JP2009210700A - 狭帯域能動騒音制御方法および狭帯域能動騒音制御装置 - Google Patents

狭帯域能動騒音制御方法および狭帯域能動騒音制御装置 Download PDF

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Abstract


【課題】周波数の推定が可能な騒音を、効率よく消音でき、周波数の推定誤差が生じても、消音効果が低下しない狭帯域能動騒音制御方法を提供する。
【解決手段】係数c(n)を有する所定の式で、消音対象の周波数の音波を疑似する参照信号を生成する。1次のFIRフィルタによって、参照信号の振幅と位相を変化させて制御信号を演算する。制御信号によって2次音波を発生して、騒音と干渉させる。干渉後の残音が最小になるように、係数c(n)と1次のFIRフィルタを適応させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、主に周波数の推定が可能な音波から構成される騒音に対して、該音波と等しい音圧で逆位相の2次音波を発生して干渉させて、能動的に消音する狭帯域能動騒音制御方法に関し、限定するものではないが、ストランドカッターや押出機等の生産機械や工作機械の騒音の消音に適用して好適な、狭帯域能動騒音制御方法および狭帯域能動騒音制御装置に関するものである。
生産機械や工作機械には、モータ、減速機等の回転駆動部が設けられており、回転駆動部から騒音が発生する。例えば、ストランドカッターは、従来周知のように押出機、押出機の先端部に設けられているダイス、ダイスに対応して設けられているカッター装置等から構成されている。押出機から押し出される溶融樹脂は、ダイスに明けられた複数個のノズル孔からストランド状に押し出されて冷却され、回転するカッターでペレット状に切断される。このようなストランドカッターでは、主としてカッターを回転する回転駆動部から騒音が発生する。従来周知の押出機も回転駆動部が設けられている。すなわち押出機は、シリンダ、シリンダ内で回転するスクリュ、シリンダ先端に取り付けられているダイス等から構成され、シリンダ内に供給された樹脂は、シリンダ内で回転するスクリュで溶融されて押し出されるようになっている。従って、押出機にもスクリュを回転する回転駆動部が設けられており、ストランドカッター同様に騒音が発生する。このような生産機械や工作機械から発生する騒音には、回転駆動部の回転数に依存する複数の周波数の音波が多く含まれており、比較的低周波数のものが多い。
近年、工場の作業環境の向上のため、騒音低減に対する要求が厳しくなってきており、工場に設置される生産機械の騒音低減が強く求められている。従来周知の吸音材や遮音壁等の利用により消音する、いわゆる受動的騒音対策も実施されてはいるが、これらの受動的騒音対策は、高周波数の騒音に対しては効果があるものの、低周波数の騒音に対しては消音効果は高くない。低周波数の騒音を十分に消音するためには相当の厚さの遮音壁等が必要になり、おおよそ実用的ではない。そこで、騒音発生源の近傍に2次音源のスピーカを設けて、騒音に対して等しい音圧で逆位相の2次音波を発生させ、騒音と干渉させて消音する、いわゆる、能動騒音制御技術を採用することが有効とされている。
能動騒音制御には色々な方法があるが、消音対象の周波数を特定せずに多数の周波数の音波を同時に消音する、いわゆる広帯域能動騒音制御方法、消音対象の周波数を特定して消音する、いわゆる狭帯域能動騒音制御方法、等が知られている。
広帯域能動騒音制御方法は、騒音をマイクロフォン等で検出して参照信号として取り出す参照信号検出部と、騒音と干渉させる2次音波を発生する2次音源と、干渉後の音圧、すなわち残音信号を検出するエラーマイクロフォンと、制御部とから構成されている。制御部は、検出された参照信号に所定の演算を施して制御信号を求め、求められた制御信号は、D/A変換器でアナログ信号に変換されて、2次音源に送られる。そうすると2次音源から2次音波が発生する。騒音は2次音波で干渉され、干渉後の騒音は、エラーマイクロフォンで残音信号として検出される。制御部は、残音信号が最小になるように前記の所定の演算に関するパラメータを適応させる。適切に適応されると、騒音が効果的に消音される。前記した参照信号に施す所定の演算は、従来周知のFIRフィルタによる畳み込み演算で実施され、適応は比較的演算数が少なくて済む、Filterd−X Least Mean Squareアルゴリズム、いわゆるFxLMSアルゴリズムで実施されることが多い。詳しくは説明しないが、FIRフィルタの次数を小さくすると、消音できる周波数の個数が少なくなり、次数を大きくすると消音できる周波数の個数は多くなる。しかしながら、次数が大きいと適応の収束特性が大きく悪化する傾向があるし、演算量が多くなり高価なコントローラを必要とする。また、消音対象の周波数を特定できないので、消音したい音波に適応されるとは限らず、消音したい音波を確実に消音できる保証は無い。
一方、狭帯域能動騒音制御方法は、広帯域能動制御方法とほぼ同じように構成されているが、参照信号検出部は設けられてはいない。その代わりに、必要に応じて騒音源の振動数、回転数等を検出する同期信号検出部が設けられている。この制御方法では、予め消音対象の音波の周波数が決定される。あるいは、同期信号検出部から検出された回転数等の同期信号を元に、消音対象の音波の周波数が推定される。制御部は、決定または推定された周波数の正弦波を生成して参照信号とする。この正弦波は、消音対象の音波であると見なすことができる。そして、制御部は参照信号に対して、次数が1のFIRフィルタで畳み込み演算して制御信号を求める。そうすると、求められた制御信号は、参照信号の正弦波の位相と振幅を変化させたものになる。前記したように制御信号をアナログ信号に変換して2次音波を発生すると、消音対象の音波と干渉させることができる。そして、適応が適切に行われると、2次音波の振幅は、消音対象の音波の振幅と等しくなり、2次音波の位相は、消音対象の音波と逆位相になって、消音対象の音波と2次音波は効率よく干渉される。このように、狭帯域能動騒音制御方法では、消音対象の周波数を特定して消音できるので、消音したい周波数の音波を確実に消音できる。また、FIRフィルタの次数が1であるので、適応に必要な演算量は限られており、消音対象の周波数の音波が複数個であったとしても、必要な演算量は消音対象の周波数の個数に比例して増加するだけで、安価なコントローラで実施できる。前記したように、生産機械等が発する騒音は、回転駆動部からのものが多く、騒音を構成する多くの音波の周波数は、回転数に依存している。つまり、このような音波は、回転数計、振動計等から周波数を推定することが可能である。従って、生産機械等が発する騒音に対しては、消音したい周波数の音波を特定して消音する、狭帯域能動騒音制御方法の適用が有利である。
特開2003−45726号公報 特開2002−123260号公報
特許文献1には、騒音源である変圧器を遮音壁で囲うと共にダクトを設けて一部を開口させ、ダクト内に設けられた2次音源から2次音波を発生して騒音を消音する、能動騒音制御装置が記載されている。この能動騒音制御装置によると、騒音はダクト内に誘導されてダクト内を一方向に伝播するので、すなわち1次元方向にのみ伝播するので、騒音を容易に消音することができる。
特許文献1に記載の能動騒音制御装置のように生産機械にダクトを設けて、狭帯域能動騒音制御方法を適用することも考えられる。このようにすると、騒音はダクト内に誘導されて一方向に伝播するので容易に消音できるし、対象の周波数の音波を確実に消音できるので、生産機械の騒音を効率よく消音できる。しかしながら、解決すべき問題点も認められる。例えば、狭帯域能動騒音制御方法では、消音対象の音波の周波数を推定して、その周波数の音波を消音しようとするので、実際の周波数と推定された周波数との間の誤差、いわゆるFrequency Mismatch(FM)が存在すると、消音効果は大きく低下する。生産機械の騒音のうち、大部分の音波の周波数は比較的推定が可能とはいえ、計測の精度、機器の経年変化や疲労、計算誤差等によりFMが生じる可能性があるので、十分な消音効果が得られない恐れがある。
2次経路の伝達特性の推定についての問題もある。能動騒音制御方法を行う場合、2次音源からエラーマイクロフォンまでの音波の伝達特性、すなわち2次経路の伝達特性を推定しておく必要があるが、特許文献1には2次経路の伝達特性を推定する方法については格別に提案されていない。一方、特許文献2には、騒音が発生していないとき、すなわち消音していない時を利用して、2次音源から白色雑音を発生させて、2次経路の伝達特性を推定する方法が記載されている。しかしながら、2次経路の伝達特性は室温が変化しても変化するし、ダクトを経由して樹脂材料を搬送したり、樹脂製品を搬出するときには、これらの樹脂材料や樹脂製品の流れの状態によっても変化する。従って、消音している間にも少しずつ変化してしまい、推定された伝達特性は実際の伝達特性と異なってしまう可能性が高い。常に白色雑音を2次音源に注入して、伝達特性を推定し続けることも考えられるが、特許文献2に記載の方法では、注入する白色雑音に対してその音圧を低減するような格別の考慮が全く払われていないので、白色雑音自体が新たな騒音になる恐れもある。
生産機械にダクトを設ける点についても問題が認められる。例えば、ストランドカッターや押出機のような生産機械は、外部との物の出入りが無い変圧器とは異なり、外部から材料を投入したり、機械によって生産された生産物を外部へ搬出する必要がある。従って、単純に生産機械を遮音壁とダクトで囲うことはできない。
本発明は、上記した問題点を解決しようとするものであり、本発明の目的は、生産機械が発する騒音のように、周波数を推定し易い音波が多く含まれている騒音を、効率よく消音することができると共に、FMによって消音効果が低下する恐れもなく、安価なコントローラで実施可能な、能動騒音制御方法を提供することである。他の発明の目的は、オンラインで2次経路の伝達特性を正確に推定できると共に、新たな騒音源になることがほとんどない、白色雑音の注入方法を提供することであり、さらに他の発明の目的は、より安価なコントローラで実施できるように、必要な演算量が少ない能動消音制御方法を提供することである。また、他の発明の目的は、工作機械や生産機械が発生する騒音を効果的に消音でき、これらの機械に適用しても、外部から材料を投入したり、外部へ生産物を搬出する妨げにならず、安価に実施することができる、能動騒音制御装置を提供することである。
本発明は、上記の目的を達成するために、正弦波からなる参照信号を、所定の係数c(n)を有する所定の式で生成して、次数が1次のFIRフィルタで参照信号を畳み込み演算して制御信号を得ると共に、係数c(n)と1次のFIRフィルタを、残音信号等によって適応するように構成される。このとき、係数c(n)の適応に用いられるステップサイズパラメータと、1次のFIRフィルタの適応に用いられるステップサイズパラメータ、または忘却係数は、所定の関係で与えるように構成される。また、係数c(n)から導かれる角周波数を監視して、回転数や振動数から決定される基準角周波数との間に所定のずれが生じた場合、係数c(n)を初期化するように構成される。他の発明は、2次経路の伝達特性の推定を目的として制御信号に注入される白色雑音は、強度調節パラメータが乗じられて注入され、強度調節パラメータは所定の式で与えられるように構成される。また、他の発明は、参照信号を畳み込み演算して制御信号を得る、1次のFIRフィルタをFilterd−X Recursive Least Squareアルゴリズム、いわゆるFxRLSアルゴリズムで適応させるとき、FxRLSアルゴリズムで使用される2×2のゲイン行列の対角要素が等しいとして計算するように構成される。さらに、他の発明は、工作機械や生産機械に設けられる能動騒音制御装置は、材料入り口や生産物出口に設けられているダクトと、ダクト内に設けられている2次音源とエラーマイクロフォンと、コントローラとで構成され、2次音源とエラーマイクロフォンには保護金網が被せられるように構成されている。
以上のように、本発明によると、正弦波からなる参照信号を、所定の係数c(n)を有する所定の式で生成すると共に、次数が1次のFIRフィルタで参照信号を畳み込み演算して制御信号を得るように構成されているので、係数c(n)を調節すれば周波数を調節でき、1次のFIRフィルタを調節すれば振幅と位相を調節できる。従って、生成される制御信号が表す正弦波は、周波数と振幅と位相が自由に調節され、制御信号によって発生する2次音波で消音対象の周波数の音波を容易に消音できる。また、FMが生じたとしても、係数c(n)が適応されて、参照信号の正弦波の周波数が消音対象の音波の周波数になるように調節されるので、FMを自動的に解消できる、という本発明に特有の効果も得られる。さらに、係数c(n)とFIRフィルタとを適応させる、ステップサイズパラメータや忘却係数は、所定の関係で与えられるので、適応は速やかに行われて、必要な演算量が少なくて済む。また、FIRフィルタの次数は1なので、適応に必要な演算量も少なくて済み、安価なコントローラで実施できる。また、係数c(n)から導かれる角周波数を監視して、回転数や振動数から決定される基準角周波数との間に所定のずれが生じた場合、係数c(n)数を初期化するように構成されているので、係数c(n)の適応が適切になされずに消音対象の周波数に適応されなかったとしても、その後消音対象の周波数に適切に適応されることが保証される。
他の発明は、制御信号に注入される白色雑音は、所定の式で与えられる強度調節パラメータが乗じられて注入されるように構成されているので、2次経路の伝達特性の推定は速やかに行われ、最終的に注入される白色雑音は小さく、新たな騒音になる恐れが小さいという本発明に特有の効果も得られる。そして、他の発明は、参照信号を畳み込み演算して制御信号を得る、1次のFIRフィルタを、FxRLSアルゴリズムで適応させるとき、FxRLSアルゴリズムで使用される2×2のゲイン行列の対角要素が等しいとして計算するように構成されるので、従来周知のFxRLSアルゴリズムに比べて必要な演算数が約2/3で済み、より安価なコントローラでも実施することができる。さらに、他の発明は、生産機械や工作機械に設けられる能動騒音制御装置は、材料入り口や生産物出口に設けられているダクトと、ダクト内に設けられている2次音源とエラーマイクロフォンと、コントローラとで構成され、2次音源とエラーマイクロフォンには保護金網が被せられるように構成されているので、生産機械への材料の搬入や生産機械からの生産物の搬出が妨げられる恐れもなく、2次音源やエラーマイクロフォンが、これらの材料や生産物がぶつかって破損する恐れが無い。また、能動騒音制御装置は、既存の生産機械に簡単に設けることができるので、能動騒音制御装置を安価に提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の第1の実施の形態に係る能動騒音制御装置1は、図1の(ア)に示されているように、従来周知のストランドカッター装置2に設けられている。ストランドカッター装置2の材料入り口3には、第1のダクトD1が設けられ、ペレット出口4には、第2のダクトD2が設けられている。ダクトD1、D2は、ストランドカッター装置2内の回転駆動部を主な発生源とする騒音を、一方向に伝播させて消音するためのものであるが、材料入り口3への材料の供給やペレット出口4からのペレットの排出もできるようになっており、生産が妨げられることは無い。第1のダクトD1、第2のダクトD2の内部には、それぞれの所定の位置に、2次音波を発生する2次音源SP1、SP2が設けられていると共に、ダクトD1、D2の出口近傍に、2次音源SP1、SP2から離間して、エラーマイクロフォンE1、E2が設けられている。そして、2次音源SP1、SP2と、エラーマイクロフォンE1、E2には、材料やペレットが接触して破損しないように、保護金網6、6、…が被せられている。第1のダクトD1、第2のダクトD2内を伝播するそれぞれの騒音は、CPU、メモリ等からなるコントローラで能動騒音制御されて消音されるようになっているが、図には、ハードウエアとしてのコントローラは示されておらず、第1の能動騒音制御部S1と第2の能動騒音制御部S2の2個の機能ブロックが示されている。第1と第2の能動騒音制御部S1、S2には、2次音源SP1、SP2が信号ラインL11、L12を介してそれぞれ接続されて、2次音波の出力のための制御信号を2次音源SP1、SP2に送信できるようになっており、エラーマイクロフォンE1、E2は信号ラインL21、L22を介して能動騒音制御部S1、S2にそれぞれ接続されて、騒音に2次音波を干渉させた後の音圧を、残音信号として受信できるようになっている。さらに、第1と第2の能動騒音制御部S1、S2には、ストランドカッター装置2の回転駆動部に関連して設けられている回転数計9も、信号ラインL31、L32を介してそれぞれ接続され、回転数、すなわち同期信号を受信できるようになっている。
本発明の第2の実施の形態に係る能動騒音制御装置11は、図1の(イ)に示されているように、従来周知の押出機12に設けられている。押出機12の主要部15は、図には示されていないが、シリンダ、シリンダ内に設けられ軸方向に回転するスクリュ、シリンダの先端に取り付けられているダイス、シリンダに樹脂材料を供給するホッパ、等からなる。このような押出機12の主要部15のスクリュは、モータ16、モータ16の回転を減速する減速機17、減速機17の回転を伝達する回転伝達部18、等からなる回転駆動部によって回転駆動される。能動騒音制御装置11は、このような回転駆動部を覆う遮音筐体21、回転伝達部18に被せるように設けられている第1のダクトD3、モータ16から発生する熱を逃がすファン23、ファン23の排気口に設けられている第2のダクトD4、等から構成されている。第1のダクトD3、第2のダクトD4の内部には、それぞれの所定の位置に、2次音波を発生する2次音源SP3、SP4が設けられていると共に、ダクトD3、D4の出口近傍に、2次音源SP3、SP4から離間して、エラーマイクロフォンE3、E4が設けられている。そして、第1、第2のダクトD3、D4内を伝播するそれぞれの騒音は、コントローラで能動騒音制御されて消音されるようになっているが、図には、第1の能動騒音制御部S3と第2の能動騒音制御部S4の2個の機能ブロックとして示されている。第1と第2の能動騒音制御部S3、S4には、2次音源SP3、SP4が信号ラインL13、L14を介してそれぞれ接続されて、2次音波の出力のための制御信号を2次音源SP3、SP4に送信できるようになっており、エラーマイクロフォンE3、E4は信号ラインL23、L24を介してそれぞれ接続されて、騒音に2次音波を干渉させた後の音圧を残音信号として受信できるようになっている。さらに、第1の能動騒音制御部S3には、モータ16に関連して設けられている回転数計24が信号ラインL33を介して接続され、第2の能動騒音制御部S4には、ファン23に関連して設けられている回転数計25が信号ラインL34を介して接続され、それぞれ回転数等の同期信号を受信できるようになっている。
以下、本実施の形態に係る能動騒音制御方法について説明するが、最初に本明細書で使用されるいくつかの用語についてそれらの定義を明確にすると共に、一部の表記法についても説明する。
一般的に能動騒音制御方法においては、アナログ信号である音波は、短い周期でサンプリングされて、サンプル点の列、すなわち離散値の列として扱われる。そして離散値は計算機でデジタル処理される。このように離散値がデジタル処理される技術分野においては、用語「角周波数」は前回と今回のサンプル点の位相差、すなわち、サンプリング毎の位相差の意味で使用されることもある。しかしながら、本明細書においては、用語「角周波数」は本来の意味で使用されるものとし、単位時間あたりの位相差、すなわち1秒間あたりの位相差を意味する。同様に用語「周波数」も単位時間あたりの回数、すなわち1秒間あたりの回数の意味で使用される。従って、用語「サンプリング周波数」は、上記の定義にならって、1秒間あたりのサンプリング回数、すなわちサンプリング数を意味する。
本明細書においては、表記「hat_X」は、下記を意味するものとする。
本実施の形態に係る能動騒音制御方法は、能動騒音制御部S1、S2、S3、S4において実施される能動騒音制御方法であり、図2のブロック図で示されているように、3個の機能ブロックなどから構成されている。すなわち、音波を擬似する正弦波を参照信号として生成する、参照信号生成ブロック30、参照信号にFIRフィルタによる畳み込み演算を行って、2次音波生成のための制御信号を得る、制御信号演算ブロック40、2次経路の伝達特性を推定する、2次経路伝達特性推定ブロック50などから構成されている。2次経路伝達特性推定ブロック50は1個だけ設けられているが、参照信号生成ブロック30と制御信号演算ブロック40は、通常は複数個設けられている。参照信号生成ブロック30と制御信号演算ブロック40は1組で1個の周波数の音波を消音するように構成されているので、q個の異なる周波数の音波を消音する場合、参照信号生成ブロック30と制御信号演算ブロック40の組がq組設けられることになる。以下、消音対象のq個の異なる周波数の音波のうち、i番目の周波数の音波を音波iと呼び、代表して音波iの消音について説明する。なお、参照信号生成ブロック30や制御信号演算ブロック40等はq個設けられているが、説明が煩雑にならないように、例えば、i番目の参照信号生成ブロック30については単に参照信号生成ブロック30と呼ぶことにする。
参照信号生成ブロック30の参照信号の生成方法について説明する。まず、従来周知の狭帯域能動騒音制御方法の参照信号の生成方法について説明した後で、参照信号生成ブロック30による方法を説明する。従来周知の方法では、消音対象の音波の周波数を決定、あるいは推定するが、ここでは推定するものとする。まず、回転数計から得られる回転数等の同期信号から、音波iの周波数f、すなわち角周波数ω(=2π・f)を推定する。例えば、回転数に所定の定数を乗じて角周波数ωを推定することができる。そして、推定された角周波数ωと時間パラメータtにより、正弦波sin(ω・t)を生成する。この正弦波を所定の周期でサンプリングしたものが参照信号になる。このような参照信号は、ちょうど音波iを疑似した信号になっている。すなわち、固定の位置で検出される任意の時刻の音波iは、振幅をAとすると、A・sin(ω・t)で表されるが、このうち、振幅のパラメータAを除いたものが前記の正弦波になっている。このような参照信号の最新のサンプリング点をx(n)、1系列前のサンプリング点をx(n−1)、2系列前のサンプリングをx(n−2)、…と表記すると、参照信号は、系列{x(n)、x(n−1)、x(n−2)…}として表記することが出来る。
参照信号生成ブロック30は、上記の正弦波の参照信号{x(n)、x(n−1)、x(n−2)…}を所定の式によって生成する。具体的には、参照信号は、下記の1式によって生成される。
1式は、任意の正弦波が2次のARモデルに従うことを利用して作成された式であり、図2においては符号31のブロックで示されている。x(1)と、x(2)が与えられると、1式によってx(3)が得られ、x(2)と得られたx(3)とによってx(4)が得られ、以下同様に計算して参照信号{x(n)、x(n−1)、x(n−2)…}が生成される。このようにして生成される参照信号は、下記の2式を満たす角周波数ω(n)の正弦波のサンプリング系列になっている。
従って、任意の角周波数ω(n)の正弦波からなる参照信号は、2式を満たすように係数c(n)の値を調節すれば、1式によって生成できる。
このように、係数c(n)の値を変えると、正弦波の角周波数ω(n)を変化させることができる。従って、実際の周波数と推定された周波数との間の誤差、すなわちFMが生じたとしても、係数c(n)を適切な値にすればFMを解消することができる。FMに対して適切に対応できない、従来周知の狭帯域能動騒音制御方法とは異なる点である。係数c(n)を適切な値にするのは、LMSアルゴリズムに類似する適応によって行う。詳細については後述する。
制御信号演算ブロック40について説明する。制御信号演算ブロック40は、参照信号にFIRフィルタによる畳み込み演算を施して、2次音波を発生するための制御信号を演算する。FIRフィルタは、フィルタ係数がhi,0(n)とhi,1(n)の2個の、次数が1のものが採用されている。正弦波を表す参照信号に1次のFIRフィルタで畳み込み演算を施すと、振幅(magnitude)と位相(phase)が変化した制御信号が得られる。従って、前記の1次のFIRフィルタは、振幅位相調整器、すなわちMPA(Magnitude/Phase Adjuster)とも呼ばれる。MPAは符号41で示されている。参照信号生成ブロック30の係数c(n)で周波数を調節し、MPAで振幅と位相を調節すれば、任意の正弦波を表す制御信号を得ることができる。制御信号は、参照信号から、下記の3式で得られる。
音波1、…i、…qに対応してそれぞれ求められた制御信号y1(n)、…y(n)、…yq(n)を、加算器42で合計して制御信号合計値y(n)を得る。次いで、制御信号合計値y(n)をD/A変換器でアナログ変換して2次音源SP1、SP2、…から2次音波として出力する。このようにして出力される2次音波は、個々の制御信号y(n)を個々にD/A変換器でアナログ変換して、個々に2次音源SP1、SP2、…から出力させた2次音波が合成されたもの、と考えることもできる。なお、制御信号合計値y(n)には、強度調節済み白色雑音d(n)も加算されているが、強度調節済み白色雑音d(n)については後で説明する。
出力された2次音波は、2次音源SP1、SP2、…からエラーマイクロフォンE1、E2、…までの音波の伝達経路、すなわち、符号43で示されている、2次経路の伝達特性S(z)に従って伝播して、エラーマイクロフォンE1、E2、…に到達する。到達した2次音波は信号ys(n)として図に示されている、騒音p(n)と信号ys(n)は、符号44で示されているように加算され、すなわち干渉して、エラーマイクロフォンE1、E2、…において検出残音信号e(n)として検出される。このような検出残音信号e(n)は、騒音に含まれている個々の音波1、…qを、対応する制御信号y1(n)、…yq(n)による2次音波で干渉した後の、残音の音圧である。
係数c(n)とMPAが適切に調節されれば、音波iと効率よく干渉する2次音波を発生させることができ、騒音は効率よく消音される。係数c(n)とMPAの調節は、具体的には、残音信号を用いた適応によって行われ、残音信号が最小になるように、係数c(n)とMPAを適応させると、騒音は効率よく消音されることになる。このように適応には、残音信号が用いられるが、残音信号として検出残音信号e(n)が用いられることもあるし、白色雑音加算残音信号e0(n)が用いられることもある。白色雑音加算残音信号e0(n)については、後で詳しく説明するが、2次経路の伝達特性を推定する際に、検出残音信号e(n)に濾波白色雑音yd(n)が加算されたものである。本明細書においては、残音信号は、検出残音信号e(n)と白色雑音加算残音信号e0(n)の総称である。残音信号の用語が単独で使用された場合、残音信号は、白色雑音が注入されていないときには検出残音信号e(n)を、白色雑音が注入されているときには白色雑音加算残音信号e0(n)を、それぞれ意味するものとする。
制御信号演算ブロック40の適応、すなわちMPAの適応について説明する。MPAの適応は、符号47のブロックで示されている様に、従来周知のFxLMSアルゴリズムで実施することもできるし、従来周知のFxRLSアルゴリズムでも実施できる。また、新規なアルゴリズム、すなわち、後で説明するFastFxRLS(FFxRLS)アルゴリズムでも実施できる。いずれのアルゴリズムによって適応させる場合にも、参照信号を2次経路の伝達特性Sでフィルタリングして得られる、いわゆる濾波参照信号を求める必要がある。実際には、2次経路の伝達特性S(z)の正確な特性は分からないので、2次経路の推定された伝達特性hat_S(z)をFIRフィルタで表現する。そして、以下の4式のように、参照信号にFIRフィルタで畳み込み演算を行って、濾波参照信号hat_xi,s(n)を得る。以下、2次経路の推定された伝達特性hat_S(z)を、単に2次経路の伝達特性hat_S(z)と呼ぶ。
4式中で、FIRフィルタのj次の係数hat_sj(n)を、系列を表す(n)を付して表記しているのは、本実施の形態に係る能動騒音制御方法においては、2次経路の伝達特性を表すFIRフィルタも適応されて更新されるからであり、(n)は係数の最新の値であることを意味している。濾波参照信号hat_xi,s(n)の計算は、符号46のブロックで示されている。
MPAをFxLMSアルゴリズムで適応させる方法について説明する。FxLMSアルゴリズムによって、MPAの2個のフィルタ係数hi,0(n)、hi,1(n)は、上式で得られた濾波参照信号hat_xi,s(n)と残音信号により、下記の5式で更新される。
5式では、適応に白色雑音加算残音信号e0(n)が用いられている。しかし、後で説明する白色雑音注入による2次経路の伝達特性の推定を実施しない場合には、5式において、白色雑音加算残音信号e0(n)の代わりに検出残音信号e(n)が用いられることになる。
MPAをFxRLSアルゴリズムで適応させる方法について説明する。FxRLSアルゴリズムも従来周知であり、残音信号を用いて、下記の6式、7式で適応させる。なお、6式、7式中で(n)が付されている変数等は、最新(n番目)のものを表し、(n−1)、(n+1)が付されている変数等は、それぞれ1サンプル前(n−1番目)と次回(n+1番目)のものを表している。
6式でも5式と同様に、適応には白色雑音加算残音信号e0(n)が用いられているが、白色雑音注入による2次経路の伝達特性の推定をしなければ、白色雑音加算残音信号e0(n)の代わりに検出残音信号e(n)が用いられる。
MPAをFastFxRLS(FFxRLS)アルゴリズムで適応させる方法について説明する。FastFxRLSアルゴリズムは、本発明者がFxRLSアルゴリズムを改良して開発したアルゴリズムであり、必要な演算数がFxRLSアルゴリズムに比べて約2/3で済む、高速アルゴリズムである。具体的には、FxRLSアルゴリズムにおけるゲイン行列Fi(n)の更新式、すなわち7式を改良したアルゴリズムになっている。ゲイン行列Fi(n)の4個のパラメータF11,i(n)、F12,i(n)、F21,i(n)、F22,i(n)のうち、RLSアルゴリズム本来の性質として、
12,i(n)=F21,i(n)
は、常に成立する。従って、従来周知のFxRLSアルゴリズムでは、3個のパラメータF11,i(n)、F12,i(n)、F22,i(n)を計算することになる。本発明者は、角周波数とサンプリング周波数fsとが所定の関係を有するとき、すなわち、角周波数が、
0.05π・fs〜0.95π・fs
の範囲にあるとき、対角要素F11,i(n)とF22,i(n)について下記関係が成立することを見いだした。
そこで、7式において、
11,i(n)=F22,i(n)
という条件を付して計算したところ、従来周知のFxRLSアルゴリズムと比較するとわずかな収束の遅れは見られるものの、FxLMSアルゴリズムよりも遙かに速く収束し、効率よく適応されることが判明した。上記条件で計算するFxRLSアルゴリズムを、FastFxRLSアルゴリズムと呼ぶ。FastFxRLSアルゴリズムにおいては、F11,i(n)とF12,i(n)だけを計算すればゲイン行列Fi(n)が計算できる。具体的な計算式は下記である。
参照信号生成ブロック30の適応について説明する。参照信号生成ブロック30の適応とは、すなわち係数c(n)の適応である。係数c(n)は、残音信号と、濾波参照信号と、MPAの第0次の係数と、ステップサイズパラメータとによって適応される。具体的には、下記11式で適応される。図2においては、符号32のブロックで示されている。
11式では、6式や5式と同様に、適応には白色雑音加算残音信号e0(n)が用いられている。しかし、白色雑音注入による2次経路の伝達特性の推定が実施されなければ、11式において、白色雑音加算残音信号e0(n)の代わりに検出残音信号e(n)が用いられる。
11式からも分かるように、係数c(n)も、MPAと同様に残音信号で適応されるが、同じ残音信号によって係数c(n)とMPAを適応させると、互いに影響を及ぼし合い、効率よく適応されない可能性がある。ところで、周波数と振幅と位相のうち、能動騒音制御においては周波数が最も大切な要素であると予想される。2次音波と消音対象の音波との間で、周波数のずれが生じていれば、振幅と位相を調整しても消音は難しいのに対し、周波数のずれが無ければ、振幅と位相が多少ずれていてもある程度は消音が可能であると考えられるからである。従って、係数c(n)とMPAのうち、周波数を決定する係数c(n)の方を優先的に適応させると、全体として速やかに適応される様に予想できる。例えば、MPAをFxLMSアルゴリズムで適応させる場合、係数c(n)の適応に関するステップサイズパラメータμCiを、MPAの適応に関するステップサイズパラメータμよりも大きな値にすることが考えられる。しかしながら、条件を変えてシミュレーション計算を繰り返した結果、ステップサイズパラメータμCiは、ステップサイズパラメータμの1/10以下、好ましくは約1/100の値にすると、係数c(n)とMPAが速やかに適応されることが判明した。係数c(n)は、MPAよりもゆっくりと適応させると、全体としての適応が速い。下記12式は、2個のステップサイズパラメータμCi、μの関係のうち、好ましい関係式の一例である。
12式において、係数c(n)の適応に関するステップサイズパラメータμCiの値は、消音対象の音波の周波数が大きくなるに従って、大きくなる。これは、周波数が大きい音波の方が周波数が小さい音波よりもFMの影響が大きいからであり、周波数が大きい音波に対しては速やかに適応させる必要があるからである。12式によって2個のステップサイズパラメータμCi、μを関係付けると、周波数の大小に拘わらず、係数c(n)とMPAは速やかに適応される。
同様に、MPAをFxRLSアルゴリズム、またはFastFxRLSで適応させる場合も、ステップサイズパラメータμCiと、忘却係数λについて所定の関係を設けると速やかに適応される。すなわち、下式のようにステップサイズパラメータμCiを、1から忘却係数λを減じた値の、1/10以下、好ましくは約1/100の値にするとよい。
μCi < (1−λ)/10
下記13式は、ステップサイズパラメータμCiと、忘却係数λの関係のうち、好ましい関係式の一例である。
ところで、係数c(n)は、音波iを消音するための係数である。適切に適応されると、生成される参照信号の正弦波の周波数は、音波iの周波数に等しくなる。しかしながら、適応は必ずしも適切に行われるとは限らず、係数c(n)が他の音波jを消音するように適応されてしまう場合もある。つまり、生成される参照信号の正弦波の周波数が、音波jの周波数に等しくなる場合がある。このように、適応が適切に行われない場合には、本来消音したい音波iの消音ができなくなるので、対策が必要である。係数c(n)の値を監視して、本来の消音対象の音波iを消音するように適応されているかどうかを調べ、適切に適応されていない場合、係数c(n)をリセットすることが必要である。具体的な方法について説明する。
まず、ストランドカッター装置2に設けられている回転数計9、または押出機12に設けられている回転数計24、25から回転数を検出する。または他の騒音源に設けられている、圧力センサや位置センサ等のセンサ、すなわち振動計から振動数を検出する。このような回転数や振動数は、同期信号、すなわちSynchronization Signalであり、同期信号から音波iの周波数または角周波数を推定することができる。同期信号から推定された音波iの角周波数を、基準角周波数Ωiとして決定する。2式により係数c(n)から決定される角周波数ωiと、基準角周波数Ωiとを比較して、ずれが予め定められた許容範囲内に入っているか否かをチェックする。ずれが許容範囲を超えているとき、例えば、5%以上のずれが生じているとき、適応が適切に行われていないものと判断する。この場合、下記の14式によって、係数c(n)を初期化する。このようにすると、係数c(n)が、他の音波jを消音するように適応されてしまったとしても、音波iを消音するように、リセットすることができる。なお、このようなチェックは、毎回行っても良いし、所定の周期毎に行っても良い。
2次経路伝達特性推定ブロック50について説明する。本実施の形態に係る能動騒音制御方法では、白色雑音を2次音波に注入して2次経路の伝達特性hat_S(z)をオンラインで推定する。注入される白色雑音は、新たな騒音源にはなるが、騒音が小さくなるように、強度調節パラメータVm(n)が乗じられて強度が調節される。強度調節パラメータVm(n)の与え方は、従来周知の方法で与えても良いが、本発明に係る新規の方法によって与える方がさらに良い。最初に、従来周知の方法で強度調節パラメータVm(n)を与えて、白色雑音の強度を調節して注入し、2次経路の伝達特性を推定する方法について説明する。具体的には、注入される白色雑音、すなわち強度調節済み白色雑音d(n)は、15式、16式で与えられる。ただし、d1(n)は、平均ゼロで一定の分散を有する白色雑音である。式中の強度調節パラメータVm(n)は、符号51のブロックで示されている。
強度調節済み白色雑音d(n)は、加算器42で制御信号y1(n)、…yq(n)と共に合計されて、既に説明したように、D/A変換器でアナログ変換され、2次音源SP1、SP2、…から2次音波として出力される。すなわち、強度調節済み白色雑音d(n)は、制御信号または、2次音波に注入される。既に説明したように、騒音と2次音波が干渉した残音が、エラーマイクロフォンE1、E2、…で検出残音信号e(n)として検出される。検出残音信号e(n)に、加算器52で濾波白色雑音yd(n)を加算して白色雑音加算残音信号e0(n)を得る。なお、濾波白色雑音yd(n)は、強度調節済み白色雑音d(n)に対して、2次経路の伝達特性hat_S(z)を表すFIRフィルタで、畳み込み演算を施したものである。畳み込み演算は、図では符号53で示されている。これらの計算式が、17式、18式に示されている。
符号54で示されているように、従来周知のLMSアルゴリズムによって、2次経路の伝達特性hat_S(z)を表すFIRフィルタが適応される。適応は、白色雑音加算残音信号e0(n)が最小になるように実施される。このようにして適応されたFIRフィルタは、符号46で示されている2次経路の伝達特性hat_S(z)のFIRフィルタにコピーされる。従って、2次経路の伝達特性hat_S(z)のFIRフィルタは更新される。FIRフィルタのフィルタ係数を適応させる具体的な計算式は、19式によって与えられる。
従来周知のように、16式により強度調節パラメータVm(n)を与えて、白色雑音の強度を調節して注入しても、2次経路の伝達特性を推定できるが、若干の問題もある。例えば、強度調節パラメータVm(n)は、検出残音信号e(n−1)の瞬時データの絶対値で与えられる。従って、検出残音信号e(n)が変動すると、2次経路の伝達特性を表すFIRフィルタの適応に直接影響を与え、システム全体の安定度が低下する恐れがある。また、注入される強度調節済み白色雑音d(n)の強度は、徐々に小さくなっては行くが、定常状態における検出残音信号e(n)の大きさは、白色雑音を注入しないときよりも小さくなることはない。従って、注入される強度調節済み白色雑音は比較的弱いが、ある程度の騒音にはなってしまう。本発明に係る新規な方法によって強度調節パラメータVm(n)が与えられると、これらの問題点は大きく改善される。具体的には、強度調節パラメータVm(n)が、16式によってではなく、20式によって与えられる。
強度調節パラメータVm(n)は、E1(n)、E2(n)、E3(n)のいずれが選択されても良い。E1(n)が選択された場合には、システム全体は安定するが、収束は遅くなる。すなわち、2次経路の伝達特性の推定は遅れる。E2(n)が選択された場合には、システムも安定するし、最終的に注入される強度調節済み白色雑音d(n)も小さくなる。すなわち、検出残音信号e(n)が小さくなる。E3(n)が選択されると、適応の初期にはE3(n)の値が大きすぎてLMSアルゴリズムによる適応が発散する恐れがあるが、最終的に注入される強度調節済み白色雑音d(n)は非常に小さくなる。ところで、21式、22式、23式は、|e0(n)|(i=1,2,3)が、いわゆるlowpass filterで処理されたものとなっている。従って、強度調節パラメータVm(n)は、|e0(n)|の変化に直接影響を受けず、緩やかに変化する。強度調節パラメータVm(n)が緩やかに変化するので、システムの収束過程も安定するし、定常状態における検出残音信号e(n)も低下する。このようなαは、lowpass filterの特性を規定するパラメータであり、例えば、0.985、0.995等の、1に近い値に設定するのが好ましい。
2(n)とE3(n)を統合して、両者の長所を採ることもできる。すなわち、22式と23式を統合して、24式によって強度調節パラメータVm(n)を与える。強度調節パラメータVm(n)を24式で与えると、システムも安定すると共に、最終的に注入される強度調節済み白色雑音d(n)が非常に小さくなる。
MPAを適応させるアルゴリズムのうち、FxLMSアルゴリズムとFxRLSアルゴリズムの性能を比較するため、以下の実験を行った。図3に示されているように、ダクトDT、騒音発生スピーカSPN、2次音源SPT、エラーマイクロフォンET、能動騒音制御部ST、等からなる実験装置Tを用意した。そして、事前にストランドカッター、押出機を樹脂材料を供給せずに運転して騒音を発生させて、騒音を録音し、録音された騒音を騒音発生スピーカSPNから発生させた。能動騒音制御部STにおいては、オンラインで2次経路の伝達特性は推定させず、予め推定しておいた2次経路の伝達特性を用いた。FMが10%になるように、すなわち消音対象の周波数と、参照信号生成ブロック30で生成される参照信号の正弦波の周波数とが、ちょうど10%の誤差になるように、係数c(n)の初期値を定めた。このような条件の下で、MPAをFxLMSアルゴリズムとFxRLSアルゴリズムと、それぞれで適応させながら消音させた。エラーマイクロフォンETで検出された残音信号の測定結果を図4のグラフに示す。なお、横軸は繰り返し回数であり、サンプリング回数、または適応計算の回数でもある。縦軸は残音信号の音圧をデシベル(dB)で表したものである。グラフから、FxRLSアルゴリズムの方が、FxLMSアルゴリズムに比べて、適応の速さが遙かに速いことが分かる。
MPAの適応アルゴリズムのうち、FxRLSアルゴリズムとFastFxRLSアルゴリズムの性能を比較する実験を行った。実験では、実施例1と同様の実験装置Tを用い、実施例1と同様の条件で行った。測定結果を図5のグラフに示す。なお、横軸は繰り返し回数であり、縦軸は残音信号の音圧をデシベル(dB)で表したものである。グラフから、FxRLSアルゴリズムの方が、FastFxRLSアルゴリズムに比べて、適応の速さは若干速いが、その差は小さいことが分かる。FastFxRLSアルゴリズムの計算数の方が、FxRLSアルゴリズム計算数より1/3も少ない点を考慮すると、FastFxRLSアルゴリズムの利点は大きい。
2次経路の伝達特性の推定において、強度調節パラメータVm(n)の与え方の違いによる性能を比較するため、以下の実験を行った。実施例1と同様の実験装置Tを用いて、実施例1と同様に録音された騒音を騒音発生スピーカSPNから発生させ、係数c(n)は、FMが生じない様な初期値を与えた。そして、強度調節パラメータVm(n)を16式、21式、22式、24式のそれぞれで与えて、強度を調節した強度調節済み白色雑音d(n)を注入して、2次経路の伝達特性を推定させた。強度調節前の白色雑音の分散はσp =0.1089とした。図6に、それぞれ異なる強度調節パラメータVm(n)で実験したときの、残音信号のグラフを示す。その(ア)は強度調節パラメータVm(n)を|e(n−1)|で、その(イ)は強度調節パラメータVm(n)をE1(n)で、その(ウ)は強度調節パラメータVm(n)をE2(n)で、その(エ)は強度調節パラメータVm(n)をmin[E2(n)、E3(n)]で、それぞれ与えたときのグラフである。それぞれ横軸は繰り返し回数、縦軸は残音信号の音圧、すなわち残音エネルギーになっている。図から、強度調節パラメータVm(n)をE2(n)や、min[E2(n)、E3(n)]で与えると、収束が非常に速いことが分かる。表1に、十分に収束された後に計測された残音エネルギーを示す。
表において、Mは、2次経路の伝達特性を表すFIRフィルタの次数である。表から、強度調節パラメータVm(n)をmin[E2(n)、E3(n)]で与えると、最終的な残音エネルギーが最小になることが分かる。
本実施の形態に係る能動消音制御方法は、上記実施の形態に限定されず、色々な変形が可能である。例えば、係数c(n)を適応させる際、同期信号から決定される基準角周波数Ωiと、係数c(n)の値から計算される角周波数ωiとが、所定の比率でずれていたときに、係数c(n)を初期化するように説明しているが、ずれは比率ではなく角周波数の差でチェックしてもよいし、他の評価式でチェックしても良い。また、2次経路の伝達特性を常時推定しているように説明したが、10分毎等の所定の時間間隔で推定するようにしても良い。このようにすると、注入される白色雑音によって騒音が大きくなる時間は少なくて済む。さらに、本実施の形態に係る能動消音制御方法は、生産機械等の騒音源にダクトを設けて消音するように説明したが、ダクト内の消音に限定されるものではない。例えば、騒音源の近傍の1箇所に2次音源を配置させて、3次元空間に伝播する騒音を消音する、いわゆるダイポール放射による放射音響パワーの低減にも適用できるし、3次元空間に伝播する騒音を、所定のポイントで消音する、いわゆるポイントキャンセレーションにも適用できる。また、白色雑音の注入による2次経路の伝達特性の推定方法については、狭帯域能動騒音制御方法だけでなく、広帯域能動騒音制御方法にも実施可能である。また、本実施の形態に係る能動消音制御装置も、色々な変形が可能である。例えば、ダクトに2次音源を1個設けるように説明したが、2個以上設けるようにしてもよい。また、ダクトの形状にも制約は無く、円筒状にしても良く、途中で曲がる形状にしても良い。
本明細書においては、音波等を正弦波で説明しているが、余弦波も正弦波と位相がπ/2ずれている正弦波と見なせるので、本明細書においては正弦波の用語は、余弦波も含む概念として用いられている。
本実施の形態に係る能動騒音制御方法、または能動騒音制御装置は、工作機械や生産機械だけでなく、他の騒音源の消音にも適用が可能である。
本発明の実施の形態に係る能動騒音制御装置を模式的に示す側面図であり、その(ア)は第1の実施の形態に係る能動騒音制御装置を、その(イ)は第2の実施の形態に係る能動騒音制御装置を示す側面図である。 本発明の実施の形態に係る能動騒音制御方法を説明するブロック図である。 実験装置を模式的に説明する側面図である。 FxLMSアルゴリズムとFxRLSアルゴリズムの性能を比較する実験結果のグラフである。 FastFxRLSアルゴリズムとFxRLSアルゴリズムの性能を比較する実験結果のグラフである。 強度調節パラメータVm(n)の与え方の違いによる、残音エネルギーの変化の経過を示すグラフである。
符号の説明
1 能動騒音消音装置 2 ストランドカッター
3 材料入り口 4 ペレット出口
6 保護金網
9、24 回転数計
16 モータ 17 減速機
18 回転伝達部 21 遮音筐体
23 ファン
D1、D2、D3、D4 ダクト
SP1、SP2、SP3、SP4 2次音源
E1、E2、E3、E4 エラーマイクロフォン
S1、S2、S3、S4 能動騒音制御部

Claims (13)

  1. 参照信号を1式
    で生成して、次数が1の第1のFIRフィルタで、前記参照信号を畳み込み演算して制御信号を得、得られた前記制御信号によって2次音波を発生させて、騒音と干渉させて消音し、
    残音信号と、2次経路の伝達特性を表す第2のFIRフィルタによって前記参照信号を畳み込み演算して得られる濾波参照信号と、第1のステップサイズパラメータ(μ)と、から前記第1のFIRフィルタの係数をFxLMSアルゴリズムによって適応させると共に、
    1式中の前記係数c(n)を、前記残音信号と、前記濾波参照信号と、前記第1のFIRフィルタの第0次の係数と、第2のステップサイズパラメータ(μCi)と、から適応させるとき、
    前記第2のステップサイズパラメータ(μCi)の値を、前記第1のステップサイズパラメータ(μ)の値の1/10以下とすることを特徴とする、能動騒音制御方法。
  2. 参照信号を1式
    で生成して、次数が1の第1のFIRフィルタで、前記参照信号を畳み込み演算して制御信号を得、得られた前記制御信号によって2次音波を発生させて、騒音と干渉させて消音し、
    残音信号と、2次経路の伝達特性を表す第2のFIRフィルタによって前記参照信号を畳み込み演算して得られる濾波参照信号と、忘却係数(λ)と、から前記第1のFIRフィルタの係数をFxRLSアルゴリズムによって適応させると共に、
    1式中の前記係数c(n)を、前記残音信号と、前記濾波参照信号と、前記第1のFIRフィルタの第0次の係数と、ステップサイズパラメータ(μCi)と、から適応させるとき、
    前記ステップサイズパラメータ(μCi)の値は、1から前記忘却係数(λ)を減じた値の、1/10以下とすることを特徴とする、能動騒音制御方法。
  3. 請求項1、2のいずれかの項に記載の能動騒音制御方法において、
    回転数計で計測される回転数、または振動センサーから検出される振動数から、基準角周波数(Ω)を決定して、
    2式
    によって前記係数c(n)から決定される角周波数(ω(n))と、前記基準角周波数(Ω)とに、所定のずれが生じたとき、
    前記係数c(n)を、14式
    で初期化することを特徴とする、能動騒音制御方法。
  4. 2次経路の伝達特性を推定するために、制御信号に白色雑音を注入する方法であって、
    平均ゼロで所定の分散を有する白色雑音(d1(n))に、強度調節パラメータ(Vm(n))を乗じて強度を調節された、強度調節済み白色雑音(d(n))を制御信号に注入すると共に、
    エラーマイクロフォンで検出された第1の残音信号(e(n))に、前記2次経路の伝達特性を表すFIRフィルタによって前記強度調節済み白色雑音(d(n))を畳み込み演算して得られる濾波白色雑音(yd(n))を加算して、第2の残音信号(e0(n))を得、
    前記第2の残音信号(e0(n))と、前記強度調節済み白色雑音(d(n))と、ステップパラメータ(μs)と、から前記FIRフィルタを適用させるとき、
    前記強度調整パラメータ(Vm(n))を、20’式
    で与えることを特徴とする、2次経路の伝達特性の推定方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかの項に記載の能動騒音制御方法において、
    さらに、制御信号に白色雑音を注入して、2次経路の伝達特性を推定するとき、
    平均ゼロで所定の分散を有する白色雑音(d1(n))に、強度調節パラメータ(Vm(n))を乗じて強度を調節された、強度調節済み白色雑音(d(n))を制御信号に注入すると共に、
    エラーマイクロフォンで検出された第1の残音信号(e(n))に、前記2次経路の伝達特性を表すFIRフィルタによって前記強度調節済み白色雑音(d(n))を畳み込み演算して得られる濾波白色雑音(yd(n))を加算して、第2の残音信号(e0(n))を得、
    前記第2の残音信号(e0(n))と、前記強度調節済み白色雑音(d(n))と、ステップパラメータ(μs)と、から前記FIRフィルタを適用させ、
    前記強度調整パラメータ(Vm(n))を、20’式
    で与えて、2次経路の伝達特性の推定すると共に、
    請求項1〜3に記載の前記残音信号は、前記第2の残音信号(e0(n))とすることを特徴とする、能動騒音制御方法。
  6. 次数が1の第1のFIRフィルタで、参照信号を畳み込み演算して制御信号を得、得られた前記制御信号によって2次音波を発生させて、騒音と干渉させて消音し、
    残音信号と、2次経路の伝達特性を表す第2のFIRフィルタによって前記参照信号を畳み込み演算して得られる濾波参照信号と、忘却係数(λ)と、から前記第1のFIRフィルタの係数をFxRLSアルゴリズムによって適応させるとき、
    前記FxRLSアルゴリズムで使用される2×2のゲイン行列(F(n))の対角要素(F11,i(n)、F22,i(n))が等しいとして、計算することを特徴とする、能動騒音制御方法。
  7. 請求項2に記載の能動騒音制御方法において、前記FxRLSアルゴリズムで使用される2×2のゲイン行列(F(n))の対角要素(F11,i(n)、F22,i(n))が等しいとして、計算することを特徴とする、能動騒音制御方法。
  8. 請求項2に記載の能動騒音制御方法において、前記FxRLSアルゴリズムで使用される2×2のゲイン行列(F(n))の対角要素(F11,i(n)、F22,i(n))が等しいとして、計算すると共に、
    回転数計で計測される回転数、または振動センサーから検出される振動数から、基準角周波数(Ω)を決定して、
    2式によって前記係数c(n)から決定される角周波数(ω(n))と、前記基準角周波数(Ω)とに、所定のずれが生じたとき、
    前記係数c(n)を、14式
    で初期化することを特徴とする、能動騒音制御方法。
  9. 請求項7、8のいずれかの項に記載の能動騒音制御方法において、
    さらに、制御信号に白色雑音を注入して、2次経路の伝達特性を推定するとき、
    平均ゼロで所定の分散を有する白色雑音(d1(n))に、強度調節パラメータ(Vm(n))を乗じて強度を調節された、強度調節済み白色雑音(d(n))を制御信号に注入すると共に、
    エラーマイクロフォンで検出された第1の残音信号(e(n))に、前記2次経路の伝達特性を表すFIRフィルタによって前記強度調節済み白色雑音(d(n))を畳み込み演算して得られる濾波白色雑音(yd(n))を加算して、第2の残音信号(e0(n))を得、
    前記第2の残音信号(e0(n))と、前記強度調節済み白色雑音(d(n))と、ステップパラメータ(μs)と、から前記FIRフィルタを適用させ、
    前記強度調整パラメータ(Vm(n))を、20’式
    で与えて、2次経路の伝達特性の推定すると共に、
    請求項7、8に記載の前記残音信号は、前記第2の残音信号(e0(n))とすることを特徴とする、能動騒音制御方法。
  10. 生産機械で発生する騒音を能動騒音制御で消音する能動騒音制御装置であって、
    前記能動騒音制御装置は、ダクトと、2次音源と、エラーマイクロフォンと、コントローラと、からなり、
    前記ダクトは、前記生産機械に材料を投入する材料入り口、または前記生産機械で生産された生産物が排出される生産物出口に設けられ、
    前記2次音源は、前記ダクト内の所定の位置に設けられると共に、前記エラーマイクロフォンは、前記2次音源から離間して前記ダクト内に設けられ、
    前記コントローラで演算される制御信号に基づいて、前記2次音源から2次音波を発生させ、前記ダクト内で騒音と干渉させて消音すると共に、
    干渉後の残音を前記エラーマイクロフォンにより検出して、残音信号を得、この残音信号を前記コントローラに入力して前記コントローラを適応させる能動騒音制御装置。
  11. 生産機械で発生する騒音を能動騒音制御で消音する能動騒音制御装置であって、
    前記能動騒音制御装置は、前記生産機械の回転駆動部を覆う遮音筐体と、前記遮音筐体に設けられているダクトと、2次音源と、エラーマイクロフォンと、コントローラと、からなり、
    前記2次音源は、前記ダクト内の所定の位置に設けられると共に、前記エラーマイクロフォンは、前記2次音源から離間して前記ダクト内に設けられ、
    前記コントローラで演算される制御信号に基づいて、前記2次音源から2次音波を発生させ、前記ダクト内で騒音と干渉させて消音すると共に、
    干渉後の残音を前記エラーマイクロフォンにより検出して、残音信号を得、この残音信号を前記コントローラに入力して前記コントローラを適応させる能動騒音制御装置。
  12. 請求項10、11のいずれかの項に記載の能動騒音制御装置において、前記コントローラには、前記生産機械に関連して設けられている回転数計、または振動計も接続され、前記回転数計から検出される回転数、または前記振動計から検出される振動数を、同期信号として受信して、消音対象の音波の周波数を特定出来るようになっていることを特徴とする、能動騒音制御装置。
  13. 請求項1〜9のいずれかの項に記載の能動騒音制御方法が実施される能動騒音制御装置であって、
    前記装置は、ダクトと、2次音源と、エラーマイクロフォンと、制御コントローラとからなり、
    前記2次音源は、前記ダクト内の所定の位置に設けられると共に、前記エラーマイクロフォンは、前記2次音源から離間して前記ダクト内に設けられ、
    前記コントローラには、前記2次音源と、前記エラーマイクロフォンと、騒音源に関連して設けられている回転数計または振動計と、が接続され、
    前記回転数計または振動計から得られる回転数または振動数から、消音対象の音波の周波数を特定して、
    前記コントローラで演算される制御信号に基づいて、前記2次音源から2次音波を発生させ、前記ダクト内で騒音と干渉させて消音すると共に、
    干渉後の残音を前記エラーマイクロフォンにより検出して、残音信号を得、この残音信号を前記コントローラに入力して前記コントローラを適応させる能動騒音制御装置。
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