JP2009208469A - 構造部材の製造方法、構造部材およびトラス構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストの増大を招来することなく、必要な強度を確保すること。
【解決手段】木質材料から成る複数の単板21aの相互間に、これらの単板21aよりも長手方向の長さが短い木質材料から成る複数の単板23aを長手方向の中間部に配置して圧縮し、中間部にのみ強化部43を有する柱状の素材40を成形する成形工程と、この素材40を強化部43の所定位置で分断する分断工程と、分断した一方の要素45と他方の要素46とを、強化部43が両端となる態様で接合する接合工程とを含んでいる。
【選択図】 図4
【解決手段】木質材料から成る複数の単板21aの相互間に、これらの単板21aよりも長手方向の長さが短い木質材料から成る複数の単板23aを長手方向の中間部に配置して圧縮し、中間部にのみ強化部43を有する柱状の素材40を成形する成形工程と、この素材40を強化部43の所定位置で分断する分断工程と、分断した一方の要素45と他方の要素46とを、強化部43が両端となる態様で接合する接合工程とを含んでいる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、構造部材の製造方法、構造部材およびトラス構造体に関するものである。
従来、トラス構造体には、木質材料から成る部材を用いて構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のトラス構造体は、それぞれ木質材料から成る柱状部材とノード部材とを、木質材料から成る連結具を介して連結することで構築されるものである。柱状部材は、連結具に連結する両端部に強化製材を用いている。この強化製材とは、製材に強化処理を施したものである。一方、柱状部材は、長手方向の中間部に製材を用いている。このような柱状部材によれば、両端部に強化製材を用いているため、トラス構造体を構成する上で必要な強度を確保することが可能である。
ところで、従来の柱状部材を製造する方法としては、例えば、製材の両端部にそれぞれ個別に強化処理を施すことが考えられる。しかしながら、この場合には、一つの柱状部材を製造するのに、製材に2回の強化処理を施すことになる。したがって、製造する工程数が増大してしまうことになり、この工程数の増大によるコストの増大を招来する虞れがあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コストの増大を招来することなく、必要な強度を確保することができる構造部材の製造方法、構造部材およびトラス構造体の提供を目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1にかかる構造部材の製造方法は、木質材料から成る複数の単板の相互間に、これらの単板よりも長手方向の長さが短い木質材料から成る複数の単板を長手方向の中間部に配置して圧縮し、中間部にのみ強化部を有する柱状の素材を成形する成形工程と、この素材を前記強化部の所定位置で分断する分断工程と、分断した一方の要素と他方の要素とを、前記強化部が両端となる態様で接合する接合工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明の請求項2にかかる構造部材の製造方法は、前述した請求項1において、前記接合工程は、互いの間に木質材料から成る接合部材を介在した状態で前記一方の要素と他方の要素とを接合することを特徴とする。
また、本発明の請求項3にかかる構造部材の製造方法は、前述した請求項2において、前記一方の要素と前記接合部材との接合部、および前記他方の要素と前記接合部材との接合部をそれぞれ櫛歯状に形成して接合することを特徴とする。
また、本発明の請求項4にかかる構造部材は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の構造部材の製造方法を用いて製造されることを特徴とする。
また、本発明の請求項5にかかるトラス構造体は、請求項4に記載の構造部材を用いて構築されることを特徴とする。
本発明によれば、構造部材を製造する場合に、1回のみ強化処理を施せば、強化部が両端となる構造部材を得ることができる。したがって、強化部を構成する場合に、圧縮強化処理を施す回数を削減できることになり、これによるコストの増大を招来することがない。
以下に、本発明にかかる構造部材の製造方法、構造部材およびトラス構造体の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明にかかるトラス構造体の実施の形態を示す側面概念図である。図1に示すトラス構造体10は、例えば、トラス梁として用いられるもので、複数の構造部材20を備えて構成してある。
構造部材20は、図2および図3に示すように、当該構造部材20の略中央に配置した接合部材24から長手方向の両端に向けて、接着部21、緩衝部22、強化部23を順に有している。この構造部材20は、接着部21、緩衝部22、強化部23および接合部材24で一つの柱状の部材として構成してある。
図4は、図2に示した構造部材の製造工程を示す斜視図である。すなわち、構造部材20を構成する場合には、まず、木質材料から成る複数の単板21aの相互間に、これらの単板21aよりも長手方向の長さが短い木質材料から成る複数の単板22aを配置する。さらに、複数の単板21aおよび複数の単板22aの相互間の一部に、これらの単板22aよりも長手方向の長さが短い木質材料から成る複数の単板23aを長手方向の中間部に配置する。こうして、複数の単板21aのみが積層された部分、複数の単板21a,22aが積層された部分、および複数の単板21a,22a,23aが積層された部分をそれぞれ形成する(図3参照)。この形成したものを、複数の単板21a,22a,23aの積層方向の高さh(図4参照)が、長手方向に略同一となるように圧縮する。このようにして、複数の単板21aのみが積層された状態で圧縮された接着部41、複数の単板21a,22aが積層された状態で圧縮された緩衝部42、および複数の単板21a,22a,23aが積層された状態で圧縮された強化部43を有する柱状の素材40を成形する。
素材40は、本実施の形態では、複数の単板21a,22a,23aの積層方向の高さh(図4参照)が52mmとなるように圧縮してある。この場合、圧縮率(%)=(圧縮量/圧縮前の単板積層高さh)×100と定義すれば、接着部41の圧縮率は10%、緩衝部42の圧縮率は54%、および強化部43の圧縮率は62%である。
複数の単板21aは、本実施の形態では、それぞれ3mmの単板であり、繊維方向を長手方向に略同一に揃えた状態で19枚積層してある。なお、複数の単板21aとしては、難燃化薬剤を含浸することにより、難燃性を向上したものを適用することが好ましい。さらに、その複数の単板21aの一部に、フェノール樹脂等の耐候性薬剤を含浸することにより、耐候性を向上したものを混在することも好適である。
複数の単板22aは、本実施の形態では、それぞれ熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を含浸した3mmの単板である。また、複数の単板22aは、当該複数の単板22aの繊維方向が、複数の単板21aの繊維方向と略直交する方向(図2参照)となるように18枚積層してある。
複数の単板23aは、本実施の形態では、それぞれ熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を含浸した3mmの単板である。また、複数の単板23aは、当該複数の単板23aの繊維方向が、複数の単板21aの繊維方向と略直交する方向(図2参照)となるように8枚積層してある。なお、複数の単板23aは、8枚でなくても良く、例えば4〜8枚の範囲で増減しても構わない。
次に、素材40を、強化部43の所定位置で分断する。ここで、素材40を分断する位置は、分断した一方の要素45および他方の要素46に、それぞれ確保すべき長さ(図6において左右方向)の強化部43を確保できる位置である。本実施の形態では、分断した一方の要素45および他方の要素46に、それぞれトラス構造体10を構成する上で必要となる長さ(図6において左右方向)の強化部43を確保できる位置で、素材40を分断している。
その後、一方の要素45および他方の要素46の接着部41の端面41cを、それぞれ櫛歯状に形成してジョイント部21bを設ける。一方、木質材料から成る接合部材24の両端面をそれぞれ櫛歯状に形成してジョイント部24aを設ける。そして、一方の要素45のジョイント部21bと、接合部材24の一方のジョイント部24aとを接着材で接合し、かつ他方の要素46のジョイント部21bと、接合部材24の他方のジョイント部24aとを接着材で接合する(いわゆるフィンガージョイント)。
接合部材24に適用する木質材料としては、主伐材あるいは間伐材の製材、木材の薄板を数枚接着した集成材、および繊維方向を略同一方向に揃えた複数の単板を積層して接着したLVL(Laminated Veneer Lumber)材などがある。本実施の形態では、接合部材24に集成材を採用している。なお、接合部材24としては、難燃化処理を施した木質材料を適用することが望ましい。また、接合部材24の表面には、耐候性を確保するためのコーティング剤を塗布することが望ましい。
最後に、適用するトラス構造体10に応じて、後述する連結体32を嵌合するための連結孔23bをそれぞれ強化部43に形成したり、外形形状を適宜加工すれば、図2に示した強化部23が両端となる構造部材20を構成することができる。
以下、上述した製造方法にしたがって製造した構造部材20を複数用いて構築するトラス構造体10について説明する。複数の構造部材20は、図5および図6に示すように、木質材料から成る一対の連結部材31に連結体32を介してそれぞれピン結合してある。
一対の連結部材31は、互いの間に複数の構造部材20を挟み込む態様で配置した板状の部材である。本実施の形態では、連結部材31に積層した複数の単板に熱硬化性樹脂を含浸して熱圧した強化木を採用している。
連結体32は、一対の連結部材31に設けられた連結孔(図示せず)と、構造部材20の連結孔23bとに嵌合する棒状の部材である。連結体32としては、周知のピンやボルトなどがある。
上記のように構造部材20を製造すれば、1回のみ強化処理を施すことにより、強化部23が両端となる構造部材20を得ることができる。したがって、強化部23を構成する場合に、圧縮強化処理を施す回数を削減できることになり、これによるコストの増大を招来することがない。
また、上記のように構造部材20を製造すれば、接着部21と、強化部23とを緩衝部22を介して連続して構成することができる。したがって、接着部21と、強化部23との接合に専用部材を設ける必要がなく、これによる接合部の断面欠損を防止することができる。それに加えて、一方の要素45と接合部材24との接合部、および他方の要素46と接合部材24との接合部とをそれぞれ櫛歯状に形成して接合してある(いわゆるフィンガージョイント)。したがって、それぞれの接合部の断面欠損を抑制することができる。
さらに、上記のように構造部材20を製造すれば、一方の要素45と他方の要素46とを、接合部材24を介して接合してある。そのため、例えば、接合部材24を変更すれば、長大な構造部材20をも同じ素材40から製造することができる。したがって、長大な構造部材20を製造する場合にも、圧縮強化処理を施す設備を大型化する必要がない。
上記のように構成した構造部材20によれば、木質材料を用いて構成したため、見栄えが良く、意匠に優れる。さらに、構造部材20を、木質材料を用いて構成したため、錆が発生することがなく、これによる強度の低下がない。
また、上記のように構成した構造部材20によれば、木質材料のみを用いて構成したため、解体時に、材料に応じた分別を行う必要がない。
なお、複数の単板21a,22a,23aの積層方向の高さh(図4参照)を高くする場合には、図7に示すように、上述した製造工程にしたがって同じ長さ(図7において左右方向)および幅(図7において上下方向)に製造した別の構造部材50と、高さh(図4参照)が高くなるように接合すれば良い。この場合、一方の要素45と接合部材24との接合部、および他方の要素46と接合部材24との接合部の長手方向の位置が、別の構造部材50の接合部と合致しないよう当該構造部材50を構成すると良い。
また、本実施の形態では、一対の連結部材31を、互いの間に複数の構造部材20を挟み込む態様で配置した板状の部材を例示しているが、必ずしも互いの間に複数の構造部材20を挟み込む態様で配置しなくても良い。例えば、図8に示すように、複数の構造部材20’に設けたそれぞれの連結溝20a’に、板状の連結部材61を嵌合するように構成しても良い。この場合、連結部材61としては、金属材料から成るものが好適である。
さらに、本実施の形態では、強化部43を長手方向の略中央に構成した素材40を例示しているが、長手方向の中間部であれば、略中央に強化部43を構成しなくても良い。この場合においても、素材40を分断する位置は、分断した一方の要素45および他方の要素46に、それぞれ確保すべき長さ(図6において左右方向)の強化部43を確保できる位置であれば良い。
また、本実施の形態では、一方の要素45と他方の要素46との相互間に、接合部材24を介在した状態で接合して構造部材20を構成しているが、接合部材24を介在させずに、一方の要素45のジョイント部21bと、他方の要素46のジョイント部21bとを接着材で接合して構造部材20を構成しても良い(いわゆるフィンガージョイント)。
さらに、本実施の形態では、構造部材20を、トラス構造体10を構築する場合に用いているが、各種建築物を構築する場合に梁などの軸部材として用いても良い。
以下、上述した製造方法に従って製造した構造部材の具体例を示すとともに、この構造部材を用いて実施した強度実験について説明する。
図9−1、図9−2、図9−3および図9−4は、図4に示した製造方法に従って製造した構造部材の具体例の端部拡大図である。図9−1に示す具体例の構造部材120は、上述した製造方法に従って製造したもので、複数の単板121a,222aの積層方向の高さが30mmとなるように圧縮してある。図9−1に示す具体例では、複数の単板121aは、繊維方向を長手方向に略同一に揃えた状態で12枚積層してある。また、図9−1に示す具体例では、複数の単板122aは、それぞれ熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を含浸したもので、繊維方向が複数の単板121aの繊維方向と略直交する方向(図9−1参照)となるように17枚積層してある。図9−1からも明らかなように、この構造部材120の強化部123は、積層方向において両端部側に複数の単板122aが集中して配置されるように構成してある。
図9−2に示す具体例の構造部材220は、上述した製造方法に従って製造したもので、複数の単板221a,222aの積層方向の高さが30mmとなるように圧縮してある。複数の単板221aは、繊維方向を長手方向に略同一に揃えた状態で12枚積層してある。また、図9−2に示す具体例では、複数の単板222aは、それぞれ熱硬化性樹脂を含浸したもので、繊維方向が複数の単板221aの繊維方向と略直交する方向(図9−2参照)となるように17枚積層してある。図9−2からも明らかなように、この構造部材220の強化部223は、積層方向において中央部付近に複数の単板222aが集中して配置されるように構成してある。
図9−3に示す具体例の構造部材320は、上述した製造方法に従って製造したもので、複数の単板321a,322aの積層方向の高さが30mmとなるように圧縮してある。複数の単板322aは、繊維方向を長手方向に略同一に揃えた状態で16枚積層してある。また、図9−3に示す具体例では、複数の単板322aは、それぞれ熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を含浸したもので、繊維方向が複数の単板321aの繊維方向と略直交する方向(図9−3参照)となるように13枚積層してある。図9−3からも明らかなように、この構造部材320の強化部323は、図9−2に示した構造部材220と比較してフェノール樹脂を含浸した複数の単板322aを減数して構成してある。
図9−4に示す具体例の構造部材420は、上述した製造方法に従って製造したもので、複数の単板421a,422a,423aの積層方向の高さが30mmとなるように圧縮してある。複数の単板421aは、繊維方向を長手方向に略同一に揃えた状態で12枚積層してある。また、図9−4に示す具体例では、複数の単板422aは、それぞれ熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を含浸したもので、繊維方向が複数の単板421aの繊維方向と略直交する方向(図9−4参照)となるように11枚積層してある。また、図9−3に示す具体例では、複数の単板423aは、それぞれ熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を含浸したもので、繊維方向を長手方向に略同一に揃えた状態で4枚積層してある。図9−4からも明らかなように、この構造部材420の強化部423は、図9−3に示した構造部材320と比較して複数の単板421aの一部を、フェノール樹脂を含浸した複数の単板423aに入れ替えて構成してある。
図10および図11は、図9に示した構造部材の具体例を用いて実施した強度実験の説明図である。この強度実験では、構造部材120の強化部123のみを長手方向に240mm切り出した試験体170を実験対象としている。この試験体170は、両端部に積層面と平行となるように長手状を成す鋼板71の一端部がそれぞれ埋設され、これら各鋼板71とボルト72を介して固定されている。この一方の鋼板71は、他端部が固定具73を介して固定体Gに固定されており、他方の鋼板71は、他端部が把持具74に固定されている。図10からも明らかなように、これら試験体170、および各鋼板71は、固定具73の鉛直上方に把持具74が配置されるように、鉛直上方に向けて延在する態様で配置されている。鋼板71は、この強度実験では、6mmの鋼板(PL6)である。また、ボルト72は、M10と称されるねじである。そして、この強度実験では、把持具74に鉛直上方に向けた引張力を加え、これによる試験体170の長手方向の変位量を実験データとして採取する。また、構造部材220についても構造部材120と同様に、強化部223を切り出して試験体270とし、この試験体270に試験体170と同様に引張力を加え、これによる試験体270の長手方向の変位量を実験データとして採取する。また、構造部材320についても構造部材120と同様に、構造部材320の強化部323を切り出して試験体370とし、この試験体370に試験体170と同様に引張力を加え、これによる試験体370の長手方向の変位量を実験データとして採取する。また、構造部材420についても構造部材120と同様に、構造部材420の強化部423を切り出して試験体470とし、この試験体470に試験体170と同様に引張力を加え、これによる長手方向の変位量を実験データとして採取する。
図11は、図9に示した構造部材の具体例において強度実験を実施し、引張荷重と長手方向変位量との関係を示したグラフである。図11において実線は、試験体170、図11において破線は、試験体270、図11において一点鎖線は、試験体370、図11において二点鎖線は、試験体470のものである。なお、図11においては、各試験体170、270、370、470についてそれぞれ3個の強度実験を実施したものにおいて代表的な実験データを示している。
図11からも明らかなように、各試験体170、270、370、470のいずれにおいても、引張荷重と長手方向変位量との関係は、大差ない近似的な曲線を描いている。したがって、構造部材の強化部を構成する場合に、単板の積層の順番を適宜変更したとしても、強化処理を行っていない製材などと比較して、高強度な構造部材を得ることができる。
ここで、上述した強度実験では、試験体の両端からボルト72の中心までの距離eを、ボルト72の直径(呼び径)の7倍、つまり70mmに設定している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
図12は、図9に示した構造部材の具体例において強度実験を実施し、引張荷重と長手方向変位量との関係を示したグラフである。図12において破線は、具体例の試験体の両端からボルト中心までの距離eを、ボルト72の直径(呼び径)の2倍、つまり20mmに設定したもの、図12において実線は、比較例となる従来のLVL材(日本農林規格に適合する70E・特級のもの)を試験体として適用し、この試験体の両端からボルト中心までの距離eを、ボルト72の直径(呼び径)の7倍、つまり70mmに設定したものである。なお、いずれの試験体においても外径寸法を同一とし、上述した試験体170と同様に引張力を加え、これによる長手方向の変位量を採取している。また、図12においては、各試験体についてそれぞれ3個の強度実験を実施したものにおいて代表的な実験データを示している。
図12からも明らかなように、実線で示した比較例においては、7kNの引張荷重で長手方向に5mm変位することになる。つまり、従来のLVL材の試験体が5mm伸長することになる。
これに対して本発明の具体例の試験体によれば、23kNもの引張荷重でも長手方向に5mmしか変位することがない。つまり、引張荷重に対する長手方向変位量が大幅に減少している。
したがって、上述した構造部材をトラス構造体に適用すれば、両端からボルトの中心までの距離eを、建築学会規準の規定にあるボルトの直径(呼び径)の7倍以下に設定したとしても、距離eをボルトの直径の2倍を確保していれば、従来のLVL材と比較して高強度・高耐力なトラス構造体を得ることができる。しかも、距離eを短縮することができれば、例えば、トラス構造体10を構築する際に、図8に示すように、構造部材20’の連結溝20a’に嵌合する連結部材61における構造部材20’の長手方向に沿った長さを短縮することができる。
以下、上述した製造方法に適用する接合部材の一例を示すとともに、この接合部材を用いて実施した強度実験について説明する。
図13−1、図13−2および図13−3は、図4に示した製造方法に適用する接合部材の一例を示す斜視図である。図13−1に示す接合部材124は、繊維方向を略同一方向に揃えた複数の単板を積層して接着したLVL材である。この接合部材124は、図14に示すようなパラメータの外形形状に構成してある。図13−1に示す接合部材224は、繊維方向を略同一方向に揃えた複数の単板を積層して接着したLVL材である。この接合部材224は、図14に示すようなパラメータの外形形状に構成してある。
図13−2に示す接合部材324は、一方の接合要素325と、他方の接合要素326とを接合して構成したものである。一方の接合要素325は、繊維方向を略同一方向に揃えた複数の単板を積層して接着したLVL材である。他方の接合要素326は、繊維方向を略同一方向に揃えた複数の単板を積層して接着したLVL材である。この接合部材324は、図13−2に示すように、一方の接合要素325および他方の接合要素326のそれぞれの一端面に、櫛歯形状が積層した単板のそれぞれに現れるように櫛歯状に形成してジョイント部325a,326aを設け、これらジョイント部325a,326aを互いに接着剤で接合したものである(いわゆるフィンガージョイント)。また、接合部材324は、一方の接合要素325と他方の接合要素326との接合部が長手方向の中央に配置されるように、図14に示すようなパラメータの外形形状に構成してある。図13−2に示す接合部材524は、一方の接合要素525、他方の接合要素526を有している。一方の接合要素524は、繊維方向を略同一方向に揃えた複数の単板を積層して接着したLVL材である。他方の接合要素526は、繊維方向を略同一方向に揃えた複数の単板を積層して接着したLVL材である。この接合部材524は、図13−2に示すように、一方の接合要素525および他方の接合要素526のそれぞれの一端面に、櫛歯形状が積層した単板のそれぞれに現れるように櫛歯状に形成してジョイント部525a,526aを設け、これらジョイント部525a,525aを互いに接着剤で接合したものである(いわゆるフィンガージョイント)。また、この接合部材524は、一方の接合要素525と他方の接合要素526との接合部が長手方向の中央に配置されるように、図14に示すようなパラメータの外形形状に構成してある。
図13−3に示す接合部材424は、一方の接合要素425と、他方の接合要素426を接合して構成したものである。一方の接合要素425は、繊維方向を略同一方向に揃えた複数の単板を積層して接着したLVL材である。他方の接合要素426は、繊維方向を略同一方向に揃えた複数の単板を積層して接着したLVL材である。この接合部材424は、図13−3に示すように、一方の接合要素425および他方の接合要素426のそれぞれの一端面に、櫛歯形状が積層した単板に個別に現れないように櫛歯状に形成してジョイント部425a,426aを設け、これらジョイント部425a,426aを互いに接着剤で接合したものである。また、この接合部材424は、一方の接合部材425と他方の接合部材426との接合部が長手方向の中央部に配置されるように、図14に示すようなパラメータの外形形状に構成してある。
図15は、図4に示した製造方法に適用する接合部材を用いて実施した強度実験の説明図である。この強度試験では、図13−1に示した姿勢で、接合部材124を一対の支持体81に載置する。具体的には、両端からそれぞれ45mmに位置する下面が、支持体81の支持部81aにそれぞれ支持されるように、接合部材124を一対の支持体81に載置する。一対の支持体81は、それぞれ略三角柱状を成すもので、それぞれ側部に有した支持部81aの相互間距離が945mmとなるように平行配置してある。この一方の支持体81は、一側面81bを介して固定体G2に固定されているとともに、他方の支持体81は、一側面81bを介して固定体G3に固定されている。そして、この強度実験では、一対の支持体81に載置した接合部材124の上面において、両端からそれぞれ360mmに位置する部位に鉛直下方に向けた荷重をそれぞれ加え、これによる接合部材124の上面中央の点Pにおける鉛直方向の変位量を実験データとして採取する。つまり、接合部材124における単板の積層面に直交する方向に荷重を加えたものである(平使い方向)。また、図13−1において手前側となる面を上方に向けた姿勢で、接合部材124と同様に一対の支持体81に載置した接合部材224について、接合部材124と同様に荷重を加え、これによる上面中央の点Pにおける鉛直方向の変位量を実験データとして採取する。つまり、接合部材224における積層した単板の端面部分に荷重を加えるものである(縦使い方向)。また、図13−2に示す姿勢で接合部材124と同様に一対の支持体81に載置した接合部材324について、接合部材124と同様に荷重を加え、これによる上面中央の点Pにおける鉛直方向の変位量を実験データとして採取する。つまり、接合部材324における単板の積層面に直交する方向に荷重を加えたものである(平使い方向)。また、図13−3に示す状態で接合部材124と同様に一対の支持体81に載置した接合部材424について、接合部材124と同様に荷重を加え、これによる上面中央の点Pにおける鉛直方向の変位量を実験データとして採取する。つまり、接合部材424における積層した単板の端面部分に荷重を加えるものである(縦使い方向)。また、図13−2において手前側となる面を上方に向けた姿勢で、接合部材124と同様に一対の支持体81に載置した接合部材524について、接合部材124と同様に荷重を加え、これによる上面中央の点Pにおける鉛直方向の変位量を実験データとして採取する。
図16および図17は、図13に示した接合部材の一例において強度実験を実施し、最大曲げ応力度と鉛直方向変位量との関係を示したグラフである。図16において実線は、接合部材124、図16において破線は、接合部材324のものである。図17において実線は、接合部材224、図17において破線は、接合部材424、図17において一点鎖線は、接合部材524のものである。なお、図16および図17においては、各接合部材124、224、324、424、524についてそれぞれ8個の強度実験を実施したものにおいて代表的な実験データを示している。
図16からも明らかなように、各試験体124、324共、載荷荷重による最大曲げ応力度と点Pにおける鉛直方向変位量との関係は、大差ない近似的な曲線を描いている。したがって、構造部材を構成する場合に、接合部材を適用し、これをフィンガージョイントで接合したとしても、接合がないLVL材などと比較して構造性能が劣ることはない。
図17からも明らかなように、各試験体224、424、524のいずれにおいても、載荷荷重による最大曲げ応力度と点Pにおける鉛直方向変位量との関係は、大差ない近似的な曲線を描いている。したがって、構造部材を構成する場合に、接合部材を適用し、これをフィンガージョイントで接合したとしても、接合がないLVL材などと比較して構造性能が劣ることはない。
上述した接合部材を構造部材に適用し、これをフィンガージョイントで接合したとしても、日本農林規格に適合した接合がないLVL材と同様の構造性能を有することができることになり、設計時に材料の指示を個別に考慮する必要がない。
10 トラス構造体
20 構造部材
20’ 構造部材
21 接着部
21a 単板
21b ジョイント部
22 緩衝部
22a 単板
23 強化部
23a 単板
23b 連結孔
24 接合部材
24a ジョイント部
31 連結部材
32 連結体
40 素材
41 接着部
41c 端面
42 緩衝部
43 強化部
43c 分断面
45 要素
46 要素
50 構造部材
51 接着部
52 緩衝部
53 強化部
20 構造部材
20’ 構造部材
21 接着部
21a 単板
21b ジョイント部
22 緩衝部
22a 単板
23 強化部
23a 単板
23b 連結孔
24 接合部材
24a ジョイント部
31 連結部材
32 連結体
40 素材
41 接着部
41c 端面
42 緩衝部
43 強化部
43c 分断面
45 要素
46 要素
50 構造部材
51 接着部
52 緩衝部
53 強化部
Claims (5)
- 木質材料から成る複数の単板の相互間に、これらの単板よりも長手方向の長さが短い木質材料から成る複数の単板を長手方向の中間部に配置して圧縮し、中間部にのみ強化部を有する柱状の素材を成形する成形工程と、
この素材を前記強化部の所定位置で分断する分断工程と、
分断した一方の要素と他方の要素とを、前記強化部が両端となる態様で接合する接合工程と
を含むことを特徴とする構造部材の製造方法。 - 前記接合工程は、
互いの間に木質材料から成る接合部材を介在した状態で前記一方の要素と他方の要素とを接合すること
を特徴とする請求項1に記載の構造部材の製造方法。 - 前記一方の要素と前記接合部材との接合部、および前記他方の要素と前記接合部材との接合部をそれぞれ櫛歯状に形成して接合すること
を特徴とする請求項2に記載の構造部材の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一つに記載の構造部材の製造方法を用いて製造されることを特徴とする構造部材。
- 請求項4に記載の構造部材を用いて構築されることを特徴とするトラス構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009018770A JP2009208469A (ja) | 2008-02-06 | 2009-01-29 | 構造部材の製造方法、構造部材およびトラス構造体 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008026629 | 2008-02-06 | ||
JP2009018770A JP2009208469A (ja) | 2008-02-06 | 2009-01-29 | 構造部材の製造方法、構造部材およびトラス構造体 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2009208469A true JP2009208469A (ja) | 2009-09-17 |
Family
ID=41182065
Family Applications (1)
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JP2009018770A Pending JP2009208469A (ja) | 2008-02-06 | 2009-01-29 | 構造部材の製造方法、構造部材およびトラス構造体 |
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JP (1) | JP2009208469A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011143698A (ja) * | 2010-01-13 | 2011-07-28 | Hokkaido Research Organization | 木質板積層圧密接合構造 |
-
2009
- 2009-01-29 JP JP2009018770A patent/JP2009208469A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011143698A (ja) * | 2010-01-13 | 2011-07-28 | Hokkaido Research Organization | 木質板積層圧密接合構造 |
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