JP2009202296A - ナノ粒子配列基板の製造方法 - Google Patents

ナノ粒子配列基板の製造方法 Download PDF

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Takeshi Hatsuzawa
毅 初澤
保子 ▲柳▼田
Yasuko Yanagida
Hideki Furukawa
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Abstract

【課題】分子生物学的プロトコルを利用して、DNA構造体を作製し、このDNA構造体の基板上での精確な位置決めを行う方法を提供する。
【解決手段】(a)原子間力顕微鏡を用いた陽極酸化により該基板上に陽極酸化膜のアンカーポイントを等間隔に形成する;(b)該アンカーポイントをシランカップリング剤によりコーティングする;(c)該コーティングされたアンカーポイントにストレプトアビジンを固定する;(d)ビオチン標識されたDNA構造体を該ストレプトアビジンと結合させる;そして(e)該ナノ粒子の懸濁液を滴下し、静置し、及び乾燥させることにより、該ナノ粒子と該DNA構造体を固定させて、ナノ粒子/DNA構造体の複合体を形成させることを含み、該DNA構造体のサイズは、該ナノ粒子のサイズに適合する、ナノ粒子をシリコン基板上に等間隔に配列させたナノ粒子配列基板の製造方法が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、量子ドットなどのナノ粒子を基板上に位置決めして単一粒子として配列させるナノ粒子配列基板の製造方法に関する。
ナノテクノロジーを応用した加工手法として、原子や分子を積み上げてデバイスを構築させるボトムアップ的手法が着目されている。その手法の1つに、生体高分子であるデオキシリボ核酸(DNA)が有する自己組織化能に着目し、DNAを足場としてナノ構造体を作製することで微細加工技術を構築しようとする研究が近年盛んに進められている。
DNAを利用して構造体を作製する分野の研究は、DNAコンピュータの開発を目的として、Seemanら(非特許文献1)によって先駆的な研究が進められ、現在まで、DNAの塩基配列をプログラミングによって設計し、正方形及びスマイルマーク形状、タイル形状、チューブ形状、星型、カゴ形状の構造体を作製することが可能になっている(非特許文献2及び3)。また、近年、Yan及びMaoらによって、DNA構造体を利用したタンパク質などの識別素子などが報告されている(非特許文献4)。
一方、DNAとタンパク質を組み合わせた構造体の作製についても報告されている。Niemeyerらは、末端をビオチン標識したDNAとストレプトアビジンとの結合によって環状DNAを作製する手法を報告している(非特許文献5)。この手法については、環状DNA同士が結合しない構造になっているため、大型かつ広範囲にDNA構造体が作製できないという問題点が挙げられる。また、DNA構造体の変形に関しては、YanおよびNiemeyerらによって報告はされているが、基礎研究として取り組むべき点が多い研究分野である。
以上のように、複雑な形状のDNA構造体の作製手法が、近年盛んに報告されており、DNA構造体の特定の部位にタンパク質やナノ粒子を標識すること、DNA構造体に変形機能を付加することにより、更に複雑なナノ構造体を作製することが可能になると期待されている。
しかしながら、従来の手法は、分子の熱エネルギーや分子構造の歪みエネルギーなどの計算を用いて、塩基配列の設定を行うプログラミング作業が必須であり、高度な演算処理技術が要求される。そのため、バイオインフォマティクスなどの情報処理に携わらない研究者には扱いが困難であるという問題点が挙げられる。さらに、従来の配列手法は、基板上の化学物質と表面修飾したナノ粒子との反応により粒子を固定化しているが、粒子群としての取り扱いのため、複数の粒子が同一位置に結合する等、粒子密度のバラツキが生じていた。
また、複雑な形状のDNA構造体の作製技術は報告されているが、DNAを足場としてナノ構造体を作製することを実現させるためには、DNA構造体を精確に位置決めする技術が更に必要となる。しかしながら、従来のDNA構造体はマイカ基板や高配向熱分解黒鉛(Highly Oriented Pyrolytic Graphite:HOPG)の上にランダムに配置して観察しており、精確な位置決めは行われていない。
N.C.Seeman,日経サイエンス,9月号,pp.21−30,2004 E.Winfree,N.C.Seeman et al.,Nature,394,pp.539−544,1998 P.Rothemund,Nature,440,pp.297−302,2006 H.Yan,S.H.Park et al.,Science,301,pp.1882-1884,2003 C.M.Niemeyer,M.Adler,el al.,Nucleic Acid Research,27,pp.4553−61,1999
本発明の課題は、分子生物学的プロトコルを利用して、DNA構造体を作製し、このDNA構造体の基板上での精確な位置決めを行う方法を提供することである。
また、DNA構造体に変形機能を付加させることで、アクチュエーターなどの部品への応用が期待されるため、本明細書では、DNA構造体に変形機能を付加させることにも着目した。
本発明は、量子ドットなどのナノ粒子を基板上に位置決めして単一粒子として配列させるナノ粒子配列基板の製造方法を提供することを目的とする。
より具体的には、本発明者らは、(1)ナノリソグラフィー手法により、基板上に固定点(アンカーポイント)を作製し、(2)ナノ粒子の直径に近い環状DNAを作製し、化学結合によりアンカーポイントに固定し、(3)目的のナノ粒子を化学結合により環状DNA内に1粒子ずつ固定する、という方法により量子ドット等のナノ粒子1つ1つを基板上に個別に配置する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、ナノ粒子をシリコン基板上に等間隔に配列させたナノ粒子配列基板の製造方法であって、下記のステップ:
(a)原子間力顕微鏡を用いた陽極酸化により該基板上に陽極酸化膜のアンカーポイントを等間隔に形成する;
(b)該アンカーポイントをシランカップリング剤によりコーティングする;
(c)該コーティングされたアンカーポイントにストレプトアビジンを固定する;
(d)ビオチン標識されたDNA構造体を該ストレプトアビジンと結合させる;そして
(e)該ナノ粒子の懸濁液を滴下し、静置し、及び乾燥させることにより、該ナノ粒子と該DNA構造体を固定させて、ナノ粒子/DNA構造体の複合体を形成させる;
を含み、ここで、該DNA構造体のサイズは、該ナノ粒子のサイズに適合する前記方法が提供される。
本発明の一態様では、本発明のナノ粒子配列基板の製造方法において、隣接するアンカーポイントは、50nm〜1000nmの等間隔で形成されることが好ましい。さらに好ましくは、アンカーポイントが、正方格子で整列する。
本発明の一態様では、本発明のナノ粒子配列基板の製造方法において、各アンカーポイントは、直径10nm〜100nmの円形であることが好ましい。
本発明の一態様では、本発明のナノ粒子配列基板の製造方法に使用されるシランカップリング剤は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(「γ−APTES」と省略される場合がある)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びβ−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択されることが好ましい。
本発明の一態様では、本発明のナノ粒子配列基板の製造方法の工程(c)において、各アンカーポイントに1〜5個のストレプトアビジンが固定されることが好ましい。
本発明によれば、本発明のナノ粒子配列基板の製造方法において使用されるDNA構造体は、直径5nm〜100nmの環状DNAを含むことが好ましい。
本発明によれば、前記ナノ粒子配列基板の製造方法により製造されたナノ粒子配列基板も提供される。
本発明の方法により製造されたナノ粒子配列基板は、ナノ粒子の粒径、位置を制御できることから、例えば、量子ドットを用いたセンシングの色制御(粒径、粒子間距離による励起光、発光の波長制御)及びナノ粒子のフィルタリング(粒径による分別)、フィルタリング機構のマイクロTAS(Total Analysis System)などの生化学分析装置への応用が可能である。
本発明は、ナノ粒子をシリコン基板上に等間隔に配列させたナノ粒子配列基板の製造方法であって、下記のステップ:
(a)原子間力顕微鏡を用いた陽極酸化により該基板上に陽極酸化膜のアンカーポイントを等間隔に形成する;
(b)該アンカーポイントをシランカップリング剤によりコーティングする;
(c)該コーティングされたアンカーポイントにストレプトアビジンを固定する;
(d)ビオチン標識されたDNA構造体を該ストレプトアビジンと結合させる;そして
(e)該ナノ粒子の懸濁液を滴下し、静置し、及び乾燥させることにより、該ナノ粒子と該DNA構造体を固定させて、ナノ粒子/DNA構造体の複合体を形成させる;
を含み、ここで、該DNA構造体のサイズは、該ナノ粒子のサイズに適合する前記方法、並びに該製造方法により製造されるナノ粒子配列基板に関する。
1.定義
用語「原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)」は、本明細書中で使用するとき、探針と試料間に働く原子間力を検出することにより、試料の表面形状を測定する装置をいう。原子間力顕微鏡は、1986年にIBMのBinningによって開発された技術であり、試料表面を非常に鋭い針(カンチレバー)によって表面を走査し、表面形状を測定することを特徴とする。
原子間力顕微鏡には、一般的に、(1)測定用カンチレバー、(2)カンチレバーに照射する半導体レーザー、及び(3)測定試料の走査用スキャナの構成部品が含まれる。試料の表面形状を測定する上で特に重要である測定用カンチレバーは、先端に鋭い深針を有する片持ちはりの形状をしており、原子間力の検出感度や空間分解能を直接決める重要な構成要素である。測定の際には、測定対象に合った先端の鋭い深針の形状、バネ定数、共振周波数の選定が重要になる。
原子間力顕微鏡の測定方式は、(1)コンタクトモード、及び(2)タッピングモードの2種類があり、測定する試料の状態に合わせた測定が可能である。
(1)コンタクトモード
コンタクトモードは、カンチレバーを固定した状態で、測定試料を接近させた際に生じる原子間力が一定になるように走査用スキャナを制御する測定方式である。このコンタクトモードは、測定が容易であるという利点を有するが、接触時に働く強い力や摩擦のために軟性試料を損傷してしまうリスクも有している。そのため、損傷の恐れが少ない半導体材料の表面測定など、剛性材料の測定に適しているといえる。
(2)タッピングモード
タッピングモードは、カンチレバーを振動させた状態で、測定試料を接近させる測定方式である。この測定方式では、接近前にカンチレバーの振動振幅や振動周波数を測定しておく。次に、測定試料とカンチレバーを接近させると、原子間力によって振動振幅や振動周波数が変化する。この変化量が一定になるように走査用スキャナを制御することにより測定を行う。このタッピングモードは、生体試料や破壊されやすい試料に対しても使用可能であり、分解能も高いため、軟性材料の精密測定に適している。
本発明のナノ粒子配列基板の製造方法においては、上述した原子間力顕微鏡を用いて、シリコンなどの基板上に陽極酸化膜のアンカーポイントを形成させることが好ましい。しかしながら、該アンカーポイントを形成させることができる装置あれば、原子間力顕微鏡の使用に限定されない。なお、後述するように、実施例2では、DNA構造体はタッピングモードを使用して観察した。また、実施例4では、DNA構造体の精確な位置決めにおいてコンタクトモードとタッピングモードを併用した。
用語「ナノ粒子」は、本明細書中で使用するとき、微粒子の中でも粒子の直径が1〜数百ナノメートル(nm)程度の超微粒子をいう。ナノ粒子には、限定されないが、量子ドット、金コロイド、磁性微粒子、フラーレン、カーボンナノチューブが含まれる。好ましくは、量子ドットである。ここで、用語「量子ドット」とは、原子が数百個〜数千個集まった直径10数〜数10nmの凝集体をいう。本発明のナノ粒子配列基板の製造方法において使用される量子ドットには、センシングの色制御(粒径、粒子間距離による励起光、発光の波長制御)等の生化学分析装置に応用するための発光性の量子ドット、例えば、カドミウムセレン(CdSe)、インジウムガリウムリン(InGaP)が挙げられる。また、本発明の製造方法には、タンパク質(例えば、抗体)などと共役された蛍光染色用色素として、水中で使用し易いようにポリマーコーティングされた量子ドットも使用することができる。
用語「DNA構造体」とは、本明細書中で使用するとき、制限酵素等により適切な長さに調節されたDNA(デオキシリボ核酸)をいう。供給されるDNAには、天然由来のDNA、組換えDNA、化学合成したDNA、PCRによって増幅されたDNA、及びそれらの組合せが含まれる。本発明のナノ粒子配列基板の製造方法に使用されるDNA構造体は、好ましくは、環状DNA、二本鎖DNA、一本鎖DNA、より好ましくは環状DNAであって、さらに、限定されないが、例えば、タンパク質、チオール基、アミノ基、蛍光色素によって標識されたものをいう。なお、DNAのタンパク質等による標識は、限定されないが、タンパク質等の標識試薬が、DNAのらせん構造に挿入され、塩基と共有結合され、またはそれらの組合せであってもよい。例えば、使用されるDNAが、環状DNAである場合、1個の環状DNAを標識するために導入される試薬の数は、特に限定されず、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜2個である。
本発明のナノ粒子配列基板の製造方法に使用されるDNA構造体は、上記DNAが、1個〜数個凝集した複合体であってもよい。このような複合体の例としては、環状DNA同士による凝集に限定されず、環状DNAと直鎖状DNAとの複合体であってもよい。好ましくは、数個の環状DNAによる複合体である。例えば、DNAがビオチンによって標識される場合には、1分子のストレプトアビジンが4個のビオチンと結合できる性質に因り、1分子のビオチンで標識された環状DNAは最大4個の環状DNAが結合した複合体を形成することができる。また、1個の環状DNAを数個のビオチンで標識した場合、ストレプトアビジンを介して、環状DNAを連鎖的に結合させた複合体を形成させることができる。このようにビオチン標識されたDNA構造体を構成する環状DNAの数は、2個以上、好ましくは2〜10個、より好ましくは、2〜6個、さらにより好ましくは2〜3個である。
後述するように、実施例1では、1個の環状DNAを1分子のビオチンで標識したDNA構造体を作製し、実施例3では、さらに変形機能を付加させたDNA構造体を作製した。
本発明のDNA構造体の作製に使用することができる「制限酵素」は、二本鎖DNAの3〜8ヌクレオチドからなる特異的配列(認識配列)を識別し、二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼの総称であり、当業者に容易に使用できるものである限り、特に限定されない。
2.ナノ粒子配列基板の製造方法
A.DNA構造体の作製
本発明のナノ粒子配列基板の製造方法に使用されるDNA構造体は、本質的には、(a)制限酵素や連結酵素を利用したDNAの切断及び連結、(b)特異的に結合するタンパク質を用いた標識法(アビジン−ビオチン結合)、並びに(c)環状DNAから切り出された直鎖状DNAが再度DNAリングに成り易い、といった上記3つの手法及び特長を利用することにより作製される。
(1)制限酵素を利用したDNAの切断
本発明によれば、上述したように、制限酵素によって切断されたDNAを用いることができる。ここで、本発明のDNA構造体を製造する際に使用される制限酵素は、(i)切断後のDNA末端は5’突出末端になること、及び(ii)1回の処理でDNAが切断できるように緩衝液(DNAなどに用いる保存溶液)を選択すること、に基づいて選択されることが好ましい。
通常、制限酵素により切断されたDNAは、「5’突出末端」、「平滑末端」、及び「3’突出末端」の3種類に分類することができる。また、切断されたDNAの5’末端はリン酸基が露出し、3’末端は水酸化基が露出した状態になっている。ここで、本発明において使用される下記のライゲーション反応を行う際には、5’突出末端の方が平滑末端及び3’突出末端よりも反応効率が良い。したがって、本発明では、5’突出末端にDNAを切断可能な制限酵素の使用が好ましい。
また、制限酵素を使用する際には、DNAを専用の緩衝液と混合する必要がある。このバッファーは使用する制限酵素によって種類が異なり、制限酵素の活性(DNAを切断する能力)が高くなるようにバッファーを選択することが好ましい。しかしながら、2種類以上の制限酵素を使用してDNAを切断する場合、バッファーの交換処理(エタノール沈殿など)を実施すると、DNAの収量が低下してしまうという問題がある。その際は、バッファーを統一して1回の処理でDNAを切断することにより、DNAの収量低下を防ぐことができる。本発明では、限定されないが、同一のバッファーで使用できる制限酵素を選択することが好ましい。
(2)ライゲーションによるDNAの結合
本発明によれば、DNA同士をつなぎ合わせる酵素としては、二本鎖DNAの5’−リン酸基末端と3’−水酸基末端をつなぎ合わせ、ホスホジエステル結合の形成を触媒するリガーゼを用いることができる。このようなライゲーションを行う手法は、当業者に周知であり、また、ライゲーションを効率良く行うために、キット(例えば、タカラバイオ社から市販されているDNA Ligation Kit ver2.1)を用いることができる。
(3)アビジン−ビオチン結合
アビジン−ビオチン結合は、蛍光物質や抗体を細胞やタンパク質へ結合させるための媒介として、生物学実験で広く利用されている。例えば、蛍光物質の1つである量子ドットの周囲にストレプトアビジンをコーティングし、標的とする細胞の表面にビオチンを標識することにより、標的細胞の表面に量子ドットを付着させることが可能となり、細胞の変化などを蛍光観察することができる。そこで、本発明では、アビジン−ビオチン結合の高い親和力に着目し、アビジン−ビオチン結合を利用することにより、DNA構造体及びナノ粒子配列基板を製造した。
分子量440のビオチンと分子量68,000の卵白由来のアビジンの親和力(結合力)は非常に高く(Kd=10-15M)、特異性が高いと言われている抗原−抗体間の親和力(Kd=10-9M)のほぼ106倍に匹敵する。アビジンは4個のサブユニットから構成され、各サブユニットが1分子のビオチンと結合する。すなわち、アビジン1分子は、4分子のビオチンと特異的に結合することができる。近年、アビジンの代わりにStreptomyces avidinii由来のストレプトアビジンが、ビオチンと高い親和性を有するのみならず、細胞への非特異的結合が少ないという特性を有するといった理由から使用されている。したがって、本発明で使用されるアビジンは、好ましくはストレプトアビジンである。
(4)DNAの環状化
本発明のナノ粒子配列基板の製造方法に使用されるDNA構造体は、上述した通り、二本鎖の環状DNAが好ましい。環状構造のDNAとしては、プラスミドDNAが挙げられる。ここで、「プラスミドDNA」とは、主として細菌細胞内で宿主染色体とは別個に独立して自律的に複製され、安定に保持・伝達される遺伝因子の総称である。使用される環状DNAとしては、(i)DNAの複製機能を有していること、(ii)別のDNAを付け加える(導入する)ことができること、及び(iii)繰り返して安定にDNA複製が可能であること、といった特徴を有するプラスミドDNAを用いることが好ましい。
プラスミドDNAは、制限酵素によって切断して容易にDNA断片を切り出すことができる。切り出したDNA断片の末端が、(i)5’突出末端であること、(ii)両末端の塩基が相補的に結合する配列になっていること、及び(iii)末端にリン酸基を有すること、の条件を満たす限り、DNA末端をライゲーションにより、再度、環状構造を作製することができる。本発明者らは、制限酵素を用いてプラスミドDNAからDNA断片を切り出し、ビオチン標識したDNA断片をライゲーションして、ビオチン標識のDNA構造体を作製することに成功した。さらに、ストレプトアビジンを結合剤として利用することで、1個のストレプトアビジンに対して、最大4個のビオチン標識したDNA構造体を結合させることができ、この複合体もまた、本発明のDNA構造体に含まれる。
(5)DNA構造体及びその製造方法
上述した通り、本発明のDNA構造体は、ストレプトアビジンを結合剤として用いることにより、ビオチン標識した環状DNAを1〜4個結合させた複合体を製造することができる。
1箇所にビオチンを標識した環状DNAの作製は、まず、プラスミドDNAを制限酵素で切断し、DNA断片を切り出す。次に、切り出したDNA断片(以下、「ベクターDNA」という)に、予め合成したビオチン標識したDNA断片(以下、「インサートDNA」という)をライゲーションする。このように作製されたビオチン(1個)標識した環状DNAを用いることによって、例えば、下記の3種類のDNA構造体を作製することができる。なお、本発明で使用することができるプラスミドには、限定されないが、pBR322、pKF3、pUC18/19、pUC118/119、pKF18k−2が挙げられる。好ましくは、pBR322、pKF3である。
また、ベクターDNAの長さに依存して、その後のビオチン標識した環状DNAの直径を変化させることができる。このようなビオチン標識した環状DNAの直径は、基板に配列させるナノ粒子のサイズに適合可能であれば、特に限定されないが、好ましくは、約5nm〜約100nm、より好ましくは、約5nm〜約60nm、さらにより好ましくは、約5nm〜約30nmである。
(i)DNAグラス(DNA glasses)
このDNA構造体は、1箇所にビオチンを標識した環状DNAを結合させたメガネ形状のDNA構造体であり、2個のビオチン標識した環状DNAをストレプトアビジンで連結させることによって作製することができる。ストレプトアビジンは、金ナノ粒子の表面にストレプトアビジンをコーティングしたものを使用することができる。後述するように、実施例2では、DNAグラスを作製した。
(ii)DNA直列リング(DNA serial rings)
このDNA構造体は、1箇所にビオチンを標識した環状DNAとビオチンを等間隔に配置した直線状DNAを結合させたDNA構造体である。ビオチンを等間隔に配置した直線状DNAは、ビオチン標識したDNA断片とスペーサーのDNA断片を交互に組み合わせてライゲーションすることによって作製することができる。ストレプトアビジンを介して、このビオチンを等間隔に配置した直線状DNAとビオチン標識した環状DNAを結合させることによって、目的とするDNA直列リングを作製することができる。
(iii)DNAチェーン(DNA chains)
このDNA構造体は、2箇所にビオチンを標識した環状DNA同士を結合させたDNA構造体である。2箇所にビオチンを標識した環状DNAは、プラスミドDNAから切り出した2種類のベクターDNAとビオチンを標識したインサートDNAをライゲーションすることによって作製することができる。次に、ストレプトアビジンを介して、この2箇所にビオチンを標識した環状DNAを連鎖的に結合させることによって、目的とするDNAチェーンを作製することができる。
上述したDNA構造体は、特に限定されないが、前述の原子間力顕微鏡(AFM)、電気泳動法などにより、容易に評価することができる。
B.変形機能を有するDNA構造体の作製
本発明者らは、ナノサイズのアクチュエーターなどに応用するために、DNAの「スーパーコイル形状」に着目して、前述したDNA構造体に変形機能を付加させる試みを行った。具体的には、生体内では、通常、DNAの「畳み込み操作」及び「元の形状に戻す操作」を繰り返すことによって、タンパク質の合成を行っているが、ジャイレース及びトポイソメラーゼという酵素がその役割を担っており、これら酵素を用いて変形機能を有するDNA構造体を作製した。ここで、トポイソメラーゼは、スーパーコイル形状のDNAの一部に切り欠き(ニック)を入れることで、スーパーコイル形状のDNAを環状DNAまたは直鎖状DNAへ変形させることができる。ジャイレースは、環状DNAまたは直鎖状DNAを更に捩じって、スーパーコイル形状へ変形させることができる。なお、後述する実施例3において、変形機能を有するDNA構造体を作製した。
C.ナノ粒子配列基板の製造方法
本発明のナノ粒子配列基板の製造方法は、(i)原子間力顕微鏡を用いた陽極酸化によりシリコン基板上に陽極酸化膜のアンカーポイントを等間隔に形成させ、(ii)該アンカーポイントをシランカップリング剤によりコーティングし、(iii)該コーティングされたアンカーポイントにストレプトアビジンを固定し、(iv)ビオチン標識されたDNA構造体を該ストレプトアビジンと結合させ、及び(v)該ナノ粒子の懸濁液を滴下し、静置し、及び乾燥させることにより、該ナノ粒子と該DNA構造体を固定させて、ナノ粒子/DNA構造体の複合体を形成させることを含み、ここで、該DNA構造体のサイズは、該ナノ粒子のサイズに適合している。本発明の方法の原理を図1に概説する。
(1)DNA構造体の精確な位置決め
DNA構造体の精確な位置決めは、DNA構造体を土台として分子デバイスやアクチュエーターを作製するために重要な技術である。本発明によれば、DNA構造体の精確な位置決めに使用される装置は、本発明の目的を達成することができる限り、いずれの装置であってもよい。典型的には、原子間力顕微鏡を利用することが好ましい。また、本発明のナノ粒子配列基板に使用される基板は、DNA構造体を固定するためのアンカーポイントの作製の基礎とする基板表面が原子間力顕微鏡による陽極酸化に適したものであれば、特に限定されない。本発明によれば、リソグラフィー技術を適用することが可能であり、実験プロトコルが確立しており、取り扱いが容易であるという理由からシリコン基板を利用することができる。
また、シリコン基板の表面は凹凸があるため、原子間力顕微鏡による陽極酸化膜を形成させる前に、バッファード・フッ酸(BHF)を用いて、適宜、酸化膜を除去してもよい。その後、陽極酸化の位置を確認するためのマーカーを作製し、原子間力顕微鏡の電圧印加機能を用いて、シリコン基板に直流電圧を印加して酸化膜を形成させることができる。
原子間力顕微鏡を用いた陽極酸化には、例えば、セイコーインスツル社SPA400の電圧印加機能を使用することができる。この機能により、大気中の水分子を利用して、シリコン基板の局部に酸化膜が形成される。より具体的には、原子間力顕微鏡のカンチレバー(上記参照)をシリコン基板表面に接近させると、大気中の水分子がカンチレバーおよび基板表面に吸着し、水の表面張力によってカンチレバーと基板の間に極微小な水のカラムが形成される。この状態で、カンチレバーと基板の間に数ボルトの直流電圧を印加すると、シリコン基板表面では、下記の反応式:
Si + 2H2O → SiO2 + 2H2
に基づいて、水分子を利用した酸化反応が起こり、酸化シリコンと水素が生成される。この現象により、シリコン基板の上に酸化膜が局部的に形成される。なお、酸化反応の関係上、カンチレバー側の電位は負に、シリコン基板側の電位は正になるように電圧を印加する必要がある。
さらに、本発明では、酸化膜を作製した後に、DNA構造体を基板表面に吸着させるため、原子間顕微鏡から基板を取り出してもよい。次に、酸化膜が形成された位置を確認するために、リソグラフィーなどの慣用的な技術を用いてマーカーを作製してもよい。例えば、酸化膜を除去したシリコン基板の上に、レジスト膜を塗布し、ベイクを実施して固める。次に、マスクアライナーを用いて、マスクのパターンを露光する。なお、使用したマスクは、従来から報告されているものを使用することができ、マスクには、所定の直径(例えば、35μm)を有する円が所定の間隔(例えば、80μm)でパターン化されてもよい。最後に、現像し、純水を用いてリンスを行ってもよい。マーカーを作製する方法は、上記の方法に限定されず、必要に応じてシリコン基板上に酸化膜の位置確認用マーカーを作製することができる。
本発明の方法は、原子間力顕微鏡を用いた陽極酸化により基板上に陽極酸化膜のアンカーポイントを等間隔に形成させることによって特徴付けられる。本発明によれば、本発明の方法によって、50nm〜1000nmの等間隔でアンカーポイントを形成させることができる。基板上のアンカーポイントは、好ましくは、正方格子、三角格子、六角格子、より好ましくは正方格子である。
本発明の一態様では、アンカーポイントの形状は、限定されないが、円形であることが好ましい。また、アンカーポイントが円形である場合には、円の直径は、典型的には、10nm〜100nmである。
各アンカーポイントにアビジン(例えば、ストレプトアビジン)を固定するために、予めアンカーポイントをシランカップリング剤によってコーティングすることができる。本発明の製造方法に使用可能なシランカップリング剤は、限定されないが、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及び β−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランが含まれる。好ましくは、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、より好ましくは3−アミノプロピルトリエトキシシランである。このようなシランカップリング剤によってコーティングされたアンカーポイントに固定させるストレプトアビジンの数は、好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個、最も好ましくは1個である。このようにアンカーポイントに固定されたストレプトアビジンを介して、ビオチン標識した上述のDNA構造体を結合させることができる。ストレプトアビジンとビオチンとの反応条件は、当業者に周知である。
(2)ナノ粒子/DNA構造体の複合体の形成
本発明によれば、ナノ粒子を基板上の環状DNA内部に静電気力又は化学結合に固定させることができるが、これに限定されない。より具体的には、ナノ粒子の懸濁液を基板に滴下し、静置し、その後、乾燥させることにより、基板上でナノ粒子/DNA構造体の複合体を形成させることができる。このような複合体を形成させるための上記懸濁液の濃度、滴下条件、静置時間、乾燥条件などは、当業者であれば適宜調節することができる。
なお、下記の実施例は、本発明のナノ粒子配列基板の製造方法をより具体的に説明するために例示したものであり、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例1.DNA構造体の作製
(1)試料及び試薬
ベクターDNAの作製には、プラスミドDNAとしてpBR322、pKF3(タカラバイオ)、制限酵素としてHinIII、NheI、XhoI、BamHI(タカラバイオ)を用いた。制限酵素によるプラスミドDNAの切断処理には、超純水(Mili−Q水、18.3MΩcm)、緩衝液を用いた。なお、緩衝液はMバッファー(タカラバイオ、組成:100mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM MgCl2、10mMジチオスレイトール、500mM NaCl)、Kバッファー(タカラバイオ、組成:200mM Tris−HCl(pH8.5)、100mM MgCl2、10mM ジチオスレイトール、1,000mM KCl)を用いた。また、インサートDNAの作製には、一本鎖の合成DNA(タカラバイオに合成依頼)を用いた。ベクターDNAとインサートDNAのライゲーションには、Ligation Kit ver2.1(タカラバイオ)を用いた。
アガロースゲル電気泳動に使用するゲルには、アガロース21(ニッポンジーン)とTAEバッファー(和光純薬、組成:0.04M Tris−酢酸、0.001M EDTA)を使用した。ゲル内部のDNAの染色溶液には、エチジウムブロマイド溶液(EtBr)(和光純薬)を使用した。電気泳動のゲル片から環状DNAを抽出するためのキットは、Wizard SV Gel and PCR Clean−UP Syteme(Promega)を用いた。ポリアクリルアミドゲル電気泳動に使用するゲルには、30%アクリルアミド溶液(和光純薬、アクリルアミド−HG)、5×TBEバッファー(445mM Tris−ホウ酸、10mM EDTA)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン:TEMED(和光純薬)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム:APS(和光純薬)を使用した。
アビジン−ビオチン結合の確認用のタンパク質は、ストレプトアビジン(Jackson Immuno Research、1.0mg)を用いた。また、原子間力顕微鏡におけるDNA構造体の作製用のタンパク質は、ストレプトアビジン標識の金コロイド溶液(BB International製、ストレプトアビジン:5nm金)を用いた。
(2)ベクターDNAの作製
ベクターDNAは、プラスミドDNAを制限酵素によって切断することによって作製した。1箇所にビオチンを標識した環状DNA作製用のベクターDNAには、プラスミドDNAであるpB322を使用した。pBP322 20μlにMバッファー10μl、超純水を60μlで混合した後、制限酵素NheI(10ユニット/μl)、HindIII(10ユニット/μl)を各5μlずつ混合して、37℃、1時間で静置し、長さ200bp(理論値:64mm)のDNA断片を得た。また、2箇所にビオチンを標識した環状DNA作製用のベクターDNAには、プラスミドDNAであるpKF3を2個使用した。1つ目のベクターについては、pKF3 20μlにKバッファー10μl、超純水60μlを混合した後、制限酵素XhoI(10ユニット/μl)、HindIII(10ユニット/μl)を各5μlずつ混合して、37℃、1時間で静置し、長さ81bp(理論値:28nm)のDNA断片を得た。2つ目のベクターについては、先のベクターと同様の混合比で、pKF3にKバッファー、超純水を混合した後、制限酵素BamHI(10ユニット/μl)、NheI(10ユニット/μl)によって37℃、1時間で静置し、長さ106bp(理論値:36nm)のDNA断片を得た。さらに、エタノール沈殿によりDNAを精製した。
(3)インサートDNAの作製
インサートDNAの作製には、ビオチン標識の一本鎖DNAおよび相補的に結合する一本鎖DNAの塩基配列を設計し、DNAシンセサイザーを用いて合成した(タカラバイオに合成依頼)。また、ビオチン標識は、一本鎖DNAを合成する際に、ビオチン標識ヌクレオチドを用いることによって行った。ビオチンを1箇所に標識した環状DNA用のインサートDNAの塩基配列は、インサートDNAa:5’−AGCTGTTCATCCTGCCCAAGACTTACGT−3’(配列番号1)(下線のGは、ビオチン標識されている)及びインサートDNAb:5’−CTAGACGTAAGTCTTGCCGGCAGGATGAAC−3’(配列番号2)である。ビオチンを2箇所に標識した環状DNA用のインサートDNAの塩基配列は、(I)インサートDNA1a:5’−TCGAGTTCATCCTGCCCAAGACTTACGT−3’(配列番号3)(下線のGは、ビオチン標識されている)及びインサートDNA1b:5’−CTAGACGTAAGTCTTGCCGGCAGGATGAAC−3’(配列番号4)、並びに(II)インサートDNA2a:5’−AGCTGTTCATCCTGCCCAAGACTTACGT−3’(配列番号5)及びインサートDNA2b:5’−GATCACGTAAGTCTTGCCGGCAGGATGAAC−3’(配列番号6)である。次に、合成した一本鎖DNAを用いて、二本鎖DNAの作製を行った。
(4)ベクターDNA及びインサートDNAの結合による環状DNAの作製
ベクターDNAとインサートDNAをライゲーションして、ビオチン標識した環状DNAを作製した。まず、ベクターDNAとインサートDNAの濃度(w/v)を分光器(BECKMAN COULTER,DU800)で測定し、それぞれのモル濃度を算出した。次に、ベクターDNAとインサートDNAのモル濃度比が1:10になるように混合した。このモル濃度比は、インサートDNAの量を多くすることで、環状DNAが形成され易くなることを配慮した。電気泳動により、上記モル濃度比が妥当であることを確認した。混合したDNA溶液は、PCR Thermal cycler Dice(タカラ、Model TP600)を使用して、50℃で5分加熱した後、−2℃/分の間隔で除冷し、20℃まで冷却した。この処理により、ベクターDNAとインサートDNAの末端同士を結合させて、環状DNAを作製した。また、塩基同士の結合のみでは結合強度が不足していると考えられたため、連結酵素(ligase)によるライゲーションを実施した。ライゲーションは、Ligation Kit ver2.1をDNA溶液と等量混合し、16℃で30分静置させて行った。この処理により、DNAの糖鎖部分においてホスホジエステル結合が行われ、ベクターDNAとインサートDNAの結合を強固なものとした。以上の手順により、直径25nmの1箇所にビオチン標識した環状DNA、及び直径28nmの2箇所にビオチン標識した環状DNAを作製した。
ライゲーション直後のDNA溶液には、環状DNAの他にプラスミドDNAの残りがあるため、アガロースゲル電気泳動を用いて環状DNAの分離及び抽出を行った。また電気泳動では、ベクターDNAとインサートDNAのモル濃度比を1:10で混合した場合には、環状DNAを検出することができたが、該モル濃度比を1:0.1、1:1とすることによって環状DNAは検出されなくなった(データ示さず)。この結果から、ビオチン標識の環状DNAの作製には、ベクターDNAとインサートDNAのモル濃度比を1:10で混合することが妥当であることが示唆された。
実施例2.原子間力顕微鏡によるDNA構造体の確認
ゲル片より抽出した環状DNAに対して、ストレプトアビジン標識の金コロイド溶液(BB International製、ストレプトアビジン:5nm金)を混合して、DNA構造体を作製した。「DNAグラス」は、ビオチンが1箇所付加された環状DNAとストレプトアビジン溶液を10,000倍希釈したものを混合し、16℃、12時間静置後、超純水を加えて作製した。「DNA直列リング」は、ビオチン1箇所付加された環状DNA、ビオチンを等間隔に配置した鎖状DNA(ビオチン間隔27nm、長さ340nm)及びストレプトアビジン溶液を10,000倍希釈したものを混合し、16℃、12時間静置後、超純水を加えて作製した。「DNAチェーン」は、ビオチンが2箇所付加された環状DNAとストレプトアビジン溶液を80,000倍希釈したものを混合し、16℃、12時間静置後、超純水を加えて作製した。次に、作製したDNA構造体を確認するため、原子間力顕微鏡(SII、SPA400)を用いて観察した。観察条件は、タッピングモード(DFM mode)で、カンチレバーはSI−DF20(SII、バネ定数13N/m)を用いた。観察用の基板は劈開マイカ板を用い、0.02%(v/v)3−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ−APTES)を介してDNA溶液を基板上に固定した。
原子間力顕微鏡で観察を行った結果、2個の環状DNAが結合したメガネ形状のDNA構造体を確認し、本発明で提案した原理によるDNAとタンパク質の複合型ナノ構造体が作製できることが示唆された(図2(a)及び(b))。次に、DNAグラスの原子間力顕微鏡観察結果を用いて、原子間力顕微鏡のソフトウェアの機能である断面プロファイル解析機能を利用して得られた断面図を図2(c)に示す。断面図の測定結果により、環状になっている物体の直径は21〜24nmとなり、設計した環状DNAの直径の理論値(25nm)に近似し、構造体の中央部にある物体の直径は17nmとなり、ストレプトアビジン単体を原子間力顕微鏡で測定した場合の直径(20nm)に近似することを確認した。以上の結果より、原子間力顕微鏡で観察したメガネ形状の構造体は、ストレプトアビジンと環状DNAが結合したDNAグラスであると考えられる。
また、本発明で提案したビオチン標識の環状DNAは、使用する制限酵素とインサートDNAの塩基配列を変更することにより、環状DNAの直径を変更するできる。そこで、直径41nm、71nmの環状DNAを作製し、本発明で提案する原理が有効であることを確認した。直径41nmの環状DNAは、pBR322を制限酵素HindIII(10ユニット/μl)とNamHI(10ユニット/μl)を用いてベクターDNAを作製し、このベクターDNA及び前述したインサートDNAa(配列番号1)とインサートDNA2b(配列番号6)をライゲーションさせて作製した。また、直径71nmの環状DNAは、pBR322を制限酵素HindIII(10ユニット/μl)とSalI(10ユニット/μl)を用いてベクターDNAを作製し、このベクターDNA及びインサートDNAa(配列番号1)とインサートDNA3b:5’−TCGAACGTAAGTCTTGCCGGCAGGATGAAC−3’(配列番号7)をライゲーションさせて作製した。作製した環状DNAは、アガロースゲル電気泳動で生成を確認後、抽出した。さらに、原子間力顕微鏡を用いて環状であることを確認した(図3)。
各環状DNAの生成率について検討すると、直径25nm及び41nmの環状DNAは、生成率が約70%であった。一方、直径71nmの環状DNAは、生成率が18%であった。これは、ベクターDNAが長くなることにより、インサートDNAの両末端と結合することが困難になるからであると考えられる。
実施例3.変形機能を有するDNA構造体の作製
(1)試料及び試薬
本試験では、1箇所にビオチンを標識した環状DNAとして、実施例2で作製した直径71nmのものを使用した。ニック部分のリン酸化処理には、リン酸化処理キットであるT4ポリヌクレオチドキナーゼ(タカラバイオ)を使用した。リン酸化処理キットは、1×T4PNKバッファー(500mM Tris−HCl、pH8.0、100mM MgCl2、50mM DTT)、10mM ATP、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(10ユニット/μl)で構成されている。アガロースゲル電気泳動に使用するゲルには、アガロース21(ニッポンジーン)とTAEバッファー(上述)を使用した。ゲル内部のDNAの染色溶液には、エチジウムブロマイド溶液を使用した。リン酸化した環状DNAが含まれているゲル片から環状DNAを抽出するキットは、Wizard SV gel and PCR Clean−UP System(Promega)を使用した。ニックを解消するためのライゲーションには、Ligation Kit ver2.1(タカラバイオ)を使用した。
(2)スーパーコイル形状のDNA構造体の作製方法
前述のDNAグラスには、ニックと呼ばれる切り欠き部分が存在している。ニックがある環状DNAはスーパーコイル化しないことが知られているため、予めニックを解消する処理を施した。まず、直径71nmの環状DNAを使用し、ニック部分をリン酸化させる酵素を用いてリン酸化処理を施した。その後、酵素を失活させるために、65℃で10分間インキュベートした。次に、アガロースゲルを用いて電気泳動を行い、リン酸化した環状DNAが含まれているゲル片を切り出し、抽出した。その後、連結酵素を用いてライゲーションを行い、ニック部分の結合を行った。ライゲーションは、Ligation Kit ver2.1をDNA溶液と等量混合し,16℃で30分間静置させることで行った。この処理により、環状DNAのニック部分の糖鎖部分においてホスホジエステル結合が行われ、環状DNAのニックを解消した。
(3)原子間力顕微鏡による観察
スーパーコイル形状のDNA構造体を電気泳動によって確認後、原子間力顕微鏡を用いて観察した。原子間力顕微鏡による観察条件は、実施例2と同様である。その結果、環状DNAの一部が捩れた構造体を観察した(図4)。原子間力顕微鏡の観察結果を用いて、原子間力顕微鏡のソフトウェアの機能である断面プロファイル解析機能を利用して得られた断面図を図4(下段)に示す。構造体の断面を解析した結果、捩れた部分の高さは約0.78nmであり、環状部分の高さは約0.4nmであった。その結果、捩れた部分の高さと環状部分の高さには、約2倍程度の差があることが確認された。以上の観察結果より、作製された構造体は、環状DNAの一部が捩れてスーパーコイル化した可能性があると考えられる。
実施例4.DNA構造体の精確な位置決め
(1)試料及び試薬
DNA構造体の精確な位置決めのための基板には、シリコン基板(P型(100)、抵抗値0.1−0.3Ωcm)を使用した。シリコン基板の表面洗浄には、アセトン(和光純薬)を使用し、シリコン酸化膜の除去には、バッファード・フッ酸(BHF、和光純薬)を使用した。酸化膜の位置確認用マーカーの作製には、レジスト膜はOFPR−800(東京応化工業、54mPa.s,0.946L)を使用し、現像液はNMD−3(東京応化工業)を使用した。酸化膜へ固定するタンパク質は、ストレプトアビジン標識の金コロイド溶液(BB Intternational製、ストレプトアビジン:5nm金)を使用した。
(2)DNA構造体の精確な位置決め基板の作製方法
最初に、シリコン基板をダイシングによって、15×15mm2に切断した。切断したシリコン基板は、超音波洗浄器を用いて、超純水で5分間、アセトンで5分間の洗浄を実施し、基板表面に吸着した不純物を除去した。その後、シリコン基板をバッファード・フッ酸(BHF)に10分間浸して酸化膜の除去を行った。次に、酸化膜の位置確認用マーカーを作製するため、OFPR−800をシリコン基板に塗布し、スピンコーター(エイブル)を用いて、2000rpm(40秒間)、3000rpm(4秒間)の回転を与えて成膜を実施した。成膜後は、ホットプレート(KPI、HP−19U300)を用いて、100℃で2分間加熱し、基板上のレジストを固めた。レジストが成膜したシリコン基板は、マスクアライナー(KarlSuss、MJB3)に設置して、マスクパターンを露光した。露光後、現像液NMD−3によるマスクパターンの現像を約5分間実施し、超純水でリンスをした後、エアーを吹き付けて乾燥させた。
次に、原子間力顕微鏡(SII、SPA400)の測定台にマーカー付きのシリコン基板を乗せて、原子間力顕微鏡のコンタクトモード(AFM mode)の電圧印加機能を用いて、9.9Vで1秒間、直流電圧を印加して、5000×5000nm2の領域に、間隔1000nmの円形の酸化膜を作製した。なお、原子間力顕微鏡のカンチレバーはOMCL−RC800PB(オリンパス、バネ定数0.11N/m)を使用し、予め作製したマーカーを目印にして電圧を印加する位置を決定した。電圧印加後は、カンチレバーをSI−DF20(SII、バネ定数13N/m)に換えて、タッピングモード(DFM mode)にて、作製した酸化膜の直径および高さを測定した。
測定後、DNA構造体を基板に固定するために、基板を取り外して、0.01%(v/v)3−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ−APTES)を介してストレプトアビジン標識の金コロイド溶液又はDNA溶液を滴下した。まず、基板を0.01%(v/v)γ−APTES溶液中に浸し、室温で20分間静置した後、超純水にて洗浄し、エアーを吹き付けて乾燥させた。次に、ドライオーブン(三洋電機、MOV−112S)を用いて120℃で5分間焼成し、マイカ基板上にγ−APTESを修飾させた。最後に、濃度調整したDNA溶液又はストレプトアビジン標識の金コロイド溶液10μlを基板上に滴下し、2分間静置した後、超純水で基板洗浄を行い、エアーを吹き付けて乾燥させた。
(3)陽極酸化膜(アンカーポイント)の形成
原子間力顕微鏡の電圧印加機能を用いて作製した酸化膜の原子間力顕微鏡の観察像を図5に示す。その結果、円形状の構造体がシリコン基板の表面に、1000×1000nm2の間隔で形成していることを確認した(図5(a)及び(b))。次に、酸化シリコン膜の原子間力顕微鏡による観察結果を用いて、原子間力顕微鏡のソフトウェアの機能である断面プロファイル解析機能を利用して得られた断面図を図5(c)に示す。断面図の測定結果により、酸化シリコンの直径は122nm、高さは3.2nmの大きさをしていることを確認した。酸化膜の大きさは、印加電圧の大きさとカンチレバーの直径に依存することが知られており、酸化膜はカンチレバーの直径より大きくなる。本実験で使用したカンチレバー(OMCL−RC800PB)の直径は60nmであり、カンチレバーの直径の約2倍の直径の酸化膜が形成した。以上の結果より、原子間力顕微鏡の電圧印加機能を用いて、シリコン基板上に局部的に酸化膜を形成できることを確認した。
(4)ストレプトアビジン及びDNAの固定処理
作製した酸化膜にγ−APTESをコーティングして、タンパク質又はDNAを吸着させ、原子間力顕微鏡を用いて観察した結果を図6に示す。本実験では、ストレプトアビジン標識の金コロイド溶液を使用した。これは、ストレプトアビジンが球形をしていることから、酸化膜へ吸着した際に幾何学的に判断がし易いという理由から、酸化膜への吸着実験の最初の取り組みとして採用した。まず、酸化膜が形成した直後の観察を行ったところ、高さ3.8nm、幅123nmの酸化膜が形成していることを確認した(図6(a))。次に、ストレプトアビジン標識の金コロイド溶液の吸着処理を施したものでは、高さは5.0nmに変化し、直径57nmの粒子状の物体が酸化膜に吸着していることを確認した(図6(b))。なお、酸化膜の観察は同じ位置で実施している。ストレプトアビジンの吸着処理の前後において、酸化膜に高低差が発生しており、表面形状を比較しても、図図6(b)には粒子状の物体が多数付着していることが確認出来ることから、原子間力顕微鏡を用いて作製した酸化膜にストレプトアビジンが吸着していると考えられる。以上の結果より、原子間力顕微鏡の電圧印加機能を用いて作製した酸化膜に、ストレプトアビジンを固定できることを確認した。
基盤上へのDNA構造体を固定化する方法の概要を示す。 DNAグラスの原子間力顕微鏡による観察結果を示す。(a)走査範囲1000×1000nm2における測定結果、(b)DNAグラスの拡大図、及び(c)DNAグラスの断面解析図。 1箇所にビオチン標識した内径25nm、41nm、及び71nmの環状DNAを確認するための原子間力顕微鏡による観察結果を示す。 ニックを含まない状態の環状DNAの原子間力顕微鏡による観察結果を示す。(a)原子間力顕微鏡による観察像及び断面図、及び(b)観察された環状DNAの模式図。 原子間力顕微鏡による陽極酸化膜(アンカーポイント)の観察結果を示す。(a)及び(b)原子間力顕微鏡の電圧印加機能によって作製した酸化膜、及び(c)酸化膜の断面解析図。 原子間力顕微鏡によるストレプトアビジン固定処理の観察結果を示す。(a)酸化膜のみの状態、及び(b)酸化膜にストレプトアビジン標識の金コロイド溶液を固定した状態。

Claims (8)

  1. ナノ粒子をシリコン基板上に等間隔に配列させたナノ粒子配列基板の製造方法であって、下記のステップ:
    (a)原子間力顕微鏡を用いた陽極酸化により該基板上に陽極酸化膜のアンカーポイントを等間隔に形成する;
    (b)該アンカーポイントをシランカップリング剤によりコーティングする;
    (c)該コーティングされたアンカーポイントにストレプトアビジンを固定する;
    (d)ビオチン標識されたDNA構造体を該ストレプトアビジンと結合させる;そして
    (e)該ナノ粒子の懸濁液を滴下し、静置し、及び乾燥させることにより、該ナノ粒子と該DNA構造体を固定させて、ナノ粒子/DNA構造体の複合体を形成させる;
    を含み、ここで、該DNA構造体のサイズは、該ナノ粒子のサイズに適合する前記方法。
  2. 隣接するアンカーポイントが、50nm〜1000nmの等間隔で形成される、請求項1に記載の方法。
  3. アンカーポイントが、正方格子で整列する、請求項2に記載の方法。
  4. 各アンカーポイントが、直径10nm〜100nmの円形である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. シランカップリング剤が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びβ−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(c)において、各アンカーポイントに1〜5個のストレプトアビジンが固定される、請求項1〜5に記載の方法。
  7. DNA構造体が、直径5nm〜100nmの環状DNAを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により製造されたナノ粒子配列基板。
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