JP2009203129A - 水素供給装置及び燃料電池システム - Google Patents

水素供給装置及び燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP2009203129A
JP2009203129A JP2008048356A JP2008048356A JP2009203129A JP 2009203129 A JP2009203129 A JP 2009203129A JP 2008048356 A JP2008048356 A JP 2008048356A JP 2008048356 A JP2008048356 A JP 2008048356A JP 2009203129 A JP2009203129 A JP 2009203129A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen
ammonia
hydrogen supply
reaction vessel
separation means
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008048356A
Other languages
English (en)
Inventor
Kyoichi Tange
恭一 丹下
Yoshitsugu Kojima
由継 小島
Takayuki Ichikawa
貴之 市川
Chie Omatsu
千絵 大松
Satoshi Hino
聡 日野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiroshima University NUC
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Hiroshima University NUC
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiroshima University NUC, Toyota Motor Corp filed Critical Hiroshima University NUC
Priority to JP2008048356A priority Critical patent/JP2009203129A/ja
Publication of JP2009203129A publication Critical patent/JP2009203129A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)

Abstract

【課題】水素ガスの発生効率を向上させることが可能な水素供給装置、及び、当該水素供給装置を備えた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】金属水素化物及びアンモニアを収容可能な反応容器と、少なくともアンモニアと反応し得る金属水素化物が反応容器に収容されている間に、金属水素化物とアンモニアとが反応することにより生成された水素を反応容器の外へと放出する放出手段と、が備えられる水素供給装置とし、当該水素供給装置と、水素供給装置から供給された水素を用いて作動させることが可能な燃料電池と、水素供給装置と燃料電池とを繋ぐ水素流路と、が備えられる燃料電池システムとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、化学反応により発生させた水素ガスを供給可能な水素供給装置、及び、当該水素供給装置を備えた燃料電池システムに関する。
地球温暖化対策技術として有望な燃料電池に関する研究が、近年盛んに行われている。燃料電池は、電解質層と一対の電極とを備える構造体で電気化学反応を起こし、この電気化学反応により発生した電気エネルギーを外部に取り出す装置である。燃料電池の中でも、家庭用コージェネレーション・システムや自動車等の分野で利用される固体高分子型燃料電池(以下「PEFC」ということがある。)では、水素含有ガスと酸素含有ガスとが用いられる。それゆえ、PEFCの実用化を図る上で、水素製造技術及び水素貯蔵技術の確立は不可欠である。
これまでに提案されている水素貯蔵技術としては、水素ガスを圧縮して高圧水素タンクに貯蔵する形態、液体水素を液体水素タンクに貯蔵する形態、及び、水素を吸蔵した水素吸蔵材料(以下、「水素発生材料」ということがある。)をタンクに貯蔵する形態等が知られている。しかし、高圧水素タンクを用いる形態では、タンクの体積が大きく小型化を図りにくいほか、高圧化すると、加圧エネルギーを浪費しやすい等の問題がある。また、液体水素タンクを用いる形態では、水素を極低温(−253℃以下)に冷却し続ける必要があるため、貯蔵時にエネルギーを消費しやすいほか、タンク外部から流入する熱で液体水素が気化する「ボイルオフ」を回避し難い等の問題がある。それゆえ、貯蔵時のエネルギーが少なく、ボイルオフ等の懸念がない水素吸蔵材料を用いる形態が注目されている。
一方、これまでに提案されている水素製造技術としては、複数の物質を化学反応させることにより水素ガスを製造する形態等が知られており、化学反応により発生させた水素ガスを貯蔵する技術についても、研究開発が進められている。これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、金属水素化物とアンモニアとを反応させることにより水素を発生させることを特徴とする水素発生方法が開示されている。また、特許文献2には、燃料電池等の燃料として用いられる水素を発生させる水素貯蔵材料の製造原料として用いられる金属アミド化合物を、金属水素化物とアンモニアとを反応させることにより製造する技術が開示されている。
特開2005−154232号公報 特開2006−8440号公報
特許文献1に開示されているように、金属水素化物とアンモニアとを反応させれば、水素ガスを発生させることができる。しかし、発生した水素ガスは、閉空間でのアンモニア雰囲気下では化学平衡的に反応量が決まる。それゆえ、特許文献1に開示されている技術を水素供給装置や燃料電池システムに適用しても、水素ガスの発生量を維持し難く、発生させた水素ガスを燃料電池へ継続的に供給することが困難である、という問題があった。かかる問題は、特許文献1に開示されている技術と特許文献2に開示されている技術とを組み合わせたとしても、解決が困難であった。
そこで本発明は、水素の発生効率を向上させることが可能な水素供給装置、及び、当該水素供給装置を備えた燃料電池システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
第1の本発明は、金属水素化物及びアンモニアを収容可能な反応容器と、少なくともアンモニアと反応し得る金属水素化物が反応容器に収容されている間に、金属水素化物とアンモニアとが反応することにより生成された水素を反応容器の外へと放出する放出手段と、が備えられることを特徴とする、水素供給装置である。
ここに、本発明における「金属水素化物」は、アンモニアと反応することにより水素を発生させることが可能な金属水素化物を意味し、本発明で使用可能な金属水素化物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、及び、水素化マグネシウム等を例示することができる。さらに、本発明において、「金属水素化物及びアンモニアを収容可能な反応容器」とは、少なくとも、反応している金属水素化物及びアンモニアが反応容器に収容されることを意味し、換言すれば、金属水素化物とアンモニアとが反応容器で反応することを意味する。それゆえ、第1の本発明における反応容器で生じる反応の形態としては、反応容器に予め収容されている金属水素化物及びアンモニアが反応する形態のほか、金属水素化物及び/又はアンモニアが外部から反応容器へと供給されることによって、これらが反応容器で反応する形態を例示することができる。さらに、本発明において、「少なくともアンモニアと反応し得る金属水素化物が反応容器に収容されている間に」とは、放出手段を介して反応容器の外へ水素が放出される時期に、少なくとも、アンモニアと反応し得る金属水素化物(以下において「未反応の金属水素化物」ということがある。)が反応容器に収容されている間が含まれることを意味する。本発明において、反応容器の外へ水素が放出される時期の他の具体例としては、反応容器に収容されていた金属水素化物の全てがアンモニアと反応した後や、反応容器に収容されているアンモニアと金属水素化物との反応が平衡状態に達した後等を挙げることができる。さらに、本発明における「放出手段」は、水素を反応容器の外へ放出し得るものであれば、その形態は特に限定されるものではない。すなわち、反応容器に備えられる開口部を水素放出口として機能させることにより、当該水素放出口を、本発明における放出手段の一部として機能させることができる。本発明における放出手段は、少なくとも、反応容器の開口部(水素放出口)、及び、当該開口部に延設された水素流通流路を具備する形態、とすることができる。
上記第1の本発明において、放出手段に、反応容器から放出された流体に含有される水素とアンモニアとを分離可能な分離手段、及び、反応容器と分離手段とを繋ぐ流体流路が備えられることが好ましい。
ここに、本発明における「分離手段」は、水素及びアンモニアを含有する流体から水素を分離する機能を有していれば、その形態は特に限定されるものではなく、多孔体を用いてアンモニアを吸着することにより水素とアンモニアとを分離する形態等、公知の形態とすることができる。
また、分離手段及び流体流路が備えられる上記第1の本発明において、流体流路に、反応容器から放出されたアンモニアの流通を阻害する阻害手段が備えられることが好ましい。
ここに、本発明における「阻害手段」は、アンモニアの流通を阻害することにより、分離手段へと到達するアンモニアの量を低減する機能を有していれば、その形態は特に限定されるものではない。本発明における阻害手段としては、流体流路に備えられたオリフィス等を例示することができる。
また、分離手段及び流体流路が備えられる上記第1の本発明において、分離手段が複数備えられ、複数の分離手段が流体流路に並列に接続されていることが好ましい。
また、分離手段及び流体流路が備えられる上記第1の本発明において、さらに、分離手段によって分離されたアンモニアを、反応容器へと還流させる還流手段が備えられることが好ましい。
第2の本発明は、上記第1の本発明にかかる水素供給装置と、該水素供給装置から供給された水素を用いて作動させることが可能な燃料電池と、水素供給装置と燃料電池とを繋ぐ水素流路と、が備えられることを特徴とする、燃料電池システムである。
第1の本発明によれば、反応容器に未反応の金属水素化物が残っている間に、反応容器で生成された水素が反応容器の外へと放出される。金属水素化物の周囲に存在していた水素が反応容器の外へ放出されることにより、反応容器に存在するアンモニアが未反応の金属水素化物の表面へと拡散しやすくなり、その結果、アンモニアと未反応の金属水素化物との反応を継続的に生じさせることが可能になる。アンモニアと未反応の金属水素化物との反応を継続的に生じさせることにより、水素の発生効率を向上させることができるので、第1の本発明によれば、水素の発生効率を向上させることが可能な、水素供給装置を提供することができる。
第1の本発明において、分離手段及び流体流路が備えられる形態とすることにより、不純物の少ない高純度の水素を外部機器へ供給することが可能な、水素供給装置を提供することができる。
第1の本発明において、流体流路に阻害手段が備えられる形態とすることにより、外部機器へと供給される水素ガスの高純度化を図ることが容易になる。
第1の本発明において、複数の分離手段が流体流路に並列に接続されている形態とすることにより、分離手段に捕捉されたアンモニアの除去処理を行っている間であっても、他の分離手段を用いて流体から水素を分離することができる。したがって、かかる形態とすることにより、分離手段の水素分離機能を長期間に亘って維持することが可能な、水素供給装置を提供することができる。
第1の本発明において、還流手段が備えられる形態とすることにより、上記効果に加えて、金属水素化物と反応し得るアンモニアを無駄なく利用することが可能な、水素供給装置を提供することができる。
第2の本発明によれば、第1の本発明にかかる水素供給装置が備えられるので、水素供給装置から供給された水素を用いて作動される燃料電池の時間を増大させることが可能な、燃料電池システムを提供することができる。
燃料電池を搭載した車両(以下において「燃料電池車」という。)では、水素貯蔵手段が、燃料電池とともに搭載される。燃料電池車のエネルギー効率を向上させるには、燃料電池車の小型化・軽量化を図ることが有効であり、そのための方策として、水素貯蔵手段の小型化・軽量化に関する研究が進められている。一方、金属水素化物とアンモニアとを反応させることにより水素を発生させる技術が、これまでに提案されており、当該技術を燃料電池車の水素貯蔵手段へと適用するには、搭載される金属水素化物及びアンモニアの総質量を低減しつつ、多量の水素を燃料電池へ供給可能な形態とすることが重要である。
本発明者らは、鋭意研究の結果、単に金属水素化物及びアンモニアを同一空間に配置しても、アンモニアとの反応に供される金属水素化物の割合(以下において「利用率」という。)を向上させ難いことを知見した。金属水素化物及びアンモニアの総質量を低減しつつ多量の水素を発生させるには、金属水素化物の利用率を向上させることが重要である。そこで、金属水素化物の利用率向上を阻害している要因について検討したところ、反応で生成された水素によって、金属水素化物の表面へと向かうアンモニアの拡散が阻害される可能性があることを知見した。したがって、反応により生成された水素を拡散させることができれば、金属水素化物の利用率を向上させることが可能になると考えられる。
本発明はかかる観点からなされたものであり、その主な要旨は、反応で生成された水素を拡散させ、金属水素化物の利用率を向上させることによって、水素の発生効率を向上させることが可能な水素供給装置、及び、当該水素供給装置を備えた燃料電池システムを提供することにある。
以下、図面を参照しつつ、本発明の水素供給装置及び燃料電池システムについて具体的に説明する。
1.水素供給装置
1.1.第1実施形態
図1は、第1実施形態にかかる本発明の水素供給装置の形態例を示す概念図である。図1に示すように、第1実施形態にかかる本発明の水素供給装置30は、アンモニアガスを充填したボンベ1と、水素化リチウムを収容した反応容器2と、ボンベ1と反応容器2とを繋ぐ流路3と、反応容器2から外部へと放出される流体が流通する流体流路4と、流体流路4に並列に接続された分離手段5、5(以下において、「分離手段5a、5b」等ということがある。)と、分離手段5a、5bによって分離された水素を含有する流体が流通する水素流路6と、分離手段5a、5bから取り出されたアンモニアを反応容器2へと還流させる還流手段7と、を備えている。流体流路4には阻害手段としてのオリフィス8が、還流手段7にはアンモニアが流通する流路7a、及び、アンモニアを循環させるポンプ7bが、それぞれ備えられ、アンモニアを吸着する吸着体が収容された分離手段5a、5bには、加熱手段9、10が接続されている。さらに、反応容器2にはアンモニア濃度等を検知するセンサー11が、分離手段5a、5bには、アンモニアの流入量等を検知するセンサー12、13が、それぞれ接続されている。当該構成に加えて、流路3には弁14が、流体流路4には弁15が、流体流路4と水素流路6及び流路7aとの接続箇所には弁16が、それぞれ備えられる。そして、弁15(以下において「三方弁15」という。)が切り替えられることにより、反応容器2から放出された流体が分離手段5a又は分離手段5bへと流入し、弁16(以下において「四方弁16」という。)が切り替えられることにより、分離手段5a又は分離手段5bによって分離された水素が水素流路6へと流入し、分離手段5b又は分離手段5aから取り出されたアンモニアが流路7aへと流入する。水素供給装置30では、反応容器2に備えられる水素放出口として機能する開口部、当該開口部に接続された流体流路4、及び、流体流路4に接続された分離手段5a、5bが、放出手段として機能する。
水素供給装置30において、弁14、三方弁15、及び、四方弁16の動作は、制御装置20によって制御される。制御装置20には、弁14、三方弁15、及び、四方弁16等の動作制御を実行するCPU21と、このCPU21に対する記憶装置とが設けられている。CPU21は、マイクロプロセッサユニット及びその動作に必要な各種周辺回路を組み合わせて構成され、CPU21に対する記憶装置は、例えば、弁14、三方弁15、及び、四方弁16等の動作制御に必要なプログラムや各種データを記憶するROM22と、CPU21の作業領域として機能するRAM23等を組み合わせて構成される。当該構成に加えて、さらに、CPU21が、ROM22に記憶されたソフトウエアと組み合わされることにより、水素供給装置30における制御装置20が機能する。
センサー11、12、13から出力された信号は、入力ポート24を介して、入力信号としてCPU21へと到達する。CPU21は、入力信号、及び、ROM22に記憶されたプログラムに基づいて、弁14、三方弁15、及び、四方弁16等に対する動作指令を制御し、出力ポート25を介して信号を出力する。弁14、三方弁15、及び、四方弁16等は、CPU21から与えられた動作指令に基づいて作動し、これによって、流路3におけるアンモニア流通の有無、流体流路4における流体の流通方向、並びに、分離手段5a、5bから水素流路6へと向かう水素の流通方向、及び、分離手段5a、5bから流路7aへと向かうアンモニアの流通方向等が特定される。
水素供給装置30では、弁14が「開」の状態になると、流路3を通ってボンベ1から反応容器2へアンモニアが供給される。そして、反応容器2へと供給されたアンモニアと、当該反応容器2に収容されている水素化リチウムとが反応することにより、水素が生成される。図1に示すように、反応容器2には、流路3、流体流路4、及び、流路7aが接続され、少なくとも、アンモニアと水素化リチウムとが反応している間は、反応容器2に存在する流体が、流体流路4を介して反応容器2の外側へ流出可能な状態とされている。かかる状態とすることにより、アンモニアと水素化リチウムとの反応により生成された水素を、水素化リチウムの表面から拡散させることができ、流路3を介して供給されたアンモニアを水素化リチウムの表面へ拡散させることができる。すなわち、水素供給装置30によれば、アンモニアと水素化リチウムとの反応場である反応容器2を開空間とし、反応物(アンモニア)及び生成物(水素)が拡散しやすい状態とすることにより、アンモニアと水素化リチウムとの反応を促進させることができる。アンモニアと水素化リチウムとの反応が促進されることにより、水素の生成が促進されるので、本発明によれば、水素の発生効率を向上させることが可能な、水素供給装置30を提供することができる。
水素供給装置30では、アンモニアと水素化リチウムとが反応することにより水素が生成されるため、反応容器2へと供給されたアンモニアの全てが瞬時に水素化リチウムと反応しない限り、水素生成後の反応容器2には、水素とともにアンモニアが含有される。それゆえ、流体流路4から放出される流体には、水素及びアンモニアが含有される。すなわち、水素供給装置30は、流路3を介して供給されたアンモニアが流体流路4を介して放出され得る形態とされている。水素化リチウムと反応させるために供給したアンモニアが、水素化リチウムと反応せずに放出されると、アンモニアの利用効率が低下する。そこで、水素供給装置30では、流体流路4にオリフィス8を配置することにより、三方弁15へと達するアンモニアの量を低減している。かかる形態とすることにより、未反応のまま反応容器2から放出されるアンモニアの量が低減されるので、水素化リチウムとの反応に利用されるアンモニアの割合(アンモニアの利用率)を増大させることができる。
このように、オリフィス8を設けることで、反応容器2から放出されるアンモニアの量が低減されるものの、反応容器2から放出されるアンモニアの量をゼロにするのは困難であり、一部のアンモニアは、水素とともにオリフィス8を通過する。そこで、水素供給装置30では、流体流路4に分離手段5a、5bを配置し、分離手段5a、5bに収容した吸着体に、アンモニアを吸着させる。かかる形態とすることにより、水素流路6を流通する流体に含有されるアンモニアを低減することができるので、外部機器へ高純度の水素を供給することが可能な、水素供給装置30とすることができる。
水素供給装置30において、オリフィス8を通過したアンモニアは、吸着体に吸着される。ところが、吸着体が吸着し得るアンモニアの量には限度があるため、時間が経過するにつれて吸着体のアンモニア吸着能が低下する虞がある。そこで、水素供給装置30では、流体流路4に分離手段5a、5bを並列に接続し、流体流路4に三方弁15を配置している。かかる形態とすることにより、流体流路4を流通する流体を、分離手段5a、5bへ交互に流入させることができるので、常に、アンモニア吸着能に余裕がある吸着体が収容された分離手段へ流体を流入させることにより、長期間に亘ってアンモニアを吸着させることが可能になる。流体流路4を流通する流体が、最初に分離手段5aへと流入する場合、流体流路4を流通する流体の流通方向の特定は、例えば、以下のようにして行われる。
図1に示すように、分離手段5aには、センサー12が接続されている。そのため、センサー12によって、分離手段5aに流入したアンモニアの量を検知することができ、センサー12で検知されたアンモニア量に関する信号は、CPU21へと送られる。CPU21によって、分離手段5aに流入したアンモニア量が基準値(吸着体が所定以上のアンモニア吸着能を発揮し得なくなるアンモニア流入量。以下同じ。)に達したと判断されると、CPU21から三方弁15、四方弁16、加熱手段9、及び、ポンプ7bへ動作指令が送られる。動作指令を送られた三方弁15は、反応容器2から放出された流体を分離手段5bへ流入させるように作動し、動作指令を送られた四方弁16は、図1のAとDとを接続し、図1のBとCとを接続するように作動する。そして、動作指令を送られた加熱手段9は、作動することにより、分離手段5aに収容された吸着体を加熱する。
反応容器2から放出された流体が分離手段5bへと流入している間、分離手段5aは、加熱手段9によって加熱され、加熱された吸着体から、アンモニアが脱離する。この際、水素供給装置30では、分離手段5aの圧力を低下させる措置は採られない。そして、吸着体から脱離したアンモニアは、流路7aへと流入し、ポンプ7bを用いて反応容器2へと送られる。分離手段5aにおける、吸着体からアンモニアを脱離させる処理(以下において「脱離処理」という。)は、反応容器2から放出された流体が分離手段5bへと流入している間に行われる。分離手段5bへと流入したアンモニア量は、センサー13によって検知され、センサー13で検知されたアンモニア量に関する信号は、CPU21へと送られる。そして、CPU21によって、分離手段5bに流入したアンモニア量が基準値に達したと判断されると、CPU21から三方弁15、四方弁16、加熱手段9、及び、加熱手段10へ動作指令が送られる。動作指令を送られた加熱手段9は、その動作を停止し、動作指令を送られた四方弁16は、図1のAとCとを接続し、図1のBとDとを接続するように作動する。さらに、動作指令を送られた三方弁15は、反応容器2から放出された流体を分離手段5aへ流入させるように作動し、動作指令を送られた加熱手段10は、分離手段5bに収容された吸着体を加熱する機能を発揮させ、分離手段5bに収容された吸着体の脱離処理が行われる。
このように、分離手段5a、5bを備える水素供給装置30では、流体流路4を流通する流体の流通方向を切り替え、脱離処理を行うことにより、分離手段5a、5bのアンモニア吸着能を維持している。さらに、脱離処理によって脱離されたアンモニアは、反応容器2へと送られるので、分離手段5a、5bで水素から分離したアンモニアと、反応容器2に収容された水素化リチウムとを反応させて水素を発生させることができる。すなわち、水素供給装置30によれば、水素化リチウムとの反応に供されるアンモニアの割合(アンモニアの利用率)を増大させることができる。
第1実施形態にかかる本発明の水素供給装置30に関する上記説明では、還流手段7にポンプ7bが備えられる形態を例示した。しかし、分離手段5a、5bから反応容器2へアンモニアを還流させる際にポンプ7bを用いる本形態では、アンモニアを還流させている間にポンプ7bを作動させるエネルギーを消費するほか、加熱手段9、10によって加熱された環境及びアンモニア雰囲気に耐え得るポンプ7bを選定する必要があるため、エネルギー利用効率や信頼性等の面で不利になる虞がある。このほか、水素供給装置30では、分離手段5a、5bに脱離処理を施す際に、分離手段5a、5b内の圧力を低下させる措置(以下において「減圧措置」という。)が採られない。それゆえ、分離手段5a、5bに収容された吸着体から十分な量のアンモニアを脱離させるために高温(例えば、150℃程度)に加熱する必要があり、加熱に必要なエネルギーを浪費しやすい虞があった。そこで、エネルギー利用効率や信頼性等の面で有利な形態の水素供給装置を提供する等の観点からは、還流手段にポンプが備えられない形態、及び、減圧措置後に脱離処理がなされる形態とすることが好ましい。当該形態について、以下に説明する。
1.2.第2実施形態
図2は、第2実施形態にかかる本発明の水素供給装置の形態例を示す概念図である。図2において、図1と同様の構成を採るものには、図1で使用した符号と同符号を付し、その説明を適宜省略する。図2に示すように、第2実施形態にかかる本発明の水素供給装置40には、還流手段7にポンプが備えられず、代わりに、流路17を介してタンク18が水素流路6に接続されている。そして、タンク18と水素流路6とを繋ぐ流路17には、CPU21によって動作を制御される圧力調整手段19(以下において「ポンプ19」という。)が備えられている。水素供給装置40では、水素供給装置30と同様に、反応容器2に備えられる水素放出口として機能する開口部、当該開口部に接続された流体流路4、及び、流体流路4に接続された分離手段5a、5bが、放出手段として機能する。
水素供給装置30と同様に、水素供給装置40においても、三方弁15によって流通方向を特定された流体が、分離手段5a又は分離手段5bへと流入し、これらに収容されている吸着体によってアンモニアが捕捉され、アンモニアが除去された流体(水素)が水素流路6を流通する。そして、流体が流入しない側の分離手段(分離手段5a又は分離手段5b)には、脱離処理が施され、吸着体から脱離したアンモニアは、流路7aを通って反応容器2へ導かれる。ここで、水素供給装置30とは異なり、水素供給装置40にはポンプ7bが備えられていないが、加熱手段9又は加熱手段10で加熱することにより吸着体から多量のアンモニアを脱離させると、分離手段5a又は分離手段5bの圧力を高くすることができる。それゆえ、脱離処理が施されている分離手段5a又は分離手段5bの圧力を反応容器2の圧力よりも高くすることにより、分離手段5a又は分離手段5bから反応容器2へアンモニアを拡散させることができる。以下、水素供給装置40における脱離処理の形態例について説明する。なお、以下の説明では、反応容器2から放出された流体が、最初に分離手段5aへと流入し、その後、流体の流通方向が切り替えられることにより、分離手段5bへ流入する形態を仮定する。
図2に示すように、分離手段5aには、センサー12が接続されている。そのため、センサー12によって、分離手段5aに流入したアンモニアの量を検知することができ、センサー12で検知されたアンモニア量に関する信号は、CPU21へと送られる。CPU21によって、分離手段5aに流入したアンモニア量が基準値に達したと判断されると、CPU21から、三方弁15、四方弁16、及び、ポンプ19へ動作指令が送られる。動作指令を送られた三方弁15は、反応容器2から放出された流体を分離手段5bへ流入させるように作動し、動作指令を送られた四方弁16は、図2のAとDとを接続するとともに、図2のBとCとを接続するように作動する。そして、動作指令を送られたポンプ19は、分離手段5aの圧力を低下させるべく作動することにより、分離手段5aに存在している水素を吸引してタンク18へと移動させる。分離手段5aの圧力は、センサー12によって検知される。センサー12から送られた圧力に関する信号が解析され、CPU21によって、分離手段5aの圧力が所定値(例えば、大気圧)まで低下したと判断されると、CPU21からポンプ19及び加熱手段9へ動作指令が送られ、ポンプ19の動作が停止されるとともに、加熱手段9の動作が開始され、分離手段5aの脱離処理が開始される。
反応容器2から放出された流体が分離手段5bへと流入している間、分離手段5aは、加熱手段9によって加熱され、加熱された吸着体から、アンモニアが脱離する。上述のように、水素供給装置40では、分離手段5aの脱離処理が行われる前に、分離手段5aの圧力が低下されている。そのため、水素供給装置40によれば、水素供給装置30の場合と比較して、分離手段5aに収容された吸着体からアンモニアを脱離させるのに必要な温度を低下させることができる。水素供給装置30の時よりも低温環境下で吸着体から脱離したアンモニアは、流路7aへと流入し、反応容器2へと拡散する。水素供給装置40においても、分離手段5aにおける脱離処理は、反応容器2から放出された流体が分離手段5bへと流入している間に行われる。分離手段5bへと流入したアンモニア量は、センサー13によって検知され、センサー13で検知されたアンモニア量に関する信号は、CPU21へと送られる。そして、CPU21によって、分離手段5bに流入したアンモニア量が基準値に達したと判断されると、CPU21から三方弁15、四方弁16、加熱手段9、及び、ポンプ19へ動作指令が送られる。動作指令を送られた三方弁15は、反応容器2から放出された流体を分離手段5aへ流入させるように作動し、動作指令を送られた四方弁16は、図2のAとCとを接続し、図2のBとDとを接続するように作動する。さらに、動作指令を送られたポンプ19は、分離手段5bの圧力を低下させるべく作動することにより、分離手段5bに存在している水素を吸引してタンク18へと移動させる。分離手段5bの圧力は、センサー13によって検知される。センサー13から送られた圧力に関する信号が解析され、CPU21によって、分離手段5bの圧力が所定値(例えば、大気圧)まで低下したと判断されると、CPU21からポンプ19及び加熱手段10へ動作指令が送られ、ポンプ19の動作が停止されるとともに、加熱手段10の動作が開始され、分離手段5bの脱離処理が開始される。
このように、水素供給装置40では、分離手段5a、5bに減圧措置を施す際にのみポンプ19が作動され、脱離処理が行われている間はポンプ19の動作が停止される。そのため、脱離処理が行われている間はポンプ7bを作動させていた水素供給装置30と比較して、補機損失を低減することができる。さらに、減圧措置後に脱離処理が施される形態とすることで、アンモニアを吸着体から脱離させるのに必要な加熱温度を80℃程度へ低減することが可能になるので、水素供給装置30と比較して、装置の信頼性を向上させることが可能になる。
本発明の水素供給装置30、40に関する上記説明では、流体流路4に分離手段5a、5bが備えられている形態を例示したが、本発明の水素供給装置は当該形態に限定されるものではない。ただし、アンモニア含有量を低減した、高純度の水素を外部機器へ供給可能な水素供給装置を提供する等の観点からは、流体流路に分離手段が備えられる形態とすることが好ましい。
また、本発明の水素供給装置30、40に関する上記説明では、流体流路4に分離手段5a、5bが並列に接続されている形態を例示したが、本発明の水素供給装置は当該形態に限定されるものではない。流体流路に分離手段が備えられる形態の水素供給装置とする場合、流体流路に備えられる分離手段の数は、1以上の任意の数とすることができ、3以上の分離手段が流体流路に直列に接続されている形態や、流体流路に備えられる3つの分離手段のうち2つの分離手段を並列に接続し、残りの分離手段を当該2つの分離手段と直列に接続する等の形態とすることも可能である。ただし、分離手段に脱離処理を施している間であってもアンモニアを捕捉可能な形態とする観点からは、複数の分離手段が並列に接続される形態とすることが好ましい。
また、本発明の水素供給装置30、40に関する上記説明では、流体流路4に阻害手段としてのオリフィス8が備えられる形態を例示したが、本発明の水素供給装置は当該形態に限定されるものではない。ただし、未反応のまま反応容器2から放出されるアンモニアの量を低減することにより、反応に供されるアンモニアの割合(アンモニアの利用率)を増大させ得る形態とする等の観点からは、流体流路に阻害手段が備えられる形態とすることが好ましい。
また、本発明の水素供給装置30、40に関する上記説明では、還流手段7(水素供給装置30では流路7a及びポンプ7b、水素供給装置40では流路7a)が備えられる形態を例示したが、本発明の水素供給装置は当該形態に限定されるものではない。ただし、反応に供されるアンモニアの割合(アンモニアの利用率)を増大させやすい形態とする等の観点からは、還流手段が備えられる形態とすることが好ましい。
また、本発明の水素供給装置30、40に関する上記説明では、一つの三方弁15によって、反応容器2から放出された流体の流通方向が切り替えられる形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。例えば、反応容器2と分離手段5a、5bとの間に位置する流体流路4の分岐点に複数の弁が備えられ、当該複数の弁によって、反応容器から放出された流体の流通方向が特定される形態とすることも可能である。
また、本発明の水素供給装置30、40に関する上記説明では、一つの四方弁16によって、AとC又はDとの接続、及び、BとD又はCとの接続が特定される形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。例えば、分離手段5a、5bの下流側に位置する流体流路4、水素流路6、及び、流路7aに弁がそれぞれ備えられ、これらの弁によって、分離手段5aと水素流路6又は流路7aとの接続、及び、分離手段5bと流路7a又は水素流路6との接続が特定される形態とすることも可能である。
また、本発明の水素供給装置30、40に関する上記説明では、水素化リチウムを収容した反応容器2へアンモニアが供給され、水素化リチウム及びアンモニアが反応容器2で反応することにより水素が生成される形態を例示したが、本発明の水素供給装置は当該形態に限定されるものではない。本発明の水素供給装置が採り得る他の形態としては、アンモニアが充填された反応容器へ水素化リチウムが供給されることにより水素生成反応を生じさせる形態や、アンモニア及び水素化リチウムのそれぞれが反応容器へと供給されることにより、反応容器で水素生成反応が生じる形態等を挙げることができる。
また、本発明の水素供給装置30、40に関する上記説明では、金属水素化物である水素化リチウムを用いて水素を生成させる形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。本発明の水素供給装置に収容される金属水素化物は、アンモニアと反応して水素を生成させ得るものであれば良い。本発明の水素供給装置において使用可能な金属水素化物としては、水素化リチウムのほか、水素化ナトリウム、水素化マグネシウム等を例示することができる。
さらに、本発明の水素供給装置30、40において、分離手段5a、5bを加熱する加熱手段9、10は、分離手段5a、5bに収容された吸着体からアンモニアを脱離させられる程度に当該吸着体を加熱し得るものであれば、その形態は特に限定されるものではなく、公知の加熱手段を用いることができる。なお、本発明の水素供給装置30、40が燃料電池車に搭載される場合には、燃料電池車の廃熱を利用して分離手段5a、5bの吸着体を加熱することが可能な、加熱手段が備えられる形態とすることも可能である。
また、本発明の水素供給装置30、40において、分離手段5a、5bに収容される吸着体は、反応容器2から放出される流体に含有されるアンモニアを捕捉して、水素を水素流路6へと流通させることが可能であり、かつ、捕捉したアンモニアを脱離させ得るものであれば、その形態は特に限定されるものではない。水素供給装置30、40で使用可能な吸着体の具体例としては、活性炭のほか、カーボンナノチューブ、ゼオライト等を挙げることができる。
2.燃料電池システム
図3は、本発明の燃料電池システムの形態例を示す概念図である。図3において、図1と同様の構成を採るものには、図1で用いた符号と同符号を付し、その説明を適宜省略する。図3に示すように、本発明の燃料電池システム100は、水素供給装置30と、水素供給装置30の水素流路6と接続された燃料電池50と、を備える。水素流路6には、CPU21によって動作を制御される弁51が備えられるとともに、流路52を介してバッファタンク53が接続され、バッファタンク53と水素流路6とを繋ぐ流路52には、CPU21によって動作を制御される昇圧機54及び弁55が備えられている。
燃料電池システム100において、燃料電池50で使用される水素は、水素流路6を介して供給される。ここで、燃料電池50の運転を安定的に継続するためには、燃料電池50で消費される水素の全てが、燃料電池50へ供給される必要がある。ところが、例えば、燃料電池システム100の起動直後等に、反応容器2で生成した水素の圧力(以下において「生成水素圧P1」という。)が、燃料電池50の運転を安定的に継続するために必要な最低限の水素圧(以下において「最低水素圧P2」という。)に達しないことがある。そのため、反応容器2で生成された水素のみが燃料電池50へと供給される形態にすると、燃料電池50の安定した運転の継続が困難になる虞がある。そこで、燃料電池システム100では、かかる事態を回避すべく、バッファタンク53及び昇圧機54が備えられる形態としている。
燃料電池システム100において、バッファタンク53には水素が充填されている。燃料電池システム100が作動されると、センサー11によって反応容器2の水素圧が検知され、センサー11によって検知された水素圧に関する信号は、CPU21へと送られる。信号が送られたCPU21では、反応容器2の生成水素圧P1が最低水素圧P2に達したか否かが判断される。その結果、生成水素圧P1<最低水素圧P2であると判断されると、CPU21から弁51、昇圧機54、及び、弁55へ動作指令が送られ、弁51が「閉」、弁55が「開」とされるとともに、昇圧機54が作動される。そして、バッファタンク53に充填されていた水素の圧力が、昇圧機54によって最低水素圧P2以上の所定圧へと調整され、最低水素圧P2以上の圧力へと調整された水素が、流路52及び水素流路6を経て燃料電池50へと送られる。これに対し、生成水素圧P1≧最低水素圧P2であると判断されると、CPU21から弁51、昇圧機54、及び、弁55へ動作指令が送られ、昇圧機54が停止されるとともに、弁51が「開」、弁55が「閉」とされる。すなわち、生成水素圧P1≧最低水素圧P2である間は、反応容器2で生成された水素が、水素流路6を介して燃料電池50へと送られる。
このように、バッファタンク53及び昇圧機54が備えられる形態とすることで、常に最低水素圧P2以上の圧力である水素が、燃料電池50へと供給される燃料電池システム100としている。そして、燃料電池システム100には、水素の発生効率を向上させることが可能な水素供給装置30が備えられる。したがって、本発明によれば、水素供給装置30から多量の水素を燃料電池50へ供給すること、換言すれば、水素供給装置30から供給された水素を用いて作動される燃料電池50の時間を増大させることが可能な、燃料電池システム100を提供することができる。
本発明の燃料電池システム100に関する上記説明では、本発明の水素供給装置30が備えられる形態を例示したが、本発明の燃料電池システムは当該形態に限定されるものではない。エネルギー利用効率や信頼性等の面で有利な形態の燃料電池システムを提供可能とする等の観点からは、本発明の水素供給装置40が備えられる形態の燃料電池システムとすることが好ましい。
以下、実施例を参照しつつ、本発明についてさらに説明する。
1)水素供給装置の作製
図1に示す水素供給装置30(以下において「実施例1の装置」という。)、図2に示す水素供給装置40(以下において「実施例2の装置」という。)、及び、水素化リチウムとアンモニアとが反応している間に反応容器から水素を流出させることが不可能であり、かつ、還流手段が備えられない形態(放出手段及び還流手段が備えられない形態)であるほかは実施例1の装置や実施例2の装置と同様の形態とした水素供給装置(以下において「比較例の装置」という。)を作製した。ここで、反応容器2は、容積20[ml]のステンレス鋼製の耐圧容器とし、反応容器2には、50[mg]の水素化リチウムを収容した。反応容器2に水素化リチウムを収容する際には、空気の流入を防ぐため、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。反応容器2へ水素化リチウムを充填した後、反応容器2のガス圧が0.1[Pa]となるまで減圧し、減圧された反応容器2へ、5.07×10[Pa]のアンモニアガスを供給し、反応を生じさせた。
2)水素量の導出
水素化リチウムを収容した反応容器2へアンモニアガスを供給すると、時間が経過するにつれて反応が進行し、水素が生成される。そこで、アンモニアガスの供給を開始してから2分後、4分後、6分後、8分後、10分後、12分後、14分後、及び、16分後までの間に実施例1の装置、実施例2の装置、並びに、比較例の装置で生成された水素量を導出した。ここで、実施例1の装置及び実施例2の装置で生成された水素量は、ガスクロマトグラフィー法による水素の定性評価、及び、水上捕集により導出した。これに対し、比較例の装置で生成された水素量は、ガスクロマトグラフィー法で反応容器内の水素濃度を測定することにより導出した。
3)利用率の導出
水素量を導出する際に、併せて、水素化リチウムの利用率を算出した。ここで、水素化リチウムの利用率は、ボンベ1を装置から取り外した後、アルゴン雰囲気のグローブボックス内に設置した重量計に反応容器2を置き、測定された質量から反応容器2の質量を減じることにより導出される水素化リチウムの質量をM1[mg]とするとき、X=100×(50−M1)/50によって導出されるX[%]とした。実施例1の装置及び比較例の装置を用いて導出した利用率と、アンモニアガスの供給を開始してからの経過時間との関係を、図4に併せて示す。図4の縦軸は、水素化リチウムの利用率[%]、同横軸は経過時間[min]である。
一方、図4より、アンモニアガスの供給を開始してから15分が経過するまでの間に、反応が平衡に達した。そこで、アンモニアガスの供給を開始してから16分後における、実施例1の装置、実施例2の装置、及び、比較例の装置において反応に利用されたアンモニアの割合(アンモニアの利用率)を導出した。ここで、アンモニアの利用率は、ボンベ1へアンモニアを導入し終わった直後におけるボンベ1のアンモニアの圧力をP0[MPa]、アンモニアガスの供給を開始してから16分後におけるボンベ1のアンモニアの圧力をPx[MPa]とするとき、Z=100×(P0−Px)/P0によって導出されるZ[%]とした。アンモニアガスの供給を開始してから16分後における、水素化リチウムの利用率、及び、アンモニアの利用率を、表1に併せて示す。
Figure 2009203129
4)結果
表1より、実施例1の装置では、水素化リチウム、及び、アンモニア共に、利用率は52%、実施例2の装置では、水素化リチウム、及び、アンモニア共に、利用率は48%であった。これに対し、比較例の装置では、水素化リチウム、及び、アンモニア共に、利用率は38%であった。すなわち、水素化リチウムとアンモニアとが反応している間に、発生した水素を反応容器の外へ流出させることが可能な本発明の水素供給装置(実施例1の装置、及び、実施例2の装置)によれば、発生した水素を反応容器の外へ流出させながら反応させることができない従来の水素供給装置(比較例の装置)よりも、水素化リチウム、及び、アンモニアの利用率を向上させることができた。水素化リチウム、及び、アンモニアの利用率を向上させることにより、水素の発生効率を向上させることが可能になるので、本発明の水素供給装置は、水素の発生効率を向上可能であることが分かる。
さらに、表1の結果を基に、実施例1の装置、並びに、比較例の装置を用いて、5[kg]の水素を発生させるために必要な、水素化リチウムの質量及びアンモニアの質量を導出した。その結果、比較例の装置で5[kg]の水素を発生させるためには、約53[kg]の水素化リチウムと、約112[kg]のアンモニアが必要であったのに対し、実施例1の装置によれば、約38[kg]の水素化リチウムと、約82[kg]のアンモニアとを用いることで、5[kg]の水素を発生可能であった。すなわち、本発明の水素供給装置によれば、従来よりも、水素を発生させるために必要な材料の搭載量を大幅に低減可能であることが確認された。
また、図4より、水素化リチウムの利用率を特定した場合、実施例1の装置の方が、比較例の装置よりも短時間で当該利用率に到達した。例えば、水素化リチウムの利用率が30%に達するまでの所要時間を比較すると、比較例の装置では、水素化リチウムの利用率が30%に到達するまでに、アンモニアガスの供給を開始してから7.5分程度の時間を要するのに対し、実施例1の装置では、アンモニアガスの供給を開始してから3分程度で水素化リチウムの利用率が30%に到達した。さらに、図4より、実施例1の装置では、アンモニアガスの供給を開始してから10分が経過するまでの間に、水素化リチウムとアンモニアとの反応が平衡に達するのに対し、比較例の装置では、水素化リチウムとアンモニアとの反応が平衡に達するまでに14分程度の時間を必要とした。これらの結果から、水素化リチウムとアンモニアとが反応している間に、水素を反応容器の外へ流出させることが可能な本発明の水素供給装置(実施例1の装置)によれば、水素化リチウムとアンモニアとが反応する際の速度(反応速度)を増大させることが可能であることが分かった。以上より、本発明の水素供給装置によれば、(1)水素の発生効率を向上させること、(2)材料搭載量を低減させること、及び、(3)水素生成反応の反応速度を増大させること、が可能であった。
本発明の水素供給装置30の形態例を示す概念図である。 本発明の水素供給装置40の形態例を示す概念図である。 本発明の燃料電池システム100の形態例を示す概念図である。 水素化リチウムの利用率と反応時間との関係を示す図である。
符号の説明
1…ボンベ
2…反応容器
3…流路
4…流体流路(放出手段)
5、5a、5b…分離手段(放出手段)
6…水素流路
7…還流手段
7a…流路
7b…ポンプ
8…オリフィス(阻害手段)
9、10…加熱手段
11、12、13…センサー
14…弁
15…三方弁
16…四方弁
17…流路
18…タンク
19…ポンプ
20…制御装置
21…CPU
22…ROM
23…RAM
24…入力ポート
25…出力ポート
30、40…水素供給装置
50…燃料電池
51…弁
52…流路
53…バッファタンク
54…昇圧機
55…弁
100…燃料電池システム

Claims (6)

  1. 金属水素化物及びアンモニアを収容可能な反応容器と、
    少なくとも前記アンモニアと反応し得る前記金属水素化物が前記反応容器に収容されている間に、前記金属水素化物と前記アンモニアとが反応することにより生成された水素を前記反応容器の外へと放出する放出手段と、
    が備えられることを特徴とする、水素供給装置。
  2. 前記放出手段に、前記反応容器から放出された流体に含有される前記水素と前記アンモニアとを分離可能な分離手段、及び、前記反応容器と前記分離手段とを繋ぐ流体流路が備えられることを特徴とする、請求項1に記載の水素供給装置。
  3. 前記流体流路に、前記反応容器から放出された前記アンモニアの流通を阻害する阻害手段が備えられることを特徴とする、請求項2に記載の水素供給装置。
  4. 前記分離手段が複数備えられ、複数の前記分離手段が前記流体流路に並列に接続されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の水素供給装置。
  5. さらに、前記分離手段によって分離された前記アンモニアを、前記反応容器へと還流させる還流手段が備えられることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の水素供給装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の水素供給装置と、前記水素供給装置から供給された水素を用いて作動させることが可能な燃料電池と、前記水素供給装置と前記燃料電池とを繋ぐ水素流路と、が備えられることを特徴とする、燃料電池システム。
JP2008048356A 2008-02-28 2008-02-28 水素供給装置及び燃料電池システム Pending JP2009203129A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008048356A JP2009203129A (ja) 2008-02-28 2008-02-28 水素供給装置及び燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008048356A JP2009203129A (ja) 2008-02-28 2008-02-28 水素供給装置及び燃料電池システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009203129A true JP2009203129A (ja) 2009-09-10

Family

ID=41145756

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008048356A Pending JP2009203129A (ja) 2008-02-28 2008-02-28 水素供給装置及び燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009203129A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015502310A (ja) * 2011-10-21 2015-01-22 ザ サイエンス アンド テクノロジー ファシリティーズ カウンシルThe Science And Technology Facilities Council アンモニアから水素を製造する方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015502310A (ja) * 2011-10-21 2015-01-22 ザ サイエンス アンド テクノロジー ファシリティーズ カウンシルThe Science And Technology Facilities Council アンモニアから水素を製造する方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3688271B2 (ja) 貯蔵した水素を使用した燃料電池システム
KR100929721B1 (ko) 온도-기반 파과 탐지 그리고 압력 변동 흡착 시스템 및이를 포함하는 연료 처리 시스템
JP5220432B2 (ja) 水素生成システム
JP2017520685A (ja) 再循環する洗浄媒体を用いる電解法及び電解装置
JP4603379B2 (ja) 燃料電池稼働方法及びその装置
WO1998019960A1 (fr) Appareil de fabrication d'hydrogene et d'alimentation en hydrogene et voiture electrique
JP2015517398A (ja) 酸素分離器及び酸素生成方法
JP6623091B2 (ja) アンモニア貯蔵供給装置及びアンモニア燃料タンク
JP2017168404A (ja) 固体酸化物形燃料電池システム
JP2011146175A (ja) 燃料電池システム
US7238020B2 (en) Device for controlling hydrogen flow of hydrogen storage canister
JP2017100903A (ja) 水素製造システム及び水素製造方法
JP2009203129A (ja) 水素供給装置及び燃料電池システム
CN115172789A (zh) 回收利用系统和回收利用方法、回收方法和车辆
JP2007280705A (ja) 閉鎖式燃料電池システム
JP2004068896A (ja) 水素貯蔵供給システム
JP6824509B2 (ja) 水素発生装置および発電装置
Ashida et al. Study on metal hydride performance for purification and storage of bio-H2
JP2009208978A (ja) 水素供給装置及び燃料電池システム
TW201219297A (en) for recycling argon gas at a high purity with lower costs and less energy consumption
JP4523313B2 (ja) 水素ガス製造発電システム及びその運転方法
JP2009280438A (ja) 水素吸蔵合金の活性化方法及び水素吸蔵合金の活性化装置
EP1515081A2 (en) Device for controlling hydrogen flow of hydrogen storage canister
JP2009127788A (ja) 水素供給装置及び燃料電池システム
JP4229527B2 (ja) 水素を燃料とする機器への水素供給システム

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20101101

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20101104