JP2009196932A - ヒスタミンH4受容体拮抗作用を有するピラゾロ[3,4−b]ピリジンアミド化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ヒスタミンH4受容体に選択的な拮抗作用を有し、ヒスタミンH4受容体が関与する疾患の予防及び/又は治療に有用なピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物に関する。
ヒスタミンは、多様な生体反応を制御する生体アミンメディエーターであり、その受容体としてGタンパク質共役型受容体(GPCR:G protein-coupled receptor)スーパーファミリーに属するH1、H2、H3、そして最近クローニングされたH4の4つのサブタイプが存在する。ヒスタミンは、標的細胞に発現しているヒスタミンH1、H2、H3及びH4受容体にそれぞれ結合し、細胞内に情報を伝達することによって多様な生理機能を発現させる。
H1受容体は、Gq/ホスホリパーゼCと共役し、イノシトールリン酸の蓄積、細胞質へのCa2+の動員を引き起こす受容体であり、種々の平滑筋、副腎髄質、血管内皮、脳などに分布している。また、H1受容体は、炎症やアレルギー反応に関与することが知られており、例えば、ヒスタミンは、末梢組織及び血管内皮の細胞に発現するH1受容体に結合し、この受容体を介して即時型免疫反応が起こり、血管透過性亢進及び気道収縮、さらには浮腫及び急性炎症などを引き起こす。ここで、H1受容体拮抗薬(H1ブロッカー)は、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン剤)として用いられる。H1受容体拮抗薬には、鎮静作用のあるジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、メピラミン、トリプロリジンなど、あるいは非鎮静性のメキタジン、テルフェナジンなどが知られている。
H2受容体は、Gs/アデニル酸シクラーゼと共役し、サイクリックAMPの蓄積を引き起こす受容体であり、消化器官、特に胃の胃粘膜壁細胞に存在することが知られている。ヒスタミンは、H2受容体に作用して胃液を分泌させるが、胃液の過剰分泌によって胃潰瘍が発症する。ここで、H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)には、例えば、シメチジン、ラニチジン、ファモチジンなどの胃・十二指腸潰瘍治療薬が知られている。
H3受容体は、主として中枢神経系に発現が認められ、神経機能に対する関連が報告されている。H3受容体は、Giを介してアデニル酸シクラーゼを抑制し、ヒスタミン遊離の抑制、ヒスタミン合成、分解の抑制を仲介する。
H4受容体は、白血球特異的なヒスタミン受容体として発見されたが(非特許文献1)、より詳細な検討の結果、末梢白血球、胸腺、小腸、脾臓、結腸で確認されるほか、骨髄、肝臓、精巣、腎臓、肺等での発現が報告されている。末梢白血球の中では好酸球で比較的発現が高い(非特許文献2)。また、ヒト皮膚の肥満細胞においてもH2、H4受容体が選択的に発現していることが報告されている(非特許文献3)。さらに、NK細胞、単球、樹状細胞および関節リウマチ患者の滑膜細胞にも発現していることが近年見出されている(非特許文献4、5)。
H4受容体は、免疫細胞における高発現が認められ、炎症性細胞の遊走・集積・炎症性メディエータの産生における機能が多く報告されている。ヒトCD8陽性T細胞からのIL-16産生(非特許文献6)やヒスタミンによる好酸球ケモタキシス(非特許文献7)におけるH4受容体の役割が示されている。また、H4受容体阻害による作用は炎症性細胞の浸潤・遊走を介したものであることが報告されている(非特許文献8)。さらに、ヒスタミンによるヒト好酸球の形態変化(非特許文献9)、ケモタキシス、接着分子発現に対しても阻害効果を有することが示されている(非特許文献10)。これらのことから、H4受容体拮抗薬は、炎症性細胞の制御による、新規メカニズムに基づく新しい炎症性疾患の治療薬になるものと考えられる。特に、炎症性細胞の遊走・浸潤を伴う呼吸器・消化器・皮膚等における炎症の治療薬として有効性を示すものと期待される(非特許文献11)。また、H4受容体がNK細胞等にも発現していることから、H4受容体拮抗剤は、これらの細胞が関与する自己免疫疾患治療剤となり得る可能性が指摘されている(非特許文献4、5)。
現在、ヒスタミンH4受容体拮抗作用を有する低分子化合物としては、ベンゾフロピリミジン誘導体(特許文献1)、ベンズイミダゾール誘導体(特許文献2)、イミダゾール誘導体(特許文献3)、ピリミジン誘導体(特許文献4)、チエノピロール誘導体(特許文献5)、インドール誘導体(非特許文献12)が知られている。中でも、インドール骨格を有するJNJ7777120は、選択的ヒスタミンH4受容体拮抗薬として知られているが、機能評価の対照薬として用いられているに過ぎない。その他の化合物に関しては、臨床試験に入った化合物はなく、ヒスタミンH4受容体拮抗作用を有する低分子化合物は、いまだ実用化に至っていない。一方、本発明のピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド骨格には、Kinase阻害剤(特許文献6)、MCP-1阻害剤(特許文献7)が知られているが、ヒスタミンH4受容体拮抗作用に関する記載や示唆はなく、ピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド骨格を持つヒスタミンH4受容体拮抗薬は全く知られていない。
本発明は、ヒスタミンH4受容体に選択的な拮抗作用を有し、ヒスタミンH4受容体が関与する疾患の治療に有用な新規化合物を提供することを目的とする。
上記実情に鑑み、本発明者らは、ヒスタミンH4受容体を選択的に拮抗する作用を有する化合物を探索した結果、下記一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジン化合物が、トリチウム(3H)標識ヒスタミンを用いた結合阻害試験において、強いH4受容体結合阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記に関する。
[1]下記一般式(1):
[1]下記一般式(1):
〔式中、R1、R2、R3は、同一又は異なっていてもよく、独立して、水素原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、及びC6-10アリール基からなる群から選択される〕
で表される、ピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド誘導体若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、ヒスタミンH4受容体拮抗剤。
で表される、ピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド誘導体若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、ヒスタミンH4受容体拮抗剤。
[2]一般式(1)のピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド誘導体が、1-イソプロピル-N-(3-(メチルカルバモイル)フェニル)-6-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボキサミド又はN-(3-(シクロプロピルカルバモイル)フェニル)-1,6-ジイソプロピル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボキサミドである、前記[1]記載のヒスタミンH4受容体拮抗剤。
[3]前記[1]又は[2]記載のピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、炎症性疾患の予防及び/又は治療剤。
[4]炎症性疾患が、炎症性細胞の遊走・浸潤を伴う疾患である、前記[3]に記載の予防及び/又は治療剤。
[5]前記[1]又は[2]に記載のピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及び医薬として許容される賦形剤、希釈剤又は担体と共に含む、炎症性疾患を予防及び/又は治療するための医薬組成物。
[6]炎症性疾患が、炎症性細胞の遊走・浸潤を伴う疾患である、前記[5]に記載の医薬組成物。
[7]ヒスタミンH4受容体拮抗作用を有する製剤を製造するための、前記[1]又は[2]記載のピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。
[8]炎症性疾患の予防及び/又は治療用製剤を製造するための、前記[1]又は[2]記載の3ピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。
[9]治療が必要とされる患者に、前記[1]又は[2]記載のピラゾロ[3,4−b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、ヒスタミンH4受容体の拮抗方法。
[10]治療が必要とされる患者に、前記[1]又は[2]記載のピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量を、投与することを特徴とする、炎症性疾患の予防及び/又は治療方法。
本発明の一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、後記試験例に示すように、ヒスタミンH4受容体拮抗作用を有し、炎症性細胞の遊走・浸潤を伴う呼吸器・消化器・皮膚等における慢性炎症性疾患の予防及び/又は治療剤として有用である。
本発明の用語の定義は以下の通りである。
本明細書中で使用するとき、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子である。
本明細書中で使用するとき、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子である。
本明細書中で使用するとき、「C1-6アルキル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、ネオペンチル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基又は2-エチルブチル基であり、好ましくはC1-4アルキル基である。
本明細書中で使用するとき、「C1-4アルキル基」とは、炭素数1〜4個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基又はt-ブチル基である。好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、より好ましくは、メチル基、イソプロピル基である。
本明細書中で使用するとき、「ハロC1-6アルキル基」とは、同一又は異なっている1〜5個のハロゲン原子が前記C1-6アルキル基に結合した基を意味し、例えば、トリフルオロメチル基、2-フルオロエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、3-フルオロプロピル基、3-クロロプロピル基、4-フルオロブチル基、4-クロロブチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル基等が挙げられる。好ましくは、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、より好ましくは、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基である。
本明細書中で使用するとき、「C3-6シクロアルキル基」とは、炭素数〜6個の単環状飽和炭化水素基を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。好ましくは、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、より好ましくはシクロプロピル基である。
本明細書中で使用するとき、「C6-10アリール基」とは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を意味し、例えば、フェニル基、ナフチル基又はアズレニル基が挙げられる。好ましくは、フェニル基である。
その他、ここに定義のない基については、通常の定義に従う。
その他、ここに定義のない基については、通常の定義に従う。
本発明の一般式(1)の特に好ましい様態として、下記表1に示す構造を挙げることができる。
本発明の一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物は、次の方法に従って製造することができる。すなわち、
一般式(1)は、公知文献(WO2007/017577)に記載の化合物より得ることができる化合物Aと、アニリン化合物Bとの一般的な脱水縮合反応で得ることができる。脱水縮合反応においては、カルボン酸を直接用いる方法か、カルボン酸を酸ハロゲン化物やp-ニトロフェニルエステルなどの反応性誘導体とする方法を利用することができる。カルボン酸を直接用いる場合は、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(WSC)、ジカルボニルジイミダゾール、ジエチルリン酸シアニド、あるいはジフェニルホスホリルアジドなどの縮合剤を用いる。縮合剤としては、WSCが好ましい。カルボン酸の反応性誘導体としては、酸ハロゲン化物を用い、反応によって生成する塩化水素を中和するための塩基を共存させることが好ましい。塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基、あるいはトリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンおよびその誘導体などの有機塩基を用いることができ、特にトリエチルアミンが好ましい。脱水縮合における溶媒としては、トルエンなどの炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテルなどを用いることができ、クロロホルムが特に好ましい。反応温度としては、おおよそ−100℃〜200℃の範囲で行うことができ、0℃〜40℃が好ましく、直接カルボン酸を用いる場合は常温付近が好ましく、反応性誘導体として酸ハロゲン化物を用いる場合は0℃〜5℃程度が好ましい。
本発明の一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物は、上記方法によって得られるが、さらに必要に応じて、再結晶法、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段を用いて精製することができる。また必要に応じて、常法に従い所望の溶媒和物にすることもできる。
また、一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物は、塩酸塩、硫酸塩等の鉱酸、及びマレイン酸塩等の有機酸塩に代表される任意の塩を形成することができ、これらの塩も本発明に包含される。
また、一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物は、水和物に代表される任意の溶媒和物を形成することができ、これらの溶媒和物も本発明に包含される。
さらに、一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物に光学異性体や幾何異性体が存在する場合は、これらすべての異性体が本発明に包含される。
本発明の医薬組成物は、一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有するものであって、単独で用いてよいが、通常は薬学的に許容される担体、添加物等を配合して使用される。本発明の医薬組成物は、経口又は直腸投与用若しくは非経口投与用医薬製剤であって、有効成分として、一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を約0.01〜約99重量%、好ましくは約0.01〜約10重量%、より好ましくは約0.1〜約5重量%含む。医薬組成物の投与形態は、特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択できる。斯かる剤形としては、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤等を挙げることができる。
これらの製剤は、その剤形に応じて製剤学上使用される賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤等の医薬品添加物と適宜混合、希釈又は溶解し、常法に従い製造することができる。
例えば、散剤の場合は、必須成分のほかに、必要に応じて適当な賦形剤、滑沢剤等を加えよく混和して調製すればよい。錠剤の場合は、必要に応じて適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等を加え、常法に従い打錠して調製すればよい。また錠剤は必要に応じてコーティングを施し、フィルムコート錠、糖衣錠等にすることができる。
また、注射剤の場合は、液剤(無菌水又は非水溶液)、乳剤及び懸濁剤の形態とすることができる。これらに用いられる非水担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルとしては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、オレイン酸エチル等の注射可能な有機酸エステルが挙げられる。また、該組成物には防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤等の補助剤を適宜配合することができる。
本発明の一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効成分としての投与量は、年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して1日1〜1000mgを1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
本発明によれば、本発明の一般式(1)で表されるピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、後記試験例に示すように、ヒスタミンH4受容体に選択的な拮抗作用を有し、炎症性細胞の遊走・浸潤を伴う呼吸器・消化器・皮膚等における炎症性疾患の予防及び/又は治療剤として有用である。本発明が対象とする疾患は、限定されないが、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、掻痒、炎症性腸疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、シェーグレン症候群、および全身性エリトマトーデス等を含む。
次に、実施例、試験例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 RI標識ヒスタミンを用いたH4受容体結合アッセイ
化合物1及び化合物2はエナミン社よりライブラリー用化合物として供給されており、本試験にはエナミン社より入手した化合物をそのまま用いた。
結合アッセイに用いた細胞膜画分は以下の方法で調製した。ヒトH4高発現CHO細胞(Human recombinant histamine H4 receptor CHO−K1 recombinant cell line(ES393-C))はEuroscreen社から購入した。細胞はHam’s F12培地(10% FCS,100IU/ml Penicillin,100μg/ml Streptomycin,および400μg/ml G418含有)を用いて90%のコンフルエンスになるまで直径15cmの培養ディッシュにて培養した。培地を除去した後、氷冷したPhosphate−buffered saline(137mM NaCl,2.7mM KCl,8.1mM Na2HPO4,1.5mM KH2PO4(pH7.4))(以下PBSと省略)で一度洗浄し、1ディッシュあたり15mlのPBS中にセルスクレーパーを用いて回収した。1500gで3分間遠心してペレットとし、バッファーA(15mM Tris−HCl(pH7.5),2mM MgCl2,0.3mM EDTA,1mM EGTA)5mlに懸濁しテフロン(登録商標)ホモジェナイザーを用いてガラス容器中で粉砕した。さらにバッファーAを10ml加え、引き続き40,000gで25分間(4℃)遠心を2回繰り返し、膜画分を調製した。調製した膜画分はバッファーB(75mM Tris−HCl(pH7.5),12.5mM MgCl2,0.3mM EDTA,1mM EGTA,250mM sucrose)にて懸濁し液体窒素中で瞬間凍結した。蛋白濃度をBCA法(Micro BCA kit,Pierce社)にて測定した。
化合物1及び化合物2はエナミン社よりライブラリー用化合物として供給されており、本試験にはエナミン社より入手した化合物をそのまま用いた。
結合アッセイに用いた細胞膜画分は以下の方法で調製した。ヒトH4高発現CHO細胞(Human recombinant histamine H4 receptor CHO−K1 recombinant cell line(ES393-C))はEuroscreen社から購入した。細胞はHam’s F12培地(10% FCS,100IU/ml Penicillin,100μg/ml Streptomycin,および400μg/ml G418含有)を用いて90%のコンフルエンスになるまで直径15cmの培養ディッシュにて培養した。培地を除去した後、氷冷したPhosphate−buffered saline(137mM NaCl,2.7mM KCl,8.1mM Na2HPO4,1.5mM KH2PO4(pH7.4))(以下PBSと省略)で一度洗浄し、1ディッシュあたり15mlのPBS中にセルスクレーパーを用いて回収した。1500gで3分間遠心してペレットとし、バッファーA(15mM Tris−HCl(pH7.5),2mM MgCl2,0.3mM EDTA,1mM EGTA)5mlに懸濁しテフロン(登録商標)ホモジェナイザーを用いてガラス容器中で粉砕した。さらにバッファーAを10ml加え、引き続き40,000gで25分間(4℃)遠心を2回繰り返し、膜画分を調製した。調製した膜画分はバッファーB(75mM Tris−HCl(pH7.5),12.5mM MgCl2,0.3mM EDTA,1mM EGTA,250mM sucrose)にて懸濁し液体窒素中で瞬間凍結した。蛋白濃度をBCA法(Micro BCA kit,Pierce社)にて測定した。
トリチウム(3H)ラベル化ヒスタミン(Histamine Dihydrochloride,[Ring,Methylenes−3H(N)]−,(NET−732,Lot3538−011))はPerkinElmer社より購入した。3H−ヒスタミンを用いた結合アッセイは、Liuらの報告に従って実施した(Liu,C.et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,299:121−130,2001)。1アッセイあたり15μgの膜画分を用い、96wellポリスチレンプレート中で被験化合物およびリガンド(20nM 3H−ヒスタミン)とともに室温で60分間インキュベートした。セルハーベスタを用いてグラスファイバー製のフィルターマット(あらかじめ0.01%ポリエチレンイミン/結合バッファー(50mM Tris−HCl(pH7.4),5mM EDTA)に1時間以上浸漬しておく)に捕集したのち、結合バッファーで洗浄・乾燥後、固体シンチレータを乗せて加熱・溶融して測定サンプルとし、96well対応のシンチレーションカウンタ(MicroBeta TriLux,PerkinElmer社)にて測定を行った。表2に被検化合物10μMを加えた時の測定結果を阻害率で示す。
表2に示す通り、化合物1及び2は10μMにおいて、90%以上の強力なヒスタミンH4受容体拮抗作用が確認された。したがって、本発明のピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物は、炎症性疾患の治療剤として有効であることが示唆された。
Claims (6)
- 前記化合物が、
1-イソプロピル-N-(3-(メチルカルバモイル)フェニル)-6-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボキサミド、又は
N-(3-(シクロプロピルカルバモイル)フェニル)-1,6-ジイソプロピル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボキサミドである、請求項1に記載のヒスタミンH4受容体拮抗剤。 - 請求項1又は2に記載のピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、炎症性疾患の予防及び/又は治療剤。
- 前記炎症性疾患が、炎症性細胞の遊走・浸潤を伴う疾患である、請求項3に記載の予防及び/又は治療剤。
- 請求項1又は2に記載のピラゾロ[3,4-b]ピリジンアミド化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及び医薬として許容される賦形剤、希釈剤又は担体と共に含む、炎症性疾患を予防及び/又は治療するための医薬組成物。
- 前記炎症性疾患が、炎症性細胞の遊走・浸潤を伴う炎症性疾患である、請求項5に記載の医薬組成物。
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2008
- 2008-02-21 JP JP2008040307A patent/JP2009196932A/ja active Pending
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