JP2009209312A - 含フッ素重合体および防汚剤 - Google Patents

含フッ素重合体および防汚剤 Download PDF

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Abstract

【課題】吸水性に優れており、かつ防汚性に優れている汚れ脱離剤を提供する。
【解決手段】(a)オキシイソプロピレン基を有する親水性基含有含フッ素単量体、および(b)親水性基がオキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数2〜6)である親水性非フッ素単量体を含んでなる含フッ素重合体に関する。必要により、含フッ素重合体は、(c)他の単量体を含有していてもよい。含フッ素重合体は、汚れ脱離剤の活性成分として働く。水性基含有含フッ素単量体(a)が、親水性基、オキシイソプロピレン基およびフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素重合体、および該含フッ素重合体を含んでなるSR剤(防汚剤または汚れ脱離剤)に関する。本発明の防汚剤は、吸水性に優れており、かつ防汚性に優れている。
繊維織物等に撥水撥油性を付与し、かつ繊維に付着した汚れを洗濯などにより除去しやすくする防汚加工剤として、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、フッ素含有化合物ともいう。)と親水性基含有化合物との共重合体が知られている(特開昭53−134786号、同59−204980号公報、同62−7782号公報参照)。これらの防汚加工剤は洗濯で汚れが落ちやすい特長を有し、例えば、作業着やユニホーム用途で使用されてきた。近年、防汚加工剤はその応用範囲が拡大する傾向にあり、例えば、ポロシャツ、Tシャツ等への加工も検討されている。
しかしながら、従来の防汚加工剤の大きな欠点は、吸水性が不十分であり、例えば、汗をかいても繊維が汗を吸わないため、汗をかく環境においての着用は不快きわまりなく、この用途への展開は限定的なものに留まっていた。
一般的に、十分な汚れ脱離性を得るには、撥油性とflip-flop性が重要とされ、空気中ではパーフルオロアルキル基(以下、Rf基と略す)が表面に配向し、高い撥油性を示しながら、水中ではこれとは逆に、Rf基が後退し、親水性基が表面に配向して、汚れが落ちやすくなるとされている。Flip-flop性とは、空気中と水中で環境に応じて表面分子構造が変化する性質であり、Shermanらによって提唱されている。[P.Sherman, S.Smith, B,Johannessen, Textile Research Journal,39,499(1969)]
Rf基は鎖長が短いとRfの結晶性の低下とともに撥油性も低下する傾向にあり、油汚れで被処理物品が汚染しやすくなる。このため、Rf基の炭素数は実質的に8以上のものが使用されてきた。(特開昭53−134786号公報、特開2000−290640号公報参照)
さらに、最近になってテロメリゼーションによって得られる炭素数8のRf基を含有する化合物については、
Federal Register(FR Vol.68,No.73/April 16,2003[FRL-7303-8])(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafr.pdf)や
EPA Environmental News FOR RELEASE: MONDAY APRIL 14, 2003
EPA INTENSIFIES SCIENTIFIC INVESTIGATION OF A CHEMICAL PROCESSING AID
(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoaprs.pdf) や
EPA OPPT FACT SHEET April 14, 2003(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafacts.pdf)が、テロマーが分解または代謝により perfluorooctanoic acid(以下、「PFOA」と略す)を生成する可能性があると公表している。
EPA(米国環境保護庁)は、PFOAに対して科学的調査を強化することを発表している。(EPAレポート"PRELIMINARY RISK ASSESSMENT OF THE DEVELOPMENTAL TOXICITY ASSOCIATED WITH EXPOSURE TO PERFLUOROOCTANOIC ACID AND ITS SALTS" (http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoara.pdf) 参照)。
WO 2003/095083は、イソシアネート基含有ビニルモノマーを使用する含フッ素グラフトポリマーを記載している。この含フッ素グラフトポリマーが防汚性を付与することが記載されているが、得られる防汚性および/または吸水性は充分ではない。
特開昭53−134786号 特開昭59−204980号公報 特開昭62−7782号公報参照 特開昭53−134786号公報 特開2000−290640号公報 WO 2003/095083公報
本発明の目的は、繊維織物等に対して、優れた吸水性、撥油性、防汚性、汚れ脱離性を付与する汚れ脱離剤を提供すること、更にはRf基の炭素数が8未満と従来に比較して短くても、同様に優れた汚れ脱離剤を提供することにある。
吸水性を向上させるための最も簡便な手法は汚れ脱離(SR)ポリマー中のフッ素含有量を減らし、相対的に親水成分の比率を上げることにある。これにより、確かにある程度、吸水性は向上するが、逆に撥油性、汚れ脱離性は低下してしまう。撥油性、汚れ脱離性を低下させることなく、吸水性を向上させることが肝要である。
この課題を解決するために、以下の発明にいたった。すなわち、本発明は、
(a)オキシイソプロピレン基を有する親水性基含有含フッ素単量体、および
(b)親水性基がオキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数2〜6)である親水性非フッ素単量体
を含んでなる含フッ素重合体に関する。必要により、含フッ素重合体は、(c)単量体(a)と(b)以外の他の単量体を含有していてもよい。単量体(c)は、一般に、フッ素原子を含有しても含有しなくてもどちらでもよい。
本発明の含フッ素重合体は、
(A)親水性基含有含フッ素単量体(a)から誘導された繰り返し単位、及び
(B)親水性非フッ素単量体(b)から誘導された繰り返し単位から誘導された繰り返し単位を有する。
含フッ素重合体は、(C)単量体(a)〜(b)以外の他の単量体(c)から誘導された繰り返し単位を有していてもよい。他の単量体(c)は、前記単量体(a)および(b)と共重合可能な不飽和二重結合を有する、単量体(a)および(b)以外の単量体である。
本発明の(a)成分は特に重要であり、(a)成分をポリマー中に導入することで、比較的、ポリマー中のフッ素含有量が高くても、吸水性をも有するようになり、吸水性と撥油性、防汚性、汚れ脱離性(SR性)に優れた本発明の含フッ素共重合体を与える。
本発明の防汚剤は、吸水性に優れており、かつ防汚性および汚れ脱離性に優れている。
繰り返し単位(A)は、オキシイソプロピレン基を有する親水性基含有含フッ素単量体(a)から誘導される。オキシイソプロピレン基は、次式の基で示される。

Figure 2009209312
親水性基含有含フッ素単量体(a)は、親水性基、オキシイソプロピレン基およびフルオロアルキル基を有する含フッ素アクリレートであることが好ましい。フルオロアルキル基(特に、パーフルオロアルキル基)がオキシイソプロピレン基に直接に(例えば、オキシイソプロピレン基における炭素原子に)結合していることが好ましい。
親水性基含有含フッ素単量体(a)が、一般式:

Figure 2009209312

(I)

[上記式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり、
は、炭素数2〜6のアルキレン基、特にエチレン基であり、
Rfは、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基であり、
mは、0〜25であり、
nは、1から10である。]
で示される化合物であることが好ましい。mは、例えば0〜20、特に1〜10であってよい。mは1〜3(すなわち、1、2または3)であることが更に好ましい。
親水性基含有含フッ素単量体(a)の例は次のとおりである。

Figure 2009209312
親水性基含有含フッ素単量体(a)は、(アクリレートまたはメタクリレートの)α位がハロゲン原子などで置換されていることがある。したがって、Xが、炭素数2〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であってよい。
は、炭素数2〜6のアルキレン基、特にエチレン基であることが好ましい。
上記式(I)において、Rf基が、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は、1〜10、例えば1〜8、特に1〜6、特別には4または6であってよい。Rf基の例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF3) 2、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF3)2、−C(CF)3、−(CF2)4CF3、−(CF2)2CF(CF3)2、−CF2C(CF3)3、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)3CF(CF3)2、−(CF2)4CF(CF3)2、−(CF2)7CF3、−(CF2)5CF(CF3)2、−(CF2)6CF(CF3)2、−(CF2)9CF3等である。
化合物(I)(RfがC613−)は、例えば、次のような反応式によって製造できる。

Figure 2009209312
親水性基含有含フッ素単量体(a)の量は、含フッ素重合体に対して、20〜90重量%、好ましくは30〜85重量%、例えば40〜75重量%であってよい。親水性基含有含フッ素単量体(a)の量が20〜90重量%である場合には、吸水性が高く、さらに防汚性および汚れ脱離性(SR性)も高くなる。
繰り返し単位(B)は、オキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数2〜6)である親水性基を有する親水性非フッ素単量体(b)から誘導される。
親水性非フッ素単量体(b)は、フッ素原子を含まないことが好ましい。
親水性非フッ素単量体(b)は、オキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数2〜6)である親水性基および炭素-炭素二重結合を有する単量体であってもよい。
オキシアルキレン基である親水性基は、ノニオン性である。親水性非フッ素単量体(b)におけるオキシアルキレン基の数は、2〜200、例えば3〜50であってよい。
親水性非フッ素単量体(b)は、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよび/またはポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートであってよい。
親水性非フッ素単量体(b)の分子量は、100以上、例えば150以上、特に200以上、特に250〜3000であってよい。
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、一般式(II):
CH2=CX1C(=O)−O−(RO)n−X2 (II)
[式中、
1は、水素原子またはメチル基、
2は、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基
Rは、炭素数2〜6のアルキレン基、
nは、2〜90の整数、
である。]
で示されるものであることが好ましい。nは、特に3〜30、例えば4〜20であってよい。
一般式(II)中のRは特にエチレン基であることが好ましい。
一般式(II)中のRは2種類以上のアルキレン基の組み合わせであっても良い。その場合、少なくともRのひとつはエチレン基であることが好ましい。Rの組合せとしては、エチレン基/プロピレン基の組合せ、エチレン基/ブチレン基の組合せが挙げられる。
親水性非フッ素単量体(b)は2種類以上の混合物であっても良い。その場合は少なくとも親水性非フッ素単量体(b)のひとつは一般式(II)中のRがエチレン基であることが好ましい。
親水性非フッ素単量体(b)の具体例は、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH2=CX1COO-(CH2CH2O)n-H
CH2=CX1-(CH2CH2O)n-CH3
CH2=CX1COO-(CH2CH(CH3)O)n-H
CH2=CX1COO-(CH2CH(CH3)O)n-CH3
CH2=CX1COO-(CH2CH2O)5-(CH2CH(CH3)O)2-H
CH2=CX1COO-(CH2CH2O)5-(CH2CH(CH3)O)3-CH3
CH2=CX1COO-(CH2CH2O)8-(CH2CH(CH3)O)6-CH2CH(C2H5)C4H9
CH2=CX1COO-(CH2CH2O)23-OOC(CH3)C=CH2
CH2=CX1COO-(CH2CH2O)20-(CH2CH(CH3)O)5-CH2-CH=CH2
親水性非フッ素単量体(b)の量は、親水性基含有含フッ素単量体(a)100重量部に対して、10〜150重量部、好ましくは15〜100重量部、例えば20〜80重量部であってよい。
繰り返し単位(C)は、他の単量体(c)から誘導される。他の単量体(c)は、単量体(a)および(b)以外の単量体である。他の単量体(c)は、一般に、フッ素原子を含まない。しかし、他の単量体(c)はフッ素原子を含んでもよい。フッ素原子を含む場合には、他の単量体(c)は、親水性基含有含フッ素単量体(a)と異なっており、オキシイソプロピレン基を有しない。
特に、単量体(a)においてmの数値が大きい(例えばmが4.5以上)親水性基含有含フッ素モノマーを使用する場合、他の単量体(c)として含フッ素単量体を使用することは有効である。含フッ素重合体中のフッ素含有量が大きくなり、防汚性および汚れ脱離性(SR性)の向上に寄与するからである。
フッ素原子を含む他の単量体(c)は、含フッ素アクリレートであることが好ましい。
フッ素原子を含む他の単量体(c)は、一般式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf (III)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)または
-CH2CH(OZ1) CH2−基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基である。)または
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基 または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10、である)、
Rfは、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
で示される化合物であることが好ましい。
含フッ素アクリレートは、(アクリレートまたはメタクリレートの)α位がハロゲン原子などで置換されていることがある。したがって、式(III)において、Xが、炭素数2〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であってよい。
Z基の好ましい例は、炭素数1〜10のアルキレン基、すなわち、-(CH2)n- (nは、1〜10、好ましくは1〜4)である。
上記式(III)において、Rf基が、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は、1〜10、例えば1〜8、特に1〜6、特別には4または6であってよい。Rf基の例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF3) 2、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF3)2、−C(CF)3、−(CF2)4CF3、−(CF2)2CF(CF3)2、−CF2C(CF3)3、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)3CF(CF3)2、−(CF2)4CF(CF3)2、−(CF2)7CF3、−(CF2)5CF(CF3)2、−(CF2)6CF(CF3)2、−(CF2)9CF3等である。
含フッ素アクリレートの具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−C6H4−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2N(−CH3) SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2N(−C2H5) SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2CH(−OH) CH2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2CH(−OCOCH3) CH2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH2)3−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
[上記式中、Rfは、炭素数1〜21、特に1〜6のフルオロアルキル基である。]
フッ素原子を含む他の単量体(c)は、2種類以上の混合物であってもよい。
フッ素原子を含まない他の単量体(c)の例は、非架橋性単量体、架橋性単量体、およびイオン性基を有する単量体である。
他の単量体(c)は、非架橋性単量体または架橋性単量体であってよい。
非架橋性単量体は、フッ素を含有せず、炭素-炭素二重結合を有する単量体であることが好ましい。非架橋性単量体は、フッ素を含有しないビニル性単量体であることが好ましい。非架橋性単量体は、一般に、1つの炭素-炭素二重結合を有する化合物である。
非架橋性単量体としては、ブタジエン、クロロプレン、マレイン酸誘導体、塩化ビニルのようなハロゲン化ビニル、エチレン、塩化ビニリデンのようなハロゲン化ビニリデン、ビニルアルキルエーテル、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、などが例示されるが、これらに限定されるものでない。
非架橋性単量体は、アルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルであってよい。アルキル基の炭素数は、1〜30、例えば、6〜30、例示すれば、10〜30であってよい。例えば、非架橋性単量体は一般式:
CH=CACOOA
[式中、Aは水素原子またはメチル基、AはC2n+1(n=1〜30)で示されるアルキル基である。]
で示されるアクリレート類であってよい。
フッ素系重合体は、架橋性単量体を含んでもよい。架橋性単量体は、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物であってよい。架橋性単量体は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネート、アミノ基、カルボキシル基、などである。
架橋性単量体の例としては、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブタジエン、クロロプレン、グリシジル(メタ)アクリレートなどが例示されるが、これらに限定されるものでない。
架橋性単量体の他の例としては、グリセロール(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレートのようなイソシアネート基含有(メタ)アクリレートまたはメチルエチルケトオキシム等のブロック化剤でイソシアネート基がブロックされたそれらの(メタ)アクリレートなどが例示される。
他の単量体(c)は、イオン性基(すなわち、カチオン性基またはアニオン性基)および炭素-炭素二重結合を有する単量体であってもよい。他の単量体(c)は、カチオン供与基であるイオン性基を有するカチオン性単量体であることが好ましい。
カチオン供与基の例は、三級アミノ基および四級アミノ基である。
三級アミノ基において、窒素原子に結合する2つの基は、同じまたは異なって、炭素数1〜5の脂肪族基(特にアルキル基)、炭素数6〜20の芳香族基(アリール基)または炭素数7〜25の芳香脂肪族基(特にアラルキル基、例えばベンジル基(C6H5-CH2-))であることが好ましい。四級アミノ基において、窒素原子に結合する3つの基は、同じまたは異なって、炭素数1〜5の脂肪族基(特にアルキル基)、炭素数6〜20の芳香族基(アリール基)または炭素数7〜25の芳香脂肪族基(特にアラルキル基、例えばベンジル基(C6H5-CH2-))であることが好ましい。三級アミノ基および四級アミノ基において、窒素原子に結合する残りの1つの基が、炭素―炭素二重結合を有していてよい。
他の単量体(c)としてはカチオン供与基および炭素―炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。
カチオン供与基を有する単量体の具体例としては以下の化合物を例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH2=CHCOO-CH2CH2-N(CH3)2 及びその塩
CH2=CHCOO-CH2CH2-N(CH2CH3)2 及びその塩
CH2=C(CH3)COO-CH2CH2-N(CH3)2 及びその塩
CH2=C(CH3)COO-CH2CH2-N(CH2CH3)2 及びその塩
CH2=CHC(O)N(H)-CH2CH2CH2-N(CH3)2 及びその塩
CH2=CHCOO-CH2CH2-N(-CH3)(-CH2-C6H5) 及びその塩
CH2=C(CH3)COO-CH2CH2-N(-CH2CH3)(-CH2-C6H5)及びその塩
CH2=CHCOO-CH2CH2-N+(CH3)3Cl-
CH2=CHCOO-CH2CH2-N+(-CH3)2(-CH2-C6H5)Cl-
CH2=C(CH3)COO-CH2CH2-N+(CH3)3Cl-
CH2=CHCOO-CH2CH(OH)CH2-N+(CH3)3Cl-
CH2=C(CH3)COO-CH2CH(OH)CH2-N+(CH3)3Cl-
CH2=C(CH3)COO-CH2CH(OH)CH2-N+(-CH2CH3)2(-CH2-C6H5)Cl-
CH2=C(CH3)COO-CH2CH2-N+(CH3)3Br-
CH2=C(CH3)COO-CH2CH2-N+(CH3)3I-
CH2=C(CH3)COO-CH2CH2-N+(CH3)3O-SO3CH3
CH2=C(CH3)COO-CH2CH2-N+(CH3)(-CH2-C6H5)2Br-
塩は、酸(有機酸または無機酸)との塩である。有機酸、例えば炭素数1〜20のカルボン酸(特に、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸)が好ましい。
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びそれらの塩が好ましい。
他の単量体(c)(特に、フッ素原子を含む他の単量体、非架橋性単量体、架橋性単量体またはカチオン性単量体)を共重合させることにより、撥水撥油性や防汚性およびこれらの性能の耐クリーニング性、耐洗濯性、溶剤への溶解性、硬さ、風合いなどの種々の性質を必要に応じて改善することができる。
他の単量体(c)の量は、親水性基含有含フッ素単量体(a)100重量部に対して、150重量部以下、好ましくは1〜100重量部、特に2〜30重量部であってよい。
フッ素原子を含む他の単量体(c)の量は、親水性基含有含フッ素単量体(a)100重量部に対して、150重量部以下、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜120重量部、例えば20〜100重量部であってよい。
フッ素原子を含まない他の単量体(c)の量は、親水性基含有含フッ素単量体(a)100重量部に対して、120重量部以下、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜70重量部、例えば10〜40重量部であってよい。非架橋性単量体の量は、親水性基含有含フッ素単量体(a)100重量部に対して、30重量部以下、好ましくは1〜20重量部であってよい。架橋性単量体の量は、親水性基含有含フッ素単量体(a)100重量部に対して、30重量部以下、好ましくは1〜20重量部であってよい。イオン性基含有単量体の量は、親水性基含有含フッ素単量体(a)100重量部に対して、30重量部以下、好ましくは1〜20重量部であってよい。
本発明の含フッ素重合体の重量平均分子量は、1000〜1000000、好ましくは5000〜500000であってよい。1000〜1000000であることにより、耐久性を維持しながら高い汚れ脱離性が得られ、取り扱いが容易であるように重合体液の粘度が低い。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で求めた値である。
含フッ素重合体の重合は、特に限定されず塊状重合、溶液重合、乳化重合、放射線重合などの種々重合方法を選択できる。例えば一般的には有機溶剤を用いた溶液重合や、水または有機溶剤と水を併用する乳化重合が選定される。重合後に水で希釈したり、乳化剤を加えて水に乳化することで処理液に調製される。
有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、低分子量のポリエチレングリコールなどのグリコール類、エチルアルコール、イソプロパノールなどのアルコール類などが挙げられる。
乳化重合や重合後、乳化剤を加えて水に乳化する場合の乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の一般的な各種乳化剤が使用できる。
重合開始剤として、例えば過酸化物、アゾ化合物または過硫酸系の化合物を使用し得る。重合開始剤は、一般に、水溶性および/または油溶性である。
油溶性重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチル4−メトキシバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、ベンゾイルパーオキシド、ジ−第三級−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、過ピバル酸t−ブチル等が好ましく挙げられる。
また、水溶性重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチルアミジン2塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]硫酸塩水和物、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩、過硫酸カリウム、過硫酸バリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が好ましく挙げられる。
重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲で用いられる。
また、分子量調節を目的として、連鎖移動剤、例えば、メルカプト基含有化合物を使用してもよく、その具体例として2−メルカプトエタノール、チオプロピオン酸、アルキルメルカプタンなどが挙げられる。メルカプト基含有化合物は単量体100重量部に対して、5重量部以下、0.01〜3重量部の範囲で用いられる。
具体的には、含フッ素重合体は、以下のようにして製造できる。
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶剤に溶解させ、窒素置換後、例えば50〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤は、一般に、油溶性重合開始剤であってよい。有機溶剤としては、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、低分子量のポリエチレングリコールなどのグリコール類、エチルアルコール、イソプロパノールなどのアルコール類などが挙げられる。
有機溶剤は単量体の合計100重量部に対して、50〜1000重量部の範囲で用いられる。
乳化重合では、重合開始剤および乳化剤の存在下で、単量体を水中に乳化させ、窒素置換後、例えば50〜80℃の範囲で1〜10時間、撹拌して共重合させる方法が採用される。重合開始剤は、水溶性重合性開始剤および/または油溶性重合開始剤であってよい。
放置安定性の優れた共重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化し、水溶性重合開始剤を用いて重合することが望ましい。乳化剤としては、カチオン性、アニオン性およびノニオン性の各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲で用いられる。単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶剤や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
水溶性有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1〜80重量部、例えば5〜50重量部の範囲で用いてよい。
得られた含フッ素重合体は、必要により水や有機溶剤等に希釈または分散された後、乳濁液、有機溶剤溶液、エアゾールなどの任意の形態に調製でき、汚れ脱離剤とすることが可能である。含フッ素重合体は、汚れ脱離剤の有効成分(活性成分)として機能する。汚れ脱離剤は、含フッ素重合体および媒体(特に、液状媒体)(例えば、有機溶媒および/または水)を含んでなる。汚れ脱離剤において、含フッ素重合体の濃度は、例えば、0.01〜50重量%であってよい。
本発明の汚れ脱離剤は、含フッ素重合体および水性媒体を含んでなることが好ましい。本明細書において、「水性媒体」とは、水のみからなる媒体、および水に加えて有機溶剤(有機溶剤の量は、水100重量部に対して、80重量部以下、例えば0.1〜50重量部、特に5〜30重量部である。)をも含有する媒体を意味する。
本発明の含フッ素重合体は、被処理物品の種類や前記調製形態(乳濁液、有機溶剤溶液、エアゾールなど)などに応じて、任意の方法で汚れ脱離剤として被処理物品に適応され得る。例えば、水性乳濁液や有機溶剤溶液である場合には、浸漬塗布、スプレー塗布等のような被覆加工の既知の方法により、被処理物の表面に付着させ乾燥する方法が採用され得る。この際、必要ならばキュアリング等の熱処理を行っても良い。
また、必要ならば、他のブレンダーを併用することも可能である。例えば、撥水撥油剤、防シワ剤、防縮剤、難燃剤、架橋剤、帯電防止剤、柔軟剤、ポリエチレングリコールやポリビニルアルコール等の水溶性高分子、ワックスエマルション、抗菌剤、顔料、塗料などである。これらのブレンダーは被処理物、処理時に処理浴に添加して使用しても良いし、あらかじめ、可能なら、本発明の含フッ素重合体と混合して使用しても良い。
被処理物品としては、特に限定されないが繊維製品の他、石材、フィルター(例えば、静電フィルター)、防塵マスク、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチック、塗面、およびプラスターなどを挙げることができる。特に繊維製品に対して有用である。繊維製品としては種々の例を挙げることができる。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、あるいはこれらの混合繊維が挙げられる。繊維製品は、繊維、糸、布等の形態のいずれであってもよい。
本発明においては、被処理物品を汚れ脱離剤で処理する。「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより被処理物に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である含フッ素重合体が被処理物の内部に浸透するおよび/または被処理物の表面に付着する。
次に、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、これらの説明が本発明を限定するものでない。
以下において、部または%は、特記しない限り、重量部または重量%を表す。
試験の手順は次のとおりである。
<吸水試験 液滴法>
マイクロピペットを用いて、飲料水(20±2℃)10μLを試験布上に静かにのせる。試験布に水滴をのせてから、水滴が試験布に滲み込み、水滴が消失するまでの時間(単位:秒)を測定する。ここで水滴が消失するとは、水の鏡面反射が消え、湿潤だけが残る状態をさす。5箇所を測定し、平均の吸水時間を測定値とする。
<吸水試験 Wicking Test>
試験布を長さ16cm、幅2.5cmの短冊状に切断する。
これを純水200gを入れた200mlビーカーに試験布の先端が5〜10mm、水に浸かるようにセットする。30分後に、毛細管現象で布をつたって上昇してくる水の水面からの高さを読み取る。
<撥油試験>
撥油性の試験は、繊維製品を用いてAATCC―TM118−2000に準じて行った。即ち、試験布を水平に広げ、表1に示す試験溶液を数滴落し、30秒後の浸透状態で判定する。撥油性が低い場合は、空気中で油汚れが被処理物品に進入して除去困難となる為、汚れ脱離性(SR性)の試験と並び重要な評価指標となる。
Figure 2009209312
<汚れ脱離試験(SR試験)>
汚れ脱離試験は米国のAATCC Stain Release Management Performance Test Methodに準じて行った。試験用の汚れにはコーンオイルまたはミネラルオイルを使用した。
水平に敷いたブロッティングペーパーの上に20cm四方の試験布を広げ、汚れとしてコーンオイル(またはミネラルオイル)を5滴(約0.2cc)を試験布に垂らす。その上からグラッシンペーパーをかけて、さらに2268gの分銅をのせ、60秒、放置する。60秒後に分銅とグラッシングペーパーを取り除き、そのまま、室温で15分、放置する。15分経過後、試験布にバラスト布を加えて1.8kgとし、洗剤(AATCC標準のWOB洗剤)100gを使用して、AATCC標準洗濯機(米国ケンモア社製)で浴量64リットル、浴温38℃の条件で12分間洗濯し、濯いだ後、AATCC標準タンブラー乾燥機(米国ケンモア社製)で試験布を乾燥する。乾燥した試験布の残存シミ汚れの状態を判定用標準写真板と比較し、汚れ脱離性能を該当する判定級(表2参照)をもって表す。判定用標準写真板は、AATCC―TM130−2000(American Association of Textile Chemists and Colorists Test Method 130-2000)のものを使用した。
Figure 2009209312
合成例1
2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)のRfエポキシ付加体(FAGMA)の合成:

Figure 2009209312
四つ口フラスコに2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA) 20g、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体 0.61g、ターシャリーブチルカテコール 0.026gを仕込んだ。3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン 64.83gを30−40分かけて、発熱に注意しながら室温で滴下した。滴下終了後、約2時間、室温で反応を続けた後、ガスクロマトグラフィー(GC)で3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパンのピークが消滅していることを確認した。反応終了後、HCFC225 100gに反応物を溶解させ、さらに水100gを加えて分液ローとで洗浄、分液後、有機層を取り出した。この洗浄、分液操作をもう一度、繰り返し、有機層を取り出した後、無水硫酸マグネシウムを5g加えて、一晩乾燥した。HCFC225をエバボレートし、HEAのRfエポキシ付加体(FAGMA)を得た。
生成物の同定はIRスペクトル、1H-NMR、19F-NMRスペクトルより行った。生成物の分析結果より、3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパンの1モル付加体(n=1)が約64重量%、2モル付加体(n=2)が約27重量%、3モル付加体が約9重量%の混合モノマーが得られた。
合成例2
AE−90(エチレンオキシドの平均モル数、 m=2)へのRfエポキシ付加体モノマーの合成:

Figure 2009209312
四つ口フラスコにブレンマーAE−90(ポリエチレングリコールモノアクリレート 平均EO付加モル数=2、 日本油脂(株)) 30g、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体 1.0g、ターシャリーブチルカテコール 0.03gを仕込んだ。3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン 70.5gを30−40分かけて、発熱に注意しながら室温で滴下した。滴下終了後、約3時間、室温で反応を続けた後、GCで3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパンのピークが消滅していることを確認した。反応終了後、HCFC225 100gに反応物を溶解させ、さらに水100gを加えて分液ロートで洗浄、分液後、有機層を取り出した。この洗浄、分液操作をもう一度、繰り返し、有機層を取り出した後、無水硫酸マグネシウムを5g加えて、一晩乾燥した。塩をろ過して除去した後、HCFC225をエバボレートし、AE−90のRfエポキシ付加体(FAGMA90)を得た。
生成物の同定はIRスペクトル、1H-NMR、19F-NMRスペクトルより行った。2モル以上の付加体(n≧2)を含む3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパンの1モル付加体(n=1)が主成分の混合モノマーが得られた。
合成例3
AE−200(エチレンオキシドの平均モル数、m=4.5)へのRfエポキシ付加体モノマーの合成:

Figure 2009209312

合成例1,2と同様にして四つ口フラスコにブレンマーAE−200(ポリエチレングリコールモノアクリレート 平均EO付加モル数=4.5、日本油脂(株))50g、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体 0.66g、ターシャリーブチルカテコール 0.036gを仕込んだ。3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン 69.63gを30−40分かけて、発熱に注意しながら室温で滴下した。滴下終了後、約6時間、室温で反応を続けた後、GCで3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパンのピークが消滅していることを確認した。反応終了後、HCFC225 100gに反応物を溶解させ、さらに水100gを加えて分液ロートで洗浄、分液後、有機層を取り出した。この洗浄、分液操作をもう一度、繰り返し、有機層を取り出した後、無水硫酸マグネシウムを5g加えて、一晩乾燥した。塩をろ過して除去した後、HCFC225をエバボレートし、AE−200のRfエポキシ付加体(FAGMA200)を得た。
生成物の同定はIRスペクトル、1H-NMR、19F-NMRスペクトルより行った。2モル以上の付加体(n≧2)を含む3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパンの1モル付加体(n=1)が主成分の混合モノマーが得られた。
実施例1
200mlの四つ口フラスコに合成例1のFAGMAモノマーを28g、ポリエチレングリコールモノアクリレート(EO 10モル)(AE−400)8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)2g、アセトアセトキシエチルメタクリレート 1g、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)1g とイソプロピルアルコール 60gを仕込んで60分間、窒素を吹き込んで、系内の空気を窒素で置換した。窒素フローを続けながら、内温を75−80℃に昇温後、アゾビスイソブチロニトリル 0.25gを添加して、8時間、重合反応を行った。ガスクロマトグラフィー及びゲルパーミエーションクロマトグラフィーで重合液を分析したところ、モノマー由来のピークがほぼ消失し、共重合体由来のピークが発生していることを確認した。また、共重合体の重量平均分子量は14000であった(ポリスチレン換算)。
最後に、酢酸0.42gを加えて中和し、含フッ素共重合体の20%溶液になるように水で希釈した。
実施例2〜7
表3に示すモノマー組成、重量比で実施例1と同様の手順を繰り返すことで、最終的に20%の含フッ素共重合体溶液を得た。必要な場合には、実施例1と同様に少量の酢酸で中和した。表4に重量平均分子量を示す。
Figure 2009209312
Figure 2009209312
表の略号
13FA:2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート
FAGMA:

Figure 2009209312

[1モル付加体(n=1)が約64重量%、2モル付加体(n=2)が約27重量%、3モル付加体が約9重量%の混合モノマー]
が得られた。

FAGMA90:

Figure 2009209312

(mの平均が2でn≧2を含むn=1が主の混合モノマー)

FAGMA200:

Figure 2009209312

(mの平均が4.5でn≧2を含むn=1が主の混合モノマー)

AE-400:ポリエチレングリコールモノアクリレート(EO 10mol)、日本油脂株式会社製
M-230G:メトキシポリオキシエチレンメタクリレート(POE平均鎖長23モル、新中村化学株式会社製
DMAEA:ジメチルアミノエチルアクリレート
AAEM:アセトアセトキシエチルメタクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
比較例1〜4
表5に示すモノマー組成、重量比で実施例1と同様の手順を繰り返すことで、最終的に20%の含フッ素共重合体溶液を得た。必要な場合には、実施例1と同様に少量の酢酸で中和した。表6に重量平均分子量を示す。
Figure 2009209312
Figure 2009209312
表の略号
13FA:2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート
AE-400:ポリエチレングリコールモノアクリレート(EO 10mol)、日本油脂株式会社製
M-230G:メトキシポリオキシエチレンメタクリレート(POE平均鎖長23モル、新中村化学株式会社製
DMAEA:ジメチルアミノエチルアクリレート
AAEM:アセトアセトキシエチルメタクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
試験例1
加工処理液の調製:
実施例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液 11.0部
NICCA Assist V2(MDI系ブロックドイソシアネート、日華化学(株)) 0.25部
NICCA Sunmarina S-750(ポリエチレンワックス水分散体、日華化学(株))1.70部
ベッカミンNS-19 (グリオキザールレジン、大日本インキ化学(株)) 8.0部
ベッカミンX-80 (グリオキザールレジン用触媒、大日本インキ化学(株)) 2.4部
水道水 76.65部
上記の割合で実施例1で得られた含フッ素共重合体溶液とブロックドイソシアネート等の薬剤を水で希釈し、加工処理液を調製した。このようにして得られた処理液に、100%綿ツイル布を浸漬し、ロールで絞ってウエットピックアップが60mass%となるようにした。次いで、布を160℃で3分間、乾燥、熱処理することにより、汚れ脱離剤処理を完了した。これらの布について吸水性(水滴法、Wicking法)、汚れ脱離性 及び 撥油性を測定した。
結果を表7に示す。
また、洗濯耐久性を評価する目的で被処理布をAATCC法に準じ、浴温40℃で1回あたりの洗濯時間が12分(すすぎ等の時間は含まず)のノーマルコンディションで洗濯し、タンブラー乾燥を行い、これを1サイクルとし、このサイクルを繰り返し行った被処理布についても汚れ脱離性と撥油性を測定した。
結果を表7に示す。
試験例2〜8及び比較試験例1〜3
含フッ素共重合体の20%水分散液をそれぞれ実施例2〜7及び比較例1〜3で得られたものに変更する以外は、試験例1と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表7に示す。
Figure 2009209312
本発明の重合体は、優れた吸水性と防汚性と汚れ脱離性を有する汚れ脱離剤として有用である。

Claims (18)

  1. (a)オキシイソプロピレン基を有する親水性基含有含フッ素単量体、および
    (b)親水性基がオキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数2〜6)である親水性非フッ素単量体
    を含んでなる含フッ素重合体。
  2. 親水性基含有含フッ素単量体(a)が、親水性基、オキシイソプロピレン基およびフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートである請求項1に記載の含フッ素重合体。
  3. 親水性基含有含フッ素単量体(a)が、一般式:

    Figure 2009209312

    (I)

    [上記式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり、
    は、炭素数2〜6のアルキレン基であり、
    Rfは、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基であり、
    mは、0〜25であり、
    nは、1から10である。]
    で示される化合物である請求項1または2に記載の含フッ素重合体。
  4. 親水性非フッ素単量体(b)が、一般式(II):
    CH2=CX1C(=O)−O−(RO)n−X2 (II)
    [式中、
    1は、水素原子またはメチル基、
    2は、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基
    Rは、炭素数2〜6のアルキレン基、
    nは、2〜90の整数、
    である。]
    で示されるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートである請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素重合体。
  5. 含フッ素重合体が、(c)単量体(a)および(b)以外の他の単量体をも含んでなる請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素重合体。
  6. 他の単量体(c)が、含フッ素アクリレートである請求項5に記載の含フッ素重合体。
  7. 含フッ素アクリレートエステルが、一般式:
    CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf (III)
    [式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
    Yは、−O−または−NH−であり;
    Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
    -CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)または
    -CH2CH(OZ1) CH2−基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基である。)または
    -(CH2)m−SO2−(CH2)n−基 または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10、である)、
    Rfは、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
    で示される化合物である請求項6に記載の含フッ素重合体。
  8. 他の単量体(c)が非架橋性単量体または架橋性単量体である請求項5に記載の含フッ素重合体。
  9. 非架橋性単量体が、一般式:
    CH=CACOOA
    [式中、Aは水素原子またはメチル基、AはC2n+1(n=1〜30)で示されるアルキル基である。]
    で示されるアクリレート類である請求項8に記載の含フッ素重合体。
  10. 架橋性単量体が、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有する単量体であり、反応性基がヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネート、アセトアセトキシ基、アミノ基またはカルボキシル基である請求項8に記載の含フッ素重合体。
  11. 他の単量体(c)が、イオン性の親水性基を有する単量体である請求項5に記載の含フッ素重合体。
  12. イオン性の親水性基が三級アミノ基および四級アミノ基のカチオン供与基である請求項11に記載の含フッ素重合体。
  13. 含フッ素重合体の重量平均分子量が、1000〜1000000である請求項1に記載の含フッ素重合体。
  14. 親水性非フッ素単量体(b)の量が、親水性基含有含フッ素単量体(a)100重量部に対して、10〜150重量部である請求項1に記載の含フッ素重合体。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の含フッ素重合体を必須成分とする汚れ脱離剤。
  16. 水性媒体をも含有する請求項15に記載の汚れ脱離剤。
  17. 請求項15に記載の汚れ脱離剤で処理することからなる、基材を処理する方法。
  18. 請求項15に記載の汚れ脱離剤によって処理された繊維製品。
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