JP2009205123A - 発色構造体 - Google Patents

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秀和 高橋
Akiya Shibukawa
聡哉 渋川
Takayuki Fukui
孝之 福井
Yuji Noguchi
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Abstract

【課題】見る角度によって視認できる色相変化を自由に調整して、色相変化の設計自由度を向上させることができ、優れた意匠性及び鮮映性を発揮し得る発色構造体を提供する。
【解決手段】240〜500nmの一定の間隔で配列した、複数の透明な凸部2a及び/又は凹部を表面に有する基材2と、該基材の凸部及び/又は凹部の頂部上に、複数の層3、4を積層した複数の積層構造体5とを有し、上記複数の積層構造体同士を互いに所定の間隔を有するように配列して成る発色構造体1である。上記凸部及び/又は凹部の頂部から底部までの高さ(H)と、上記凸部及び/又は凹部の間隔(P凹凸)の比(H/P凹凸)が0.2〜3.0であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、顔料や染料を必要とせずに、見る角度によって色相変化を自由に調整して、色相変化の設計自由度を向上させた発色構造体に関する。
従来、自動車塗装などには、顔料や染料など発色材が用いられている。しかし、顔料や染料を用いた発色材は、劣化や退色が避けられない。劣化、退色を避けるために、自然光の反射、干渉作用によって可視光領域の波長の色を発色する発色構造体が提案されている。
このような発色構造体としては、例えば高屈折率層と低屈折率層を交互に積層し、干渉作用によって可視光領域の波長の色を発色するものなどが提案されている(例えば特許文献1)。
特開平7−34324号公報
しかし、上記特許文献1に記載された発色構造体は、見る角度によって色相が大きく変化することを特徴としており、広い視野角によっても色相変化の少ないものという近年のカラーデザインの要望を満たしていない。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、顔料や染料を必要とせずに、見る角度によって色相変化を自由に調整して、色相変化の設計自由度を向上させ、優れた意匠性及び鮮映性を発揮することができる発色構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、一定の間隔で配列した透明な凸部及び/又は凹部を表面に有する基材と、該基材の凸部及び/又は凹部の頂部上に、複数の層を積層した複数の積層構造体とを有する発色構造体であれば、上記目的を達成し得ることを見出した。しかも、本発明者らは、上記構成の発色構造体であれば、単に凹凸形状を有する表面の上に高屈折率層と低屈折率層を積層しただけでは得られない、驚くべき優れた意匠性及び鮮映性を発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の発色構造体は、240〜500nmの一定の間隔で配列した、複数の透明な凸部及び/又は凹部を表面に有する基材と、該基材の凸部及び/又は凹部の頂部上に、複数の層を積層した複数の積層構造体とを有し、上記複数の積層構造体同士を互いに所定の間隔を有するように配列して成るものである。
本発明によれば、見る角度によって色相変化を自由に調整して、色相変化の設計自由度を向上させた発色構造体を提供することができる。
以下、本発明の発色構造体を、図面に基づき詳細に説明する。なお、本明細書において、濃度、含有量及び配合量などのついての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
本発明の発色構造体の実施形態の一例を図1に示す。図1(a)は発色構造体の平面図を示す電子顕微鏡写真であり、図1(b)は発色構造体の側面図を示す電子顕微鏡写真である。
図1に示すように、本例の発色構造体1は、240〜500nmの一定の間隔で配列した、複数の透明な凸部及び/又は凹部を表面に有する基材と、該基材の凸部及び/又は凹部の頂部上に、複数の層を積層した複数の積層構造体とを有し、この複数の積層構造体同士を互いに所定の間隔を有するように配列して成る。
本発明の発色構造体1は、一定の間隔で配列した凸部2a(及び/又は凹部)を有する基材2の表面における回折反射光と、積層構造体5における干渉反射光とが合成され、この合成された光を構造色として発色させることができる。
本例の発色構造体1は、基材2の材料や凹凸形状、及び、積層構造体5の材料や積層構造などを適宜調整することによって、顔料や染料を必要とせずに、見る角度によって視認できる色相及び色相変化を自由に調整することができる。
例えば、真上(垂直方向:0°)から真横(水平方向:90°)まで視野角を変えて発色構造体を見た場合に、見る角度によって少しだけ色相が変化するように調整することによって、顔料や染料、アルミ片などの光輝材では表現できない、真珠のような自然な光沢や、奥行きや深みのある色相を表わすことができる。このように、本例の発色構造体は、例えば立体性、奥行きや深みなどの色相を表すことができ、優れた意匠性及び鮮映性を発揮し得ることができ、高級感を感じさせるような色相を表現することが可能である。
なお、鮮映性とは、平滑でつややかな色相であり、且つ、たっぷりと塗り込んであるように見える色相のことをいう。
以下に本発明の発色構造体について、基材と積層構造体などの各部の構成を説明した後、発色構造体の色相変化について説明する。
[基材(1)]
まず、基材2について、図2を参照にして詳細に説明する。
図2(a)は本例の基材2の平面図を示す電子顕微鏡写真であり、図2(b)は本例の基材2の側面図を示す電子顕微鏡写真である。なお、図2において、図1と同一の部材には、同一の符号を付した。
図2(a)及び(b)に示すように、本例の基材2は、240〜500nmの一定の間隔で配列した、複数の透明な凸部2a(及び/又は凹部)を一方の表面に有するものである。
なお、「一定の間隔」とは、透明な凸部(及び/又は凹部)が、以下に説明する本発明所定の効果を奏する限り、1〜10nm程度の若干の長短があってもよいことを意味するものとする。
図3は、一定の間隔で凸部2aが形成された基材2の表面を模式的に表す平面図である。図3に示すように、本明細書において、凸部2a(及び/又は凹部)の間隔(周期)Pとは、隣接する2つの凸部2a,2aの頂部(中心点)2a’,2a’の間隔をいう。
なお、図3においては、基材2の平面に対して水平にX軸とY軸を規定し、凸部2a,2a同士の間隔(周期)PをX軸上に置いた例を示している。
本発明の発色構造体1は、入射光を基材2の表面において反射した回折反射光と、入射光を積層構造体5において反射した干渉反射光との相乗作用によって、自由な色相及び色相変化を有する、鮮やかな構造色を発色させる。
そのため、基材2における回折反射光、及び、積層構造体5における干渉反射光の両方が、視認可能な可視光領域であることが好ましい。
基材2において、可視光領域の回折反射光を得るために、まず、RCWA法(Rigorous Coupled Wave Analysis、厳密結合波解析)を用いて、凸部2a,2aの間隔(周期)Pと、この凸部2aを有する基材から得られるピーク波長の関係を算出した。結果を表1及び図4に示す。
Figure 2009205123
表1に示すように、複数の透明な凸部2aを有する基材2の回折反射光のピーク波長が、可視光領域(380〜780nm)となる、透明な凸部2aの間隔(周期)P凹凸は、240〜493nmであった。
図4は、表1に示す結果に基づき、RCWA法で算出した回折反射光のピーク波長(nm)と、凸部(及び/又は凹部)の間隔(周期)P凹凸(nm)との関係を示している。
図4に示す結果から、基材の回折反射光のピーク波長が、可視光領域(380〜780nm、紫〜赤)となるようにするためには、基材の表面に形成する凸部(及び/又は凹部)の間隔(周期)P凹凸(nm)が、240〜500nmとなることが分かる。
表2には、図4に示す結果に基づいて、基材2の凸部2aの頂部の間隔(周期)P(nm)と、この基材2から得られる回折反射光のピーク波長(nm)と、基材2の発色の関係を示す。表2に示すように、基材2の凸部の間隔(周期)P凹凸(nm)が240〜500nmであると、紫、青、青緑、緑、黄、橙、赤の7色を発色する回折反射光のピーク波長(nm)を得ることができる。
なお、透明な基材の凸部(及び/又は凹部)の間隔(周期)P凹凸(nm)が240nm未満であると、この基材における回折反射光の波長は、主に紫外線領域となる。一方、透明な基材の凸部(及び/又は凹部)の間隔(周期)P凹凸が500nmを超えると、この基材における回折反射光の波長は、主に赤外線領域となる。
Figure 2009205123
次に、凸部2a(及び/又は凹部)の頂部から底部までの高さHの最適な数値範囲を、次のように求めた。
上記のRCWA法を用いて、凸部2aの高さHと凸部2aの間隔(周期)P凹凸の比(H/P)と、回折反射光の反射率(%)の関係を算出した。結果を図5に示す。
図5に示すように、凸部の高さHと凸部の間隔(周期)P凹凸の比(H/P凹凸)が1.0(H/P=1.0)の場合に、回折反射光の反射率(%)が最大になる。
図5に示す結果に基づき、凸部2aの高さHと凸部2aの間隔(周期)P凹凸の比(H/P凹凸)の最適な数値範囲を、次の点を考慮して定めた。
例えば、夜間の場合は周囲が暗いため、視覚で認識可能な最低輝度は小さくなる。
本発明者らが、夜間に視覚で認識できる最低輝度を官能評価したところ、約10cd/mである。また、自動車のヘッドライトで10m前方を照射した場合の輝度は、約2000cd/mである。この結果から、夜間にヘッドライドで照らされた場合に、視覚で認識可能となる最小の反射率は0.5%((10/2000)×100=0.5)になる。
図5に示す結果から、反射率が0.5%以上となるH/P凹凸は、0.2〜3.0の範囲である。
従って、夜間においてヘッドライトに照射された場合であっても、視覚で明瞭に認識できる発色を得るために、発色構造体の基材2の凸部2aは、H/P凹凸が0.2〜3.0であるものが好ましい。
なお、図5に示すとおり、H/P凹凸の値が小さくなるに従い反射率が小さくなっており、この結果は、H/P凹凸の値が小さくなるに従い基材の凹凸形状が平面に近づくために、反射率が小さくなる結果と合致する。また、H/P凹凸の値が大きくなるに従って反射率が小さくなっていることも、H/P凹凸の値が大きくなるに従い基材の凹凸形状の高低差が大きくなり、回折反射光の反射率が小さくなる結果と合致する。
上記の表1,表2,図4及び図5に示す結果に基づき、基材2の凸部2aの間隔(周期)P凹凸と、凸部の高さH(凸部及び/又は凹部の頂部から底部までの高さH)と、この凹凸形状によって得られる可視光領域(380〜780nm)の回折反射光のピーク波長と、この基材2から得られる発色(紫〜赤)の関係を表3に示す。
Figure 2009205123
更に、基材2の凸部2a(及び/又は凹部)の頂部から底部までの高さHは、隣接する少なくとも1つの凸部及び/又は凹部と異なり、各凸部及び/又は凹部の頂部から底部までの高さ(H)の差が、積層構造体を構成する最上層の厚さの1/10層〜1/2層の範囲であることが好ましい。
図6は、本例の発色構造体1を模式的に示す説明図である。なお、図6において、図1に示す発色構造体1と同様の部材には同一の符号を付した。
図6に示すように、基材2の凸部2aの頂部から底部までの高さHを、隣接する少なくとも1つの凸部及び/又は凹部と異なるように変化させることによって、凸部2aの頂部上に積層された積層構造体5の上面の高さ位置を、隣接する少なくとも1つの積層構造体5と異なるようにすることができる。
各凸部2a上に形成された積層構造体5の上面の位置が変化することによって、発色構造体1は、積層構造体5を構成する各層の干渉反射光(入射光Lに対する各層の正反射光L)による発色のみならず、積層構造体5の上面の位置変化による回折反射光(入射光Lに対する回折反射光Ld1,Ld2)によっても発色する。この積層構造体5から発色される干渉反射光と回折反射光の相乗作用によって、見る角度(視野角)を変えた場合であっても、可視光領域の色相を発色させるピーク波長の移動が小さくなり、視野角の変化による色相変化を小さくして、真上から真横まで略同一の色相を発色させることができる。
次に、基材の材質について説明する。
基材の材質としては、大面積化が可能であり、量産性及び成形性などを考慮して、PMMA、ポリカーボネート、ポリスチレンなどの合成樹脂を用いることが望ましい。量産性や成形性などを考慮せず、例えば、発色構造体を宝飾品などに用いる場合は、基材の材質として、シリコン、石英ガラスなどの無機材料を用いてもよい。
基材の凸部又は凹部の形状としては、例えば、錐形状のもの(断面形状が正弦波状となるもの、図1(b)参照)などが挙げられる。
凸部又は凹部の形状は、図1に示す例に限られるものではなく、基材の表面で回折反射光が生じるものであればよい。凸部又は凹部の形状としては、円錐,角錐などの錐体状、円錐台,角錐台などの錐台状、円柱,角柱などの柱体状などの形状でもよい。
また、基材の凸部(及び/又は凹部)の配列も、特に限定されることなく、一定の間隔で周期的に配列されていればよい。図1(b)には、凸部を六方最密配列で配列した例を示したが、本例に限らず、例えば、六方配列や正方配列で配列してもよい。
更に、本発明の発色構造体を構成する基材は、凸部及び/又は凹部を有しない裏面、及び/又は、凸部及び/又は凹部を除く基材の内部が、可視光不透過性であることが好ましい。
基材の凸部(及び/又は凹部)を有しない裏面や、凸部(及び/又は凹部)を除く基材の内部が、可視光不透過性であると、基材の裏面からの透過光が無くなるため、より鮮やかな発色が可能となる。
基材の裏面や内部を可視光不透過性にするためには、例えば、顔料、染料などの可視光吸収体を用いたり、可視光反射体などを用いることができる。
例えば、基材の裏面に黒色等の顔料を塗布することによって、該基材の裏面を可視光不透過性にする方法が挙げられる。その他に、基材の回折反射光のピーク波長や積層構造体の干渉反射光のピーク波長から発せられる色相と同一色の色素などを基材に塗布してもよい。
[積層構造体(1)]
次に、上記の基材2の凸部2a(及び/又は凹部)の頂部上に積層する複数の層を有する複数の積層構造体5について説明する。
図7は、本例の発色構造体1を模式的に示す説明図である。なお、図7において、図1に示す発色構造体1と同様の部材には同一の符号を付した。
本例の発色構造体1は、複数の積層構造体5同士を互いに所定の間隔Dを有するように配列して成るものである。
なお、積層構造体5同士は、積層方向の全ての部位において隣接する積層構造体と所定の間隔を有している必要はなく、隣接する積層構造体同士の一部が接触していてもよい。
本例の発色構造体1は、複数の積層構造体5同士が所定の間隔を有して配列されていることによって、この隙間(間隔)を通して、基材2の凸部2a(及び/又は凹部)における回折反射光を発色構造体1の外部に透過させることができる。そのため、本例の発色構造体1は、基材2による回折反射光と、積層構造体5の多層膜干渉による反射光(干渉反射光)の相乗作用によって、自由な色相及び色相変化を有する、鮮やかな構造色を発色させることができる。
本例の発色構造体は、例えば、真上(発色構造体に対する垂直方向:0°)から真横(発色構造体に対する水平方向:90°)まで見る角度(視野角)を変えて見た場合においても、湾曲部においてのみ微妙に色相が変化するほぼ同一の色相を発色させて、湾曲部で色味を強調し立体性を強調して、奥行きや深みのある色相を表わすことができる。
また、例えば、真上(発色構造体に対する垂直方向:0°)から見た場合には、積層構造体の干渉反射光による色相を発色させ、更に真上から真横(発色構造体に対する水平方向:90°)に視野角を変化させるに従って、積層構造体の干渉反射光に加えて基材2の回折反射光による色相を発色させて、自由な色相及び色相変化を有する、鮮やかな構造色を発色させることができる。
複数の積層構造体5,5同士の間隔Dは、5nm以上且つ凸部2a(及び/又は凹部)の間隔P凹凸の1/2以下であることが好ましい。凸部2aの間隔P凹凸は、240〜500nmであるので、具体的には、複数の積層構造体5,5同士の間隔Dは、5〜250nmであることが好ましい。
複数の積層構造体5,5同士の間隔Dが、5nm未満であると、基材2の凸部2aにおける回折反射光を発色構造体1の外部まで透過させることが難しくなり、基材2における回折反射光と、積層構造体5における干渉反射光との相乗作用による構造色を発色させることが難しくなる。
また、複数の積層構造体5,5同士の間隔Dが、基材2の凸部2a(及び/又は凹部)の間隔P凹凸の1/2を超えると、積層構造体5が小さくなり(例えば、積層構造体5の表面積や体積など)、積層構造体5における干渉反射光による構造色を十分に発色させることが難しくなる。
複数の積層構造体5,5同士の間隔Dは、積層構造体5の積層方向(Z軸方向)において全て同一の間隔Dを有している必要はない。
例えば、図7に示すように、基材2の凸部2a近傍(Z)においては、積層構造体5同士の間隔Dが大きく、基材2の凸部2aとは逆の方向(Z)においては、積層構造体5同士の間隔Dが小さくてもよく、この逆であってもよく、積層構造体同士5の一部が接触していてもよい。
複数の積層構造体5同士の間隔Dが、積層構造体5の積層方向(Z軸方向)において全て同一の大きさではない場合は、積層方向における積層構造体5,5同士の最も大きな間隔Dが、基材2の凸部2a(及び/又は凹部)の間隔P凹凸の1/2を超えるものでなければよい。また、積層構造体5,5同士の一部が接触する場合は、積層方向における他の部位において、積層構造体5,5同士の間隔が、5nm以上且つ凸部2a(及び/又は凹部)の間隔P凹凸の1/2以下であればよい。
図7に示すように、積層構造体5は、基材2の各々の凸部2aの頂部上に、高屈折率層3と低屈折率層4を積層して成るものであることが好ましい。
更に、高屈折率層3と低屈折率層4とは、各々の層を交互に複数積層したものであることが好ましい。
積層構造体は、既に公知の理論(参考文献:「Excel VBAによる光学多層膜のシュミレーション技術と最適設計」、中村 正行、(株)技術情報協会、2002年10月)を用いて、積層構造体の高屈折率層と低屈折率層の材質(屈折率)、積層数、厚さなどと、積層構造体から得られる干渉反射光の色相との関係を求めることができる。
積層構造体5の各層(高屈折率層3及び/又は低屈折率層4)の材質としては、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化タングステン、酸化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化セリウム、フッ化ランタン、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化マグネシウム、フッ化ネオジム、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム、フッ化ガドリニウム、炭酸カルシウム、臭化カリウム、一酸化チタン、二酸化チタン、五酸化ニオブ、酸化クロム、酸化セリウム、シリコン、ガリウム砒素などの無機質誘電体や、PMMA、ポリカーボネート、ポリスチレンなどの合成樹脂を用いることができる。
量産性及び成膜性などを考慮すると、上記材質のうち、高屈折率層としては、五酸化ニオブ(Nb)、二酸化チタン(TiO)を用いることが好ましく、低屈折率層としては、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)を用いることが好ましい。
積層構造体5を構成する高屈折率層3及び低屈折率層4の各々の積層数は、各々の層の材質、厚さ等を考慮して、上記理論に基づいて好適な値を定めることが可能である。
例えば、高屈折率層として所定の厚さの五酸化ニオブ(Nb)を用い、低屈折率層として所定の厚さの二酸化ケイ素(SiO)を用いる場合は、高屈折率層及び低屈折率層の各々の積層数は、好ましくは1〜10層、より好ましくは2〜8層、更に好ましくは3〜7層である。
高屈折率層と低屈折率層の各々の層の積層数が10を超えても、積層構造体から得られる発色には問題がないが、積層数が多くなると生産性の低下やコストの高騰を生じる場合があるので、好ましくない。
高屈折率層の屈折率n、層厚dとし、低屈折率層の屈折率n、層厚dとすると、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層した多層構造に入射した光の内、波長λ=2×(n×d +n×d)の反射光が干渉して強められる為に発色する。更に、高屈折率層及び低屈折率層の光学距離(各層の屈折率と層厚の積)n×dとn×dが等しい時、上記の波長λの光は最も強めあい発色が強くなることから、波長λの反射光の発色が最も強くなるのはλ=4×n×d=4×n×dの時である。
この時、λ=4×n×d=4×n×dが可視光線の波長380nm〜780nmであるとすると、n×d及びn×dは95nm〜195nmとなる。
積層構造体5を構成する高屈折率層の屈折率nと低屈折率層の屈折率nの比n/nも、各々の層の材質、積層数、厚さ等を考慮して、上記理論に基づいて、好適な発色が得られる可視光領域の干渉反射光の波長を発する値を定めることが可能である。
高屈折率層の屈折率nと低屈折率層の屈折率nの比n/nは、好ましくは1.02〜3.0、より好ましくは1.1〜2.0である。
高屈折率層の屈折率nと低屈折率層の屈折率nの比n/nが1.02未満であると十分な反射率が得られず、屈折率の比n/nが3.0を超えると、理論上は、可視光領域の反射光を得ることが可能であるが、現状では好適な材質が存在せず、実用的ではないので好ましくない。
例えば、高屈折率層として厚さ40nmの五酸化ニオブ(Nb)を用いた場合は、その屈折率nは2.32である。また、低屈折率層として厚さ75nmの二酸化ケイ素(SiO)を用いた場合は、その屈折率nは1.46であり、両者の屈折率の比n/nは、1.59である。
上記のように、反射光が可視光線である為には各層の屈折率と層厚との積(n× d)及び(n×d)が95〜195nmである必要がある。この時の高屈折率層の厚さd及び低屈折率層の厚さdの実用的な範囲は、高屈折率層及び低屈折率層の材質で決まる。
高屈折率層の厚さd及び低屈折率層の厚さdが最大となるのは、屈折率n、n及びその差(n−n)が最小の場合である。現実に試作可能なものとしては高屈折率層の材質として屈折率n=1.34のフッ化ナトリウムを用い、低屈折率層の材質として屈折率n=1.3のフッ化リチウムを用いた場合である。n=1.34及びn=1.3を式n×d≦195、n×d≦195に代入すると、d≦145及びd≦150となる。
同様に高屈折率層の厚さd及び低屈折率層の厚さdが最小となるのは、屈折率n,nが最大且つその差(n−n)が最小の場合である。現実的に試作可能なものとしては高屈折率層の材質として屈折率n=4.0のシリコンを用い、低屈折率層の材質として屈折率n=3.5のガリウム砒素を用いた場合である。n=4.0及びn=3.5を式95≦n×d、95≦n×dに代入すると、24≦d及び27≦dとなる。
従って、高屈折率層の厚さdは24〜145nm、低屈折率層の厚さdは27〜150nmに設定することができる。この結果から、積層構造体を構成する一層の厚さは、24〜150nmであることが好ましい。
積層構造体を構成する一層の厚さが、24nm未満であると、積層構造体における干渉反射光の波長が紫外線領域となり、150nmを超えると、積層構造体における干渉反射光の波長が赤外線領域となるので好ましくない。
次に、上記の公知の理論を用いて設計した積層構造体について説明する。
図8は、表面が平らな基材上に積層構造体を設けた発色体の実施形態の一例を模式的に表した断面図である。
図8において、発色体10は、基材11上に、五酸化ニオブ(Nb)から成る高屈折率層12と、二酸化ケイ素(SiO)から成る低屈折率層13とを交互に7層ずつ積層した積層構造体14を設けたものである。
Nbから成る高屈折率層12の屈折率nは、2.323であり、SiOから成る低屈折率層13の屈折率nは、1.460である。この高屈折率層12と低屈折率層13から成る積層構造体5について、上記の理論を用いて、干渉反射光の波長が、紫、青、青緑、緑、黄、橙、赤の7色の色相を発する、高屈折率層の厚さTHと低屈折率層の厚さTLを算出した。結果を表4に示す。
Figure 2009205123
また、図9(a)〜(g)には、表4に示す各々の積層構造体から得られる、干渉反射光の波長(nm)とその反射率(%)の関係を示す。
図9(a)〜(g)に示すように、Nbから成る高屈折率層3とSiOから成る低屈折率層4の各層の厚さが所定の数値(表4参照)であると、積層構造体5は、紫、青、青緑、緑、黄、橙、赤の7色を発色する波長の干渉反射光の反射率(%)が強くなる。従って、表4に示す積層構造体は、上記7色の発色を得られることが確認できる。
上記の表1〜4及び図4,5,8,9に示す結果に基づき、基材の凸部の間隔(周期)P凹凸と、凸部の高さH(凸部及び/又は凹部の高低差H)と、この凹凸形状によって得られる可視光領域(380〜780nm)の回折反射光のピーク波長と、積層構造体の高屈折率層の厚さ及び低屈折率層の厚さと、この基材2から得られる発色(紫〜赤)の好適な関係を表5に示す。
Figure 2009205123
表5に示したように、複数の凸部を表面に有する基材から得られる回折反射光と、積層構造体から得られる干渉反射光との色相が等しくなるように、基材と積層構造体を設計した発色構造体は、真上から真横まで広い視野角で、明度及び彩度の高い輝くような同一の色相を発色させることができる。
また、表5に示す凸部を有する基材及び積層構造体から成る発色構造体は、発色構造体の真上(垂直方向:0°)から真横(水平方向:90°)までの広い視野角において湾曲部においてのみ微妙に色相が変化する同一の色相を発色させて、湾曲部で色味を強調し立体性を強調して、奥行きや深みのある色相を表わすことができる。
一方、複数の凸部を表面に有する基材から得られる回折反射光と、積層構造体から得られる干渉反射光との色相が異なるように、基材と積層構造体を設計した場合は、見る角度によって、異なる色相を発色させる発色構造体を製造することも可能である。
例えば、真上(試料に対する真上の方向0°)から発色構造体を見た場合には、積層構造体の干渉反射光による色相を発色させ、更に真上から真横(試料に対する水平方向90°)に視野角を変化させて発色構造体を見るに従って、積層構造体の干渉反射光に加えて基材2の回折反射光による色相を発色させて、自由な色相及び色相変化を有する、鮮やかな構造色を発色させることができる。
表5に示したように、発色構造体の一例として、見る角度によって、黄色から青色のように、長波長から短波長の発色をさせるように設計することも可能であり、青色から緑色のように、短波長から長波長の発色をさせるように設計することも可能である。
また、表5に示すように、本発明の発色構造体は、自由に波長のピーク及びピーク強度を変えることができ、色相変化の設計自由度が優れている。
次に、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで見る角度(視野角)を変えた場合に、図1に示す本例の発色構造体と、図10に示す表面が平らな基材上に積層構造体を形成した発色体の色相変化の違いについて確認した。
[発色構造体]
図1(a)及び(b)に示すように、本例の発色構造体1は、284nmの間隔(P凹凸)で配列した、284nmの高さ(H)の透明な凸部2aを表面に有する基材(紫外線硬化性アクリル樹脂)2と、この基材2の凸部2a上に、高屈折率層3(Nb、屈折率n:2.32、厚さ:40nm)と、低屈折率層4(SiO、屈折率n:1.46、厚さ:75nm)とを各々7層ずつ、交互に積層した積層構造体5とを有するものである。本例の発色構造体1の基材2の凸部2aの高さHと間隔Pとの比(H/P)は1.0である。また、本例の積層構造体5は、積層方向の少なくとも一部において、積層構造体5同士の間隔が30nmである。
本例の発色構造体は、真上(垂直方向)から視認できる色相が青色となるように設計されている。
[発色体]
図10(a)及び(b)に示すように、発色体10は、表面が平面である基材11(紫外線硬化性アクリル樹脂)と、この基材11上に、高屈折率層12(Nb、屈折率n:2.32、厚さ:40nm)と、低屈折率層13(SiO、屈折率n:1.46、厚さ:75nm)とを各々7層ずつ、交互に積層した積層構造体14とを有するものである。
次に、上記の発色構造体1及び発色体10について、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで視野角を変えた場合の反射率を、以下の方法で測定した。図11は反射率の測定方法の概略を説明する図である。
図11に示すように、試料20に対して垂直な方向(試料に対する真上の方向)を0°とし、この垂直な方向から水平な方向(真上の方向から90°の方向)に徐々に角度を変えて、照射源21を設置し、試料20に向かって光を照射する。この光を照射する角度を投光角θとする。そして、試料20から反射された光をセンサー22で測定する。試料20に対して垂直な方向から、センサー22で受光する角度を受光角θとする。この受光角θが、視覚で認識する場合の視野角に該当する。なお、測定には、変角分光分析機(大塚電子社製)を用いた。
[発色構造体の反射率]
図12は、上記の方法によって、本例の発色構造体1の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を示すグラフである。
図12のグラフに示すように、受光角θが10°〜60°の場合は、発色構造体1の反射率のピーク波長の移動は、27nmにとどまっていた。また、受光角θが10°〜60°の場合は、500nm以上の波長領域において、反射スペクトルの振動が殆ど認められなかった。
この結果から、本例の発色構造体1は、垂直な方向(試料に対して真上の方向)から60°の角度まで、見る角度(視野角)を変えていっても、色相の変化がなく、色相は青色のままであることが確認できた。
図12に示すグラフ上では、受光角θが70°、80°の場合は、500nm以上の波長領域で反射スペクトル(反射率)が大きくなり、見かけ上は色相が変化しているように見える。
しかし、これは、凸部2aを有する基材2と積層構造体5との境界面における正反射を測定しているためであり、実際には、基材2の凹凸形状により、入射した拡散光が回折反射光となるため、目視で確認できる色相は青色のままであった。
図12に示す結果及び視覚により、本例の発色構造体1は、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで、見る角度を変えても色相が変化せず、青色のままであることが確認できた。
更に、本例の発色構造体1は、見る角度を変えても色相が変化しないばかりか、視野角がある所定の角度になると、同一色の色相がより強調されていた。この特徴から、本例の発色構造体を、例えば湾曲部を有する自動車部分などに用いた場合は、湾曲部において特定の発色がより強調され、立体性などをより強調することができ、新たな優れた意匠性を発揮することが期待できる。
[発色体の反射率]
一方、発色体10の結果は、次の通りであった。
図13は、上記の方法によって、発色体10の反射率(%)を測定した結果を示すグラフである。
図13のグラフに示すように、受光角θが10°〜60°の場合は、発色体10の反射率のピーク波長が85nmも移動しており、発色構造体1と比べて、ピーク波長の移動が大きかった。また、受光角θが10°〜60°の場合は、500nm以上の波長領域において、反射スペクトルの振動が大きかった。
この結果から、発色体10は、見る角度(例えば受光角θが10°〜60°)によって、色相が変化していることが分かった。
また、図13のグラフに示すように、受光角θが70°、80°の場合は、500nm以上の波長領域で反射スペクトル(反射率)が大きくなり、無彩色に近くなることが確認できた。実際に、入射された拡散光を目視で確認したところ、拡散光は、ほぼ無彩色であった。
図13に示す結果及び視覚により、表面が平らな基材上に形成された積層構造体を有する発色体10は、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで、見る角度を変えると、視野角によって色相が変化し、しかも、視野角が大きくなると(水平方向に近づくと)、無彩色になった。
このように、積層構造体が、表面が平らな基材上に形成されている場合は、真上から90°の角度まで、斜め方向に見る角度を変えていくと、見る角度によって視認できる色相が変化しており、色相変化を調整できない。
次に、本発明の発色構造体の実施形態の他の例について説明する。図14は、本例の発色構造体の概略構成を示す説明図である。
図14に示すように、本例の発色構造体6は、240〜500nmの一定の間隔で配列した、複数の透明な凸部7a(及び/又は凹部)を表面に有する基材7と、該基材7の凸部7aの頂部上に、粒子8aを細密充填構造に配列させた積層構造体8とを有している。
本例の発色構造体6は、発色構造体6の真上(垂直方向:0°)から真横(水平方向:90°)まで視野角を変えて発色構造体6を見た場合に、見る角度によって少しだけ色相を変化させ、真珠のような自然な光沢を発色させることができる。
次に、本例の発色構造体を構成する基材及び積層構造体について説明する。
[基材(2)]
本例において、基材7の凸部7aは、図1に示した発色構造体1の基材2と同様の構造を有している。なお、本例において、基材7の凸部7aの頂部は、表面を平らにし、粒子8aを細密充填構造に配列させた積層構造体8を積層し易くするようにしている。
[積層構造体(2)]
積層構造体8は、複数の粒子8aを並列に配列させた1層(1層目)と、この1層の上に、他の複数の粒子8bを並列に配列させた1層(2層目)とを、細密充填構造で配列するように積層させて成る。
積層構造体8を構成する粒子から成る層の積層数は、特に限定されないが、好ましくは2〜30層であり、より好ましくは4〜25層であり、更に好ましくは6〜15層である。
なお、細密充填構造とは、同じ大きさの球状粒子を最も密に積み重ねた構造をいい、細密充填構造であれば、立方細密構造であっても、六方細密構造であってもよい。
本例においても、複数の積層構造体8同士の間隔Dは、5nm以上且つ凸部7aの間隔P凹凸の1/2以下であることが好ましい。
積層構造体8を構成する粒子8a,8bの平均粒径は、80〜240nmであることが好ましい。積層構造体8を構成する粒子の平均粒径が80〜240nmであると、積層構造体8における干渉反射光のピーク波長が可視光領域(380〜890nm)に含まれ、真珠のような自然な光沢を発色させることができる。
積層構造体8を構成する粒子の平均粒径が80nm未満であると、積層構造体8における干渉反射光の波長が紫外線領域となり、一方、粒子の平均粒径が240nmを超えると、積層構造体8における干渉反射光の波長が赤外線領域となるので好ましくない。
積層構造体8を構成する粒子の材質としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、五酸化ニオブなどの無機材料や、ポリスチレンなどの樹脂を用いることができる。
中でも、高屈折率であり、量産性の高い、二酸化チタン(TiO)や五酸化ニオブ(Nb)を用いることが好ましい。
更に、本発明の発色構造体は、最外層に可視光を透過する樹脂から成る層を付加したものであることが好ましい。
発色構造体は、積層構造体の表面(最外層)に可視光を透過する樹脂をコーティングすることによって、積層構造体の形状が維持され、積層構造体の成形時と同様の安定した発色を長期に亘って得られるようになる。また、最外層にコーティングする樹脂として、撥水性を有するものを用いた場合は、発色構造体自体に撥水性を付与することになり、例えば、自動車の塗装などに好適に用いることができる。
発色構造体の最外層として付加する、可視光を透過する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂、メチルメタクリレート・スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などを用いることができる。
以上のように、本発明の発色構造体は、見る角度によって視認できる色相変化を自由に調整して、色相が変化しないものから色相が変化するものまで、自動車などのカラーデザインの要望に応じて、色相変化の設計自由度を向上させることができる。
更に、本発明の発色構造体は、従来の発色体などでは実現し難い優れた意匠性を発揮することができる。例えば、湾曲部において微妙に色相が変化し、立体性をより強調させ、奥行きや深みのある色相を表わすことができる。また、例えば、視野角の変化により、ほぼ同一の色相でありながら、湾曲部において微妙に色相を変化させて、真珠のような自然な光沢を発色させることができる。
なお、立体性が強調されるとは、例えば、同一の色相であっても、特定波長の発色が強調されることにより、色相の深さや厚みなどが強調されて、より立体的に見えることをいい、観察するヒトによって立体性が強調される程度は異なる。
次に、発色構造体の製造方法の一例を説明する。なお、発色構造体の製造方法は、以下の例に限定されるものではない。
まず、基材の形成方法としては、例えば、二光束干渉露光法により、一定の間隔(周期)P凹凸及び一定の高さHの複数の凸部形状をNi製基板の表面に形成し、これを基にNi製の金型を作製する。次いで、このNi製金型を用いて、光ナノインプリント法により、紫外線硬化性樹脂から成る基材の表面に、一定の間隔(周期)P及び一定の高さHの複数の透明な凸部を形成する方法が挙げられる。
基材の凸部を有しない裏面には、例えば、黒色顔料を塗布して、基材の裏面を可視光不透過性にすることが好ましい。
次に、積層構造体の形成方法の第1の例としては、例えば、上記の基材の凸部を有する表面に、スパッタ法により、一定の膜厚の高屈折率膜と一定の膜厚の低屈折率膜を交互に積層して、積層構造体を形成する方法が挙げられる。
積層構造体の形成方法の第2の例としては、例えば、上記の基材の凸部を有する表面をエタノールで洗浄し、親水性にした後、この基材を微粒子分散液を収容した容器中に立てかけて、微粒子分散液を蒸発させることにより、基材の凸部上に、細密充填構造で微粒子を配列させた積層構造体を積層させる方法が挙げられる。
微粒子分散液は、基材の表面を洗浄したエタノールを溶媒として用いることが好ましい。
なお、微粒子は、平均粒径が80〜240nmのものであれば、間隔が240〜500nmの凸部(及び/又は凹部)の凹部分には吸着されず、凸部(及び/又は凹部)の頂部のみに、粒子が細密充填構造で配列した積層構造体が積層されることになる。
本発明の発色構造体は、例えば自動車や建築物の内装品及び外装品、家電や携帯電話などの電気製品、衣料品などの装飾用途に広く適用することができる。
中でも、自動車用部材には、外装及び内装の装飾用途に好適に用いることができる。
自動車の外装部材としては、例えばフロントグリル、モール、ドアハンド、タイヤホイール、外板用塗装の光輝材、追突防止用の警告板等に、本発明の発色構造体を好適に用いることができる。中でも、外板用塗装の光輝材や、追突防止用の警告板等に、本発明の発色構造体を用いた場合は、彩度及び明度が高く、輝くように発色することから、優れた意匠性を発揮するばかりでなく、夜間やトンネル等で目立つため、安全性も確保することができる。
また、自動車用の内装部品としては、トリム、インパネ、コンソール、ドアノブなどの表面装飾材として、本発明の発色構造体を好適に用いることができる。
なお、本発明の発色構造体は、上記の物品等に限られることなく、種々の適用対象が考えられる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
二光束干渉露光法により、間隔(周期)P凹凸が286nm、高さHが219nmの複数の凹部形状をNi製基板の表面に形成し、これを基にNi製の金型を作製した。
次に、上記のNi製金型を用いて、光ナノインプリント法により、間隔(周期)P凹凸が286nm、高さが219nmの複数の透明な凸部を表面に形成した紫外線硬化性アクリル樹脂から成る基材を得た。この基材の凸部を除いた部分の厚さは100μmである。また、基材の凸部の頂部から底部までの高さHと、凸部の間隔P凹凸の比(H/P凹凸)は、0.77である。
次に、スパッタ法により、基材の凸部の頂部上に、厚さが75nmのSiOから成る低屈折率層と、厚さが40nmのNbから成る高屈折率層を、各々7層ずつ交互に積層した複数の積層構造体を形成した。
その後、基材の凸部を有しない裏面に、黒色の顔料を塗布して、発色構造体を得た(図1(a)及び(b)参照)。
図1(a)及び(b)に示すように、本例の発色構造体1は、基材2の各々の凸部2aの頂部上に、該頂部を起点として、高屈折率層3と低屈折率層4とが交互に積層した柱状の積層構造体5が形成されていた。複数の積層構造体5は、積層方向の少なくとも一部において、積層構造体5同士の間隔が30nmであった。
また、本例の発色構造体1は、基材2から得られる回折反射光及び積層構造体5から得られる干渉反射光が、両者ともに青色になるように、基材2の凸部2aの形状及び積層構造体5を設計したものである。
本例の発色構造体1の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表6に示す。
(実施例2)
間隔(周期)P凹凸が335nm、高さHが335nmの複数の透明な凸部を基材に形成し、積層構造体の低屈折率層(SiO)の厚さを91nm、高屈折率層(Nb)の厚さを57nmとし、積層構造体の最外層に、厚さが1μmの透明なアクリル樹脂からなる層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、発色構造体を得た。この発色構造体の基材の凸部のH/P凹凸は1.00である。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が青緑色から緑色、積層構造体から得られる干渉反射光が青緑色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表6に示す。
(実施例3)
積層構造体の低屈折率層(SiO)の厚さを91nm、高屈折率層(Nb)の厚さを57nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、発色構造体を得た。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が青色、積層構造体から得られる干渉反射光が緑色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表6に示す。
(実施例4)
積層構造体の低屈折率層(SiO)の厚さを116nm、高屈折率層(Nb)の厚さを73nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、発色構造体を得た。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が青色、積層構造体から得られる干渉反射光が黄色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表6に示す。
(実施例5)
積層構造体の低屈折率層(SiO)の厚さを91nm、高屈折率層(Nb)の厚さを57nmとし、低屈折率層と高屈折率層の各々の層を3層ずつ交互に積層したこと以外は、実施例1と同様にして、発色構造体を得た。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が青色、積層構造体から得られる干渉反射光が青緑色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表6に示す。
(比較例1)
表面に凸部を形成しない(表面が平らのままである)基材を用いて、該基材の裏面に黒色顔料を塗布しないこと以外は、実施例1と同様にして、表面が平らな基材上に積層構造体を形成した発色体を得た。
また、本例の発色体の積層構造体は、この積層構造体から得られる干渉反射光が青色になるように設計したものである。
本例の発色体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表6に示す。
(比較例2)
間隔(周期)が不均一であり、高さが340nmの複数の透明な凸部を基材に形成し、この凸部の頂部上に、厚さが150nmのSiOから成る低屈折率層と、厚さが80nmのTiOから成る高屈折率層を各々7層ずつ交互に積層した積層構造体を形成し、基材の裏面に黒色顔料を塗布しないこと以外は、実施例1と同様にして、発色体を得た。
本例の発色体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表6に示す。
なお、間隔(周期)が不均一であるとは、例えば、基材の平面上にX軸とY軸を設定した場合に、X方向の間隔が0.3μmで一様であり、Y方向が2.0μmを中心とする標準偏差0.5μmの正規分布をなす多数の長方形の凸部がXY2次元平面内に乱数配置された状態をいう(必要であれば、特開2005−153192号公報参照)。
Figure 2009205123
[結果の考察(1)]
表6に示すように、実施例1の発色構造体は、真上(垂直方向)から90°(水平方向)までのいずれの角度においても、サファイヤのように輝く青色を発色していた。
実施例2の発色構造体は、真上(垂直方向)から90°(水平方向)までのいずれの角度においても、エメラルドのように輝く緑色を発色していた。更に、実施例2の発色構造体を真空成形により、曲率半径が10cmとなるように湾曲させたものについても、真上(垂直方向)から90°(水平方向)のいずれの角度においても、エメラルドのように輝く緑色を発色していた。実施例2の発色構造体を湾曲させたものは、色相の深さや厚さが増しており、立体性がより強調されているように見えた。
実施例3の発色構造体は、真上(垂直方向)から45°までの角度で、エメラルドのように輝く緑色を発色しており、真上から45°〜90°(水平方向)までの角度で、サファイヤのように輝く青色を発色していた。
実施例4の発色構造体は、真上(垂直方向)から45°までの角度で、ゴールドのように輝く黄色を発色しており、真上から45°〜90°(水平方向)までの角度で、サファイヤのように輝く青色を発色していた。
実施例5の発色構造体は、真上(垂直方向)から45°までの角度で、エメラルドよりも深い色合いの輝く緑色を発色しており、真上から45°〜90°(水平方向)までの角度で、サファイヤのように輝く青色を発色していた。
一方、比較例1の発色体は、真上(垂直方向)から45°までの角度で、サファイヤのように輝く青色を発色しているものの、真上から45°〜90°(水平方向)までの角度では、発色せず、鏡面のように無彩色であった。
また、比較例2の発色体は、真上(垂直方向)から25°までの角度で、青色を発色していたが、真上から25°を超えると、紫色方向に変化すると共に発色も弱くなる。
(実施例6)
間隔(周期)P凹凸が330nm、平均高さHが200nmであり、各々の高さが異なる複数の透明な凸部を基材に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、発色構造体を得た。この発色構造体の基材における凸部のH/P凹凸は0.61である。
各凸部の高さの差(標準偏差)は、積層構造体の最上層である高屈折率層の厚さL(40nm)の1/5である。
具体的には、凸部の高さが約196〜204nmであり、各凸部の高さの差(標準偏差)は、8nmの範囲である。
また、基材の凸部の頂部上に形成された複数の積層構造体は、積層方向の少なくとも一部において、積層構造体5同士の間隔が30nmであった。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が青色、積層構造体から得られる干渉反射光が青緑色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、図11に示す方法と同様にして、本例の発色構造体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図15に示す。
なお、測定には、変角分光分析機(大塚電子社製)を用いた。
(実施例7)
二光束干渉露光法により、間隔(周期)が500nm、底部までの平均深さが500nmの複数の凹部形状をNi製基板の表面に形成し、これを基にNi製の金型を作製した。
次に、上記のNi製金型を用いて、光ナノインプリント法により、間隔(周期)P凹凸が500nm、平均高さHが500nmの複数の透明な凸部を表面に形成した紫外線硬化性アクリル樹脂から成る基材を得た。この基材の凸部を除いた部分の厚さは100μmである。また、基材の凸部の頂部から底部までの平均高さHと、凸部の間隔P凹凸の比(H/P凹凸)は、1.00である。
次に、上記基材の凸部を有する表面をエタノールで洗浄した。この基材を、平均粒径120nmのチタニア(TiO)微粒子をエタノールに分散させた微粒子分散溶液を収容したビーカの壁面に立てかけた。なお、基材は、基材の一端部がチタニア微粒子分散溶液につかるようにして、ビーカの壁面に立てかけた。
基材とチタニア微粒子分散液を収容したビーカを、40℃の恒温槽中に収容し、2日かけてエタノールを蒸発させた。エタノールの蒸発が済んだ後、恒温槽からビーカと基材を取り出した。その結果、基材の凸部の頂部上に、チタニア微粒子が細密充填構造で配列する積層構造体が形成された発色構造体が得られた。チタニア微粒子の積層数は10層であった。
各凸部の高さの差(標準偏差)は、積層構造体の複数の微粒子を並列に配置させた1層の厚さ、具体的には微粒子の平均粒径d(120nm)の1/3である。
具体的には、凸部の高さが約480〜520nmであり、各凸部の高さの差(標準偏差)は、40nmの範囲である。
また、基材の凸部の頂部上に形成された複数の積層構造体は、積層方向の少なくとも一部において、積層構造体5同士の間隔が30nmであった。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が赤色、積層構造体から得られる干渉反射光が青色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、実施例6と同様にして、本例の発色構造体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図16に示す。
(実施例8)
積層構造体の低屈折率層(SiO)の厚さを128nm、高屈折率層(Nb)の厚さを100nmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、発色構造体を得た。
各凸部の高さの差(標準偏差)は、積層構造体の最上層である高屈折率層の厚さL(100nm)の1/5である。
具体的には、凸部の高さが約190〜210nmであり、各凸部の高さの差(標準偏差)は、20nmの範囲である。
また、基材の凸部の頂部上に形成された複数の積層構造体は、積層方向の少なくとも一部において、積層構造体5同士の間隔が30nmであった。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が青色、積層構造体から得られる干渉反射光が赤色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表6に示す。また、実施例6と同様にして、本例の発色構造体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図17に示す。
(実施例9)
間隔(周期)P凹凸が500nm、平均高さHが200nmであり、各々の高さが異なる複数の透明な凸部を基材に形成したこと以外は、実施例6と同様にして、発色構造体を得た。この発色構造体の基材における凸部のH/P凹凸は0.40である。
各凸部の高さの差(標準偏差)は、積層構造体の最上層である高屈折率層の厚さL(40nm)の1/5である。
具体的には、凸部の高さが約196〜204nmであり、各凸部の高さの差(標準偏差)は、8nmの範囲である。
また、基材の凸部の頂部上に形成された複数の積層構造体は、積層方向の少なくとも一部において、積層構造体5同士の間隔が30nmであった。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が赤色から赤紫色、積層構造体から得られる干渉反射光が青色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、実施例6と同様にして、本例の発色構造体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図18に示す。
(実施例10)
積層構造体において、積層方向の少なくとも一部において、積層構造体同士の間隔が100nmであること以外は、実施例6と同様にして、発色構造体を得た。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が青色、積層構造体から得られる干渉反射光が青色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、実施例6と同様にして、本例の発色構造体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図19に示す。
(実施例11)
基材における各凸部の高さの差(標準偏差)は、積層構造体の最上層である高屈折率層の厚さL(40nm)の1/9にしたこと以外は、実施例6と同様にして、発色構造体を得た。
具体的には、凸部の高さが約198〜202nmであり、各凸部の高さの差(標準偏差)は、4nmの範囲である。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が青色、積層構造体から得られる干渉反射光が青色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、実施例6と同様にして、本例の発色構造体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図20に示す。
(実施例12)
基材における各凸部の高さの差(標準偏差)は、積層構造体の最上層である高屈折率層の厚さL(40nm)の1/3にしたこと以外は、実施例6と同様にして、発色構造体を得た。
具体的には、凸部の高さが約194〜206nmであり、各凸部の高さの差(標準偏差)は、13nm程度の範囲である。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が青色、積層構造体から得られる干渉反射光が青色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、実施例6と同様にして、本例の発色構造体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図21に示す。
(実施例13)
積層構造体を構成する微粒子として、平均粒径130nmの五酸化ニオブ(Nb)微粒子を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、基材の凸部の頂部上に、五酸化ニオブ微粒子が細密充填構造で配列した積層構造体を有する発色構造体を得た。
基材における各凸部の高さの差(標準偏差)は、積層構造体を構成する微粒子を並列に配置させた1層の厚さ、具体的には微粒子の平均粒径d(130nm)の1/5である。
具体的には、凸部の高さが約487〜513nmであり、各凸部の高さの差(標準偏差)は、26nmの範囲である。
本例の発色構造体は、基材から得られる回折反射光が赤色、積層構造体から得られる干渉反射光が青色になるように、基材の凸部の形状及び積層構造体を設計したものである。
本例の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、実施例6と同様にして、本例の発色構造体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図22に示す。
(比較例1)
上記比較例1の発色体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、図11に示す方法と同様にして、比較例1の発色体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図23に示す。
(比較例3)
基材の凸部の間隔(周期)P凹凸を100nmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、発色構造体を得た。この発色構造体の基材の凸部の高さHと、凸部の間隔P凹凸の比H/P凹凸は0.5である。
この比較例3の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、図11に示す方法と同様にして、比較例3の発色体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図24に示す。
(比較例4)
基材の凸部の間隔(周期)P凹凸を600nmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、発色構造体を得た。この発色構造体の基材における凸部の高さHと、凸部の間隔P凹凸の比H/P凹凸は0.33である。
この比較例4の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、図11に示す方法と同様にして、比較例3の発色体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図25に示す。
(比較例5)
積層構造体の間隔Dを0nmにしたこと以外は、実施例6と同様にして、発色構造体を得た。この発色構造体の基材における凸部の高さHと、凸部の間隔P凹凸の比H/P凹凸は0.33である。
この比較例5の発色構造体の構成と、真上(垂直方向)から真横(水平方向)まで角度を変えて、肉眼で観察した発色を表7に示す。また、図11に示す方法と同様にして、比較例3の発色体の各受光角θにおける波長の反射率(%)を測定した結果を図26に示す。
Figure 2009205123
[結果の考察(2)]
表7に示すように、実施例6の発色構造体は、受光角θが真上(垂直方向)0°〜50°及び50°〜90°のいずれの角度においても、サファイヤのように輝く青色を発色していた。
図15のグラフに示すように、実施例6の発色構造体は、受光角θ0〜80°のいずれの角度においても、発色構造体は、青色の波長領域である約400〜450nmの範囲にピーク波長を有している。このピーク波長によって、本例の発色構造体は、真上(垂直方向:0°)から真横(水平方向:90°)まで、見る角度を変えても色相が変化せず、基材における回折反射光と、積層構造体における干渉反射光及び積層構造体の高さ差による回折反射光の相乗作用によって、サファイヤのような輝く青色のままであることが確認できた。
実施例7の発色構造体は、受光角θが真上(垂直方向)0°〜50°までは、サファイヤのような青色を発色していた。また、受光角θが50°〜90°までは、真珠のように自然な発色で微妙に色彩が変化しながら、赤色から赤紫色までルビーやガーネットのように発色が変化した。この発色構造体の発色は、受光角θが0°〜50°までは、細密充填構造に積層された微粒子から成る積層構造体の干渉反射光が主に発色し、受光角θが50°〜90°までは、基材の表面に形成された凸部による回折反射光により主に発色しているためと考えられる。
このことは、図16に示すグラフからも確認できる。図16のグラフに示すように、実施例7の発色構造体は、受光角θが0°〜50°までは、青色の波長領域である約400〜450nmの範囲に大きなピーク波長と、赤色の波長領域である約640〜680nmの範囲に大きなピーク波長を有しているが、主たるものは、青色の波長領域であるので、青色に見える。
しかし、受光角θが50°以上になると、図12のグラフに示す発色構造体と同様に、赤色の波長領域である約640〜680nmの範囲にピーク波長を生成した正反射光と共に、基材2の凹凸形状により形成された回折反射光が優位となって、目視で確認できる色相は赤紫色に見えた。
なお、50°〜90°まで視野角を変えると、赤色から赤紫色まで、真珠のように微妙に発色が変化するメカニズムについては、明確に限定できるわけではないが、基材における回折反射光が、二酸化チタン(TiO)から成る球状粒子を細密充填構造で積層した積層構造体により、微妙に回折、干渉するためと考えられる。
実施例8の発色構造体は、受光角θが真上(垂直方向)0°〜50°まではルビーのような赤色を発色しており、受光角θが50°〜90°までは、サファイヤのように青色を発色していた。この発色構造体の発色は、受光角θが0°〜50°までは、積層構造体の干渉反射光(赤色の波長領域の光)により主に発色し、受光角θが50°〜90°までは、基材の表面に形成された凸部による回折反射光(青色の波長領域の光)により主に発色しているためと考えられる。
このことは、図17に示すグラフからも確認できる。図17のグラフに示すように、実施例8の発色構造体は、受光角θが0°〜50°までは、青色の波長領域である約400〜450nmの範囲に大きなピーク波長と、赤色の波長領域である約640〜680nmの範囲により大きなピーク波長を有している。主たるものは、赤色の波長領域であるので、赤色に見える。
しかし、受光角θが50°以上になると、図12のグラフに示す発色構造体と同様に、青色の波長領域である約400〜450nmの範囲にピーク波長を生成した正反射光と共に、基材2の凹凸形状により形成された回折反射光が優位となって、目視で確認できる色相は青色に見えた。
このピーク波長から、本例の発色構造体は、真上(垂直方向)から見た場合にはルビーのように輝く赤色を発色させ、真横近く(水平方向近く)から見た場合にサファイヤのように輝く青色を発色させることができ、自由に色相を変化させることができることが確認できた。
実施例9の発色構造体は、受光角θが真上(垂直方向)0°〜50°まではサファイヤのような輝く青色を発色しており、受光角θが50°〜90°までルビーのような輝く赤色を発色していた。この発色構造体の発色は、受光角θが0°〜50°までは、積層構造体の干渉反射光(青色の波長領域の光)により主に発色し、受光角θが50°〜90°までは、基材の表面に形成された凸部による回折反射(赤色の波長領域の光)により主に発色しているためと考えられる。
このことは、図18に示すグラフからも確認できる。図18のグラフに示すように、実施例9の発色構造体は、受光角θが0°〜50°までは、青色の波長領域である約400〜450nmの範囲に大きなピーク波長と、赤色の波長領域である約640〜680nmの範囲に大きなピーク波長を有している。主たるものは、青色の波長領域であるので、青色に見える。
しかし、受光角θが50°以上になると、図12のグラフに示す発色構造体と同様に、赤色の波長領域である約640〜680nmの範囲にピーク波長を生成した正反射光と共に、基材2の凹凸形状により形成された回折反射光が優位となって、目視で確認できる色相は赤色に見えた。
このように、実施例9の発色構造体は、実施例8の発色構造体とは逆に、真上(垂直方向)から見た場合にはサファイヤのように輝く青色を発色させ、真横近く(水平方向近く)から見た場合にルビーのように輝く赤色を発色させることができ、自由に色相を変化させることができることが確認できた。
実施例10の発色構造体は、受光角θが真上(垂直方向)0°〜50°及び50°〜90°のいずれの角度においても、サファイヤのように輝く青色を発色していた。本例の発色構造体は、積層構造体同士の間隔Dが100nmと若干大きいため、受光角θが50°〜90°までの斜めから見た場合であっても、基材における回折反射光による青色の発色がよく確認できた。
図19のグラフに示すように、実施例10の発色構造体は、受光角θが0°〜80°のいずれの角度においても、青色の波長領域である約400〜450nmの範囲に大きなピーク波長を有しており、真上から真横まで見る角度を変えても色相が変化せず、サファイヤのように輝く青色を発色することが確認できた。
実施例11の発色構造体は、受光角θが真上(垂直方向)0°〜50°まではサファイヤのような輝く青色を発色しており、受光角θが50°〜90°までガーネットのような輝く青紫色を発色していた。本例の発色構造体は、受光角θが0°〜50°までは、積層構造体の干渉反射光(青色の波長領域の光)により主に発色し、受光角θが50°〜90°までは、基材の表面に形成された凸部による回折反射(青色の波長領域の光)が主に発色していると考えられる。本例の発色構造体は、基材の表面に形成した凸部の高さHの差が、高屈折率層の厚さLの1/9と小さいため、積層構造体における回折反射光の影響が、実施例6の発色構造体よりも小さい。本例の発色構造体は、基材の凸部の高さHの差が小さいために、斜め(50°〜90°)から見た場合には、青色ではなく、青紫色に若干色相が変化すると考えられる。
このことは、図20のグラフからも確認することができる。実施例11の発色構造体は、受光角θが0°〜60°の角度においては、青色の波長領域である約400〜450nmの範囲に大きなピーク波長を有しているが、受光角θが大きくなると(70°〜80°)、紫色の波長領域である約400nm近傍に大きなピーク波長がシフトする。
このように、基材の凸部の頂部から底部までの高さHの差を小さくすると、この凸部の頂部上に形成された各積層構造体の高さの差も小さくなるため、積層構造体における回折反射光の影響が小さくなる。そのため、本例の発色構造体は、真上から真横まで見る角度を変えると、若干色相が変化する。
実施例12の発色構造体は、受光角θが真上(垂直方向)0°〜90°まではサファイヤのような輝く青色を発色していた。本例の発色構造体は、基材の凸部の頂部から底部までの高さ(H)の差が、積層構造体の高屈折率層Lの1/3と大きいので、この凸部の頂部上に形成された積層構造体の高さの差も大きくなる。そのため、本例の発色構造体は、基材の凸部における回折反射光(青色の波長領域の光)、及び、積層構造体における干渉反射光(青色の波長領域の光)の他に、積層構造体における回折反射光(青色の波長領域の光)も発色に影響し、これらの相乗作用によって、受光角θが真上(垂直方向:0°)から真横(水平方向:90°)まで変化した場合であっても、同一のサファイヤのように輝く青色を発色させることができる。また、湾曲部などではより色味が強調され立体性が強調されて、奥行きや深みのある、明度及び彩度の高い、輝くような優れた色相を表わすことができる。
図21のグラフに示すように、実施例12の発色構造体は、受光角θが0°〜80°のいずれの角度においても、青色の波長領域である約400〜450nmの範囲に大きなピーク波長を有している。このことから、実施例12の発色構造体は、見る角度を変えた場合であっても、サファイヤのような輝く青色を発色していることが確認できる。
実施例13の発色構造体は、受光角θが真上(垂直方向)0°〜50°まではサファイヤのような青色を発色しており、受光角θが50°〜90°までは、真珠のように自然な発色で微妙に色彩が変化しながら、赤色から赤紫色までルビーやガーネットのように発色が変化した。この発色構造体の発色は、受光角θが0°〜50°までは、細密充填構造に積層された微粒子から成る積層構造体の干渉反射光が主に発色し、受光角θが50°〜90°までは、基材の表面に形成された凸部による回折反射光が主に発色しているためと考えられる。
このことは、図22に示すグラフからも確認できる。図22のグラフに示すように、実施例13の発色構造体は、受光角θが0°〜50°までは、青色の波長領域である約400〜450nmの範囲に大きなピーク波長と、赤色の波長領域である約640〜680nmの範囲に大きなピーク波長を有している。主たるものは、青色の波長領域であるので、青色に見える。
しかし、受光角θが50°以上になると、図12のグラフに示す発色構造体と同様に、赤色の波長領域である約640〜680nmの範囲にピーク波長を生成した正反射光と共に、基材2の凹凸形状により形成された回折反射光が優位となって、目視で確認できる色相は赤色に見えた。
なお、受光角θが50°〜90°まで視野角を変えると、赤色から赤紫色まで、真珠のように微妙に発色が変化することについては、明確に限定できるわけではないが、基材における回折反射光が、五酸化ニオブ(Nb)から成る球状粒子を細密充填構造で積層した積層構造体により、微妙に回折、干渉するためと考えられる。
比較例1の発色体は、上記のように真上(垂直方向)0°〜30°までの角度で、サファイヤのように輝く青色を発色しているものの、30°〜90°(水平方向)までの角度では、発色せず、鏡面のように無彩色であった。この結果は、図23のグラフからも確認することができる。
図23のグラフに示すように、比較例1の発色体は、受光角θが0°〜30°までは、青色から青緑色の波長領域(約400〜550nm)に広いピーク波長を有するものの、受光角θが30°〜80°になると、ピーク波長が約400〜680nmの広範囲に移動し、特定の色を発色していないことが確認できた。
比較例3の発色構造体は、上記のように受光角θが真上(垂直方向)0°〜30°までの角度で、サファイヤのように輝く青色を発色しているものの、受光角θが30°〜90°(水平方向)までの角度では、弱い紫色になり、同一の色相を発色していなかった。
図24のグラフに示すように、比較例2の発色構造体は、受光角θが0°〜30°までは、青色の波長領域(約400〜450nm)に広いピーク波長を有するものの、受光角θが30°〜80°になると、ピーク波長が約400nm未満の紫の波長領域(約400nm未満)に移動していた。この結果から、基材の凸部の間隔が100nmになると、基材の回折反射光による波長が紫外線領域となり、視野角の変化により、同一の色相を発色させることが難しいことが確認できた。
比較例4の発色構造体は、上記のように受光角θが真上(垂直方向)0°〜30°までの角度で、サファイヤのように輝く青色を発色しているものの、受光角θが30°〜90°(水平方向)までの角度では、弱い紫色になり、同一の色相を発色していなかった。
図25のグラフに示すように、本比較例2の発色構造体は、受光角θが0°〜30°までは、青色の波長領域(約400〜450nm)に広いピーク波長を有するものの、受光角θが30°〜80°になると、ピーク波長が約400nm未満の紫の波長領域(約400nm未満)に移動し、ピーク波長の反射率も低くなっていた。この結果から、
基材の凸部の間隔が600nmになると、基材の回折反射光による波長が赤外線領域となり、視野角の変化により、同一の色相を発色させることが難しいことが確認できた。
比較例5の発色構造体は、上記のように受光角θが真上(垂直方向)0°〜30°までの角度で、サファイヤのように輝く青色を発色しているものの、受光角θが30°〜90°(水平方向)までの角度では、弱い紫色になり、同一の色相を発色していなかった。この結果から、積層構造体同士が密着しており、積層構造体同士の間隔がないと、基材における回折反射光が発色構造体の外部に透過され難くなる。そのため、基材における回折反射光、積層構造体における干渉反射光及び回折反射光が同一色になるように発色構造体を設計したとしても、角度依存性が大きくなり、見る角度によって色相が変化してしまう。
図26のグラフに示すように、比較例5の発色構造体は、受光角θが0°〜30°までは、青色の波長領域(約400〜450nm)にピーク波長を有するものの、受光角θが30°〜80°になると、ピーク波長が約400nm未満の紫の波長領域(約400nm未満)に移動してしまい、視野角の変化により、同一の色相を発色させることが難しくなることが確認できた。
本発明の発色構造体の実施形態の第1の例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図を示す電子顕微鏡写真である。 本発明の発色構造体を構成する基材の実施形態の一例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図を示す電子顕微鏡写真である。 図2の基材の凸部を模式的に表した平面図である。 基材の凸部(及び/又は凹部)の間隔(周期)P凹凸(nm)と、回折反射光のピーク波長(nm)の関係を示すグラフである。 基材の凸部(及び/又は凹部)の高低差H及び該凸部(及び/又は凹部)の間隔P凹凸の比(H/P)と、回折反射光の反射率(%)の関係を示すグラフである。 本発明の発色構造体の実施形態の第2の例を示し、発色構造体を模式的に示す説明図である。 本発明の発色構造体の実施形態の第3の例を示し、発色構造体を模式的に示す説明図である。 表面が平らな基材上に積層構造体を設けた発色体の実施形態の一例を模式的に示す断面図である。 (a)〜(g)は、表4に示す厚さの高屈折率層と低屈折率層からなる積層構造体から得られる、波長(nm)と干渉反射光の反射率(%)の関係を示すグラフである。 比較例である、表面が平らな基材上に積層構造体を形成した発色体を示し、(a)は平面図、(b)は側面図を示す電子顕微鏡写真である。 反射率の測定方法を説明する模式図である。 本発明の発色構造体の実施形態の一例の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 比較例の発色体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 本発明の発色構造体の実施形態の第4の例を示し、発色構造体を模式的に示す説明図である。 実施例6の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 実施例7の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 実施例8の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 実施例9の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 実施例10の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 実施例11の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 実施例12の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 実施例13の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 比較例1の発色体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 比較例3の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 比較例4の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。 比較例5の発色構造体の波長(nm)と反射率(%)の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 発色構造体
2 基材
2a 凸部(及び/又は凹部)
2a’ 凸部の頂部(中心点)
3 高屈折率層
4 低屈折率層
5 積層構造体
6 発色構造体
7 基材
7a 凸部(及び/又は凹部)
8 積層構造体
8a 粒子(1層目)
8b 粒子(2層目)
10 発色体
11 基材
12 高屈折率層
13 低屈折率層
14 積層構造体
20 試料
21 照射源
22 センサー

Claims (14)

  1. 240〜500nmの一定の間隔で配列した、複数の透明な凸部及び/又は凹部を表面に有する基材と、該基材の凸部及び/又は凹部の頂部上に、複数の層を積層した複数の積層構造体とを有し、上記複数の積層構造体同士を互いに所定の間隔を有するように配列したことを特徴とする発色構造体。
  2. 上記凸部及び/又は凹部の頂部から底部までの高さ(H)と、上記凸部及び/又は凹部の間隔(P凹凸)の比(H/P凹凸)が0.2〜3.0であることを特徴とする請求項1に記載の発色構造体。
  3. 上記凸部及び/又は凹部の頂部から底部までの高さ(H)が、隣接する少なくとも1つの凸部及び/又は凹部の頂部から底部までの高さ(H)と異なり、各凸部及び/又は凹部の頂部から底部までの高さ(H)の差が、積層構造体を構成する最上層の厚さの1/10層〜1/2層の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発色構造体。
  4. 上記基材は、凸部及び/又は凹部を有しない裏面、及び/又は、凸部及び/又は凹部を除く基材の内部が、可視光不透過性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の発色構造体。
  5. 上記複数の積層構造体同士の間隔(D)が、5nm以上且つ上記凸部及び/又は凹部の間隔(P凹凸)の1/2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の発色構造体。
  6. 上記積層構造体が、高屈折率層と低屈折率層とを積層したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の発色構造体。
  7. 上記積層構造体が、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層したものであることを特徴とする請求項6に記載の発色構造体。
  8. 上記積層構造体が、高屈折率層を1〜10層と低屈折率層を1〜10層を積層したものであることを特徴とする請求項6又は7に記載の発色構造体。
  9. 高屈折率層の屈折率nと層厚dとの積(n× d)、及び、低屈折率層の屈折率nと層厚dとの積(n×d)が95〜195nmであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つの項に記載の発色構造体。
  10. 高屈折率層の屈折率nと低屈折率層の屈折率nの比(n/n)が1.02〜3.0であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つの項に記載の発色構造体。
  11. 上記積層構造体の1層の厚さが、24〜150nmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の発色構造体。
  12. 上記積層構造体は、粒子を最密充填構造に配列して成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の発色構造体。
  13. 上記粒子の平均粒径が、80〜240nmであることを特徴とする請求項12に記載の発色構造体。
  14. 最外層に可視光を透過する樹脂から成る層を付加したものであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つの項に記載の発色構造体。
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