JP2009196523A - 船舶用推進システム、その制御装置及び制御方法 - Google Patents

船舶用推進システム、その制御装置及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子制御式のシフト機構を備えた船舶用推進システムにおいて、動力源や動力伝達機構などの耐久性を向上させる。
【解決手段】船舶用推進システムは、動力源30と、推進部33と、第1のシフトポジションと、第2のシフトポジションと、ニュートラルとを切り替えるシフトポジション切り替え機構36と、変速比切り替え機構35と、アクチュエータと、制御部86とを備えている。制御部86は、ニュートラルから第1のシフトポジション且つ高速変速比に切り替えられる際において、アクチュエータ70に、変速比切り替え機構35の現在の変速比が低速変速比のときは低速比を維持させる一方、変速比切り替え機構35の現在の変速比が高速変速比のときは第1のシフトポジションへの切り替えに先立って低速変速比にさせた後に、第1のシフトポジションへ切り替え、その後、高速変速比にさせる。
【選択図】図5

Description

本発明は、船舶用推進システム、その制御装置及び制御方法に関する。詳細には、本発明は、電子制御式のシフト機構を備えた船舶用推進システム、その制御装置及び制御方法に関する。
従来、例えば特許文献1に記載のように、船外機のシフト機構を電動アクチュエータで駆動することでシフトポジションを切り替える技術が提案されている。特許文献1に記載のシフト機構では、電動アクチュエータでドッグクラッチを断続させることでフォワード、リバース及びニュートラルの間でシフトチェンジが行われる。
また、フォワードとリバースのそれぞれに低速側のシフトポジションと、高速側のシフトポジションを設けることも知られている。具体的には、低速側フォワードと、高速側フォワード、ニュートラル、低速側リバース、高速側リバースの5つのシフトポジションを設けることが知られている。
特開2006−264361号公報
ところで、船舶では、シフト操作のみで船舶の加減速及び停止が行われる。具体的に、船舶の加減速または停止を行う場合、現在のシフトポジションと逆側のシフトポジションにシフトチェンジすることによって、船舶の進行方向とは逆向きの推進力を発生させる。
しかしながら、進行方向とは逆側にシフトチェンジする場合、シフトチェンジの前と後ではプロペラ軸の回転方向が逆となる。このため、進行方向とは逆側にシフトチェンジする際に、動力源や動力伝達機構などに大きな負荷が発生する。特に、高速フォワードまたは高速リバースにシフトチェンジされる場合には、進行方向とは逆側にシフトチェンジする際に動力源や動力伝達機構などに生じる負荷がさらに大きくなる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子制御式のシフト機構を備えた船船舶用推進システムにおいて、進行方向とは逆側にシフトチェンジする際に動力源や動力伝達機構などに生じる負荷を低減して、動力源や動力伝達機構などの耐久性を向上させることにある。
本発明に係る船舶用推進システムは、動力源と、船舶用の推進部と、シフトポジション切り替え機構と、変速比切り替え機構と、アクチュエータと、制御部と、を備えている。動力源は、回転力を発生させる。推進部は、回転力により駆動されるプロペラを有する。推進部は、推進力を発生させる。シフトポジション切り替え機構は、動力源と推進部との間に配置されている。シフトポジション切り替え機構は、第1のシフトポジションと、第2のシフトポジションと、ニュートラルとを切り替える。第2のシフトポジションは、動力源の回転力を第1のシフトポジションとは逆の回転方向の回転力として推進部に伝達するシフトポジションである。ニュートラルは、動力源の回転力を推進部に伝達させないシフトポジションである。変速比切り替え機構は、動力源と推進部との間に配置されている。変速比切り替え機構は、動力源と推進部との間の変速比を低速変速比と高速変速比との間で切り替える。アクチュエータは、シフトポジション切り替え機構と変速比切り替え機構とを駆動する。制御部は、アクチュエータを制御する。制御部は、ニュートラルから第1のシフトポジション且つ高速変速比に切り替えられる際において、アクチュエータに、変速比切り替え機構の現在の変速比が低速変速比のときは低速比を維持させる一方、変速比切り替え機構の現在の変速比が高速変速比のときは第1のシフトポジションへの切り替えに先立って低速変速比にさせた後に、第1のシフトポジションへ切り替え、その後、高速変速比にさせる。
本発明に係る船舶用推進システムの制御装置は、動力源と、船舶用の推進部と、シフトポジション切り替え機構と、変速比切り替え機構と、アクチュエータと、制御部と、を備えた船舶用推進システムの制御装置に関する。動力源は、回転力を発生させる。推進部は、回転力により駆動されるプロペラを有する。推進部は、推進力を発生させる。シフトポジション切り替え機構は、動力源と推進部との間に配置されている。シフトポジション切り替え機構は、第1のシフトポジションと、第2のシフトポジションと、ニュートラルとを切り替える。第2のシフトポジションは、動力源の回転力を第1のシフトポジションとは逆の回転方向の回転力として推進部に伝達するシフトポジションである。ニュートラルは、動力源の回転力を推進部に伝達させないシフトポジションである。変速比切り替え機構は、動力源と推進部との間に配置されている。変速比切り替え機構は、動力源と推進部との間の変速比を低速変速比と高速変速比との間で切り替える。アクチュエータは、シフトポジション切り替え機構と変速比切り替え機構とを駆動する。
本発明に係る船舶用推進システムの制御装置は、ニュートラルから第1のシフトポジション且つ高速変速比に切り替えられる際において、アクチュエータに、変速比切り替え機構の現在の変速比が低速変速比のときは低速比を維持させる一方、変速比切り替え機構の現在の変速比が高速変速比のときは第1のシフトポジションへの切り替えに先立って低速変速比にさせた後に、第1のシフトポジションへ切り替え、その後、高速変速比にさせる。
本発明に係る船舶用推進システムの制御方法は、動力源と、船舶用の推進部と、シフトポジション切り替え機構と、変速比切り替え機構と、アクチュエータと、制御部と、を備えた船舶用推進システムの制御方法に関する。動力源は、回転力を発生させる。推進部は、回転力により駆動されるプロペラを有する。推進部は、推進力を発生させる。シフトポジション切り替え機構は、動力源と推進部との間に配置されている。シフトポジション切り替え機構は、第1のシフトポジションと、第2のシフトポジションと、ニュートラルとを切り替える。第2のシフトポジションは、動力源の回転力を第1のシフトポジションとは逆の回転方向の回転力として推進部に伝達するシフトポジションである。ニュートラルは、動力源の回転力を推進部に伝達させないシフトポジションである。変速比切り替え機構は、動力源と推進部との間に配置されている。変速比切り替え機構は、動力源と推進部との間の変速比を低速変速比と高速変速比との間で切り替える。アクチュエータは、シフトポジション切り替え機構と変速比切り替え機構とを駆動する。
本発明に係る船舶用推進システムの制御方法は、ニュートラルから第1のシフトポジション且つ高速変速比に切り替えられる際において、アクチュエータに、変速比切り替え機構の現在の変速比が低速変速比のときは低速比を維持させる一方、変速比切り替え機構の現在の変速比が高速変速比のときは第1のシフトポジションへの切り替えに先立って低速変速比にさせた後に、第1のシフトポジションへ切り替え、その後、高速変速比にさせる。
本発明によれば、電子制御式のシフト機構を備えた船船舶用推進システムにおいて、動力源や動力伝達機構などの耐久性を向上させることができる。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について、図1に示す船外機20を例に挙げて説明する。但し、以下の実施形態は、本発明を実施した好ましい形態の単なる例示である。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。本発明に係る船舶用推進システムは、例えば、所謂船内機や、所謂スタンドライブであってもよい。スタンドライブは、船内外機ともいう。なお、「スタンドライブ」とは、少なくとも動力源が船体上に載置される船舶用推進システムをいう。「スタンドライブ」には、推進部以外のものが船体上に載置されているものも含まれる。
《第1の実施形態》
図1は、第1の実施形態に係る船舶1の船尾11部分を側面視した際の部分断面図である。図1に示すように、船舶1は、船体10と、船舶用推進システムとしての船外機20とを備えている。船外機20は、船体10の船尾11に取り付けられている。
(船外機20の概略構成)
船外機20は、船外機本体21と、チルト・トリム機構22と、ブラケット23とを備えている。
ブラケット23は、マウントブラケット24とスイベルブラケット25とを備えている。マウントブラケット24は、図示しないスクリューによって船体10に固定されている。
スイベルブラケット25は、旋回軸26を介して、マウントブラケット24によって支持されている。スイベルブラケット25は、旋回軸26の中心軸回りに上下方向に揺動可能である。スイベルブラケット25には、船外機本体21が所謂ラバーマウントされている。
チルト・トリム機構22は、船外機本体21をチルト操作及びトリム操作するためのものである。
船外機本体21は、ケーシング27と、カウリング28と、推進力発生装置29とを備えている。推進力発生装置29の大部分は、ケーシング27とカウリング28との内部に配置されている。
図1及び図2に示すように、推進力発生装置29は、エンジン30と、動力伝達機構32と、推進部33とを備えている。
なお、本実施形態では、船外機20が動力源としてエンジン30を有する例について説明する。但し、動力源は、回転力を発生させることができるものである限り、特に限定されない。例えば、動力源は、電動モーターであってもよい。
エンジン30は、図5に示すスロットルボディ87を有する燃料噴射式のエンジンである。エンジン30は、回転力を発生させる。図1に示すように、エンジン30は、クランクシャフト31を備えている。エンジン30は、発生した回転力を、クランクシャフト31を通じて出力する。
動力伝達機構32は、エンジン30と推進部33との間に配置されている。動力伝達機構32は、エンジン30において発生した回転力を推進部33に伝達する。動力伝達機構32は、シフト機構34と、減速機構37と、連動機構38とを備えている。
シフト機構34は、エンジン30のクランクシャフト31に接続されている。図2に示すように、シフト機構34は、変速比切り替え機構35と、シフトポジション切り替え機構36とを備えている。
変速比切り替え機構35は、エンジン30と推進部33との間の変速比を高速変速比(HIGH)と低速変速比(LOW)との間で切り替える。ここで、「高速変速比」とは、出力側回転速度の入力側回転速度に対する比が比較的大きい変速比をいう。一方、「低速変速比」とは、出力側回転速度の入力側回転速度に対する比が比較的小さい変速比をいう。
シフトポジション切り替え機構36は、シフトポジションをフォワード、リバース及びニュートラルとの間で切り替える。
減速機構37は、シフト機構34に接続されている。減速機構37は、シフト機構34からの回転力を、減速して推進部33側に伝達する。減速機構37の構造は、特に限定されない。減速機構37は、例えば、遊星歯車機構を有するものであってもよい。また、減速機構37は、減速ギア対を有するものであってもよい。
連動機構38は、減速機構37と推進部33との間に配置されている。連動機構38は、図示しないベベルギア組を備えている。連動機構38は、減速機構37からの回転力を、方向を変えて推進部33に伝達させる。
推進部33は、プロペラ軸40と、プロペラ41とを備えている。プロペラ軸40は、連動機構38からの回転力をプロペラ41に伝達する。推進部33は、エンジン30において発生した回転力を推進力に変換する。
図1に示すように、プロペラ41は、第1のプロペラ41aと第2のプロペラ41bとの2つのプロペラを含んでいる。第1のプロペラ41aの螺旋方向と、第2のプロペラ41bの螺旋方向とは相互に逆方向である。動力伝達機構32から出力される回転力が正転方向であるとき、第1のプロペラ41aと第2のプロペラ41bとは互いに逆方向に回転し、前進方向の推進力が発生する。よって、シフトポジションがフォワードとなる。一方、動力伝達機構32から出力される回転力が逆転方向であるとき、第1のプロペラ41aと第2のプロペラ41bとのそれぞれは、前進時とは逆方向に回転し、後進方向の推進力が発生する。よって、シフトポジションがリバースとなる。
(シフト機構34の詳細構造)
次に、主として図3を参照しながら、本実施形態におけるシフト機構34の構造について詳細に説明する。但し、図3に示すシフト機構34は、単なる構成例である。本発明において、シフト機構は、図3に示すシフト機構34に限定されない。なお、図3は、シフト機構34を模式化して表している。このため、図3に示すシフト機構34の構造は、実際のシフト機構34の構造と厳密には一致しない。
シフト機構34は、シフトケース45を備えている。シフトケース45は、外観視略円柱状である。シフトケース45は、第1のケース45aと、第2のケース45bと、第3のケース45cと、第4のケース45dとを備えている。第1のケース45aと、第2のケース45bと、第3のケース45cと、第4のケース45dとは、ボルトなどによって相互に固定されている。
<変速比切り替え機構35>
変速比切り替え機構35は、入力軸としての第1の動力伝達軸50と、出力軸としての第2の動力伝達軸51と、遊星歯車機構52と、変速比切り替え用油圧式クラッチ53とを備えている。第1の動力伝達軸50と第2の動力伝達軸51とは、同軸上に配置されている。第1の動力伝達軸50は、第1のケース45aによって回転可能に支持されている。第2の動力伝達軸51は、第2のケース45bと第3のケース45cとによって回転可能に支持されている。第1の動力伝達軸50は、クランクシャフト31に接続されている。また、第1の動力伝達軸50は、遊星歯車機構52に接続されている。
遊星歯車機構52は、サンギア54と、リングギア55と、キャリア56と、複数のプラネタリギア57とを備えている。リングギア55は、略円筒状に形成されている。リングギア55の内周面に、プラネタリギア57と噛合する歯が形成されている。リングギア55は、第1の動力伝達軸50に接続されている。リングギア55は、第1の動力伝達軸50と共に回転する。
サンギア54は、リングギア55の内部に配置されている。サンギア54とリングギア55とは同軸で回転する。サンギア54は、ワンウェイクラッチ58を介して、第2のケース45bに取り付けられている。ワンウェイクラッチ58は、正転方向の回転を許容する一方、逆転方向の回転を規制する。このため。サンギア54は、正転可能である一方、逆転不能である。
サンギア54とリングギア55との間には、複数のプラネタリギア57が配置されている。各プラネタリギア57は、サンギア54とリングギア55との両方と噛合している。各プラネタリギア57は、キャリア56によって回転可能に支持されている。このため、複数のプラネタリギア57は、各々が回転しながら、第1の動力伝達軸50の軸心回りを相互に同速度で旋回する。
なお、本明細書において、「回転」とは、部材が、その部材内に位置する軸を中心として回ることをいう。一方、「旋回」とは、部材が、その部材の外に位置する軸を中心として回ることをいう。
キャリア56は、第2の動力伝達軸51に接続されている。キャリア56は、第2の動力伝達軸51と共に回転する。
キャリア56とサンギア54との間には、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が配置されている。本実施形態では、この変速比切り替え用油圧式クラッチ53は、湿式多板式クラッチである。但し、本発明において、変速比切り替え用油圧式クラッチ53は、湿式多板式クラッチに限定されない。変速比切り替え用油圧式クラッチ53は、乾式多板式クラッチであってもよく、所謂ドッグクラッチであってもよい。
なお、本明細書において「多板式クラッチ」とは、相互に回転可能な第1の部材及び第2の部材と、第1の部材と共に回転する1または複数の第1のプレートと、第2の部材と共に回転する1または複数の第2のプレートとを備え、第1のプレートと第2のプレートとが圧接されることによって第1の部材と第2の部材との回転が規制されるクラッチをいう。本明細書において「クラッチ」は、回転力が入力される入力軸と、回転力が出力される出力軸との間に配置され、前記入力軸と前記出力軸との間を断続させるものに限定されない。
変速比切り替え用油圧式クラッチ53は、油圧式のピストン53aと、クラッチプレートとフリクションプレートとを含むプレート群53bとを備えている。ピストン53aが駆動されることで、プレート群53bが圧接状態となる。このため、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が接続状態となる。一方、ピストン53aが非駆動状態のときは、プレート群53bが非圧接状態となる。このため、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が切断状態となる。
変速比切り替え用油圧式クラッチ53が接続状態となると、サンギア54とキャリア56とが相互に固定された状態となる。このため、プラネタリギア57の旋回に伴って、サンギア54とキャリア56とが一体に回転する。
<シフトポジション切り替え機構36>
シフトポジション切り替え機構36は、入力軸としての第2の動力伝達軸51と、出力軸としての第3の動力伝達軸59と、遊星歯車機構60と、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61と、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62とを備えている。
第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61と、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62とは、入力軸としての第2の動力伝達軸51と、出力軸としての第3の動力伝達軸59との間の接続状態を変化させるためのものである。
第3の動力伝達軸59は、第3のケース45cと第4のケース45dとにより回転可能に支持されている。第2の動力伝達軸51と、第3の動力伝達軸59とは同軸上に配置されている。本実施形態では、油圧式クラッチ61,62は湿式多板式クラッチである。なお、第2の動力伝達軸51は、変速比切り替え機構35とシフトポジション切り替え機構36とが共有する部材である。
シフトポジション切り替え機構36は、後に詳述するように、第2のシフトポジションとしてのフォワードと、第1のシフトポジションとしてのリバースと、ニュートラルとを切り替える。フォワードでは、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が切断される一方、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が接続されている。フォワードでは、エンジン30において発生した回転力が正転方向の回転力としてシフトポジション切り替え機構36から出力される。リバースでは、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が接続される一方、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が切断されている。リバースでは、エンジン30において発生した回転力が逆転方向の回転力としてシフトポジション切り替え機構36から出力される。ニュートラルでは、第2及び第3の油圧式クラッチ61,62の両方が切断されている。ニュートラルでは、エンジン30において発生した回転力は、シフトポジション切り替え機構36から出力されない。つまり、エンジン30において発生した回転力は、推進部33に伝達されない。
遊星歯車機構60は、サンギア63と、リングギア64と、複数のプラネタリギア65と、キャリア66とを備えている。
キャリア66は、第2の動力伝達軸51に接続されている。キャリア66は、第2の動力伝達軸51と共に回転する。このため、第2の動力伝達軸51の回転に伴って、キャリア66が回転すると共に、複数のプラネタリギア65が相互に同じ速度で旋回する。
複数のプラネタリギア65は、リングギア64と、サンギア63とに噛合している。リングギア64と第3のケース45cとの間には、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が配置されている。第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61は、油圧式のピストン61aと、クラッチプレートとフリクションプレートとを含むプレート群61bとを備えている。この油圧式のピストン61aが駆動されることで、プレート群61bが圧接状態となる。このため、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が接続状態となる。その結果、リングギア64が第3のケース45cに対して固定され、回転不能となる。一方、油圧式のピストン61aが非駆動状態のときは、プレート群61bが非圧接状態となる。このため、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が非接続状態となる。その結果、リングギア64が第3のケース45cに対して非固定状態となり、回転可能となる。
キャリア66とサンギア63との間には、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が配置されている。第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62は、油圧式のピストン62aと、クラッチプレートとフリクションプレートとを含むプレート群62bとを備えている。この油圧式のピストン62aが駆動されることで、プレート群62bが圧接状態となる。このため、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が接続状態となる。その結果、キャリア66とサンギア63とが一体に回転する。一方、油圧式のピストン62aが非駆動状態のときは、プレート群62bが非圧接状態となる。このため、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が非接続状態となる。その結果、リングギア64とサンギア63とが相互に回転可能となる。
図4に示すように、油圧式ピストン53a、61a、62aは、アクチュエータ70によって駆動される。アクチュエータ70は、オイルポンプ71と、変速比切り替え用電磁バルブ72と、後進シフト接続用電磁バルブ73と、前進シフト接続用電磁バルブ74とを備えている。オイルポンプ71は、オイル経路75によって油圧式ピストン53a、61a、62aに接続されている。変速比切り替え用電磁バルブ72は、オイルポンプ71と油圧式ピストン53aとの間に配置されている。この変速比切り替え用電磁バルブ72によって油圧式ピストン53aの油圧が調節される。後進シフト接続用電磁バルブ73は、オイルポンプ71と油圧式ピストン61aとの間に配置されている。後進シフト接続用電磁バルブ73によって油圧式ピストン61aの油圧が調節される。前進シフト接続用電磁バルブ74は、オイルポンプ71と油圧式ピストン62aとの間に配置されている。前進シフト接続用電磁バルブ74によって油圧式ピストン62aの油圧が調節される。
変速比切り替え用電磁バルブ72と、後進シフト接続用電磁バルブ73と、前進シフト接続用電磁バルブ74とのそれぞれは、オイル経路75の経路面積を徐変可能である。このため、変速比切り替え用電磁バルブ72と、後進シフト接続用電磁バルブ73と、前進シフト接続用電磁バルブ74とを用いることによって、油圧式ピストン53a、61a、62aの押圧力を徐変させることができる。従って、油圧式クラッチ53,61,62の接続力を徐変させることができる。
具体的に、本実施形態では、変速比切り替え用電磁バルブ72と、後進シフト接続用電磁バルブ73と、前進シフト接続用電磁バルブ74とのそれぞれは、PWM(Pulse Width Modulation)制御されるソレノイドバルブにより構成されている。但し、変速比切り替え用電磁バルブ72と、後進シフト接続用電磁バルブ73と、前進シフト接続用電磁バルブ74とのそれぞれは、PWM制御されるソレノイドバルブ以外のバルブにより構成されていてもよい。例えば、変速比切り替え用電磁バルブ72と、後進シフト接続用電磁バルブ73と、前進シフト接続用電磁バルブ74とのそれぞれは、オン−オフ制御されるソレノイドバルブによって構成されていてもよい。
なお、クラッチの接続力とは、クラッチの接続状態を表す値である。すなわち、例えば、「変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続力が100%である」とは、プレート群53bが完全な圧接状態となるように油圧式ピストン53aが駆動され、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が完全に接続された状態を意味する。一方、例えば、「変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続力が0%である」とは、油圧式ピストン53aが非駆動状態となることによって、プレート群53bのプレート同士が離間して非圧接状態になり、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が完全に切断された状態を意味する。また、例えば、「変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続力が80%である」とは、プレート群53bが圧接状態となるように変速比切り替え用油圧式クラッチ53が駆動され、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が完全に接続された状態に対して、入力軸としての第1の動力伝達軸50から出力軸としての第2の動力伝達軸51へ伝達される駆動トルクまたは、第2の動力伝達軸51の回転速度が80%となる状態で接続された、所謂半クラッチ状態であることを意味する。
(シフト機構34の変速動作)
次に、シフト機構34の変速動作について、主として図3と図6を参照しつつ詳細に説明する。図6は、油圧式クラッチ53,61,62の接続状態と、シフト機構34のシフトポジションとを表す表である。シフト機構34では、第1〜第3の油圧式クラッチ53,61,62の断続によって、シフトポジションが切り替えられる。
<低速変速比と高速変速比との切り替え>
低速変速比と高速変速比との切り替えは変速比切り替え機構35において行われる。具体的には、変速比切り替え用油圧式クラッチ53の操作によって低速変速比と高速変速比とが切り替えられる。詳細には、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が切断状態にある場合に「低速変速比」となる。一方、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が接続状態である場合に「高速変速比」となる。
図3に示すように、リングギア55は第1の動力伝達軸50に接続されている。このため、第1の動力伝達軸50の回転に伴って、リングギア55が正転方向に回転する。ここで、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が切断状態にある場合、キャリア56とサンギア54とは相互に回転可能となっている。よって、プラネタリギア57が回転すると共に旋回する。その結果、サンギア54が逆転方向に回転しようとする。
しかしながら、図6に示すように、ワンウェイクラッチ58は、サンギア54の逆転方向回転を阻止する。このため、サンギア54はワンウェイクラッチ58によって固定される。その結果、リングギア55の回転に伴ってサンギア54とリングギア55との間でプラネタリギア57が旋回することで、キャリア56と共に第2の動力伝達軸51が回転する。この場合、プラネタリギア57は旋回すると共に回転するため、第1の動力伝達軸50の回転は、減速されて第2の動力伝達軸51に伝達される。従って、変速比が「低速変速比」となる。
一方、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が接続状態にある場合、プラネタリギア57とサンギア54とが一体に回転する。よって、プラネタリギア57の回転が禁止される。従って、プラネタリギア57とキャリア56とサンギア54とがリングギア55の回転に伴ってリングギア55と同じ回転速度で正転方向に回転する。ここで、図6に示すように、ワンウェイクラッチ58は、サンギア54の正転を許容する。その結果、第1の動力伝達軸50と第2の動力伝達軸51とが同じ回転速度で正転方向に回転する。言い換えれば、第2の動力伝達軸51に第1の動力伝達軸50の回転力が同じ回転速度且つ同じ回転方向で伝達される。従って、減速比が「高速変速比」となる。
<フォワード、リバース及びニュートラルの切り替え>
フォワード、リバース及びニュートラルの切り替えは、シフトポジション切り替え機構36において行われる。具体的には、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61と第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62との操作によってフォワード、リバース及びニュートラルの切り替えが行われる。
第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が切断状態である一方、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が接続状態である場合に「フォワード」となる。第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が切断状態である場合、リングギア64は、シフトケース45に対して回転可能である。第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62は接続状態にある場合、キャリア66とサンギア63及び第3の動力伝達軸59とは一体に回転する。このため、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が接続状態である一方、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62は接続状態にある場合、第2の動力伝達軸51とキャリア66とサンギア63と第3の動力伝達軸59とが一体に正転方向に回転する。従って、シフトポジションが「フォワード」となる。
第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が接続状態である一方、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が切断状態である場合に「リバース」となる。第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が接続状態である一方、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62は切断状態にある場合、リングギア64はシフトケース45によって回転規制される。一方、サンギア63は、キャリア66に対して回転可能となる。従って、第2の動力伝達軸51が正転方向に回転するにともなって、プラネタリギア65が回転しながら旋回する。その結果、サンギア63と第3の動力伝達軸59とが逆転方向に回転する。従って、シフトポジションが「リバース」になる。
また、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61と第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62との両方が切断状態である場合に「ニュートラル」となる。第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61と第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62との両方が切断状態にある場合、遊星歯車機構60は空転状態となる。このため、第2の動力伝達軸51の回転は第3の動力伝達軸59へと伝達されない。従って、シフトポジションが「ニュートラル」となる。
以上説明したように、低速変速比と高速変速比との間の切り替え、及びシフトポジションの切り替えが行われる。従って、図6に示すように、変速比切り替え用油圧式クラッチ53及び第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が切断状態にある一方、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が接続状態にある場合に、シフトポジションが「低速フォワード」となる。変速比切り替え用油圧式クラッチ53と第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62とが接続状態である一方、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が切断状態である場合に、シフトポジションが「高速フォワード」となる。第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61及び第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62との両方が切断状態の場合に、変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続状態に関わらず、シフトポジションが「ニュートラル」となる。変速比切り替え用油圧式クラッチ53と第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62とが切断状態にある一方、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が接続状態にある場合に、シフトポジションは「低速リバース」となる。また、変速比切り替え用油圧式クラッチ53と第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61とが接続状態にある一方、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が切断状態にある場合に、シフトポジションは「高速リバース」となる。
(船舶1の制御ブロック)
次に主として図5を参照しながら船舶1の制御ブロックについて説明する。
まず、図5を参照して、船外機20の制御ブロックについて説明する。船外機20には、制御装置86が配置されている。この制御装置86は、船外機20の各機構を制御する。制御装置86は、演算部としてのCPU(central processing unit)86aとメモリ86bとを備えている。メモリ86bには、後述するマップなどの各種設定などが記憶されている。メモリ86bは、CPU86aに接続されている。CPU86aは、各種演算を行う際に、メモリ86bに格納された必要な情報を読み出す。また、CPU86aは、必要に応じて、演算結果をメモリ86bに出力し、メモリ86bに記憶させる。
制御装置86には、エンジン30のスロットルボディ87が接続されている。スロットルボディ87は、制御装置86によって制御される。これにより、エンジン30の回転速度が制御される。その結果、エンジン30の出力が制御される。
また、制御装置86には、エンジン回転速度センサ88が接続されている。エンジン回転速度センサ88は、図1に示すエンジン30のクランクシャフト31の回転速度を検出する。エンジン回転速度センサ88は、検出したエンジン回転速度を制御装置86に出力する。
エンジン30とプロペラ41との間には、トルクセンサ89が設けられている。トルクセンサ89は、エンジン30とプロペラ41との間で発生するトルクを検出する。トルクセンサ89は、検出したトルクを制御装置86に対して出力する。
トルクセンサ89の配置位置は、エンジン30とプロペラ41との間であれば特に限定されない。トルクセンサ89は、例えば、クランクシャフト31、第1〜第3の動力伝達軸50,51,59、プロペラ軸40などに対して配置してもよい。トルクセンサ89は、例えば、磁歪センサなどにより構成することができる。
推進部33には、プロペラ回転速度センサ90が設けられている。プロペラ回転速度センサ90は、プロペラ41の回転速度を検出する。プロペラ回転速度センサ90は、検出した回転速度を制御装置86に対して出力する。なお、プロペラ41の回転速度とプロペラ軸40の回転速度とは相互に実質的に同じである。従って、プロペラ回転速度センサ90は、プロペラ軸40の回転速度を検出するものであってもよい。
また、制御装置86には、上記変速比切り替え用電磁バルブ72と、前進シフト接続用電磁バルブ74と、後進シフト接続用電磁バルブ73とが接続されている。上記変速比切り替え用電磁バルブ72と、前進シフト接続用電磁バルブ74と、後進シフト接続用電磁バルブ73との開閉及び開度調整は、制御装置86によって制御される。
図5に示すように、船舶1は、船体10に巡らされたLAN(local area network)80を備えている。船舶1では、このLAN80を介して装置間の信号の送受信が行われている。
LAN80には、船外機20の制御装置86、コントローラー82及び表示装置81が接続されている。制御装置86は、検出されたエンジン回転速度、プロペラ回転速度などを出力する。表示装置81は、制御装置86から出力された情報や、後述するコントローラー82から出力された情報を表示させる。具体的には、表示装置81は、船舶1の現在のスピード、シフトポジションなどを表示させる。
コントローラー82は、コントロールレバー83と、アクセル開度センサ84と、シフトポジション検出部としてのシフトポジションセンサ85とを備えている。コントロールレバー83には、船舶1の操船者の操作によってシフトポジションやアクセル開度が入力される。具体的に、操船者がコントロールレバー83を操作すると、コントロールレバー83の状態に応じたアクセル開度及びシフトポジションが、それぞれアクセル開度センサ84とシフトポジションセンサ85とによって検出される。アクセル開度センサ84とシフトポジションセンサ85とのそれぞれは、LAN80に接続されている。アクセル開度センサ84とシフトポジションセンサ85とは、それぞれアクセル開度とシフトポジションとをLAN80に送信する。
制御装置86は、アクセル開度センサ84とシフトポジションセンサ85とから出力されたアクセル開度信号やシフトポジション信号を、LAN80を介して受信する。
(船舶1の制御)
次に、船舶1の制御について説明する。
<船舶1の基本的制御>
船舶1の操船者によりコントロールレバー83が操作されると、アクセル開度センサ84とシフトポジションセンサ85とによってコントロールレバー83の状況に応じたアクセル開度とシフトポジションとが検出される。検出されたアクセル開度とシフトポジションとは、LAN80に送信される。制御装置86は、LAN80を介して出力されたアクセル開度信号とシフトポジション信号とを受信する。制御装置86は、アクセル開度信号に応じてスロットルボディ87を制御する。制御装置86は、これによってエンジン30の出力制御を行う。
また、制御装置86は、シフトポジション信号に応じてシフト機構34を制御する。具体的には、「低速フォワード」のシフトポジション信号を受信した場合は、変速比切り替え用電磁バルブ72を駆動させて変速比切り替え用油圧式クラッチ53を切断すると共に、支部と接続用電磁バルブ73,74を駆動させて第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61を切断させる一方、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62を接続させる。これにより、シフトポジションが「低速フォワード」に切り替えられる。
<船舶1の具体的制御>
(1)低速変速比の保持、シフトイン禁止期間
本実施形態では、ニュートラルから高速フォワードまたは低速フォワードにシフトチェンジされる際に、シフトポジション切り替え機構36のフォワードまたはリバースへのシフトチェンジに先立って変速比切り替え機構35の変速比が低速変速比にされる。その後、ニュートラルからフォワードまたはリバースへのシフトチェンジを開始させる。その後、変速比切り替え機構35の変速比が高速変速比に切り替えられる。すなわち、変速比切り替え機構35の変速比を低速変速比にした状態で、ニュートラルからフォワードまたはリバースへのシフトチェンジが開始される。その後、変速比切り替え機構35の変速比が低速変速比から高速変速比へと切り替えられる。
また、本実施形態では、図5に示す制御装置86によって、フォワード、リバース及びニュートラルのいずれかのシフトポジションからフォワードまたはリバースへのシフトチェンジ後、所定のシフトイン禁止時間が経過するまでは、再びフォワード及びリバースの一方へのシフトチェンジが禁止される。つまり、本実施形態では、シフトイン禁止期間においては、フォワード、リバース間のシフトチェンジは禁止される。但し、フォワードまたはリバースからニュートラルへのシフトチェンジは必ずしも禁止されない。なお、シフトイン禁止期間は、船外機20の特性などに応じて適宜設定することができる。シフトイン禁止期間は、例えば0.1〜10秒程度、好ましくは、0.2秒〜1秒程度に設定することができる。
詳細には、図8に示すように、まず、ステップS1において、CPU86aによって、シフトポジションセンサ85からの出力に基づいて、コントロールレバー83の位置が中立領域にあるか否かが判断される。ステップS1において、コントロールレバー83の位置が、中立領域にあると判断される場合は、ステップS2に進む。ステップS2では、CPU86aは、アクチュエータ70にシフトポジション切り替え機構36のシフトポジションをニュートラルにさせる。
一方、ステップ1において、コントロールレバー83の位置が中立領域にないと判断された場合はステップS3に進む。ステップS3では、CPU86aによって、シフトポジションセンサ85からの出力に基づいて、コントロールレバー83の位置が前進領域にあるか否かが判断される。ステップS3において、コントロールレバー83の位置が前進領域にあると判断された場合はステップS4に進む。
ステップS4では、CPU86aによって、シフトポジションセンサ85からの出力に基づいて、シフトポジション切り替え機構36のシフトポジションがフォワードであるか否かが判断される。ステップS3において、シフトポジション切り替え機構36のシフトポジションがフォワードであると判断された場合は、制御が終了される。
一方、ステップS3において、シフトポジション切り替え機構36がフォワードであると判断された場合には、ステップS5に進む。
ステップS5では、CPU86aによって、シフトイン禁止期間が経過しているか否かが判断される。ステップS5において、シフトイン禁止期間が経過していないと判断された場合には、ステップS1に戻る。すなわち、シフトイン禁止期間中であれば、ステップS5からステップS1に戻る。
一方、ステップS5において、シフトイン禁止期間が経過していると判断された場合は、ステップS6に進む。
ステップS6では、CPU86aは、アクチュエータ70に、シフトポジション切り替え機構36のシフトポジションをフォワードにさせる。
ステップS6に続いて、ステップS7が行われる。ステップS7では、CPU86aによって、シフトイン禁止期間が開始される。
上述のステップS3において、コントロールレバー83の位置が前進領域にないと判断された場合は、ステップS8に進む。すなわち、ステップS3において、コントロールレバー83の位置が後進領域にあると判断された場合はステップS8へ進む。ステップS8では、CPU86aによって、シフトポジションセンサ85からの出力に基づいて、シフトポジション切り替え機構36のシフトポジションがリバースであるか否かが判断される。ステップS8において、シフトポジション切り替え機構36のシフトポジションがリバースであると判断された場合には、制御が終了される。
一方、ステップS8において、シフトポジション切り替え機構36のシフトポジションが、リバースではないと判断された場合は、ステップS9に進む。ステップS9では、CPU86aによって、シフトイン禁止期間が経過しているか否かが判断される。ステップS9において、シフトイン禁止期間が経過していないと判断された場合は、ステップS1に戻る。すなわち、シフトイン禁止期間中であると判断された場合は、ステップS1に戻る。
一方、ステップS9において、シフトイン禁止期間が経過していると判断された場合は、ステップS10に進む。ステップS10では、CPU86aは、アクチュエータ70に、シフトポジション切り替え機構36のシフトポジションをリバースにさせる。
ステップS10に続いて、ステップS7が行われる。ステップS7では、CPU86aによって、シフトイン禁止期間が開始される。
以下、図7に示す例に基づいて具体的に説明する。図7に示す例では、時間t1において、操船者によって、コントロールレバー83がニュートラルから高速フォワードへと操作されている。これにより、図5に示すシフトポジションセンサ85から、シフトポジションをニュートラルから高速フォワードへとシフトチェンジさせる信号がLAN80を介して制御装置86に出力される。
ここで、図7に示すケースでは、時間t1における変速比切り替え機構35の変速比が低速変速比である。このため、コントロールレバー83の位置がニュートラルの領域からフォワードの領域となる時間t2において、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続が開始される。その結果、時間t3において、シフトポジションが低速フォワードとなる。
本実施形態では、時間t3〜t4の間、コントロールレバー83の位置が高速フォワードにあるにも関わらず、変速比切り替え機構35の変速比が低速変速比に保持される。そして、時間t4において変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続が開始される。その結果、時間t5においてシフトポジションが高速フォワードとなる。ここで、時間t3〜t4は、船外機20の特性などに応じて適宜設定することができる。時間t3〜t4は、例えば、0.5〜30秒、好ましくは、5〜10秒に設定することができる。
なお、時間t2において、シフトポジションがニュートラルからフォワードへと切り替えられる。このため、シフトポジションがニュートラルからフォワードとなる時間t2からシフトイン禁止期間が開始する。
図7に示す例では、時間t7において、高速フォワードから高速リバースへとコントロールレバー83が操作される。ここで、時間t7は、シフトイン禁止期間t2〜t6が経過した後である。このため、リバースへのシフトチェンジは禁止されない。具体的に、まず、コントロールレバー83の位置がニュートラルの領域に達した時間t8において、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が切断される。これにより、シフトポジションは、高速フォワードからニュートラルに切り替えられる。そして、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61の接続に先立って、変速比切り替え機構35の変速比が低速変速比とされる。具体的には、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61の接続が開始される時間t10よりも前の時間t9において、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が切断される。これにより、変速比切り替え機構35の変速比が低速変速比となる。その後、時間t10において、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61の接続が開始される。その結果、時間t11において、シフトポジションが低速リバースとなる。
その後、時間t11〜t12までの間、コントロールレバー83の位置が高速リバースにあるにも関わらず、変速比切り替え機構35の変速比が低速変速比に維持される。なお、時間t11〜t12は、例えば、時間t3〜t4と同じ長さとすることができる。
そして、時間t12において、変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続が開始される。その結果、シフトポジションが低速リバースから高速リバースへと切り替えられる。
図7に示す例では、時間t13において、コントロールレバー83が高速リバースから高速フォワードに切り替えられている。しかしながら、時間t13は、シフトイン禁止期間t8〜t15内である。このため、高速リバースから高速フォワードへのシフトチェンジは禁止される。
具体的には、図7に示すように、コントロールレバー83の位置がニュートラルの領域に達する時間t14において、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61が切断される。これにより、シフトポジションがニュートラルとなる。その後、シフトイン禁止期間t8〜t15が経過するまでは、ニュートラルが保持される。
図7に示す例では、時間t15においてもコントロールレバー83の位置が高速フォワードに保持されている。ここで、時間t15では、変速比切り替え機構35の変速比が高速変速比となっている。このため、まず、時間t15において、変速比切り替え用油圧式クラッチ53が切断される。これにより、変速比切り替え機構35の変速比が低速変速比となる。その後、時間t16において、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続が開始される。その結果、時間t17において、シフトポジションが低速フォワードとなる。時間t17〜t18の間、低速フォワードが維持される。時間t18において、変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続が開始される。その結果、時間t19において、変速比切り替え機構35の変速比が高速フォワードとなる。
(2)第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61及び第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力の漸増
本実施形態では、ニュートラルから高速フォワードまたは高速リバースに接続されるときに、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力が漸増される。これにより、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62がゆっくりと接続される。
例えば、図7に示す例であれば、時間t10において第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61の接続力が漸増される。時間t16において第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力が漸増される。
また、本実施形態では、上記シフトイン禁止期間経過後のシフトイン時に限定されず、エンジン回転速度などに応じて適宜第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力が漸増される。
具体的に、図7に示す例の時間t16において、シフトポジションセンサ85は、フォワードのシフトポジション信号を、LAN80を介して制御装置86に送信する。
CPU86aは、まず、メモリ86bに記憶された図9に示すマップを読み出す。図9に示すマップは、アクセル開度及びエンジン回転速度とクラッチの接続時間とを表すマップである。CPU86aは、この図9に基づいて第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続時間を決定する。すなわち、エンジン回転速度とアクセル開度とに基づいて第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続時間を決定する。
ここで、クラッチの「接続時間」とは、クラッチの接続が開始されてから、クラッチの接続が終了するまでに要する時間である。より具体的には、クラッチの「接続時間」とは、クラッチの接続が開始してから、出力軸が入力軸と同じ回転速度で回転するまでに要する時間である。
なお、本実施形態において「クラッチの接続が開始される」とは、油圧クラッチを断続するアクチュエータの駆動が開始されることをいう。
詳細には、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続時間は、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続開始直前のアクセル開度及びエンジン回転速度を図9に示すマップに当てはめることにより導出される。例えば、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続開始直前のアクセル開度及びエンジン回転速度を図9にプロットした結果、線91と線92との間にプロットされた場合は、接続時間がt01と導出される。第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続開始直前のアクセル開度及びエンジン回転速度を図9にプロットした結果、線92と線93との間にプロットされた場合は、接続時間がt02と導出される。第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続開始直前のアクセル開度及びエンジン回転速度を図9にプロットした結果、線93よりも外側にプロットされた場合は、接続時間がt03と導出される。但し、t01<t02<t03である。
CPU86aは、導出された接続時間で第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が接続されるように前進シフト接続用電磁バルブ74を制御する。具体的には、例えば、導出された接続時間がt03の場合、図10及び図11に示すように、CPU86aは、時間t03後に第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が完全に接続状態となるように図3に示す油圧式ピストン62aの油圧を漸増させる。さらに具体的には、図10に示すように、CPU86aは、前進シフト接続用電磁バルブ74に対して出力するDuty信号のデューティー比を、時間t03後に100%となるように漸増させる。これにより、油圧式ピストン62aの油圧が漸増される。その結果、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力が漸増される。なお、図10に示す線94は、前進シフト接続用電磁バルブ74に対して出力されるDuty信号を表している。また、太線95は、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の油圧を表している。
それに対して、例えば、導出された接続時間がt02の場合、図11に示すように、時間t02後に第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が完全に接続状態となるように図3に示す油圧式ピストン62aの油圧を漸増させる。例えば、導出された接続時間がt01の場合、図11に示すように、時間t01後に第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62が完全に接続状態となるように図3に示す油圧式ピストン62aの油圧を漸増させる。
なお、図10,図11では、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続が開始されてから完了するまでの間にわたって接続力が漸増される例について説明した。より具体的には、クラッチの接続力の変化速度が徐々に小さくなるようにクラッチの接続力が徐変される例について説明した。但し、本発明はこれに限定されない。
例えば、図12に示すように、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続が開始されてから完了するまでの間にわたって接続力を単調増加させてもよい。
図13に示すように、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続が開始されてから完了するまでの間にわたって、クラッチの接続力の変化速度が徐々に大きくなるように接続力を増加させてもよい。
また、図14に示すように、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続が開始されてから完了するまでの期間の一部の期間t31〜t32においてのみ第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力を漸増させてもよい。言い換えれば、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続が開始されてから完了するまでの期間の一部の期間において接続力を急激に増大させてもよい。
さらに、図15に示すように、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続が開始されてから完了するまでの期間の一部の期間t42〜t43において接続力を一定に保持してもよい。具体的には、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続が開始されてから完了するまでの期間の一部の期間t41〜t42において接続力を徐変させる。その後、期間t42〜t43において接続力を一定に保持する。そして、t43〜において接続力を急激に増大させてもよい。
このように、シフト切り替え用のクラッチ61,62の接続力をどのように漸増させるかは、クラッチ61,62の特性や船外機20及び船舶1の特性などに基づいて適宜決定することができる。
(3)エンジン30とプロペラ41との間のトルクに基づく、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61及び第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力の低下
CPU86aは、ニュートラルから高速フォワードまたは高速リバースへのシフトポジション切り替え時にクラッチの接続力を漸増させる際に、トルクセンサ89によって検出されるエンジン30とプロペラ41との間のトルクに応じて、クラッチの接続力を低下させる。
以下、ニュートラルから高速フォワードにシフトポジションが切り替えられる場合を例に挙げて具体的に説明する。メモリ86bには、図16に示すマップが記憶されている。図16に示すマップは、エンジン30とプロペラ41との間のトルク及びエンジン30の回転速度と、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力との関係を定めたマップである。以下、説明の便宜上、図16に示すマップを「トルク−接続力マップ」という。
第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続時において、トルクセンサ89は、エンジン30とプロペラ41との間のトルクを所定期間毎に検出する。トルクセンサ89は、検出したトルクを制御装置86に対して出力する。
制御装置86のCPU86aは、トルク−接続力マップをメモリ86bから読み出す。CPU86aは、トルクセンサ89からのトルクとエンジン回転速度センサ88からのエンジン回転速度とトルク−接続力マップとから、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力を求める。CPU86aは、求められた第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力と、現在の第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の実際の接続力とを比較する。CPU86aは、求められた第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力が現在の第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の実際の接続力よりも小さい場合は、アクチュエータ70に第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力を低下させる。具体的には、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力を求められた第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力にまで低下させる。
例えば、図17に示すように、時間T1における第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力が80%である場合に、図16に示すトルク−接続力マップの点Aにプロットされたとする。この場合、求められる第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力は70%となる。このため、求められる第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力は実際の第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力よりも小さいということになる。ここで、トルクセンサ89によって検出されるトルクは、第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力が大きくなるほど小さくなる傾向にある。よって、図16に規定されたエンジン30とプロペラ41との間のトルクよりも大きなトルクがエンジン30とプロペラ41との間に発生しているということになる。
この場合、図17に示すように、CPU86aは、時間T1において、アクチュエータ70に第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力を80%から70%にまで低下させる。その後、CPU86aは、アクチュエータ70に再度第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力を漸増させる。
例えば、図18に示すように、時間T2における第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力が80%である場合に、図16に示すトルク−接続力マップの点Bにプロットされたとする。点Bは、図16に示すようにクラッチ解放領域に位置している。従って、この場合は、図18に示すように、CPU86aは、時間T2において、アクチュエータ70に第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力を80%から0%にまで低下させる。言い換えれば、CPU86aは、アクチュエータ70に第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62を切断させる。その後、CPU86aは、アクチュエータ70に再度第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力を漸増させる。
また、例えば、図19に示すように、時間T3における第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力が70%である場合に、図16に示すトルク−接続力マップの点Cにプロットされたとする。この場合、求められる第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力は80%となる。このため、求められる第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力は実際の第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力よりも大きいということになる。よって、エンジン30とプロペラ41との間に発生しているトルクは、図16に規定されたエンジン30とプロペラ41との間のトルクよりも小さいということになる。
この場合は、図19に示すように、CPU86aは、時間T3において、アクチュエータ70に第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力を70%から80%にまで上昇させる。このように、実際に発生しているトルクが規定のトルクよりも小さい場合は、クラッチの接続スピードが速められる場合もある。
なお、エンジン回転速度とプロペラ回転速度とは相関している。このため、エンジン回転速度に替えてプロペラ回転速度センサ90によって検出されるプロペラ回転速度に応じて第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61の接続時間を決定してもよい。
以上説明したように、本実施形態では、ニュートラルから高速フォワードまたは高速リバースへとシフトチェンジされる際に、フォワードまたはリバースへのシフトインに先だって低速変速比に切り替えられる。すなわち、ニュートラルからフォワードへのシフトインの際の変速比が低速とされている。このため、ニュートラルからフォワードまたはリバースへとシフトチェンジされるときにエンジン30などにかかる負荷を小さくすることができる。従って、エンジン30や動力伝達機構32などの耐久性をさらに向上させることができる。
なお、本明細書において、「第1のシフトポジションへの切り替え」とは、第1のシフトポジションへの切り替えが完了することを意味する。具体的には、「第1のシフトポジションへの切り替えに先立って低速変速比にさせる」とは、詳細には、第1のシフトポジションへの切り替えが完了した状態となるに先立って低速変速比にさせることを意味する。例えば、「第1のシフトポジションへの切り替えに先立って低速変速比にさせる」場合には、第1のシフトポジションへの切り替えが開始された後であって第1のシフトポジションへの切り替えが完了しないうちに低速変速比にさせ、その後に、第1のシフトポジションへの切り替えが完了する場合を含むものとする。また、本明細書において、「第1のシフトポジションへ切り替え、その後、高速変速比にさせる」とは、第1のシフトポジションへの切り替えが完了した後に、高速変速比にさせることを意味する。
また、本実施形態では、図7に例示するように、ニュートラルからフォワードへのシフトインが完了した後に変速比切り替え機構35の変速比が低速から高速へと切り替えられる。言い換えれば、ニュートラルから一旦低速フォワードまたは低速リバースにシフトチェンジされた後に、低速フォワードまたは低速リバースから高速フォワードまたは高速リバースにシフトチェンジされる。従って、ニュートラルからフォワードまたはリバースへとシフトチェンジされるときのエンジン30などへの負荷をより小さくすることができる。
さらに、本実施形態では、ニュートラルからフォワードへのシフトインが完了した後に変速比切り替え機構35の変速比が所定の期間にわたって低速に保持される。従って、ニュートラルからフォワードまたはリバースへとシフトチェンジされるときのエンジン30などへの負荷をさらに小さくすることができる。
但し、本発明はこれに限定されない。例えば、図20に示すように、第1または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または62の接続の完了と同時に変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続を開始するようにしてもよい。そうすることで、ニュートラルから高速フォワードまたはリバースへとシフトチェンジに要する時間を短縮させることができる。
また、例えば図21に示すように、第1または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または62の接続が開始された後で接続が完了するまでの間に変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続を開始するようにしてもよい。そうすることで、ニュートラルから高速フォワードまたはリバースへとシフトチェンジに要する時間をより短縮させることができる。
この場合、変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続が完了する時間は、第1または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ61,62の接続が完了する時間よりも早くても遅くてもよい。図21に示すように、変速比切り替え用油圧式クラッチ53の接続が完了する時間は、第1または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ61,62の接続が完了する時間と実質的に同じであってもよい。
本実施形態では、ニュートラルから高速フォワードまたは高速リバースに接続されるときに、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62の接続力が漸増される。これにより、第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ61または第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ62がゆっくりと接続される。従って、エンジン30、動力伝達機構32、推進部33などにかかる負荷を低減することができる。
また、本実施形態では、CPU86aが、ニュートラルから高速フォワードまたは高速リバースに接続されるときに、トルクセンサ89によって検出されるエンジン30とプロペラ41との間のトルクに応じて、クラッチの接続力を低下させる。具体的には、エンジン30とプロペラ41との間で実際に発生しているトルクが規定のトルクよりも大きくなったときに、クラッチの接続力が低下される。
エンジン30とプロペラ41との間で実際に発生しているトルクが規定のトルクよりも大きい場合、エンジン30などに比較的大きな負荷がかかっている状態となる。そのときに、本実施形態にように、クラッチの接続力を低下させると、プロペラ41で発生するトルクがエンジン30に伝達される効率が低下する。従って、エンジン30などに対する負荷を効果的に低減することができる。
また、エンジン30とプロペラ41との間で実際に発生しているトルクが規定のトルクよりも小さい場合には、クラッチの接続力が高められる。このため、クラッチの接続にかかる時間が短縮される。その結果、シフトチェンジに要する時間が短縮される。
ところで、シフトチェンジのコントロールレバー83の操作に対する追随性を向上させるためには、シフトイン禁止期間を設けない方が好ましいようにも考えられる。しかしながら、コントロールレバー83が操作されてからシフトチェンジが完了するまでにはある程度のタイムラグが存在する。このため、例えば、コントロールレバー83の操作が連続的に行われると、実際のシフトチェンジがコントロールレバー83の操作にかえって追随しにくくなる場合もある。例えば、フォワード、リバース間のシフトチェンジ操作が複数回にわたって比較的速い速度で連続的に行われた場合、複数回にわたって行われたコントロールレバー83の操作分のシフトチェンジ動作がすべて完了するまでに比較的長い時間を要する。従って、最終的なコントロールレバー83の位置に応じたシフトポジションになるまでに比較的長い時間を要する。
それに対して、本実施形態では、シフトイン禁止期間が設けられている。このため、例えば、コントロールレバー83の操作が連続的に行われても、シフトイン禁止期間内であればフォワードまたはリバースへのシフトチェンジが行われない。そして、シフトイン禁止期間が経過した後に、シフトチェンジが行われる。具体的には、シフトイン禁止期間が経過した後のコントロールレバー83の位置に応じたシフトポジションにまでシフトチェンジされる。このため、コントロールレバー83の操作が連続的に行われた場合において、最終的なコントロールレバー83の位置に応じたシフトポジションになるまでの時間をより短縮することができる。船舶1の操縦性をより向上させることができる。
具体的に、本実施形態では、シフトイン禁止期間中にコントロールレバー83がフォワードまたはリバースに対応する位置に操作された場合は、その後、シフトイン禁止期間の間にわたってニュートラルに保持される。このため、フォワード、リバース間のシフトチェンジ操作が複数回にわたって連続的に行われた場合などにおいて、シフトポジション切り替え機構36などにかかる負荷を低減することができる。
なお、シフトイン禁止期間中においては、例えば、以下の制御(1)、(2)を行ってもよい。
(1)コントロールレバー83の操作量であるアクセル開度に、スロットルボディ87に設けたスロットル弁の開度であるスロットル開度を追随させない。例えば、アクセル開度に関わらず、スロットル開度を略一定に保持させる。また、例えば、アクセル開度が大きくなっても、スロットル開度を略一定に保持させる。
(2)コントロールレバー83の操作量であるアクセル開度に関わらず、エンジン30の出力を略一定に保持させる。例えば、アクセル開度が大きくなっても、エンジン30の出力を略一定に保持させる。
また、シフトイン禁止期間中にコントロールレバー83がフォワードまたはリバースに対応する位置に操作された場合に、例えば、現在のシフトポジションを保持させるようにしてもよい。
なお、本実施形態において説明した船舶1の具体的制御は、全ての運転状態において常に実施される必要はない。船舶1の状況によって必要に応じて実施されればよい。具体的には、船舶1の推進速度が速く、かつエンジン30への負荷が大きい状態において少なくとも実施されればよい。
(変形例)
ニュートラルからフォワードまたはリバース且つ高速変速比に切り替えられる際において、コントロールレバー83の操作速度にかかわらず、フォワードまたはリバースへのシフトチェンジと、変速比の切り替えとを一定のタイミングで行うようにしてもよい。また、ニュートラルからフォワードまたはリバース且つ高速変速比に切り替えられる際において、フォワードまたはリバースへのシフトチェンジと、変速比の切り替えとのタイミングがコントロールレバー83の操作速度に応じて異なるようにしてもよい。
例えば、操船者によってコントロールレバー83がニュートラルに対応する位置からフォワードまたはリバースに対応する位置へとゆっくりと操作された場合には、フォワードまたはリバースへの切り替えが完了した直後に高速変速比としてもよい。
また、例えば、操船者によってコントロールレバー83がニュートラルに対応する位置からフォワードまたはリバースに対応する位置へと素早く、所定の操作速度以上の操作速度で操作された場合は、フォワードまたはリバースへの切り替えが完了した後に、低速変速比を所定の期間だけ保持させ、その後に高速変速比としてもよい。なお、ここで「所定の操作速度」は、例えば、50%/sec以上の値に設定することができる。「所定の操作速度」の上限は、特に限定されない。「所定の操作速度」の上限は、通常、人が操作することができる最高速度である。人が操作することができる最高速度は、通常、1000〜10000%/sec程度である。ここで、「100%」とは、フォワードまたはリバースの全開位置に対応する。「0%」とは、中央位置に対応する。また、「所定の期間」とは、例えば、0.2秒〜30秒程度である。
上記実施形態では、変速比切り替え機構35を制御するためのマップと、シフトポジション切り替え機構36を制御するためのマップとを船外機20に搭載されたECU86内のメモリ86bに記憶させている。また、電磁バルブ72,73,74を制御するための制御信号を船外機20に搭載されたECU86内のCPU86aから出力させている。
但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、船体10に搭載したコントローラー82に、記憶部としてのメモリと、演算部としてのCPUとを、メモリ86b及びCPU86aと共に、またはメモリ86b及びCPU86aに替えて設けてもよい。この場合、コントローラー82に設けられたメモリに変速比切り替え機構35を制御するためのマップと、シフトポジション切り替え機構36を制御するためのマップとを記憶させてもよい。また、コントローラー82に設けられたCPUから電磁バルブ72,73,74を制御するための制御信号を出力させてもよい。
上記実施形態では、ECU86がエンジン30と電磁バルブ72,73,74との両方の制御を行う例について説明した。但し、本発明は、これに限定されない。例えば、エンジンを制御するECUと、電磁バルブを制御するECUとを別個に設けてもよい。
上記実施形態では、コントローラー82が所謂「電子制御式コントローラー」である例について説明した。ここで、「電子制御式コントローラー」とは、コントロールレバー83の操作量を電気信号に変換すると共に、その電気信号をLAN80に出力するコントローラーをいう。
但し、本発明において、コントローラー82は電子制御式コントローラーでなくてもよい。コントローラー82は、例えば所謂機械式コントローラーであってもよい。ここで、「機械式コントローラー」とは、コントロールレバーと、コントロールレバーに接続されたワイヤを備え、コントロールレバーの操作量及び操作方向をワイヤの操作量及び操作方向という物理量として船外機に伝達するコントローラーをいう。
第1の実施形態に係る船舶の船尾部分を側面視した際の部分断面図である。 第1の実施形態における推進力発生装置の構成を表す模式的構成図である。 第1の実施形態におけるシフト機構の模式的断面図である。 第1の実施形態におけるオイル回路図である。 船舶の制御ブロック図である。 第1〜第3の油圧式クラッチの接続状態と、シフト機構のシフトポジションとを表す表である。 コントロールレバーの操作と、シフトポジションと、変速比切り替え用油圧式クラッチ及び第1及び第2のシフト切り替え用油圧式クラッチとの経時変化を表すグラフである。(a)コントロールレバーの操作の経時変化を表すグラフである。(b)シフトポジションの状態の経時変化を表すグラフである。(c)変速比切り替え用油圧式クラッチの接続力の経時変化を表すグラフである。(d)第1のシフト切り替え用油圧式クラッチの接続力の経時変化を表すグラフである。(e)第2のシフト切り替え用油圧式クラッチの接続力の経時変化を表すグラフである。 第1の実施形態におけるシフトチェンジ制御を表すフローチャートである。 アクセル開度及びエンジン回転速度とクラッチの接続時間とを表すマップである。 時間t03で第2の油圧式クラッチが接続される場合の進シフト接続用電磁バルブに出力されるPWM信号と油圧を表すグラフである。 接続時間がt01,t02,t03である場合の第2の油圧式クラッチの油圧の経時変化を表すグラフである。 変形例1におけるニュートラルからフォワードまたはリバースへとシフトチェンジされる際のシフト接続用クラッチの接続力の経時変化を表すグラフである。 変形例2におけるニュートラルからフォワードまたはリバースへとシフトチェンジされる際のシフト接続用クラッチの接続力の経時変化を表すグラフである。 変形例3におけるニュートラルからフォワードまたはリバースへとシフトチェンジされる際のシフト接続用クラッチの接続力の経時変化を表すグラフである。 変形例4におけるニュートラルからフォワードまたはリバースへとシフトチェンジされる際のシフト接続用クラッチの接続力の経時変化を表すグラフである。 エンジン回転速度及びトルクとクラッチの接続力との関係を表すマップである。 時間T1において、図16から得られるクラッチの接続力が実際のクラッチの接続力よりも小さい場合のクラッチの接続力の変化を表すグラフである。 時間T2において、図16から得られるクラッチの接続力が実際のクラッチの接続力よりも小さい場合のクラッチの接続力の変化を表すグラフである。 時間T3において、図16から得られるクラッチの接続力が実際のクラッチの接続力よりも大きい場合のクラッチの接続力の変化を表すグラフである。 変形例5における変速比切り替え用油圧式クラッチとシフト切り替え用油圧式クラッチとの接続タイミングを表すタイムチャートである。 変形例6における変速比切り替え用油圧式クラッチとシフト切り替え用油圧式クラッチとの接続タイミングを表すタイムチャートである。
符号の説明
20 船外機(船舶用推進システム)
30 エンジン(動力源)
33 推進部
35 変速比切り替え機構
36 シフトポジション切り替え機構
41 プロペラ
61 第1のシフト切り替え用油圧式クラッチ
62 第2のシフト切り替え用油圧式クラッチ
70 アクチュエータ
86 制御装置(制御部)

Claims (8)

  1. 回転力を発生させる動力源と、
    前記回転力により駆動されるプロペラを有し、推進力を発生させる船舶用の推進部と、
    前記動力源と前記推進部との間に配置され、第1のシフトポジションと、前記動力源の回転力を前記第1のシフトポジションとは逆の回転方向の回転力として前記推進部に伝達する第2のシフトポジションと、前記動力源の回転力を前記推進部に伝達させないニュートラルとを切り替えるシフトポジション切り替え機構と、
    前記動力源と前記推進部との間に配置され、前記動力源と前記推進部との間の変速比を低速変速比と高速変速比との間で切り替える変速比切り替え機構と、
    前記シフトポジション切り替え機構と前記変速比切り替え機構とを駆動するアクチュエータと、
    前記アクチュエータを制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、ニュートラルから前記第1のシフトポジション且つ前記高速変速比に切り替えられる際において、前記アクチュエータに、前記変速比切り替え機構の現在の変速比が前記低速変速比のときは前記低速比を維持させる一方、前記変速比切り替え機構の現在の変速比が前記高速変速比のときは前記第1のシフトポジションへの切り替えに先立って前記低速変速比にさせた後に、前記第1のシフトポジションへ切り替え、その後、前記高速変速比にさせる船舶用推進システム。
  2. 請求項1に記載された船舶用推進システムにおいて、
    前記制御部は、ニュートラルから前記第1のシフトポジション且つ前記高速変速比に切り替えられる際において、前記アクチュエータに、前記第1のシフトポジションへの切り替えが完了した後に前記高速変速比にさせる船舶用推進システム。
  3. 請求項1に記載された船舶用推進システムにおいて、
    前記シフトポジション切り替え機構は、前記動力源と前記推進部との間の接続状態を変化させ、切断されることでシフトポジションをニュートラルにするクラッチを有し、
    前記制御部は、ニュートラルから前記第1のシフトポジション且つ前記高速変速比に切り替えられる際に、前記アクチュエータに、前記クラッチが接続されるまで前記クラッチの接続力を漸増させる船舶用推進システム。
  4. 請求項1に記載された船舶用推進システムにおいて、
    前記制御部は、前記第1のシフトポジションへの切り替え後、所定の時間が経過するまでは、前記第2のシフトポジションへの切り替えを禁止する船舶用推進システム。
  5. 請求項1に記載された船舶用推進システムにおいて、
    前記制御部は、ニュートラルから前記第1のシフトポジション且つ前記高速変速比に切り替えられる際において、前記アクチュエータに、前記第1のシフトポジションへの切り替えが開始されるに先立って前記低速変速比にさせた後に、前記第1のシフトポジションへの切り替えを開始させ、その後、高速変速比にさせる船舶用推進システム。
  6. 請求項1に記載された船舶用推進システムにおいて、
    操船者が前記シフトポジション切り替え機構のシフトポジションを切り替えるためのコントロールレバーをさらに備え、
    前記制御部は、ニュートラルから前記第1のシフトポジション且つ前記高速変速比に切り替えられる際において、前記コントロールレバーの操作速度が所定の速度以上であった場合に、前記アクチュエータに、前記第1のシフトポジションへの切り替えが完了した後に所定の時間だけ低速変速比に保持させ、その後、前記高速変速比にさせる船舶用推進システム。
  7. 回転力を発生させる動力源と、
    前記回転力により駆動されるプロペラを有し、推進力を発生させる船舶用の推進部と、
    前記動力源と前記推進部との間に配置され、第1のシフトポジションと、前記動力源の回転力を前記第1のシフトポジションとは逆の回転方向の回転力として前記推進部に伝達する第2のシフトポジションと、前記動力源の回転力を前記推進部に伝達させないニュートラルとを切り替えるシフトポジション切り替え機構と、
    前記動力源と前記推進部との間に配置され、前記動力源と前記推進部との間の変速比を低速変速比と高速変速比との間で切り替える変速比切り替え機構と、
    前記シフトポジション切り替え機構と前記変速比切り替え機構とを駆動するアクチュエータと、
    を備えた船舶用推進システムの制御装置であって、
    ニュートラルから前記第1のシフトポジション且つ前記高速変速比に切り替えられる際において、前記アクチュエータに、前記変速比切り替え機構の現在の変速比が前記低速変速比のときは前記低速比を維持させる一方、前記変速比切り替え機構の現在の変速比が前記高速変速比のときは前記第1のシフトポジションへの切り替えに先立って前記低速変速比にさせた後に、前記第1のシフトポジションへ切り替え、その後、前記高速変速比にさせる船舶用推進システムの制御装置。
  8. 回転力を発生させる動力源と、
    前記回転力により駆動されるプロペラを有し、推進力を発生させる船舶用の推進部と、
    前記動力源と前記推進部との間に配置され、第1のシフトポジションと、前記動力源の回転力を前記第1のシフトポジションとは逆の回転方向の回転力として前記推進部に伝達する第2のシフトポジションと、前記動力源の回転力を前記推進部に伝達させないニュートラルとを切り替えるシフトポジション切り替え機構と、
    前記動力源と前記推進部との間に配置され、前記動力源と前記推進部との間の変速比を低速変速比と高速変速比との間で切り替える変速比切り替え機構と、
    前記シフトポジション切り替え機構と前記変速比切り替え機構とを駆動するアクチュエータと、
    を備えた船舶用推進システムの制御方法であって、
    ニュートラルから前記第1のシフトポジション且つ前記高速変速比に切り替えられる際において、前記アクチュエータに、前記変速比切り替え機構の現在の変速比が前記低速変速比のときは前記低速比を維持させる一方、前記変速比切り替え機構の現在の変速比が前記高速変速比のときは前記第1のシフトポジションへの切り替えに先立って前記低速変速比にさせた後に、前記第1のシフトポジションへ切り替え、その後、前記高速変速比にさせる船舶用推進システムの制御方法。
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