JP2009192719A - ペダル反力可変装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望強さの生ピアノらしいペダル感触を得ると共に、踏み込み初期における電力消費を小さくする。
【解決手段】反力発生装置20内において、第1コイルバネ21は、ペダルに対して踏み込み初期から反力を作用させるように配設され、第2コイルバネ22は途中から反力を作用させるように配設される。コイルバネ21、22は、導電体であって且つ、温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなる。コイルバネ21、22の可変目標の温度は、ユーザの指示によって低温側温度TLoと高温側温度THiのいずれかに設定される。温度調節部15は、コイルバネ21、22に通電することで温度を調節し、具体的には、コイルバネ21、22を低温側温度TLoに維持する場合は通電をせず、高温側温度THiに維持する場合は、コイルバネ21、22に電流を流す。
【選択図】図2
【解決手段】反力発生装置20内において、第1コイルバネ21は、ペダルに対して踏み込み初期から反力を作用させるように配設され、第2コイルバネ22は途中から反力を作用させるように配設される。コイルバネ21、22は、導電体であって且つ、温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなる。コイルバネ21、22の可変目標の温度は、ユーザの指示によって低温側温度TLoと高温側温度THiのいずれかに設定される。温度調節部15は、コイルバネ21、22に通電することで温度を調節し、具体的には、コイルバネ21、22を低温側温度TLoに維持する場合は通電をせず、高温側温度THiに維持する場合は、コイルバネ21、22に電流を流す。
【選択図】図2
Description
本発明は、鍵盤楽器のペダルの反力を可変とするペダル反力可変装置に関する。
生ピアノ(アコースティックピアノ)には各種ペダルが備えられる。例えば、ダンパペダル(ラウドペダル)は、ダンパの押し上げ/下げを行う機能を有しており、止音をコントロールして、演奏法における重要な役割を担っている。ダンパペダルは、踏み込みの往行程の途中で、ダンパ押し上げのために反力が上昇する。
従来の電子鍵盤楽器において、下記特許文献1に示されるように、ダンパペダルに、生ピアノと同様の踏み込み反力の変化を持たせるための工夫をしたものが知られている。すなわち、下記特許文献1では、バネが作用するペダルレバーを2つ設け、往行程初期には第1ペダルレバーの反力のみが作用し、途中から第2ペダルレバーの反力も作用するようにしている。
また、鍵の反力に関しては、下記特許文献2の電子楽器に示されるように、ソレノイド等のアクチュエータで、押鍵される鍵に対して与える反力を制御し、生ピアノに近い押鍵感触を目指したものも知られている。
特開2004−334008号公報
特許第3772491号
しかしながら、上記特許文献1では踏み込み反力の段階的な変化は得られるものの、反力や圧力変化は設計によって定まっており、所望な強さや変化態様に変更することができないという問題がある。
また、上記特許文献2に示されるようなソレノイドのアクチュエータをペダルに適用した場合、特に、踏み込み行程初期において大きな駆動力が必要とされ、電力消費が多いという問題がある。
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、所望強さの生ピアノらしいペダル感触を得ると共に、踏み込み初期における電力消費を小さくすることができるペダル反力可変装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の請求項1のペダル反力可変装置は、鍵盤楽器のペダル(30)の反力を可変とするペダル反力可変装置であって、踏み込み操作される前記ペダルに対して踏み込み初期から反力を作用させるように配設される第1コイルバネ(21)と、踏み込み操作される前記ペダルに対して踏み込みの往行程における途中から反力を作用させるように配設される第2コイルバネ(22)と、温度可変手段(15)とを有し、前記第1、第2コイルバネの少なくとも一方は、温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなり、前記温度可変手段は、前記第1、第2コイルバネのうち形状記憶合金でなるコイルバネの温度を変えることで、該形状記憶合金でなるコイルバネによって前記ペダルに作用する反力を可変にすることを特徴とする。
上記目的を達成するために本発明の請求項2のペダル反力可変装置は、鍵盤楽器のペダルの反力を可変とするペダル反力可変装置であって、温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなり、踏み込み操作される前記ペダルに対して踏み込み初期から反力を作用させるように配設される第1コイルバネと、前記ペダルの踏み込み方向における位置を検出する位置検出手段(23)と、前記第1コイルバネの温度を、前記位置検出手段により検出された位置に応じて制御することで、前記第1コイルバネによって前記ペダルに作用する踏み込み反力を制御する温度制御手段(11、15)とを有することを特徴とする。
好ましくは、前記温度制御手段は、前記位置検出手段により検出された位置から把握される、踏み込みの往行程におけるハーフペダル領域の前と後とで、前記第1コイルバネの温度を異ならせる(請求項3)。さらに好ましくは、前記温度制御手段は、踏み込みの往行程における前記ハーフペダル領域内で、前記踏み込み反力が徐々に大きくなるように前記第1コイルバネの温度を制御する(請求項4)。
好ましくは、踏み込み操作される前記ペダルに対して踏み込みの往行程における途中から反力を作用させるように配設される第2コイルバネ(22)を有し、前記温度制御手段は、前記位置検出手段により検出された位置から把握される、踏み込みの往行程におけるハーフペダル領域内で、前記第1及び第2コイルバネの双方によって前記ペダルに作用する踏み込み反力が徐々に大きくなるように前記第1コイルバネの温度を制御する(請求項5)。さらに好ましくは、前記第2コイルバネは、温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなり、前記温度制御手段は、踏み込みの往行程における前記ハーフペダル領域内で、前記第1及び第2コイルバネの双方によって前記ペダルに作用する踏み込み反力が徐々に大きくなるように前記第1及び第2コイルバネの双方の温度を制御する(請求項6)。
上記目的を達成するために本発明の請求項7のペダル反力可変装置は、鍵盤楽器のペダルの反力を可変とするペダル反力可変装置であって、踏み込み操作される前記ペダルに対して踏み込み初期から反力を作用させるように配設されるコイルバネ(21)と、与えられる駆動信号によって動作し、踏み込み操作される前記ペダルに対して反力を作用させ得るように配設される反力発生手段(40)と、前記ペダルの踏み込み方向における位置を検出する位置検出手段(23)と、前記位置検出手段により検出された位置に応じて前記反力発生手段に駆動信号を与えることで、該反力発生手段によって前記ペダルに作用する踏み込み反力を制御する駆動制御手段(11、16)とを有することを特徴とする。
好ましくは、前記コイルバネは、温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなり、該コイルバネの温度を、前記位置検出手段により検出された位置に応じて制御することで、前記コイルバネによって前記ペダルに作用する踏み込み反力を制御する温度制御手段(11、15)を有する(請求項8)。
なお、上記括弧内の符号は例示である。
本発明の請求項1によれば、2段階で作用するバネとバネ温度の可変により、所望強さの生ピアノらしいペダル感触を得ると共に、踏み込み初期における電力消費を小さくすることができる。
本発明の請求項2によれば、バネ温度により踏み込み反力を制御可能にして、所望強さの生ピアノらしいペダル感触を得ると共に、踏み込み初期における電力消費を小さくすることができる。
請求項3によれば、踏み込みの往行程においてハーフペダル領域を境に反力を変化させて、生ピアノらしいペダル感触にすることができる。
請求項4、5、6によれば、ハーフペダルの感触を再現することができる。
本発明の請求項7によれば、反力発生手段の制御と初期から作用するバネとにより、所望強さの生ピアノらしいペダル感触を得ると共に、踏み込み初期における電力消費を小さくすることができる。
請求項8によれば、反力発生手段とバネとの複合的な反力を制御して、一層生ピアノらしいペダル感触にすることができる。例えば、ハーフペダルの感触を再現することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るペダル反力可変装置の構成を示す模式図である。このペダル反力可変装置は、制御装置10及び反力発生装置20を有し、特に、反力発生装置20は、鍵盤楽器本体100とペダル30との間に介在して配設される。ペダル30は下方に踏み込み操作され、同図(a)は初期状態である非踏み込み状態、同図(b)は踏み込み状態を示す。
図1(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るペダル反力可変装置の構成を示す模式図である。このペダル反力可変装置は、制御装置10及び反力発生装置20を有し、特に、反力発生装置20は、鍵盤楽器本体100とペダル30との間に介在して配設される。ペダル30は下方に踏み込み操作され、同図(a)は初期状態である非踏み込み状態、同図(b)は踏み込み状態を示す。
鍵盤楽器本体100は、例えば、弦を有しない電子鍵盤楽器として構成され、ペダル30は、例えば、ダンパペダルとして機能するペダルである。鍵盤楽器本体100にはダンパ自体も存在しない。従って、ペダル30の踏み込み操作において、生ピアノでいうダンパを押し上げることはない。
一方、一般の生ピアノでは、ダンパペダルの踏み込み往行程において、一般に、踏み込みの影響がダンパに伝達されない「遊び領域」と、弦に対するダンパの押接力の減少が開始される状態からダンパが弦に対して非接触状態となるまでの「ハーフペダル領域」と、その後ダンパが弦から完全に離間状態となる「弦開放領域」という3つの領域が存在する。
この実施の形態では、ハーフペダル領域に相当するストローク位置で、ペダル30の踏み込みの往行程においてペダル30に対して作用する反力(以下、「踏み込み反力」という)が変化(上昇)するように構成する。
図1(a)に示すように、まず、反力発生装置20は、例えば、ペダルボックス内に配設されるが、配設箇所は問わず、ペダル30に対して踏み込みに抗する力を発揮できるような部位に配置されればよい。ペダル30は、支点31にて先端(図1(a)の左端)が上下に揺動自在にされている。ペダル30の後端に設けられた回動軸32を介して、鉛直方向に延びたロッド34が連結され、ペダル30の踏み込み操作に連動して、ロッド34が上下移動するようになっている。ペダル30の後端の下方には、ペダル30の後端と当接してペダル30の非踏み込み位置を規制するストッパ33が設けられている。ロッド34の上端は二股に分岐し、第1係合部34aと第2係合部34bとが形成されている。
反力発生装置20の下部に形成された挿入口20aをロッド34が貫通している。反力発生装置20内において、ロッド34の上下方向の位置を検出する位置センサ23が設けられている。位置センサ23は、例えば、光学的にロッド34の位置を検出するものであるが、その検出信号は、ペダル30の踏み込み方向における位置を示すものでもある。なお、ペダル30の踏み込み方向における位置を検出できるものであれば、位置センサ23の構成(光学式、接触式、磁気式等)や配設位置は問わない。
反力発生装置20内において、第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22の各上端が、鍵盤楽器本体100の下部に対して固定状態にされている。第1コイルバネ21の下端は、非踏み込み状態においてロッド34の第1係合部34aに当接係合している。すなわち、ペダル30の後端がストッパ33に当接している状態で、第1コイルバネ21は、自由状態よりも少し圧縮された状態となっている(図1(a)参照)。ロッド34が上昇すると、図1(b)に示すように、第1係合部34aによって第1コイルバネ21がさらに圧縮させられる。
反力発生装置20内において、鍵盤楽器本体100に固定状態にされた筒状の支持体26内の下部に、可動プレート24が配設される。また、支持体26内に、第2コイルバネ22が配設され、第2コイルバネ22の下端が、可動プレート24に固定されている。第2コイルバネ22は、自由状態よりも少し圧縮された状態で介装されており、従って、非踏み込み状態において、可動プレート24は、下方に常に付勢され、支持体26内における最下部に位置している(図1(a)参照)。
支持体26の下端は、可動プレート24を受け止める程度に内側にせり出し、且つ、ロッド34の第2係合部34bが挿通可能な程度に開口する開口部26aを形成している。従って、ロッド34が上昇すると、図1(b)に示すように、支持体26の上記開口部26aを通じて第2係合部34bによって可動プレート24が上方に駆動され、第2コイルバネ22がさらに圧縮させられる。
ロッド34は、支点31と回動軸32との距離に対して十分に(10倍以上)長い(例えば、60cm)。従って、ロッド34が上下動する際に、ロッド34の第2係合部34bが開口部26aに対して水平方向にずれる量は、0.5〜2mmと程度と、僅かである。それ故、開口部26aの内径寸法を、上記ずれ量に適当なクリアランスを加えた分だけ大きく設定することで、可動上の不具合は発生せず、特別な機構を設ける必要もない。
制御装置10は、図1(a)に示すように、制御部11、入力設定部12、記憶部13、温度調節部15及びその他14等を有する。実際には、制御装置10には、いずれも不図示のCPU、RAM、ROM、操作子、タイマ等が備えられ、これらの協働によって上記各機能部の機能が果たされる。
制御部11は、制御装置10全体の制御を司る。入力設定部12は、ユーザから受け付けた指示に従って制御装置10に設定処理等を行う。記憶部13は、制御部11が実行する制御プログラム、各種テーブルデータ、種入力情報、演算結果等を記憶する。温度調節部15は、制御部11の制御に従って、第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22に通電し、それらの温度を調節する。その他14には、例えば、表示装置、各種インターフェイス、簡易発音装置等が含まれる。
第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22は、いずれも、導電体であって且つ、温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなる。合金の種類は問わないが、例えば、Ti−Niの合金である。ここでいう温度とは、厳密には周囲の環境温度ではなく、コイルバネ21、22自体の温度である。この温度は、一般的には、通電及び切電により制御される。
図2(a)は、第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22の、温度に対する荷重の変化を測定した結果を示す図である。この図は、コイルバネ21、22の圧縮による変形量(たわみ量)を一定に固定した状態で、温度を連続的に変化させ、各コイルバネ21、22が発生させる反力である荷重をロードセルで測定して得たものである。横軸に温度(°C)、縦軸に荷重(N:ニュートン)をとる。
図2(a)からわかるように、温度が高くなるほど、荷重が大きくなる。これは、各コイルバネ21、22の材料である合金の弾性係数(特に横弾性係数)が、温度が高くなるほど大きくなるので、それに伴って、各コイルバネ21、22のバネとしてのバネ定数K(N/m)も高くなるからである。実際には、温度上昇遷移の場合と低下遷移の場合とで、荷重変化にヒステリシスが生じるが、図ではそれが省略されている。
図2(a)に示す低温側温度TLoは、演奏される環境における常温に近い温度(例えば、20°C)がよい。高温側温度THiは、自然には生じないような高い温度(例えば、60°C)がよい。このような性質は、合金の材料比率、成形、熱処理の各条件によって異なるが、この例のように、常温と常温よりも高い温度とで、荷重が大きく変化するような性質を発揮するようなバネをコイルバネ21、22として採用するのがよい。
ところで、高温側温度THiは、コイルバネ21、22の形状が記憶される高温の変態温度とほぼ同じであるが、一致している必要はない。コイルバネ21、22の金属状態としては、高温側温度THiでは、オーステナイト相が多く、低温側温度TLoでは、マルテンサイト相が多い。
一方、上述のように、コイルバネ21、22は、いずれも、非踏み込み状態において、少し圧縮されているとした。しかし、演奏時に想定される低温側温度TLoにおいて、コイルバネ21、22は、あくまでバネとして圧縮されているのであり、形状記憶合金としての形状変化を生じるほどの強い力(変形力を超える力)で圧縮されているのではない。図1(b)に示す踏み込み状態においても、同様に、あくまでバネとして圧縮された状態であって、いわゆる変形力を超える力で圧縮されているのではない。コイルバネ21、22は、変態温度で記憶されたバネ形状のまま使用される。従って、仮に、コイルバネ21、22を低温側温度TLoのまま反力発生装置20から取り外して自由状態にすれば、自身のバネとしての弾性によって(形状回復によってではなく)、変態温度で記憶されたバネ形状(図1(a)に示すものより少し長い長さ)に戻る。
図2(b)は、反力発生装置20において、ペダル30の踏み込みストロークに対する第1コイルバネ21単独で発生する温度別の反力を示す図である。図2(c)は、同踏み込みストロークに対する第2コイルバネ22単独で発生する温度別の反力を示す図である。図2(d)は、同踏み込みストロークに対する第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22の組み合わせによって発生する温度別の総合反力を示す図である。いずれも、横軸が、非踏み込み位置を0とする踏み込みストローク(深さ)であり、位置センサ23の検出信号から把握される量である。縦軸が、ペダル30に対して与えられる踏み込み反力である。
図2(b)、(c)に示すように、第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22のいずれも、低温側温度TLoの場合よりも高温側温度THiの場合の方が、バネ定数Kが高いため、反力も高温側温度THiの場合の方が高く遷移する。第1コイルバネ21は、第1係合部34aに常時係合しているので(図1参照)、踏み込みストローク全行程に亘って踏み込み反力を発生させる(図2(b)参照)。第2コイルバネ22は、踏み込みの往行程におけるストローク位置ST0で可動プレート24を介して第2係合部34bに係合し始めるので(図1(b)参照)、ストローク位置ST0から踏み込み反力を発生させる(図2(c)参照)。いずれのコイルバネも、踏み込みストロークに比例して踏み込み反力が大きくなる。
コイルバネ21、22の可変目標の温度は、入力設定部12を介してユーザの指示によって入力され、設定される。本実施の形態では、低温側温度TLoと高温側温度THiのいずれかが選択できる。温度調節部15(図1参照)は、コイルバネ21、22に対して通電することでそれらの温度を調節する。具体的には、低温側温度TLoに維持する場合は、通電をしない。高温側温度THiに維持する場合は、例えば、コイルバネ21、22の各上端と下端とに所定の電位差を設けて電流を流す。実際には、周辺の環境温度によって、低温側温度TLoまたは高温側温度THiに正確に維持できないが、両温度の差が、環境温度の自然の変位に比し十分に大きいので、実用上問題はない。なお、演奏時の常温が低温側温度TLoに比し低い場合があることを考慮し、ユーザによって低温側温度TLoが指定された場合でも、一律に、高温側温度THiの場合よりも十分に少ない通電を行うようにしてもよい。
図2(d)では、コイルバネ21、22を共に、踏み込みの往行程の全行程に亘って低温側温度TLoで維持した場合と高温側温度THiで維持した場合とが示されている。いずれも、ストローク位置ST0から、第1コイルバネ21による反力に第2コイルバネ22による反力が加わるので、総合の踏み込み反力が急増する。このストローク位置ST0は、ハーフペダル領域の中央付近相当の位置に設定されている。これにより、生ピアノのハーフペダルを含むペダル感触が模擬される。また、維持する温度によって、全行程に亘って踏み込み反力を異ならせることができるので、ユーザは所望の踏み込み反力を選択できる。
本実施の形態によれば、2段階で作用するコイルバネにより、生ピアノらしいペダル感触を得ることができる。また、踏み込みの当初から、第1コイルバネ21による反力が得られるので、ソレノイド等によってのみ反力を発生させる構成に比し、踏み込み初期における電力消費を小さくすることができる。また、バネ温度の可変により、踏み込み反力を所望の強さにすることができる。
ところで、図2(a)に示すように、コイルバネ21、22の荷重は、低温側温度TLoと高温側温度THiとの間の温度においても、温度に応じて変化する。従って、コイルバネ21、22の温度を低温側温度TLoと高温側温度THiの2段階で可変にするだけでなく、3段階以上で可変にするようにして、踏み込み反力を一層所望の強さにできるようにしてもよい。その場合の温度の指定は、入力設定部12で行える。
なお、本実施の形態では、コイルバネ21、22の双方を全行程に亘って同じ温度に維持したが、行程途中で温度を変えてもよいし、バネ毎に別々の温度に可変としてもよい。例えば、第1のパターンとしては、コイルバネ21、22を共に全行程に亘って低温側温度TLoに維持する。第2パターンとしては、第1コイルバネ21を全行程に亘って高温側温度THiに維持すると共に、第2コイルバネ22は、ストローク位置ST0まで高温側温度THiに維持してストローク位置ST0からは低温側温度TLoに戻すようにしてもよい。
さらには、コイルバネ21、22は、温度に対する反力の特性が同じものでなくてもよく、各コイルバネ21、22の可変目標となる低温側温度TLo及び高温側温度THiは、コイルバネ21、22の各々の特性に応じた温度とすればよい。
なお、構成を簡単にする観点からは、第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22のいずれか一方のみを形状記憶合金で構成し、形状記憶合金で構成したコイルバネについてだけ、上記のような温度可変をするようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、コイルバネ21、22の温度を2段階に可変とする構成であったが、本発明の第2の実施の形態では、第1コイルバネ21の温度を制御する。本実施の形態では、第2コイルバネ22の温度を可変とする必要がなく、常温のまま用いられる。そのため、第2コイルバネ22は、形状記憶合金で構成する必要はないが、形状記憶合金であってもよい。その他の構成は第1の実施の形態(図1)と同様である。
上記第1の実施の形態では、コイルバネ21、22の温度を2段階に可変とする構成であったが、本発明の第2の実施の形態では、第1コイルバネ21の温度を制御する。本実施の形態では、第2コイルバネ22の温度を可変とする必要がなく、常温のまま用いられる。そのため、第2コイルバネ22は、形状記憶合金で構成する必要はないが、形状記憶合金であってもよい。その他の構成は第1の実施の形態(図1)と同様である。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るペダル反力可変装置におけるバネ温度制御処理のフローチャートである。図4(a)は、反力発生装置20において、ペダル30の踏み込みストロークに対する第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22のそれぞれで発生する温度別の反力を示す図である。図4(b)は、同踏み込みストロークに対する第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22の組み合わせによって発生する温度別の総合反力を示す図である。図4(c)は、同踏み込みストロークにおける第1コイルバネ21の温度制御の遷移を示す図である。
図4(a)に示すように、第1コイルバネ21の反力特性は、第1の実施の形態のもの(図2(b))と同じである。踏み込み往行程におけるハーフペダル領域の開始位置をHPs、終了位置をHPeと記す。第2コイルバネ22は、踏み込み往行程において、その荷重が、終了位置HPeからペダル30に対して反力として作用するように配設される。
第1コイルバネ21の温度は、図4(c)に示すように、踏み込み当初から開始位置HPsまでが低温側温度TLoに維持され、開始位置HPsから終了位置HPeまでのハーフペダル領域は、低温側温度TLoから高温側温度THiまで徐々に上昇する。そして、終了位置HPeから踏み込み終了までは再び低温側温度TLoに維持される。その結果、図4(b)に示すように、総合的な踏み込み反力は、踏み込み当初から開始位置HPsまでは低温側温度TLoの第1コイルバネ21のみの反力によるものとなる。ハーフペダル領域では、温度上昇に伴って上昇する第1コイルバネ21の反力によるものとなり、徐々に上昇する。終了位置HPeからは、低温側温度TLoの第1コイルバネ21の反力に第2コイルバネ22の反力が加わる。
生ピアノでは、鍵の数(例えば88鍵)に応じて弦数も多数であり、ダンパペダル操作の往行程においてダンパが弦に対して非接触状態になるまでのタイミングは、各弦によっても誤差があるため、実際には、ハーフペダル領域においては踏み込み反力が徐々に大きくなっていく。図4(c)に示す上記開始位置HPsから終了位置HPeまでの踏み込み反力の上昇は、この生ピアノにおけるハーフペダル領域での踏み込み反力の上昇を模したものである。
バネ温度制御処理(図3)は、制御部11(図1参照)によって実行され、反力発生装置20の電源がオンされている状態で、タイマ処理等によって所定時間間隔で繰り返し実行される。まず、位置センサ23(図1参照)の検出信号を取り込み(ステップS101)、第1コイルバネ21に流すべき電流値を決定する(ステップS102)。その際、位置情報と電流値(乃至電位差)とを対応付けたテーブルを参照して電流値が決定される。このテーブルは、記憶部13(図1参照)に記憶されている。なお、このテーブルは、周囲の温度を加味したものであってもよい。すなわち、周囲の温度と位置情報とによって、電流値が決定されるようなテーブルとしてもよい。あるいは、テーブルによらず、所定の演算式によって電流値が決定されるようにしてもよい。次に、決定した電流値となるように、温度調節部15(図1参照)に、第1コイルバネ21に対して通電させる(ステップS103)。その後、本処理を終了する。
本実施の形態によれば、生ピアノらしいペダル感触を得ると共に、踏み込み初期における電力消費を小さくすることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。それだけでなく、踏み込みの往行程におけるハーフペダル領域内で、コイルバネ21、22の双方によって作用する踏み込み反力が徐々に大きくなるように第1コイルバネ21の温度を制御することで、生ピアノにおけるハーフペダルの感触を再現することができる。
なお、踏み込み往行程において、第2コイルバネ22の反力が作用開始するのは終了位置HPeからであったが、開始位置HPsから終了位置HPeの範囲内で他の位置としてもよい。そのようにしても、第1コイルバネ21の温度制御によって、生ピアノにおけるハーフペダルの感触を再現することは可能である。
(第3の実施の形態)
上記第2の実施の形態では、第2コイルバネ22は形状記憶合金で構成されていなくてもよかったが、本発明の第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に第2コイルバネ22も形状記憶合金で構成し、第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22を個別に温度制御する。バネ温度制御処理は図3に示す通りであり、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
上記第2の実施の形態では、第2コイルバネ22は形状記憶合金で構成されていなくてもよかったが、本発明の第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に第2コイルバネ22も形状記憶合金で構成し、第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22を個別に温度制御する。バネ温度制御処理は図3に示す通りであり、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
図5(a)は、反力発生装置20において、ペダル30の踏み込みストロークに対する第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22のそれぞれで発生する温度別の反力を示す図である。図5(b)は、同踏み込みストロークに対する第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22の組み合わせによって発生する温度別の総合反力を示す図である。図5(c)、(d)は、同踏み込みストロークにおける第2コイルバネ22、第1コイルバネ21の各温度制御の遷移を示す図である。
図5(a)に示すように、第1コイルバネ21の反力特性は、第1の実施の形態のもの(図2(b))と基本的に同じである。第2コイルバネ22は、踏み込み往行程において、その荷重が、ハーフペダル領域の開始位置HPsからペダル30に対して反力として作用するように配設される。その反力特性は、第1の実施の形態のもの(図2(c))と基本的に同じである。
第2コイルバネ22の温度は、図5(c)に示すように、踏み込み当初から開始位置HPsまでが低温側温度TLoに維持され、開始位置HPsから終了位置HPeまでのハーフペダル領域は、低温側温度TLoから高温側温度THiまで徐々に上昇する。そして、終了位置HPeから踏み込み終了までは高温側温度THiのまま維持される。一方、第1コイルバネ21の温度は、図5(d)に示すように、踏み込み当初から開始位置HPsまでが高温側温度THiに維持され、開始位置HPsから踏み込み終了までは低温側温度TLoに維持される。
その結果、図5(b)に示すように、総合的な踏み込み反力は、踏み込み当初から開始位置HPsまでは、高温側温度THiの第1コイルバネ21と低温側温度TLoの第2コイルバネ22の双方の反力によるものとなる。ハーフペダル領域では、低温側温度TLoの第1コイルバネ21と温度上昇に伴って上昇する第2コイルバネ22の双方の反力によるものとなり、徐々に上昇する。終了位置HPeからは、低温側温度TLoの第1コイルバネ21の反力に高温側温度THiの第2コイルバネ22の反力が加わったものとなる。開始位置HPsから終了位置HPeまでの総合の踏み込み反力の上昇は、生ピアノにおけるハーフペダル領域での踏み込み反力の上昇を模したものである。
これにより、第1の実施の形態における図2(d)で示したような、ハーフペダル領域を境に踏み込み反力が急激に上昇するのに比し、図5(b)に示すように、ハーフペダル領域内における踏み込み反力の変化が生ピアノに近くなる。
本実施の形態によれば、踏み込みの往行程におけるハーフペダル領域内で、コイルバネ21、22の双方によって作用する踏み込み反力が徐々に大きくなるようにコイルバネ21、22の双方の温度を制御することで、第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
なお、踏み込み往行程において、第2コイルバネ22の反力が作用開始するのは開始位置HPsからであったが、開始位置HPsから終了位置HPeの範囲内で他の位置としてもよい。そのようにしても、コイルバネ21、22の双方の温度を適切に制御することで、生ピアノにおけるハーフペダルの感触を再現することは可能である。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態では、形状記憶合金でなる第1コイルバネ21のみ用い、第1コイルバネ21を温度制御する。踏み込み往行程途中から作用する第2コイルバネ22は廃止する。バネ温度制御処理は図3に示す通りであり、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。なお、踏み込み全行程においてペダル30に対して作用する一般的な(形状記憶合金でない)コイルバネが別途設けられていてもよい。
本発明の第4の実施の形態では、形状記憶合金でなる第1コイルバネ21のみ用い、第1コイルバネ21を温度制御する。踏み込み往行程途中から作用する第2コイルバネ22は廃止する。バネ温度制御処理は図3に示す通りであり、その他の構成は第2の実施の形態と同様である。なお、踏み込み全行程においてペダル30に対して作用する一般的な(形状記憶合金でない)コイルバネが別途設けられていてもよい。
図5(e)は、ペダル30の踏み込みストロークに対する第1コイルバネ21で発生する反力を示す図である。同図(e)において、第1コイルバネ21で発生する温度別の反力も併せて示してある。図5(f)は、同踏み込みストロークにおける第1コイルバネ21の温度制御の遷移を示す図である。
第1コイルバネ21の温度は、図5(f)に示すように、踏み込み当初から開始位置HPsまでが低温側温度TLoに維持され、開始位置HPsから終了位置HPeまでのハーフペダル領域は、低温側温度TLoから高温側温度THiまで徐々に上昇する。そして、終了位置HPeから踏み込み終了までは高温側温度THiのまま維持される。
その結果、図5(e)に示すように、ペダル30に作用する踏み込み反力は、踏み込み当初から開始位置HPsまでは低温側温度TLoの第1コイルバネ21の反力に依存し、ハーフペダル領域では、温度上昇に伴って上昇する第1コイルバネ21の反力に依存して、徐々に上昇する。終了位置HPeからは、高温側温度THiの第1コイルバネ21の反力に依存する。開始位置HPsから終了位置HPeまでの踏み込み反力の上昇は、生ピアノにおけるハーフペダル領域での踏み込み反力の上昇を模したものである。
本実施の形態によれば、単一の第1コイルバネ21の温度制御により踏み込み反力を制御可能にして、第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、コイルバネが1つで足りるので、メカ的構成が簡単である。
なお、構成を簡単にする観点からは、第1の実施の形態と同様に、第1コイルバネ21に通電する/しないの2段階で温度調節し、図2(d)に示すのと同様に、踏み込みの往行程においてハーフペダル領域を境に踏み込み反力が急激に上昇するようにしてもよい。
なお、上記第2〜第4の実施の形態では、コイルバネの温度を、低温側温度TLoと高温側温度THiとの間で制御したが、この範囲に限らない。制御する目標温度の上限値と下限値とを変えれば、踏み込み反力の強さも所望なものにすることができる。また、上記した温度制御の態様は一例であり、制御の内容によって、踏み込み反力の変化の態様も任意なものにすることができる。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態では、ペダル30の踏み込み反力を発生させる機構として、ソレノイドを用いる。形状記憶合金でなるバネは必要としない。
本発明の第5の実施の形態では、ペダル30の踏み込み反力を発生させる機構として、ソレノイドを用いる。形状記憶合金でなるバネは必要としない。
図6(a)、(b)は、本発明の第5の実施の形態に係るペダル反力可変装置の構成を示す模式図である。同図(a)は非踏み込み状態、同図(b)は踏み込み状態を示す。
このペダル反力可変装置の制御装置10には、第1の実施の形態における制御装置10内の構成要素に対して、さらにソレノイド駆動部16が加わっている。温度調節部15は必要がないので、廃止してもよい。また、このペダル反力可変装置の反力発生装置20においては、第1の実施の形態における反力発生装置20に対して、支持体26、可動プレート24及び第2コイルバネ22に代えて、ソレノイド本体40、プランジャ41、復帰用バネ42及びバネ受け部43を設けた点が異なっている。また、第1コイルバネ21は形状記憶合金でなるものではないが、形状記憶合金であってもよい。その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同一の構成要素には同一符号が付してある。
ソレノイド本体40には、図示しないが、ボビンに巻回されたソレノイドコイル、ヨーク等が備えられ、駆動部を兼ねるプランジャ41が、上下方向に移動自在になっている。プランジャ41の下端部にはバネ受け部43が固定され、復帰用バネ42が、バネ受け部43とソレノイド本体40との間に介装されている。復帰用バネ42の付勢力により、プランジャ41が常に下方に付勢され、プランジャ41は、ロッド34の第2係合部34bに常時当接係合している。
ソレノイド駆動部16は、制御部11の制御に従って、駆動信号をソレノイド本体40に供給する。それによって、プランジャ41が下方に付勢され、ロッド34の第2係合部34bを介してペダル30に踏み込み反力を与える。上記駆動信号は、ソレノイド本体40のソレノイドコイルに流すべき電流の目標値に応じたduty(デューティ)比(%)となるようにパルス幅変調を施したPWM信号である。
図7は、本実施の形態に係るペダル反力可変装置におけるソレノイド駆動制御処理のフローチャートである。この処理は制御部11によって実行され、反力発生装置20の電源がオンされている状態で、タイマ処理等によって所定時間間隔で繰り返し実行される。
まず、位置センサ23の検出信号を取り込み(ステップS201)、ソレノイド本体40に与えるべき駆動信号のduty比を決定する(ステップS202)。その際、位置情報とduty比とを対応付けたテーブルを参照してduty比が決定される。このテーブルは、記憶部13に記憶されている。なお、テーブルによらず、所定の演算式によってduty比が決定されるようにしてもよい。次に、決定したduty比の駆動信号をソレノイド駆動部16からソレノイド本体40に対して出力させる(ステップS203)。その後、本処理を終了する。
図8(a)は、本実施の形態における反力発生装置20において、ペダル30の踏み込みストロークに対する第1コイルバネ21及びソレノイド本体40の組み合わせによって発生する総合反力を示す図である。図8(b)は、同踏み込みストロークにおけるソレノイド本体40に供給される駆動信号のduty比の遷移を示す図である。
図8(b)に示すように、駆動信号のduty比は、踏み込み当初から開始位置HPsまで低く、本実施の形態では例えば「0」(駆動信号を供給しない)とする。そして、開始位置HPsから終了位置HPeまで徐々に高くなり、終了位置HPeから踏み込み終了までは高いまま維持される。
その結果、図8(a)に示すように、総合的な踏み込み反力は、踏み込み当初から開始位置HPsまでは第1コイルバネ21の反力によるものとなる。ハーフペダル領域では、duty比に伴って上昇するソレノイド本体40の反力が加わって徐々に上昇する。終了位置HPeからは、第1コイルバネ21の反力に、高いduty比で動作するソレノイド本体40の反力が加わったものとなる。開始位置HPsから終了位置HPeまでの総合の踏み込み反力の上昇は、生ピアノにおけるハーフペダル領域での踏み込み反力の上昇を模したものである。
本実施の形態によれば、ソレノイド本体40の駆動力の制御と初期から作用する第1コイルバネ21の反力とにより、生ピアノらしいペダル感触を得ると共に、踏み込み初期における電力消費を小さくすること、及びハーフペダルの感触を再現することに関し、第2の実施の形態等と同様の効果を奏することができる。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態では、第5の実施の形態に対して、第1コイルバネ21を形状記憶合金で構成し、温度調節部15によって温度制御する処理を加えた点が異なり、その他の構成は第5の実施の形態と同様である。ソレノイド本体40の駆動制御は、ソレノイド駆動制御処理(図7)によってなされ、第1コイルバネ21の温度制御は、バネ温度制御処理(図3)によってなされ、両処理が並行して実行される。
本発明の第6の実施の形態では、第5の実施の形態に対して、第1コイルバネ21を形状記憶合金で構成し、温度調節部15によって温度制御する処理を加えた点が異なり、その他の構成は第5の実施の形態と同様である。ソレノイド本体40の駆動制御は、ソレノイド駆動制御処理(図7)によってなされ、第1コイルバネ21の温度制御は、バネ温度制御処理(図3)によってなされ、両処理が並行して実行される。
図8(c)は、反力発生装置20において、ペダル30の踏み込みストロークに対する第1コイルバネ21単独で発生する温度別の反力を示す図である。図8(d)は、踏み込みストロークに対する第1コイルバネ21及びソレノイド本体40の組み合わせによって発生する総合反力を示す図である。図8(e)は、同踏み込みストロークにおけるソレノイド本体40に供給される駆動信号のduty比の遷移を示す図である。図8(f)は、同踏み込みストロークにおける第1コイルバネ21の温度制御の遷移を示す図である。
駆動信号のduty比は、図8(e)に示すように、踏み込みの往行程において、終了位置HPeで急上昇し、そのまま踏み込み終了まで維持される。また、第1コイルバネ21の温度は、図8(f)に示すように、踏み込み当初から開始位置HPsまでが低温側温度TLoに維持され、開始位置HPsから終了位置HPeまでは、低温側温度TLoから高温側温度THiまで徐々に上昇する。そして、終了位置HPeから踏み込み終了までは再び低温側温度TLoに維持される。その結果、図8(d)に示すように、総合的な踏み込み反力は、図8(a)に示すものと同様となる。
本実施の形態によれば、ソレノイド本体40と第1コイルバネ21との複合的な反力を並行して制御して、第5の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
なお、本実施の形態において、ハーフペダル領域を再現するために、ソレノイド本体40と第1コイルバネ21の双方を制御するが、その態様は例示したものに限られない。両者を総合した踏み込み反力が、ハーフペダル領域を模したものになればよい。
なお、第5、第6の実施の形態において、ペダル30に対して踏み込み反力を与える駆動機構としては、ソレノイド本体40に限られず、与えられる駆動信号によって動作して反力を発生させるものであればよい。
なお、上記各実施の形態において、第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22は、いずれも少し圧縮した状態を初期状態とし、踏み込みでより圧縮されるように配設したが、これに限るものではなく、図9に示すように、第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22の少なくとも一方を引張状態で用いてもよい。
図9は、第1コイルバネ21及び第2コイルバネ22を、引張状態を初期状態とし、ペダル30の踏み込み操作によってさらに伸張されるように配設した反力発生装置20の例を示す模式図である。この例では、ロッド34の第1係合部34a及び第2係合部34bの形状や位置が図1の例とは異なるが、本質的な違いではない。
図9に示すように、反力発生装置20内において、反力発生装置20に対して固定された固定部25、固定部27が設けられる。また、上下方向に移動自在な可動部29が設けられる。さらに、可動部29の下限位置を規制するストッパ28が反力発生装置20に対して固定して設けられる。第1コイルバネ21は、上端がロッド34の第1係合部34aに固定されると共に、下端が固定部25に固定され、第1係合部34aと固定部25との間に、非踏み込み状態において、自由状態よりも少し伸ばされた状態で介装されている。
第2コイルバネ22は、上端が可動部29に固定されると共に、下端が固定部27に固定され、可動部29と固定部27との間に、非踏み込み状態において、自由状態よりも少し伸ばされた状態で介装されている。第2コイルバネ22及び固定部27の数は各2つであるが、各1つでもよい。可動部29と第2係合部34bとの相対的関係は、可動プレート24(図1参照)と第2係合部34bとの関係と同じである。
各実施の形態におけるコイルバネ21、22が、形状記憶合金である場合とそうでない場合のいずれにも、図9に示すコイルバネ21、22を置換可能である。奏する効果も変わりはない。
なお、上記各実施の形態において、コイルバネ21、22、乃至ソレノイド本体40によってペダル30に作用する総合の踏み込み反力は、往方向についてだけ述べたが、復方向についても、往方向と同じ反力が作用するように制御される。ただし、踏み込み行程の中間において、同じストローク位置での反力が、往方向よりも復方向で少し弱くなるように制御して、いわゆる「ヒステリシス」を設けてもよい。
なお、上記各実施の形態において、コイルバネ21、22、ソレノイド本体40は、反力発生装置20内においてそれぞれ単一であったが、同じ機能を有するものをそれぞれ複数並列に設けてもよい。
なお、踏み込み行程において段階的に作用するコイルバネの数を2つとした実施の形態においては、コイルバネの数を3つ以上としてもよい。
なお、上記各実施の形態において、温度調節部15は、コイルバネ21、22に通電することでそれらの温度を可変とする構成であったが、これに限られず、コイルバネ21、22を発熱させるまたは冷却する構成であればよい。例えば、ペルチェ素子を用いて、コイルバネ21、22の周囲の温度を可変とする構成であってもよい。
なお、本発明は、電子鍵盤楽器を対象としたが、ペダルが備えられる鍵盤楽器であればよく、対象楽器は電子楽器に限られない。また、対象となるペダルの種類も、ダンパペダルに限られず、対象とするペダルの種類に応じたバネ温度乃至ソレノイド駆動力の制御により、踏み込み反力を制御すればよい。
11 制御部(温度制御手段、駆動制御手段)、 15 温度調節部(温度可変手段、温度制御手段)、 16 ソレノイド駆動部(駆動制御手段)、 21 第1コイルバネ、 22 第2コイルバネ、 23 位置センサ(位置検出手段)、 30 ペダル、 40 ソレノイド本体(反力発生手段)
Claims (8)
- 鍵盤楽器のペダルの反力を可変とするペダル反力可変装置であって、
踏み込み操作される前記ペダルに対して踏み込み初期から反力を作用させるように配設される第1コイルバネと、
踏み込み操作される前記ペダルに対して踏み込みの往行程における途中から反力を作用させるように配設される第2コイルバネと、
温度可変手段とを有し、
前記第1、第2コイルバネの少なくとも一方は、温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなり、
前記温度可変手段は、前記第1、第2コイルバネのうち形状記憶合金でなるコイルバネの温度を変えることで、該形状記憶合金でなるコイルバネによって前記ペダルに作用する反力を可変にすることを特徴とするペダル反力可変装置。 - 鍵盤楽器のペダルの反力を可変とするペダル反力可変装置であって、
温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなり、踏み込み操作される前記ペダルに対して踏み込み初期から反力を作用させるように配設される第1コイルバネと、
前記ペダルの踏み込み方向における位置を検出する位置検出手段と、
前記第1コイルバネの温度を、前記位置検出手段により検出された位置に応じて制御することで、前記第1コイルバネによって前記ペダルに作用する踏み込み反力を制御する温度制御手段とを有することを特徴とするペダル反力可変装置。 - 前記温度制御手段は、前記位置検出手段により検出された位置から把握される、踏み込みの往行程におけるハーフペダル領域の前と後とで、前記第1コイルバネの温度を異ならせることを特徴とする請求項2記載のペダル反力可変装置。
- 前記温度制御手段は、踏み込みの往行程における前記ハーフペダル領域内で、前記踏み込み反力が徐々に大きくなるように前記第1コイルバネの温度を制御することを特徴とする請求項3記載のペダル反力可変装置。
- 踏み込み操作される前記ペダルに対して踏み込みの往行程における途中から反力を作用させるように配設される第2コイルバネを有し、前記温度制御手段は、前記位置検出手段により検出された位置から把握される、踏み込みの往行程におけるハーフペダル領域内で、前記第1及び第2コイルバネの双方によって前記ペダルに作用する踏み込み反力が徐々に大きくなるように前記第1コイルバネの温度を制御することを特徴とする請求項2記載のペダル反力可変装置。
- 前記第2コイルバネは、温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなり、前記温度制御手段は、踏み込みの往行程における前記ハーフペダル領域内で、前記第1及び第2コイルバネの双方によって前記ペダルに作用する踏み込み反力が徐々に大きくなるように前記第1及び第2コイルバネの双方の温度を制御することを請求項5記載のペダル反力可変装置。
- 鍵盤楽器のペダルの反力を可変とするペダル反力可変装置であって、
踏み込み操作される前記ペダルに対して踏み込み初期から反力を作用させるように配設されるコイルバネと、
与えられる駆動信号によって動作し、踏み込み操作される前記ペダルに対して反力を作用させ得るように配設される反力発生手段と、
前記ペダルの踏み込み方向における位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された位置に応じて前記反力発生手段に駆動信号を与えることで、該反力発生手段によって前記ペダルに作用する踏み込み反力を制御する駆動制御手段とを有することを特徴とするペダル反力可変装置。 - 前記コイルバネは、温度によって弾性係数が変化する形状記憶合金でなり、該コイルバネの温度を、前記位置検出手段により検出された位置に応じて制御することで、前記コイルバネによって前記ペダルに作用する踏み込み反力を制御する温度制御手段を有することを特徴とする請求項7記載のペダル反力可変装置。
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Cited By (2)
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US8324488B2 (en) | 2009-09-15 | 2012-12-04 | Yamaha Corporation | Pedal apparatus of an electronic musical instrument |
JP2015184308A (ja) * | 2014-03-20 | 2015-10-22 | カシオ計算機株式会社 | ペダル装置及び電子鍵盤楽器 |
-
2008
- 2008-02-13 JP JP2008031937A patent/JP2009192719A/ja active Pending
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