JP2009211760A - 薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法及び装置 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】1つの特性検査装置にHGAを1つずつ投入して前記HGAの薄膜磁気ヘッド素子の特性を検査する場合よりも低コストでスループットを向上させることができ、かつ、HGAの最終検査よりも前に薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することの可能な、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法及び装置を提供する。
【解決手段】第1ホルダ130によりローバー20を磁気メディア110に接触させた状態に保持しつつ、ローラ150A,150Bの回転により磁気メディア110をローバー20に対して相対的に直線移動させながら、各薄膜磁気ヘッド素子21のライト素子によって磁気メディア110に検査用信号を記録し、これを読み取りセンサ140で再生した結果に基づいて検査ユニット170が各薄膜磁気ヘッド素子21の特性を評価する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスクドライブ等に用いられる薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法及び装置に関する。
薄膜磁気ヘッド素子は、対を成すライト素子とリード素子で構成される。図9は、薄膜磁気ヘッド素子の構成を例示する断面図である。薄膜磁気ヘッド素子21において、ライト素子31は、コイル32に流れる電流から電磁誘導により発生する磁界によって信号を磁気ディスク50に記録する。リード素子41は、磁気抵抗素子(MR素子42)で磁気ディスク50上の磁界の向きを検出することによって信号を再生する。
図10は、薄膜磁気ヘッド素子の形成されたスライダの例示的な斜視図である。本図に示されるように、薄膜磁気ヘッド素子21は電極22とともにスライダ2の端部に位置する。図11は、スライダの製造方法の概念的説明図である。スライダを製造する際にはまず、ウェハ上に多数の薄膜磁気ヘッド素子を形成し、それを棒状に切断する(図11(A)→(B))。この棒状のものがローバーである。そしてローバーをさらに個片に切断することでスライダが得られる(図11(B)→(C))。1本のローバーから一般的に約80個のスライダが得られる。すなわち、1本のローバーには約80個の薄膜磁気ヘッド素子が存在する。
スライダは、図12(A),(B)に例示のように、HGA(Head Gimbal Assembly)の一部を成す。すなわち、スライダ2は、ロードビーム3及びフレキシャ5を有するサスペンション7(ジンバル)に組み付けられる。ロードビーム3は、金属製の板バネからなり、先端部にはフレキシャ5側に突出したディンプル11が形成されている。ロードビーム3及びフレキシャ5は、先端部を除いて例えば溶接されて一体化され、サスペンション7を成す。フレキシャ5は、本体部5aと、長方形状のタング5bとを有する。タング5bは、本体部5a先端側の辺のみが本体部5aに接続され、その他の辺は切断されている。タング5bの背面はディンプル11によって付勢(押圧)され、タング5bはロードビーム3と略平行となる。スライダ2は、タング5b上に固定され、タング5bを介してディンプル11に付勢されて実際の記録・再生において最適な姿勢が保たれる。
ハードディスクドライブ(以下「HDD」)では、高速回転する磁気ディスクとHGAのスライダとが非接触の状態で信号が磁気ディスクに記録され、また信号が磁気ディスクから再生される。HGAの最終検査は、実際のHDDに対する記録・再生と同じような状況を作り出して行う必要がある。これは例えば動特性検査といわれる。HGAの動特性検査に関しては種々の方法が提案されており、一般的には、HGAによる擬似メディアへのデータの記録(書込み)及び再生(読出し)の結果をオリジナルデータと比較して、出力レベルやビット欠落などを基にHGAの特性が評価される。
HGAの特性を検査する装置としては、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。
特開2002−373476号公報
HGAの最終検査は上記のとおり実際のHDDに対する記録・再生と同じような状況を作り出して行う必要があるため、1つの特性検査装置にHGAを1つずつ投入しなければならず、スループットの点で不利である。これを改善するために特性検査装置の台数を増やすと、コスト増大という問題がある。また、HGAが最終検査をパスしないと、サスペンション等の高価なパーツも廃棄しなければならず、結果的にコスト増大につながる。したがって、最終検査段階での不良品発生率は可能な限り低いことが望ましい。そこで検討すると、HGAが最終検査をパスしない原因の1つとして、薄膜磁気ヘッド素子の不良が考えられる。薄膜磁気ヘッド素子の不良はさらに、ライト素子の不良とリード素子の不良に分けられる。
ここで、リード素子については、外部磁界を与えることで特性(静特性)を得ることが可能なため、スライダ以降の工程のみならずローバーやウェハの状態で静特性検査を行うことができる。このため、リード素子が不良の薄膜磁気ヘッド素子を有するスライダは早い段階において比較的高い確率で除外することが可能である。つまり、HGAの最終検査の際にリード素子が不良である確率は比較的低い。
一方、ライト素子についてはリード素子のような静特性検査はできず、またライト素子の特性を検査する際にはディスクと薄膜磁気ヘッド素子とのギャップを高精度で管理する必要があるため、HGAの最終検査よりも前の工程でライト素子の検査をするのは困難といえる。このため、ライト素子についてはHGAの最終検査だけで良否判定をせざるを得ないのが現状である。したがって、HGAの最終検査の際に不良のライト素子が存在する確率はリード素子の場合と比較して高い。
このような問題は、垂直磁気記録方式ではより顕著となる。というのも、垂直磁気記録方式では水平磁気記録方式よりも記録密度が大きい(エネルギー分布が狭い)ため、薄膜磁気ヘッド素子の歩留まりが悪いからである。また、垂直磁気記録方式ではライト素子の特性を検査する際にディスクと薄膜磁気ヘッド素子とのギャップをナノメートル単位で管理する必要があり、HGAの最終検査よりも前の工程でライト素子の検査をするのは水平磁気記録方式の場合よりもさらに困難である。なお、水平磁気記録方式であっても垂直磁気記録方式であっても再生原理(読込み原理)は同じため、リード素子については上記の理由からHGAの最終検査に不良品が残る確率は比較的低い。
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、1つの特性検査装置にHGAを1つずつ投入して前記HGAの薄膜磁気ヘッド素子の特性を検査する場合よりも低コストでスループットを向上させることができ、かつ、HGAの最終検査よりも前に薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することの可能な、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法及び装置を提供することにある。
本発明の第1の態様は、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法である。この方法は、
可撓性又は柔軟性のある磁気メディアと、
1対のライト素子とリード素子を有する薄膜磁気ヘッド素子が複数個1列に整列して一体とされ、個片に切断することで1つの薄膜磁気ヘッド素子をそれぞれ有する複数のスライダとなるローバーとを用い、
前記ローバーを前記磁気メディアに接触させた状態で前記磁気メディアを前記ローバーに対して相対的に移動させながら、前記薄膜磁気ヘッド素子のライト素子によって前記磁気メディアのトラックに所定の信号を記録する記録工程と、
前記記録工程によって記録された前記所定の信号を、前記トラックをリード素子で横切りながら前記リード素子で再生する再生工程と、
前記再生工程における再生結果に基づいて前記薄膜磁気ヘッド素子の特性を評価する評価工程とを有する。
第1の態様の特性検査方法において、前記再生工程にて前記トラックを前記リード素子が横切るときの移動方向と、前記トラックの記録方向との成す角度が、0°を超え90°以下の鋭角であってもよい。
第1の態様の特性検査方法において、前記再生工程にて前記トラックを前記リード素子が横切るときの移動方向と、前記トラックの記録方向との成す角度が、30°以上60°以下であってもよい。
第1の態様の特性検査方法において、前記記録工程は、複数の薄膜磁気ヘッド素子のライト素子によって前記磁気メディアの別々のトラックに所定の信号を記録するものであるとよい。
この場合、前記再生工程は、前記複数の薄膜磁気ヘッド素子のリード素子によって、各トラックに記録された前記所定の信号を再生するものであるとよい。
第1の態様の特性検査方法において、前記再生工程は、前記所定の信号が記録されたトラックから、当該トラックへの記録を実行したライト素子と対を成すリード素子によって前記所定の信号を再生するものであるとよい。
第1の態様の特性検査方法において、複数の薄膜磁気ヘッド素子の各リード素子とは別の読み取りセンサをさらに用い、前記再生工程における再生を実行するリード素子を前記読み取りセンサとしてもよい。
本発明の第2の態様は、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置である。この装置は、
可撓性又は柔軟性のある磁気メディアと、
1対のライト素子とリード素子を有する薄膜磁気ヘッド素子が複数個1列に整列して一体とされ、個片に切断することで1つの薄膜磁気ヘッド素子をそれぞれ有する複数のスライダとなるローバーを、前記磁気メディアに接触可能に保持する保持手段と、
前記磁気メディアを前記ローバーに対して相対的に移動させる第1移動手段と、
前記保持手段によって前記ローバーが前記磁気メディアに接触保持されている状態で前記第1移動手段によって前記磁気メディアを前記ローバーに対して相対的に移動させながら前記薄膜磁気ヘッド素子のライト素子によって前記磁気メディアのトラックに記録した所定の信号を、前記トラックをリード素子で横切りながら前記リード素子で再生した結果に基づいて、前記薄膜磁気ヘッド素子の特性を評価する検査ユニットとを備える。
第2の態様の特性検査装置において、前記トラックを前記リード素子が横切るときの移動方向と、前記トラックの記録方向との成す角度が、0°を超え90°以下の鋭角であってもよい。
第2の態様の特性検査装置において、前記トラックを前記リード素子が横切るときの移動方向と、前記トラックの記録方向との成す角度が、30°以上60°以下であってもよい。
第2の態様の特性検査装置において、複数の薄膜磁気ヘッド素子のライト素子による所定の信号の記録が前記磁気メディアの別々のトラックに行われるとよい。
この場合、前記複数の薄膜磁気ヘッド素子のリード素子による前記所定の信号の再生が各トラックについて行われるとよい。
第2の態様の特性検査装置において、前記所定の信号が記録されたトラックから、当該トラックへの記録を実行したライト素子と対を成すリード素子によって前記所定の信号を再生するとよい。
第2の態様の特性検査装置において、当該装置はさらに、複数の薄膜磁気ヘッド素子の各リード素子とは別に設けれらた読み取りセンサと、前記読み取りセンサを前記磁気メディアに対して相対移動する第2移動手段とを備え、
前記第2移動手段によって前記トラックを横切るように相対移動されながら前記読み取りセンサが前記所定の信号を再生するとよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現をシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、可撓性又は柔軟性のある磁気メディアにローバーを接触させた状態で薄膜磁気ヘッド素子のライト素子によって前記磁気メディアに所定の信号を記録し、それを読み取りセンサで再生した結果に基づいて前記薄膜磁気ヘッド素子の特性を評価するので、磁気メディアと薄膜磁気ヘッド素子とのギャップの管理が不要となり、これにより、複数の薄膜磁気ヘッド素子が一体となっているローバーの状態で薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することが可能となる。したがって、1つの特性検査装置にHGAを1つずつ投入して前記HGAの薄膜磁気ヘッド素子の特性を検査する場合よりも低コストでスループットを向上させることができ、かつ、HGAの最終検査よりも前に薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、本発明の実施の形態に係る特性検査装置100の構成を例示する概念的斜視図である。特性検査装置100は、磁気メディア110と、保持手段の例示である第1ホルダ130と、読み取りセンサ140と、第1移動手段の例示である一対のローラ150A,150Bと、第2移動手段の例示である第2ホルダ160と、検査ユニット170とを備える。
磁気メディア110は、可撓性又は柔軟性のあるもので、例えば磁気テープを用いることができる。第1ホルダ130は、少なくとも上下方向(磁気メディア110との距離が変化する方向)に移動可能であり、例えば真空吸着や機械的チャックにより、ローバー20を磁気メディア110に接触可能に保持する。ローバー20は、1対のライト素子とリード素子を有する薄膜磁気ヘッド素子21が複数個1列に整列して一体とされ、個片に切断することで1つの薄膜磁気ヘッド素子21をそれぞれ有する複数のスライダとなるものである。
第2ホルダ160は、図示しない移動軸に取り付けられて少なくとも磁気メディア110の各トラックを横切る方向(図中、Y方向。例えばローラ150A,150Bの軸方向)と上下方向に移動可能であり、読み取りセンサ140を磁気メディア110に接触可能かつ各トラックを横切る方向に移動自在に保持する。
磁気メディア110が巻掛けられた一対のローラ150A,150Bは、モータ等の駆動手段(図示せず)によって回転され、これにより磁気メディア110をローバー20及び読み取りセンサ140に対して相対的に直線移動させる。直線移動の方向は好ましくはローバー20の長手方向に垂直な方向(図中、X方向)とする。検査ユニット170は、ローバー20の各薄膜磁気ヘッド素子21から磁気メディア110に記録した所定の信号(検査用信号)の再生結果に基づいて各薄膜磁気ヘッド素子21の特性を評価する。図2に拡大して示されるように、各薄膜磁気ヘッド素子21に対応する電極22に検査ユニット170のプローブ171が接している。プローブ171は第1ホルダ130側にて機械的に支持される。
(動作態様1)
図3は、図1に示される特性検査装置100による薄膜磁気ヘッド素子の特性検査の流れ(動作態様1)を示す概念的手順説明図である。以下、図1も参照しながら説明する。
・記録工程… 第1ホルダ130によりローバー20を磁気メディア110に接触させた状態に保持しつつ、ローラ150A,150Bの回転により磁気メディア110をローバー20に対して相対的に直線移動(図3ではXの正方向に直線移動)させながら、各薄膜磁気ヘッド素子21のライト素子によって磁気メディア110の別々のトラックに検査用信号を所定の長さ(例えば数cm)だけ記録する(図3(A)→(B))。各ライト素子による記録は好ましくは同時に行う。
・再生工程… 記録工程による記録後、第2ホルダ160により読み取りセンサ140を磁気メディア110に接触させた状態に保持して各トラックを横切るように移動させながら、読み取りセンサ140によって各トラックから検査用信号を部分的に再生する(図3(C),(D))。ここで、読み取りセンサ140が各トラックを横切る際の移動方向は各トラックの記録方向と略垂直とし、好ましくは移動速度は等速直線運動とする。なお、読み取りセンサ140で再生した信号は適宜メモリ(不図示)に記憶してもよい。
・評価工程… 再生工程における再生の結果に基づいて各薄膜磁気ヘッド素子21の特性を評価する。具体的には、例えば、薄膜磁気ヘッド素子21のライト素子によって記録された信号の物理的幅(以下「トラック幅」とも表記)を再生信号から導出し、それを基準値と比較した結果を基に特性を評価する。
(動作態様2)
図4は、図1に示される特性検査装置100による薄膜磁気ヘッド素子の特性検査の流れ(動作態様2)を示す概念的手順説明図である。動作態様2は、動作態様1と比較して、読み取りセンサ140が各トラックを横切る際の移動方向が各トラックの記録方向と所定の角度θ(θ<90°)を成している点で相違し、その他の点で一致している。図5に比較して示されるように、動作態様2は動作態様1と比較して長い領域を読み取れていることが分かる。角度θは鋭角とする。あるいは角度θは、30°≦θ≦60°とする。60°以下とするのは、読み取り距離を大きくする効果を必要量確保するためであり、30°以上とするのは、機構的な限界を考慮したものである。
(動作態様3)
図6は、図1に示される特性検査装置100による薄膜磁気ヘッド素子の特性検査の流れ(動作態様3)を示す概念的手順説明図である。動作態様3は、記録工程と評価工程に関しては動作態様1と同様である一方、動作態様1と異なり、再生工程における再生を薄膜磁気ヘッド素子21の各リード素子41が実行する。ここで、図1に示される第1ホルダ130は、図示しない移動軸に取り付けられて磁気メディア110の各トラックを横切るように移動可能であるものとする。なお、この場合は図1に示される読み取りセンサ140及び第2ホルダ160は不要である。以下、詳細に説明する。
図6(A),(B)の記録工程による記録後、ローラ150A,150Bの回転により磁気メディア110を記録時と逆方向(図中、Xの負方向)に移動させて記録時よりも短い距離(例えば記録時の半分程度)戻すとともに、ホルダ130の移動によりローバー20を各トラックの記録方向と略垂直(図中、Yの負方向)に1トラック分だけ移動させる(図6(C))。その後、ホルダ130の逆方向への移動によりローバー20を各トラックの記録方向と略垂直(図中、Yの正方向)に1トラック分だけ移動させて各薄膜磁気ヘッド素子21のリード素子41で別々の1トラックを横切りながらそのトラックから検査用信号を部分的に再生する(図6(D))。再生時の移動速度は好ましくは等速直線運動とする。なお、記録工程の後からリード素子による再生の前までの間は、ホルダ130を上方向に移動して磁気メディア110とローバー20との接触状態を解除してもよい。この場合、リード素子による再生開始前にホルダ130を下方向に移動して磁気メディア110とローバー20とを接触状態に保持する。
(動作態様4)
図7は、図1に示される特性検査装置100による薄膜磁気ヘッド素子の特性検査の流れ(動作態様4)を示す概念的手順説明図である。動作態様4は、動作態様3と比較して、各薄膜磁気ヘッド素子21のリード素子がトラックを横切る際の移動方向が各トラックの記録方向と所定の角度θ(θ<90°)を成している点で相違し、その他の点で一致している。角度θの範囲は、動作態様2の場合と同様に定められる。
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
(1) 可撓性又は柔軟性のある磁気メディア110にローバー20を接触させた状態で各薄膜磁気ヘッド素子21のライト素子によって磁気メディア110に所定の信号(検査用信号)を記録し、それを読み取りセンサ140で再生した結果に基づいて各薄膜磁気ヘッド素子21の特性を評価するので、磁気メディア110と薄膜磁気ヘッド素子21とのギャップの管理が不要となる。これにより、複数の薄膜磁気ヘッド素子が一体となっているローバーの状態で各薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することが可能となる。
(2) したがって、薄膜磁気ヘッド素子の特性を1つの特性検査装置につき1つずつの割合で検査する場合よりも低コストでスループットを向上させることができ、効率がよい。すなわち、本実施の形態で説明した検査は、新たに追加しても他の工程との関係でボトルネックにならず、導入しやすい。
(3) さらに、HGAの最終検査よりも前に薄膜磁気ヘッド素子の記録特性を検査することが可能となるため、記録特性が不良の薄膜磁気ヘッド素子を早い段階で除外することができ、HGAの最終検査時に記録特性が不良の薄膜磁気ヘッド素子が残っている確率を減らすことができる。すなわち、記録特性が不良の薄膜磁気ヘッド素子のためにサスペンション等の高価なパーツを廃棄する無駄が少なくなるため、コスト低減の点でも有利である。
(4) 可撓性又は柔軟性のある磁気メディア110を用いているので、装置機構に起因する誤差やローバー20の反りの影響を吸収することができ、第1ホルダ130によってローバー20を磁気メディア110に確実に接触させて保持することが可能となる。したがって、各薄膜磁気ヘッド素子21のライト素子から安定した信号の記録(書込み)を行うことができ、検査の信頼性が高い。なお、検査のためにローバー20と磁気メディア110とが接触して相対移動する距離は小さいため(例えば数cm)、検査のために薄膜磁気ヘッド素子21が損傷等するリスクはほとんどなく、また磁気メディア110の劣化も少ない。
(5) 上記動作態様1及び2の場合、各トラックに記録された検査用信号を同じ読み取りセンサ140で再生するので、トラックごとの再生品質が一定となり、記録特性の検査(ライト素子の検査)としての信頼性が高められる。
(6) 上記動作態様3及び4の場合、各トラックに記録された検査用信号を各薄膜磁気ヘッド素子21のリード素子で再生するので、各リード素子で各トラックの検査用信号を同時に再生することができて効率が良い。
(7) 上記動作態様2及び4の場合、リード素子で各トラックを垂直に横切る場合よりも長い領域を読み取れるため、トラック幅を精度良く導出できる。また、再生波形中にパルス的なオーバーシュートやアンダーシュートがあった場合に、それを見逃す可能性を低めることができる。
以下、本実施の形態の特性検査装置100の具体的構成を説明する。
図8は、図1に示される特性検査装置100の具体的な構成を例示する斜視図である。本図では、ローバー20の供給から検査、排出までを自動的に行う場合の構成を例示している。
筐体201は、上面が特性検査装置100の作業スペースを成す。制御盤205は、筐体201に内蔵され、特性検査装置100全体の動作を統括して制御する。カバー206は磁気メディアを保護するためのものであり、図1の磁気メディア110と、ローラ150A,150Bと、読み取りセンサ140と、第2ホルダ160とがカバー206で囲まれている。供給部210は、順次供給される未検査のローバー20を第1ホルダ130の下方に移送する。第1ホルダ130は移動軸215(X軸)に沿って横方向に移動可能であり、また、自身の内蔵する移動機構により上下方向に移動可能である。排出部220は、検査済みのローバー20を外部に移送する。モニタ207は、検査結果や装置全体の状況を使用者に知らせるためのものである。
図8の装置の流れを説明すると、まず、第1ホルダ130は、供給部210によって移送されてきた未検査のローバー20を保持し、移動軸215に沿って磁気メディア(カバー206内)の上方まで右方向に移動して下降する(カバー206の上側開口からローバー20を磁気メディアに接触させて保持する)。この状態で上述の記録工程から再生工程までが行われる。再生工程が済むと、上述の評価工程が行われるとともに、第1ホルダ130は上昇し、移動軸215に沿って排出部220の上方まで右方向に移動してローバー20を排出する。
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各工程には請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
実施の形態ではローラ150A,150Bの回転によって磁気メディア110をローバー20に対して相対的に直線移動させる場合を説明したが、変形例では第1ホルダ130がX軸方向に直線移動することで磁気メディア110をローバー20に対して相対的に直線移動させてもよい。また、ローラ150A,150Bに替えて磁気メディア110を所定の張力を以って固定する保持手段を設け、それを直線運動ガイドに取り付けてボールネジ等を介してモータによってローバー20に対して相対的に直線移動をさせてもよい。磁気メディア110とローバー20のいずれを動かすかは装置設計の都合に合わせて適宜決定することができる。
実施の形態では磁気メディアをローバーに対して相対的に直線移動させたが、変形例では磁気メディアを可撓性又は柔軟性のある円盤状のものとし、ローバーを半径方向に配置し、磁気メディアを回転移動させる構成としてもよい。
実施の形態では各ライト素子による検査信号の記録を同時に行う場合を説明したが、変形例では全てのライト素子ではなく2以上の任意の数のライト素子による記録を同時に行ってもよい。あるいは、ライト素子が1つずつ順番に記録を行ってもよい。上記動作態様3及び4の場合のリード素子についても同様のことがいえる。
実施の形態ではローバーに含まれる各薄膜磁気ヘッド素子の特性を検査する場合を説明したが、変形例ではローバーに含まれる一部の薄膜磁気ヘッド素子の特性を検査するのみとしてもよい。また、ローバーに含まれる一部の薄膜磁気ヘッド素子について上記の記録工程から評価工程までを実行して特性を検査し、その後、ローバーに含まれる残りの薄膜磁気ヘッド素子について同様に特性を検査してもよい。
本発明の実施の形態に係る特性検査装置の構成を例示する概念的斜視図。 図1に示される特性検査装置の部分拡大図。 図1に示される特性検査装置による薄膜磁気ヘッド素子の特性検査の流れ(動作態様1)を示す概念的手順説明図。 図1に示される特性検査装置による薄膜磁気ヘッド素子の特性検査の流れ(動作態様2)を示す概念的手順説明図。 動作態様1(図3)及び動作態様2(図4)の場合の再生信号の比較図。 図1に示される特性検査装置による薄膜磁気ヘッド素子の特性検査の流れ(動作態様3)を示す概念的手順説明図。 図1に示される特性検査装置による薄膜磁気ヘッド素子の特性検査の流れ(動作態様4)を示す概念的手順説明図。 図1に示される特性検査装置の具体的な構成を例示する斜視図。 薄膜磁気ヘッド素子の構成を例示する断面図。 薄膜磁気ヘッド素子の形成されたスライダの例示的な斜視図。 スライダの製造方法の概念的説明図。 HGAの形状説明図であり、(A)は側面図、(B)は底面図。
符号の説明
20 ローバー
21 薄膜磁気ヘッド素子
22 電極
31 ライト素子
41 リード素子
100 薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置
110 磁気メディア
130 第1ホルダ
140 読み取りセンサ
150A,150B ローラ
160 第2ホルダ
170 検査ユニット
201 筐体
205 制御盤
206 カバー
207 モニタ
210 供給部
215 移動軸
220 排出部

Claims (14)

  1. 可撓性又は柔軟性のある磁気メディアと、
    1対のライト素子とリード素子を有する薄膜磁気ヘッド素子が複数個1列に整列して一体とされ、個片に切断することで1つの薄膜磁気ヘッド素子をそれぞれ有する複数のスライダとなるローバーとを用い、
    前記ローバーを前記磁気メディアに接触させた状態で前記磁気メディアを前記ローバーに対して相対的に移動させながら、前記薄膜磁気ヘッド素子のライト素子によって前記磁気メディアのトラックに所定の信号を記録する記録工程と、
    前記記録工程によって記録された前記所定の信号を、前記トラックをリード素子で横切りながら前記リード素子で再生する再生工程と、
    前記再生工程における再生結果に基づいて前記薄膜磁気ヘッド素子の特性を評価する評価工程とを有する、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  2. 請求項1に記載の特性検査方法において、前記再生工程にて前記トラックを前記リード素子が横切るときの移動方向と、前記トラックの記録方向との成す角度が、0°を超え90°以下の鋭角である、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  3. 請求項1に記載の特性検査方法において、前記再生工程にて前記トラックを前記リード素子が横切るときの移動方向と、前記トラックの記録方向との成す角度が、30°以上60°以下である、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の特性検査方法において、前記記録工程は、複数の薄膜磁気ヘッド素子のライト素子によって前記磁気メディアの別々のトラックに所定の信号を記録するものである、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  5. 請求項4に記載の特性検査方法において、前記再生工程は、前記複数の薄膜磁気ヘッド素子のリード素子によって、各トラックに記録された前記所定の信号を再生するものである、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の特性検査方法において、前記再生工程は、前記所定の信号が記録されたトラックから、当該トラックへの記録を実行したライト素子と対を成すリード素子によって前記所定の信号を再生するものである、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  7. 請求項1から4のいずれかに記載の特性検査方法において、複数の薄膜磁気ヘッド素子の各リード素子とは別の読み取りセンサをさらに用い、前記再生工程における再生を実行するリード素子を前記読み取りセンサとしている、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査方法。
  8. 可撓性又は柔軟性のある磁気メディアと、
    1対のライト素子とリード素子を有する薄膜磁気ヘッド素子が複数個1列に整列して一体とされ、個片に切断することで1つの薄膜磁気ヘッド素子をそれぞれ有する複数のスライダとなるローバーを、前記磁気メディアに接触可能に保持する保持手段と、
    前記磁気メディアを前記ローバーに対して相対的に移動させる第1移動手段と、
    前記保持手段によって前記ローバーが前記磁気メディアに接触保持されている状態で前記第1移動手段によって前記磁気メディアを前記ローバーに対して相対的に移動させながら前記薄膜磁気ヘッド素子のライト素子によって前記磁気メディアのトラックに記録した所定の信号を、前記トラックをリード素子で横切りながら前記リード素子で再生した結果に基づいて、前記薄膜磁気ヘッド素子の特性を評価する検査ユニットとを備える、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  9. 請求項8に記載の特性検査装置において、前記トラックを前記リード素子が横切るときの移動方向と、前記トラックの記録方向との成す角度が、0°を超え90°以下の鋭角である、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  10. 請求項8に記載の特性検査装置において、前記トラックを前記リード素子が横切るときの移動方向と、前記トラックの記録方向との成す角度が、30°以上60°以下である、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  11. 請求項8から10のいずれかに記載の特性検査装置において、複数の薄膜磁気ヘッド素子のライト素子による所定の信号の記録が前記磁気メディアの別々のトラックに行われる、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  12. 請求項11に記載の特性検査装置において、前記複数の薄膜磁気ヘッド素子のリード素子による前記所定の信号の再生が各トラックについて行われる、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  13. 請求項8から12のいずれかに記載の特性検査装置において、前記所定の信号が記録されたトラックから、当該トラックへの記録を実行したライト素子と対を成すリード素子によって前記所定の信号を再生する、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
  14. 請求項8から11のいずれかに記載の特性検査装置において、当該装置はさらに、複数の薄膜磁気ヘッド素子の各リード素子とは別に設けれらた読み取りセンサと、前記読み取りセンサを前記磁気メディアに対して相対移動する第2移動手段とを備え、
    前記第2移動手段によって前記トラックを横切るように相対移動されながら前記読み取りセンサが前記所定の信号を再生する、薄膜磁気ヘッド素子の特性検査装置。
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