JP2009212148A - 結晶質シリコン膜の膜質計測装置、結晶質シリコン膜の膜質計測方法、及び結晶質シリコン膜の膜質評価方法 - Google Patents

結晶質シリコン膜の膜質計測装置、結晶質シリコン膜の膜質計測方法、及び結晶質シリコン膜の膜質評価方法 Download PDF

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太哉 中尾
Tomotsugu Sakai
智嗣 坂井
Atsuhiro Iyomasa
敦洋 彌政
Kohei Kawazoe
浩平 川添
Harumi Yasuda
晴美 安田
Tomoyoshi Baba
智義 馬場
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Abstract

【課題】作業員の負担を軽減させるとともに、製造効率と歩留まりを向上させることができ、さらに、膜質の計測を高精度で行うことができる結晶質シリコン膜の膜質計測装置、結晶質シリコン膜の膜質計測方法、及び結晶質シリコン膜の膜質評価方法を提供する。
【解決手段】結晶質シリコン膜が形成された基板Wに対して結晶質シリコン膜の形成された膜面側から白色光を照射する光源装置11と、白色光が照射されている状態での基板Wからの反射光を検出するカラーラインカメラ12と、カラーラインカメラ12の検出結果に基づいて反射光の輝度に係るパラメータを計測し、この反射光の輝度に係るパラメータに基づいて基板W上の結晶質シリコン膜の膜質を計測する演算装置13と、カラーラインカメラ12の周囲を覆う遮光部材14とを設け、遮光部材14の基板Wに対向する部位に、反射光の通過を許容する反射光通過部14aを設ける。
【選択図】図2

Description

本発明は、結晶質シリコン膜の膜質計測装置、結晶質シリコン膜の膜質計測方法、及び結晶質シリコン膜の膜質評価方法に関するものである。
薄膜シリコン系デバイスのなかで、薄膜シリコン系太陽電池がある。従来、薄膜シリコン系太陽電池の分野では、pin構造の光電変換層として結晶質シリコン膜が用いられることが知られている。例えば、薄膜シリコン系太陽電池に分類される多接合型太陽電池の一つであるタンデム型太陽電池を例に挙げると、このタンデム型太陽電池では、アモルファス質のi層を含む光電変換層のトップセルと裏面電極との間にボトムセルを形成する。ボトムセルは、pin構造の光電変換層を有し、i層に結晶質シリコンを用いる。結晶質シリコンは、微小サイズの結晶とアモルファス領域とが混在した状態の薄膜である。
従来、結晶質シリコン膜の膜質計測方法としては、例えば、シリコン系薄膜を堆積した基板に対し35度以上の入射角で赤外線ビームを入射し、(基板からの)反射光の強度を測定して、堆積したシリコン系薄膜中の結合水素またはフッ素をモニターする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、赤外光に対する透過率が小さい基板上に製膜された太陽電池用シリコン系薄膜に対して赤外光を照射して、シリコン系薄膜で反射された反射波のスペクトルを分析することによってシリコン系薄膜の膜質を評価する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、結晶質シリコンの膜質評価方法として、例えば、ラマン分光法によるラマンピーク強度比を用いた評価方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。具体的には、ラマン分光分析装置等を用いて、結晶質シリコンのラマン分光計測を行い、結晶性シリコンを表すラマンピーク(波長520cm-1付近)の強度I520とアモルファス性シリコンを表すラマンピーク(波長480cm-1付近)の強度I480との比(I520/I480)を求め、このラマンピーク強度比(I520/I480)によって結晶質シリコンの膜質を評価する。ラマンピーク強度比は定義上0から無限大の値をとりうる。ラマンピーク強度比がゼロの場合、アモルファスであり、ラマン比が大きい結晶質シリコン膜は結晶性が高いといえる。
太陽電池に用いられる結晶質シリコンの場合、ラマンピーク強度比の適正範囲は、要求される品質に応じて決定され、例えば、ラマンピーク強度比の計測値が、この適正範囲内であるか否かにより膜質の評価が行われる。
特開平4−354326号公報 特開2005−228993号公報 特開2002−26348号公報
しかしながら、上述した、基板に対して赤外線ビームを入射した際の、基板からの反射光に基づいて、シリコン系薄膜の膜質を計測する手法では、微結晶シリコン膜のラマン比を計測することはできない。
一方、上述したラマンピーク強度比を用いた膜質評価においては、ラマンピーク強度比の測定にラマン分光測定装置等を用いる必要がある。そのため、評価検査を行う場合には、製造ラインからラインアウトした基板から試験片を切り取り、この試験片を製造ラインとは個別に設けられているラマン分光分析装置に載置し、この状態で試験片の評価を行う。
従って、検査を行うために用いた薄膜シリコンを形成した基板は、商品として使用できなくなり、製造効率が低下するという不都合があった。また、作業員がシリコン基板から試験片を切り出し、検査を行う必要があることから、作業員の負担が大きいという問題があった。特に基板が1mを越えるような大型サイズになると、基板における膜質分布が多少なりとも存在し、この膜質分布を考慮した評価が重要になるため、分布を把握できるような多くの測定点を得るには作業員の負担はますます大きくなる。
更に、全ての基板を検査することができず、評価結果が出るまで時間を要し、製造ラインへの結果のフィードバックが出来ずに生産の安定性を低下し歩留まりが低下する要因になっていた。
また、製造ラインにおいては簡単かつ高精度で膜質をオンライン評価できる手法が望まれている。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、作業員の負担を軽減させるとともに、製造効率と歩留まりを向上させることができ、さらに、膜質の計測や膜質の分布評価を高精度で行うことができる結晶質シリコン膜の膜質計測装置、結晶質シリコン膜の膜質計測方法、及び結晶質シリコン膜の膜質評価方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、基板上に形成された結晶質シリコン膜の膜質を計測する膜質計測装置であって、前記基板に対して前記結晶質シリコン膜の形成された膜面側から白色光を照射する光源装置と、前記白色光が照射されている状態での前記基板からの反射光を検出する反射光検出装置と、前記反射光検出装置の検出結果に基づいて前記反射光の輝度に係るパラメータを計測し、該反射光の輝度に係るパラメータに基づいて前記基板上の前記結晶質シリコン膜の膜質を計測する演算装置と、前記反射光検出装置の周囲を覆う遮光部材とを有し、該遮光部材が、前記基板に対向する部位に、前記反射光の通過を許容する反射光通過部を有している結晶質シリコン膜の膜質計測装置を提供する。
発明者らは、ラマンピーク強度比に応じて結晶質シリコン膜の表面形状の凸凹形状が変化し、その形状変化に応じて、光の散乱の挙動が変化する現象を新たに見出した。この発見に基づいて、発明者らは、従来用いられていたラマンピーク強度比による結晶性計測に代えて、光の散乱の挙動に関するパラメータ、例えば、反射光の輝度に係わるパラメータを用いてシリコン系薄膜、特に結晶質シリコン膜の膜質を計測することを発案した。
本発明に係る結晶質シリコン膜の膜質計測装置(以下、「本発明に係る膜質計測装置」とする)では、太陽電池等に用いられる基板上に形成された結晶質シリコン膜の表面で反射された反射光の輝度に係るパラメータに基づいて、結晶質シリコン膜の膜質の計測を行う。このように、本発明に係る膜質計測装置では、ラマンピーク強度比ではなく、反射光の輝度に係るパラメータを用いて結晶質シリコンの膜質の計測を行うこととしたので、ラマン分光測定装置等の専用の評価装置を用いずに、計測を行うことが可能となる。これにより、製造ライン上を搬送される基板に対して膜面側から光を照射し、この反射光に基づいて上記膜質計測を行うことが可能となり、全数の基板の非破壊検査が可能となり、歩留まりが向上する。製造ラインからラインアウトした基板からの試験片の切り出しを不要にでき、作業員の負担を軽減することができる。
ここで、本発明で用いられる反射光検出装置としては、例えば、CCDカメラ、ラインカメラ、エリアカメラ等の撮像装置を用いることができる。
さらに、本発明に係る膜質計測装置では、遮光部材によって反射光検出装置の周囲が囲まれていて、反射光検出装置には、遮光部材のうち基板に対向する反射光通過部を通過した光(主に基板による反射光)以外の光が当たりにくい。このため、この膜質計測装置では、反射光検出装置への外乱による影響が低減されて、高精度な膜質の計測が可能となる。
ここで、遮光部材の光通過部は、遮光部材に設けられた開口部によって構成されていてもよく、また、基板による反射光のうち少なくとも膜質の判定に利用される波長域の光を透過する材質からなる窓によって構成されていてもよい。
また、遮光部材は、反射光検出装置の周囲を覆うだけでなく、さらに、基板における白色光の照射位置の周囲を、光源装置から基板への白色光の照射を許容しつつ覆う形状・配置とすることが好ましい。このように、遮光部材を、反射光検出装置の周囲だけでなく基板における白色光の照射位置の周囲も覆う形状・配置とすることで、反射光検出装置に対して基板からの反射光以外の光がさらに当たりにくくなるとともに、基板における白色光の照射位置に対しても、光源装置からの白色光以外の光が当たりにくくなる。すなわち、反射光検出装置に検出される反射光のうち、光源装置の白色光に由来する反射光量が他からの入射光量より十分に大きくなるので、反射光検出装置への外乱による影響がさらに低減されて、より高精度な膜質の計測が可能となる。
ここで、本発明に係る膜質計測装置が、前記基板を搬送する搬送装置による前記基板の搬送経路上に設けられ、前記光源装置が、線状の光源本体を有する構成とされ、該光源本体が、前記搬送経路上に対して前記基板の前記膜面の向く側に対向配置され、長手方向が前記搬送経路上の前記基板の前記膜面に沿う平面上でかつ前記基板の搬送方向に交差する向きにして配置されており、該光源本体は、長手方向の両端部を、それぞれ前記搬送経路の前記基板が通過する領域よりも前記搬送方向に交差する方向に張り出して配置されていてもよい。
このように本願発明の膜質計測装置を構成した場合には、搬送装置によって搬送される基板は、搬送方向前方側の端部から、光源本体による白色光の照射位置に順次送り込まれてゆく。これにより、基板の搬送と並行して、基板の搬送方向の各部について、順次本願発明の膜質計測装置による膜質の計測が行われる。
ここで、光源本体が線状の光源である場合、照射対象として、この光源本体と略平行な平面に対して光源本体から光を照射すると、この平面のうち、光源本体の長手方向の各端部に対向する部位の照度は、光源本体の他の部分に対向する部位(光源本体の長手方向の中間部に対向する部位)に比べて照度が低くなる。
そこで、上記のように、光源本体の長手方向の両端部を、搬送経路上の基板(白色光の照射対象)が通過する領域よりも搬送方向に交差する方向に張り出して配置することで、光源本体の長手方向の端部以外の領域(照射対象の照度が均一となる長手方向中間部)が基板に対向することになる。これにより、この基板のうち、白色光の照射部位における照度が均一になり、高精度な膜質の計測が可能となる。
ここで、光源本体の長手方向の両端部を、搬送経路上の基板が通過する領域よりも張り出させる長さは、照明対象である基板における白色光の照射部位の、光源本体の長手方向に沿った方向での照度分布が、膜質の計測に好適な照度の範囲内に収まるような長さ以上に設定する。
なお、本発明に係る膜質計測装置は、基板を搬送する搬送装置に対して設けてもよく、また、本発明に係る膜質計測装置自体が搬送装置を備えていてもよい。
本発明に係る膜質計測装置は、前記反射光検出装置が、カラー画像の取得が可能な撮像装置であり、該反射光検出装置の撮像範囲内に、該反射光検出装置の取得する画像のホワイトバランス調整に用いられる基準白色板が設けられている構成とされていてもよい。
ここで、一般的に、カラーCCDカメラ、カラーラインカメラ、カラーエリアカメラ等のカラー画像の取得が可能な撮像装置では、撮像対象の正確な色情報を取得するために、ホワイトバランスの調整が適宜行われる。しかし、反射光検出装置を構成する撮像装置のホワイトバランスを調整するために、膜質計測装置を停止させてしまうと、膜質計測装置及び膜質計測装置を備える製膜システムのスループットが低下してしまう。
そこで、上記のように、反射光検出装置を構成する撮像装置の撮像範囲内に基準白色板を設けることで、反射光検出装置を構成する撮像装置が、基板だけでなく、基準白色板についても、カラー画像情報(言い換えると基板及び基準白色板からの反射光のカラー画像情報)を取得することになる。このようにして取得した画像情報中の基準白色板の色情報に基づいて、反射光検出装置のホワイトバランスを調整することで、膜質計測作業と並行して、反射光検出装置のホワイトバランスを調整することができるので、反射光検出装置のホワイトバランスの調整のために膜質計測装置を停止する必要がなく、膜質計測装置、及び膜質計測装置を備える製膜システムのスループットを向上させることができる。
また、このように、反射光検出装置を構成する撮像装置が、基板だけでなく、基準白色板についても、カラー画像情報を取得するので、たとえ反射光検出装置のホワイトバランスがずれていた状態で基板のカラー画像情報を取得したとしても、このカラー画像情報中の基準白色板の色情報に基づいて、取得したカラー画像情報の色情報を補正して、基板の正確な色情報を取得することができる。
また、本発明に係る膜質計測装置は、前記反射光検出装置が取得した画像情報中の前記基準白色板の色情報に基づいて、前記反射光検出装置のホワイトバランスを自動調整するホワイトバランス調整装置を有していてもよい。
このような構成を採用することで、常に反射光検出装置のホワイトバランスが適正に保たれるので、常に基板の膜質の計測を正確に行うことができる。
ここで、光源装置の劣化等によって、光源装置から基板に照射される白色光の光量が低下すると、基板からの反射光の輝度が低下してしまい、正確な膜質の計測を行うことができなくなる。このため、光源装置から基板に照射される白色光の光量が常に一定となるよう、光源装置の出力の調整を行う必要がある。しかし、光源装置から基板に照射される白色光の光量を測定するために、膜質計測装置を停止させてしまうと、膜質計測装置及び膜質計測装置を備える製膜システムのスループットが低下してしまう。また、更には白色光の光量変化が生じると、計測された膜質判断に差異が生じて歩留まりに影響をきたすことがある。
そこで、本発明に係る膜質計測装置において、前記光源装置による前記白色光の照射範囲内で、かつ前記反射光検出装置の反射光検出範囲内に、前記光源装置の光量調整に用いられる基準色板を設けることで、この基準色板からの反射光の輝度に基づいて、光源装置から基板に照射される白色光の光量を検出することができる。このようにして取得した、光源装置から基板に照射される白色光の光量に基づいて、光源装置から基板に照射される白色光の光量が膜質計測作業に適した適正範囲内となるように、光源装置の出力を調整することができる。すなわち、上記のように、光源装置による白色光の照射範囲内で、かつ反射光検出装置の反射光検出範囲内に基準色板を設けることで、膜質計測作業と並行して光源装置の出力を調整することができるので、光源装置から基板に照射される白色光の光量の計測や光量の調整のために膜質計測装置を停止する必要がなく、膜質計測装置、及び膜質計測装置を備える製膜システムのスループットを向上させることができる。
また、このように、反射光検出装置が、基板の反射光の情報と同時に、基準色板の情報を取得することにより、たとえ光源装置の光量が低下していても、基準色板からの反射光の輝度の情報に基づいて、取得した基板からの反射光の輝度の情報を補正して、基板からの反射光の正確な強度の情報を取得することができる。
ここで、上記のように基準色板を備えた本発明に係る膜質計測装置において、前記反射光検出装置が取得した前記基準色板からの反射光の輝度の情報に基づいて、前記光源装置の出力を自動調整する照度調整装置を有していてもよい。
この場合には、常に光源装置の出力が適正に保たれるので、常に基板の膜質の計測を正確に行うことができる。
また、前記基準色板が、灰色板であってもよい。
灰色板は、他の色板に比べて、微結晶シリコンの色度(a*,b*)に近く、灰色の濃さ(グレーレベル)を適切に選定することで、微結晶シリコンの明度(L*)に近い色を得ることができる。従って、基準色板として、適切な色の濃さの灰色板を用いることで、基準色板の照度に変化があった場合に、実際の膜質の計測に及ぼす影響を評価しやすい。このため、基準色板としては、灰色板を用いることが好ましい。ここで、L*,a*,b*とは、JIS Z 8729において規定されるL*a*b*(エルスター・エイスター・ビースター)表色系における明度L*、色度a*,b*を指す。
また、本発明は、基板上に形成された結晶質シリコン膜の膜質を計測する膜質計測方法であって、前記基板に対して前記結晶質シリコン膜の形成された膜面側から白色光を照射する光源装置と、前記白色光が照射されている状態での前記基板からの反射光を検出する反射光検出装置と、前記反射光検出装置の周囲を覆うとともに、前記基板に対向する部位に前記反射光の通過を許容する反射光通過部を有する遮光部材とを用い、前記反射光検出装置の検出結果に基づいて前記反射光の輝度に係るパラメータを計測し、該反射光の輝度に係るパラメータに基づいて前記基板上の前記結晶質シリコン膜の膜質を計測する結晶質シリコン膜の膜質計測方法を提供する。
本発明に係る結晶質シリコン膜の膜質計測方法(以下、「本発明に係る膜質計測方法」とする)では、太陽電池等に用いられる基板上に形成された結晶質シリコン膜の表面で反射された反射光の輝度に係るパラメータに基づいて、結晶質シリコン膜の膜質の計測を行う。このように、本発明に係る膜質計測方法では、ラマンピーク強度比ではなく、反射光の輝度に係るパラメータを用いて結晶質シリコンの膜質の計測を行うこととしたので、ラマン分光測定装置等の専用の評価装置を用いずに、計測を行うことが可能となる。これにより、製造ライン上を搬送される基板に対して膜面側から光を照射し、この反射光に基づいて上記膜質計測を行うことが可能となり、全数の基板の非破壊検査が可能となり、歩留まりが向上する。製造ラインからラインアウトした基板からの試験片の切り出しを不要にでき、作業員の負担を軽減することができる。
さらに、本発明に係る結晶質シリコン膜の膜質計測方法では、遮光部材によって反射光検出装置の周囲を囲った状態で、反射光検出装置による反射光の検出を行う。このため、反射光検出装置には、遮光部材のうち基板に対向する反射光通過部を通過した光(主に基板による反射光)以外の光が当たらないので、反射光検出装置への外乱による影響が低減されて、高精度な膜質の計測が可能となる。
ここで、遮光部材によって反射光検出装置の周囲を覆うだけでなく、さらに、基板における白色光の照射位置の周囲を、光源装置から基板への白色光の照射を許容しつつ覆うことが好ましい。このように、遮光部材によって、反射光検出装置の周囲だけでなく基板における白色光の照射位置の周囲も覆うことで、反射光検出装置に対して基板からの反射光以外の光が当たりにくくなるとともに、基板における白色光の照射位置に対しても、光源装置からの白色光以外の光が当たりにくくなる。すなわち、反射光検出装置に検出される反射光のうち、光源装置の白色光に由来する反射光量が他からの入射光量より十分に大きくなることになるので、反射光検出装置への外乱による影響がさらに低減されて、より高精度な膜質の計測が可能となる。
ここで、本発明に係る膜質計測方法の適用対象を、搬送装置によって搬送経路上を搬送されている前記基板として、前記光源装置を、線状の光源本体を有する構成とし、該光源本体を、前記搬送経路に対して前記基板の前記膜面の向く側に対向配置し、前記光源本体の長手方向を前記搬送経路上の前記基板の前記膜面に沿う平面上でかつ前記基板の搬送方向に交差する向きにし、該光源本体を、前記長手方向の両端部が、それぞれ前記搬送経路の前記基板が通過する領域よりも前記搬送方向に交差する方向に張り出して配置することとしてもよい。
このように、光源本体の長手方向の両端部を、搬送経路上の基板(白色光の照射対象)が通過する領域よりも搬送方向に交差する方向に張り出して配置することで、光源本体の長手方向の端部以外の領域(照射対象の照度が均一となる長手方向中間部)が基板に対向することになる。これにより、この基板のうち、白色光の照射部位における照度が均一になり、高精度な膜質の計測が可能となる。
ここで、光源本体の長手方向の両端部を、搬送経路上の基板が通過する領域よりも張り出させる長さは、照明対象である基板における白色光の照射部位の、光源本体の長手方向に沿った方向での照度分布が、膜質の計測に好適な照度の範囲内に収まるような長さ以上に設定する。
ここで、上記本発明に係る膜質計測方法において、前記反射光検出装置として、カラー画像の取得が可能な撮像装置を用い、該反射光検出装置の撮像範囲内に基準白色板を設け、前記反射光検出装置の取得した画像情報中の、前記基準白色板の色情報に基づいて、前記反射光検出装置の取得する画像のホワイトバランスを調整するようにしてもよい。
上記のように、反射光検出装置を構成する撮像装置の撮像範囲内に基準白色板を設けることで、反射光検出装置を構成する撮像装置が、基板だけでなく、基準白色板についても、カラー画像情報(言い換えると基板及び基準白色板からの反射光のカラー画像情報)を取得することになる。このようにして取得した画像情報中の基準白色板の色情報に基づいて、反射光検出装置のホワイトバランスを調整することで、膜質計測作業と並行して、反射光検出装置のホワイトバランスを調整することができるので、反射光検出装置のホワイトバランスの調整のために膜質計測装置を停止する必要がなく、本発明が適用される膜質計測装置、及びこの膜質計測装置を備える製膜システムのスループットを向上させることができる。
また、このように、反射光検出装置を構成する撮像装置が、基板だけでなく、基準白色板についても、カラー画像情報を取得するので、たとえ反射光検出装置のホワイトバランスがずれていた状態で基板のカラー画像情報を取得したとしても、このカラー画像情報中の基準白色板の色情報に基づいて、取得したカラー画像情報の色情報を補正して、基板の正確な色情報を取得することができる。
また、上記本発明に係る膜質計測方法において、前記光源装置による前記白色光の照射範囲内で、かつ前記反射光検出装置の反射光検出範囲内に基準色板を設け、前記反射光検出装置の取得した反射光の輝度情報中の、前記基準色板からの反射光の輝度情報に基づいて、前記光源装置が発する前記白色光の強度が適正範囲内になるよう前記光源装置の光量調整を行ってもよい。
このように、光源装置による白色光の照射範囲内で、かつ反射光検出装置の反射光検出範囲内に基準色板を設けることで、この基準色板からの反射光の輝度に基づいて、光源装置から基板に照射される白色光の光量を検出することができる。このようにして取得した、光源装置から基板に照射される白色光の光量に基づいて、光源装置から基板に照射される白色光の光量が膜質計測作業に適した適正範囲内となるように、光源装置の出力を調整することができる。すなわち、上記のように、光源装置による白色光の照射範囲内で、かつ反射光検出装置の反射光検出範囲内に基準色板を設けることで、膜質計測作業と並行して光源装置の出力を調整することができるので、光源装置から基板に照射される白色光の光量の計測や光量の調整のために膜質計測装置を停止する必要がなく、膜質計測装置、及び膜質計測装置を備える製膜システムのスループットを向上させることができる。
また、このように、反射光検出装置が、基板の反射光の情報と同時に、基準色板の情報を取得することにより、たとえ光源装置の光量が低下していても、基準色板からの反射光の輝度の情報に基づいて、取得した基板からの反射光の輝度の情報を補正して、基板からの反射光の正確な強度の情報を取得することができる。
また、前記基準色板として、灰色板を用いてもよい。
灰色板は、他の色板に比べて、微結晶シリコンの色度(a*,b*)に近く、灰色の濃さ(グレーレベル)を適切に選定することで、微結晶シリコンの明度(L*)に近い色を得ることができる。従って、基準色板として、適切な色の濃さの灰色板を用いることで、基準色板の照度に変化があった場合に、実際の膜質の計測に及ぼす影響を評価しやすい。このため、基準色板としては、灰色板を用いることが好ましい。
ここで、上記のように、反射光検出装置を構成する撮像装置の撮像範囲内に基準白色板を設け、反射光検出装置が取得した画像情報中の基準白色板の色情報に基づいて、反射光検出装置のホワイトバランスを調整する場合、基準白色板からの反射光は、白色光の反射が行われた部位(反射部位)の反射光検出装置に対する位置(反射部位の反射光検出装置の撮像範囲における位置)によってそれぞれ異なる角度で入射する。例えば、基準白色板によって反射光検出装置の光軸上に位置する部位で反射された反射光のうち、反射光検出装置に入射する反射光は、反射光検出装置に対して、反射光検出装置の光軸に沿って入射する。一方、基準白色板によって反射光検出装置の光軸上から外れた部位で反射された反射光のうち、反射光検出装置に入射する反射光は、反射光検出装置の光軸に対して斜めに入射する。
同様に、膜質計測時における基板からの反射光も、反射光検出装置に対して、それぞれ基板の各部位ごと(各反射部位ごと)に異なる角度で入射する。
また、基準白色板が理想的な散乱体であっても、その散乱光強度は角度依存性を持つため、反射光検出装置が取得する画像情報中の色情報は、反射光検出装置を構成する撮像装置の撮像範囲内であっても、測定対象物の位置によって異なる。このため、色情報の評価のためには、反射光検出装置の取得する画像への、基準白色板の散乱強度の角度依存性による影響を解析するため基準データが必要となる。
さらに、基準白色板と膜質の計測対象である基板とは、光学特性(散乱特性)が相違するので、基準白色板と膜質の計測対象である基板とでは、反射光検出装置に対する位置が同じ部位での反射光であっても、反射光検出装置に対する位置によっては、反射光の特性(輝度)が異なる場合がある。このため、基準白色板を用いて解析用基準データ取得を行った場合、その後の実際の基板の膜質計測時において、必ずしも実際の基板による反射光の特性を正確に反映することができるとは限らない。
そこで、本発明に係る膜質計測方法において、前記反射光検出装置として、カラー画像の取得が可能な撮像装置を用い、前記結晶質シリコン膜の膜質が評価基準を満たしている標準基板を計測サンプルとして、該標準基板に対して前記光源装置から前記白色光を照射し、前記反射光検出装置の取得した画像中の前記標準基板の色情報に基づいて、該反射光検出装置の取得する画像の解析用基準データ取得を行うことで、実際の基板の反射光の特性に基づいて解析用基準データ取得を行うことができ、その後の実際の基板の膜質計測時において、より高精度な膜質計測を行うことが可能となる。
標準基板としては、例えば、結晶質シリコン膜の膜質が評価基準を満たしている領域を切り出して張り合わせた基板を用いることができる。
ここで、標準基板は、薄膜シリコン系デバイスに用いられる基板から作成されるものであって、高価であるので、標準基板の破損に備えて予備の標準基板を用意したり、複数の膜質計測装置について各膜質計測装置ごとに標準基板を用意すると、コストがかかってしまう。
そこで、基準白色板を計測サンプルとして、該基準白色板に対して前記光源装置から前記白色光を照射し、前記反射光検出装置の取得した画像中の前記基準白色板の色情報と、前記標準基板の色情報との比に基づいて、前記反射光検出装置の較正情報を取得し、以降は、前記反射光検出装置の取得する画像の解析用基準データ取得にあたって、前記基準白色板を計測サンプルとして用い、前記反射光検出装置の取得した画像中の前記基準白色板の色情報を前記較正情報に基づいて較正して、前記反射光検出装置の取得する画像の解析用基準データ取得を行うようにしてもよい。
このように、反射光検出装置の取得する画像の解析用基準データ取得にあたって、標準基板による反射光の画像情報と、基準白色板による反射光の画像情報とを取得し、これら画像情報の比(反射光の特性の比)に基づいて、基準白色板による反射光の画像情報を較正することで、以降は、反射光検出装置の解析用基準データ取得にあたって、基準白色板を用いて解析用基準データ取得を行うことができる。
これにより、標準基板の数を最低限に抑えて、コストを低減することができる。
ここで、基板の各部位の反射光の輝度に係るパラメータは、基板の各部位ごとにばらつきがあり、たとえ隣接する部位であっても、反射光の輝度に係るパラメータにはばらつきがある。基板の各部位の反射光の輝度に係るパラメータの計測を複数回に分けて行った場合には、各計測における計測条件の差によって、各計測ごとに、得られる反射光の輝度に係るパラメータにばらつきが生じる。
このため、膜質の評価基準として、単純に基板全体での特性の平均値を用いると、正確な膜質の評価ができなくなる可能性がある。
そこで、本発明は、本発明に係る結晶質シリコン膜の膜質計測方法を用いて、前記基板の各部位について、複数回に分けて各部位の前記反射光の輝度に係るパラメータを計測し、前記基板の各部位の前記反射光の輝度に係るパラメータを、予め設定された膜質評価の良否判定基準値と比較して、この比較結果に基づいて前記基板の各部位の膜質評価の良否を判定するとともに、前記基板の各部位のうち、同時に前記反射光の輝度に係るパラメータの計測が行われた部位について、それぞれ前記反射光の輝度に係るパラメータの標準偏差を算出し、該標準偏差が、予め設定された閾値よりも膜質評価の悪い側に位置している部位について、膜質不良と評価する結晶質シリコン膜の膜質評価方法を提供する。
この結晶質シリコン膜の膜質評価方法によれば、例えば、本来膜質が不良であるはずが、各計測における計測条件の差によって生じる、各計測ごとの反射光の輝度に係るパラメータのばらつきによって、良否判定基準値に基づく膜質評価で膜質が良と判定された部位についても、同時に計測を行った部位間で再度膜質の評価が行われるので、膜質の不良を見落としにくくなる。
この結晶質シリコン膜の膜質評価方法においては、良否判定基準値に基づく膜質評価を行った後に標準偏差に基づく膜質評価を行ってもよく、この逆の順番で膜質評価をおこなってもよい。
ここで、基板の膜質評価は、例えば、基板全体に占める膜質不良箇所の割合に基づいて行うことができる。しかし、基板の用途によっては、基板全体に占める膜質不良箇所の割合だけでなく、基板における膜質不良箇所同士の位置関係が問題になる場合がある。例えば、基板を短冊状の細長いセルを直列接続するように集積させた太陽電池用の基板として用いる場合、基板において1つのセルが形成されている長手方向の多くの領域に膜質不良箇所が存在すると、その膜質不良箇所がボトルネックとなって、膜質不良のあるセルに沿った領域での発電効率が低下する。これにより、太陽電池用の基板では、同一のセルが形成される領域に沿って複数の膜質不良箇所が存在すると、各セルを直列接続した時に不良セルが電流通過の大きな抵抗になり、太陽電池の発電効率が基準値に達しなくなる可能性がある。このため、単純に基板全体に占める膜質不良箇所の割合のみに基づいて基板全体の膜質の良否の判定を行うと、基板全体としての膜質の良否を正確に判定することができなくなる可能性がある。
そこで、本発明は、本発明に係る結晶質シリコン膜の膜質計測方法を用いて、前記基板の各部位について前記反射光の輝度に係るパラメータを計測し、前記基板の各部位の前記反射光の輝度に係るパラメータを、予め設定された膜質評価の良否判定基準値と比較して、この比較結果に基づいて前記基板の各部位の膜質評価の良否を判定し、前記基板の各部位のうち、膜質評価が不良と判定された部位の位置関係に基づいて、基板全体の膜質の良否を判定する結晶質シリコン膜の膜質評価方法を提供する。
この結晶質シリコン膜の膜質評価方法によれば、基板の各部位のうち、膜質評価が不良と判定された部位の位置関係に基づいて、基板全体の膜質の良否を判定するので、基板の用途に応じて、基板全体としての膜質の良否を適切に判定することができる。
例えば、太陽電池に用いられる基板において、同一のセルが形成される長手方向領域に、基準値以上の数の膜質不良箇所が存在している場合には、基板全体について膜質が不良であると判定する。
本発明によれば、作業員の負担を軽減させるとともに、生産効率を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、製膜処理終了後に早々に、製膜基板を非破壊で膜質変動を監視できるので、発電効率を高く、歩留まりを向上し、製造効率を向上させるという効果を奏する。
さらに、本発明によれば、反射光検出装置への外乱による影響が低減されるので、高精度な膜質の計測が可能となり、基板の膜質を正確に評価することが可能となる。
以下に、本発明に係る膜質計測装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
ここで、本実施形態に係る膜質計測装置は、薄膜シリコン系デバイス、特に薄膜シリコン系太陽電池の製造装置の製造工程の一部に設けられて利用されるものであって、太陽電池の基板上に製膜された薄膜、特に、結晶質シリコン膜の膜質計測を行うために利用されて好適なものである。ここで、シリコン系とはシリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称であり、結晶質シリコン系とは、アモルファスシリコン系すなわち非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコン系や多結晶シリコン系も含まれる。また薄膜シリコン系とは、アモルファスシリコン系、結晶質シリコン系、アモルファスシリコン系と結晶質シリコン系とを積層させた多接合型(タンデム型)を含むものを表す。
また、本実施形態に係る膜質計測装置は、一層のpin構造光電変換層を有するシングル型の太陽電池、二層のpin構造光電変換層を有するタンデム型の太陽電池、三層のpin構造光電変換層を有するトリプル型の太陽電池、透光性基板上の一層の結晶質シリコン膜単膜等、太陽電池の構造にかかわらず、結晶質シリコン層を有する太陽電池を製造する製造システムにおいて広く適用されるものである。ここでは、一例として、タンデム型太陽電池の製造工程において、裏面電極とアモルファスシリコンi層を含むトップセルとの間に形成される結晶質シリコンi層を含むボトムセルの膜質の計測、換言すると、結晶質シリコン層の膜質の計測を行う場合について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る膜質計測装置1の主要部の構成を示す斜視図であり、図2は、膜質計測装置1の各構成要素と計測対象であるガラス基板W(以下、「基板W」とする)との位置関係を示す図であり、図3は、膜質計測装置1の、計測対象である基板Wの搬送方向に略直交する断面を示す縦断面図である。
本実施形態に係る膜質計測装置1は、基板Wの表面に対して製膜処理を施す製膜システム(図示せず)上に設けられて、基板Wの表面に形成された結晶質シリコン膜の膜質を計測するものである。ここで、基板Wは、例えば、透明ガラス基板の上に、熱CVD装置で透明導電膜、プラズマCVD装置でアモルファスシリコン膜の光電変換層、プラズマCVD装置で結晶質シリコン膜の光電変換層がこの順で製膜されたものである。あるいは、透明ガラス基板の上に、熱CVD装置で透明導電膜、プラズマCVD装置で結晶質シリコン膜の光電変換層がこの順で製膜されたものでもよい。あるいは、透明ガラス基板の上に、プラズマCVD装置で結晶質シリコン膜が製膜されたものでもよい。
製膜システムは、プラズマCVD装置や熱CVD装置等の製膜装置(図示せず)と、この製膜装置によって結晶質シリコン膜の製膜処理が行われた基板Wを製膜装置の後段に搬送する搬送装置2とを有している。
ここで、製膜装置は、基板Wを、製膜される面が斜め上方を向くように、鉛直面に対して傾斜させた状態で保持し、この状態で基板Wに製膜処理を施す構成とされている。基板Wのサイズは例えば1100mm×1400mmという1000mmを越える大型サイズであってもよく、本実施形態による膜質計測装置1は、この大型サイズの基板に対しても精度良く計測できるよう工夫されたものである。
図1に示すように、搬送装置2は、製膜装置による製膜処理時における基板Wの姿勢を維持したまま、基板Wを、横方向(基板Wの幅方向)に搬送するものである。搬送装置2は、基板Wの搬送方向に沿って設けられて基板Wの下端部を支持する下側支持部3と、基板Wの搬送方向に沿って設けられて基板Wの上端部を支持する上側支持部4と、基板Wを下側支持部3及び上側支持部4に沿って移動させる移動装置(図示せず)とを有している。
下側支持部3は、基板Wの搬送方向に沿って設けられる下部フレーム5と、下部フレーム5に対して長手方向に間隔をあけて複数設けられる搬送ローラ6とを有している。各搬送ローラ6は、それぞれ搬送装置2によって搬送される基板Wの下縁部を、基板Wの搬送を許容しつつ保持するものである。各搬送ローラ6は、基板Wが常に複数の搬送ローラ6によって支持されるように、搬送方向における基板Wの幅よりも狭い間隔で配置されている。図3に示すように、搬送ローラ6は、ローラ本体6aと、ローラ本体6aを下部フレーム5の上面側で、下部フレーム5の長手方向に略直交する水平軸回りに回転可能にして支持するステー6bとを有している。ローラ本体6aの外周面には、全周にわたって断面略U字状の溝6cが形成されており、この溝6cの内面によって、基板Wの下縁を受けることができるようになっている。ローラ本体6aを図示しない移動装置により回転させることで、基板Wを搬送方向へ移動させることが可能である。
図1に示すように、上側支持部4は、下部フレーム5の上方に、下部フレーム5と略平行にして配置された上部フレーム7と、上部フレーム7に対して上部フレーム7の長手方向に間隔をあけて複数設けられる搬送ローラ8とを有している。図3に示すように、上部フレーム7は、下部フレーム5に対して、長手方向からみて水平方向に位置をずらして配置されている。各搬送ローラ8は、それぞれ搬送装置2によって搬送される基板Wのうち、結晶性シリコン膜が形成されていない側の面の上端部を、基板Wの搬送を許容しつつ受けるものである。
図1に示すように、各搬送ローラ8は、基板Wが常に複数の搬送ローラ8によって受けられるように、搬送方向における基板Wの幅よりも狭い間隔で配置されている。本実施形態では、各搬送ローラ8は略円柱形状をなしており、上部フレーム7のうち、下部フレーム5側を向く側面に対して、搬送される基板Wの面に略平行でかつ上部フレーム7の長手方向に略直交する軸回りに回転可能にして設けられている。これら搬送ローラ8は、それぞれの外周面で、搬送装置2による基板Wの搬送を許容しつつ、基板Wの結晶性シリコン膜が形成されていない側の面(斜め下方を向く面)の上端部を受けるようになっている。
搬送装置2は、上記の各構成を採用することにより、製膜装置による製膜時と同様に、基板Wを、製膜された面が斜め上方を向くように、鉛直面に対して傾斜させた状態で搬送するものである。搬送時における基板Wの、鉛直面に対する傾斜角度は7°から12°とされている。本実施形態では、搬送装置2は、基板Wを、鉛直面に対して略10°傾斜させた状態で搬送する構成とされている。
また、搬送装置2は、搬送経路において膜質計測装置1による基板Wの膜質の計測が行われる計測位置Pに基板Wの先端が到達したことを検出する基板先端位置検出装置(図示せず)と、基板Wの移動量を検出する基板移動量検出装置(図示せず)とを備えている。本実施形態に係る膜質検査装置1は、これら基板先端位置検出装置の出力及び基板移動量検出装置の出力に基づいて、搬送路上を搬送される基板Wのそれぞれに対する膜質検査処理の開始/終了タイミングを検出する構成とされている。基板先端位置検出装置としては、例えば光電スイッチ等、計測位置Pに基板Wの先端が到達したことを非接触にて検出する非接触型センサが用いられる。また、基板移動量検出装置としては、例えば各搬送ローラ6,8の回転量の情報等を検出するロータリエンコーダ等が用いられる。
本実施形態では、基板先端位置検出装置として光電スイッチを用いており、光電スイッチは、搬送されてきた基板Wの先端部分が計測位置Pに到達したことを検出した場合に、検査スタート信号を発生して、膜質計測装置1の後述する演算装置13(図3参照)に送信する構成とされる。また、本実施形態では、基板移動量検出装置としてロータリエンコーダを用いており、各搬送ローラ6,8が予め設定した所定の回転角ごと、即ち、基板Wが予め設定した所定の距離移動するごとに、パルス信号を発生して演算装置13に送る構成とされる。
本実施形態に係る膜質計測装置1は、上記の製膜システムのうち、基板Wの表面に結晶質シリコン膜を形成する製膜装置の後段に配置されており、製膜装置によって製膜処理が行われて、搬送装置2によって製膜装置の後段に搬送される基板Wの膜質を、製膜装置のアンローダ部分の搬送装置2による基板Wの搬送経路上で計測する構成とされている。また、製膜装置から搬出されて、別装置へ移動する搬送の途中で、基板Wの膜質を計測してもよい。すなわち、本実施形態に係る膜質計測装置1は、タンデム型太陽電池の製造ラインにおいて、製膜装置の後段の早々にて、製膜処理を終えた基板Wの膜質の計測を、製造ラインを稼働させた状態で製膜処理基板の全数を対象にすみやかに行う構成とされている。
膜質計測装置1は、搬送装置2によって搬送経路上の所定の計測位置P(図2参照)に搬送された基板Wに対して、結晶質シリコン膜の形成された膜面側から白色光を照射する光源装置11を有している。また、膜質計測装置1は、前記所定の計測位置で白色光が照射されている状態での基板Wからの反射光を検出する反射光検出装置12と、反射光検出装置12の検出結果に基づいて反射光の輝度に係るパラメータを計測し、この反射光の輝度に係るパラメータに基づいて基板W上の結晶質シリコン膜の膜質を計測する演算装置13(図3参照)とを有している。
さらに、本実施形態に係る膜質計測装置1は、反射光検出装置12の周囲を覆う遮光部材14を有している。この遮光部材14には、基板Wに対向する部位に、基板Wからの反射光の通過を許容する反射光通過部14aが設けられている。
以下、上記の膜質計測装置1を構成する各構成要素について詳細に説明する。
図3に示すように、光源装置11は、線状の光源本体11aと、光源本体11aの出力(照度)を制御する出力制御装置11bを有している。
本実施形態では、光源本体11aは、複数の白色LED(Light Emitting Diode)を、互いの光軸を略平行にした状態で、光軸に略直交する方向に直線状に連結した構成とされている(以下では、「光源本体11a」を、「LEDライン光源11a」と記載する)。また、出力制御装置11bは、LEDライン光源11aに供給する電力を制御する電力供給制御部によって構成されている。出力制御装置11bは、LEDライン光源11aに供給する電力を制御することで、LEDライン光源11aの出力(LEDライン光源11aが発する白色光の照度)を制御することができるものである。複数の白色LEDのほかに蛍光灯を利用することも可能である。蛍光灯を利用する場合には、白色LEDより照度の均一性が得られるよう、背面反射板や蛍光灯の長手方向の照明範囲を調整することが望ましい。ここで、光源本体11aとしてLEDライン光源11aを用いた場合には、光源本体11aの寿命が長いため、メンテナンス費用を低減することができる。また、光源本体11aとして蛍光灯を用いた場合には、光源本体11aの低コスト化を図ることができる。
LEDライン光源11aは、基板Wの搬送経路に対して、基板Wの膜面の向く側に対向配置されている。LEDライン光源11aは、長手方向が搬送経路上の基板Wの膜面に沿う平面上でかつ基板Wの搬送方向に交差する向きにして配置されている。本実施形態では、LEDライン光源11aは、長手方向を基板Wの搬送方向に略直交させて配置されている。また、図2に示すように、LEDライン光源11aは、その光軸O1を、基板Wに対して、基板Wの搬送方向前方に向けて傾斜させて配置されており、これによって、LEDライン光源11aから基板Wの膜面に照射された白色光が、基板Wの表面に形成された膜によって反射され、その反射光が、反射光検出装置12に向けて反射される。本実施形態では、LEDライン光源11aの光軸O1は、基板Wの表面に対して45°傾斜させられている。すなわち、LEDライン光源11aの光軸O1上においては、LEDライン光源11aから基板Wの表面への白色光の入射角は45°となっている。
上記の構成により、搬送装置2によって搬送される基板Wは、搬送方向前方側の端部から、光源装置11による白色光の照射位置(計測位置P)に順次送り込まれてゆく。これにより、基板Wの搬送と並行して、基板Wにおける搬送方向の各部(搬送方向に略直交する向きに延びる帯状の領域)について、順次膜質計測装置1による膜質の計測が行われる。
図3に示すように、LEDライン光源11aの長さは、基板Wにおいて搬送方向に略直交する方向の寸法よりも長く設定されている。さらに、LEDライン光源11aは、長手方向の両端部を、それぞれ搬送経路の基板Wが通過する領域よりも搬送方向に交差する方向に張り出して設けられている。言い換えると、LEDライン光源11aは、長手方向の両端部を除いた中間部のみが基板Wに対向させられている。また、LEDライン光源11aは、長手方向において基板Wとの距離が略等しくなるように設置することが、照度の均一性確保のために好ましい。
LEDライン光源11aは、長手方向と略平行な平面が照射対象である場合、長手方向の端部では、長手方向の中間部に比べて、照射対象の照度が低下しやすい。そこで、上記のように、LEDライン光源11aにおいて、照射対象の照度が均一となる長手方向の中間部のみを基板Wに対向させることで、この基板Wのうち、白色光の照射部位における照度が均一になり、高精度な膜質の計測が可能となる。
ここで、LEDライン光源11aのうち、搬送経路の基板Wが通過する領域よりも張り出させる領域の長さは、照明対象である基板Wにおける白色光の照射部位の、LEDライン光源11aの長手方向に沿った方向での照度分布が、膜質の計測に好適な範囲内に収まるように設定する。本実施形態では、基板Wの膜面のうち、LEDライン光源11aの長手方向に沿った方向の寸法(基板Wの搬送方向に略直交する方向の寸法)を基板Wの高さとして1100mmとすると、LEDライン光源11aの長手方向寸法は、1300mm以上とすることで、基板Wの照明領域の照度の均一性を確保している。
反射光検出装置12としては、例えば、CCDカメラ、カラーラインカメラ、カラーエリアカメラ等の、カラー画像の取得が可能な撮像装置が用いられる。本実施形態では、反射光検出装置12を、カラー撮影が可能なCCD(Charge Coupled Device)を撮像素子として用いたカラーラインカメラによって構成している(以下では、「反射光検出装置12」を、「カラーラインカメラ12」と記載する)。このカラーラインカメラ12は、光源装置11から基板Wの表面に照射された白色光の、基板Wによる反射光が入射される位置に配置されている。本実施形態では、図3に示すように、カラーラインカメラ12は、搬送経路上を搬送される基板Wにおいて光源装置11によって白色光が照射される領域の長手方向の中心位置に対して、光軸O2を基板Wの膜面に対して略直交させて配置されている。また、本実施形態では、図2に示すように、カラーラインカメラ12は、搬送経路上を搬送される基板Wの表面においてLEDライン光源11aの光軸O1と交差する部位に対して、光軸O2を略直交させて配置されている。この構成により、光源装置11から基板Wに白色光が照射された際に、基板Wの膜面によって反射された反射光のうちの少なくとも一部(光源装置11の光軸上に位置する部位によって反射された反射光)が、カラーラインカメラ12に入射する。
カラーラインカメラ12は、光源装置11から白色光を照射された基板Wからの反射光の画像情報を取り込み、基板Wのうち、搬送方向に交差する方向に延びる帯状の領域についての画像情報を持つカラー画像信号Cを生成し、これを演算装置13に送る。このカラー画像信号Cは、例えば、赤色成分画像信号Rと、緑色成分画像信号Gと、青色成分画像信号Bを含んでいる。
前記演算装置13は、例えばコンピュータ等によって構成されるものであって、搬送装置2に設けられた基板先端位置検出装置の出力及び基板移動量検出装置の出力から、計測位置Pに基板Wの先端が到達したこと、及び基板Wの移動量の情報を得て、この情報に基づいて、搬送路上を搬送される基板Wのそれぞれに対する膜質検査処理の開始/終了タイミングを検出する構成とされている。
具体的には、演算装置13は、基板先端位置検出装置から検査スタート信号を受信した後において、基板移動量検出装置からパルス信号を受信するごとに、トリガ信号Tをカラーラインカメラ12に送るようになっている。
カラーラインカメラ12は、演算装置13からトリガ信号Tを受けるごとに、基板Wの撮影動作を行い、各撮影動作ごとに、光源装置11から白色光を照射された基板Wからの反射光を取り込んで基板Wの搬送方向に略直交する方向に伸びる帯状の領域の画像情報を持つカラー画像信号Cを生成し、これを演算装置13に送る構成とされている。
演算装置7は、カメラ12からのカラー画像信号Cを受信すると、これらのカラー画像信号Cをメモリ上で二次元的に配列することにより、基板Wの表面画像を示す二次元画像、膜質分布状態を作成する。
演算装置13は、作成した二次元画像に対して後述する膜質評価処理を実行することにより、基板W上に形成された結晶質シリコン膜の膜質評価を行う。また、演算装置13、CRT等の図示せぬ表示装置が接続されており、この表示装置に、カラー画像信号Cの波形や、画像処理した二次元画像、評価結果等が表示されるようになっている。
また、演算装置13は、光源装置11の、出力制御装置11bに対して、LEDライン光源11aの出力調整指示を送ることによって、LEDライン光源11aの出力を調整することができるようになっている。
遮光部材14は、少なくとも膜質の判定に利用される波長域の光を通さない材質によって構成されており、基板Wの搬送路に対向する部位には、反射光の通過を許容する反射光通過部14aが設けられている。反射光通過部14aは、遮光部材14に設けられた開口部によって構成されていてもよく、また、基板Wによる反射光(後述)のうち少なくとも膜質の判定に利用される波長域の光を透過する材質からなる窓によって構成されていてもよい。また、遮光部材14は、カラーラインカメラ12の周囲を覆うだけでなく、さらに、基板Wにおける白色光の照射位置の周囲を、光源装置11から基板Wへの白色光の照射を許容しつつ覆う形状・配置とすることが好ましい。
このように、遮光部材14を、カラーラインカメラ12の周囲だけでなく基板Wにおける白色光の照射位置の周囲も覆う形状・配置とすることで、カラーラインカメラ12に対して基板Wからの反射光以外の光がさらに当たりにくくなるとともに、基板Wにおける白色光の照射位置に対しても、光源装置11からの白色光以外の光が当たりにくくなる。すなわち、カラーラインカメラ12に検出される反射光のうち、光源装置11の白色光に由来する反射光量が他からの入射光量より十分に大きくなることになるので、カラーラインカメラ12への外乱による影響がさらに低減されて、より高精度な膜質の計測が可能となる。
本実施形態では、図1に示すように、遮光部材14は、鉛直方向に延びる中空直方体形状をなし、内部にカラーラインカメラ12が収納される遮光箱15を有している。遮光箱15は、光源装置11による白色光の照射位置(計測位置)に対向配置されており、基板Wに対向する部位には、基板Wから反射光検出装置2に向う反射光の通過を許容する光通過部14aが形成されている。本実施形態では、遮光箱15は、基板Wに対向する部位全体が開口部とされており、この開口部によって光通過部14aが構成されている。また、遮光箱15には、LEDライン光源11aを支持するステー15aが設けられており、LEDライン光源11aは、このステー15aによって、遮光箱15の開口部よりも基板Wの搬送路側に突出した状態にして、遮光箱15に保持されている。また、遮光箱15には、カラーラインカメラ12を支持するステー15bが設けられており、カラーラインカメラ12は、このステー15bによって、遮光箱15内の開口部よりも奥方の位置で保持されている。
また、本実施形態では、図2に示すように、光源装置11による白色光の照射位置(計測位置)の周囲が、遮光部材14を構成する遮光板16によって囲われている。遮光板16としては、遮光箱15の開口部から基板Wの搬送方向後方に向けて搬送経路上の基板Wに略平行にして配置されている第一遮光板16aと、遮光箱15の開口部から基板Wの搬送方向前方に向けて搬送経路上の基板Wに略平行にして配置されている第二遮光板16bと、第一、第二遮光板16a,16bに対して基板Wの搬送経路を挟んで略平行にして対向配置される第三遮光板16cとを有している。また、本実施形態では、遮光部材14として、第一、第二遮光板16a,16bと第三遮光板16cの上端同士を接続する第四遮光板(図示せず)と、第一、第二遮光板16a,16bと第三遮光板16cの上端同士を接続する第五遮光板(図示せず)とが設けられている。このように、上記した各遮光板及び遮光箱15とによって、搬送経路上の計測位置Pが、基板Wの搬送方向の前後も含めて、全周にわたって囲まれている。
ここで、図2に示すように、搬送方向における基板Wの長さをLとし、計測位置における基板Wの膜面から反射光検出装置2までの距離をbとすると、基板Wの膜面から遮光箱15の反射光通過部14aまでの距離aは、b≧2aで表される。また、遮光箱15の基板搬送方向の寸法をW1、遮光箱15の基板搬送方向後方での遮光板16の基板搬送方向の長さをW2、遮光箱15の基板搬送方向前方での遮光板16の基板搬送方向の長さをW3とすると、これらW1,W2,W3の関係は、W2=W3≧W1×(2〜5)という式で表される。
このように、遮光部材14を、カラーラインカメラ12の周囲だけでなく基板Wにおける白色光の照射位置の周囲も覆う形状・配置とすることで、カラーラインカメラ12に対して基板Wからの反射光以外の光が当たりにくくなるとともに、基板Wにおける白色光の照射位置に対しても、光源装置からの白色光以外の光が当たりにくくなる。すなわち、反射光検出装置に検出される反射光のうち、光源装置の白色光に由来する反射光量が他からの入射光量より大きくなることになるので、反射光検出装置への外乱による影響がさらに低減されて、より高精度な膜質の計測が可能となる。
ここで、本実施形態では、カラーラインカメラ12の撮像範囲内に、カラーラインカメラ12の取得する画像のホワイトバランス調整に用いられる基準白色板18が、着脱を可能にして設けられている。
本実施形態では、搬送装置2の上部フレーム7に、先端を搬送経路上の基板Wの上方に突出させた状態にしてステー18aが設けられており、基準白色板18は、このステー18aの先端に、着脱を可能にして取り付けられている。
本実施形態では、基準白色板18は、ステー18aの先端に対して、面ファスナー等を介して着脱可能にして取り付けられている。
この基準白色板18は、基準となる輝度情報を取得するために用いられるものである。この基準白色板18の材料については特に指定はなく、画像撮影の技術分野において、輝度情報の基準とみなせる材質でかつ均一性の高いものであれば使用可能である。ここでは便宜上、白色と書いているが、色彩学的に厳密に白である必要はなく、固有の色を有していてもよい。例えば、分光計測用で常用される白板(硫酸アルミニウム粉末をペレット状に固めたもの)や、紙、市販の色差計で常用される白色基準、その他、均一性の高い、かつ輝度情報の基準となりうる物体などが使用できる。
また、本実施形態では、光源装置11による白色光の照射範囲内で、かつカラーラインカメラ12の反射光検出範囲内に、光源装置11の光量調整に用いられる基準色板19が、着脱を可能にして設けられている。本実施形態では、基準色板19は、面ファスナー等を介して、ステー18aの先端に着脱可能にして取り付けられている。この基準色板19は、基準白色板18と入れ替えにしてステー18aの先端に取り付けられるようになっている。すなわち、膜質計測装置1に施す調整の内容に応じて、基準白色板18と基準色板19とを使い分けることができるようになっている。また、本実施形態では、基準色板19として、灰色板を用いている。
また、前記演算装置13は、カラーラインカメラ12が取得した画像情報中の基準白色板18の色情報に基づいて、カラーラインカメラ12のホワイトバランスを自動調整するホワイトバランス調整装置を構成している。
また、演算装置13は、カラーラインカメラ12が取得した基準色板19からの反射光の輝度の情報に基づいて、光源装置11の出力調整装置11bの動作を制御して、LEDライン光源11aの出力を適正な出力に自動調整する照度調整装置を構成している。
このように構成される膜質計測装置1は、本発明者らが新たに発見した、「ラマンピーク強度比に応じて結晶質シリコン膜の表面形状の凸凹形状が変化し、その形状変化に応じて、光の散乱の挙動が変化する」という現象を利用して、基板Wに形成された膜の膜質を計測するものである。具体的には、この膜質計測装置1では、従来用いられていたラマンピーク強度比による結晶性計測に代えて、光の散乱の挙動に関するパラメータ、例えば、反射光の輝度に係わるパラメータを用いてシリコン系薄膜、特に結晶質シリコン膜の膜質を計測するものである。
以下、本実施形態に係る膜質計測装置1による、膜質の計測作業について説明する。
まず、所定位置に基板Wが搬入されると、光源装置11のLEDライン光源11aが点灯した状態になり、搬送装置2によって基板Wを搬送方向に搬送させる。これにより、LEDライン光源11aから発せられた白色光は、基板Wのうち、計測位置P上に位置する部位の表面に形成されている結晶質シリコン膜上において反射される。また、この基板Wの移動に応じて、移動量検出装置からパルス信号が演算装置13に送られる。演算装置13は、このパルス信号を受信するごとに、トリガ信号Tをカラーラインカメラ12に送る。これにより、基板Wの移動に応じてカラーラインカメラ12により基板Wからの反射光が検出され、基板Wの搬送方向の各部ごとのカラー画像信号Cが、次々と演算装置13に送られることとなる。演算装置13は、カラーラインカメラ12からの複数のカラー画像信号Cを受信すると、これらを二次元配置することにより、二次元画像を作成する。
このようにして二次元画像が作成されると、演算装置13は、次に示す膜質評価処理を実行することにより、膜質評価を行う。LEDライン光源11aは常時点灯していてもよいが、時間の経過とともに照度が低下してくることを極力抑制するためには、基板Wを搬入して、二次元画像が作成されるときのみに点灯していることが好ましい。以下、薄膜評価処理について具体的に説明する。
まず、演算装置13では、得られた二次元画像に対してさらに画像処理を施すことにより、輝度に関するパラメータを計測する。膜質の評価にあたっては、単なる反射光強度ではなく、膜質と輝度との相関関係を見出して、これを利用したものである。本実施形態では、例えば、RGB画像データからCIE−XYZ表色系に変換する(図4のステップSA1)。この変換は、公知の手法を用いることで容易に行うことができる。
続いて、CIE−XYZ表色系をCIE−L*a*b*表色系に変換する(ステップSA2)。L*a*b*は、JIS Z 8729において規定されるL*a*b*(エルスター・エイスター・ビースター)表色系であり、色差を表す。ここで、L*は明度(輝度)、a*は赤−緑色相のクロマティックネス指数、b*は黄−青色相のクロマティックネス指数をそれぞれ表している。このようにして、二次元画像におけるL*値(輝度)が求まると、演算装置13は、カラーラインカメラ12で取り込んだ各単位画像ごと(例えば撮像装置の各画素ごと)に、L*値が予め設定されている適正範囲に入るか否かを判定することにより、2次元画像全体を適正領域と不適正領域とに区分する(ステップSA3)。これにより、基板Wを適正領域と不適正領域とに分けることができる。
続いて、適正領域の面積が基板全体の面積に占める割合を求め(ステップSA4)、この割合が予め設定されている基準範囲以上であるかを判断し(ステップSA5)、基準範囲以上であれば、良品であると判断し(ステップSA6)、基準範囲未満であれば不具合品であると判断して(ステップSA7)、本処理を終了する。
そして、反射光検出装置2から送られてくるカラー画像信号に基づいて2次元画像を作成するごとに、演算装置13が図4に示した薄膜評価処理を繰り返し実行することにより、各基板における膜質評価を実施する。
次に、上記ステップSA3において参照されるL*値の適正範囲の設定方法について、図5を参照して説明する。
まず、別途ラマン分光分析装置などにより計測・評価して、互いに異なる既知のラマンピーク強度比を持つ評価対象膜と略類似の材質・略同一な膜厚のサンプルを用意し、このサンプルを、搬送装置2の搬送ライン上に載置し、このサンプルに対して、光源装置11のLEDライン光源11aから白色光を照射し、反射光をカラーラインカメラ12で取り込み、演算装置13で画像処理をする。各サンプルのL*値を上述の方法で取得する(図5のステップSB1)。これにより、それぞれ異なるラマンピーク強度比に対応するL*値を取得することができる。続いて、取得したL*値とラマンピーク強度比とを関係付ける輝度特性を作成する(ステップSB2)。ここでは、横軸にラマンピーク強度比をとり、縦軸にL*値をとる座標軸を作成し、この座標軸上に実験結果をプロットすることにより、輝度特性を作成する。例えば、図6に輝度特性の一例を示す。
ここで、膜表面における散乱特性は表面形状に影響を受けるため、下地膜、たとえば太陽電池における透明導電膜の凹凸の直接的影響を受ける。このためサンプル膜質にもとづく図6のような輝度特性を作成する際は、サンプルにおける下地膜とその膜厚は、実際に評価する基板Wの下地膜と膜厚とほぼ同一であることが、より好ましい。
各種下地膜について処理した製膜を評価するためには、各種下地膜に対して製膜処理を行ったサンプルの膜質にもとづく輝度特性のテーブルを準備しておき、製膜装置の製膜処理形態に対比して適切な輝度特性を選択できるようになっていると、さらに好ましい。
続いて、この輝度特性において、従来から用いていたラマンピーク強度比の適正範囲に相当するL*値の適正範囲を特定し(ステップSB3)、本処理を終了する。例えば、従来、用いていたラマンピーク強度比の適正範囲が図6における値bから値aの範囲であった場合、値aに対応するL*の値a´及び値bに対応するL*の値b´を取得することにより、L*値における適正範囲をa´からb´の範囲と特定する。これにより、図4に示したステップSA3での基準値範囲を設定することができる。
そして、上述した評価処理の実行時においては、L*値がこの適正範囲a´からb´内であるか否かにより、上述した領域の区分を行うこととなる。なお、上記は、コンピュータ7により全ての処理が自動的に行われる場合について説明したが、この適正範囲の特定については、技術者により行われるものとしても良い。つまり、上述したような方法により求められたL*値の適正範囲が、膜質評価時において、コンピュータ7に登録されていれば良く、その具体的な求め方については、特に限定されない。
以上、説明してきたように、本実施形態に係る膜質評価装置によれば、ラマンピーク強度比ではなく、L*値を用いて結晶質シリコンの膜質評価を行うこととしたので、ラマン分光測定装置等の専用の評価装置を用いずに、膜質評価を行うことが可能となる。これは評価対象膜である結晶質シリコン膜の表面形状がラマンピーク強度比に応じて変化し、その形状変化に応じて、光の散乱の挙動が変化する現象を新たに見出し、CIE−L*a*b*表色系のL*値と結晶化状態を評価するラマンピーク強度比の相関関係を見出したことによる。
これにより、製造ライン上、好ましくは膜質の評価対象の製膜処理を行うプラズマCVD装置のアンローダ付近の基板搬出部やプラズマCVD装置から搬出され別装置へ搬送される基板Wに対してLEDライン光源11aから白色光を照射し、この基板Wからの反射光に基づいて上記膜質評価を行うことが可能となり、製造ラインからラインアウトした基板からの試験片の切り出しを不要にでき、作業員の負担を軽減することができる。また、この膜質分布の計測結果に基づいて、プラズマCVD装置により製膜形成された全数の結晶質シリコン膜の良否をすみやかに判断し、不具合品が検出された場合には途中工程にて不具合基板をラインアウトし、必要に応じてプラズマCVD装置の製膜条件などを調整することができる。またプラズマCVD装置自体が感知できないトラブルで膜形成が不良となった場合も即刻に判断がつき、素早い修復対応が可能となる。すなわち、管理目標とする平均膜質と膜質分布の基準値に対して評価し、製膜状況をオンラインで監視することで、発電効率が高い生産状況を維持し、不良発生時には極めて短時間で判断が付くので、製膜形成の品質が安定し歩留まりが向上する。これにより製造効率が向上する。
さらに、本実施形態に係る膜質計測装置1では、遮光部材14によってカラーラインカメラ12の周囲が囲まれていて、カラーラインカメラ12には、遮光部材14のうち基板Wに対向する反射光通過部14aを通過した光(主に基板Wによる反射光)以外の光が当たらない。このため、この膜質計測装置1では、カラーラインカメラ12への外乱による影響が低減されて、高精度な膜質の計測・評価が可能となる。
更に、本実施形態に係る膜質評価装置によれば、予め決定されているラマンピーク強度比の適正範囲に対応するL*値を求めることにより、L*値の適正範囲を特定し、この適正範囲を用いて結晶質シリコンの膜質評価を行うので、従来から用いていたラマンピーク強度比の適正範囲と同等の範囲を用いて、結晶質シリコンの膜質評価を行うことができる。これにより、膜質評価の基準を維持することができる。
なお、上述した本実施形態においては、輝度に係るパラメータとして、L*値を採用したが、輝度に係るパラメータは、これに限られない。例えば、L*値に代えて、反射率、或いは、反射光の光強度を用いることとしてもよい。
輝度に係るパラメータとして反射率を用いる場合、コンピュータ7は、カラー画像信号に基づいて反射率を検出する。なお、反射率の計測方法については、公知の手法を適宜採用することが可能である。そして、このようにして計測した反射率が所定の適正範囲内であるか否かにより2次元画像を適正領域と不適正領域とに区分し、適正領域が全体面積に占める割合によって、当該基板が不具合品か否かを判定する。
なお、上述のように輝度に関するパラメータとして反射率を採用したときの所定範囲の決定方法についても、上述したL*値と同様の方法により特定される。ここで、輝度に関するパラメータとして反射率を用いる場合の輝度特性の一例を図7に示す。
このように、ラマンピーク強度比がaからbの範囲に対応する反射率c´からd´を求め、この範囲を反射率に係る適正範囲として実際の膜質評価にて用いればよい。
なお、上述した実施形態においては、予めラマンピーク強度比の適正範囲に対応する輝度に係るパラメータの適正範囲を求め、この適正範囲を用いて評価を行っていたが、これに代えて、二次元画像から取得された各L*または反射率に対応するラマンピーク強度比を図6または図7に示した輝度特性から取得し、取得したラマンピーク強度比が予め設定されている適性範囲内であるか否かにより、膜質評価を行うこととしても良い。このような手法によっても、同様の判断基準で膜質評価を行うことができる。
ここで、一般的に、カラーラインカメラ12等のカラー画像の取得が可能な撮像装置では、撮像対象の正確な色情報を取得するために、ホワイトバランスの調整が適宜行われる。
膜質計測装置1では、カラーラインカメラ12の撮像範囲内に基準白色板18を設けることができるようになっている。このため、カラーラインカメラ12が、基板Wだけでなく、基準白色板18についても、カラー画像情報(言い換えると基板W及び基準白色板18からの反射光のカラー画像情報)を取得することができる。
このようにして取得した画像情報中の基準白色板18の色情報に基づいて、カラーラインカメラ12のホワイトバランスを調整することができる。具体的には、カラーラインカメラ12が取得したカラー画像情報のうち、基準白色体18の画像情報に含まれる、赤色成分画像信号Rの強度と、緑色成分画像信号Gの強度と、青色成分画像信号Bの強度とが、同レベルになるよう、各色の画像信号のゲインを調整することで、カラーラインカメラ12のホワイトバランスを調整することができる。
このため、この膜質計測装置1では、膜質計測作業と並行して、カラーラインカメラ12のホワイトバランスを調整することができる。これにより、カラーラインカメラ12のホワイトバランスの調整のために膜質計測装置1を停止する必要がなく、膜質計測装置1、及び膜質計測装置1を備える製膜システムのスループットを向上させることができる。
また、このように、カラーラインカメラ12が、基板Wだけでなく、基準白色板18についても、同時にカラー画像情報を取得することができるので、たとえカラーラインカメラ12のホワイトバランスがずれていた状態で基板Wのカラー画像情報を取得したとしても、このカラー画像情報中の基準白色板18の色情報に基づいて、取得したカラー画像情報の色情報を補正して、基板Wの正確な色情報を取得することができる。
ここで、上記のカラーラインカメラ12のホワイトバランスの調整は、演算装置13によって自動的に行われるようにすることができる。すなわち、演算装置13を、カラーラインカメラ12が取得した画像情報中の基準白色板18の色情報に基づいて、カラーラインカメラ12のホワイトバランスを自動調整するホワイトバランス調整装置として機能させることで、常にカラーラインカメラ12のホワイトバランスが適正に保たれるので、常に基板Wの膜質の計測を正確に行うことができる。
この膜質計測装置1では、光源装置11による白色光の照射範囲内で、かつカラーラインカメラ12の撮像範囲内に、光源装置11の光量調整に用いられる基準色板19を設けることができるようになっているので、この基準色板19からの反射光の輝度に基づいて、光源装置11から基板Wに照射される白色光の光量を検出することができる。具体的には、カラーラインカメラ12の取得した画像情報のうち、基準色板19の画像情報の輝度を、予め定めた適正範囲内になるよう、光源装置11の光量を調整する。ここで、この基準色板19の画像情報の輝度の適正範囲は、予め、光源装置11から基板Wに照射される白色光の光量を膜質計測作業に適した適正範囲内とした状態での、基準色板19の実際の画像情報の輝度を基準として設定される。
これにより、光源装置11による白色光の照射範囲内で、かつカラーラインカメラ12の撮像範囲内に基準色板19を設けることで、膜質計測作業と並行して光源装置11の出力を調整することができるので、光源装置11から基板Wに照射される白色光の光量の計測や光量の調整のために膜質計測装置1を停止する必要がなく、膜質計測装置1、及び膜質計測装置1を備える製膜システムのスループットを向上させることができる。
また、このように、カラーラインカメラ12が、基板Wの反射光の情報と同時に、基準色板19の情報を取得することにより、たとえ光源装置11の光量が低下していても、基準色板19からの反射光の輝度の情報に基づいて、取得した基板Wからの反射光の輝度の情報を補正して、基板Wからの反射光の正確な強度の情報を取得することができる。
ここで、上記の光源装置11の出力の調整は、演算装置13によって自動的に行われるようにすることができる。すなわち、演算装置13を、カラーラインカメラ12が取得した基準色板19からの反射光の輝度の情報に基づいて、光源装置11の出力を自動調整する照度調整装置として機能させることで、常に光源装置11の出力が適正に保たれるので、常に基板Wの膜質の計測を正確に行うことができる。
さらに、本実施形態では、基準色板19として、灰色板を用いる。灰色板は、他の色板に比べて、微結晶シリコンの色度(a*,b*)に近く、灰色の濃さ(グレーレベル)を適切に選定することで、微結晶シリコンの明度(L*)に近い色を得ることができるので、基準色板として、適切な色の濃さの灰色板を用いることで、基準色板19の照度に変化があった場合に、実際の膜質の計測に及ぼす影響を評価しやすい。
以下、上記のホワイトバランス調整作業及び光量調整作業を実施するタイミングの一例について、図9のフローチャートを参照して説明する。
これらホワイトバランス調整作業及び光量調整作業は、例えば、膜質計測装置1の点検の際や定期的校正確認などに、制御装置13によって自動的に、または手動によって行うことができる(これらの作業は、膜質計測装置1の動作中に行ってもよい)。
まず、膜質計測装置1の、週次点検(ステップSC1)が終了した以降の、日常点検において、まず、カラーラインカメラ12の取得した画像情報のうち、基準色板19の画像情報の輝度に基づいて、光源装置11の光量が算出される(照度モニター作業;ステップSC2)。次に、光源装置11の光量が、膜質の計測に要求される規格の範囲内であるかどうかが判定される(ステップSC3)。光源装置11の光量が、膜質の計測に要求される規格の範囲内にあると判定された場合には、膜質計測装置1が使用可能であると判定される(ステップSC4)。
一方、光源装置11の光量が、規格を下回っていると判定された場合には、基準となる白色板を用いてカラーラインカメラ12の感度点検を行う。このとき、基準となる白色板はカラーラインカメラ12の撮影範囲をカバーできる、基板Wと同形同寸法の基準白色板や、撮影幅よりも少し広い範囲のみに白色板のある基準白色板でも良い。また、簡易的な調整には、撮影範囲の一部に基準白色板があるものでも良い。基準白色板18を用いて、カラーラインカメラ12の感度点検が行われる(ステップSC5、SC6)。具体的には、カラーラインカメラ12の取得する画像情報のうち、基準白色板18の画像情報に含まれる、赤色成分画像信号Rの強度と、緑色成分画像信号Gの強度と、青色成分画像信号Bの強度とが計測され、これら各色の画像信号強度がいずれも予め定めた規格内に収まっているかどうかが判定される。各色の画像信号の強度が規格内に収まっていると判定された場合には、実際の基板Wの特性に合致した基準基板を計測位置Pに設置した状態で、再度カラーラインカメラ12の感度点検が行われる(ステップSC7、SC8)。
尚、この実際の基板Wの特性に合致した基準基板を用いる理由は次である。
反射光は、白色光の反射が行われた部位(反射部位)のカラーラインカメラ12に対する位置(カラーラインカメラ12の撮像範囲における反射部位の位置)によってそれぞれ異なる角度で入射するので、カラーラインカメラ12に対する位置によっては、反射光の特性(輝度)が異なる場合がある。このため、結晶質シリコン膜の膜質が評価基準を満たしている、基板Wと同形状同寸法の標準基板を計測サンプルとして用い、この標準基板に対して光源装置11から白色光を照射し、カラーラインカメラ12の取得した画像情報中の標準基板の色情報に基づいて、カラーラインカメラ12のホワイトバランスの調整を行うことで、実際の基板Wの反射光の特性に基づいて解析用基準データ取得を行うことができ、その後の実際の基板Wの膜質計測時において、より高精度な膜質計測を行うことが可能となる。
この感度点検において各色の画像信号の強度が規格内に収まっていると判定された場合には、膜質計測装置1が使用可能であると判定される(ステップSC4)。
一方、ステップSC6またはステップSC8において、各色の画像信号の強度が規格の範囲を外れていると判定された場合には、基準色板19を用いて照度調整作業が行われる(ステップSC9,SC10)。具体的には、カラーラインカメラ12の取得した画像情報のうち、基準色板19の画像情報の輝度に基づいて、光源装置11の光量が算出され、この光量が、膜質の計測に要求される規格の範囲内であるかどうかが判定される。光源装置11の光量が、膜質の計測に要求される規格の範囲を外れていると判定された場合には、ラインLED光源11aの交換や再校正が行われ(ステップSC11)、再度ステップSC2以降の調整作業が行われる。
ステップSC10において、光源装置11の光量が、膜質の計測に要求される規格の範囲内にあると判定された場合には、基準白色板18を用いて、カラーラインカメラ12のホワイトバランスの調整が行われる。その後、基準白色板18を用いた感度点検が行われ(ステップSC13、SC14)、この感度点検において各色の画像信号の強度が規格の範囲から外れていると判定された場合には、ラインLED光源11aの交換や再校正が行われ(ステップSC11)、再度ステップSC2以降の調整作業が行われる。
一方、ステップSC14において、各色の画像信号の強度が規格の範囲内に収まっていると判定された場合には、実際の基板Wの特性に合致した基準基板を計測位置Pに設置した状態で、再度カラーラインカメラ12の感度点検が行われる(ステップSC15、SC16)。この感度点検において各色の画像信号の強度が規格内に収まっていると判定された場合には、膜質計測装置1が使用可能であると判定される(ステップSC4)。
ここで、この膜質計測装置1では、基準白色板18を用いてカラーラインカメラ12のホワイトバランスの調整を行うにあたり、搬送装置2上の計測位置Pに、基板Wと同形状同寸法の基準白色板18を設け、カラーラインカメラ12が取得した画像情報中の基準白色板18の色情報に基づいて、カラーラインカメラ12のホワイトバランスを調整する。また、カラーラインカメラ12の撮影幅よりも少し広い範囲のみに白色板のある基準白色板18を用いることが可能である。さらには、カラーラインカメラ12の撮像範囲のうち、基板Wが位置する領域から外れた領域に基準白色板18を設けても、簡易的な調整を行うことが可能である。
以下、解析用基準データ取得について説明する。この作業は膜質計測装置1の点検の際などに、制御装置13によって自動的に、または手動によって行うことができる。
解析用基準データ取得は、搬送装置2上の計測位置Pに、基板Wと同形状同寸法の基準白色板18を設け、カラーラインカメラ12が取得した画像情報中の基準白色板18の色情報に基づいて行うことが可能である。基準白色板18は、カラーラインカメラ12の撮影幅よりも少し広い範囲のみをカバーする基準白色板18でもよい。
この場合、基板Wと同形状同寸法の基準白色板18からの反射光は、白色光の反射が行われた部位(反射部位)のカラーラインカメラ12に対する位置(カラーラインカメラ12の撮像範囲における反射部位の位置)によってそれぞれ異なる角度で入射する。例えば、基板Wと同形状同寸法の基準白色板18によってカラーラインカメラ12の光軸O2上に位置する部位で反射された反射光のうち、カラーラインカメラ12に入射する反射光は、カラーラインカメラ12に対して、光軸O2に沿って入射する。一方、基板Wと同形状同寸法の基準白色板18によってカラーラインカメラ12の光軸O2上から外れた部位で反射された反射光のうち、カラーラインカメラ12に入射する反射光は、カラーラインカメラ12の光軸O2に対して斜めに入射する。
同様に、膜質計測時における基板Wからの反射光も、カラーラインカメラ12に対して、それぞれ基板Wの各部位ごと(各反射部位ごと)に異なる角度で入射する。
基準白色板18と膜質の計測対象である基板Wとは、光学特性(散乱特性)が相違するので、基準白色板18と膜質の計測対象である基板Wとでは、カラーラインカメラ12に対する位置が同じ部位での反射光であっても、カラーラインカメラ12に対する位置によっては、反射光の特性(輝度)が異なる場合がある。このため、基板Wと同形状同寸法の基準白色板18を用いて解析用基準データ取得を行った場合、その後の実際の基板Wの膜質計測時において、必ずしも実際の基板Wによる反射光の特性を正確に反映することができるとは限らない。
そこで、基板Wと同形状同寸法の基準白色板18の代わりに、結晶質シリコン膜の膜質が評価基準を満たしている、基板Wと同形状同寸法の標準基板を計測サンプルとして用い、この標準基板に対して光源装置11から白色光を照射し、カラーラインカメラ12の取得した画像情報中の標準基板の色情報に基づいて、カラーラインカメラ12のホワイトバランスの調整を行うことで、実際の基板Wの反射光の特性に基づいて解析用基準データ取得を行うことができ、その後の実際の基板Wの膜質計測時において、より高精度な膜質計測を行うことが可能となる。
標準基板としては、例えば、結晶質シリコン膜の膜質が評価基準を満たしている領域を切り出して張り合わせた基板を用いることができる。
ここで、標準基板は、薄膜シリコン系デバイスに用いられる基板から作成されるものであって、高価であるので、標準基板の破損に備えて予備の標準基板を用意したり、複数の膜質計測装置について各膜質計測装置ごとに標準基板を用意すると、コストがかかってしまう。
そこで、基板Wと同形状同寸法の基準白色板18を計測サンプルとして、この基準白色板に対して光源装置11から白色光を照射し、カラーラインカメラ12の取得した画像中の基準白色板18の色情報と、標準基板の色情報との比に基づいて、カラーラインカメラ12の較正情報を取得し、以降は、カラーラインカメラ12の取得する画像のホワイトバランスの調整にあたって、基板Wと同形状同寸法の基準白色板18を計測サンプルとして用い、カラーラインカメラ12の取得した画像中の基準白色板18の色情報を前記較正情報に基づいて較正して、カラーラインカメラ12の解析用基準データ取得を行うようにしてもよい。
このように、カラーラインカメラ12の取得する画像のホワイトバランスを調整するにあたって、標準基板による反射光の画像情報と、基板Wと同形状同寸法の基準白色板18による反射光の画像情報とを取得し、これら画像情報の比(反射光の特性の比)に基づいて、基準白色板による反射光の画像情報を較正することで、以降は、カラーラインカメラ12の解析用基準データ取得にあたって、基板Wと同形状同寸法の基準白色板を用いて解析用基準データ取得を行うことができる。
これにより、標準基板の作成数を最低限に抑えて、コストを低減することができる。
〔第2の実施形態〕
以下、上記第1の実施形態に示す膜質計測装置1を用いた、膜質評価方法の他の例について説明する。
評価方法1:閾値を用いた評価方法
この評価方法では、まず、第1の実施形態に示した膜質計測方法を用いて、基板Wの各部位について、複数回に分けて各部位の反射光の輝度に係るパラメータ(例えば明度L*)を計測する(図10のステップSD1)。ここでは、図11に示すように、基板W上に、測定点を縦方向(基板Wの搬送方向に略直交する方向)に例えば100点ずつ(これらの測定点は同時にパラメータの測定が行われる)、横方向(基板Wの搬送方向)に例えば100点ずつ、計10000点の計測点を設定し、各計測点について、明度L*を計測する。以下、各計測点について、基板Wの最も右下に位置する測定点を原点(0,0)として、各測定点を、座標(m,n)で表す。ここで、mの値は、原点から数えた横方向の測定点の順番であり、nの値は、原点から数えた縦方向の測定点の順番である。また、各測定点の明度L*は、各測定点の座標を用いて、L*(m,n)として表す。
次に、基板Wの各部位の反射光の輝度に係るパラメータを、予め設定された膜質評価の良否判定基準範囲値L*S、L*Rと比較して、この比較結果に基づいて基板Wの各部位の膜質評価の良否を判定する(ステップSD2)。
ステップSD2において、膜質評価が悪かった場合(L*R≧L*(m,n)≧L*Sを満たさない場合)には、その基板Wを、高輝度反射領域が形成された不具合品(NG基板)と判定し(ステップSD3)、この基板Wをロットアウトして、作業員が膜質を再度判定する(ステップSD4)。
一方、ステップSD2においてL*R≧L*(m,n)≧L*Sを満たすと判定された基板Wについては、その基板Wを、良品(OK基板)と判定し(ステップSD5)、膜質評価工程の後段の工程に移行させる(ステップSD6)。
このような膜質評価方法では、基板W全体に対して膜質の評価を行うことができる。
評価方法2:標準偏差を用いた評価方法
この評価方法では、上記評価方法1と同様にして、基板Wの各部位について、複数回に分けて明度L*を計測する(図12のステップSE1)。
次に、各回の測定ごとに、同時に測定の行われた測定点について、明度L*の標準偏差σ(m)を求め、この標準偏差σ(m)と、予め設定された閾値σsと比較して、この比較結果に基づいて基板Wの各部位の膜質評価の良否を判定する(ステップSE2)。
ステップSE2において、膜質評価が悪かった場合(σ(m)≧σSを満たさない場合)には、その基板Wを、高輝度反射領域が形成された不具合品(NG基板)と判定し(ステップSE3)、この基板Wをロットアウトして、作業員が膜質を再度判定する。
一方、ステップSE2においてσ(m)≧σSを満たすと判定された基板Wについては、その基板Wを、良品(OK基板)と判定し(ステップSE5)、膜質評価工程の後段の工程に移行させる(ステップSE6)。
このような膜質評価方法では、同時に膜質の計測が行われた計測点の組において、測定条件のばらつき等によって他の計測点の組に比べてカラーラインカメラ12が取得した画像が暗くなっていて、実際に高輝度反射領域が形成されているのに評価方法1によっては高輝度反射領域が形成されていることが検出されず、不良基板と判定されない場合であっても、高輝度反射領域の有無を判定することができる。
ここで、基板Wの各部位の反射光の輝度に係るパラメータは、基板Wの各部位ごとにばらつきがあり、たとえ隣接する部位であっても、反射光の輝度に係るパラメータにはばらつきがある。
また、基板Wの各部位の反射光の輝度に係るパラメータの計測を複数回に分けて各部位に行った場合には、各計測における計測条件の差によって、各計測ごとに、得られる反射光の輝度に係るパラメータにばらつきが生じる。
このため、膜質の評価基準として、単一の評価基準のみを用いると、正確な膜質の評価ができなくなる可能性がある。そこで、基板Wの膜質評価に当たっては、以下のいずれかのような評価方法を用いることが好ましい。
評価方法3:閾値を用いた評価の後に標準偏差を用いた評価を行う評価方法
この評価方法では、まず、上記評価方法1と同様にして、基板Wの各部位について、複数回に分けて反射光の輝度に係るパラメータ(例えば明度L*)を計測する(図13のステップSF1)。
次に、基板Wの各部位の反射光の輝度に係るパラメータを、予め設定された膜質評価の良否判定基準値L*Sと比較して、この比較結果に基づいて基板Wの各部位の膜質評価の良否を判定する(ステップSF2)。
ステップSF2において、膜質評価が悪かった場合(L*R≧L*(m,n)≧L*Sを満たさない場合)には、その基板Wを不具合品(NG基板)と判定し(ステップSF3)、この基板Wをロットアウトして、作業員が膜質を再度判定する(ステップSF4)。
一方、ステップSF2においてL*R≧L*(m,n)≧L*Sを満たすと判定された基板Wについては、各回の測定ごとに、同時に測定の行われた測定点について、明度L*の標準偏差σ(m)を求め、この標準偏差σ(m)と、予め設定された閾値σsと比較して、この比較結果に基づいて基板Wの各部位の膜質評価の良否を判定する(ステップSF5)。
ステップSF5において、膜質評価が悪かった場合(σ(m)≧σSを満たさない場合)には、その基板Wを不具合品(NG基板)と判定し(ステップSF3)、この基板Wをロットアウトして、作業員が膜質を再度判定する(ステップSF4)。
一方、ステップSF5においてσ(m)≧σSを満たすと判定された基板Wについては、良品(OK基板)と判定し(ステップSF6)、その基板Wを膜質評価工程の後段の工程に移行させる(ステップSF7)。
評価方法4:標準偏差を用いた評価の後に標準偏差を用いた評価を行う評価方法
この評価方法では、まず、上記評価方法2と同様にして、基板Wの各部位について、複数回に分けて明度L*を計測する(図14のステップSG1)。
次に、各回の測定ごとに、同時に測定の行われた測定点について、明度L*の標準偏差σ(m)を求め、この標準偏差σ(m)と、予め設定された閾値σsと比較して、この比較結果に基づいて基板Wの各部位の膜質評価の良否を判定する(ステップSG2)。
ステップSG2において、膜質評価が悪かった場合(σ(m)≧σSを満たさない場合)には、その基板Wを不具合品(NG基板)と判定し(ステップSG3)、この基板Wをロットアウトして、作業員が膜質を再度判定する(ステップSG4)。
一方、ステップSG2においてσ(m)≧σSを満たす基板W)については、基板Wの各部位の反射光の輝度に係るパラメータを、予め設定された膜質評価の良否判定基準値L*Sと比較して、この比較結果に基づいて基板Wの各部位の膜質評価の良否を判定する(ステップSG5)。
ステップSG5において、膜質評価が悪かった場合(L*R≧L*(m,n)≧L*Sを満たさない場合)には、その基板Wを不具合品(NG基板)と判定し(ステップSG3)、この基板Wをロットアウトして、作業員が膜質を再度判定する(ステップSG4)。
一方、ステップSG5においてL*R≧L*(m,n)≧L*Sを満たすと判定された基板Wについては、良品(OK基板)と判定し(ステップSG6)、その基板Wを、膜質評価工程の後段の工程に移行させる(ステップSG7)。
〔第3の実施形態〕
以下、上記第1の実施形態に示す膜質計測装置1を用いた、膜質評価方法の他の例について説明する。この膜質評価方法は、第1の実施形態に示した膜質評価方法よりも高精度な膜質評価を行うためのものである。
ここで、基板Wの用途によっては、基板W全体に占める膜質不良箇所の割合だけでなく、基板Wにおける膜質不良箇所同士の位置関係が問題になる場合がある。例えば、基板Wを短冊状のセルが直列接続するように集積する太陽電池用の基板として用いる場合、基板Wにおいて1つのセルが形成される長手方向の多くの領域に膜質不良箇所が存在すると、その膜質不良箇所がボトルネックとなって、膜質不良のあるセルに沿った領域での発電効率が低下する。これにより、太陽電池用の基板Wでは、同一のセルが形成される領域に沿って複数の膜質不良箇所が存在すると、各セルを直列接続した時に不良セルが電流通過の大きな抵抗になり、太陽電電池の発電効率が基準値に達しなくなる可能性がある。
このため、基板Wの膜質評価を、第1の実施形態に示すように、基板W全体に占める膜質不良箇所の割合のみに基づいて基板W全体の膜質の良否の判定を行うと、基板W全体としての膜質の良否を正確に判定することができなくなる可能性がある。
そこで、本実施形態では、第1の実施形態に示した膜質評価装置1による膜質評価処理において、演算装置13によって、下記の処理を行うようにした。
まず、第1の実施形態に示した膜質計測方法を用いて、基板Wの各部位について反射光の輝度に係るパラメータ(例えばL*)を計測し(図15のステップSH1)、基板Wの各部位の反射光の輝度に係るパラメータを、予め設定された膜質評価の良否判定基準値L*Sと比較して、この比較結果に基づいて基板の各部位の膜質評価の良否を判定する(ステップSH2)。ステップSH2において、膜質評価が良好であった場合(例えばL*R≧L*≧L*Sであった場合)、その基板Wを良品(OK基板)と判定し(ステップSH3)、その基板Wを、膜質評価工程の後段の工程に移行させる(ステップSH4)。
一方、基板Wの各部位のうち、膜質評価が悪かった場合(例えばL*<L*Sであった場合)には、基板Wの各部位のうち、膜質評価が不良と判定された部位の位置関係に基づいて、基板W全体の膜質の良否を判定する(ステップSH5)。本実施形態では、膜質評価対象の基板Wとして太陽電池用の基板をとして用いており、基板Wにおいて同一のセルが形成される領域に、一つのみ不良箇所が存在している場合には、その基板Wを良品(OK基板)と判定し(ステップSH3)、その基板Wを、膜質評価工程の後段の工程に移行させる(ステップSH4)。ステップSH5において、複数の不良箇所が存在していると判定された基板Wについては、その基板Wを不具合品(NG基板)と判定し(ステップSH6)、この基板Wをロットアウトして、作業員が膜質を再度判定する(ステップSH7)。
ここで、上記各上記実施形態においては、タンデム型太陽電池における結晶質シリコン膜の膜質を評価する場合について説明したが、これに限られず、本発明の膜質計測装置は、薄膜シリコン系デバイスや薄膜太陽電池に用いられる結晶質シリコン膜の膜質評価に幅広く適用することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
本発明の第1の実施形態に係る膜質計測装置の主要部の構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る膜質計測装置の各構成要素と計測対象である基板との位置関係を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る膜質計測装置の、計測対象である基板の搬送方向に略直交する断面を示す縦断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る膜質計測装置において実行される膜質評価処理の手順を示したフローチャートである。 本発明の膜質評価処理にて用いられる適用範囲を決定するための処理手順を示したフローチャートである。 図5に示した処理において作成される輝度特性の一例を示した図である。 L*値に代えて、反射率を用いる場合の輝度特性の一例を示した図である。 結晶質シリコンとアモルファス化したものの分光反射スペクトルを示した図である。 本発明の第4の実施形態に係る膜質計測装置の調整手順を示したフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る膜質評価の手順の一例を示したフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る膜質評価方法を説明する図である。 本発明の第2の実施形態に係る膜質評価の手順の一例を示したフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る膜質評価処理の手順の一例を示したフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る膜質評価処理の手順の一例を示したフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係る膜質評価処理の手順を説明する図である。
符号の説明
1 膜質計測装置
11 光源装置
11a LEDライン光源(光源本体)
11b 出力調整装置(照度調整装置)
12 カラーラインカメラ(反射光検出装置)
13 演算装置(照度調整装置、ホワイトバランス調整装置)
14 遮光部材
14a 反射光通過部
18 基準白色板
19 基準色板
W 基板

Claims (16)

  1. 基板上に形成された結晶質シリコン膜の膜質を計測する膜質計測装置であって、
    前記基板に対して前記結晶質シリコン膜の形成された膜面側から白色光を照射する光源装置と、
    前記白色光が照射されている状態での前記基板からの反射光を検出する反射光検出装置と、
    前記反射光検出装置の検出結果に基づいて前記反射光の輝度に係るパラメータを計測し、該反射光の輝度に係るパラメータに基づいて前記基板上の前記結晶質シリコン膜の膜質を計測する演算装置と、
    前記反射光検出装置の周囲を覆う遮光部材とを有し、
    該遮光部材が、前記基板に対向する部位に、前記反射光の通過を許容する反射光通過部を有している結晶質シリコン膜の膜質計測装置。
  2. 前記基板を搬送する搬送装置による前記基板の搬送経路上に設けられる請求項1記載の結晶質シリコン膜の膜質計測装置であって、
    前記光源装置は、線状の光源本体を有し、
    該光源本体は、前記搬送経路に対して前記基板の前記膜面の向く側に対向配置され、長手方向が前記搬送経路上の前記基板の前記膜面に沿う平面上でかつ前記基板の搬送方向に交差する向きにして配置されており、
    該光源本体は、前記長手方向の両端部を、それぞれ前記搬送経路の前記基板が通過する領域よりも前記搬送方向に交差する方向に張り出して配置されている結晶質シリコン膜の膜質計測装置。
  3. 前記反射光検出装置が、カラー画像の取得が可能な撮像装置であり、
    該反射光検出装置の撮像範囲内に、該反射光検出装置の取得する画像のホワイトバランス調整に用いられる基準白色板が設けられている請求項1または2に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測装置。
  4. 前記反射光検出装置が取得した画像情報中の前記基準白色板の色情報に基づいて、前記反射光検出装置のホワイトバランスを自動調整するホワイトバランス調整装置を有している請求項3に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測装置。
  5. 前記光源装置による前記白色光の照射範囲内で、かつ前記反射光検出装置の反射光検出範囲内に、前記光源装置の光量調整に用いられる基準色板が設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測装置。
  6. 前記反射光検出装置が取得した前記基準色板からの反射光の輝度の情報に基づいて、前記光源装置の出力を自動調整する照度調整装置を有している請求項5に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測装置。
  7. 前記基準色板が、灰色板である請求項5または6に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測装置。
  8. 基板上に形成された結晶質シリコン膜の膜質を計測する膜質計測方法であって、
    前記基板に対して前記結晶質シリコン膜の形成された膜面側から白色光を照射する光源装置と、
    前記白色光が照射されている状態での前記基板からの反射光を検出する反射光検出装置と、
    前記反射光検出装置の周囲を覆うとともに、前記基板に対向する部位に前記反射光の通過を許容する反射光通過部を有する遮光部材とを用い、
    前記反射光検出装置の検出結果に基づいて前記反射光の輝度に係るパラメータを計測し、該反射光の輝度に係るパラメータに基づいて前記基板上の前記結晶質シリコン膜の膜質を計測する結晶質シリコン膜の膜質計測方法。
  9. 搬送装置によって搬送経路上を搬送されている前記基板を対象とした請求項8記載の結晶質シリコン膜の膜質計測方法であって、
    前記光源装置を、線状の光源本体を有する構成とし、
    該光源本体を、前記搬送経路に対して前記基板の前記膜面の向く側に対向配置し、
    前記光源本体の長手方向を前記搬送経路上の前記基板の前記膜面に沿う平面上でかつ前記基板の搬送方向に交差する向きにし、
    該光源本体を、前記長手方向の両端部が、それぞれ前記搬送経路の前記基板が通過する領域よりも前記搬送方向に交差する方向に張り出して配置する結晶質シリコン膜の膜質計測方法。
  10. 前記反射光検出装置として、カラー画像の取得が可能な撮像装置を用い、
    該反射光検出装置の撮像範囲内に基準白色板を設け、
    前記反射光検出装置の取得した画像情報中の、前記基準白色板の色情報に基づいて、前記反射光検出装置の取得する画像のホワイトバランスを調整する請求項8または9に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測方法。
  11. 前記光源装置による前記白色光の照射範囲内で、かつ前記反射光検出装置の反射光検出範囲内に基準色板を設け、
    前記反射光検出装置の取得した反射光の輝度情報中の、前記基準色板からの反射光の輝度情報に基づいて、前記光源装置が発する前記白色光の強度が適正範囲内になるよう前記光源装置の光量調整を行う請求項8から10のいずれか1項に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測方法。
  12. 前記基準色板として、灰色板を用いる請求項11に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測方法。
  13. 前記反射光検出装置として、カラー画像の取得が可能な撮像装置を用い、
    前記結晶質シリコン膜の膜質が評価基準を満たしている標準基板を計測サンプルとして、該標準基板に対して前記光源装置から前記白色光を照射し、
    前記反射光検出装置の取得した画像中の前記標準基板の色情報に基づいて、該反射光検出装置の取得する画像の解析用基準データ取得を行う請求項8または9に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測方法。
  14. 基準白色板を計測サンプルとして、該基準白色板に対して前記光源装置から前記白色光を照射し、
    前記反射光検出装置の取得した画像中の前記基準白色板の色情報と、前記標準基板の色情報との比に基づいて、前記反射光検出装置の較正情報を取得し、
    以降は、前記反射光検出装置の取得する画像の解析用基準データ取得にあたって、前記基準白色板を計測サンプルとして用い、
    前記反射光検出装置の取得した画像中の前記基準白色板の色情報を前記較正情報に基づいて較正して、前記反射光検出装置の取得する画像の解析用基準データ取得を行う請求項13に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測方法。
  15. 請求項8から14のいずれか1項に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測方法を用いて、前記基板の各部位について、複数回に分けて前記反射光の輝度に係るパラメータを計測し、
    前記基板の各部位の前記反射光の輝度に係るパラメータを、予め設定された膜質評価の良否判定基準値と比較して、この比較結果に基づいて前記基板の各部位の膜質評価の良否を判定するとともに、
    前記基板の各部位のうち、同時に前記反射光の輝度に係るパラメータの計測が行われた部位について、それぞれ前記反射光の輝度に係るパラメータの標準偏差を算出し、
    該標準偏差が、予め設定された閾値よりも膜質評価の悪い側に位置している部位について、膜質不良と評価する結晶質シリコン膜の膜質評価方法。
  16. 請求項8から14のいずれか1項に記載の結晶質シリコン膜の膜質計測方法を用いて、前記基板の各部位について前記反射光の輝度に係るパラメータを計測し、
    前記基板の各部位の前記反射光の輝度に係るパラメータを、予め設定された膜質評価の良否判定基準値と比較して、この比較結果に基づいて前記基板の各部位の膜質評価の良否を判定し、
    前記基板の各部位のうち、膜質評価が不良と判定された部位の位置関係に基づいて、基板全体の膜質の良否を判定する結晶質シリコン膜の膜質評価方法。
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