JP2009203143A - 単層カーボンナノチューブの製造装置及び製造方法 - Google Patents

単層カーボンナノチューブの製造装置及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜面積の大きい単層カーボンナノチューブ膜を製造することができ、且つ該膜を自立膜として回収することができる単層カーボンナノチューブ製造方法、及び該方法の実施に適した製造装置を提供する。
【解決手段】製造装置1は、前記対向する一対の電極を構成する陰極12と陽極11の各々に一つずつ電気的に接続された状態で、且つ、該一対の電極11,12間の隙間14の距離Lよりも距離が長い隙間24(距離L)をあけて対向した状態で配置される一対の導電板21,22を備える。前記アーク放電により蒸発したカーボンからなる単層カーボンナノチューブを、前記一対の導電板21,22のうち陰極12側に配置された導電板22における前記陽極11と対向する面22aに膜状に堆積させて捕捉する。
【選択図】図1

Description

本発明は、単層カーボンナノチューブの製造方法、及び当該方法の実施に適した製造装置に関する。詳しくは、アーク放電法を用いて単層カーボンナノチューブを製造する方法、及び製造装置に関する。
カーボンナノチューブは、導電性、熱伝導性、機械的強度等の優れた特性を持つことから、多くの分野から注目を集めている新素材である。特に、カーボンナノチューブにより形成される膜状の炭素質素材(以下、かかるカーボンナノチューブ製の膜状炭素質素材を「カーボンナノチューブ膜」と略称する。)は、電界電子放出型ディスプレイ(FED)のエミッタや電界効果トランジスタ等、エレクトロニクス分野での応用が期待されている。カーボンナノチューブ膜の膜面積を大きくし、基材から完全に分離した状態で(即ち自立膜として)製造できれば、ディスプレイの大型化や膜の単独利用等が可能となり、当該膜の適用範囲が拡大されるので好ましい。
カーボンナノチューブ膜の製造方法としては、典型的には、スクリーン印刷法やスプレー法等の方法によりカーボンナノチューブを含むペーストや分散液を基材上に付与する方法、若しくは炭素又は炭素原料を含むガスを高温条件下で金属触媒を担持した基材と接触させて該基材上で膜を成長させる化学気相成長法(即ちCVD法)が挙げられる(例えば特許文献1〜4参照)。
特開2004−288561号公報 特開2003−121892号公報 特開2002−299265号公報 特開2007−182342号公報 特開2003−277032号公報
しかしながら、上記の方法は基材上にカーボンナノチューブ膜を形成することが前提であり、基材の存在が不可欠である。また、特許文献4では、CVD法によりSi等の基材上にカーボンナノチューブ膜を形成し、当該膜を上記基材から剥離して自立膜を得る方法が開示されている。しかし、この方法では得られる膜面積(例えば20mm×12mm程度)に限界がある。
そこで本発明は、膜面積の大きい単層カーボンナノチューブ膜を製造することができ、且つ該膜を自立膜として回収することができる単層カーボンナノチューブ製造方法、及び該方法の実施に適した製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を実現するべく本発明によって提供される単層カーボンナノチューブ製造装置は、反応容器と、該反応容器内に配置される一対の電極とを備える。これら一対の電極は、互いに対向するように(典型的には、棒状或いはスティック状の電極の一端が互いに対向するように)且つ隙間をあけて配置され、該電極間においてアーク放電を発生させ且つ該電極の少なくとも一方からカーボンを蒸発させ得るように構成されている。また、この製造装置は、該一対の電極を構成する陰極と陽極の各々に一つずつ電気的に接続された状態で配置される一対の導電板を備える。これら一対の導電板は、前記一対の電極間の隙間よりも距離が長い隙間をあけて対向配置される。ここで、前記一対の導電板のうち前記陰極側に配置された導電板は、前記陽極と対向する面側において前記蒸発したカーボンからなる単層カーボンナノチューブを膜状に堆積させて捕捉し得るように形成されている。
かかる構成の製造装置では、上記一対の導電板は、上記一対の電極を構成する陰極と陽極の各々に一つずつ電気的に接続された状態で配置されている。このため、対向する上記陰極と陽極との間に電圧を印加することにより、上記電極間の隙間以上の隙間をあけて対向配置されている導電板間においても、上記電圧と同程度の電位差で電界を生じさせることができる。アーク放電により電極(典型的には陽極)から蒸発したカーボン粒子(典型的には更に触媒金属粒子)は、アークプラズマから外側に向けて拡散していく。このとき、単層カーボンナノチューブを含む生成物(蒸発物)は、高温(典型的には6000K程度)のアークプラズマの外側周辺における該アークプラズマよりも比較的低温(例えば1000K〜1800K)の領域内で生じ、当該領域内で上記生成物(蒸発物)は成長し得る。この単層カーボンナノチューブ含有生成物は、上記低温領域を脱すると成長が止まり、そのまま電極間の空間を超えて上記導電体間の空間へ拡散し得る。
ここで、上記カーボン粒子及び触媒金属粒子は、原子又は正電荷を帯びた陽イオンとして存在し得るため、上記各粒子及びこれら粒子からなる単層カーボンナノチューブ含有生成物は全体的に陰極側に移動していく。この結果、上記生成物は、陰極側に配置された導電体における陽極との対向面に捕捉され得る。ここで、所定時間のアーク放電を継続実施すれば、上記生成物は上記対向面の一面にわたり堆積されて(付着して)いくので、この生成物を上記対向面において膜状に捕捉することができ、結果、導電板の対向面(即ち捕捉面)と同程度の面積で所定厚の単層カーボンナノチューブからなる薄膜状堆積物(即ち本明細書でいう単層カーボンナノチューブ膜)として回収し得る。
また、アーク放電時に上記導電板間に電界が生じることにより、蒸発したカーボン粒子(典型的には更に触媒金属粒子)、及びこれらからなる単層カーボンナノチューブ含有生成物は、その移動(拡散)範囲が上記導電板間に制限され得る。このため、単層カーボンナノチューブ含有生成物は陰極側の導電板の対向面に効率良く(高い回収率で)回収(捕捉)され得る。
更に、上記単層カーボンナノチューブ膜は、上記導電板の対向面に物理的に付着しているのみであるため、当該膜を上記対向面から容易に剥離することができ、自立膜として得ることができる。
ここに開示される製造装置の好ましい態様の一つとして、前記一対の電極は、前記反応容器内で上下方向に配置されており、このうち下側が陽極となり、上側が陰極となるように配置される。ここで、「反応容器内で上下に配置」とは、反応容器を水平に(真横から)見たとき、一方の電極(ここでは陽極)が下側に、そして他方の電極(ここでは陰極)が上側にあることをいい、一方の電極における他極との対向面同士が上下方向に配置されていれば足りる。また、下側の陽極と上側の陰極とが垂直(鉛直)方向に沿って一直線上にあるように(若しくは互いの対向面が所定間隔を隔てた水平面内にあるように)配置された電極は、反応容器内で上下方向に配置されている電極の好ましい一つの典型例である。
かかる電極配置にすることによって、以下の効果が奏される。即ち、アーク放電時には、電極間、及び当該各電極に一つずつ電気的に接続された状態で配置された導電板間には電界が生じるため、下側の陽極から蒸発したカーボン粒子(原子又は陽イオン)(及び典型的には更に触媒金属粒子の原子又は陽イオン)は、上側の陰極及び/又は該陰極側の導電板に向けて上昇する傾向にある。このとき、当該各粒子にはこの上昇しようとする力と、重力による下降方向の力が共に作用して、上記各粒子は上記導電板間(電極間を含む)の空間における上昇を抑制され得る。従って、各粒子が上記導電板に捕捉されるまでの時間(即ち該粒子の導電板間における滞在時間)が増加し得る。
また、上記したように導電板間にも電極間と同程度の電位差の電界が生じるため、アーク放電時には、陰極から放出された電子が導電板間に存在するカーボン、触媒金属及び雰囲気ガスの各粒子にも衝突し得る確率が増える。この結果、アークプラズマ領域が拡大し、それに伴いアークプラズマ領域周辺の単層カーボンナノチューブ生成に好適な温度領域も拡大し得る。従って、拡大した上記温度領域により長く滞在し得るカーボン粒子及び触媒金属粒子が増加し得るため、単層カーボンナノチューブの生成(成長)領域と時間が共に増加し得る結果、高効率且つ高収率で単層カーボンナノチューブを生成することができる。
ここに開示される製造装置の更に好ましい態様の一つとして、前記一対の導電板は、対向する面同士が平行となるように配置される。このとき、前記一対の導電板の対向する面同士が平行であり且つ互いに水平方向に沿うように配置されることが特に好ましい。
ここで、上記「平行」とは、一方の電極に配置された導電板において、他方の電極に配置された導電板と対向する面同士のなす角度が概ね±30°以下(好ましくは±10°以下、より好ましくは±5°以下)であることをいう。また、「水平方向に沿う」とは、上記対向面の面方向と水平面とのなす角度が±30°以下(好ましくは±10°以下、より好ましくは±5°以下)であることをいう。電極についても同様である。上記各対向面が平行であり、互いに水平面とのなす角度がゼロ(以下、これを単に「水平」ということがある。)、又はほぼゼロであるような配置の導電板及び電極は、平行で且つ互いに水平方向に沿うように配置される導電板の一つの典型例である。
上記一対の導電板をかかる位置関係となるような配置にすることにより、該導電板に対して平行に等電位面が生じるため、電界力(電界で働く力)は該等電位面(及び上記導電板の対向面)に対して垂直な方向に働く。従って、陽極から蒸発したカーボンから生じる単層カーボンナノチューブはより効率良く陰極側の導電板の対向面に付着し、堆積し得る(即ち捕捉され得る)。
ここに開示される製造装置の更に好ましい一態様として、前記一対の導電板は、それぞれ、中心に挿通孔が形成された略円板状に形成されており、該挿通孔に前記一対の電極の何れかを挿通させた状態で前記一対の電極にそれぞれ挿脱可能に取り付けられる。
かかる構成によって、円板状の導電板の中心に配された陽極から蒸発したカーボン粒子(典型的には更に触媒金属粒子)からなる単層カーボンナノチューブ含有生成物は、該中心から水平面については360°にわたり均等に広がりながら陰極側に上昇する。このため、上記生成物は該側の導電板の対向面に一様に付着し、膜厚がほぼ均等な単層カーボンナノチューブ膜として回収し得る。また、導電板が挿脱可能であることにより、単層カーボンナノチューブ膜回収時の作業効率が向上し得る。
また、かかる構成の製造装置において、中心に挿通孔が形成された略円板状の導電板は、直径が80mm〜150mmのサイズに形成されている。より好ましくは80mm〜120mmであり、更に好ましくは90mm〜100mmである。
かかるサイズの導電板を採用することにより、単層カーボンナノチューブ含有生成物を陰極側導電板の対向面に対して、電極側(典型的には円板状導電板の中心部)から該導電板の周縁部の径方向において偏ることなく一様に付着させ得るため、膜厚をほぼ均等に調整し得る。また、得られる単層カーボンナノチューブ膜は、直径が80mm〜150mm(例えば80mm〜120mm、特には90mm〜100mm)の大面積の膜となり得る。
ここに開示される製造装置の別の好ましい一態様として、前記一対の導電板のうち陰極側に配置される導電板は、アーク放電時の前記反応容器内の温度分布が900K〜2500Kを呈する領域に含まれる陰極部分に配置される。
かかる位置に陰極側の導電板を配置することにより、陽極から蒸発したカーボン粒子(典型的には更に触媒金属粒子)は上記温度範囲で好適に単層カーボンナノチューブを生成し得るので、効率的に単層カーボンナノチューブ含有生成物を陰極側導電板の対向面に付着させ得る。
ここに開示される製造装置の好ましい一態様として、前記一対の導電板の間隔が20mm〜100mmに設定される。より好ましくは、20mm〜80mm、更に好ましくは30mm〜60mmに設定される。また、このとき、陰極及び陽極の各導電板は、それぞれ対応する電極の対向面から等しい距離だけ退行させて設けられていることが好ましい。またこのときの電極間の隙間の距離(間隔)は0.5mm〜5mm程度、例えば1mm〜3mm程度であることが好ましい。
かかる間隔で導電板間の隙間を設けることにより、陰極側導電板を、単層カーボンナノチューブ含有生成物を好適に生成し得る好適な温度環境の領域内に配置し得る。
ここに開示される製造装置の更に別の好ましい一態様として、前記一対の電極のうちの陽極は、アーク放電によってカーボンを蒸発可能な材料から構成され、金属触媒としてMoを含む合金を含有する。カーボンを蒸発可能な材料として利用し得る材料としては、種々の炭素材料が例示されるが、特にグラファイトを好適に採用することができる。
本態様の製造装置では、金属触媒としてモリブデン(Mo)を含む合金触媒を使用する。典型的には、Mo−M合金(ここで、MはFe、Ni、Ni−Y合金及びCoから選択される一種又は二種以上である。)、即ちカーボンナノチューブ(典型的には単層カーボンナノチューブ)合成用触媒として採用される金属、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ニッケル−イットリウム合金(Ni−Y合金)、コバルト(Co)等から選択される一種又は二種以上をモリブデン(Mo)と合金化させたものである。Moの導入により、陽極からのカーボン粒子の蒸発効率が向上し得る。
従って、このような金属触媒(例えばMo−Fe合金)を含有する材料を陽極に採用することにより、従来の触媒を用いる場合と比較してより高い収率(例えば2倍以上)で単層カーボンナノチューブ含有生成物(単層カーボンナノチューブ膜)を生成し得る。
また、本発明は、上記目的を実現するための他の側面として、アーク放電に基づく単層カーボンナノチューブ製造方法を提供する。
即ち、本発明に係る単層カーボンナノチューブ製造方法は、対向する一対の電極間にアーク放電を発生させて該電極の少なくとも一方からカーボンを蒸発させて行うものである。また、当該製造方法は、前記対向する一対の電極を構成する陰極と陽極の各々に一つずつ電気的に接続された状態で、且つ、該一対の電極間の隙間よりも距離が長い隙間をあけて対向した状態で、一対の導電板を配置し、前記アーク放電により蒸発したカーボンからなる単層カーボンナノチューブを、前記一対の導電板のうち陰極側に配置された導電板の前記陽極と対向する面側において膜状に堆積させて捕捉することを特徴としている。
かかる構成の単層カーボンナノチューブ製造方法によると、アーク放電により蒸発したカーボンからなる単層カーボンナノチューブを、陰極側に配置された導電板の陽極との対向面に一様に付着させて、高い収率で且つ効率良く単層カーボンナノチューブを捕捉、回収することができると共に、上記対向面と同程度の面積を有する膜状炭素質素材、即ち単層カーボンナノチューブ膜として回収することができる。本製造方法は、好適には、ここに開示されるいずれかの単層カーボンナノチューブ製造装置を用いて実施することができる。
ここに開示される単層カーボンナノチューブ製造方法の好ましい一態様では、前記一対の電極を上下方向に対向するように、下側に陽極を配置し且つ上側に陰極を配置し、前記陰極側に配置された導電板の陽極と対向する下向きの面によって、前記蒸発したカーボンからなる単層カーボンナノチューブであって前記反応容器内を陽極から陰極側に上昇する単層カーボンナノチューブを膜状に堆積させて捕捉することを特徴としている。
かかる構成の単層カーボンナノチューブ製造方法によると、上記導電板間において単層カーボンナノチューブ生成に好適な温度領域が広がり、当該領域に長く滞在し得るカーボン粒子(典型的には更に触媒金属粒子)が増加し得る。このため、単層カーボンナノチューブの生成(成長)領域と時間が共に増加することにより、高効率且つ高収率で単層カーボンナノチューブ膜を生成することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明に係る単層カーボンナノチューブ製造装置及び当該製造装置を用いて好適に実施され得る単層カーボンナノチューブ製造方法は、アーク放電法を用いて膜面積の大きい膜状炭素質素材(即ち単層カーボンナノチューブ膜)を製造すること、及び当該膜を自立膜として回収することを主たる目的とするものである。また、膜面積の大きい単層カーボンナノチューブ膜を製造し得る本発明の実施によって、高効率且つ高収率で(若しくは多量に)単層カーボンナノチューブを製造することを実現することができる。
アーク放電法は、単層カーボンナノチューブの典型的な製造方法の一つであり、欠陥が少なく品質の良い単層カーボンナノチューブが得られる点で優れた方法である。しかし、従来、当該方法は、例えばCVD法に比べると効率が悪く、収率も低いといわれてきた。このため、例えば特許文献5(特開2003−277032号公報)に開示される方法等の改善策によって、量産化可能な製造方法として改善され、利用されてきている。
ここに開示される製造装置では、アーク放電法による単層カーボンナノチューブの量産化がより一層実現され得る。即ち、一対の導電板が、反応容器内に対向配置される陰極と陽極の各々に一つずつ電気的に接続された状態で、且つ上記電極間の隙間よりも長い距離の隙間をあけた状態で設けられている。これら一対の導電板の存在により、一方の電極(典型的には陽極)から蒸発したカーボン粒子(及び典型的には更に触媒金属粒子)から単層カーボンナノチューブを生成するのに好適な環境が、上記導電板間の空間領域(即ち上記隙間)に実現され得る。
この結果、かかる製造装置を用いることにより、該導電板間の空間領域内で単層カーボンナノチューブが高効率に生成され、当該単層カーボンナノチューブを含む生成物(蒸発物)は陰極側導電板の陽極との対向面上にほぼ選択的に付着、堆積していく。従って、高効率且つ高収率で単層カーボンナノチューブを捕捉、回収することができると共に、上記対向面と同程度の面積を有する膜状炭素質素材、即ち単層カーボンナノチューブ膜として回収することができる。更に、この単層カーボンナノチューブ膜は、上記対向面から容易に剥離されて自立膜として回収され得る。
なお、ここで開示される製造装置及び製造方法は、単層カーボンナノチューブの製造に
適する装置及び方法であるが、多層カーボンナノチューブの製造に使用することを制限するものではない。
次に、本発明の好ましい一実施形態に係る単層カーボンナノチューブ製造装置について図面を参照して具体的に説明する。図1は、一実施形態に係る単層カーボンナノチューブ製造装置1の構成を示した模式図である。図1Aは、図1内の点線Iで囲んだ部分を拡大して示す模式図である。図1に示されるように、当該製造装置1は、大まかにいえば反応容器2と、一対の電極11,12と、一対の導電板21,22と、から構成される。
反応容器2は、密閉可能な耐圧容器であって、全体として例えばステンレス鋼で略円筒状(例えば、直径25cm〜80cm程度、高さ凡そ30cm〜150cmの略円筒形状)に構成されている。反応容器2の上面部2a(例えば特にその中心部)には、陰極12を電気的に絶縁した状態で支持する陰極12側の支柱32が挿通している。また、該容器2の底面部2b(例えば特にその中心部)には、陽極11を電気的に絶縁した状態で支持する陽極11側の支柱31が固定され、該固定位置から所定距離だけ離れた箇所にガス流通手段としてガス供給管41とガス排出管42とが設けられている。なお、反応容器2の側壁部には、本製造装置作動中における電極11,12間の反応を見るための覗き孔を備えてもよい。
上記反応容器2の内部空間4には一対の電極、即ち陽極11及び陰極12が支柱31,32にそれぞれ支持された状態で上下方向に配置されており、下側が陽極11、上側が陰極12となっている。
これら陽極11及び陰極12は、いずれもスティック状(又は棒状)に形成されており、その中心軸が垂直方向Zに沿ってほぼ一直線上になるようにして、図1Aに示すように所定間隔Lの隙間14をあけて対向配置されている。なお、各電極11,12の形状はスティック状に限られず、互いに対向させ得る面を有する形状(例えば角柱状)であればよい。従って、電極の形状は、例えばいずれか一方又は両方がタブレット状であってもよく、また、形状及び/又は材質の異なる複数の構成部材(例えばスティック状の部材とタブレット状の部材)を組み立てて(接合して)なる組立型電極体であってもよい。例えば、後述の導電板21,22を介して2つの材質及び形状の異なる構成部材が接合してなる組立型電極体であって、全体形状としてスティック状に見える組立型電極体を、本実施形態に係る電極11,12として好ましく使用することができる。
陽極11と陰極12との隙間14のサイズ(即ち、陽極11の対向面11aと陰極12の対向面12aとの間の間隔L)は特に限定されないが、例えばアーク放電による単層カーボンナノチューブ発生効率が高い0.1mm〜10mm程度、好ましくは0.5mm〜5mm程度、特に、後述の導電板21,22間の距離(間隔L)を考慮すれば1mm〜3mm程度が好適である。
図1及び図1Aには、スティック状の陽極11と陰極12とをその中心軸を垂直方向Zに沿って一直線上になる(即ち、該中心軸同士のなす角度がほぼ180°となる)ように配置した一例を示しているが、これら電極11,12の配置はこれに限定されない。例えば、陽極11及び陰極12の少なくとも一方(例えば陽極11)を垂直方向Zから外れた角度に配置することにより、陽極11の中心軸と陰極12の中心軸とのなす角度が鈍角となるように電極11,12を配置してもよい。陽極11の中心軸と陰極12の中心軸とのなす角度は90°以上、例えば120°〜180°程度の角度とすることができる。
好ましくは、陽極11と陰極12とをその中心軸をほぼ垂直方向Zに沿って一直線上になるように配置する。
本実施形態において、陽極11及び陰極12には、これらの電極11,12の間にアーク放電を発生し得る電圧を印加可能な図示しない直流電源(アーク電源)が接続されている。なお、アーク放電法を実施し得る限り、直流電源の代わりに交流電源を用いることもできる。この場合、一対の電極11,12のいずれもが交互に陽極又は陰極となる。
本実施形態に係る陽極11は、例えば直径6mm程度、全長75mm程度のサイズを有し、アーク放電によってカーボンを蒸発可能な材料(好ましくは耐熱性を有する導電材料)から構成されている。そのような材料として種々の炭素材料を用いることができるが、特にグラファイトを好ましく使用できる。単層カーボンナノチューブの製造を目的とする場合には、例えば、グラファイトに単層カーボンナノチューブ合成用触媒を含有させた炭素材料を使用することができる。かかる触媒としては、従来から使用される金属触媒を好ましく使用することができ、例えばFe、Ni若しくはNi混合物(好ましくはNi−Y合金)、又はCo等であり得る。
ここで、より好ましい単層カーボンナノチューブ合成用触媒として、Moを含む合金触媒が挙げられる。典型的には、Mo−M合金(ここで、MはFe、Ni、Ni−Y合金及びCoから選択される一種又は二種以上)であって、従来の合成用触媒として採用され得る金属、即ちFe、Ni、Ni−Y合金、又はCo等から選択される一種又は二種以上をMoと合金化させたものである。当該合金触媒は、Moが電極(陽極)からのカーボン粒子の蒸発効率を向上させ得るので、従来よりも高い効率で単層カーボンナノチューブを合成するための優れた触媒としてより好ましく採用し得る。このような組成の陽極11は、例えばグラファイト粉末に上記合金触媒粉末を配合して圧粉成形することにより得ることができる。
陽極11は、反応容器2の底面部2bに固定されて垂直方向Zに立設された支柱31に支持されている。該陽極11の軸方向(長手方向)の一方の端部は、陰極12との対向面11aとなっているが、その他方の端部11bは、上記支柱31の先端(上端)部に固定されている。このため、上記陽極11は軸方向を垂直方向Zに沿わせるように上記支柱31上に支持されている。
陰極12は、例えば直径約8mm、全長約100mm程度のサイズを有し、耐熱性を有する導電材料から構成される。そのような材料として、例えば種々の炭素材料(例えばグラファイト)、又は金属材料(例えば銅)を適宜選択して用いることができる。なお、電源として交流電源を用いる場合には、陽極11と同様に炭素(特にグラファイト)に単層カーボンナノチューブ合成用触媒を含有させたものが好ましい。
陰極12は、反応容器2の上面部2a(上面部2aのうち、例えば特にその中心部)を挿通し、垂直方向Zに沿って該容器2内に挿入されている支柱32に支持されている。該陰極12の軸方向(長手方向)の一方の端部は、陽極11との対向面12aとなっているが、その他方の端部12bは、上記支柱32の先端(下端)部に固定されている。このため、上記陰極12は軸方向を垂直方向Zに沿わせるように上記支柱32下に支持されている。
なお、本実施形態に係る陽極11側及び陰極12側それぞれの支柱31,32は、雄ねじ構造であり、容器の一部に形成された図示しない雌ねじ孔に装着されている。そして支柱31,32の反応容器外に配置される一端は、モータ等の図示しないアクチュエータに接続されており、このアクチュエータを駆動させることにより、支柱31,32が回転し、それに伴う支柱31,32の垂直方向Zへの移動に伴い該支柱31,32に支持された電極11,12もまた垂直方向Zの両方向に移動可能としている。従って、当該アクチュエータを利用することにより、カーボン粒子の蒸発による陽極11の消耗に伴って、陰極12及び/又は陽極11を垂直方向Zに徐々に移動させることにより、両電極11,12間の隙間14を一定の距離(間隔L)に保持することができる。なお、かかる垂直方向Zへの電極11,12の移動量(典型的には陰極12側の移動量)を設定するにあたっては、陽極11の消耗量(先端部の減り具合)又は両電極11,12間の隙間14の距離をセンサにより検知する、印加電圧から陽極11の消耗量を予測する、等の手法を適宜採用することにより、該消耗量に見合った(該消耗量を補填する)移動制御が実現される。
なお、本実施形態では、図1に示されるように、陰極12側及び陽極11側の両方について支柱(雄ねじ構造)が垂直方向Zに移動可能に設けられているが、例えば、陽極11が反応容器2に固定された支柱に装着され、陰極12側のみ移動可能とする構成(或いは逆に陽極11側のみ移動可能とする構成)でもよい。また、上記アクチュエータを使用する代わりに、電極11,12の垂直移動を手動で行ってもよい。
上記陽極11及び陰極12の各々において、該陽極11には導電板21が、該陰極12には導電板22がそれぞれ電気的に接続された状態で配置されている。
導電板21,22は耐熱性を有する導電材料から構成される。導電板21,22の構成材料として利用し得る材料としては、炭素材料、金属又は合金材料が挙げられるが、電極11,12の構成材料と同様の材料(例えばグラファイト)を好ましく採用することができる。電極11,12と同じ材料を採用することにより、アーク放電時に電極11(又は電極12)表面と導電体21(又は導電体22)表面とを均等に帯電させ得る。
上記導電板21,22の形状は特に限定されないが、電極11,12を挿通させる挿通孔(即ち、電極11,12の断面形状に対応したサイズの挿通孔)を中心に備えた略円板状であるものを好適に採用することができる。かかる形状の上記導電板21,22としては、その直径が80mm〜150mm(より好ましくは80mm〜120mm、更に好ましくは90mm〜100mm)のサイズに形成されているものを用いることができる。また、かかる導電板21,22の互いに対向する面21a,22aのうち、特に陰極12側の対向面22aには、アーク放電時に陽極11から蒸発し得るカーボン粒子(典型的には更に触媒金属粒子)からなる単層カーボンナノチューブ含有生成物が付着、堆積する。従って、該含有生成物を付着させ易く、且つ堆積後には剥離し易くすることを考慮すれば、上記対向面22aの表面粗さは3.2μm以下であることが好ましい。なお、これら導電板21,22の厚みについては特に限定されないが、扱い易さ等を考慮すれば、例えば3mm〜6mm程度の厚みのものを好ましく用いることができる。
導電板21を陽極11に電気的に接続した状態で配置する方法は、特に限定されない。例えば、中心に挿通孔を備えた導電板21であれば、導電板21の面方向と挿通させる陽極11の軸方向とが垂直になるように配置した状態で当該陽極11を上記挿通孔に挿通させことにより、該導電板21を陽極11に配置することができる。これと同様にして他方の導電板22も陰極12に好ましく配置することができる。
かかる方法で一対の導電板21及び22を、陽極11及び陰極12に各々一つずつ挿脱可能に取り付ける際、好ましくは、陽極11側の導電板21の面方向(即ち、陰極12側の導電板22と対向し得る面21aの面方向)と陰極12側の導電板22の面方向(即ち、陽極11側の導電板21と対向し得る面22aの面方向)とが互いに平行関係となり且つ互いに水平方向(図1に示す方向X)に沿うように配置する。
或いは、例えば電極11,12が複数の構成部材からなる組立型電極体である場合には、該構成部材同士の間に導電板21,22を挟み込み、この状態で上記構成部材を組み立てる(接合する)ことにより、電極11,12に組み込まれた状態で導電板21,22を取り付けることもできる。例えば、スティック状の金属製構成部材と、電極材料として好適な材料(例えば単層カーボンナノチューブ合成用触媒を含有するグラファイト)からなるタブレット状構成部材とを用意し、両部材の間にかかる導電板を挟んで該部材同士を接合すれば、該導電板を電気的に接続した状態で配置された組立型電極体を得ることができる。
導電板21,22は、電極11,12間の隙間14(間隔L)よりも長い距離(間隔L、即ちL<L)の隙間24をあけて対向する(好ましくは平行となるように対向する)ように配置される。
対向する導電板21,22における互いの対向面21a,22aのなす角度は、陰極12側の導電板22の対向面22aが陽極11の対向面11a(即ちカーボン粒子、典型的には更に触媒金属粒子が蒸発し得る面)と対向し得るような角度であって、特に上記対向面22aが電極11,12間の隙間14、又は導電板21,22間の隙間24を移動(拡散)する単層カーボンナノチューブ含有生成物を効率良く捕捉し得るような角度に設定されていればよい。好ましくは、上記導電板21,22の対向面21a,22a同士のなす角度を±30°以下(好ましくは±10°以下、より好ましくは±5°以下)に設定する。且つ、当該対向面21a,22aの各面方向と水平面とのなす角度が±30°以下(好ましくは±10°以下、より好ましくは±5°以下)となるように設定する。典型的には、上記各対向面21a,22a同士の面方向のなす角度がゼロ(厳密に平行)、又はほぼゼロであり、互いに水平面とのなす角度がゼロ(厳密に水平)、又はほぼゼロであるように導電板21,22を配置する。このとき、電極11,12についても、これらの対向面11a,12aが互いに厳密な平行で且つ厳密な水平であるような配置であることがより好ましい。
かかる状態に配置することにより、導電板21,22間の隙間24は一様に間隔Lで一定(即ち平行)であるので、該導電板21,22は平行平板コンデンサーのような役割を果たし得る。即ち、アーク放電時の導電板21,22間において、水平方向(典型的には図1における方向X)に対して平行に等電位面が存在するため、該等電位面に垂直(即ち垂直方向Z)の向きに、その電界力が働く。即ち、導電板21,22の間に働く電界力は、垂直方向Zに沿って陽極11側から陰極12側の向きに一様な大きさで生じる。従って、陰極12側の導電板22の対向面22aは該電界力方向に対して垂直をなすので、陽極11から蒸発したカーボンから生じる単層カーボンナノチューブはより効率良く陰極12側の導電板22の対向面22aに付着し、堆積し得る。
上記導電板21,22間の隙間24の間隔Lは、陽極11から蒸発し得るカーボン粒子(及び典型的には触媒金属粒子)からなる単層カーボンナノチューブ含有生成物を効率良く生成、捕捉し得るような距離であることが好ましい。典型的には、上記カーボン粒子から単層カーボンナノチューブ含有生成物を生成させ易い温度領域内に導電板21,22間に挟まれる空間(隙間24)が包含されるような距離(間隔L)を隔てて当該導電板21,22を対向配置すればよい。
また、上記含有生成物の生成に好適な温度領域としては900K〜2500Kが好ましい。このような温度領域は、従来公知の温度測定手段(例えば放射温度計)を利用してアーク放電時における反応容器2の内部空間4の温度分布を測定して把握することができる。
かかる温度分布を呈する領域内への導電板21,22の配置については、当該導電板21,22の各々が電極11,12の対向面11a,12aの各々から等しい距離で退行させた位置に取り付けられており、電極11,12間の隙間14の間隔Lが1mm〜3mmに設定されている場合には、上記導電板21,22間の隙間24の間隔Lを20mm〜100mm(好ましくは20mm〜80mm、より好ましくは30mm〜60mm)に設定することにより実現され得る。
ガス流通手段は、図示しないガス供給源(本実施形態ではガス供給用ボンベ)と、ガス供給管41と、ガス排出管42とを備える。図1に示される本実施形態に係る製造装置1では、ガス供給管41とガス排出管42とは共に反応容器2の底面部2bに付設されている。ガス供給管41とガス排出管42の付設位置は、雰囲気ガスの反応容器2内での流路を考慮すれば、例えば、該両位置が円形状の底面部2bの中心を通る直線(径方向)上にあり、この中心から等距離にあると好ましい。ガス供給管41は、図示しない一つ又は二つ以上の雰囲気ガス供給用ボンベに接続されており、当該ボンベから反応容器2の内部空間4に雰囲気ガスを供給する。また、ガス排出管42は図示しないポンプ(真空ポンプ)に接続されており、当該ポンプにより上記内部空間4のガスを吸引し、反応容器2外に排出する。このような反応容器2内への雰囲気ガス供給量とガス排出量との兼ね合いによって、反応容器2の内部空間4の雰囲気ガス圧力を調整することができる。なお、上記各管41,42の付設位置は図1に示される態様(即ち底面部2b)に限られず、例えば反応容器2の底面に近い側壁部であってもよい。
反応容器2の内部空間4に供給される雰囲気ガスとしては、アーク放電に基づいて単層カーボンナノチューブを製造し得る各種ガス(典型的には水素(H)ガスを含む混合ガス)を適宜採用することができ、特に制限されない。例えば、Hガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス、クリプトン(Kr)ガス、キセノン(Xe)ガス等の不活性ガスから選択される一種又は二種以上)との混合ガスを使用することができる。カーボンナノチューブ(特に単層カーボンナノチューブ)の製造効率向上及びコスト低減等の観点から、HガスとArガスとの混合ガスを雰囲気ガスとして好ましく用いることができる。雰囲気ガスとして採用し得る他の好適例として、Hガスと窒素(N)ガスとの混合ガスが挙げられる。
次に、このような構成の製造装置1を用いてカーボンナノチューブ(特に単層カーボンナノチューブ)を製造する方法の好ましい一態様を説明する。即ち、まずスティック状(具体的には断面形状が6mm角の正方形、又は直径約6mmの円形等のスティック状)の陽極11と、同じくスティック状(具体的には断面形状が8mm角の正方形、又は直径約8mmの円形等のスティック状)の陰極12を用意する。また、中心に所定サイズ(陽極11及び陰極12の断面形状に対応したサイズ)の挿通孔を有し、直径80mm〜150mmのサイズの円板状のグラファイト製導電板21,22を用意する。当該導電板21の挿通孔に陽極11を挿通し、陽極11に導電板21を取り付ける。このとき、1mm〜3mm程度の距離(間隔L)の隙間14をあけて電極11,12を対向配置したときに、導電板21,22間の隙間24の距離(間隔L)が20mm〜100mmになるように、導電板21(又は導電板22)を陽極11(又は陰極12)に対して、対向面11a(又は対向面12a)となる側の端部から所定距離だけ退行させた位置に予め取り付けておく。また、事前に導電板21,22を配置しない状態でアーク放電を実施して反応容器2の内部空間4の温度分布を測定しておき、その測定結果に基づく好適な温度分布を呈する空間領域内に、陰極12側の導電板22(特に対向面22a)が含まれるように、導電板21,22の電極11,12への取付け位置を決めることもできる。
次に、導電板21(又は導電板22)を、反応容器2の内部空間4に配されて垂直方向Zに沿って上面部2aから下方向に伸びる支柱31(又は底面部2bから上方向に伸びる支柱32)に対して、支柱31の下端部(又は支柱32の上端部)にセットする。このとき、電極11、12の対向面11a,12a間の隙間14の距離(間隔L)が1mm〜3mmとなるように陽極11及び/又は陰極12の配置を調節する。
反応容器2に設けられたガス排出管42に接続する油回転ポンプ等の真空ポンプを作動させて反応容器2の内部空間4の気体を排気し、これにより反応容器2内を減圧する。該容器2内の圧力が低下し、例えば13×10−3Pa〜1.3×10−3Pa程度の高い真空度になったらガス供給管41を介して雰囲気ガス供給用ボンベから雰囲気ガスを導入する。例えば、Hガス及びArガスを20:80〜80:20(典型的には40:60〜60:40)の体積比で混合した混合ガス(雰囲気ガス)を反応容器2内に導入する。そして、上記真空ポンプの作動による排気量と雰囲気ガス供給ボンベからのガス供給量とのバランスにより、例えば反応容器2の内部空間4の雰囲気ガス圧を、2.7×10Pa〜6.7×10Pa程度に調節する。
反応容器2の内部空間4の雰囲気ガス組成及び圧力が安定したら、陰極12と、触媒金属であるMo−Fe合金を0.5モル%〜5モル%含む陽極11との間に電圧(例えば20V〜200V)を印加し、図示しない直流電源から電流(例えば50A〜100A)を供給する。この結果、電極11,12間にアーク放電が発生する。この放電によるアーク熱で陽極11からカーボン粒子(典型的には更に触媒金属粒子)が蒸発する。上記電圧の大きさは、所望のカーボン蒸発速度に応じて適宜選択され、流れる電流を60A〜70A程度にすることが好ましい。また、印加された電圧からアーク放電状態を例えば図1には図示しない制御機構で演算し、アーク放電で蒸発したカーボン粒子による陽極11の消耗に応じて制御信号を例えばモータ等のアクチュエータに出力し、必要に応じて雄ねじ構造の支柱32を雌ねじ孔に対して回転させ、それに伴う陰極12の垂直方向への移動を調節して電極間の隙間を所定範囲内に保持し、好ましいアーク放電状態が維持されるようにする。
蒸発したカーボン粒子は、導電体21,22間の隙間24(電極11,12間の隙間14を含む)における所定温度分布の領域内で、アーク熱と触媒作用により単層カーボンナノチューブを含有する生成物を形成する。ここで、上記隙間24には、上記隙間14に印加された電圧と同程度の電位差の電界が生じているため、下側の陽極11から蒸発し、原子又は陽イオンとして存在し得るカーボン粒子(典型的には更に触媒金属粒子)、及びこれら粒子からなる上記カーボンナノチューブ含有生成物は、上側の陰極12及び/又は該陰極12側の導電板22に向けて上昇していく。また、このときのカーボンナノチューブ含有生成物の拡散(上昇)方向は、隙間24の領域(即ち、導電板21,22を端面とする円筒状の空間領域)内に制限され得る。この結果、生成される上記カーボンナノチューブ含有生成物の殆どが陰極12側の導電板22の対向面22aに付着し、その一面にわたって一様に堆積していく。従って、上記カーボンナノチューブ含有生成物を高効率で上記対向面22aに付着させると共に、当該対向面22aと同程度の面積で所定厚のカーボンナノチューブからなる膜状堆積物(即ちカーボンナノチューブ膜)として高収率で回収することができる。
上記カーボンナノチューブ膜の膜厚は、電極材料や電極に含まれる触媒によっても左右され得るが、アーク放電の実施時間によっても調整することができる。例えば数秒〜数分(例えば60秒〜120秒)の実施により、数μm〜1mm程度の膜厚のカーボンナノチューブ膜を得ることができる。
アーク放電終了後、上記陰極12側の導電板22に捕捉された(堆積した)上記カーボンナノチューブ膜は、反応容器2の図示しない取出し口を開放し、そこから当該導電板22を(若しくは陰極12と共に)取り出し、その対向面22aに捕捉された上記カーボンナノチューブ膜を、例えばピンセット等で該膜の端部を掴んで引き剥がすことによって導電板22から分離することができる。このカーボンナノチューブ膜は上記対向面22aに物理的に付着(典型的な付着の一形態としてはファンデルワールス力による付着)しているのみであるため、ピンセット等の簡易な器具により容易に導電板22から分離することができる。このようにして分離されたカーボンナノチューブ膜を自立膜として得ることができる。
なお、回収されたカーボンナノチューブ膜を従来公知の精製処理や加工処理に供することもできる。例えば、当該膜をほぐして、精製処理を実施後、得られた精製物を糸状に紡いでフィラメントに加工してもよい。かかる処理を施すことにより大量のカーボンナノチューブが得られる。従って、ここに開示される製造方法及び製造装置は、アーク放電法により単層カーボンナノチューブを多量に製造し得る方法及び装置となり得る。
以下、本発明を実施例(実験例)に基づいて説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実験例1>単層カーボンナノチューブ膜の製造
上記製造方法に基づき、上記構成の製造装置1を用いて単層カーボンナノチューブ膜を製造した。以下に、採用した条件を示す。
陰極12にはグラファイトを用いた。また、陽極11の材料としては、MoとFeの原子比が1:1の組成からなるMo−Fe合金を1モル%含むグラファイトを用いた。
電極11,12の配置は、各極の中心軸方向が垂直方向Zに沿って一直線上にあるような配置(垂直配置)とし、導電板21,22の対向面21a,22aはほぼ厳密な平行で水平面内にあるような配置とした。電極11,12間の間隔Lを約2mm、導電板21,22間の間隔Lを約30mmに設定した。
上記電極反応容器2内の雰囲気ガスとしては、HガスとArガスとを40:60の体積比で混合した混合ガスを使用した。反応容器2内のガス圧を2.7×10Paに調整した。
電極11,12に30Vの電圧を印加して60〜70Aの直流電流を流し、90秒間のアーク放電を実施した。
アーク放電実施後、反応容器2の図示しない取出し口を開放し、そこから陰極12側の導電板22を陰極12と共に取り出した。当該導電板22の対向面22aに付着した単層カーボンナノチューブ膜をピンセットで端部を掴んで剥がした。
以上の実験条件にて単層カーボンナノチューブを含む膜状堆積物(単層カーボンナノチューブ膜)を得た。得られた単層カーボンナノチューブ膜の全体像を撮影した光学写真を図2に示す。図2に示されるように、本実験例の実施により、導電板22の対向面22aにはほぼ一様に単層カーボンナノチューブ含有生成物が堆積していき、周縁部付近の膜厚が中央部に比べるとわずかに薄くなる傾向が認められたものの、当該対向面22aに対応する面積を有する所定厚の単層カーボンナノチューブ膜を得ることができた。
<実験例2>得られた単層カーボンナノチューブ膜の性状観察
上記実験例1で得られた単層カーボンナノチューブ膜の観察を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope、株式会社トプコン製、型式ABT−150F)によって行った。それらの写真を図3〜6に示す。図3は、実験例1で得られた単層カーボンナノチューブ膜におけるやや周縁部に近い部分のSEM写真(倍率20,000倍)であり、図4は、当該部分を拡大したSEM写真(倍率50,000倍)である。図5は、実験例1で得られた単層カーボンナノチューブ膜における中央部付近のSEM写真(倍率20,000倍)であり、図6は、当該部分を拡大したSEM写真(倍率50,000倍)である。
図3,4に示されるように、上記膜の周縁部に近い部分では、中心部から周縁部への方向に沿うような配向性を有する単層カーボンナノチューブが多く観察された。この配向性は、導電板21,22間で例えばアーク熱により生じる雰囲気ガスの上昇気流が、陰極12側の導電板22に衝突後に、対向面22aの周縁に向けて流れていくことによるものと考えられる。
また、図5,6に示されるように、上記膜の中心部付近では、多量の単層カーボンナノチューブが上記対向面22aに多層構造をなしてクモの巣状に堆積(積層)していることがわかった。
また、上記実験例1で得られた単層カーボンナノチューブ膜のラマンスペクトルを観察した。ラマンスペクトルの観察には、Jobin Yvon株式会社製のラマン分光測定装置(型番「RAMANOR T64000」)を使用した。その結果(チャート)を図7に示す。図7に示されるように、上記膜のラマンスペクトルには、1593cm−1付近にシャープなピーク(Gバンド)が観察された。また、1340cm−1付近のピーク(Dバンド)はわずかに観測されるのみであった。G/D比は38であった。従って、得られた膜中の単層カーボンナノチューブは非常に高い結晶性を呈し、欠陥の少ないものであることがわかった。なお、180cm−1〜300cm−1の低波数領域のスペクトルに現れたRBMモードから、上記単層カーボンナノチューブの直径は、0.8nm〜1.5nm程度であることがわかった。
また、上記実験例1で得られた単層カーボンナノチューブ膜の熱重量測定(TGA:Thermo Gravimetric Analysis)を行った。このTGA測定には、島津製作所社製のTGA測定装置(型番「DTG−60M」)を使用した。この測定結果(チャート)を図8に示す。図8に示されるように、このTGAスペクトルには複数のピークが観察されることから、得られた膜には単層カーボンナノチューブ以外にアモルファスカーボンのようなカーボンナノチューブを構成しない炭素成分や、触媒金属粒子が残存していることが確認された。
なお、図示していないが、本実施例(上記実験例1)で得られた単層カーボンナノチューブ膜の他の部位について上記と同様の熱重量測定を行ったところ、図8に示される結果よりも高純度に単層カーボンナノチューブが堆積していることが確認された。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加えうるものである。
本発明の好ましい一形態に係る単層カーボンナノチューブ製造装置の構成を示す模式図である。 図1内の点線Iで囲んだ部分を拡大して示す模式図である。 実験例1により得られた単層カーボンナノチューブ膜全体の光学写真である。 実験例1で得られた単層カーボンナノチューブ膜におけるやや周縁部に近い部分のSEM写真(倍率20,000倍)である。 図3にかかる部分を拡大したSEM写真(倍率50,000倍)である。 実験例1で得られた単層カーボンナノチューブ膜における中央部付近のSEM写真(倍率20,000倍)である。 図5にかかる部分を拡大したSEM写真(倍率50,000倍)である。 実験例1により得られた単層カーボンナノチューブ膜のラマンスペクトル分析チャートである。 実験例1により得られた単層カーボンナノチューブ膜のTGAチャートである。
符号の説明
電極間の距離(間隔)
導電板間の距離(間隔)
Z 垂直方向
1 単層カーボンナノチューブ製造装置
2 反応容器
4 反応容器の内部空間
11 陽極
11a 陰極との対向面
12 陰極
12a 陽極との対向面
14 電極間の隙間(空間)
21 陽極側の導電板
21a 陰極側の導電板との対向面
22 陰極側の導電板
22a 陽極側の導電板との対向面
24 導電板間の隙間(空間)
41 ガス供給管
42 ガス排出管

Claims (10)

  1. 反応容器と、
    該反応容器内に対向し且つ隙間をあけて配置された一対の電極であって、該電極間においてアーク放電を発生させ且つ該電極の少なくとも一方からカーボンを蒸発させ得る一対の電極と、
    該一対の電極を構成する陰極と陽極の各々に一つずつ電気的に接続された状態で配置される一対の導電板であって、前記一対の電極間の隙間よりも距離が長い隙間をあけて対向配置される一対の導電板と、
    を備え、
    ここで、前記一対の導電板のうち前記陰極側に配置された導電板は、前記陽極と対向する面側において前記蒸発したカーボンからなる単層カーボンナノチューブを膜状に堆積させて捕捉し得るように形成されている、単層カーボンナノチューブ製造装置。
  2. 前記一対の電極は、前記反応容器内で上下方向に配置されており、このうち下側が陽極となり、上側が陰極となるように配置される、請求項1に記載の単層カーボンナノチューブ製造装置。
  3. 前記一対の導電板は、対向する面同士が平行となるように配置される、請求項1又は2に記載の単層カーボンナノチューブ製造装置。
  4. 前記一対の導電板は、それぞれ、中心に挿通孔が形成された略円板状に形成されており、該挿通孔に前記一対の電極の何れかを挿通させた状態で前記一対の電極にそれぞれ挿脱可能に取り付けられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の単層カーボンナノチューブ製造装置。
  5. 前記導電板は、直径が80mm〜150mmのサイズに形成されている、請求項4に記載の単層カーボンナノチューブ製造装置。
  6. 前記一対の導電板のうち陰極側に配置される導電板は、アーク放電時の前記反応容器内の温度分布が900K〜2500Kを呈する領域に含まれる陰極部分に配置される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の単層カーボンナノチューブ製造装置。
  7. 前記一対の導電板の間隔が20mm〜100mmに設定される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の単層カーボンナノチューブ製造装置。
  8. 前記一対の電極のうちの陽極は、アーク放電によってカーボンを蒸発可能な材料から構成され、金属触媒としてMoを含む合金を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の単層カーボンナノチューブ製造装置。
  9. 対向する一対の電極間にアーク放電を発生させて該電極の少なくとも一方からカーボンを蒸発させて行う単層カーボンナノチューブの製造方法であって、
    前記対向する一対の電極を構成する陰極と陽極の各々に一つずつ電気的に接続された状態で、且つ、該一対の電極間の隙間よりも距離が長い隙間をあけて対向した状態で、一対の導電板を配置し、
    前記アーク放電により蒸発したカーボンからなる単層カーボンナノチューブを、前記一対の導電板のうち陰極側に配置された導電板の前記陽極と対向する面側において膜状に堆積させて捕捉することを特徴とする、単層カーボンナノチューブ製造方法。
  10. 前記一対の電極を上下方向に対向するように、下側に陽極を配置し且つ上側に陰極を配置し、
    前記陰極側に配置された導電板の陽極と対向する下向きの面によって、前記蒸発したカーボンからなる単層カーボンナノチューブであって前記反応容器内を陽極から陰極側に上昇する単層カーボンナノチューブを膜状に堆積させて捕捉することを特徴とする、請求項9に記載の単層カーボンナノチューブ製造方法。
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