JP2009197921A - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】一方向クラッチの係合ショックを抑制しつつその係合前後におけるレスポンスを向上させる車両用駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測する一方向クラッチ係合予測手段114と、その一方向クラッチ係合予測手段114により一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることが予測された場合には、その一方向クラッチF1が係合状態となる前にロックアップクラッチ32の係合圧をそのロックアップクラッチ32が係合させられる方向へ制御するロックアップクラッチ圧制御手段118とを、備えたものであることから、一方向クラッチF1が空転状態であるうちにタービン回転速度Ntの上昇を早めてレスポンスを向上させることができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、動力伝達経路に一方向クラッチを備えた車両用駆動力制御装置に関し、特に、その一方向クラッチの係合ショックを抑制しつつ係合前後におけるレスポンスを向上させるための改良に関する。
一方向の回転に関して係合状態とされるが逆方向の回転に関して空転状態とされる一方向クラッチ(ワンウェイクラッチ)を動力伝達経路に備えた車両用駆動力制御装置が知られている。この一方向クラッチは、例えば複数の変速段を選択的に成立させる多段式自動変速機において変速に用いられる係合要素の一つとして備えられるものであり、動力伝達軸の速度変化等により係合状態とされることでその一方向クラッチによる動力伝達が行われる状態とされ、他の係合要素の係合乃至解放と関連して上記自動変速機において所定の変速段を成立させる。
上述したような一方向クラッチを備えた自動変速機では、その一方向クラッチの係合に際してのショックの発生が問題とされていた。例えば、所謂コースト状態(惰性走行)からアクセルペダルの再踏み込みが行われた場合、上記一方向クラッチが急係合させられてショックが発生するおそれがあった。斯かる弊害を抑制するために、上記一方向クラッチの係合ショックを緩和させるための技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された自動変速機のワンウェイクラッチ係合ショック防止装置がそれである。この技術によれば、コースト状態からの再加速時にエンジンの出力を一時的に低下させることで、その再加速に伴う上記一方向クラッチの係合ショックを好適に緩和できるとされている。
実開平6−185607号公報
しかし、前述したような従来の技術では、コースト状態からの再加速時にエンジンの出力を一時的に低下させるため、前記一方向クラッチの係合前後におけるレスポンスすなわちアクセルペダルの踏み込み等に対する応答性が低下するおそれがあった。このため、一方向クラッチの係合ショックを抑制しつつその係合前後におけるレスポンスを向上させる車両用駆動力制御装置の開発が求められていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、一方向クラッチの係合ショックを抑制しつつその係合前後におけるレスポンスを向上させる車両用駆動力制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、一方向の回転に関して係合状態とされるが逆方向の回転に関して空転状態とされる一方向クラッチと、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータとを、動力伝達経路に備えた車両用駆動力制御装置において、前記一方向クラッチが空転状態から係合状態となることを予測する一方向クラッチ係合予測手段と、その一方向クラッチ係合予測手段により前記一方向クラッチが空転状態から係合状態となることが予測された場合には、その一方向クラッチが係合状態となる前に前記ロックアップクラッチの係合圧をそのロックアップクラッチが係合させられる方向へ制御するロックアップクラッチ圧制御手段とを、備えたことを特徴とするものである。
このようにすれば、前記一方向クラッチが空転状態から係合状態となることを予測する一方向クラッチ係合予測手段と、その一方向クラッチ係合予測手段により前記一方向クラッチが空転状態から係合状態となることが予測された場合には、その一方向クラッチが係合状態となる前に前記ロックアップクラッチの係合圧をそのロックアップクラッチが係合させられる方向へ制御するロックアップクラッチ圧制御手段とを、備えたものであることから、前記一方向クラッチが空転状態であるうちにタービン回転速度の上昇を早めてレスポンスを向上させることができる。すなわち、一方向クラッチの係合ショックを抑制しつつその係合前後におけるレスポンスを向上させる車両用駆動力制御装置を提供することができる。
ここで、好適には、前記一方向クラッチの係合が完了するまでの時間を算出する一方向クラッチ係合時間算出手段を備え、前記ロックアップクラッチ圧制御手段は、前記ロックアップクラッチが係合させられる方向へのそのロックアップクラッチの係合圧の制御の後に、前記一方向クラッチ係合時間算出手段により算出される前記一方向クラッチの係合が完了するまでの時間に基づいて前記ロックアップクラッチの係合圧をそのロックアップクラッチが解放させられる方向へ制御するものである。このようにすれば、前記一方向クラッチの係合直前で前記ロックアップクラッチの係合圧を一旦低下させることで、駆動力がエンジンのトルク変動の影響を直接的に受けるのを抑制することができる。
また、好適には、前記ロックアップクラッチ圧制御手段は、予め定められた関係から前記トルクコンバータの速度比に基づいて前記ロックアップクラッチの係合圧を制御するものである。このようにすれば、前記一方向クラッチの係合に先立ち前記ロックアップクラッチの速度比の変化を相殺させる方向にそのロックアップクラッチの係合圧を制御することで、タービントルクの急変を抑えて滑らかな動力伝達を実現できる。
また、好適には、複数の係合要素を有し、それら複数の係合要素及び前記一方向クラッチの選択的な係合により予め定められた複数の変速段の何れかを成立させる自動変速機を備え、前記一方向クラッチ係合予測手段は、その自動変速機における前記一方向クラッチの係合により成立させられる変速段への変速に際して、その一方向クラッチが空転状態から係合状態となることを予測するものである。このようにすれば、実用的な自動変速機を備えた車両用駆動力制御装置において、一方向クラッチの係合ショックを抑制しつつその係合前後におけるレスポンスを向上させることができる。
また、好適には、前記一方向クラッチ係合予測手段は、予め定められた関係からアクセル操作量の時間変化率に基づいて前記一方向クラッチが空転状態から係合状態となることを予測するものである。このようにすれば、実用的な態様で前記一方向クラッチが空転状態から係合状態となることを予測することができる。
また、好適には、前記一方向クラッチ係合時間算出手段は、予め定められた関係から前記トルクコンバータのタービン回転速度に基づいて前記一方向クラッチの係合が完了するまでの時間を算出するものである。このようにすれば、実用的な態様で前記一方向クラッチの係合が完了するまでの時間を算出することができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用される車両用駆動力制御装置8の骨子図であり、図2は、その駆動力制御装置8に備えられた有段式の自動変速機10において複数の変速段を成立させる際の係合要素の作動状態を説明する作動表である。この自動変速機10は、車両の左右方向(横置き)に搭載するFF車両等に好適に用いられるものであって、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置16及びシングルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体としてラビニヨ型に構成されている第2変速部20とを同軸線上に有し、入力軸22の回転を変速して出力回転部材24から出力する。上記入力軸22は入力部材に相当するものであり、車両の動力を発生させるための駆動力源であるエンジン28によって回転駆動されるトルクコンバータ30のタービン軸である。また、上記出力回転部材24は自動変速機10の出力部材に相当するものであり、図示しない差動歯車装置に動力を伝達するためにそのデフドリブンギヤ(大径歯車)と噛み合う出力歯車すなわちデフドライブギヤとして機能している。上記エンジン28の出力は、上記トルクコンバータ30、自動変速機10、差動歯車装置、及び駆動軸としての1対の車軸を介して1対の駆動輪(前輪)へ伝達されるようになっている。なお、この自動変速機10は中心線に対して略対称的に構成されており、図1ではその中心線の下半分が省略されている。
上記エンジン28は、本実施例の駆動力制御装置8の駆動力源であり、例えば燃料の燃焼によって車両の駆動力を発生させるガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。また、上記トルクコンバータ30は、例えば上記エンジン28のクランク軸に連結されたポンプ翼車30aと、上記自動変速機10の入力軸22に連結されたタービン翼車30bと、一方向クラッチを介して上記自動変速機10のハウジング(変速機ケース)26に連結されたステータ翼車30cとを備えており、上記エンジン28により発生させられた動力を上記自動変速機10へ流体を介して伝達する流体式動力伝達装置である。また、上記ポンプ翼車30a及びタービン翼車30bの間には、直結クラッチであるロックアップクラッチ32が設けられており、後述する油圧制御等により係合状態、スリップ状態(弱係合状態)、或いは解放状態とされるようになっている。なお、このロックアップクラッチ32が完全係合状態とされることにより、上記ポンプ翼車30a及びタービン翼車30bが一体回転させられる。
図2の作動表は、前記自動変速機10により成立させられる各変速段とクラッチ及びブレーキの作動状態との関係をまとめたものであり、「○」は係合、「◎」はエンジンブレーキ時のみ係合、空欄は解放をそれぞれ表している。前記自動変速機10は、複数の係合要素すなわち第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)を有し、それら複数の係合要素の選択的な係合及び一方向クラッチF1の係合乃至空転により予め定められた複数の変速段の何れかを成立させる。すなわち、前記自動変速機10に備えられたクラッチC及びブレーキBは、好適には、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、前記駆動力制御装置8に備えられた油圧制御回路40のリニアソレノイド弁の励磁、非励磁や電流制御により、係合、解放状態が切り換えられると共に係合、解放時の過渡油圧などが制御されるようになっている。
また、前記自動変速機10には、前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2(第3遊星歯車装置18のリングギヤR3)と非回転部材であるハウジング26との間に、一方向の回転に関して係合状態とされるが逆方向の回転に関して空転状態とされる一方向クラッチF1が設けられている。斯かる構成により、この一方向クラッチF1は、図2に示すように前記駆動力制御装置8の駆動時にのみ作動すなわち係合状態とされる一方、非駆動時には空転状態とされる。特に、車両発進時やキックダウン時等において、前記自動変速機10における第1変速段「1st」を成立させるために係合状態となるように作動させられる。
前記自動変速機10では、前記第1変速部14及び第2変速部20の各回転要素(サンギヤS1〜S3、キャリアCA1〜CA3、リングギヤR1〜R3)の連結状態の組み合わせに応じて第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」の6つの前進変速段が選択的に成立させられると共に、後進変速段「R」の後進変速段が成立させられる。図2に示すように、例えば前進ギヤ段では、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により第1速ギヤ段「1st」が成立させられる。また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により第2速ギヤ段「2nd」が成立させられる。また、前記第1クラッチC1及び第3ブレーキB3の係合により第3速ギヤ段「3rd」が成立させられる。また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により第4速ギヤ段「4th」が成立させられる。また、前記第2クラッチC2及び第3ブレーキB3の係合により第5速ギヤ段「5th」が成立させられる。また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により第6速ギヤ段「6th」が成立させられる。また、前記第2ブレーキB2及び第3ブレーキB3の係合により後進ギヤ段「R」が成立させられ、クラッチC及びブレーキBの何れもが解放されることによりニュートラル状態となるように構成されている。なお、上述のように、本実施例の自動変速機10では、第1変速段「1st」を成立させる前記第2ブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)には必ずしもその第2ブレーキB2を係合させる必要は無いのである。また、各変速段の変速比は、前記第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、及び第3遊星歯車装置18の各ギヤ比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
図3は、前記駆動力制御装置8を制御するためにその駆動力制御装置8に備えられた電子制御装置34に入力される信号及びその電子制御装置34から出力される信号を例示している。この電子制御装置34は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェース等から成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより前記エンジン28の駆動制御、前記自動変速機10における有段変速制御、及び後述するトルクコンバータ30のロックアップクラッチ圧制御等の各種制御を実行するものである。なお、前記エンジン28の駆動を制御するための制御装置と、前記自動変速機10の作動等を制御するための制御装置とが個別に設けられたものであってもよい。
図3に示すように、上記電子制御装置34には、各センサやスイッチ等から前記駆動力制御装置8に関する各種信号が供給されるようになっている。例えば、エンジン水温を表す信号、シフトレバーのシフトポジションや「M」ポジションにおける操作回数等を表す信号、エンジン回転速度センサ36により検出される前記エンジン28の回転速度であるエンジン回転速度NE(=ポンプ翼車30aの回転速度NP)表す信号、タービン回転速度センサ38により検出される前記タービン翼車30bの回転速度NTを表す信号、車速Vに対応する駆動輪の速度を表す信号、Mモード(手動変速走行モード)スイッチのオン・オフを表す信号、エアコンの作動を表す信号、前記自動変速機10の制御作動に用いられるATF温度を表す信号、ECTスイッチのオン・オフを表す信号、サイドブレーキ操作を表す信号、フットブレーキ操作を表す信号、そのフットブレーキに対応するブレーキマスタシリンダ圧を表す信号、触媒温度を表す信号、アクセル開度センサ39により検出される図示しないアクセルペダルの操作量に対応するアクセル開度Accを表す信号、カム角を表す信号、スノーモード設定を表す信号、車両の前後加速度Gを表す信号、オートクルーズ走行を表す信号、車両の重量(車重)を表す信号等がそれぞれ供給される。
また、前記駆動力制御装置8の駆動を制御するために、前記電子制御装置34から各種制御信号が出力されるようになっている。例えば、前記エンジン28の吸気管に備えられた電子スロットル弁のスロットル弁開度θTHを操作するスロットルアクチュエータへの駆動信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号等、前記エンジン28への燃料噴射を制御するための燃料噴射装置によるエンジンの筒内への燃料供給量の制御信号、点火装置による前記エンジン28の点火時期を指令する点火信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、シフトインジケータを作動させるためのシフトポジション(操作位置)表示信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、前記油圧制御回路40に備えられたレギュレータバルブ(調圧弁)によりライン油圧PLを調圧するための信号、前記自動変速機10等に備えられた油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために前記油圧制御回路40に含まれる電磁制御弁(リニアソレノイドバルブ)を作動させるバルブ指令信号、図4等を用いて後述する切換用電磁ソレノイド弁66を作動させるロックアップ切換指令信号、同じく図4等を用いて後述するスリップ制御用ソレノイド弁70を作動させるスリップ制御指令信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、Mモードが選択されていることを表示させるMモード表示信号、前記油圧制御回路40に設けられた元圧の出力源である電動オイルポンプ44を作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号等がそれぞれ出力される。
図4は、前記駆動力制御装置8に備えられた油圧制御回路40の一部を示す図であり、特に、前記トルクコンバータ30に備えられたロックアップクラッチ32の係合圧を制御する回路を例示する図である。なお、図4の油圧制御回路40において、前記自動変速機10の変速を行うための油圧式摩擦係合装置の作動を制御するための回路等、他の制御に用いられる回路は省略して示している。
図4に示すように、上記油圧制御回路40には、オイルパン42に環流した作動油を吸引して圧送するために、図示しない電動機によって駆動される電動オイルポンプ44が設けられており、その電動オイルポンプ44から圧送された作動油は、リリーフ式の第1調圧弁46により第1ライン圧PL1に調圧されるようになっている。この第1調圧弁46は、図示しないスロットル弁開度検知弁から出力されたスロットル圧に対応して大きくなる第1ライン圧PL1を発生させて第1ライン油路48へ出力する。また、第2調圧弁50も同様にリリーフ形式の調圧弁であって、上記第1調圧弁46から調圧のために排出(リリーフ)させられた作動油を上記スロットル圧に基づいて調圧することにより、前記エンジン28の出力トルクに応じた第2ライン圧PL2を発生させる。また、第3調圧弁52は、上記第1ライン圧PL1を元圧とする減圧弁であって、予め設定された大きさの一定のモジュレータ圧PMを発生させる。なお、上記第1ライン圧PL1は、自動変速機のギヤ段を制御するための図示しない変速制御用油圧回路の元圧等として供給される。また、本実施例においては、上記電動オイルポンプ44により元圧を発生させる形式の油圧制御回路について説明するが、前記エンジン28の駆動により元圧を発生させる機械式のオイルポンプを備えたものであってもよい。
また、図4に示すように、前記ロックアップクラッチ32は、係合側油路54を介して作動油が供給される係合側油室56内の油圧PONと解放側油路58を介して作動油が供給される解放側油室60内の油圧POFFとの差圧ΔP(PON−POFF)によりフロントカバー62に摩擦係合させられる油圧式摩擦係合クラッチである。そして、前記トルクコンバータ30の運転条件としては、例えば、(a)差圧ΔPが負とされて前記ロックアップクラッチ32が解放状態とされる所謂ロックアップオフ、(b)差圧ΔPが零以上とされて前記ロックアップクラッチ32が半係合状態とされる所謂スリップ状態、及び(c)差圧ΔPが最大値とされて前記ロックアップクラッチ32が完全に係合された状態とされる所謂ロックアップオンの3条件に大別される。
また、前記油圧制御回路40は、切換用電磁ソレノイド64によりオン・オフ作動させられて切換用信号圧PSWを供給する切換用電磁ソレノイド弁66と、その切換用信号圧PSWに従って、前記ロックアップクラッチ32を解放状態とするオフ側位置(OFF)及び係合状態とするオン側位置(ON)の何れか一方に切換作動させるためのクラッチ切換弁68と、前記電子制御装置34から供給される駆動電流に応じて圧力を制御するための信号圧PSLUを出力するスリップ制御用ソレノイド弁70と、上記クラッチ切換弁68により前記ロックアップクラッチ32が係合状態(オン側位置に対応する状態)とされているときにそのロックアップクラッチ32の作動状態をスリップ状態乃至ロックアップオンの範囲で切り換えるロックアップコントロール弁72とを、備えている。
上記クラッチ切換弁68は、前記ロックアップクラッチ32を係合状態及び解放状態の一方に切り換えるためものであり、前記解放側油室60と連通する解放側ポート74と、前記係合側油室56と連通する係合側ポート76と、第2ライン圧PL2が供給される入力ポート78と、前記ロックアップクラッチ32の解放時に係合側油室56内の作動油が排出されると共に、そのロックアップクラッチ32の係合時に前記第2調圧弁50から排出させられた作動油が供給される排出ポート80と、前記ロックアップクラッチ32の係合時に前記解放側油室60と連通する迂回ポート82と、前記第2調圧弁50から調圧のために排出させられた作動油が供給されるリリーフポート84と、それら複数のポートの状態を切り換えるためのスプール弁子86と、そのスプール弁子86をオフ側位置に向かって付勢するスプリング88と、上記スプール弁子86の端部に前記切換用電磁ソレノイド弁66からの切換用信号圧PSWを作用させてオン側位置へ向かう推力を発生させるためにその切換用信号圧PSWを受け入れる油室90とを、備えている。なお、図4において、中心線より左側が前記ロックアップクラッチ32の解放状態であるオフ側位置(OFF)にスプール弁子86が位置された状態を示しており、中心線より右側が係合状態であるオン側位置(ON)にスプール弁子86が位置された状態を示している。
前記ロックアップコントロール弁72は、その弁の状態を切り換えるスプール弁子92と、そのスプール弁子92をスリップ側位置(SLIP)へ向かう推力を付与するスプリング94と、上記スプール弁子92をスリップ側位置へ向かって付勢するために前記トルクコンバータ30の係合側油室56内の油圧PONを受け入れる油室96と、上記スプール弁子92を完全係合側位置(ON)へ付勢するために前記トルクコンバータ30の解放側油室60内の油圧POFFを受け入れる油室98と、上記スプール弁子92をオン側位置に向かって付勢するために前記スリップ制御用ソレノイド弁70から出力される信号圧PSLUを受け入れる油室100と、前記第2調圧弁50によって調圧された第2ライン圧PL2が供給される入力ポート102と、上記スプール弁子92がスリップ側位置に位置された際に上記入力ポート102と連通する制御ポート104と、ドレンポート106とを、備えている。なお、図4において、中心線より左側がスリップ側位置(SLIP)にスプール弁子92が位置された状態を示しており、中心線より右側が完全係合側位置(ON)にスプール弁子92が位置された状態を示している。
前記スリップ制御用ソレノイド弁70は、前記電子制御装置34からの指令に基づいて、前記ロックアップクラッチ32の係合時にそのロックアップクラッチ32の係合圧を制御するための信号圧PSLUを出力する。換言すれば、前記第3調圧弁52により発生させられる一定のモジュレータ圧PMを元圧とし、そのモジュレータ圧PMを減圧して信号圧PSLUを発生させる。また、前記切換用電磁ソレノイド弁66は、非励磁状態(オフ状態)では切換用信号圧PSWをドレン圧とするが、励磁状態(オン状態)では切換用信号圧PSWをモジュレータ圧PMとし、前記クラッチ切換弁68の油室90に作用させる。この油室90にモジュレータ圧PMが供給されると前記クラッチ切換弁68のスプール弁子86は、前記スプリング88の付勢力に抗ってオン側位置(ON)に移動させられる。一方、前記油室90にドレン圧が供給されると前記クラッチ切換弁68のスプール弁子86は、前記スプリング88の付勢力に従ってオフ側位置(OFF)に移動させられる。なお、以下の説明では、切換用信号圧PSWとしてモジュレータ圧PMが供給された場合に切換用信号圧PSWが供給されると記載し、切換用信号圧PSWとしてドレン圧が供給された場合は実質的には前記スリップ制御用ソレノイド弁70には影響を及ぼさないため、切換用信号圧PSWが供給されないと記載する。
前記クラッチ切換弁68において、前記切換用電磁ソレノイド弁66が励磁され、切換用信号圧PSWが油室90に供給されて前記スプール弁子86がオン側位置に位置させられると、前記入力ポート78に供給された第2ライン圧PL2が係合側ポート76から係合側油路54を通って係合側油室56に供給される。この係合側油室56に供給される第2ライン圧PL2が油圧PONとなる。同時に、前記解放側油室60は、前記解放側油路58を通って解放側ポート74から迂回ポート82を経て前記ロックアップコントロール弁72の制御ポート104に連通させられる。そして、前記解放側油室60内の油圧POFFが前記ロックアップコントロール弁72によって調整されて前記ロックアップクラッチ32の作動状態がスリップ状態乃至ロックアップオンの範囲で切り換えられる。
具体的には、前記クラッチ切換弁68のスプール弁子76がオン側位置へ付勢されているとき、すなわち前記ロックアップクラッチ32が係合状態に切り換えられているときに、前記ロックアップコントロール弁72において、前記スプール弁子92を完全係合側位置(ON)へ移動させるための信号圧PSLUが前記油室100に供給されず前記スプリング94の推力によって前記スプール弁子92がスリップ側位置(SLIP)とされると、前記入力ポート102に供給された第2ライン圧PL2が制御ポート104から迂回ポート82を経て、解放側ポート74から解放側油路58を通り解放側油室60に供給される。この状態において、差圧ΔPが前記スリップ制御用ソレノイド弁70の信号圧PSLUによって制御されて前記ロックアップクラッチ32のスリップ状態が制御される。
また、前記クラッチ切換弁68のスプール弁子76がオン側位置(ON)へ付勢されているとき、前記ロックアップコントロール弁72において、前記スプール弁子92を完全係合側位置(ON)へ移動させるための信号圧PSLUが前記油室100へ供給されると、前記入力ポート102から解放側油室60へは第2ライン圧PL2が供給されず、その解放側油室60の作動油は前記ドレンポート106から排出される。これにより、差圧ΔPが最大とされて前記ロックアップクラッチ32が完全係合状態となる。また、前記ロックアップクラッチ32がスリップ状態もしくは完全係合状態において、前記クラッチ切換弁68のスプール弁子92はオン側位置に位置させられるため、前記リリーフポート84と排出ポート80とが連通される。これにより、前記第2調圧弁50から排出させられた作動油は、前記クラッチ切換弁68を介して図示しない潤滑油供給油路へ供給される。
一方、前記クラッチ切換弁68において、切換用信号圧PSWが油室90に供給されず前記スプリング88の付勢力によって前記スプール弁子86がオフ側位置(OFF)に位置されると、前記入力ポート78に供給された第2ライン圧PL2が解放側ポート74から解放側油路58を通って解放側油室60へ供給される。そして、前記係合側油室56の作動油は、前記係合側油路54を通り係合側ポート76へ供給されて排出ポート80から図示しない潤滑油供給油路へと供給される。これにより、前記ロックアップクラッチ32がロックアップオフとされる。
図5は、前記電子制御装置34に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図5に示す変速制御手段108は、前記自動変速機10の変速動作を制御する。すなわち、予め定められた関係(変速マップ等)から、図示しないシフトレバーのレバーポジション、アクセルペダルの操作量(アクセル開度Acc)、及び車速V等に基づいて、前記自動変速機10において前述した第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」或いは後進変速段「R」のうち何れの変速段が成立させられるべきかを判断し、その判断された変速段が成立させられるように前記油圧制御回路40を介して前記クラッチC及びブレーキBの係合乃至解放を制御する。
トルクコンバータ速度比算出手段110は、前記トルクコンバータ30の速度比eを算出する。具体的には、例えば前記エンジン回転速度センサ36により検出される前記エンジン28の回転速度Neに対応する前記ポンプ翼車30aの回転速度Npと、前記タービン回転速度センサ38により検出される前記タービン翼車30bの回転速度NTとから、その比としての速度比e(=NT/Np)を算出する。
タービントルク算出手段112は、前記トルクコンバータ30のタービントルクTTすなわちタービン翼車30bのトルクを算出する。具体的には、例えば前記エンジン回転速度センサ36により検出される前記エンジン28の回転速度Neに対応する前記ポンプ翼車30aのトルクTpと、上記トルクコンバータ速度比算出手段110により算出される前記トルクコンバータ30の速度比eに対応するトルク増幅比t=f(e)とから、その積としてのタービントルクTT(=Tp×t)を算出する。
一方向クラッチ係合予測手段114は、前記自動変速機10に備えられた一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測する。好適には、前記自動変速機10における前記一方向クラッチF1が空転状態とさせられる変速段から、その一方向クラッチF1の係合により成立させられる変速段(係合状態とされる変速段)への変速に際して、その一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測する。また、好適には、車両が所謂コースト状態(惰性走行)から加速操作(再加速)が行われた場合に前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測する。すなわち、予め定められた関係から、前記アクセル開度センサ39により検出されるアクセル開度Acc(アクセル操作量)の時間変化率dAcc/dtに基づいて前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測する。
一方向クラッチ係合時間算出手段116は、前記一方向クラッチF1の係合が完了するまでの予測時間(残り時間)Tcを算出する。好適には、予め定められた関係から前記トルクコンバータ30のタービン回転速度Ntに基づいて斯かる予測時間Tcを算出する。図6は、この一方向クラッチ係合時間算出手段116による予測時間Tcの算出に用いられる関係の一例である、予め実験的に求められて定められた変速開始からの経過時間(sec)と前記トルクコンバータ30のタービン回転速度Nt(r.p.m.)との関係を示す図であり、前進第2速「2nd」から第1速「1st」へのダウン変速時における関係を示している。この図6に示すように、前記駆動力制御装置8においては、変速開始からの経過時間に応じて前記トルクコンバータ30のタービン回転速度Ntの変化が略一義的に定まる。また、前進第2速「2nd」から第1速「1st」へのダウン変速時において、図6に示すタービン回転速度Ntの変化開始時点tsから変化終了時点teまでの区間、前記一方向クラッチF1は空転状態とされ、その変化終了時点teにおいてその一方向クラッチF1が係合状態とされる。上記一方向クラッチ係合時間算出手段116は、具体的には、例えば図6に示されるように予め定められた関係から、前記タービン回転速度センサ38により検出されるタービン回転速度Ntに基づいて、その関係における現在(算出時点)に対応する時点t1を導出する。そして、導出されたその時点t1と上記変化終了時点teとの差としての予測時間Tcを算出する。
図5に戻って、ロックアップクラッチ圧制御手段118は、前記油圧制御回路40を介して前記トルクコンバータ30に備えられたロックアップクラッチ32の係合圧を制御する。具体的には、前述のように、前記切換用電磁ソレノイド弁66の切換用信号圧PSW及びスリップ制御用ソレノイド弁70の信号圧PSLUを制御し、前記ロックアップクラッチ32の係合側油室56及び解放側油室60の差圧ΔPを制御することで、そのロックアップクラッチ32の係合、解放、乃至スリップ係合を制御する。
ここで、上記ロックアップクラッチ圧制御手段118は、前記一方向クラッチ係合予測手段114により前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることが予測された場合には、その一方向クラッチF1が係合状態となる前に前記ロックアップクラッチ32の係合圧をそのロックアップクラッチ32が係合させられる方向へ制御する。具体的には、前記切換用電磁ソレノイド弁66の切換用信号圧PSW及びスリップ制御用ソレノイド弁70の信号圧PSLUを制御することで、前記ロックアップクラッチ32をスリップ係合(弱係合)乃至完全係合させるようにその係合圧を制御する。前述のように、前記一方向クラッチ係合予測手段114は、コースト状態からの加速操作(再加速)が行われた場合に前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測するものであるため、前記ロックアップクラッチ圧制御手段118は、換言すれば、コースト状態からの再加速時において、前記タービン翼車30bの回転速度Ntの上昇を早めて前記一方向クラッチF1の完全係合(ロック)までのレスポンスを向上させるために、その一方向クラッチF1が係合状態となる前に前記ロックアップクラッチ32の係合圧をそのロックアップクラッチ32が係合させられる方向へ制御する。
また、前記ロックアップクラッチ圧制御手段118は、好適には、前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることが予測されて前記ロックアップクラッチ32が係合させられる方向へのそのロックアップクラッチ32の係合圧を制御した後、前記一方向クラッチ係合時間算出手段116により算出される前記一方向クラッチF1の係合が完了するまでの予測時間Tcに基づいて前記ロックアップクラッチ32の係合圧をそのロックアップクラッチ32が解放させられる方向へ制御する。具体的には、前記切換用電磁ソレノイド弁66の切換用信号圧PSW及びスリップ制御用ソレノイド弁70の信号圧PSLUを制御することで、前記ロックアップクラッチ32のトルク伝達率を低下させるようにそのスリップ制御を行う。好適には、前記一方向クラッチF1の完全係合直前に斯かるロックアップクラッチ32のスリップ制御が行われるように、前記ロックアップクラッチ圧制御手段118は、好適には、前記一方向クラッチ係合時間算出手段116により算出される前記一方向クラッチF1の係合が完了するまでの予測時間Tcが予め定められた所定時間T0(例えば50[ms]程度)未満である場合に上記ロックアップクラッチ34の係合圧を低下させる制御を実行する。
また、前記ロックアップクラッチ圧制御手段118は、好適には、予め定められた関係から、前記トルクコンバータ速度比算出手段110により算出される前記トルクコンバータ30の速度比eに基づいて、前記ロックアップクラッチ32の係合圧を制御する。すなわち、そのロックアップクラッチ32のスリップ係合(弱係合)状態における係合圧を制御する。図7は、このロックアップクラッチ圧制御手段118による係合圧の制御に用いられる関係の一例である、前記トルクコンバータ30の速度比eとロックアップクラッチ圧(係合圧)との関係を示す図である。斯かる関係は、好適には、前記トルクコンバータ32の速度比eの変化を相殺するようなロックアップクラッチ圧となるように実験的に求められて定められた値であり、速度比eが大きいほどロックアップクラッチ圧も大きな値となるように設定されている。前記ロックアップクラッチ圧制御手段118は、この図7に示すような予め定められた関係から、前記トルクコンバータ速度比算出手段110により算出される前記トルクコンバータ30の速度比eに基づいて、その時点における速度比eに対応するロックアップクラッチ圧を導出する。そして、前記ロックアップクラッチ32の係合圧が実際にその値となるように前記スリップ制御用ソレノイド弁70の信号圧PSLUを制御する。なお、前記ロックアップクラッチ圧制御手段118は、前記速度比eの代替として例えば前記トルクコンバータ30のタービントルクTt等に基づいて前記ロックアップクラッチ32の係合圧を制御するものであってもよい。
図8は、前記電子制御装置34による再加速時駆動力制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、前記トルクコンバータ速度比算出手段110の動作に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記エンジン回転速度センサ36により検出されるエンジン回転速度Neに対応する前記ポンプ翼車30aの回転速度Npと、前記タービン回転速度センサ38により検出される前記タービン翼車30bの回転速度NTとから、その比としての速度比e(=NT/Np)が算出される。次に、前記タービントルク算出手段112の動作に対応するS2において、前記エンジン回転速度センサ36により検出される前記エンジン28の回転速度Neに対応する前記ポンプ翼車30aのトルクTpと、S1にて算出された前記トルクコンバータ30の速度比eに対応するトルク増幅比t=f(e)とから、その積としてのタービントルクTT(=Tp×t)が算出される。次に、前記一方向クラッチ係合予測手段114の動作に対応するS3において、前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることが予測されるか否か、すなわちコースト状態且つ前記一方向クラッチF1の空転状態からの再加速操作(アクセル踏込操作)が行われたか否かが判断される。このS3の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S3の判断が肯定される場合には、前記一方向クラッチ係合時間算出手段116の動作に対応するS4において、前記トルクコンバータ30のタービン回転速度Nt等に基づいて前記一方向クラッチF1の係合が完了するまでの予測時間Tcが算出される。次に、S5において、S4にて算出された前記一方向クラッチF1の係合が完了するまでの予測時間Tcが所定時間T0未満であるか否かが判断される。このS5の判断が否定される場合には、S5の判断が繰り返されることにより待機させられるが、S5の判断が肯定される場合には、S6において、前記ロックアップクラッチ32のスリップ係合(弱係合)制御が開始される。次に、S7において、予め定められた関係からS1にて算出される前記トルクコンバータ30の速度比e(又はタービントルクTt)に基づいて前記ロックアップクラッチ32の係合圧が制御された後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、S6及びS7が前記ロックアップクラッチ圧制御手段118の動作に対応する。
図9は、前記電子制御装置34による再加速時駆動力制御の他の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。なお、この図9に示す制御において、上述した図8に示す制御と共通のステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。この制御において、上述したS3の判断が肯定される場合、すなわち前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることが予測される場合には、前記ロックアップクラッチ圧制御手段118の動作に対応するS8において、前記ロックアップクラッチ32の係合制御が開始され、そのロックアップクラッチ32が弱係合(スリップ係合)状態乃至完全係合状態とされた後、S4以下の処理が実行される。また、この図9に示すS6では、前記ロックアップクラッチ32のロックアップクラッチ圧をS8にて設定されたものよりも低下させるように前記スリップ制御が行われる。
このように、本実施例によれば、前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測する一方向クラッチ係合予測手段114(S3)と、その一方向クラッチ係合予測手段114により前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることが予測された場合には、その一方向クラッチF1が係合状態となる前に前記ロックアップクラッチ32の係合圧をそのロックアップクラッチ32が係合させられる方向へ制御するロックアップクラッチ圧制御手段118(S6、S7、及びS8)とを、備えたものであることから、前記一方向クラッチF1が空転状態であるうちにタービン回転速度Ntの上昇を早めてレスポンスを向上させることができる。すなわち、一方向クラッチF1の係合ショックを抑制しつつその係合前後におけるレスポンスを向上させる駆動力制御装置8を提供することができる。
また、前記一方向クラッチF1の係合が完了するまでの予測時間Tcを算出する一方向クラッチ係合時間算出手段116(S4)を備え、前記ロックアップクラッチ圧制御手段118は、前記ロックアップクラッチ32が係合させられる方向へのそのロックアップクラッチ32の係合圧の制御の後に、前記一方向クラッチ係合時間算出手段116により算出される前記一方向クラッチF1の係合が完了するまでの予測時間Tcに基づいて前記ロックアップクラッチ32の係合圧をそのロックアップクラッチ32が解放させられる方向へ制御するものであるため、前記一方向クラッチF1の係合直前で前記ロックアップクラッチ32の係合圧を一旦低下させることで、駆動力がエンジン28のトルク変動の影響を直接的に受けるのを抑制することができる。
また、前記ロックアップクラッチ圧制御手段118は、予め定められた関係から前記トルクコンバータ30の速度比eに基づいて前記ロックアップクラッチ32の係合圧を制御するものであるため、前記一方向クラッチF1の係合に先立ち前記ロックアップクラッチ32の速度比eの変化を相殺させる方向にそのロックアップクラッチ32の係合圧を制御することで、タービントルクTtの急変を抑えて滑らかな動力伝達を実現できる。換言すれば、前記一方向クラッチF1の完全係合後に前記トルクコンバータ30の速度比eが急変しないようにロックアップクラッチ圧によりフィードバック制御することができる。
また、係合要素としてのクラッチC及びブレーキBを有し、それらクラッチC、ブレーキB、及び前記一方向クラッチF1の選択的な係合により予め定められた複数の変速段の何れかを成立させる自動変速機10を備え、前記一方向クラッチ係合予測手段114は、その自動変速機10における前記一方向クラッチF1の係合により成立させられる変速段への変速に際して、その一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測するものであるため、実用的な自動変速機10を備えた駆動力制御装置8において、一方向クラッチF1の係合ショックを抑制しつつその係合前後におけるレスポンスを向上させることができる。
また、前記一方向クラッチ係合予測手段114は、予め定められた関係からアクセル開度Accの時間変化率に基づいて前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測するものであるため、実用的な態様で前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測することができる。
また、前記一方向クラッチ係合時間算出手段116は、予め定められた関係から前記トルクコンバータ30のタービン回転速度Ntに基づいて前記一方向クラッチF1の係合が完了するまでの予測時間Tcを算出するものであるため、実用的な態様で前記一方向クラッチF1の係合が完了するまでの時間を算出することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例では、コースト状態において加速操作が行われた場合に前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることを予測し、その一方向クラッチF1が係合状態となる前に前記ロックアップクラッチ32の係合圧を係合方向へ制御するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、斯かるロックアップクラッチ圧の制御は、車両の走行状態に応じて前記一方向クラッチF1が空転状態から係合状態となることが予測される場合に広く実行され得るものである。
また、前述の実施例では、前記エンジン28の回転速度Neに対応する前記ポンプ翼車30aのトルクTpと、前記トルクコンバータ30の速度比eに対応するトルク増幅比t=f(e)とから、その積としてのタービントルクTT(=Tp×t)を算出するものであったが、例えば前記エンジン28の回転速度Neと、前記トルクコンバータ30の容量係数CとからそのタービントルクTT(=Ne 2×C)を算出するものであってもよい。すなわち、前述した実施例において説明した各数値の算出方法はあくまで例示に過ぎず、種々の数式や関係が適宜選択されて用いられるものである。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
本発明が好適に適用される車両用駆動力制御装置の骨子図である。 図1の車両用駆動力制御装置に備えられた有段式の自動変速機において複数の変速段を成立させる際の係合要素の作動状態を説明する作動表である。 図1の車両用駆動力制御装置を制御するために備えられた電子制御装置に入力される信号及びその電子制御装置から出力される信号を例示する図である。 図1の車両用駆動力制御装置に備えられた油圧制御回路の一部を示す図であり、特に、トルクコンバータに備えられたロックアップクラッチの係合圧を制御する回路を例示する図である。 図4の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図4の電子制御装置による一方向クラッチの完全係合までの予測時間の算出に用いられる関係の一例である、予め実験的に求められて定められた変速開始からの経過時間とトルクコンバータのタービン回転速度との関係を示す図であり、前進第2速から第1速へのダウン変速時における関係を示している。 図4の電子制御装置による係合圧の制御に用いられる関係の一例である、図1のトルクコンバータの速度比とロックアップクラッチ圧との関係を示す図である。 図4の電子制御装置による再加速時駆動力制御の要部を説明するフローチャートである。 図4の電子制御装置による再加速時駆動力制御の他の一例の要部を説明するフローチャートである。
符号の説明
8:車両用駆動力制御装置
10:自動変速機
30:トルクコンバータ
32:ロックアップクラッチ
114:一方向クラッチ係合予測手段
116:一方向クラッチ係合時間算出手段
118:ロックアップクラッチ圧制御手段
B:ブレーキ(係合要素)
C:クラッチ(係合要素)
F1:一方向クラッチ

Claims (6)

  1. 一方向の回転に関して係合状態とされるが逆方向の回転に関して空転状態とされる一方向クラッチと、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータとを、動力伝達経路に備えた車両用駆動力制御装置において、
    前記一方向クラッチが空転状態から係合状態となることを予測する一方向クラッチ係合予測手段と、
    該一方向クラッチ係合予測手段により前記一方向クラッチが空転状態から係合状態となることが予測された場合には、該一方向クラッチが係合状態となる前に前記ロックアップクラッチの係合圧を該ロックアップクラッチが係合させられる方向へ制御するロックアップクラッチ圧制御手段と
    を、備えたものであることを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  2. 前記一方向クラッチの係合が完了するまでの時間を算出する一方向クラッチ係合時間算出手段を備え、前記ロックアップクラッチ圧制御手段は、前記ロックアップクラッチが係合させられる方向への該ロックアップクラッチの係合圧の制御の後に、前記一方向クラッチ係合時間算出手段により算出される前記一方向クラッチの係合が完了するまでの時間に基づいて前記ロックアップクラッチの係合圧を該ロックアップクラッチが解放させられる方向へ制御するものである請求項1に記載の車両用駆動力制御装置。
  3. 前記ロックアップクラッチ圧制御手段は、予め定められた関係から前記トルクコンバータの速度比に基づいて前記ロックアップクラッチの係合圧を制御するものである請求項1又は2に記載の車両用駆動力制御装置。
  4. 複数の係合要素を有し、それら複数の係合要素及び前記一方向クラッチの選択的な係合により予め定められた複数の変速段の何れかを成立させる自動変速機を備え、前記一方向クラッチ係合予測手段は、該自動変速機における前記一方向クラッチの係合により成立させられる変速段への変速に際して、該一方向クラッチが空転状態から係合状態となることを予測するものである請求項1から3の何れか1項に記載の車両用駆動力制御装置。
  5. 前記一方向クラッチ係合予測手段は、予め定められた関係からアクセル操作量の時間変化率に基づいて前記一方向クラッチが空転状態から係合状態となることを予測するものである請求項1から4の何れか1項に記載の車両用駆動力制御装置。
  6. 前記一方向クラッチ係合時間算出手段は、予め定められた関係から前記トルクコンバータのタービン回転速度に基づいて前記一方向クラッチの係合が完了するまでの時間を算出するものである請求項2から5の何れか1項に記載の車両用駆動力制御装置。
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