JP2009192821A - 画像形成装置の感光体クリーニング方法 - Google Patents

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【目的】感光体の磨耗のバラツキや表面劣化による画質不良が防止できる感光体のクリーニング方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置の印刷ジョブ終了後に印刷時の現像バイアスと逆極性の現像バイアスを現像ロール1,2に印加した状態で、感光体101と現像ロール1,2を回転させて現像剤4を現像ロール1,2で感光体側に搬送して、感光体表面を現像剤4で研磨する研磨プロセスを実施することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式のプリンタや複写機などの画像形成装置に係り、特に感光体のクリーニング技術に関するものである。
この種の画像形成装置は、一方向に回転する感光体上に形成された静電潜像に、現像装置から像可視化剤であるトナ−を供給して前記静電潜像を可視像化し、それによって形成されたトナー像を記録紙上に転写、定着するプロセスを有している。
前記現像装置としては、非磁性剤であるトナ−とキャリアと呼ばれる磁性粉体とからなる二成分現像剤を用いた現像装置が多用されており、この二成分現像剤は現像剤収容部で攪拌することにより、現像剤中のトナ−とキャリアが摩擦しあい、それぞれが帯電する。
所定の帯電量に帯電された現像剤は、前記現像剤収容部から回転する現像スリーブと、その現像スリーブの内部に固設された複数の磁極を有するマグネットから成る現像ロールに導かれる。この現像ロールの表面に供給された現像剤は磁気ブラシ状態で保持され、現像ロールの回転によって搬送され、現像ロールの外周に近接配置されたドクターブレ−ド(規制部材)を通過した後、感光体との対向部である現像ニップ部に搬送される。
この二成分現像剤を用いる現像装置において様々な提案がなされているが、特に印刷プロセス速度500mm/sec以上の高速印刷が可能な画像形成装置では、現像能力を確保する手段として、ハイブリッド方式の現像装置が広く用いられる。
この方式の現像装置は、回転方向が異なる複数本の現像ロールを感光体に対向して配置している。以下、この方式の現像装置を説明するに当たり、便宜上、「順回転現像ロール」および「逆回転現像ロール」と言う表記を用いる。ここで、「順回転現像ロール」とは、感光体が時計方向に回転するとした場合に反時計方向に回転する現像ロールを意味し、現像ニップ部で見た場合に両者の移動方向が同方向となるのが順方向現像ロールである。これに対して「逆回転現像ロール」とは、感光体が時計方向に回転するとした場合に同じ時計方向に回転する現像ロールを意味し、現像ニップ部で見た場合に両者の移動方向が逆方向となるのが逆回転現像ロールである。
ここで、順回転現像ロールと逆回転現像ロールを組み合わせた構成の中で、感光体の回転方向の上流側に逆回転現像ロール、下流側に順回転現像ロールが設置され、逆回転現像ロールと順回転現像ロールの間に両刃のドクターブレードを配置した構成の現像装置は、噴水型現像装置と呼ばれる。この噴水型現像装置は、低回転数でも高い周速比が確保できる逆回転現像ロールを備えており、順回転現像ロールと逆回転現像ロールに常にフレッシュな現像剤を供給できることから、高い現像能力が確保でき、且つ、現像ロールの回転方向に起因して生じる画像の後端欠け、先端欠け等が発生しにくく、また、ドクターブレードが両刃のもの一つで良いため、現像装置ならびに画像形成装置をコンパクトにできる利点がある。
前記ドクターブレ−ドは、現像ロールの表面上に保持された現像剤の磁気ブラシを穂切りし、現像ニップ部に搬送される現像剤を適正量に維持する目的で設置されている。ドクターブレードで所定量に規制された現像剤は、現像ロールの回転により搬送され、感光体に対向する現像ニップ部に運ばれ、現像ニップ部において現像ロール上の現像剤を感光体表面に接触させながら静電潜像を現像する。この時、現像ロールには、静電潜像を構成する非画像部と画像形成部のうち、画像形成部にトナーのみを導入供給するバイアス電圧が印加されており、感光体の画像形成部にのみトナーが付着される。
このように噴水型現像装置は優れた現像性のため、特に高い生産性が要求される高速連帳紙プリンタに採用されている(例えば特許文献1参照)。
更に、連帳紙プリンタでは生産性を確保するため、一般的に幅広用紙(例えば19.5インチ幅用紙)の適用が要求されている。この幅広印刷に対応するには用紙幅以上の長尺の感光体および現像ロールが使用されるため、感光体と現像ロールとで形成される現像ニップ間距離(以下、現像ギャップという)は一般のカット紙プリンタのそれと比べて広く設定され、現像ギャップの精度確保が難しい。
広い現像ギャップで現像を行った場合、現像ニップ部における現像電界の潜像エッジ部への集中が生じ(エッジ効果)、現像ロールの回転方向に起因して生じる画像端部の欠けも生じ易くなる。逆回転現像ロールと順回転現像ロールを備えた噴水型現像装置は、この画像欠けを現像方向が異なる順回転/逆回転現像ロールで補うことができるため、広い現像ギャップで現像を行う高速連帳紙プリンタに適した現像方式である。
従来、このような高速連帳紙プリンタの感光体には表面硬度の高い無機化合物系感光材料(例えばセレン系感光体やアモルファスSi感光体)が採用されていた。しかし、近年、無公害で低コスト化が図れ、露光光源の選択自由度の高い有機化合物系感光体(OPC)の採用が望まれている。通常、OPCの表面硬度はビッカース硬度で15程度であり、前記無機化合物系感光体のビッカース硬度(純Se:40、AsSe:120、アモルファスSi:1200)に比べると遥かに低く、そのため連続印刷によって感光体膜が磨耗する。
ここで、高速印刷に多用される長尺状の連続紙を使用する連帳紙プリンタの用途には常に同じ印刷パターンを印刷するフォーム印刷の用途が多く、このような印刷条件下では感光体の膜磨耗にバラツキが生じ、この膜磨耗差が大きくなると、膜厚差が印刷画質不良として現れる。通常、中・低速プリンタではOPCの清掃にはブレードクリーンングが用いられ、OPC膜磨耗量はクリーニングブレードが支配的となり、均一磨耗はこの清掃条件適正化により実現できる。しかし、連帳紙プリンタでは印刷プロセスが高速であることや、印刷用紙幅が広いことから、ブレードによる感光体のクリーニングは困難であり、通常、ブラシクリーニングが行なわれる。このブラシクリーニングでは清掃性は確保できるものの感光体磨耗の効果を得ることは困難である。
特開昭53−17741号公報 (第1−3頁、図2)
本発明の目的は、感光体の均一研磨を実現し、感光体の磨耗のバラツキや表面劣化による画質不良が防止できる画像形成装置の感光体クリーニング方法を提供することである。
前記目的を達成するため本発明は、トナーとキャリアの混合物からなる二成分現像剤を用い、
回転する感光体と、その感光体の回転方向と同じ方向に回転する第1の現像ロール(現像ニップ部で見た場合に感光体と現像ロールの移動方向が逆になる現像ロール)と、前記感光体の回転方向と逆方向に回転する第2の現像ロール(現像ニップ部で見た場合に感光体と現像ロールの移動方向が同じになる現像ロール)を備え、前記第1の現像ロールと第2の現像ロールが近接配置されるとともに、前記感光体と第1の現像ロールの間ならびに感光体と第2の現像ロールの間に前記キャリアの穂が感光体表面に接触する現像ニップ部がそれぞれ形成される画像形成装置を対象とするものである。
そして本発明の第1の手段は、その画像形成装置の印刷ジョブ終了後に印刷時の現像バイアスと逆極性の現像バイアスを前記現像ロールに印加した状態で、前記感光体と現像ロールを回転させて前記現像剤を前記現像ロールで感光体側に搬送して、感光体表面を現像剤で研磨する研磨プロセスを実施することを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記感光体と第1の現像ロールの最大周速差Vが1500mm/sec以上で、かつ、前記現像ニップ部において下式で定義される現像剤の充填率Aが30%以上に規制されていることを特徴とするものである。
A(%)={M×Tc/100/ρt+M×(100-Tc)/100/ρc}/Gdev×100
M:現像剤搬送量(g/cm
Tc:トナー濃度(重量%)
ρt:トナー真密度(g/cm3
ρc:キャリア真密度(g/cm3
Gdev:現像ギャップ(cm)
本発明の第3の手段は前記第2の手段において、前記感光体と第2の現像ロールの最大周速差Vが1500mm/sec≦V≦2000mm/secの範囲に規制され、かつ、前記現像剤の充填率Aが30%≦A≦40%の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第1ないし第3の手段において、前記研磨プロセス時の現像剤中のトナー被覆率Xが30%以下に規制されていることを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第1ないし第4の手段において、前記研磨プロセスは前記感光体側への記録紙の搬送を停止し、かつ、転写装置への電源供給を停止して行うことを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第1ないし第5の手段において、前記感光体が有機化合物系感光体であることを特徴とするものである。
本発明の第7の手段は前記第1ないし第6の手段において、前記有機化合物系感光体は、結着樹脂中に無機化合物の微粉末からなるフィラーを分散・保持した耐磨耗性の表面保護層で覆われた感光層を有していることを特徴とするものである。
本発明の第8の手段は前記第1ないし第7の手段において、前記画像形成装置が連続した長尺状の記録紙を使用する画像形成装置であることを特徴とするものである。
本発明は前述のような構成になっており、感光体の均一研磨を実現し、感光体の磨耗のバラツキや表面劣化による画質不良が防止できる画像形成装置の感光体クリーニング方法を提供することができる。
本発明は前述のように、印刷ジョブ終了後に感光体表面を現像剤で研磨する研磨プロセスを実施することにより、使用用紙幅が19.5インチ以上、プロセス速度500mm/sec以上の高速広幅印刷においても高いOPCの表面清浄性と膜厚均一性が確保でき、長期間にわたって安定画質が得られる。
さらに前記研磨プロセスを、現像ロールと感光体の最大周速差V≧1500mm/sec、現像剤充填率A≧30%、トナー被覆率X≦30%を満たす条件で実施すれば、高速連帳印刷プロセスにおいてもOPCの膜厚均一性と表面清浄性の確保がより確実である。
前記最大周速差Vが1500mm/secより小さい場合、および現像剤充填率Aが30%より小さい場合、現像ニップ部での現像ブラシによる感光体表面への摺擦力が小さくなり、充分な研磨能力が得られない。またトナー被覆率Xが30%より大きい場合、トナーに覆われるキャリア表面が多くなるため、キャリアと感光体の接触面積機会が減り研磨効率が低下し、逆にトナーと感光体の接触機会が多くなるためトナーフィルミングを生じる恐れがある。
次に本発明の実施例について図を用いて説明する。
図1は本発明の実施例に係る噴水型現像装置の概略構成図、図2はその現像装置の現像ニップ部付近の拡大概略構成図である。
これらの図に示すように感光体ドラム101の現像位置に設置され現像装置102は、感光体ドラム101の周面に近接配置された逆回転現像ロール1と順回転現像ロール2を有し、逆回転現像ロール1は感光体ドラム101の回転方向上流側に、順回転現像ロール2はその下流側に配置されている。図1の矢印Aは感光体ドラム101の回転方向、矢印Eは逆回転現像ロール1の回転方向、矢印Fは順回転現像ロール2の回転方向を示している。
感光体ドラム101には、無公害、低コストで露光光源の選択自由度が高い有機化合物系感光体(OPC)が用いられる。OPCは基本的には導電性の支持体上に感光層が形成されており、前記支持体と感光層の間に下地層を設けることもできる。前記下地層は例えば無機化合物と熱硬化性樹脂の混合物から構成され、膜厚は0.5〜10μmが適当である。
前記感光層は、電荷発生層と電荷輸送層の積層構造をしている。前記電荷発生層は、例えばフタロシアニン系化合物などの有機顔料と、例えばポリアミド樹脂などの結着樹脂の混合物から構成され、膜厚は0.1〜2μmが適当である。
前記電荷輸送層は、電荷輸送物質(例えばポリ−N−ビニルカルバゾールなどの正孔輸送物質、例えばクロルアニルなどの電子輸送物質)と、例えばポリスチレン樹脂などの結着樹脂の混合物から構成され、膜厚は5〜100μmが適当である。また電荷輸送物質としての機能と結着樹脂の機能を兼ね備えた、例えばトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に有するポリカーボネート樹脂も好適である。
本実施例ではドラム状の感光体を用いているが、所定の軌道上を周回する感光体ベルトであってもよい。
図2に示すように逆回転現像ロール1は、矢印E方向に回転する現像スリーブ22と、その内側に固定され複数の磁極を有するマグネット24を備えている。順回転現像ロール2は、矢印F方向に回転する現像スリーブ23と、その内側に固定され複数の磁極を有するマグネット25を備えている。
逆回転現像ロ−ル1と順回転現像ロール2の間には両刃型のドクターブレ−ド(規制部材)3が配置され、現像ニップ部への現像剤供給量を規制している。
現像剤4は、プラス帯電性の磁性キャリアとマイナス帯電性の非磁性トナ−の二成分を主剤としており、トナ−は全重量の3〜6重量%混合されている。印刷動作の繰り返しにより現像剤4中のトナーが消費されるから、現像装置102内にある現像剤4中のトナー重量比が低減する。
このため図1に示すように、トナー貯留供給装置9が現像装置102に着脱可能に装着されて、トナー貯留供給装置9から現像装置102にトナーが補給される。現像装置102内にはスクリュー状の混合攪拌部材7,8が平行に配置され、混合攪拌部材7は矢印C方向に、混合攪拌部材8は矢印D方向にそれぞれ回転する。この回転によって補給トナーは現像剤4に攪拌混合されるとともに、現像剤4中のキャリアと摩擦帯電しする。
現像装置102内のトナー濃度は、例えば混合攪拌部材7の付近に設置されたトナー濃度センサ10によって検出され、その検出結果は図示しない制御部に送信され、トナーの補給操作、現像剤中のトナー被覆率のコントロールなどに寄与する。
本実施例では粒径が6.8μmのポリエステル系トナーと、粒径が65μmのMgFeキャリアを用い、トナー被覆率が37%になるようにトナー濃度は4.5重量%に設定している。トナーの帯電量はー20μC/g〜―30μC/gの範囲に設定している。
このように所定の帯電量に帯電したトナーを含有した現像剤4は、搬送部材6が矢印B方向に回転することによって搬送部材6の上側を図面に向かって右側から左側に搬送され、順回転現像ロール2の近傍に導かれる。図2に示すように順回転現像ロール2は内部にN極とS極に着磁したマグネット25が固定されているから、順回転現像ロール2の近傍にある現像剤4はマグネット25の磁力と現像スリーブ23の回転によりドクターブレード3まで搬送される。
その後、現像剤4はドクターブレード3の端部で分流し、一部は順回転現像ロール2に、その他は上方に隣接する逆回転現像ロール1へと搬送され、両者の現像ロール1,2とドクターブレード3とで形成されるドクターギャップを通過するが、このとき現像剤4はドクターブレード3での通過量規制で所定量に規制され、それぞれの現像ロール1,2の現像ニップ部へ導かれる。
ここで現像ニップ部における現像剤の充填率Aは下式で定義される。
A(%)={M×Tc/100/ρt+M×(100-Tc)/100/ρc}/Gdev×100
M:現像剤搬送量(g/cm
Tc:トナー濃度(重量%)
ρt:トナー真密度(g/cm3
ρc:キャリア真密度(g/cm3
Gdev:現像ギャップ(cm)
前記現像剤搬送量Mは、現像ロール上の規定面積の現像剤をマグネットで採取して、単位面積当たりの重量を算出して求めた値である。
前記現像剤充填率Aの上限値は、後述する現像ギャップGdevや現像剤の性状などの関係から60%である。現像剤搬送量Mは、実際の印刷装置を勘案すると0.05g/cm〜0.20g/cmの範囲から適宜選択される値であり、現像ギャップGdevは0.03cm〜0.1cmの範囲から適宜選択される値である。本発明の実施例では現像剤搬送量Mを0.077g/cm、トナー濃度Tcを4.5重量%、現像ギャップGdevを0.06cm(0.6mm)にそれぞれ設定し、真密度ρtが1.1g/cm3のトナーと、真密度ρcが5.0g/cm3のキャリアを使用し、前記式に基づいて算出される現像剤充填率Aは30%である。
現像ニップ部へ導かれた現像剤4は感光体ドラム101の表面を摺擦し、図示しない帯電装置ならびに露光装置により感光体ドラム101の表面上に形成された静電潜像に対応したトナー像を形成する。その後、感光体ドラム101上の可視トナー画像は図示しない転写装置により用紙上に転写された後、図示しない定着装置により用紙上に固着される。
このような一連の印刷動作を行なうが、負帯電プロセスで用いられるOPCは帯電装置でのオゾン発生量が多く(一般に正帯電の約10倍)、それによるOPC表面劣化(酸化)が生じ易い。またフォーム印刷など同じ印刷パターンを繰返し印刷する場合は、印刷部と未印刷部に膜磨耗量に微小な差が生じる。この表面層劣化や膜厚差は短期間の使用では画質に現れないが、長期間の使用後には感光体表面の帯電電荷量の差となり、結果として画質(画像濃度)差として、特にハーフトーン画質低下を生じることとなる。
本実施例では、副走査方向の縦帯パターン(線幅:5mm、ピッチ幅:45mm)を用いて、1日の印刷ジョブ量を50000頁として、その印刷ジョブ終了後に本発明である研磨プロセスを実施した場合と実施しない場合での連続印刷試験を行い、トータル500000頁の印刷試験を行い、画質劣化の比較を行った。画質比較は50%ハーフトーン画像の濃度バラツキにて行なった。
本発明の実施例に係る研磨機能を備えた現像装置について次に説明する。本実施例では、逆回転現像ロール1の現像スリーブ22および回転現像ロール2の現像スリーブ23はその表面がSUS溶射によるメテコロイ処理が成され、現像ニップ部(主極)の磁力は1200Gに設定した。
以上のような条件で現像スリーブ22,23を逆回転現像ロール1と順回転現像ロール2に備えた噴水型現像装置102を高速印刷装置(プロセス速度:760mm/sec)に搭載し、500000頁の連続印刷実験を行い、画質劣化(ハーフトーン濃度のバラツキ)との関係を検討した結果を次に述べる。印刷試験の各設定条件は以下の通りである。
<設定条件>
・ 感光体ドラム101:OPCドラム 外径:180mm、周速760mm/sec
・ 現像スリーブ22,23:外径40mm、周速1060mm/sec(最大周速差 760+1060=1820mm/sec)
・ 現像剤4:キャリア平均粒径:55μm
トナー平均粒径:6.8μm(黒トナー)
トナー濃度Tc:4.5重量%(トナー被覆率37%)
・ 現像剤充填率:30%(現像ギャップGdev0.6mm、現像剤搬送量M:0.077g/cm、トナー真密度ρt:1.1g/cm3、キャリア真密度ρc:5.0g/cm3
・ 感光体電位:非露光部−700V、露光部−120V
・現像バイアス:DC成分 −350V
印刷パターン:連続印刷時⇒副走査方向ラインパターン(ライン幅5mm、ライン間隔10mm)。このパターンを50000頁印刷毎に4×4ドットで50%ハーフパターンを3頁印刷

また本実施例での研磨条件は、現像バイアス電圧を+300V、書込み光OFFとし、他の条件は前記現像条件とした。この条件で50000頁ジョブ終了後、用紙搬送を停止し、転写装置の電源をOFFした条件で空回し運転(研磨プロセス)を約3分間実施した。この工程を繰返し、合計500000頁毎に印刷したハーフトン画像の濃度バラツキ(5箇所/頁、3頁の画像濃度IDを測定し、その標準偏差を算出)を測定した。その結果を図3に示す。
同図の横軸は印刷頁数を示し、縦軸はハーフトン濃度の標準偏差値を示している。図中の白の四角形は前述の研磨プロセスを行なったもの、黒の菱形は研磨プロセスを行なわないものを示している。
この図から明らかなように、前述の研磨プロセスを行なったもの(白の四角形)は研磨プロセスを行なわなかったもの(黒の菱形)に比べて、ハーフトーン印刷濃度バラツキは約1/2以下となり、画質不良の判断基準とした濃度バラツキの標準偏差0.1以下を確保し、高品質画像を長期間確保できることを確認した。
前記実施例1で述べた500000頁の連続試験において、50000頁毎の研磨プロセスの条件で、現像ロールの回転数を変更し逆回転現像ロールと感光体の最大周速差V(mm/sec)を1000mm/sec、1300mm/sec、1500mm/sec、2000mm/secの4条件と、現像ギャップ設定を変更することで現像ニップ部の現像剤充填率Aを25%(現像ギャップ0.72mm)、30%(現像ギャップ0.60mm)、35%(現像ギャップ0.51mm)、40%(現像ギャップ0.45mm)と変えた4条件の組み合わせで研磨プロセスを行い、実施例1と同様な500000頁の連続試験を実施し、その結果を図4に示す。図中の判定の欄で丸印は500000頁印刷時のハーフトーン濃度の標準偏差値(ΔID)が0.1以下で良好であると判定したもの、×印はΔIDが0.1を超えて不良と判定したものを示す。
この図から明らかなように、現像剤充填率Aが25%の場合は、逆回転現像ロールと感光体の最大周速差Vがいずれの場合もΔIDは0.1を超えて判定は全て不良であった。現像剤充填率Aが30%の場合、最大周速差Vが1000mm/sec、1300mm/secだとΔIDは0.1を超えて判定は不良であるが、最大周速差Vが1500mm/sec、2000mm/secになるとΔIDは0.1以下となり判定は良好である。この傾向は現像剤充填率Aが35%、40%でも同様である。
これらの結果を総合すると、逆回転現像ロールと感光体の最大周速差Vを1500mm/sec以上とし、且つ現像ニップ部の現像剤充填率Aを30%以上とすることで、500000頁の長期間の印刷においても高品質な画質を確保できることが確認できた。
なお、逆回転現像ロールと感光体の最大周速差Vの上限値は、実際の機械的設計の制限(例えば現像ロールや感光体ドラムを回転支持するボールベヤリングなどの回転速度の制限)から4500mm/secである。
感光体ドラムに高耐久表面保護層を有するOPCを用いて、図1に示す噴水型現像装置102を備えた高速印刷装置(プロセス速度:760mm/sec)を構成した。
図6は、前記OPCの拡大断面図である。同図に示すように導電性支持体11上に下地層12、感光層13ならびに表面保護層14が順次積層状態で形成されている。
前記導電性支持体11は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金などから構成され、ドラム状に成形されている。前記下地層12は例えば酸化チタン微粉末などの無機化合物と例えばアルキッド樹脂などの熱硬化性樹脂の混合物から構成され、膜厚は0.5〜10μmが適当である。
前記感光層13は、電荷発生層と電荷輸送層の積層構造をしている。前記電荷発生層は、例えばフタロシアニン系化合物などの有機顔料と、例えばポリアミド樹脂などの結着樹脂の混合物から構成され、膜厚は0.1〜2μmが適当である。前記電荷輸送層は、電荷輸送物質(例えばポリ−N−ビニルカルバゾールなどの正孔輸送物質、例えばクロルアニルなどの電子輸送物質)と、例えばポリスチレン樹脂などの結着樹脂の混合物から構成され、膜厚は5〜100μmが適当である。また電荷輸送物質としての機能と結着樹脂の機能を兼ね備えた、例えばトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に有するポリカーボネート樹脂も好適である。
前記表面保護層14は、結着樹脂中に無機化合物の微粉末からなるフィラー15を適量分散・保持した耐磨耗性に優れた薄層で、膜厚は2〜15μmが好適である。表面保護層14は具体的には、結着樹脂として例えばポリカーボネート樹脂が用いられ、その中に例えば平均一次粒子径が0.5μmのα−アルミナ微粒子からなるフィラー15が約30重量%分散・保持されている。さらに本実施例では、電荷輸送物質としてトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に有するポリカーボネート樹脂が約30重量%分散・保持されている。
この高速印刷装置の研磨プロセス時における現像剤のトナー被覆率Xを40%、35%、30%、25%となるようにトナー濃度を調整し、実施例1と同様な500000頁の連続試験を実施した。
なお、トナー被覆率X(%)は下式で定義される。
X(%)=Tc(1)/Tc(2)×100
Tc(2)=ρc/(ρt+Xρc)×100
Tc(1):設定トナー濃度(重量%)
Tc(2):実効トナー濃度(重量%) トナー表面積=キャリア表面積となるトナー濃度
ρt:トナー真密度(g/cm3
ρc:キャリア真密度(g/cm3
Xρc:キャリアとトナーの粒径比(キャリア平均粒径/トナー平均粒径)
また、連続印刷時のトナー被覆率は37%(トナー濃度4.5重量%)であるため、トナー被覆率40%設定で研磨プロセスを実施する場合は、その直前にトナー補給を行って被覆率の調整を行い、トナー被覆率が35%、30%、25%の場合は、連続印刷ジョブ終了後に全面露光状態(100%ベタ印刷)での空運転を実施してトナー濃度を低下させ、設定のトナー被覆率になった状態で研磨プロセスを開始する。因みに本実施例では、トナー被覆率25%、30%、35%、40%と設定した際のトナー濃度は各々3.0重量%、3.6重量%、4.2重量%、4.8重量%として実験を行った。
その結果を図5に示す。この実験の判定基準は、図4で説明したそれと同じである。この図5から明らかなように、トナー被覆率が35%以上の場合は500000頁印刷時のハーフトーン濃度IDの標準偏差は0.1を超えてしまうが、トナー被覆率を30%以下に規制すれば、高耐久表面層を有するOPCにおいても研磨効果が現れ、500000頁の印刷においてもハーフトーン濃度IDの標準偏差を0.1以下にすることができ、長期間にわたり高品質な画質が確保されることが確認できた。トナー被覆率の下限値は、通常印刷時との兼ね合いで10%である。
前記実施例では2本の現像ロールを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、3本以上の現像ロールを用いる画像形成装置にも適用可能である。
前記実施例では逆回転現像ロールと順回転現像ロールを同時に回転して感光体の研磨プロセスを実施したが、逆回転現像ロールのみを回転して感光体の研磨プロセスを実施することもできる。
前記実施例では感光体としてOPCを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばセレン系感光体やアモルファスSi感光体などの無機化合物系感光体にも適用可能である。
本発明の実施例に係る現像装置の概略構成図である。 その現像装置の現像ニップ部付近の拡大概略構成図である。 実施例1における感光体の研磨プロセス有無による印刷頁数と印刷画質評価との関係を示す図である。 実施例2における実験条件と印刷画質評価結果との関係を示す図である。 実施例3における実験条件と印刷画質評価結果との関係を示す図である。 実施例3に用いられるOPCの拡大断面図である。
符号の説明
1:逆回転現像ロール、2:順回転現像ロール、3:ドクターブレード、4:現像剤、6:搬送部材、7:混合攪拌部材、8:混合攪拌部材、9:トナー貯留供給装置、10:トナー濃度センサ、11:導電性支持体、下地層12:下地層、13:感光層、14:表面保護層、15:フィラー、22:現像スリーブ、23:現像スリーブ、24:マグネット、25:マグネット、101:感光体ドラム、102:現像装置、G1:現像ギャップ、G2:現像ギャップ。

Claims (8)

  1. トナーとキャリアの混合物からなる二成分現像剤を用い、
    回転する感光体と、その感光体の回転方向と同じ方向に回転する第1の現像ロールと、前記感光体の回転方向と逆方向に回転する第2の現像ロールを備え、前記第1の現像ロールと第2の現像ロールが近接配置されるとともに、前記感光体と第1の現像ロールの間ならびに感光体と第2の現像ロールの間に前記キャリアの穂が感光体表面に接触する現像ニップ部がそれぞれ形成される画像形成装置において、
    その画像形成装置の印刷ジョブ終了後に印刷時の現像バイアスと逆極性の現像バイアスを前記現像ロールに印加した状態で、前記感光体と現像ロールを回転させて前記現像剤を前記現像ロールで感光体側に搬送して、感光体表面を現像剤で研磨する研磨プロセスを実施することを特徴とする画像形成装置の感光体クリーニング方法。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置の感光体クリーニング方法において、
    前記感光体と第1の現像ロールの最大周速差Vが1500mm/sec以上で、かつ、前記現像ニップ部において下式で定義される現像剤の充填率Aが30%以上に規制されていることを特徴とする画像形成装置の感光体クリーニング方法。
    A(%)={M×Tc/100/ρt+M×(100-Tc)/100/ρc}/Gdev×100
    M:現像剤搬送量(g/cm
    Tc:トナー濃度(重量%)
    ρt:トナー真密度(g/cm3
    ρc:キャリア真密度(g/cm3
    Gdev:現像ギャップ(cm)
  3. 請求項2に記載の画像形成装置の感光体クリーニング方法において、前記感光体と第2の現像ロールの最大周速差Vが1500mm/sec≦V≦2000mm/secの範囲に規制され、かつ、前記現像剤の充填率Aが30%≦A≦40%の範囲に規制されていることを特徴とする画像形成装置の感光体クリーニング方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置の感光体クリーニング方法において、前記研磨プロセス時の現像剤中のトナー被覆率Xが30%以下に規制されていることを特徴とする画像形成装置の感光体クリーニング方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置の感光体クリーニング方法において、前記研磨プロセスは前記感光体側への記録紙の搬送を停止し、かつ、転写装置への電源供給を停止して行うことを特徴とする画像形成装置の感光体クリーニング方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置の感光体クリーニング方法において、前記感光体が有機化合物系感光体であることを特徴とする画像形成装置の感光体クリーニング方法。
  7. 請求項6に記載の画像形成装置の感光体クリーニング方法において、前記有機化合物系感光体は、結着樹脂中に無機化合物の微粉末からなるフィラーを分散・保持した耐磨耗性の表面保護層で覆われた感光層を有していることを特徴とする画像形成装置の感光体クリーニング方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置の感光体クリーニング方法において、前記画像形成装置が連続した長尺状の記録紙を使用する画像形成装置であることを特徴とする画像形成装置の感光体クリーニング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014102341A (ja) * 2012-11-19 2014-06-05 Fuji Xerox Co Ltd 現像装置及び画像形成装置
JP2018146678A (ja) * 2017-03-02 2018-09-20 富士ゼロックス株式会社 画像形成装置

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