JP2009205727A - 光ディスク装置およびサーボ制御方法 - Google Patents

光ディスク装置およびサーボ制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】記録状態への遷移において光ピックアップに対して安定なサーボ制御を行う。
【解決手段】光ディスク装置は再生用または記録用パワーに選択的に設定される光ビームを光ディスクの記録面へ照射しこの記録面からの反射光を受光する光ピックアップと、光ピックアップを駆動する駆動ユニットとを備える。駆動ユニットは記録面上の記録トラックに対するトラッキングサーボエラーを光ピックアップの出力信号から検出するエラー検出器、およびエラー検出器から得られるサーボエラー信号TEに基づいて光ピックアップのトラッキング制御を行うトラッキング制御部28,31を含む。制御部28,31は再生状態から記録状態への遷移に伴ってトラッキングサーボを一時的にオフ状態に設定し、遷移により生じるサーボエラー信号TEの残留偏差を測定し、サーボエラー信号TEに対してこの残留偏差に対応するオフセット補正を行い、このオフセット補正後にトラッキングサーボをオン状態に戻すように構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、光ディスクの記録面に光ビームを照射する光ピックアップのトラッキングやフォーカシングをサーボ方式で制御する光ディスク装置およびサーボ制御方法に関する。
光ディスク装置は、一般に光ディスクからの反射光を光ピックアップにより受光し、この光ピックアップの出力信号からトラッキングサーボやフォーカシングサーボのエラーをサーボエラー信号として検出し、対応サーボエラー信号に基づいてトラッキングサーボやフォーカシングサーボの状態を決定する。すなわち、トラッキングサーボやフォーカシングサーボは対応サーボエラー信号が許容範囲内にある場合にオンし、この許容範囲を越えた場合にオフする。
このような光ディスク装置では、サーボエラー信号が装置の記録再生性能に依存している。従来、光ビームビームを照射した状態でオフセット補正を行いかつ制御がサーボの安定した整定状態の時のみオフセット補正を行うことで、光ビームの焦点位置制御の安定性を確保しながら記録再生性能に依存しないオフセット測定を行う技術が知られる(例えば特許文献1を参照)。
特開2004−287168号公報
ところで、光ディスク装置が再生状態から記録状態へ遷移すると、サーボエラー信号の一時的なシフトが主に光ビームパワーの増大に起因したオフセットとして発生する。再生状態でトラックキャッチおよびジャストフォーカスに成功していても、トラッキングサーボやフォーカシングサーボがこの遷移において有効(オン)である場合、このオフセットがサーボ系の応答時間に依存した時間でゼロに戻ったときに光ビームの照射位置や焦点位置のずれが生じる。
しかしながら、上述の特許文献1は整定状態でサーボをホールドしてオフセットの検出を行う方式であるため、再生状態からから記録状態への遷移において生じるオフセットに対して補正を行うことができない。
本発明の目的は再生状態から記録状態への遷移において光ピックアップに対して安定なサーボ制御を行うことが可能な光ディスク装置およびサーボ制御方法を提供することにある。
本発明の第1観点によれば、再生用パワーおよび記録用パワーの一方に選択的に設定される光ビームを光ディスクの記録面へ照射しこの記録面からの反射光を受光する光ピックアップと、光ピックアップを駆動する駆動ユニットとを備え、駆動ユニットは記録面上の記録トラックに対するトラッキングサーボエラーを光ピックアップの出力信号から検出するエラー検出器、およびこのエラー検出器から得られるトラッキングサーボエラー信号に基づいて光ピックアップのトラッキング制御を行うトラッキング制御部を含み、トラッキング制御部は再生状態から記録状態への遷移に伴ってトラッキングサーボを一時的にオフ状態に設定し、遷移により生じるトラッキングサーボエラー信号の残留偏差を測定し、トラッキングサーボエラー信号に対してこの残留偏差に対応するオフセット補正を行い、このオフセット補正後にトラッキングサーボをオン状態に戻すように構成される光ディスク装置が提供される。
本発明の第2観点によれば、再生用パワーおよび記録用パワーの一方に選択的に設定される光ビームを光ディスクの記録面へ照射しこの記録面からの反射光を受光する光ピックアップと、光ピックアップを駆動する駆動ユニットとを備え、駆動ユニットは記録面に対するフォーカシングサーボエラーを光ピックアップの出力信号から検出するエラー検出器、およびこのエラー検出器から得られるフォーカシングサーボエラー信号に基づいて光ピックアップのフォーカシング制御を行うフォーカシング制御部を含み、フォーカシング制御部は再生状態から記録状態への遷移に伴ってフォーカシングサーボを一時的にオフ状態に設定し、遷移により生じるフォーカシングサーボエラー信号の残留偏差を測定し、フォーカシングサーボエラー信号に対してこの残留偏差に対応するオフセット補正を行い、このオフセット補正後にフォーカシングサーボをオン状態に戻すように構成される光ディスク装置が提供される。
本発明の第3観点によれば、再生用パワーおよび記録用パワーの一方に選択的に設定される光ビームを光ディスクの記録面へ照射しこの記録面からの反射光を受光する光ピックアップと、光ピックアップを駆動する駆動ユニットとを備え、駆動ユニットは録面上の記録トラックに対するトラッキングサーボエラーおよび記録面に対するフォーカシングサーボエラーの少なくとも一方を光ピックアップの出力信号から検出するエラー検出器、およびこのエラー検出器から得られる各サーボエラー信号に基づいて光ピックアップのトラッキング制御およびフォーカシング制御の少なくとも一方を行う制御部を含む光ディスク装置のサーボ制御方法であって、再生状態から記録状態への遷移に伴ってサーボを一時的にオフ状態に設定し、遷移により生じるサーボエラー信号の残留偏差を測定し、サーボエラー信号に対してこの残留偏差に対応するオフセット補正を行い、このオフセット補正後にサーボをオン状態に戻すサーボ制御方法が提供される。
これら光ディスク装置およびサーボ制御方法では、トラッキングサーボやフォーカシングサーボが再生状態から記録状態への遷移に伴って一時的にオフ状態に設定され、この遷移により生じるサーボエラー信号の残留偏差が測定され、この残留偏差に対応するオフセット補正がサーボエラー信号に対して行われ、このオフセット補正後にトラッキングサーボやフォーカシングサーボがオン状態に戻される。すなわち、再生状態から記録状態への遷移でサーボエラー信号に生じた段差がこのオフセット補正により打ち消されるため、この遷移において光ピックアップに対して安定なサーボ制御を行うことが可能になる。
以下、本発明の第1実施形態に係る光ディスク装置について添付図面を参照して説明する。
図1はこの光ディスク装置1の構成を示す。光ディスク2はユーザデータを記録可能な光ディスクである。光ディスク2は記録面にスパイラル状に形成されるランドトラックおよびグループトラックのような記録トラックを有し、ディスクモータ3によって回転される。このディスクモータ3はディスクモータ制御回路4によって制御される。光ディスク2に対するデータの記録および再生は光ピックアップ5で行われる。光ピックアップ5は再生用パワーおよび記録用パワーの一方に選択的に設定される光ビームを光ディスクの記録面へ照射しこの記録面からの反射光を受光する。光ピックアップ5は以下のような駆動ユニットにより駆動される。すなわち、この光ピックアップ5はギア等を含む連結部8を介してスレッドモータ6に連結され、このスレッドモータ6の駆動力で光ディスク2の半径方向に移動可能である。スレッドモータ6はスレッドモータ制御回路9により制御される。スレッドモータ制御回路9は光ピックアップ5の速度を検出する速度検出器7に接続され、この速度検器7から検出結果の速度信号に基づいてスレッドモータ6を駆動して光ピックアップ5を移動させる。光ピックアップ5は、図示しないワイヤあるいは板バネによって可動状態で支持される対物レンズ10を有する。この対物レンズ10はフォーカスアクチュエータ11によりフォーカシング方向(レンズの光軸方向)へ移動可能であり、さらにトラッキングアクチュエータ12により記録トラックに交差するトラッキング方向(レンズの光軸と直交する方向)へ移動可能である。
変調回路14は記録時(マーク形成時)にホスト装置36からインターフェース回路36を介して供給されるデータに対して例えばDVD系の記録メディア用である8−14変調(EFM)を行い、この変調により得られたEFMデータをレーザ制御回路13へ提供する。レーザ制御回路13はこのEFMデータに基づく記録信号をレーザダイオード15に供給する。レーザダイオード15はこの記録信号に応じてレーザ光を光ビームとして発生する。光ビームは、コリメートレンズ18、ハーフプリズム19、対物レンズ10を介して光ディスク2上に照射される。
光ディスク2からの反射光は、対物レンズ10、ハーフプリズム19、集光レンズ20、シリンドリカルレンズ21を介して光検出器22に導かれる。光検出器22は4分割の受光部22a〜22dで構成される。これら受光部22a〜22dの出力信号は、それぞれ電流−電圧(I−V)変換用のアンプ23a〜23d、加算器24a〜24dを介して第1差動アンプ25および第2差動アンプ27に供給される。アンプ23a〜23d、加算器24a〜24dおよび第1差動アンプ25は記録面に対するフォーカシングサーボエラーを光ピックアップ5の出力信号から検出するフォーカシングサーボエラー検出器を構成し、アンプ23a〜23d、加算器24a〜24dおよび第2差動アンプ27は記録面上の記録トラックに対するトラッキングサーボエラーを光ピックアップ5の出力信号から検出するトラッキングサーボエラー検出器を構成する。
第1差動アンプ25は加算器24aおよび24bの両出力信号の差に応じたフォーカシングサーボエラー信号FEを出力する。フォーカスシング制御回路26は第1差動アンプ25からのフォーカシングサーボエラー信号FEに基づいてサーボ信号をフォーカスアクチュエータ11に出力する。フォーカスアクチュエータ11はフォーカスシング制御回路26からのサーボ信号に対応して対物レンズ10を駆動し、これにより光ビームのジャスト焦点位置を常時光ディスク2の記録面に合わせる。
第2差動アンプ27は、加算器24cおよび24dの両出力信号の差に応じたトラッキングサーボエラー信号TEを出力する。トラッキング制御回路28は第2差動アンプ27からのトラッキングサーボエラー信号TEに基づいてサーボ信号をトラッキングアクチュエータ12に出力する。トラッキングアクチュエータ12はトラッキング制御回路28からのサーボ信号に対応して対物レンズ10を駆動し、これにより対物レンズ10の中心位置を光ディスク2の記録面上のトラックに合わせる。トラッキング制御回路28はスレッドモータ制御回路9にもサーボ信号を出力する。スレッドモータ制御回路9は、トラッキングサーボエラー信号TEに基づいてスレッドモータ6を駆動し、対物レンズ10の中心位置をトラックに近づけるように光ピックアップ5を光ディスク2の半径方向に移動させる。
加算器24eは光検出器22である受光部22a〜22dの出力信号の和信号、すなわち加算器24cおよび24dの両出力信号の加算結果を再生信号RFとしてデータ再生回路29に出力する。この再生信号RFには、光ディスク2に記録されたピット(記録データ)からの反射率の変化が反映される。データ再生回路29は、PLL回路16からの再生用クロック信号に基づき、記録データを再生する。PLL回路16は再生信号RFからデータ位相を検出しこのデータ位相を位相ロック状態にすることにより再生用クロック信号を得ている。データ再生回路29で再生された再生データは、これに付与されているエラー訂正コードを用いてエラー訂正回路34でエラー訂正を行った後、インターフェース回路35を介してホスト装置36に出力される。フォーマット制御回路37は記録時にレーザ制御回路13に対するライトゲート信号をオンし、これによりレーザダイオード15からレーザ光として発生される光ビームのパワーを再生用から記録用に変更するよう制御する。
ディスクモータ制御回路4、スレッドモータ制御回路9、レーザ制御回路13、変調回路14、PLL回路16、データ再生回路29、フォーカスシング制御回路26、およびトラッキング制御回路28は例えば単一のLSIチップとして構成され、バス30を介してCPU31によって制御される。CPU31はインターフェース回路35を介してホスト装置36から供給される動作コマンドに従って、この光ディスク装置1全体を制御する。また、CPU31は、RAM32を作業エリアとして使用し、ROM33に記録された制御プログラムに従って制御動作を行う。
図2はトラッキング制御回路28の構成を詳細に示す。このトラッキング制御回路28は第2差動アンプ27からのトラッキングサーボエラー信号TEに対してオフセット補正を行うオフセット補正部TCRと、このオフセット補正部TCRの出力信号に基づいてトラッキングアクチュエータ12用のサーボ信号およびスレッドモータ制御回路9用のサーボ信号を発生するサーボ制御回路TSCとを備える。オフセット補正部TCRはトラッキングサーボエラー信号TEをアナログからデジタル形式に変換してCPU31に出力するAD変換器(ADC)28A、CPU31からのオフセット補正値をデジタルからアナログ形式に変換してオフセット信号として出力するDA変換器(DAC)28B、第2差動アンプ27からのトラッキングサーボエラー信号TEをオフセット信号で補正する加算器28C、およびこの補正結果のトラッキングサーボエラー信号TEをCPU31からのサーボスイッチ信号の制御により選択的に出力するスイッチ素子28Dを有する。サーボ制御回路TSCはスイッチ素子28Dからのトラッキングサーボエラー信号TEを増幅する増幅器28E、この増幅器28Eの出力信号に対して位相補償を行う位相補償部28F、この位相補償部28Fの出力信号をサーボ信号としてトラッキングアクチュエータ12に出力するドライバ28G、この位相補償部28Fの出力信号を増幅する増幅器28H、この増幅器28Hの出力信号に対して位相補償を行う位相補償部28I、およびこの位相補償部28Iの出力信号をサーボ信号としてスレッドモータ制御回路9に出力するドライバ28Gを有する。
すなわち、CPU31並びにトラッキング制御回路28のオフセット補正部TCRおよびサーボ制御回路TSCはトラッキングサーボエラー検出器から得られるトラッキングサーボエラー信号TEに基づいて光ピックアップ5のトラッキング制御を行うトラッキング制御部であり、このトラッキング制御部は再生状態から記録状態への遷移に伴ってトラッキングサーボを一時的にオフ状態に設定し、この遷移により生じるトラッキングサーボエラー信号TEの残留偏差を測定し、このトラッキングサーボエラー信号TEに対してこの残留偏差に対応するオフセット補正を行い、このオフセット補正後にトラッキングサーボをオン状態に戻すように構成されている。
図3はフォーカシング制御回路26の構成を詳細に示す。このフォーカシング制御回路26は第1差動アンプ25からのフォーカシングサーボエラー信号FEに対してオフセット補正を行うオフセット補正部FCRと、このオフセット補正部FCRの出力信号に基づいてフォーカシングアクチュエータ11用のサーボ信号を発生するサーボ制御回路FSCとを備える。オフセット補正部FCRはフォーカシングサーボエラー信号FEをアナログからデジタル形式に変換してCPU31に出力するAD変換器(ADC)26A、CPU31からのオフセット補正値をデジタルからアナログ形式に変換してオフセット信号として出力するDA変換器(DAC)26B、第1差動アンプ25からのフォーカシングサーボエラー信号FEをオフセット信号で補正する加算器26C、およびこの補正結果のフォーカシングサーボエラー信号FEをCPU31からのサーボスイッチ信号の制御により選択的に出力するスイッチ素子26Dを有する。サーボ制御回路FSCはスイッチ素子26Dからのフォーカシングサーボエラー信号FEを増幅する増幅器26E、この増幅器26Eの出力信号に対して位相補償を行う位相補償部26F、およびこの位相補償部26Fの出力信号をサーボ信号としてフォーカシングアクチュエータ11に出力するドライバ26Gを有する。
すなわち、CPU31並びにフォーカシング制御回路26のオフセット補正部FCRおよびサーボ制御回路FSCはフォーカシングサーボエラー検出器から得られるフォーカシングサーボエラー信号FEに基づいて光ピックアップ5のフォーカシング制御を行うフォーカシング制御部であり、このフォーカシング制御部は再生状態から記録状態への遷移に伴ってフォーカシングサーボを一時的にオフ状態に設定し、この遷移により生じるフォーカシングサーボエラー信号FEの残留偏差を測定し、フォーカシングサーボエラー信号FEに対してこの残留偏差に対応するオフセット補正を行い、このオフセット補正後にフォーカシングサーボをオン状態に戻すように構成されている。
図4は光ディスク装置1において光ディスク2へデータを記録する場合にCPU31によって行われる記録処理を示す。この記録処理は、再生用パワーで光ピックアップ5から照射され光ディスク2の記録面で反射された光ビームの反射光を受光し、光ディスク2の記録面上の記録トラックキャッチおよびこの記録面へのジャストフォーカスを確立し、トラッキングサーボおよびフォーカシングサーボをオンした状態で開始される。この記録処理の開始に伴い、記録開始準備が最初のステップS1としてレイテンシ期間で行われる。この準備では、CPU31がサーボオン状態でAD変換器28Aおよび26Sから数値として出力されるトラッキングサーボエラー信号TEおよびフォーカシングサーボエラー信号FEをそれぞれ取得する。ステップS2では、ライトゲート信号が光ディスク装置1を再生状態から記録状態に遷移させるためにオンされたか繰り返しチェックされる。光ピックアップ5から照射される光ビームのパワーはライトゲート信号のオンに伴って再生用よりも大きな記録用に変更される。実際にライトゲート信号がオンされたことがステップS2で検出されると、ステップS3でCPU31がサーボスイッチ信号を用いてトラッキング制御回路28のスイッチ素子28Dおよびフォーカシング制御回路26のスイッチ素子26Dをオフすることによりトラッキングサーボおよびフォーカシングサーボをオフ状態に設定し、光ディスク2に対する記録を開始させる。ステップS4では、CPU31がサーボオフ状態でAD変換器28A,26Sから数値として出力されるトラッキングサーボエラー信号TEおよびフォーカシングサーボエラー信号FEをそれぞれ取得し、再生状態で得られた値と記録状態で得られた値との差を再生状態から記録状態への遷移により生じるサーボエラー信号TE,FEの残留偏差として測定する。ステップS5では、CPU31がトラッキングサーボエラー信号TEの残留偏差を打ち消す補正値をDA変換器28Bに設定し、フォーカシングサーボエラー信号FEの残留偏差を打ち消す補正値をDA変換器26Bに設定する。ステップS6では、CPU31がサーボスイッチ信号を用いてトラッキング制御回路28のスイッチ素子28Dおよびフォーカシング制御回路26のスイッチ素子26Dをオンすることによりトラッキングサーボおよびフォーカシングサーボをオン状態に設定する。光ディスク2への記録はこの状態で継続される。ステップS7では、ライトゲート信号がオフされたか繰り返しチェックされる。光ピックアップ5から照射される光ビームのパワーはライトゲート信号のオフに伴って再生用に変更される。実際にライトゲート信号がオフされたことが検出されると、CPU31は光ディスク2への記録を終了して補正値をゼロに戻す。
次にディスク装置1のトラッキング制御動作について説明する。ここで、オフセット補正部TCRを設けないと仮定すると、トラッキングサーボエラー信号TEは光ディスク装置1を再生状態から記録状態に遷移させた場合に図5において実線で示すように変化する。ライトゲート信号が立ち上がってオンになると、光ビームが再生用よりも大きな記録用パワーで光ディスク2の記録面に照射される。この光ビームのパワー変化は光ピックアップ5の光学系での光軸ズレ等による信号ズレ、光検出器22のオフセットズレ、あるいはこれ以降の信号処理系の電気的なオフセットズレの影響もあって、トラッキングサーボエラー信号TEをシフトさせてしまうことがある。すなわち、再生状態でのサーボ点に対して段差が生じる。この状態でサーボを持続させると、トラッキングサーボエラー信号TEがサーボ系の応答時間に依存した収束により徐々にサーボ点に戻る。しかし、図5に破線で示す仮想トラッキングサーボエラー信号TEから明らかなように、信号シフトが本来のトラックのセンターからトラッキング方向においてずれた位置にビームスポットを配置するトラッキングを継続して記録を行わせることになる。従って、トラック内の正しい位置にデータを記録できないばかりか、トラック外の誤った位置にデータを記録してしまう可能性がある。
オフセット補正部TCRは、図6に示すように上述のビームスポットを記録トラック内に維持するために設けられている。ライトゲート信号が立ち上がってオンになる前、光ディスク装置1は再生状態にある。この再生状態では、トラッキングサーボがオン状態にあって、ビームスポットがトラックのセンターをトレースする。オフセット補正部TCRのスイッチ素子28Dがライトゲート信号の立ち上がりに伴う記録開始とほぼ同時にオフされ、これによってトラッキングサーボが一時的に途切れても、ビームスポットがしばらくトラックのセンターをトレースできる。CPU31はこのような状態でAD変換器28Aから得られるトラッキングサーボエラー信号TEの残留偏差(段差)を測定する。この段差は、ビームスポットがトラックのセンターをトレースしている限り、トラッキングサーボエラー信号TEに載った不要のオフセットである。CPU31はこのオフセットに等しい量の電圧をオフセット補正値としてDA変換器28Bに設定する。DA変換器28Bがこの補正値をDA変換し、オフセット信号として加算器28Cに出力すると、加算器28Cが上述のオフセットを打ち消すようにトラッキングサーボエラー信号TEから補正値を減算して、補正結果のトラッキングサーボエラー信号TEを出力する。これに続いて、CPU31はスイッチ素子28Dをオンして、補正結果のトラッキングサーボエラー信号TEをサーボ制御回路TSCに供給する。これにより仮想トラッキングサーボエラー信号TEのセンターをサーボ点としてトラッキングサーボがオン状態になる。従って、これ以降もビームスポットをトラックのセンターに維持することができる。尚、光ビームのパワーは記録の終了に伴って記録用から再生用に変化するため、CPU31はDA変換器28Bに出力した補正値をゼロに戻す。
続いて、次にディスク装置1のフォーカシング制御動作について説明する。ここで、オフセット補正部FCRを設けないと仮定すると、フォーカシングサーボエラー信号FEは光ディスク装置1を再生状態から記録状態に遷移させた場合に図7において実線で示すように変化する。上述したように、ライトゲート信号が立ち上がってオンになると、光ビームが再生用よりも大きな記録用パワーで光ディスク2の記録面に照射される。この光ビームのパワー変化は光ピックアップ5の光学系での光軸ズレ等による信号ズレ、光検出器22のオフセットズレ、あるいはこれ以降の信号処理系の電気的なオフセットズレの影響もあって、フォーカシングサーボエラー信号FEをシフトさせてしまうことがある。すなわち、再生状態でのサーボ点に対して段差が生じる。この状態でサーボを持続させると、フォーカシングサーボエラー信号FEがサーボ系の応答時間に依存した収束により徐々にサーボ点に戻る。しかし、図7に破線で示す仮想フォーカシングサーボエラー信号FEから明らかなように、信号シフトが本来の記録面からフォーカシング方向においてずれた位置に合焦点(ジャストフォーカス)位置を配置するフォーカシングを継続して記録を行わせることになる。従って、正しいビームスポット径でデータを記録できないばかりか、フォーカスが外れてしまう可能性がある。
オフセット補正部FCRは、図8に示すように上述の合焦点位置を光ディスク2の記録面に維持するために設けられている。ライトゲート信号が立ち上がってオンになる前、光ディスク装置1は再生状態にある。この再生状態では、フォーカシングサーボがオン状態にあって、合焦点位置が記録面にある。オフセット補正部FCRのスイッチ素子26Dがライトゲート信号の立ち上がりに伴う記録開始とほぼ同時にオフされ、これによってフォーカシングサーボが一時的に途切れても、合焦点位置がしばらく記録面にある。CPU31はこのような状態でAD変換器26Aから得られるフォーカシングサーボエラー信号FEの残留偏差(段差)を測定する。この段差は、合焦点位置が記録面にある限り、フォーカシングサーボエラー信号FEに載った不要のオフセットである。CPU31はこのオフセットに等しい量の電圧をオフセット補正値としてDA変換器26Bに設定する。DA変換器26Bがこの補正値をDA変換し、オフセット信号として加算器26Cに出力すると、加算器26Cが上述のオフセットを打ち消すようにフォーカシングサーボエラー信号FEから補正値を減算して、補正結果のフォーカシングサーボエラー信号FEを出力する。これに続いて、CPU31はスイッチ素子26Dをオンして、補正結果のフォーカシングサーボエラー信号FEをサーボ制御回路FSCに供給する。これにより仮想フォーカシングサーボエラー信号FEのセンターをサーボ点としてフォーカシングサーボがオン状態になる。従って、これ以降も合焦点位置を記録面に維持することができる。尚、光ビームのパワーは記録の終了に伴って記録用から再生用に変化するため、CPU31はDA変換器26Bに出力した補正値をゼロに戻す。
本実施形態では、トラッキングサーボおよびフォーカシングサーボが再生状態から記録状態への遷移に伴って一時的にオフ状態に設定され、この遷移により生じるトラッキングサーボエラー信号TEの残留偏差およびフォーカシングサーボエラー信号FEの残留偏差が測定され、これら残留偏差に対応するオフセット補正がサーボエラー信号TEおよびFEに対して行われ、このオフセット補正後にトラッキングサーボおよびフォーカシングサーボがオン状態に戻される。すなわち、再生状態から記録状態への遷移でトラッキングサーボエラー信号TEおよびフォーカシングサーボエラー信号FEに生じた段差がオフセット補正により打ち消されるため、この遷移において光ピックアップ5に対して安定なサーボ制御を行うことが可能になる。ちなみに、トラッキングサーボやフォーカシングサーボが再生状態から記録状態への遷移に伴って一時的にオフ状態に設定される期間は、誤動作を防止する上で100μsを越えないことが好ましい。
尚、本発明は上述の実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々に変形可能である。
上述の実施形態では、本発明がトラッキング制御およびフォーカシング制御の両方に適用されたが、これらの少なくとも一方に適用されてもよい。例えばトラッキング制御だけに適用された場合には、トラッキングサーボが再生状態から記録状態への遷移に伴って一時的にオフ状態に設定され、この遷移により生じるトラッキングサーボエラー信号TEの残留偏差が測定され、この残留偏差に対応するオフセット補正がトラッキングサーボエラー信号TEに対して行われ、このオフセット補正後にトラッキングサーボがオン状態に戻される。また、フォーカシング制御だけに適用された場合には、フォーカシングサーボが再生状態から記録状態への遷移に伴って一時的にオフ状態に設定され、この遷移により生じるフォーカシングサーボエラー信号FEの残留偏差が測定され、この残留偏差に対応するオフセット補正がフォーカシングサーボエラー信号に対して行われ、このオフセット補正後にフォーカシングサーボがオン状態に戻される。
さらに、上述の実施形態では、トラッキングサーボエラー信号TEおよびフォーカシングサーボエラー信号FEの各々について、オフセット補正値が残留偏差に等しい値に設定されたが、残留偏差以下の値に設定されてもよい。この場合、残留偏差に対するオフセット補正値の割合が再生状態から記録状態への遷移の繰り返しに伴って増大されることが好ましい。これにより、光ディスク2上にゴミが存在するような場合にその影響を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。 図1に示すトラッキング制御回路の構成を詳細に示すブロック図である。 図1に示すフォーカシング制御回路の構成を詳細に示すブロック図である。 図1に示す光ディスク装置において行われる記録処理を示すフローチャートである。 図2に示すオフセット補正部を設けずに光ディスク装置を再生状態から記録状態に遷移させた場合に得られる信号波形およびトラッキング状態の一例を示す図である。 図2に示すオフセット補正部を設けて光ディスク装置を再生状態から記録状態に遷移させた場合に得られる信号波形およびトラッキング状態の一例を示す図である。 図3に示すオフセット補正部を設けずに光ディスク装置を再生状態から記録状態に遷移させた場合に得られる信号波形およびフォーカシング状態の一例を示す図である。 図2に示すオフセット補正部を設けて光ディスク装置を再生状態から記録状態に遷移させた場合に得られる信号波形およびフォーカシング状態の一例を示す図である。
符号の説明
1…光ディスク装置、5…光ピックアップ、10…対物レンズ、11,12…駆動コイル、16…PLL回路、22…光検出器、22a〜22d…受光部、23a〜23d…アンプ、24a〜24e…加算器、27…差動アンプ、29…データ再生回路、31…CPU、37…フォーマット制御回路、26A,28A…AD変換器、26A,28A…DA変換器、26C,28C…加算器、26D,28D…スイッチ素子、TCR,FCR…オフセット補正部、TSC,FSC…サーボ制御回路。

Claims (14)

  1. 再生用パワーおよび記録用パワーの一方に選択的に設定される光ビームを光ディスクの記録面へ照射しこの記録面からの反射光を受光する光ピックアップと、前記光ピックアップを駆動する駆動ユニットとを備え、前記駆動ユニットは前記記録面上の記録トラックに対するトラッキングサーボエラーを前記光ピックアップの出力信号から検出するエラー検出器、およびこのエラー検出器から得られるトラッキングサーボエラー信号に基づいて前記光ピックアップのトラッキング制御を行うトラッキング制御部を含み、前記トラッキング制御部は再生状態から記録状態への遷移に伴ってトラッキングサーボを一時的にオフ状態に設定し、前記遷移により生じるトラッキングサーボエラー信号の残留偏差を測定し、前記トラッキングサーボエラー信号に対してこの残留偏差に対応するオフセット補正を行い、このオフセット補正後に前記トラッキングサーボをオン状態に戻すように構成されることを特徴とする光ディスク装置。
  2. 前記トラッキング制御部は前記エラー検出器からのトラッキングサーボエラー信号をアナログからデジタル形式に変換するAD変換器、再生状態から記録状態への遷移によって前記AD変換器から取得される数値に生じる差を前記残留偏差として測定してこの測定結果から補正値を設定する処理部、この処理部により設定された補正値をデジタルからアナログ形式に変換するDA変換器、および前記DA変換器から得られる補正値を前記エラー検出器からのトラッキングサーボエラー信号から減算して前記オフセット補正を行う加算器、およびこの加算器から得られるトラッキングサーボエラー信号を選択的に出力するスイッチ素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
  3. 前記光ピックアップは前記光ビームを出射するレンズおよびこのレンズの位置を前記記録トラックに交差するトラッキング方向において変化させるトラッキングアクチュエータを含み、前記トラッキング制御部はさらに前記スイッチ素子からのトラッキングサーボエラー信号に基づいて前記トラッキングアクチュエータに対するサーボ信号を発生するサーボ制御回路を含むことを特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。
  4. 前記補正値は前記残留偏差以下の値に設定されることを特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。
  5. 前記残留偏差に対する前記補正値の割合が再生状態から記録状態への遷移の繰り返しに伴って増大されることを特徴とする請求項4に記載の光ディスク装置。
  6. 前記補正値は記録状態から再生状態への遷移に伴ってゼロに戻されることを特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。
  7. 再生用パワーおよび記録用パワーの一方に選択的に設定される光ビームを光ディスクの記録面へ照射しこの記録面からの反射光を受光する光ピックアップと、前記光ピックアップを駆動する駆動ユニットとを備え、前記駆動ユニットは前記記録面に対するフォーカシングサーボエラーを前記光ピックアップの出力信号から検出するエラー検出器、およびこのエラー検出器から得られるフォーカシングサーボエラー信号に基づいて前記光ピックアップのフォーカシング制御を行うフォーカシング制御部を含み、前記フォーカシング制御部は再生状態から記録状態への遷移に伴ってフォーカシングサーボを一時的にオフ状態に設定し、前記遷移により生じるフォーカシングサーボエラー信号の残留偏差を測定し、前記フォーカシングサーボエラー信号に対してこの残留偏差に対応するオフセット補正を行い、このオフセット補正後に前記フォーカシングサーボをオン状態に戻すように構成されることを特徴とする光ディスク装置。
  8. 前記フォーカシング制御部は前記エラー検出器からのフォーカシングサーボエラー信号をアナログからデジタル形式に変換するAD変換器、再生状態から記録状態への遷移によって前記AD変換器から取得される数値に生じる差を前記残留偏差として測定してこの測定結果から補正値を設定する処理部、この処理部により設定された補正値をデジタルからアナログ形式に変換するDA変換器、および前記DA変換器から得られる補正値を前記エラー検出器からのフォーカシングサーボエラー信号から減算して前記オフセット補正を行う加算器、およびこの加算器から得られるフォーカシングサーボエラー信号を選択的に出力するスイッチ素子を含むことを特徴とする請求項7に記載の光ディスク装置。
  9. 前記光ピックアップは前記光ビームを出射するレンズおよびこのレンズの位置をこのレンズの光軸に沿ったフォーカシング方向において変化させるフォーカシングアクチュエータを含み、前記フォーカシング制御部はさらに前記スイッチ素子からのフォーカシングサーボエラー信号に基づいて前記フォーカシングアクチュエータに対するサーボ信号を発生するサーボ制御回路を含むことを特徴とする請求項8に記載の光ディスク装置。
  10. 前記補正値は前記残留偏差以下の値に設定されることを特徴とする請求項8に記載の光ディスク装置。
  11. 前記残留偏差に対する前記補正値の割合が再生状態から記録状態への遷移の繰り返しに伴って増大されることを特徴とする請求項10に記載の光ディスク装置。
  12. 前記補正値は記録状態から再生状態への遷移に伴ってゼロに戻されることを特徴とする請求項8に記載の光ディスク装置。
  13. 再生用パワーおよび記録用パワーの一方に選択的に設定される光ビームを光ディスクの記録面へ照射しこの記録面からの反射光を受光する光ピックアップと、前記光ピックアップを駆動する駆動ユニットとを備え、前記駆動ユニットは前記録面上の記録トラックに対するトラッキングサーボエラーおよび前記記録面に対するフォーカシングサーボエラーの少なくとも一方を前記光ピックアップの出力信号から検出するエラー検出器、およびこのエラー検出器から得られる各サーボエラー信号に基づいて前記光ピックアップのトラッキング制御およびフォーカシング制御の少なくとも一方を行う制御部を含む光ディスク装置のサーボ制御方法であって、再生状態から記録状態への遷移に伴ってサーボを一時的にオフ状態に設定し、前記遷移により生じるサーボエラー信号の残留偏差を測定し、前記サーボエラー信号に対してこの残留偏差に対応するオフセット補正を行い、このオフセット補正後に前記サーボをオン状態に戻すことを特徴とするサーボ制御方法。
  14. 前記トラッキング制御および前記フォーカシング制御の少なくとも一方において、サーボエラー信号をアナログからデジタル形式にAD変換し、再生状態から記録状態への遷移によってAD変換結果の数値に生じる差を前記残留偏差として測定してこの測定結果から補正値を設定し、設定された補正値をデジタルからアナログ形式にDA変換し、DA変換結果の補正値を前記サーボエラー信号から減算して前記オフセット補正を行い、およびこのオフセット補正により得られるサーボエラー信号を選択的に出力することを特徴とする請求項13に記載のサーボ制御方法。
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