JP2009198796A - 現像ローラー - Google Patents
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Abstract
【課題】均質な表面粗さ、寸法精度を得た軸体に均質なメッキが施されることで、使用環境の厳しさに影響されること無く、長期間の使用に耐えうる現像ローラーを提供する。
【解決手段】軸体上にメッキ皮膜を有し該メッキ皮膜上にシリコーンゴム層を有する現像ローラーにおいて、軸体がフェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼からなり、低炭素快削鋼が硫化物微粒子を含有し、全硫化物微粒子中の長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が90%以上であり、Pbの含有率が0.03質量%以下である。
【選択図】図1
【解決手段】軸体上にメッキ皮膜を有し該メッキ皮膜上にシリコーンゴム層を有する現像ローラーにおいて、軸体がフェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼からなり、低炭素快削鋼が硫化物微粒子を含有し、全硫化物微粒子中の長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が90%以上であり、Pbの含有率が0.03質量%以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真複写装置、プリンター、静電記録装置等の画像形成装置において使用される現像ローラーに関する。
レーザープリンター、ファクシミリ等の電子写真装置には帯電ローラー、現像ローラー、転写ローラー等、多数のゴムローラーが用いられている。これらのゴムローラーは、電子写真装置が、高精細な画像を得るために、ゴムローラーの軸体から高精度であることを求められており、かつ、使用される環境が、多岐にわたるため防錆にも注意が必要であった。
このような観点から、軸体の高精度を得るためにより高い快削性が不可欠となってきた。快削性は鋼に鉛が含有されているとたやすく得られるが、昨今の環境への影響から、鉛フリーの鋼が要請され、これにこたえる鉛フリー快削鋼が知られている(特許文献1)。
ただし、電子写真関係のローラー用途の場合、使用環境の厳しさに耐えるために、特に高温高湿下での防錆が、重要になっている。ところが、そのための鍍金の良否は、下地の出来具合にかなり左右される。
即ち、下地とは、軸体の表面であるから、所望の表面を得るためには、従来以上の快削性に優れた軸体材料により、寸法の高精度はもちろん、表面性の良さを追求することになる。
特開2003−226935号公報
本発明の目的は、均質な表面粗さ、寸法精度を得た軸体に均質なメッキが施されることで、使用環境の厳しさに影響されること無く、長期間の使用に耐えうる現像ローラーを提供することである。
本発明により、軸体上にメッキ皮膜を有し、該メッキ皮膜上にシリコーンゴム層を有する現像ローラーにおいて、
前記軸体が、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼からなり、
該低炭素快削鋼が、硫化物微粒子を含有し、
全硫化物微粒子中の、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が90%以上であり、
Pbの含有量が0.03質量%以下であることを特徴とする現像ローラーが提供される。
前記軸体が、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼からなり、
該低炭素快削鋼が、硫化物微粒子を含有し、
全硫化物微粒子中の、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が90%以上であり、
Pbの含有量が0.03質量%以下であることを特徴とする現像ローラーが提供される。
本発明により、軸体は均質な表面粗さ、寸法精度を得ることができる。したがって、軸体上に均質なメッキが施され、使用環境の厳しさに影響されること無く、メッキ被膜層に問題が発生すること無く、長期間の使用に耐えうる現像ローラーが提供される。
本発明は、軸体上にメッキ皮膜を有し、該メッキ皮膜上にシリコーンゴム層を有する現像ローラーに関する。本発明の現像ローラーは電子写真記録もしくは静電気録装置用に好適である。
本発明において、軸体は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼からなる。低炭素快削鋼は、硫化物微粒子を含有する。全硫化物微粒子中の、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が90%以上である。該低炭素快削鋼中のPbの含有量が0.03質量%以下である。
〔軸体について〕
本発明の目的に鑑みて、最初に解決すべき技術課題は、軸体の研削(切削、研磨も含む)により、従来より一段精度の高い表面粗度の実現により、次工程でのメッキの被膜性を向上させることにある。そのためには、より高い被削性の鋼材が求められる。
本発明の目的に鑑みて、最初に解決すべき技術課題は、軸体の研削(切削、研磨も含む)により、従来より一段精度の高い表面粗度の実現により、次工程でのメッキの被膜性を向上させることにある。そのためには、より高い被削性の鋼材が求められる。
また現像ローラーは導電性が求められることが多いため必要に応じて軸体は導電性であることが好ましい。よって軸体の材質は鋼材が好適に用いられる。
〔鋼のミクロ組織について〕
軸体にはフェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼を用いる。鋼の組織はフェライト−パーライトを主体とするものが好ましい。
軸体にはフェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼を用いる。鋼の組織はフェライト−パーライトを主体とするものが好ましい。
ここでいうフェライト−パーライト組織は低炭素量のときに存在するフェライト相中にパーライト相が存在する亜共析鋼と呼ばれるものである。
硫化物微粒子は、粒度番号7番(JIS G 0551)のオーステナイト粒度測定法による粒度7を超えて細粒にすることが好ましい。十分な被削性を得るためには、鋼のミクロ組織がフェライト−パーライト組織であれば、鋼に亀裂が発生しやすく、微細化されているため、得られる被削物表面の面粗度が滑らかな表面が得られる。
そして、本発明では、硫化物微粒子を含有する低炭素快削鋼を用いる。ここで言う低炭素快削鋼とは、鋼中の炭素成分が0.02質量%以上から0.15質量%以下とするものであり、鋼の強度を維持しつつ被削性を確保するものである。また十分な被削性を得るため、鋼中の成分としてCr、Mn、Sの量をそれぞれ、0.50質量%以上1.50質量%以下、0.50質量%以上1.50質量%以下、0.35質量%以上0.55質量%以下、CrとSの質量比率(Cr/S)を2〜4とすることが好ましい。Cr、Mn、Sの量および比率を以上の範囲にすることで鋼中の硫化物微粒子の形状が切削に対し最適化される。また鋼の被削性のために低炭素快削鋼中の成分としてPbの含有量が0.03質量%以下であることが必要である。
硫化物微粒子の長径については、全硫化物微粒子中の内、長径10μm以上である硫化物微粒子の割合が90%以上を占める必要がある。
さらに長径10μm以上の粒径を有する硫化物微粒子の内、アスペクト比が5以下のものが80%以上を占めることが好ましい。
硫化物微粒子の形態測定は、軸体の適当な位置において縦5.5mm、横11mmの領域に存在する全ての硫化物微粒子を画像解析し、長径10μm以上の硫化物微粒子の占める割合を測定することができる。またこの画像解析により、長径10μm以上の硫化物微粒子の内、アスペクト比(=長径/短径)が5以下となるものが占める割合を測定することができる。
上記条件を満たすフェライトパーライト組織を有する低炭素快削鋼としては、たとえばCCC鋼(登録商標名:CCC快削鋼、JFE条鋼社製)が挙げられる。
〔メッキについて〕
軸体の鋼材の表面の処理状態が良く、メッキののりが良いようなメッキで、各種環境下の使用に耐えて、錆び、浮き等の問題が発生しないことを条件に、各種のメッキが採用されうる。
〔メッキについて〕
軸体の鋼材の表面の処理状態が良く、メッキののりが良いようなメッキで、各種環境下の使用に耐えて、錆び、浮き等の問題が発生しないことを条件に、各種のメッキが採用されうる。
更にメッキが剥がれにくく錆びが発生しにくいという観点から、メッキ皮膜が、無電解ニッケル−リンメッキにより形成された少なくともリンとニッケルとを含むメッキ皮膜であることが好ましい。
中でも、軸体(メッキ)上に形成せしめるゴム材との密着性を考慮して、メッキ層中に(メッキ皮膜中に)一リン化三ニッケル(Ni3P)を含むようなメッキ材が望ましい。
メッキは軸体の全ての表面を覆うことが望ましく、その膜厚は3〜8μmが好ましい。またメッキ層中に一リン化三ニッケル(Ni3P)の含有量は、3質量%〜70質量%とするのが好ましい。ゴムとの密着性の観点から、3質量%以上が好ましく、メッキ膜が脆くなって錆などが発生してしまうことを防止する観点から、70質量%以下が好ましい。
〔シリコーンゴム層について〕
メッキ被膜を有する軸体の上に、特にはその外周面上に、弾性層としてシリコーンゴム層が形成される。現像ローラーとして優れた反発弾性を有する導電性の弾性層を形成するのに好ましい材料は、シリコーンゴムポリマーに導電性フィラーとしてカーボンブラックを配合したものが挙げられ、これによりシリコーンゴム層が得られる。
メッキ被膜を有する軸体の上に、特にはその外周面上に、弾性層としてシリコーンゴム層が形成される。現像ローラーとして優れた反発弾性を有する導電性の弾性層を形成するのに好ましい材料は、シリコーンゴムポリマーに導電性フィラーとしてカーボンブラックを配合したものが挙げられ、これによりシリコーンゴム層が得られる。
例えば、次のようにして軸体の外周面に導電性のシリコーンゴム層を形成することができる。すなわち、まず必要とするシリコーンゴム層外径に対してその内径が適当に選択された円筒状型内に、表面に加硫接着タイプのシリコーンゴム用プライマーを極薄く塗布した上記軸体を両端でコマにより押えて配する。そして、注入ノズルをどちらか一方のコマに接触させる。次に、シリコーンゴムポリマーに導電性フィラーとしてカーボンブラック等を配合したものを、コマの材料流通口から1秒〜20秒間かけて注入し、注入終了後0.2秒〜12秒後にノズルを後退させる。またこの際、注入ノズルが接触していない側のコマは、材料注入圧力で動いてしまうのを防止する為に、100N〜10000Nの力で押さえつける。その後一次硬化として100℃〜150℃の温度にて3分〜60分加熱・硬化することにより、成形型内で軸体の外周面上に導電性シリコーンゴム層を配したものを得ることができる。この際、材料を注入する前の型はサイクルタイムを早くする為に、材料硬化温度と同じ温度に予備加熱しておくことが好ましい。この際の一次硬化とは、成形型からその形状を著しく損なうことなくシリコーンゴム層を取り出すことが出来る程度にまで導電性弾性材料を硬化させることを指す。その後、成形型外から冷却し、さらに脱型することにより、シリコーンゴム層の肉厚が2〜5mmの現像ローラーに使用可能な導電性のシリコーンゴム層を得ることができる。
〔液状シリコーンゴムポリマー〕
シリコーンゴム層形成用材料として、液状シリコーンゴムポリマーを用いることが好ましい。液状シリコーンゴムポリマーとしては、加工性に優れている、硬化反応に伴う副生成物の発生が無い為寸法安定性が良好である、硬化後の物性が安定している等の理由から、付加反応架橋型シリコーンゴムポリマーが好ましい。
シリコーンゴム層形成用材料として、液状シリコーンゴムポリマーを用いることが好ましい。液状シリコーンゴムポリマーとしては、加工性に優れている、硬化反応に伴う副生成物の発生が無い為寸法安定性が良好である、硬化後の物性が安定している等の理由から、付加反応架橋型シリコーンゴムポリマーが好ましい。
付加反応架橋型シリコーンゴムポリマーは、例えば式(1)で表されるオルガノポリシロキサン、及び式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含み、さらに触媒や他の添加物と適宜混合させて用いることができる。
式中R1およびR2は互いに同じでも異なっていてもよいアルケニル基であり、Xは正の整数である。
オルガノポリシロキサンはシリコーンゴム原料のベースポリマーであり、その重量平均分子量は特に限定されないが10万以上100万以下が好ましく、40万以上70万以下がより好ましい。さらに加工特性及び得られるシリコーンゴム組成物の特性等の観点から、オルガノポリシロキサンの粘度は、10Pa・s以上が好ましく、250Pa・s以下がより好ましい。
上記オルガノポリシロキサンのアルケニル基は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの活性水素と反応して架橋点を形成する部位であり、その種類は特に限定されない。活性水素との反応性が高い等の理由から、R1およびR2は、ビニル基及びアリル基から選ばれることが好ましく、ビニル基が特に好ましい。
式中、yは2以上の正の整数であり、zは正の整数である。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、硬化工程における付加反応の架橋剤の働きをするもので、一分子中のケイ素原子結合水素原子の数は2個以上である。硬化反応を良好に行わせる為に、比較的低分子量(重量平均分子量で1000以上5000以下)が好ましい。
〔樹脂層〕
シリコーンゴム層上に、更に表面層として1層以上の樹脂層を形成することができる。
シリコーンゴム層上に、更に表面層として1層以上の樹脂層を形成することができる。
樹脂層を形成する材料として、例えば、各種のポリアミド、フッ素樹脂、水素添加スチレン−ブチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、オレフィン樹脂等を用いることができる。
これらの材料は、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを利用した従来公知の分散装置を使用して、溶媒に分散させることができる。適当な溶媒の例としてメチルエチルケトン、トルエン、メチルイソブチルケトンを挙げることができる。この分散を行うことにより、表面欠損の少ない表面層を得るための塗工液を得ることができる。
得られた表面層形成用の分散体は、スプレー塗工法、ディッピング法等によりシリコーンゴム層の上に塗工することができる。
表面層の厚みとしては、電子写真プロセスに用いる弾性ローラーの場合、シリコーンゴム層成分がしみ出してきて画像形成体を汚染することを優れて防止する観点から5μm以上が好ましい。一方、弾性ロールの表面が硬くなることを防止し、トナーの融着を防止する観点から500μm以下が好ましい。より好ましくは10〜30μmである。
〔評価について〕
現像ローラーの軸体とメッキ層の密着度が注目される。現像ローラーとしての使用において、錆や剥がれが生じなければ現像ローラーとして用いた場合に画像上の欠陥として現れない。密着性は、元を正せば、軸体の表面性の良し悪しに依存する。また、画像上の乱れは、軸体の真直度、振れ等の精度に依存する。いずれも軸体の被削性の良し悪しに依存するものである。直接的な密着性の評価が困難であること、最終使用での良否により、結局密着性が判断されることから、ローラー形状として、電子写真用途に問題ないかどうかで、密着性を評価した。
現像ローラーの軸体とメッキ層の密着度が注目される。現像ローラーとしての使用において、錆や剥がれが生じなければ現像ローラーとして用いた場合に画像上の欠陥として現れない。密着性は、元を正せば、軸体の表面性の良し悪しに依存する。また、画像上の乱れは、軸体の真直度、振れ等の精度に依存する。いずれも軸体の被削性の良し悪しに依存するものである。直接的な密着性の評価が困難であること、最終使用での良否により、結局密着性が判断されることから、ローラー形状として、電子写真用途に問題ないかどうかで、密着性を評価した。
特に環境条件の厳しい場合に問題の生ずることが多いので、高温高湿(70℃、相対湿度95%RH)下で1週間現像ローラーを放置した後の画像評価の良し悪しで評価を行った。
画像評価には電子写真装置、具体的には電子写真式レーザービームプリンター(LBP2510、キヤノン社製)を用いた。この装置は、A4版出力用のマシンであり、記録メディアの出力スピードはA4縦16枚/分、画像の解像度は600dpiで画像評価を行った。
寸法関係の精度に関しては、表にしての比較対照はしないが、本発明で用いる鋼に該当しない鋼材の使用の場合も切削の条件を同一条件とし、本発明で用いる鋼材の使用の場合と比較した。本発明で用いる鋼材の使用によれば、より被削性が優れるため高精度の軸体が得られ、その結果として、現像ローラーの収率、精度において上回っていた。
また現像ローラーの評価は、高温高湿下耐久条件下でよりシビアに差異が出るので、この条件において、評価したものである。
〔実施例1〕
軸体材料として、低炭素快削鋼(JFE条鋼製、登録商標名:CCC快削鋼)を用いた。この鋼は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼であり、硫化物微粒子を含有するものである。そして、低炭素快削鋼中の、全硫化物微粒子中の長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が98%であり、Pbの含有量が0.001質量%以下である。
軸体材料として、低炭素快削鋼(JFE条鋼製、登録商標名:CCC快削鋼)を用いた。この鋼は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼であり、硫化物微粒子を含有するものである。そして、低炭素快削鋼中の、全硫化物微粒子中の長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が98%であり、Pbの含有量が0.001質量%以下である。
軸体は、は無電解ニッケルーリンメッキにより形成された少なくともリンとニッケルとを含むメッキで皮膜され、そのメッキ皮膜が一リン化三ニッケル(Ni3P)を含むものとした。
直径6mmに切削加工された軸体材料に無電解ニッケルーリンメッキを施した(メッキされた軸体を以下芯金と称する)。芯金を、内径12mmの円筒状金型内に金型キャビティと同心となるように設置し、両側にコマ型、コマの間に円筒状金型を配置した金型を成型機にセットし、射出注入装置において液状ゴムを注入した。注入条件は、注入時間10秒、金型内に注入する液状ゴムの量は25mlで2.5ml/秒の一定速さで注入した。
ここで用いた液状ゴムは、2液混合の付加反応タイプの液状導電性シリコーンゴム(東レダウコーニング社製、体積固有抵抗1×106Ωcm品)である。その片液には白金触媒が微量に配合され、さらにもう片側には硬化剤が配合されている。
液状ゴムが注入された金型を成形装置内の熱盤により加熱して成型材料を硬化し、脱型後、200℃のオーブンで4時間2次加硫を行い、芯金上に厚み3mmのシリコーンゴム層弾性層を有する現像ローラー前駆体を得た。
次に、ウレタン塗料(商品名:ニッポランN5033、日本ポリウレタン社製)を固形分濃度10wt%となるように、メチルエチルケトンで希釈し、導電剤としてカーボンブラック(商品名:MA100、三菱化学製)を上記ウレタン塗料の固形分100質量部に対し70質量部、絶縁性粒子として平均粒径14μmのウレタン粒子(商品名:アートパールC400、根上工業製)を上記ウレタン塗料の固形分100質量部に対し10質量部添加した後、十分分散した。これに、硬化剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)を上記ウレタン塗料の固形分100質量部に対し10質量部添加し撹拌し、塗工液を調製した。次にこの塗工液を縦ディップ塗工装置の循環機中に投入し、約1時間塗工液を慣らし循環した。循環機中から塗工液の一部を抜き取り、B型粘度型にロータNo.1のロータをセットし、液温度23±1℃で、ロータ回転数60rpmにて粘度を測定した。このときの液粘度は14.0mPa・sであった。
上記方法で得られた現像ローラー前駆体にUV光を均一に照射し、表面を親水化処理した後、液状ゴムを注入した側を上向きにして塗工パレットに把持した。液浸入スピード10mm/s、液中停止時間10s、引き上げ速度平均200mm/sの条件で、現像ローラー前駆体を塗工液に浸漬し、縦ディップ塗布することによって上記塗工液を塗布した。これを、80℃のオーブンで15分乾燥し、140℃のオーブンで4時間硬化し、被覆層(表面層)を形成し、現像ローラーを得た。
こうして得られた現像ローラーを電子写真式レーザービームプリンター(LBP2510、キヤノン社製)用のトナーカードリッジに組み込み、そのトナーカードリッジを高温高湿(70℃、相対湿度95%RH)下で1週間放置した。その後、上記電子写真式レーザービームプリンターにトナーカードリッジを装着し画像評価の良し悪しを判断し、その結果を表1に示した。尚、現像ローラーは同様の物を10本用意し、同様のテストを実施した。
作成した現像ローラーの断面を図1に模式的に示す。芯金1aの周りにシリコーンゴム層1bが形成され、さらにその周りに被覆層1cが形成されている。なお、本明細書中、表面層まで形成した現像ローラーと区別するために、芯金にシリコーンゴム層を形成した段階のものを現像ローラー前駆体と呼んでいる。
〔実施例2〕
軸体材料に、実施例1とは異なる低炭素快削鋼を用いた。この鋼は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼であり、硫化物微粒子を含有するものである。そして、低炭素快削鋼中の、全硫化物微粒子に対する、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が95%であり、Pbの含有量が0.001質量%以下である。
軸体材料に、実施例1とは異なる低炭素快削鋼を用いた。この鋼は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼であり、硫化物微粒子を含有するものである。そして、低炭素快削鋼中の、全硫化物微粒子に対する、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が95%であり、Pbの含有量が0.001質量%以下である。
これ以外は実施例1と同様にして、現像ローラーを作成し、評価を行い、その結果を表1に示した。
〔実施例3〕
軸体材料に、実施例1および2とは異なる低炭素快削鋼を用いた。この鋼は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼であり、硫化物微粒子を含有するものである。そして、低炭素快削鋼中の、全硫化物微粒子に対する、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が98%であり、Pbの含有量が0.001質量%以下である。
軸体材料に、実施例1および2とは異なる低炭素快削鋼を用いた。この鋼は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼であり、硫化物微粒子を含有するものである。そして、低炭素快削鋼中の、全硫化物微粒子に対する、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が98%であり、Pbの含有量が0.001質量%以下である。
これ以外は実施例1と同様にして、現像ローラーを作成し、評価を行い、その結果を表1に示した。
〔実施例4〕
軸体材料に、実施例1および2、3とは異なる低炭素快削鋼を用いた。この鋼は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼であり、硫化物微粒子を含有するものである。そして、低炭素快削鋼中の、全硫化物微粒子に対する、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が90%であり、Pbの含有量が0.001質量%以下である。
軸体材料に、実施例1および2、3とは異なる低炭素快削鋼を用いた。この鋼は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼であり、硫化物微粒子を含有するものである。そして、低炭素快削鋼中の、全硫化物微粒子に対する、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が90%であり、Pbの含有量が0.001質量%以下である。
これ以外は実施例1と同様にして、現像ローラーを作成し、評価を行い、その結果を表1に示した。
〔比較例1〕
軸体材料にSUM24L鋼を用いた。
軸体材料にSUM24L鋼を用いた。
これ以外は実施例1と同様にして、現像ローラーを作成し、評価を行い、その結果を表1に示した。
〔比較例2〕
軸体材料にSUM23L鋼を用いた。
軸体材料にSUM23L鋼を用いた。
これ以外は実施例1と同様にして、現像ローラーを作成し、評価を行い、その結果を表
1に示した。
1に示した。
〔比較例3〕
軸体材料に、実施例1〜4とは異なる低炭素快削鋼を用いた。この鋼は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼であり、硫化物微粒子を含有するものである。そして、低炭素快削鋼中の、全硫化物微粒子に対する、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が88%であり、Pbの含有量が0.001質量%以下である。
軸体材料に、実施例1〜4とは異なる低炭素快削鋼を用いた。この鋼は、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼であり、硫化物微粒子を含有するものである。そして、低炭素快削鋼中の、全硫化物微粒子に対する、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が88%であり、Pbの含有量が0.001質量%以下である。
これ以外は実施例1と同様にして、現像ローラーを作成し、評価を行い、その結果を表1に示した。
実施例1〜4については高温高湿環境下で1週間放置しても特に問題のある画像は発生しなかった。比較例1に関しては、10本中3本の現像ローラーで画像上に現像ローラー周期で濃度ムラが発生した。また比較例2に関しては、10本中2本の現像ローラーで画像上に現像ローラー周期で濃度ムラが発生した。比較例3に関しては、10本中1本の現像ローラー周期で画像上に現像ローラー周期で濃度ムラが発生した。これは現像ローラーの端部芯金上に錆が発生し凹凸が出来た結果、現像ローラーの回転にムラが発生したためである。
1a 芯金
1b シリコーンゴム層
1c 被覆層
1b シリコーンゴム層
1c 被覆層
Claims (2)
- 軸体上にメッキ皮膜を有し、該メッキ皮膜上にシリコーンゴム層を有する現像ローラーにおいて、
前記軸体が、フェライト−パーライト組織を有する低炭素快削鋼からなり、
該低炭素快削鋼が、硫化物微粒子を含有し、
全硫化物微粒子中の、長径10μm以上の硫化物微粒子の割合が90%以上であり、
Pbの含有量が0.03質量%以下であることを特徴とする現像ローラー。 - 該メッキ皮膜が、無電解ニッケル−リンメッキにより形成された少なくともリンとニッケルとを含むメッキ皮膜であって、
かつ該メッキ皮膜中に一リン化三ニッケル(Ni3P)を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の現像ローラー。
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