選択部として、優先解像度情報及び優先カラーモード情報を選択して設定する。
判断選択部45による重なりの有無の判断及び優先読取範囲の設定について、図13を用いて簡単に説明する。
図13は、優先読取範囲の設定例を示す説明図である。
図13(a)において、矩形領域54−i及び54−i+1は、それぞれ、範囲番号「i」及び「i+1」に対応する指定読取範囲であるとする。この各矩形領域54−i及び54−i+1に対して、重なりの有無を判断した後、範囲番号「i」に対応するC座標(xCi,yCi)と、範囲番号「i+1」に対応するA座標(xAi+1,yAi+1)とを設定する場合について、説明する。なお、範囲番号「i」に対応するA座標(xAi,yAi)は既に設定済であり、範囲番号「i+1」に対応するC座標(xCi+1,yCi+1)は、範囲番号「i+2」の指定読取範囲との重なりの有無に基づき、設定される。
図13(a)において、矩形領域54−iの頂点Aiの座標値は、範囲番号「i」に対応して設定記憶部43に設定済のA座標(xAi,yAi)に相当し、頂点ciの座標値は、範囲番号「i」に対応して設定記憶部43に設定済のc座標(xci,yci)からなる。ただし、矩形領域54−iは、範囲番号「i−1」に対応する矩形領域(不図示)との重なりが無いと判定され、頂点aiの座標値が、そのまま優先読取範囲を指定するためのA座標として設定記憶部43に設定されたものとする。
また、矩形領域54−i+1の頂点ai+1の座標値は、範囲番号「i+1」に対応して設定記憶部43に設定済のa座標(xai+1,yai+1)に相当し、頂点ci+1の座標値は、範囲番号「i+1」に対応して設定記憶部43に設定済のc座標(xci+1,yci+1)からなる。
判断選択部45は、スキャナ制御部47から範囲番号「i」(i=1、2・・・n)を通知されると、該範囲番号「i」に対応して設定されている指定読取範囲が、範囲番号「i+1」に対応して設定されている指定読取範囲と、副走査方向において重なりを有するか否かを判断する。判断選択部45は、範囲番号「i」に対応するc座標(xci,yci)からy座標値yciを読み出すと共に、範囲番号「i+1」に対応するa座標(xai+1,yai+1)からy座標値yai+1を読み出して、これらを比較し、大小を判断する。
yci≦yai+1と判断された場合、判断選択部45は、これらの指定読取範囲に副走査方向における重なりが無いと判断する。yci>yai+1と判断された場合、判断選択部45は、これらの指定読取範囲に副走査方向における重なりが有ると判断する。
図13(a)では、yci>yai+1であり、矩形領域54−i及び54−i+1には、副走査方向における重なりが有ると判断される。この重なりは、図13(a)において、斜線で示される矩形領域55に相当する。
重なりが無いと判断すると、判断選択部45は、範囲番号「i」に対応するc座標(xci,yci)をC座標として、範囲番号「i」に対応するC座標項目に記憶させる。また、範囲番号「i+1」に対応するa座標(xai+1,yai+1)をA座標として、範囲番号「i+1」に対応するA座標項目に記憶させる。更に、判断選択部45は、範囲番号「i」に対応する指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、優先解像度情報及び優先カラーモード情報として、対応する優先解像度項目及び優先カラーモード項目に記憶させる。
重なりが有ると判断すると、判断選択部45は、範囲番号「i+1」の指定読取範囲からこの重なりを取り除くべく、y座標値の設定変更を行う。即ち、判断選択部45は、範囲番号「i+1」に対応するa座標(xai+1,yai+1)のy座標値yai+1を、範囲番号「i」に対応するc座標のy座標値yciに変更して、A座標(xai+1,yci)を設定する。そして、判断選択部45は、このA座標を、範囲番号「i+1」に対応するA座標項目に記憶させる。
このように、範囲番号「i+1」に対応する矩形領域の頂点は、図13(a)に示される頂点ai+1から、図13(b)に示される頂点Ai+1に変更される。これにより、矩形領域54−i+1(図13(a))から、重なりとしての矩形領域55が取り除かれ、範囲番号「i+1」に対応する優先読取範囲として、矩形領域56−i+1(図13(b))が設定される。
しかしながら、図13(a)及び図13(b)に示されるように、範囲番号「i」に対応する矩形領域54−iは、矩形領域55の左側部分55aとは重複しているが、右側部分55bとは重複していない。したがって、矩形領域55を指定読取範囲から取り除いてしまうと、矩形領域55の右側部分55bに対する読取処理が実行されなくなってしまう。
そこで、判断選択部45は、この右側部分55bを優先読取範囲に含むべく、範囲番号「i」に対応する優先読取範囲に対して、x座標値の設定変更を行う。
判断選択部45は、まず、範囲番号「i」に対応するA座標(xAi,yAi)からx座標値xAiを読み出して、このx座標値xAiと、範囲番号「i+1」に対応するA座標(xAi+1,yci)のx座標値xAi+1とを比較し、大小を判断する。そして、xAi>xAi+1と判断された場合、判断選択部45は、範囲番号「i」に対応するA座標のx座標値xAiを、範囲番号「i+1」に対応するA座標のx座標値xAi+1に変更すべく、範囲番号「i」に対応するA座標項目にA座標(xAi+1,yAi)を記憶させる。xAi≦xAi+1と判断された場合、範囲番号「i」に対応するA座標(xAi,yAi)は変更されない。
また、判断選択部45は、範囲番号「i」に対応するc座標(xci,yci)からx座標値xciを読み出して、このx座標値xciと、範囲番号「i+1」に対応するc座標(xci+1,yci+1)のx座標値xciとを比較し、大小を判断する。そして、xci<xci+1と判断された場合、判断選択部45は、範囲番号「i」に対応するc座標のx座標値xciを、範囲番号「i+1」に対応するc座標のx座標値xci+1に変更すべく、範囲番号「i」に対応するC座標項目にC座標(xci+1,yci)を記憶させる。xci≧xci+1と判断された場合、範囲番号「i」に対応するc座標(xci,yci)をC座標として、対応するC座標項目に記憶させる。
図13(b)では、xAi<xAi+1であるので、範囲番号「i」に対応するA座標(yAi,yAi)は変更されない。一方、xci<xci+1であるので、範囲番号「i」に対応するC座標は、図13(c)に示される頂点Ciの座標値(xci+1,yci)に変更される。その結果、範囲番号「i」に対応する優先読取範囲として、矩形領域55の右側部分55bを含む矩形領域56−i(図13(c))が設定される。
更に、判断選択部45は、範囲番号「i」に対応する指定読取範囲と範囲番号「i+1」に対応する指定読取範囲とに重なりが有る場合、設定記憶部43から、範囲番号「i」に対応する指定解像度情報と範囲番号「i+1」に対応する指定解像度情報とを読み出して比較し、高解像度を優先に、何れかの指定解像度情報を選択する。そして、該指定解像度情報を、範囲番号「i」に対応する優先解像度情報とし、対応する優先解像度項目に記憶させる。
同様に、判断選択部45は、設定記憶部43から、範囲番号「i」に対応するカラーモード情報と範囲番号「i+1」に対応するカラーモード情報とを読み出して比較し、所定の優先順位に基づいて、何れかの優先カラーモード情報を選択する。ここで、各カラーモード情報には、予め、「カラー」、「グレースケール」、「モノクロ」の順に優先順位が定められている。判断選択部45は、この優先順位に基づいて、優先カラーモード情報を選択し、該優先カラーモード情報を、範囲番号「i」に対応する優先カラーモード情報として、対応する優先カラーモード項目に記憶させる。
変換部46は、優先解像度情報及び優先カラーモード情報に基づいて読み取られた優先画像を、指定解像度情報及び指定カラーモード情報に基づく変換画像に変換する。変換部46の動作については、後ほど詳しく説明する。
スキャナ制御部47は、制御部として、スキャナ41における各部の制御を行う。
また、スキャナ制御部47は、優先画像の変換画像への変換を行うべく、変換部46を制御する。
続いて、本実施例のスキャナシステム40の動作について、説明する。
スキャナ41において、原稿をプレスキャンする処理の流れ(図6)や、ホストPC12において、複数の読取範囲を指定する処理の流れ(図7)は、実施例1と同一なので、説明を省略する。
ここでは、スキャナ41における各指定読取範囲の設定処理の流れについて、図12(a)、図12(b)及び図12(c)と、以下に示す図14及び図15とを用いて、説明を行う。
図14は、本発明に係るスキャナの実施例2における設定動作を示すフローチャート(その1)であり、図15は、本発明に係るスキャナの実施例2における設定動作を示すフローチャート(その2)である。
ここでは、ホストPC12において、原稿画像50に対する指定読取範囲として、矩形領域51−1、51−2及び51−3(図11(a))が順に指定された場合を例に、説明を行う。なお、実施例1と同一の処理については、詳しい説明を省略する。
スキャナ41において、スキャナ通信部19が、ホストPC12から矩形領域51−1(図11(a))に対応するa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を受信する(ステップS301)と、スキャナ制御部47が、該矩形領域51−1を指定読取範囲として設定すべく、受信したa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を指定部44に送る。ここでは、a座標(50,50)、c座標(250,150)、指定解像度情報「200dpi」及び指定カラーモード情報「カラー」が、スキャナ制御部47から指定部44へ送られる。
指定部44は、a座標、c座標、指定解像度情報及指定カラーモード情報を受け取ると、これらを一時的に記憶すると共に、設定記憶部43における設定済の指定読取範囲の有無を判断する(ステップS401)。指定部44は、設定済の指定読取範囲が無いと判断する(ステップS401)。
この判断結果に基づき、指定部44は、矩形領域51−1の読取順としての範囲番号を「1」と指定する(ステップS402)。そして、指定部44は、a座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、指定された範囲番号「1」に対応させて、設定記憶部43に記憶させる(ステップS402)。設定記憶部43には、範囲番号「1」に対応するa座標項目に(50,50)、c座標項目に(250,150)、指定解像度項目に「200dpi」、指定カラーモード項目に「カラー」が、それぞれ記憶される(図12(a))。
続いて、スキャナ制御部47は、指定読取範囲の設定完了を、スキャナ通信部19によりホストPC12へ通知する(ステップS403)。
ホストPC12は、スキャナ41から設定完了を通知されると、次に、矩形領域51−2(図11(a))を読取範囲として指定し、a座標(400,200)、c座標(450,550)、指定解像度情報「300dpi」及び指定カラーモード情報「グレースケール」を、スキャナ41へ送信する。
スキャナ41において、スキャナ通信部19がホストPC12から矩形領域51−2に対応するa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を受信する(ステップS301)と、スキャナ制御部47は、受信したa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、指定部44に送る。
指定部44は、受け取ったa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を一時的に記憶すると共に、設定記憶部43における設定済の指定読取範囲の有無を判断する(ステップS401)。設定記憶部43には、範囲番号「1」に対応して、矩形領域51−1が指定読取範囲として設定済であるので、指定部44は、設定済の指定読取範囲が有ると判断する(ステップS401)。
次に、指定部44は、設定済の指定読取範囲数nを読み出す(ステップS305)。指定部44は、n=1を読み出す(ステップS305)。
続いて、指定部44は、範囲番号を「i=1」として(ステップS306)、この「i」と、設定記憶部43に設定済の指定読取範囲数nとを比較して、i>nであるか否かを判断する(ステップS307)。ここでは、i=n=1であるので、指定部44は、i>nではないと判断する(ステップS307)。
次に、指定部44は、矩形領域51−2のa座標からy座標値ya2を読み出すと共に、範囲番号「i=1」に対応して設定済のa座標からy座標値ya1を読み出して、ya2及びya1を比較し、大小を判断する(ステップS308)。ここでは、ya2=200であり、ya1=50であることから、指定部44は、ya2>ya1と判断する(ステップS308)。これに基づき、指定部44は、矩形領域51−2の読取順が、範囲番号「i=1」に対応する矩形領域31−1の読取順よりも後であると判断する。
そして、指定部44は、範囲番号「i=1」に1を加え、「i=2」とする(ステップS311)。このとき、設定済の指定読取範囲数がn=1であることから、指定部44は、i>n、即ち、該範囲番号に対応する指定読取範囲は設定されていないと判断する(ステップS307)。
この判断に基づき、指定部44は、矩形領域51−2の範囲番号を「i=2」と指定し、該矩形領域31−2のa座標(400,200)、c座標(450,550)、指定解像度情報「300dpi」及び指定カラーモード情報「グレースケール」を、図12(a)に示されるように、指定された範囲番号「2」に対応させて設定記憶部43に記憶させる(ステップS405)。
続いて、スキャナ制御部47は、指定読取範囲の設定完了を、スキャナ通信部19によりホストPC12へ通知する(ステップS403)。
ホストPC12は、スキャナ41から設定完了を通知されると、続いて、矩形領域51−3(図11(a))を読取範囲として指定し、該矩形領域51−3のa座標(100,100)、c座標(350,300)、指定解像度情報「600dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」を、スキャナ41へ送信する。
スキャナ41において、スキャナ通信部19がホストPC12から矩形領域51−3に対応するa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を受信する(ステップS301)と、スキャナ制御部47は、受信したa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を指定部44に送る。
指定部44は、受け取ったa座標、c座標、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を一時的に記憶すると共に、設定記憶部43における設定済の指定読取範囲の有無を判断する(ステップS401)。設定記憶部43には、範囲番号「1」に対応して矩形領域51−1が、範囲番号「2」に対応して矩形領域51−2が、それぞれ指定読取範囲として設定済であるので、指定部44は、設定済の指定読取範囲が有ると判断し(ステップS401)、設定済の指定読取範囲数n=2を読み出す(ステップS305)。
続いて、指定部44は、範囲番号を「i=1」として(ステップS306)、i>nではない、即ち該範囲番号「i=1」に対応する指定読取範囲が設定されていると判断する(ステップS307)。
次に、指定部44は、矩形領域51−3のa座標からy座標値ya3を読み出すと共に、範囲番号「i=1」に対応して設定済のa座標からy座標値ya1を読み出して、ya3及びya1を比較し、大小を判断する(ステップS308)。ここでは、ya3=100であり、ya1=50であることから、指定部44は、ya3>ya1と判断する(ステップS308)。これに基づき、指定部44は、矩形領域51−3の読取順が、範囲番号「i=1」に対応する矩形領域31−1の読取順よりも後であると判断する。
次に、指定部44は、範囲番号「i=1」に1を加え、「i=2」とする(ステップS311)。このとき、設定済の読取範囲数がn=2であることから、指定部44は、i>nではない、即ち、該範囲番号「i=2」に対応する指定読取範囲が設定されていると判断する(ステップS307)。
続いて、指定部44は、範囲番号「i=2」に対応して設定済のa座標からy座標値ya2を読み出して、ya3及びya2を比較し、大小を判断する(ステップS308)。ここでは、ya3=100であり、ya2=200であることから、指定部44は、ya3<ya2と判断する(ステップS308)。これに基づき、指定部44は、矩形領域51−3の読取順が、範囲番号「i=2」に対応する矩形領域31−2の読取順よりも前であると判断する。
この判断に基づき、指定部44は、設定記憶部43に範囲番号「i=2」に対応して設定されていた指定読取範囲の読取順を、矩形領域51−3の読取順よりも後にすべく、範囲番号「i=2」に1を加えて、「i=3」と変更する(ステップS309)。
続いて、指定部44は、矩形領域51−3の範囲番号を「i=2」と指定し、該矩形領域51−3のa座標(100,100)、c座標(350,300)、指定解像度情報「600dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」を、図12(b)に示されるように、指定された範囲番号「2」に対応させて設定記憶部43に記憶させる(ステップS405)。
続いて、スキャナ制御部47は、指定読取範囲の設定完了を、スキャナ通信部19によりホストPC12へ通知する(ステップS403)。
ホストPC12がスキャナ41から設定完了を通知された後、選択入力部15が読取要求を入力すると、該読取要求はスキャナ41へ送信される。
スキャナ41において、スキャナ通信部19がホストPC12から読取要求を受信する(ステップS312)と、スキャナ制御部47は、各読取範囲の読取処理を開始すべく、指定読取範囲の設定処理を終了する。
上記のように、ホストPC12において指定された各読取範囲の読取順が指定され、指定読取範囲として、指定された読取条件と共に、設定記憶部43に設定される。
なお、ステップS308において、yan+1<yaiではないと判断された後、yan+1=yaiであると判断される(ステップS406)と、指定部44は、更にスキャナ制御部47から受け取ったc座標からy座標値ycn+1を読み出すと共に、範囲番号「i」に対応するc座標からy座標値yciを読み出して、これらを比較し、大小を判断する(ステップS407)。ycn+1>yciであれば、指定部44は、読取範囲n+1の読取順を、範囲番号「i」の指定読取範囲の読取順よりも前であると判断し、ステップS309以降の処理を行う。ycn+1≦yciであれば、指定部44は、読取範囲n+1の読取順を、範囲番号「i」の指定読取範囲の読取順よりも後であると判断し、ステップS311以降の処理を行う。
次に、設定された各指定読取範囲に対するスキャナ41による読取処理の流れについて、図11(a)及び図11(b)と、以下に示す図16及び図17とを用いて、説明を行う。
図16は、本発明に係るスキャナの実施例2における読取動作を示すフローチャート(その1)であり、図17は、本発明に係るスキャナの実施例2における読取動作を示すフローチャート(その2)である。
ここでは、図14及び図15を用いて説明したように、設定記憶部43において、原稿画像50に対する指定読取範囲として、矩形領域51−1、51−3及び51−2(図11(a))が、それぞれ、範囲番号「1」、「2」及び「3」に対応して設定されている場合(図12(b))を例に、説明を行う。なお、実施例1と同一の処理については、詳しい説明を省略する。
スキャナ41において、スキャナ通信部19がホストPC12からの読取要求を受信する(ステップS312)と、スキャナ制御部47は、まず、範囲番号をi=1とする(ステップS314)。そして、スキャナ制御部47は、設定記憶部43において、i=1に対応して設定済のa座標(xa1,ya1)=(50,50)を、A座標(xA1,yA1)として、A座標項目に記憶させる(ステップS501)。
続いて、スキャナ制御部47は、設定記憶部43から、設定済の指定読取範囲数nを読み出す(ステップS502)。設定記憶部43(図12(b))には、3つの指定読取範囲が設定済であるので、スキャナ制御部47は、n=3を読み出す(ステップS502)。
次に、スキャナ制御部47は、範囲番号「i」と、読み出された指定読取範囲数nとを比較して、該範囲番号「i」及び範囲番号「i+1」に対応する指定読取範囲が設定されているか否かを判断すべくi=nであるか否かを判断する(ステップS503)。ここでは、i=1及びn=3より、i≠n、即ち、対応する指定読取範囲が設定されていると判断する(ステップS503)。
次に、スキャナ制御部47は、設定記憶部43(図12(b))から範囲番号「i=1」に対応して設定済の指定読取範囲、即ち矩形領域51−1(図11(a))と、範囲番号「i=2」に対応して設定済の指定読取範囲、即ち矩形領域51−3(図11(a))とに、副走査方向における重なりが有るか否かを判断すべく、範囲番号「i=1」を判断選択部45に通知する。
判断選択部45は、範囲番号「i=1」を受け取ると、設定記憶部43から、該範囲番号「i=1」に対応するc座標(xc1,yc1)=(250,150)のy座標値yc1=150を読み出すと共に、範囲番号「i=2」に対応するa座標(xa2,ya2)=(100,100)のy座標値ya2=100を読み出して、これらを比較し、大小を判断する(ステップS504)。ここでは、yc1>ya2である(ステップS504)ので、判断選択部45は、範囲番号「i=1」及び範囲番号「i=2」の各指定読取範囲に重なりが有ると判断する(ステップS505)。
この判断結果に基づいて、判断選択部45は、範囲番号「i=2」に対応するa座標(xa2,ya2)=(100,100)のx座標値xa2=100と、範囲番号「i=1」に対応するc座標(xc1,yc1)=(250,150)のy座標値yc1=150とに基づいて、範囲番号「i=2」に対応するA座標を、(xa2,yc1)=(100,150)と設定する。そして、判断選択部45は、このA座標を、範囲番号「i=2」に対応するA座標項目に記憶させる(ステップS506)。
続いて、判断選択部45は、範囲番号「i=1」に対応するA座標(xA1,yA1)=(50,50)からx座標値xA1=50を読み出すと共に、範囲番号「i=2」に対応するA座標(xA2,yc1)=(100,150)のx座標値xA2=100を読み出して、これらを比較し、大小を判断する(ステップS507)。
xA1>xA2と判断する(ステップS507)と、判断選択部45は、範囲番号「i=1」に対応するA座標のx座標値xA1を、範囲番号「i=2」に対応するA座標のx座標値xA2に変更する(ステップS508)。
ここでは、判断選択部45はxA1≦xA2と判断する(ステップS507)ので、範囲番号「i=1」のA座標は変更されず、判断選択部45は次のステップの動作に移る。
判断選択部45は、範囲番号「i=1」に対応するc座標(xc1,yc1)=(250,150)からx座標値xc1=250を読み出すと共に、範囲番号「i=2」に対応するc座標(xc2,yc2)=(350,300)からx座標値xc2=350を読み出して、これらを比較し、大小を判断する(ステップS509)。
xc1<xc2と判断する(ステップS509)と、判断選択部45は、範囲番号「i=1」に対応するc座標のy座標値と、範囲番号「i=2」に対応するc座標のx座標値とに基づいて、範囲番号「i=1」に対応するC座標を、(xc2,yc1)=(350,150)と設定する。そして、判断選択部45は、このC座標を、範囲番号「i=1」に対応するC座標項目に記憶させる(ステップS510)。
なお、ステップS509において、xc1>xc2と判断すると、判断選択部45は、範囲番号「i=1」に対応するc座標(xc1,yc1を)をC座標として、対応するC座標項目に記憶させる(ステップS511)。
範囲番号「i=1」に対応するC座標が設定されると、判断選択部45は、設定記憶部43から、範囲番号「i=1」に対応する指定解像度情報「200dpi」と、範囲番号「i=2」に対応する指定解像度情報「600dpi」とを読み出して比較し、優先解像度情報として「600dpi」を選択する(ステップS512)。判断選択部45は、この優先解像度情報「600dpi」を、範囲番号「i=1」に対応させて設定記憶部43に設定する(ステップS512)。
また、判断選択部45は、設定記憶部43から、範囲番号「i=1」に対応する指定カラーモード情報「カラー」と、範囲番号「i=2」に対応する指定カラーモード情報「モノクロ」とを読み出して比較し、優先カラーモード情報として「カラー」を選択する(ステップS512)。判断選択部45は、この優先カラーモード情報「カラー」を、範囲番号「i=1」に対応させて設定記憶部43に設定する(ステップS512)。
範囲番号「i=1」に対応する優先解像度情報及び優先カラーモード情報の設定が完了すると、判断選択部45は、スキャナ制御部47に範囲番号「i=1」と共に設定完了を通知する。
スキャナ制御部47は、判断選択部45からの設定完了の通知を受けると、通知された範囲番号「i=1」に対応するA座標(50,50)、C座標(350,150)、優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「カラー」を設定記憶部43から読み出す(ステップS513)。
そして、スキャナ制御部47は、読み出した各情報を読取部42に通知して、範囲番号「i=1」に対応する優先読取範囲、即ち矩形領域53−1(図11(b))に対する読取処理を実行させる。読取部42は、まず、通知されたA座標のy座標値yA1=50の位置まで副走査方向に平行移動すると、A座標のx座標値xA1=50からC座標のx座標値xC1=350まで、1ライン分の画像を読み取って、画像記憶部23に送って記憶させる。このとき、読取部42は、カラーモードで、主走査方向に600dpi(ドット/インチ)間隔で画像を読み取る。また、画像記憶部23は、各画像データを、座標値に対応させて記憶する。読取部42は、更に平行移動を続けながら、副走査方向に1/600インチ進む毎に、xA1=50からxC1=350までの画像を1ライン分読み取って、画像データを画像記憶部23に送って記憶させる。読取部42は、この読取処理を、A座標のy座標値yA1=50の位置からC座標のy座標値yC1=150の位置まで繰り返す。これにより、矩形領域53−1の画像の読み取りが完了し、該画像の画像データ、即ち優先画像が画像記憶部23に記憶される。
読み取りが完了すると、スキャナ制御部47は、範囲番号「i=1」に1を加えて、「i=2」とする(ステップS319)と、このiと指定読取範囲数nとを比較して、該範囲番号「i」及び「i+1」に対応する指定読取範囲が設定されているか否かを判断すべく、i=nであるか否かを判断する(ステップS503)。ここでは、i=2及びn=3より、i≠n、即ち、対応する指定読取範囲が設定されていると判断する(ステップS503)。
次に、スキャナ制御部47は、設定記憶部43(図12(b))から、範囲番号「i=2」に対応して設定済の指定読取範囲、即ち矩形領域51−3(図11(a))と、範囲番号「i=2」に対応して設定済の指定読取範囲、即ち矩形領域51−2(図11(a))との重なりの有無を判断すべく、範囲番号「i=2」を判断選択部45に通知する。
判断選択部45は、設定記憶部43から該範囲番号「i=2」に対応するc座標(xc2,yc2)=(350,300)のy座標値yc2=300と、範囲番号「i=3」に対応するa座標(xa3,ya3)=(400,200)のy座標値ya3=200とを読み出して比較し、大小を判断する(ステップS504)。そして、yc2>ya1である(ステップS504)ので、判断選択部45は、範囲番号「i=2」及び範囲番号「i=3」の各指定読取範囲に重なりが有ると判断する(ステップS505)。
続いて、判断選択部45は、範囲番号「i=3」に対応するa座標(xa3,ya3)=(400,200)のx座標値xa3=400と、範囲番号「i=2」に対応するc座標(xc2,yc2)=(350,300)のy座標値yc2=300とに基づいて、範囲番号「i=3」に対応するA座標を、(xa3,yc2)=(400,300)と設定する。そして、判断選択部45は、このA座標を、範囲番号「i=3」に対応するA座標項目に記憶させる(ステップS506)。
そして、判断選択部45は、範囲番号「i=2」に対応するA座標(xA2,yA2)=(100,150)のx座標値xA2=100と、範囲番号「i=3」に対応するA座標(xA3,yA3)=(400,300)のx座標値xA3=400とを読み出して比較し、大小を判断する(ステップS507)。
xA2≦xA3と判断する(ステップS507)と、判断選択部45は、範囲番号「i=2」に対応するc座標(xc2,yc2)=(350,300)のx座標値xc2=350と、範囲番号「i=3」に対応するc座標(xc3,yc3)=(450,550)のx座標値xc3=450とを読み出して比較し、大小を判断する(ステップS509)。
xc2<xc3と判断する(ステップS509)と、判断選択部45は、範囲番号「i=2」に対応するc座標のy座標値yc2と、範囲番号「i=3」に対応するc座標のx座標値xc3とに基づいて、範囲番号「i=2」に対応するC座標を、(xc3,yc2)=(450,300)と設定する。そして、判断選択部45は、このC座標を、範囲番号「i=2」に対応するC座標項目に記憶させる(ステップS510)。
範囲番号「i=2」に対応するC座標が設定されると、判断選択部45は、設定記憶部43から、範囲番号「i=2」に対応する指定解像度情報「600dpi」と、範囲番号「i=3」に対応する指定解像度情報「300dpi」とを読み出して比較し、優先解像度情報として「600dpi」を選択する(ステップS512)。判断選択部45は、この優先解像度情報「600dpi」を、範囲番号「i=2」に対応させて設定記憶部43に設定する(ステップS512)。
また、判断選択部45は、設定記憶部43から、範囲番号「i=2」に対応する指定カラーモード情報「モノクロ」と、範囲番号「i=3」に対応する指定カラーモード情報「グレースケール」とを読み出して比較し、優先カラーモード情報として「グレースケール」を選択する(ステップS512)。判断選択部45は、この優先カラーモード情報「グレースケール」を、範囲番号「i=2」に対応させて設定記憶部43に設定する(ステップS512)。
範囲番号「i=2」に対応する優先解像度情報及び優先カラーモード情報の設定が完了すると、判断選択部45は、スキャナ制御部47に範囲番号「i=2」と共に設定完了を通知する。
スキャナ制御部47は、判断選択部45からの設定完了の通知を受けると、通知された範囲番号「i=2」に対応するA座標(100,150)、C座標(450,300)、優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「グレースケール」を設定記憶部43から読み出す(ステップS513)。
そして、スキャナ制御部47は、読み出した各情報を読取部42に通知して、範囲番号「i=2」に対応する優先読取範囲、即ち矩形領域53−2(図11(b))に対する読取処理を実行させる。yC1=yA2=150であるので、読取部42は、範囲番号「i=1」に対応する優先読取範囲に対する読取処理の終了位置から、範囲番号「i=2」に対応する優先読取範囲に対する読取処理を開始する。読取部42は、A座標のx座標値xA2=100からC座標のx座標値xC2=450まで、1ライン分の画像を読み取って、画像記憶部23に送って記憶させる。このとき、読取部42は、グレースケールモードで、主走査方向に600dpi(ドット/インチ)間隔で画像を読み取る。読取部42は、副走査方向に平行移動しながら、1/600インチ進む毎に、xA2=100からxC2=450までの画像を1ライン分読み取って、画像データを画像記憶部23に送り、座標値に対応して記憶させる。読取部42は、この読取処理を、A座標のy座標値yA2=150の位置からC座標のy座標値yC2=300の位置まで繰り返す。これにより、矩形領域53−2からの優先画像の読み取りが完了する(ステップS514)。
読み取りが完了すると、スキャナ制御部47は、範囲番号「i=2」に1を加えて、「i=3」とする(ステップS319)と、このiと指定読取範囲数nとを比較して、該範囲番号「i」及び「i+1」に対応する指定読取範囲が設定されているか否かを判断すべく、i=nであるか否かを判断する(ステップS503)。ここでは、i=3及びn=3より、i=nとなり、「i=4」に対応する指定読取範囲が設定されていないと判断する(ステップS503)。
これにより、範囲番号「i=4」の指定読取範囲との重なりの有無の判断が不要となるため、スキャナ制御部47は、範囲番号「i=3」に対応して設定済のc座標(xc3,yc3)=(450,550)を、そのままC座標(xC3,yC3)として、C座標項目に記憶させる(ステップS515)。
その後、スキャナ制御部47は、範囲番号「i=3」に対応するA座標(400,300)及びC座標(450,550)と、指定解像度情報「600dpi」及び指定カラーモード情報「グレースケール」とを設定記憶部43から読み出す(ステップS516)。そして、指定解像度情報及び指定カラーモード情報に基づいて、範囲番号「i=3」に対応する優先読取範囲、即ち矩形領域51−3から、画像を読み取って記憶する(ステップS517)。読取部42は、A座標のx座標値xA3=400からC座標のx座標値xC3=450まで、1ライン分の画像を読み取って、画像記憶部23に送って記憶させる。このとき、読取部42は、グレースケールモードで、主走査方向に300dpi(ドット/インチ)間隔で画像を読み取る。読取部42は、副走査方向に平行移動しながら、1/300インチ進む毎に、xA3=400からxC3=450までの画像を1ライン分読み取って、画像データを画像記憶部23に送り、座標値に対応して記憶させる。読取部42は、この読取処理を、A座標のy座標値yA3=300の位置からC座標のy座標値yC3=550の位置まで繰り返す。これにより、矩形領域53−3からの優先画像の読み取りが完了し(ステップS517)、スキャナ41における読取処理が終了する。
上記のように、各指定読取範囲の副走査方向における重なりの有無が判断された後、優先読取範囲が設定され、優先画像の読取処理が実行される。
なお、ステップS504において、yci≦yai+1である場合、判断選択部45は、範囲番号「i」及び範囲番号「i+1」の各指定読取範囲に重なりが無いと判断する(ステップS518)。そして、判断選択部45は、範囲番号「i+1」に対応するa座標(xai+1,yai+1)をA座標として、範囲番号「i+1」に対応するA座標項目に記憶させる(ステップS519)。また、範囲番号「i」に対応するc座標(xci,yci)をC座標として、範囲番号「i」に対応するC座標項目に記憶させる(ステップS519)。
その後、スキャナ制御部47は、範囲番号iに対応するA座標及びC座標と、指定解像度情報及び指定カラーモード情報とを、設定記憶部43から読み出して(ステップS520)、読取部42により、該指定解像度情報及び指定カラーモード情報に基づいて、優先読取範囲から優先画像を読み取って記憶する(ステップS521)。
次に、スキャナ41において、原稿画像50(図11(b))から各優先読取範囲の画像を読み取って取得した画像データ、即ち優先画像を、各指定読取範囲に対応する画像データ、即ち指定画像に変換して、ホストPC12へ送信する処理の流れについて、図18及び図19に沿って説明する。
図18は、本発明に係るスキャナの実施例2における変換送信動作を示すフローチャート(その1)であり、図19は、本発明に係るスキャナの実施例2における変換送信動作を示すフローチャート(その2)である。
スキャナ41において、スキャナ制御部47は、まず、範囲番号を「i=1」とする(ステップS601)。
続いて、スキャナ制御部47は、設定記憶部43(図12(c))において、範囲番号「1」に対応する優先解像度情報及び優先カラーモード情報が設定されているか否かを判断する(ステップS602)。設定されていると判断する(ステップS602)と、スキャナ制御部47は、該範囲番号「i=1」の指定読取範囲が、範囲番号「i=2」の指定読取範囲と重なりを有すると判断する(ステップS603)。
重なりが有ると判断する(ステップS603)と、スキャナ制御部47は、まず、範囲番号「i=1」の優先読取範囲、即ち矩形領域53−1(図11(b))に対応する優先画像から、該優先画像に含まれる重なり部分の画像データを取得すべく、以下の処理を行う。
スキャナ制御部47は、設定記憶部43から範囲番号「i=2」に対応するa座標(xa2,ya2)=(100,100)と、範囲番号「i=1」に対応するC座標(xC1,yC1)=(350,150)とを読み出す。また、スキャナ制御部47は、設定記憶部43から、範囲番号「i=1」に対応する優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「カラー」と、範囲番号「i=2」に対応する指定解像度情報「600dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」とを読み出す。そして、スキャナ制御部47は、これらのa座標(xa2,ya2)、C座標(xC1,yC1)、優先解像度情報、優先カラーモード情報、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、変換部46に送る。
変換部46は、スキャナ制御部47からa座標(xa2,ya2)、C座標(xC1,yC1)、優先解像度情報、優先カラーモード情報、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を受け取ると、画像記憶部23から、範囲番号「i=1」に対応する優先画像を読み出す。そして、該優先画像から、a座標(xa2,ya2)及びC座標(xC1,yC1)により指定される座標領域(x,y)、即ち(xa2,ya2)≦(x,y)≦(xC1,yC1)の画像データを読み出す。この座標領域は、図11(b)に示される原稿画像50において、a座標(xa2,ya2)により指定される頂点51a−3と、C座標(xC1,yC1)により指定される頂点53C−1とを、それぞれ頂点とする矩形領域57(斜線領域)に相当する。この画像データを、範囲番号「i=1」及び範囲番号「i=2」の各指定読取範囲における重なり部分の画像データ、即ち重なり画像と記す。
この重なり画像は、読取部42により、範囲番号「i=1」に対応する優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「カラー」に基づき取得された画像データからなる。変換部46は、この重なり画像を、範囲番号「i=2」に対応する指定解像度情報「600dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」に基づく画像データ、即ち変換重なり画像I2に変換する(ステップS604)。変換部46は、カラー画像をモノクロ画像に変換して、変換重なり画像I2を取得し、該変換重なり画像I2を画像記憶部23に送って記憶させる(ステップS604)。
続いて、スキャナ制御部47は、範囲番号「i=1」に対応する指定読取範囲の画像データを取得すべく、設定記憶部43(図12(c))から、範囲番号「i=1」に対応するA座標(xA1,yA1)=(50,50)、c座標(xc1,yc1)=(250,150)、指定解像度情報「200dpi」、指定カラーモード情報「カラー」、優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「カラー」を読み出して、変換部46に送る。
変換部46は、スキャナ制御部47からA座標(xA1,yA1)、c座標(xc1,yc1)、指定解像度情報、指定カラーモード情報、優先解像度情報及び優先カラーモード情報を受け取ると、画像記憶部23から、範囲番号「i=1」に対応する優先画像を読み出す。そして、該優先画像から、A座標(xA1,yA1)及びc座標(xc1,yc1)により指定される座標領域(x,y)、即ち(xA1,yA1)≦(x,y)≦(xc1,yc1)の画像データを読み出す。この座標領域は、図11(a)に示される原稿画像50において、矩形領域51−1に相当する。
変換部46は、範囲番号「i=1」に対応する優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「カラー」に基づき取得されたこの優先画像を、範囲番号「i=1」に対応する指定解像度情報「200dpi」及び指定カラーモード情報「カラー」に基づく画像データ、即ち変換画像に変換する(ステップS605)。変換部46は、「600dpi」の高解像度で取得された優先画像を、「200dpi」の低解像度に変換して、変換画像を取得する(ステップS605)。
なお、変換画像は、範囲番号「i」に対応する指定読取範囲の画像データから、範囲番号「i−1」に対応する指定読取範囲との重なり部分の画像データ、即ち変換重なり画像Iiを除いた画像データからなる。
次に、変換部46は、画像記憶部23に範囲番号「i=1」に対応する変換重なり画像I1が記憶されているか否かを判断する(ステップS606)。変換重なり画像I1が記憶されていないと判断する(ステップS606)と、変換部46は、ステップS605において取得した変換画像を、範囲番号「i=1」に対応する指定読取範囲の画像データ、即ち指定画像とし(ステップS608)、スキャナ制御部47に該指定画像を送る。
スキャナ制御部47は、変換部46から範囲番号「i=1」に対応する指定画像を受け取ると、スキャナ通信部19により該指定画像をホストPC12へ送信する(ステップS609)。
続いて、スキャナ制御部47は、範囲番号「i=1」に1を加え、「i=2」とする(ステップS610)。そして、スキャナ制御部47は、該範囲番号「i=2」に対応する読取範囲が設定されているか否かを判断する(ステップS611)。
設定されていると判断する(ステップS611)と、スキャナ制御部47は、該範囲番号「i=2」に対応する優先解像度情報及び優先カラーモード情報が設定記憶部43に設定されているか否かを判断する(ステップS602)。設定記憶部43(図11(c))には、範囲番号「i=2」に対応する優先解像度情報及び優先カラーモード情報が設定されているので、スキャナ制御部47は、範囲番号「i=2」及び「i=3」の各指定読取範囲に、重なりが有ると判断する(ステップS603)。
次に、スキャナ制御部47は、設定記憶部43から範囲番号「i=3」に対応するa座標(xa3,ya3)=(400,200)と、範囲番号「i=2」に対応するC座標(xC2,yC2)=(450,300)とを読み出す。また、スキャナ制御部47は、設定記憶部43から、範囲番号「i=2」に対応する優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「グレースケール」と、範囲番号「i=3」に対応する指定解像度情報「300dpi」及び指定カラーモード情報「グレースケール」とを読み出す。そして、スキャナ制御部47は、これらのa座標(xa3,ya3)、C座標(xC2,yC2)、優先解像度情報、優先カラーモード情報、指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、変換部46に送る。
そして、変換部46が、画像記憶部23から、範囲番号「i=2」に対応する優先画像を読み出し、該優先画像から、a座標(xa3,ya3)及びC座標(xC2,yC2)により指定される座標領域(x,y)、即ち(xa3,ya3)≦(x,y)≦(xC2,yC2)の画像データを、重なり画像として読み出す。
続いて、変換部46は、優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「グレースケール」に基づき読み取られたこの重なり画像を、範囲番号「i=3」に対応する指定解像度情報「300dpi」及び指定カラーモード情報「グレースケール」に基づき変換し、変換重なり画像I3を取得する(ステップS604)。取得された変換重なり画像I3は、画像記憶部23に送られて記憶される(ステップS604)。
次に、スキャナ制御部47は、範囲番号「i=2」に対応する指定画像を取得すべく、設定記憶部43(図12(c))から、範囲番号「i=2」に対応するA座標(xA2,yA2)=(100,150)、c座標(xc2,yc2)=(350,300)、指定解像度情報「600dpi」、指定カラーモード情報「モノクロ」、優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「グレースケール」を読み出して、変換部46に送る。
変換部46は、画像記憶部23から、範囲番号「i=2」に対応する優先画像を読み出して、該優先画像から、A座標(xA2,yA2)及びc座標(xc2,yc2)により指定される座標領域(x,y)、即ち(xA2,yA2)≦(x,y)≦(xc2,yc2)の画像データを読み出す。
そして、変換部46は、優先解像度情報「600dpi」及び優先カラーモード情報「グレースケール」に基づき取得されたこの優先画像を、指定解像度情報「600dpi」及び指定カラーモード情報「モノクロ」に基づき変換し、変換画像を取得する(ステップS605)。
次に、変換部46は、画像記憶部23に範囲番号「i=2」に対応する変換重なり画像I2が記憶されているか否かを判断する(ステップS606)。画像記憶部23には、範囲番号「i=1」に対応する優先画像から取得された変換重なり画像I2が記憶されているので、変換部46は、記憶されていると判断し(ステップS606)、該変換重なり画像I2を読み出す。そして、変換部46は、ステップS605において取得した変換画像に変換重なり画像I2を加えて、範囲番号「i=2」に対応する指定画像を取得する(ステップS607)。変換部46は、取得した指定画像をスキャナ制御部47に送る。
スキャナ制御部47は、変換部46から範囲番号「i=2」に対応する指定画像を受け取ると、スキャナ通信部19により該指定画像をホストPC12へ送信する(ステップS609)。
続いて、スキャナ制御部47は、範囲番号「i=2」に1を加え、「i=3」とする(ステップS610)。そして、スキャナ制御部47は、該範囲番号「i=3」に対応する読取範囲が設定されているか否かを判断する(ステップS611)。
設定されていると判断する(ステップS611)と、スキャナ制御部47は、該範囲番号「i=3」に対応する優先解像度情報及び優先カラーモード情報が設定記憶部43に設定されているか否かを判断する(ステップS602)。設定記憶部43(図11(c))には、範囲番号「i=3」に対応する優先解像度情報及び優先カラーモード情報が設定されていないので、スキャナ制御部47は、重なりが無いと判断する(ステップS612)。
重なりが無いと判断すると、スキャナ制御部47は、画像記憶部23から範囲番号「i=3」の優先画像を読み出して、該優先画像を範囲番号「i=3」に対応する変換画像として取得する(ステップS613)。
次に、変換部46が、画像記憶部23に範囲番号「i=3」に対応する変換重なり画像I3が記憶されているか否かを判断する(ステップS606)。画像記憶部23には、範囲番号「i=2」に対応する優先画像から取得された変換重なり画像I3が記憶されているので、変換部46は、記憶されていると判断し(ステップS606)、該変換重なり画像I3を読み出す。そして、変換部46は、ステップS613において取得された変換画像に変換重なり画像I3を加えて、範囲番号「i=3」に対応する指定画像を取得する(ステップS607)。変換部46は、取得した指定画像をスキャナ制御部47に送る。
スキャナ制御部47は、変換部46から範囲番号「i=3」に対応する指定画像を受け取ると、スキャナ通信部19により該指定画像をホストPC12へ送信する(ステップS609)。
続いて、スキャナ制御部47は、範囲番号「i=3」に1を加え、「i=4」とする(ステップS610)。そして、スキャナ制御部47が、該範囲番号「i=4」に対応する読取範囲が設定されていないと判断する(ステップS611)と、スキャナ41における変換送信処理が終了する。
上記のように、各優先読取範囲から読み取られた優先画像に対して、画像変換処理が実行され、各指定読取範囲に対応する指定画像が取得され、ホストPC12へ送信される。
以上のように、本実施例のスキャナシステム40は、1つの原稿画像50において指定された複数の読取範囲に、副走査方向における重なりが有り且つ異なる読取条件が設定された場合、スキャナ41は、優先順位に基づいて何れかの読取条件を選択して、該読取条件に基づき重なり画像を取得する。そして、スキャナ41は、取得された重なり画像を、指定された各読取条件に基づき変換することにより、各読取範囲に対応する画像をそれぞれ取得し、ホストPC12へ送信可能となる。したがって、したがって、原稿13の走査を繰り返さずとも、重なり部分を含む各読取範囲の画像を、指定されたそれぞれの読取条件に応じて取得できるので、更なる読取動作の短縮及び効率性の向上が可能となる。
なお、本実施例では、スキャナ41は、全ての優先画像を取得した後、画像変換を行って、各指定画像のホストPC12への送信を実行しているが、各優先画像の取得に応じて、画像変換を実行して、指定画像を送信することも可能である。
また、本実施例では、スキャナ41側に画像変換処理のための変換部を設けているが、ホストPC12側に画像変換機能を設けることも可能である。これについては、次の実施例3で詳しく説明する。
図20は、本発明の実施例3に係るスキャナシステムの構成を示すブロック図である。
本実施例のスキャナシステム60は、ホストPC62に変換部67を設ける構成が、実施例1及び実施例2とは異なる。
なお、本実施例において、実施例1或いは実施例2と同様な構成を同一の符号で示し、これらについての詳しい説明を省略する。
スキャナシステム60は、図20に示されるように、画像読取装置としてのスキャナ61と、上位装置としてのホストPC62とを備えている。スキャナ61とホストPC62との接続方法は、USB接続やパラレル接続、ネットワーク接続等、何れでも良い。
スキャナ61は、図20に示されるように、スキャナ通信部63、載置部20、検知部21、読取部42、画像記憶部23、設定記憶部43、指定部44、判断選択部45及びスキャナ制御部64を備えている。
スキャナ通信部63は、受信部及び送信部として、ホストPC62との間でデータの送受信を行う。スキャナ通信部63は、スキャナ制御部64から、優先画像や、対応する設定範囲情報、指定条件情報、優先条件情報(後述)を受け取って、ホストPC62へ送信する。
スキャナ制御部64は、制御部として、スキャナ61の各部を制御する機能を有する。スキャナ制御部64は、画像記憶部23から、各範囲番号「i」(i=1、2・・・n)に対応する優先画像を読み出すと共に、設定記憶部43から、該範囲番号「i」に対応する設定範囲情報、即ち、a座標(xai,yai)、c座標(xci,yci)、A座標(xAi,yAi)及びC座標(xCi,yCi)と、指定条件情報、即ち指定解像度情報及び指定カラーモード情報と、優先条件情報、即ち優先解像度情報及び優先カラーモード情報とを読み出して、スキャナ通信部63へ送る。
ホストPC62は、パーソナルコンピュータ(PC)からなり、図20に示されるように、表示部14、選択入力部15、PC通信部65、PC記憶部66、変換部67及びPC制御部68を備えている。
PC通信部65は、上位送信部及び上位受信部として、スキャナ61との間でデータの送受信を行う機能を有する。PC通信部65は、スキャナ61から原稿画像の画像データや、優先画像、設定範囲情報、指定条件情報等を受信して、PC制御部68に送る。また、PC通信部65は、PC制御部68から各読取範囲に対応するa座標及びc座標と、指定解像度情報及び指定カラーモード情報とを受け取って、スキャナ61へ送信する。
PC記憶部66は、PC制御部68の制御に基づき、スキャナ61から受信した画像データや、設定範囲情報、指定条件情報等を記憶する。
変換部67は、優先解像度情報及び優先カラーモード情報に基づいて読み取られた優先画像を、指定解像度情報及び指定カラーモード情報に基づく変換画像に変換する。
PC制御部68は、ホストPC62における各部の制御を行う。
続いて、本実施例のスキャナシステム60の動作について、説明する。
スキャナ61において、原稿をプレスキャンする処理の流れ(図6)や、ホストPC62において、複数の読取範囲を指定する処理の流れ(図7)は、実施例1と同一なので、説明を省略する。また、スキャナ61において、各指定読取範囲を設定する処理の流れ(図14及び図15)は、実施例2と同一なので、説明を省略する。
ここでは、スキャナ61において、各優先読取範囲から優先画像を読み取ってホストPC12へ送信する処理の流れについて、図21及び図22を用いて、説明を行う。
図21は、本発明に係るスキャナの実施例3における読取送信動作を示すフローチャート(その1)であり、図22は、本発明に係るスキャナの実施例3における読取送信動作を示すフローチャートである。
ここでは、ホストPC62において、原稿画像50に対する指定読取範囲として、矩形領域51−1、51−2及び51−3(図11(a))が順に指定された場合を例に、説明を行う。なお、本実施例において、実施例1或いは実施例2と同一の処理については、詳しい説明を省略する。
スキャナ61において、スキャナ通信部63がホストPC62からの読取要求を受信する(ステップS312)と、スキャナ制御部64は、範囲番号をi=1として(ステップS314)、該範囲番号に対応する優先読取範囲の設定を行った後、読取部42により、優先解像度情報及び優先カラーモード情報に基づいて、該優先読取範囲から範囲番号「i=1」の優先画像を読み取って、画像記憶部23に記憶する(ステップS501〜ステップS514)。
続いて、スキャナ制御部64は、画像記憶部23から範囲番号「i=1」の優先画像を読み出す。また、スキャナ制御部64は、設定記憶部43から、範囲番号「i=1」に対応するa座標(xa1,ya1)、c座標(xc1,yc1)、A座標(xA1,yA1)及びC座標(xC1,yC1)を、該範囲番号に対応する設定範囲情報として読み出す。また、スキャナ制御部64は、設定記憶部43から、範囲番号「i=1」に対応する指定解像度情報及び指定カラーモード情報を、該範囲番号に対応する指定条件情報として読み出す。更に、スキャナ制御部64は、設定記憶部43から、範囲番号「i=1」に対応する優先解像度情報及び優先カラーモード情報を、優先条件情報として読み出す。そして、スキャナ制御部64は、スキャナ通信部63により、読み出された優先画像、設定範囲情報、指定条件情報及び優先条件情報を、ホストPC62へ送信する(ステップS701)。
ホストPC62において、PC通信部65が優先画像、設定範囲情報、指定条件情報及び優先条件情報を受信すると、PC制御部68は、これらの各データを、範囲番号「i=1」に対応させてPC記憶部66に記憶させる。
次に、スキャナ制御部64は、範囲番号を「i=2」として(ステップS319)、同様の処理を繰り返す(ステップS503〜ステップS514)。そして、スキャナ通信部63が、範囲番号「i=2」に対応する優先画像、設定範囲情報、指定条件情報及び優先条件情報を、ホストPC62へ送信する(ステップS701)。
ホストPC62は、優先画像、設定範囲情報、指定条件情報及び優先条件情報を受信すると、これらの各データを、範囲番号「i=2」に対応させてPC記憶部66に記憶する。
続いて、スキャナ制御部64は、範囲番号を「i=3」として(ステップS319)、該範囲番号に対応する優先読取範囲の設定を行った後、読取部42により、指定解像度情報及び指定カラーモード情報に基づいて、該優先読取範囲から範囲番号「i=3」の優先画像を読み取って、画像記憶部23に記憶する(ステップS503〜ステップS521)。
そして、スキャナ制御部64は、画像記憶部23から範囲番号「i=3」の優先画像を読み出すと共に、設定記憶部43から範囲番号「i=3」に対応する設定範囲情報及び指定条件情報を読み出して、スキャン通信部63により、該優先画像、設定範囲情報及び指定条件情報を、ホストPC62へ送信する(ステップS703)。これにより、スキャナ61における読取送信処理が終了する。
ホストPC62において、PC通信部65が優先画像、設定範囲情報及び指定条件情報を受信すると、PC制御部68は、これらの各データを、範囲番号「i=3」に対応させてPC記憶部66に記憶させる。
上記のように、各優先読取範囲から優先画像が読み取られた後、該優先画像が、設定範囲情報や指定条件情報と共に、ホストPC62へ送信される。
なお、ステップS518において、範囲番号「i」及び範囲番号「i+1」の各指定読取範囲に重なりが無いと判断された場合、スキャナ61は、ステップS519からステップS521までの処理を実行した後、範囲番号「i」に対応する優先画像、設定範囲情報及び指定条件情報を読み出して、ホストPC62へ送信する(ステップS702)。
ホストPC62は、優先画像、設定範囲情報及び指定条件情報を受信すると、これらの各データを、範囲番号「i」に対応させてPC記憶部66に記憶する。
次に、ホストPC62において、スキャナ61から受信した優先画像を指定画像に変換する処理の流れについて、図23及び図24を用いて説明する。
図23は、本発明に係るスキャナシステムの実施例3における変換動作を示すフローチャート(その1)であり、図24は、本発明に係るスキャナシステムの実施例3における変換動作を示すフローチャート(その2)である。
ホストPC62において、選択入力部15が、画像変換処理の実行を要求すべく変換要求を入力する(ステップS801)と、PC制御部68は、まず、範囲番号を「i=1」とする(ステップS601)。
続いて、PC制御部68は、PC記憶部66において、範囲番号「1」に対応する優先条件情報、即ち優先解像度情報及び優先カラーモード情報が設定されているか否かを判断する(ステップS602)。設定されていると判断する(ステップS602)と、PC制御部68は、該範囲番号「i=1」の指定読取範囲が、範囲番号「i=2」の指定読取範囲と重なりを有すると判断する(ステップS603)。
重なりが有ると判断する(ステップS603)と、変換部46は、まず、PC記憶部66から範囲番号「i=1」に対応する優先画像、C座標(xC1,yC1)及び優先条件情報と、範囲番号「i=2」に対応するa座標(xa2,ya2)及び指定条件情報とを読み出す。そして、変換部46は、範囲番号「i=1」の優先画像から、範囲番号「i=1」のa座標及び範囲番号「i=2」のC座標に基づいて、優先条件情報に基づく重なり画像を読み出して、この重なり画像を、指定条件情報に基づく変換重なり画像I2に変換し、PC記憶部66に記憶させる(ステップS604)。
続いて、変換部67は、範囲番号「i=1」に対応するA座標(xA1,yA1)、c座標(xc1,yc1)、指定条件情報及び優先条件情報に基づいて、範囲番号「i=1」の優先画像を変換して、変換画像を取得し(ステップS605)、PC記憶部66に変換重なり画像I1が記憶されていないと判断する(ステップS606)と、該変換画像を範囲番号「i=1」に対応する指定画像として、PC記憶部66に記憶する(ステップS608)。
範囲番号iに対応する指定画像が取得されると、PC制御部68は、範囲番号iに1を加え、i=i+1とする(ステップS610)。そして、PC制御部68は、該範囲番号に対応する各データがPC記憶部66に記憶されているか否かに基づいて、対応する読取範囲が設定されているか否かを判断し(ステップS611)、設定されていると判断された場合、該範囲番号に対応する指定画像を取得する(ステップS602〜ステップS608)。設定されていないと判断する(ステップS611)と、ホストPC62は、変換処理を終了する。
上記のように、ホストPC62において、スキャナ61から受信した優先画像に対して、指定画像への画像変換処理が実行される。
以上のように、本実施例のスキャナシステム60では、画像変換処理を行うための変換部67がホストPC62に設けられ、ホストPC62において、優先画像から指定画像への画像変換処理が実行される。これにより、スキャナ61に画像変換機能が不要となるので、スキャナのコスト抑制が可能となる。
上記実施例の説明では、本発明をスキャナに適用した場合について説明を行ったが、本発明はこの例に限定されるものではない。即ち、MFPに適用することも可能である。
また、実施例2のスキャナ41において、ホストPCが画像変換機能を有するか否かを判断する判断機能を設け、画像変換機能を持たないと判断した場合にのみ、変換部46による画像変換処理を行うべく制御することも可能である。これにより、更なる効率性の向上が可能となる。
本発明の実施例1に係るスキャナシステムの構成を示すブロック図である。
本発明に係るスキャナシステムの概略構成図である。
原稿画像における読取範囲の指定例を示す説明図(その1)である。
読取条件設定画面の一例を示す説明図である。
実施例1における設定記憶部の構成を示す説明図である。
本発明に係るスキャナのプレスキャン動作を示すフローチャートである。
ホストPCの読取範囲指定動作を示すフローチャートである。
本発明に係るスキャナの実施例1における設定読取動作を示すフローチャート(その1)である。
本発明に係るスキャナの実施例1における設定読取動作を示すフローチャート(その2)である。
本発明の実施例2に係るスキャナシステムの構成を示すブロック図である。
原稿画像における読取範囲の指定例を示す説明図(その2)である。
実施例2における設定記憶部の構成を示す説明図である。
優先読取範囲の設定例を示す説明図である。
本発明に係るスキャナの実施例2における設定動作を示すフローチャート(その1)である。
本発明に係るスキャナの実施例2における設定動作を示すフローチャート(その2)である。
本発明に係るスキャナの実施例2における読取動作を示すフローチャート(その1)である。
本発明に係るスキャナの実施例2における読取動作を示すフローチャート(その2)である。
本発明に係るスキャナの実施例2における変換送信動作を示すフローチャート(その1)である。
本発明に係るスキャナの実施例2における変換送信動作を示すフローチャート(その2)である。
本発明の実施例3に係るスキャナシステムの構成を示すブロック図である。
本発明に係るスキャナの実施例3における読取送信動作を示すフローチャート(その1)である。
本発明に係るスキャナの実施例3における読取送信動作を示すフローチャート(その2)である。
本発明に係るスキャナシステムの実施例3における変換動作を示すフローチャート(その1)である。
本発明に係るスキャナシステムの実施例3における変換動作を示すフローチャート(その2)である。
符号の説明
10、40、60 スキャナシステム
11、41、61 スキャナ
12、62 ホストPC
15 選択入力部
16、65 PC通信部
19、63 スキャナ通信部
22、42 読取部
24、43 設定記憶部
25、44 指定部
26、47、64 スキャナ制御部
45 判断選択部
46、67 変換部