以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかる鍵盤装置を備えた電子鍵盤楽器の全体構成を示すブロック図である。同図に示す電子鍵盤楽器1は、後述する複数の鍵20を有してなる鍵盤装置10と、ペダル装置52と、鍵盤装置10やペダル装置52を含む電子鍵盤楽器1の全体を制御するための主制御部50とを備えている。鍵盤装置10とペダル装置52及び主制御部50など電子鍵盤楽器1の各部は、バス51を介して互いに接続されている。
図2は、鍵盤装置10を示す図であり、鍵20及びその周辺の概略側面図である。また、図3は、鍵盤装置10が備える後述する電磁アクチュエータ40及びその周辺の詳細構成を示す部分拡大側面図である。また、図4は、鍵盤装置10の動作を説明するための図で、(a)は、鍵20が非押鍵位置にある状態を示し、(b)は、鍵20が押鍵位置にある状態を示している。鍵盤装置10は、電子鍵盤楽器1の一部である平板状のフレーム11と、それぞれがフレーム11に対して回動可能に支持された鍵20及び質量体(擬似ハンマ)30と、鍵20と質量体30の間に設置した電磁アクチュエータ(駆動力付与手段)40とを備えて構成されている。なお、以下の説明では、鍵20の長手方向における両側のうち、電子鍵盤楽器1の演奏者の側を手前あるいは前といい、その反対側を奥あるいは後という。なお、図2では、鍵盤装置10が備える並設された複数の鍵20のうち、1個の鍵20及びその周辺の構成部品を示している。また、同図では、鍵20が白鍵である場合を示しているが、黒鍵の場合も同様の構成になっている。なお、図示は省略するが、鍵盤装置10には、鍵20の動作に応じた楽音を発生させるように、鍵20の動作を電気的な出力に変換するためのスイッチ接点機構も設けられている。
鍵20は、前後方向の中間の位置がフレーム11上の鍵支点12に支持されている。鍵支点12は、フレーム11上で鍵20の配列方向に沿って延びるバランスレール12aの上に立設した支点ピン12bを備えており、鍵20は、支点ピン12bに支持されている。鍵20は、前端20a及び後端20bが鍵支点12を中心に上下方向へ回動可能であり、演奏者による押鍵部20cへの押鍵操作に応じて回動するようになっている。また、鍵20の前端20aの下方には、フロントピン13が立設されている。フロントピン13は、その上端が鍵20の裏面側に挿入されており、回動する鍵20の前端20aの横方向の振れを規制するものである。
鍵20の後端20bの下方には、鍵上限ストッパー21が設置されており、前端20aの下方には、鍵下限ストッパー22が設置されている。鍵上限ストッパー21及び鍵下限ストッパー22は、いずれもフレーム11の上面に固定されたフェルトなどの緩衝材を備えて構成されている。鍵上限ストッパー21は、図4(a)に示す非押鍵位置にある鍵20の後端20bの下面に当接し、鍵20の回動を非押鍵位置で規制する。一方、鍵下限ストッパー22は、図4(b)に示す押鍵位置にある鍵20の前端20aの下面に当接し、鍵20の回動を押鍵位置で規制する。
また、鍵支点12より後方のフレーム11上には、質量体30を支持するための柱状の支持部14が設けられている。支持部14は、フレーム11上で隣接する鍵20の間から、複数鍵域ごとに1つの割合で各鍵20の真上に張り出している。この支持部14は、所定間隔で前後に配置された前壁14aと後壁14bを備えている。前壁14aと後壁14bは、いずれも垂直に立設されて、鍵20よりも高い位置まで延びている。
支持部14に支持された質量体30は、各鍵20に対応して設置されており、鍵支点12よりも後側の真上位置に設置されている。質量体30は、支持部14の前壁14aの上端に設けた質量体支点31から後方に延びる直線棒状のシャンク部32と、該シャンク部32の先端に取り付けた所定の質量を有する質量部(錘)33とを備えて構成されている。シャンク部32は、質量体支点31に回動自在に支持されており、鍵20の長手方向に沿う垂直面内で上下に回動するようになっている。質量部33は、シャンク部32の先端においてその回動方向に沿って延びる棒状に形成されている。この質量体30は、質量体支点31を中心にシャンク部32を腕として質量部33が鍵20の後端近傍の上方で上下方向に回動するようになっている。
支持部14の後壁14bには、質量体30の回動を規制するための質量体上限ストッパー34及び質量体下限ストッパー35が設けられている。質量体下限ストッパー35は、下限位置に回動した質量体30のシャンク部32を当接させるものであり、質量体上限ストッパー34は、上限位置に回動した質量体30のシャンク部32を当接させるものである。これら質量体下限ストッパー35及び質量体上限ストッパー34によって、質量体30は、図4(a)に示すように、シャンク部32が質量体支点31から後側の斜め下方向に延びる下限位置と、図4(b)に示すように、シャンク部32が質量体支点31から後側の略水平方向に延びる上限位置との間で回動するように規制される。質量体30は、後述する伝達部材46を介して鍵20の動作に連動するようになっており、電磁アクチュエータ40との協働によって、鍵20にその演奏操作に対する反力を与えるものである。
鍵20及び質量体30に所定の駆動力を付与するための電磁アクチュエータ(駆動力付与手段)40は、鍵支点12より後側の鍵20の上面と、質量体30のシャンク部32との間に設置されている。電磁アクチュエータ40は、双方向駆動型のアクチュエータであり、上下に同軸状に並べて設置した往動コイル41a及び復動コイル41bの二個のソレノイドコイルと、往動コイル41a及び復動コイル41bの内側に嵌挿された1本のプランジャ42とを備えて構成されている。また、往動コイル41a及び復動コイル41bの外周には、それらを囲むヨーク40a,40bが設置されている。
ヨーク40a,40bは、その後側面が平板状のプレート15を介して支持部14の後壁14bの前面に固定されている。したがって、往動コイル41a及び復動コイル41bは、固定側である支持部14及びフレーム11に固定されている。プランジャ42は、往動コイル41a及び復動コイル41bの内側で上下方向に摺動(往復動)自在に設置された柱状の強磁性体からなる胴部42aと、胴部42aの上端に連結した第1ロッド42b及び下端に連結した第2ロッド42cを備えている。胴部42aと第1ロッド42b及び第2ロッド42cの軸芯は、垂直方向に向かって一直線状に配列されている。第1ロッド42bの上端には、後述する位置センサ47を取り付けるための平板状の板部材43が固定されている。板部材43は、合成樹脂材料などからなる比較的軽量な部材であり、第1ロッド42bの上端に固定された水平面状の本体部43aと、該本体部43aの前端から垂直下方に延びる前辺43bとを有し、横断面が略L字型に形成されている。板部材43の本体部43aの上面には、水平面状の上面を有する台部材44が固定されている。一方、質量体30のシャンク部32における台部材44に対向する位置には、円筒状のローラ36が取り付けられている。ローラ36は、軸方向が鍵20の配列方向に沿う水平向きで、下側面(円筒面)が台部材44の上面に載置されている。一方、プランジャ42の第2ロッド42cの下端には、緩衝及び摺動作用を有するキャップ状のカバー部材45が取り付けられており、カバー部材45の下端が対向する鍵20の上面に設けたスクリュー(ネジ)25の上に載置されている。
上記のプランジャ42(胴部42a、第1ロッド42b、第2ロッド42c)及び板部材43と台部材44とで、鍵20と質量体30のいずれか一方からの負荷(質量による荷重負荷あるいは回動動作に伴う慣性負荷)を他方に伝達するための伝達部材46が構成されている。伝達部材46は、質量体30の自重による負荷で、質量体30と鍵20の間に挟まれた状態で配置されている。
電磁アクチュエータ40は、往動コイル41a及び復動コイル41bに駆動電流が供給されることで、伝達部材46(プランジャ42)を双方向へ駆動するようになっている。すなわち、復動コイル41bに駆動電流が供給されると、伝達部材46は下側へ移動する。これにより、伝達部材46から鍵20の鍵支点12よりも後側に対して下向きの荷重が付与されるので、鍵20の離鍵方向へかかる荷重が増加する。一方、往動コイル41aに駆動電流が供給されると、プランジャ42は上側へ移動する。これにより、プランジャ42から鍵20の鍵支点12よりも後側に対して下向きにかかる荷重が軽減されるので、鍵20の離鍵方向へかかる荷重が減少する。
すなわち、鍵20は、伝達部材46を介して質量体30からかかる荷重(質量体30の質量による荷重)で離鍵方向へ付勢されており、該鍵20は、電磁アクチュエータ40による質量体30からの荷重の低減に伴い、押鍵方向に回動するように構成されている。この場合、鍵20は、非押鍵時には、自重による押鍵方向への付勢力よりも質量体30からの離鍵方向への荷重の方が大きいため、押鍵方向への付勢力が打ち消された状態で離鍵位置に停止している。そして、電磁アクチュエータ40の駆動力による質量体30からの荷重の低減に伴い、鍵20の自重による押鍵方向への付勢力が次第に質量体30からの離鍵方向への荷重よりも大きくなることで、押鍵位置へ回動するようになっている。
ここで、鍵20と質量体30はそれぞれ、鍵支点12と質量体支点31を中心とした回動動作を行う一方、伝達部材46(プランジャ42)は、往動コイル41a及び復動コイル41bの内側で軸方向に直動動作を行う。したがって、鍵20、質量体30、伝達部材46が一体に動作する際には、伝達部材46の上端(台部材44の上面)と質量体30のローラ36が当接する第1当接部48では、上下に直動する伝達部材46の上端が、質量体30の動作に伴って回動するローラ36の側面に対して摺接移動する。また、同様に、伝達部材46の下端と鍵20のスクリュー25が当接する第2当接部49では、上下に直動する伝達部材46の下端が鍵20の動作に伴って回動するスクリュー25の上面に対して摺接移動する。
また、本実施形態の鍵盤装置10では、伝達部材46は、鍵20または質量体30に対してそれらの動作に応じて分離可能な状態で当接しているとよい。ここでいう分離可能な状態での当接とは、通常の鍵20及び質量体30の動作のときは、伝達部材46は、その両端が鍵20及び質量体30に常に当接してそれらと一体に動作するようになっているが、鍵20が強い力で急激に押鍵されたり、非常に早い速度で押鍵あるいは離鍵された場合、伝達部材46に生じる加速度と鍵20あるいは質量体30に生じる加速度との方向が異なると、瞬間的に伝達部材46と鍵20との間、又は伝達部材46と質量体30との間が離れることがあることを示す。なお、伝達部材46と鍵20または質量体30とは必ずしも分離可能である必要はなく、伝達部材46から鍵20または質量体30への動力伝達が可能な構成でさえあれば、伝達部材46と鍵20または質量体30とが分離不能な状態で連結(リンク接合など)されていてもよい。
また、鍵盤装置10には、伝達部材46(プランジャ42)の位置を検出するための位置センサ(動作検出手段)47が設置されている。位置センサ47は、図3に示すように、ヨーク40a,40bの前側面に設けた受光部47aと、板部材43の前辺43bにおける受光部47aに対向する位置に設けた反射面47bとを備え、反射面47bで反射した光を受光部47aで受光するように構成した反射式センサである。反射面47bは、上下方向の各位置の反射光量が連続的に変化するように構成されている。したがって、受光部47aの出力信号に基づいて伝達部材46の位置を一義的に特定できる。
なお、位置センサ47は、伝達部材46(プランジャ42)の位置を検出できるものであれば、上記のような反射式センサ以外にも、図示は省略するが、他の構成の光学式センサや、光学式以外のセンサでもよい。また、位置センサ47に代えて、位置検出用のスイッチなどを設置してもよい。またここでは、伝達部材46の動作を検出する動作検出手段の一例として、位置を検出する位置センサ47を設置しているが、それ以外にも、伝達部材46の速度、加速度などを検出する速度センサ、加速度センサのいずれか、あるいはこれらの複数を設置することも可能である。
またここでは、伝達部材46の動作(変位や速度など)を検出し、当該検出結果にもとづいて電磁アクチュエータ40の駆動制御を行うように構成している。しかしながら、これ以外にも、鍵20あるいは質量体30の動作(位置、速度、加速度など)を検出する動作検出手段を備え、当該動作検出手段で検出した鍵20あるいは質量体30の動作に基づいて、電磁アクチュエータ40の駆動制御を行うようにしてもよい。さらに、伝達部材46、鍵20、質量体30の少なくともいずれかの動作を検出する一又は複数の動作検出手段を備え、当該一又は複数の動作検出手段のいずれかを電磁アクチュエータ40の駆動制御用とし、他の動作検出手段を電子音源の発音制御用として使用することも可能である。もちろん、一の動作検出手段を駆動制御用と発音制御用の両方に兼用することも可能である。
このように、本実施形態の鍵盤装置10は、鍵20の上方で回動可能に設置された質量体30と、鍵20と質量体30の間に配置され、発生した駆動力を鍵20及び質量体30に対して与える電磁アクチュエータ40及び伝達部材46を備えている。そして、電磁アクチュエータ40及び伝達部材46は、鍵20の鍵支点12に対する押鍵部20cと反対側の部分と質量体30との間に配置されている。また、電磁アクチュエータ40は、伝達部材46の駆動によって、質量体30に向かう向きと鍵20に向かう向きとの双方向に駆動力を付与可能な単一の装置からなる。
次に、図1に示す主制御部50について説明する。主制御部50は、CPU51、ROM52、RAM53、フラッシュメモリ(EEPROM)54を備えている。また、CPU51にはタイマ55が接続されている。CPU51は、鍵盤装置10を含む電子鍵盤楽器1全体の制御を司る。ROM52やフラッシュメモリ54には、CPU51が実行する制御プログラムや各種テーブルデータのほか、後述する力覚付与テーブル80及び自動演奏データ85が記憶されている。RAM53は、演奏データ、テキストデータなどの各種入力情報、各種フラグやバッファデータ及び演算処理結果などを一時的に記憶する。タイマ55は、タイマ割り込み処理における割り込み時間などの各種時間を計時する。
また、電子鍵盤楽器1には、主制御部50のほか、設定操作部61、表示装置63、音声出力部65、外部記憶装置66、HDD67、通信インターフェイス68、MIDIインターフェイス69などが設けられている。通信インターフェイス68には、外部装置71を接続でき、MIDIインターフェイス69には、MIDI機器72を接続できる。また、通信インターフェイス68は、インターネットなどの通信ネットワーク73を介して外部のサーバ装置74との間で通信を行えるようになっている。設定操作部61には、演奏者が設定操作情報を入力するために用いる不図示の各種スイッチなどが含まれ、スイッチの操作による信号がCPU51に供給されるようになっている。外部記憶装置66やHDD67は、上記の制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種楽曲データなどを記憶するものである。表示装置63は、表示制御回路62を介してバス51に接続されており、音声出力部65は、音源回路64を介してバス51に接続されている。
図5は、鍵20の駆動を制御するための駆動制御回路を含む鍵盤装置10の概略構成を示す図である。同図に示すように、鍵盤装置10の駆動制御回路は、主制御部50と、主制御部50の指令に応じて電磁アクチュエータ40の往動コイル41a又は復動コイル41bに駆動用のPWM(パルス幅変調)信号を出力する制御ドライバ58及びPWMスイッチング回路59を備えている。主制御部50は、図1に示す構成であって、力覚付与テーブル80及び自動演奏データ85を記憶したROM52を備えている。位置センサ47によって検出されたプランジャ42の位置情報は、主制御部50に出力されるようになっている。主制御部50からの制御信号は、制御ドライバ58及びPWMスイッチング回路59に入力される。制御ドライバ58及びPWMスイッチング回路59は、主制御部50からの制御信号に基づいて、電磁アクチュエータ40の往動コイル41a又は復動コイル41bに駆動電流を供給する。
図6は、ROM52に格納された力覚付与テーブル80の構成例を示す図である。力覚付与テーブル80は、電磁アクチュエータ40が発生すべき駆動力のパターンを格納したテーブルである。さらに、力覚付与テーブル80には、押鍵用テーブル81と離鍵用テーブル82とが用意されている。また、これら押鍵用テーブル81,離鍵用テーブル82はそれぞれ、反力パターンテーブル81a,82aと指令値テーブル81b,82bを備えている。反力パターンテーブル81a,82aは、位置センサ47の検出値(または該検出値から算出した伝達部材46の速度、加速度などの値)の信号に対する出力値を参照するためのテーブルである。また、指令値テーブル81b,82bは、制御ドライバ58及びPWMスイッチング回路59に上記の出力値を発生させる指令値を参照するためのテーブルである。
次に、上記構成の鍵盤装置10の動作について説明する。鍵20は、鍵支点12の前後の質量(自重)バランスによって生じる押鍵方向への付勢力と、伝達部材46を介してかかる質量体30からの荷重との大小関係によって、押鍵力が作用していない状態では、後端20bの下面が鍵上限ストッパー21に当接し、前端20aの押鍵部20cが最上位置に上昇しており、図4(a)に示す非押鍵位置にある。このとき、質量体30は、シャンク部32が質量体下限ストッパー35に当接した下限位置にある。一方、非押鍵位置にある鍵20が押鍵操作されると、鍵20は、伝達部材46を介して質量体30を押し上げながら鍵支点12を中心に押鍵方向へ回動する。こうして、前端20aの下面が鍵下限ストッパー22に当接する位置まで回動し、図4(b)に示す押鍵位置となる。鍵20が押鍵位置のとき、伝達部材46を介して鍵20によって押し上げられた質量体30は、シャンク部32が質量体上限ストッパー34に当接する上限位置にある。そして、鍵20に対する押鍵力が解除されると、鍵20には、自重で下方へ回動する質量体30から伝達部材46を介して荷重が加わる。鍵20は、この荷重と自重バランスとの両方によって非押鍵位置へ復帰する。
このような質量体30の慣性質量を利用した鍵20の動作が行われる際に、電磁アクチュエータ40で伝達部材46を双方向へ駆動することで、質量体30から鍵20にかかる付勢力をアシストあるいは軽減することができる。したがって、主制御部50により電磁アクチュエータ40の駆動を制御することで、押鍵操作に対する反力の力覚制御を行うことができる。
押鍵操作に対する力覚制御についてさらに説明する。本実施形態の鍵盤装置10では、アコースティックピアノでアクション機構の作用に基づいて指に感じられる独特の鍵タッチ感(抵抗感)を再現すべく、電子鍵盤楽器1の演奏時に電磁アクチュエータ40でプランジャ42を駆動することで、当該アコースティックピアノの鍵タッチ感に相当する反力特性を鍵20に付与するようになっている。この反力特性は、鍵20の位置によって刻々と変化するものである。したがって、上記の力覚制御を行う際には、位置センサ47で検出した伝達部材46の位置情報に基づいた駆動力の付与が行われる。すなわち、まず、位置センサ47による検出データが主制御部50に出力される。主制御部50では、位置センサ47の検出データに基づくプランジャ42の位置情報と、ROM52に記憶された力覚付与テーブル80を参照することにより、制御ドライバ58及びPWMスイッチング回路59に対する指令が出される。制御ドライバ58及びPWMスイッチング回路59では、主制御部50の指令に基づいて、駆動電流が往動コイル41a又は復動コイル41bに供給される。こうして、往動コイル41a又は復動コイル41bの駆動で、伝達部材46に質量体30側又は鍵20側への駆動力が付与される。なお、ここでは、力覚付与テーブル80を参照して電磁アクチュエータ40での駆動力を決定する場合について説明したが、力覚付与テーブル80を参照せずに、位置センサ47で検出した伝達部材46の位置情報からの演算で電磁アクチュエータ40での駆動力を決定してもよい。
図7は、電磁アクチュエータ40による力覚制御を行った場合の鍵20の変位(押鍵量)と鍵20から押鍵操作をする指にかかる反力との関係を示すグラフであり、(a)、(b)はそれぞれ、鍵20を比較的ゆっくりと押鍵・離鍵操作したときの反力分布であり、(c)、(d)は、鍵20を比較的早く押鍵・離鍵操作したときの反力分布である。
本実施形態の鍵盤装置10における鍵20の力覚制御では、鍵20にかかる質量体30の質量あるいは慣性負荷による反力L1と、電磁アクチュエータ40で鍵20に付与される反力L2とを合わせたもの(図7の一点鎖線)が、押鍵操作を行う演奏者の指にかかる反力となる。この演奏者の指にかかる反力の分布は、質量体の反力L1と電磁アクチュエータ40で付与される反力L2との協働によるものであり、それによってアコースティックピアノの反力分布を再現したものとなっている。
ここで、鍵20の操作に対する反力の分布について詳細に説明する。まず、図7(a)に示す比較的ゆっくりと押鍵操作を行った場合を例に説明する。この場合、押鍵操作を行う演奏者の指にかかる反力は、押鍵量がゼロのときの初期値(荷重ゼロ)から、次に説明する領域A,領域B,領域C,領域Dの四箇所の変化を含む分布になっている。
領域Aは、押鍵初期において、静止状態にある鍵20及び質量体30の持ち上げが開始される際の静荷重による反力分布である。押鍵初期には、まだ電磁アクチュエータ40によるプランジャ42の駆動は無く、鍵20には質量体30からの反力のみが作用している。この領域Aは、静止状態にある鍵20及び質量体30の静荷重によるものであるが、アコースティックピアノの押鍵に対する反力特性でも、押鍵初期には、鍵及びハンマの持ち上げによって同様の分布が現れる。領域Bは、電磁アクチュエータ40によるプランジャ42の駆動が開始された際の反力分布である。この領域Bでは、アコースティックピアノのアクション機構で、鍵によるダンパーの持ち上げが開始される際に鍵にかかる反力が再現されている。
領域Cは、領域Bよりも若干小さい反力の増加量であり、電磁アクチュエータ40の駆動で創生される反力分布である。領域Cでは、アコースティックピアノでの押鍵途中にアクション機構の各部が動作することで鍵に付与される反力(いわゆるアクションバネ荷重)が再現されている。領域Dは、電磁アクチュエータ40の駆動で創生される反力の急激かつ大きな増加及び減少を伴う山型の分布である。この領域Dでは、アコースティックピアノのアクション機構における、いわゆるジャック嵌合状態からのジャック抜けに伴って鍵にかかる負荷の急激な変化が再現されている。なお、領域Dの後に質量体30から鍵20にかかる反力L1が再度急激に上昇しているが、これは、質量体30が質量体上限ストッパー34から受ける反力、あるいは鍵20が鍵下限ストッパー22から受ける反力によるものである。
また、図7(b)に示す比較的ゆっくりとした離鍵操作の反力分布は、領域Dのジャック嵌合/ジャック抜け荷重に対応する反力が無いが、それ以外は、概ね図7(a)の押鍵操作の場合と同様である。この場合も、アコースティックピアノの鍵操作に対する反力分布が再現されている。また、図7(c)に示す比較的早い押鍵操作の反力分布では、押鍵初期における質量体30による反力L1が急激かつ大きな増減を伴う山型の分布になっている。これは、静止状態にある鍵20及び質量体30を急激に動かす際に生じる大きな静荷重によるものである。また、この比較的早い押鍵操作では、アコースティックピアノのジャック抜け荷重に相当する反力は殆ど現れていない。これらの点は、アコースティックピアノの鍵操作でも同様の分布となる。また、図7(d)に示す比較的早い離鍵操作では、質量体30による反力L1は小さい値でほぼ一定になっており、アコースティックピアノでアクション機構の各部が初期位置へ戻る際に生じる反力は、電磁アクチュエータ40による反力L2で再現されている。これによって、図7(b)の比較的ゆっくりとした離鍵操作の反力分布と近似した分布になっている。
このように、本実施形態の鍵盤装置10では、質量体30による反力L1と電磁アクチュエータ40で創生された反力L2とが合成された反力によって、複雑なアクション機構を有するアコースティックピアノの鍵操作に対して指にかかる反力の分布が忠実に再現されている。
一方、鍵盤装置10では、電磁アクチュエータ40によって、伝達部材46を押鍵に対する反力を鍵20に与える方向とは逆の方向(この場合は上方)へ駆動することで、鍵20に対して離鍵方向へ作用する力を低減することができる。したがって、演奏者による鍵20の操作が行われておらず、鍵20が非押鍵位置に停止している状態で、電磁アクチュエータ40で伝達部材46を上方へ駆動すれば、鍵20が自重で押鍵方向へ回動する。この動作を利用すれば、演奏者による押鍵操作が無くても、鍵20を自動的に動作させることができる。したがって、電子鍵盤楽器1において、鍵20の自動動作(無人動作)を伴う自動演奏が可能となる。
この自動演奏では、ROM52に記憶された自動演奏データ85に基づき、主制御部50から制御ドライバ58及びPWMスイッチング回路59に対して自動演奏に関する指令が出される。制御ドライバ58及びPWMスイッチング回路59は、当該指令に基づいて往動コイル41aに駆動電流を供給する。これにより、往動コイル41aの駆動で伝達部材46が上方(質量体30側)へ移動して、鍵20は、押鍵位置へ回動する。一方、往動コイル41aに対する駆動電流の供給を停止すれば、質量体30からの荷重でプランジャ42が下方(鍵20側)へ移動する。これにより、プランジャ42から鍵20に離鍵方向の荷重がかかり、鍵20は離鍵位置へ回動する。このような動作が自動演奏データ85による鍵20の動作情報に合わせたタイミングで行われることで、演奏音に合致した動作を鍵20に行わせることができる。
なお、図示は省略するが、質量体30を上限位置(質量体上限ストッパー34に当接する位置)に保持するストッパー機構を設けてもよい。これによれば、電磁アクチュエータ40で伝達部材46を駆動して鍵20の自動動作(無人動作)を行う際、当該ストッパー機構で質量体30を上限位置に停止させておくことができる。これにより、伝達部材46に質量体30の荷重がかからずに済むので、伝達部材46を少ない力で駆動することができる。したがって、自動演奏に要する消費電力の削減を図ることができる。
以上説明したように、本実施形態の鍵盤装置10では、鍵20の動作制御を主体的に行う要素として、鍵20に連動して該鍵20に演奏操作に対する反力を与える質量体30を備えている。したがって、アコースティックピアノなど自然鍵盤楽器の鍵動作に特有の慣性質量感を忠実に再現することが可能となる。また、アコースティックピアノでは、押鍵開始時にハンマの静荷重に抗して鍵の移動を開始させることが必要であるが、この押鍵開始時の操作感覚も良好に再現することができる。そのうえで、本発明の鍵盤装置10では、鍵20と質量体30の双方に当接して一方からの負荷を他方に伝達する伝達部材46と、固定されたコイル41で伝達部材46を鍵20と質量体30の少なくともいずれかに向けて駆動する電磁アクチュエータ40とを備えている。これら伝達部材46と電磁アクチュエータ40とによって、質量体30から鍵20に与えられる負荷(反力)を適切に調節できるので、アコースティックピアノなど自然鍵盤楽器に極めて近い鍵タッチ感が容易に得られるようになる。
また、この鍵盤装置10では、演奏者による押鍵操作に対して鍵タッチ感を付与するにあたって、鍵動作に慣性負荷を付与する質量体30を備えていることで、当該質量体30の作用だけでもアコースティックピアノなど自然鍵盤楽器に近い鍵タッチ感が得られる。したがって、電磁アクチュエータ40での負荷制御は、従来構成の力覚制御を行う鍵盤装置の負荷制御などに対して比較的簡単な制御であってよく、それでも極めて良好な鍵タッチ感の再現が可能となる。これにより、簡単な構成及び容易な制御でありながら、アコースティックピアノなど自然鍵盤楽器に近似した鍵タッチ感を忠実に再現可能となる。
また、この鍵盤装置10では、電磁アクチュエータ40の駆動を制御することで、押鍵操作に対して質量体30から鍵20に付与される反力の調節と、質量体30から鍵20に作用する荷重の調節との両方を行うことができる。したがって、質量体30から鍵20にかかる負荷の調節による押鍵操作に対する力覚制御と、鍵20に対して押離鍵方向へ作用する力の加減による鍵30の自動動作との両方を実現可能となる。
また、この鍵盤装置10では、電磁アクチュエータ40で駆動される伝達部材46が鍵20と質量体30の間に配置されており、電磁アクチュエータ40で発生した駆動力を鍵20及び質量体30の両方に与えるようになっている。これにより、鍵20に対する質量体30の動作系統と電磁アクチュエータ40による動作系統とが共通の一系統になるため、質量体30から鍵20にかかる負荷を電磁アクチュエータ40で適切に制御でき、鍵20の力覚制御や駆動制御を良好に行えるようになる。
また、この鍵盤装置10では、質量体20は、質量部33を鍵30の上方で回動自在に支持するシャンク部(腕部)32を備えて構成されており、伝達部材46は、鍵20の鍵支点12に対する押鍵部20cと反対側の部分と、質量体30のシャンク部32とに当接している。この構成によれば、アコースティックピアノのアクション機構において、鍵とハンマの間に配置されたウィペンアセンブリを上記の伝達部材46及び電磁ソレノイド40に置き換えた構成と等価になる。したがって、伝達部材46及び電磁ソレノイド40がウィペンアセンブリの機能を果たすことで、必要最小限の構成及び制御でアコースティックピアノに極めて近い鍵タッチ感を再現できるようになる。そのうえ、鍵20の自動動作を伴う自動演奏も行えるようになる。
また、鍵盤装置10が備える鍵20は、アコースティックピアノの鍵と同等の構成及び動作を有する部品であり、質量体30は、実際に打弦するものではないが、アコースティックピアノのハンマと近似した構成で同様の動作を行うものである。本実施形態の鍵盤装置10では、このようなアコースティックピアノの鍵およびハンマに類似した部品を使用していることで、鍵20の静荷重及び動荷重をアコースティックピアノに近付けるようにしている。
また、この鍵盤装置10では、質量体30は、鍵20の上方で回動可能に設置されており、電磁アクチュエータ40及び伝達部材46は、鍵20の鍵支点12に対して押鍵部20cと反対側の部分と質量体30との間に配置されている。この構成により、鍵盤装置10は、アコースティックピアノのアクション機構において、鍵とハンマの間に配置されたウィペンアセンブリを電磁アクチュエータ40及び伝達部材46に置き換えた構成と等価になる。したがって、電磁アクチュエータ40及び伝達部材46がウィペンアセンブリの機能を果たすことで、必要最小限の構成及び制御でアコースティックピアノに極めて近い鍵タッチ感を再現できる。そのうえ、鍵20の自動動作を伴う自動演奏も行えるようになる。
しかしながら、鍵20あるいは質量体30は、必ずしもアコースティックピアノが備える鍵やハンマと同等の構成にする必要はない。なお、鍵20あるいは質量体30の構成をアコースティックピアノが備える鍵やハンマと同等の構成ではない別のものに変更する場合、それによって鍵20のタッチ感に及ぼされる影響は、電磁アクチュエータ40による鍵20あるいは質量体30に付与する駆動力の制御によってカバーすることが可能である。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態にかかる鍵盤装置10について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。これらの点は、他の実施形態についても同様である。
図8は、本発明の第2実施形態にかかる鍵盤装置10−2の構成を示す図である。同図に示す鍵盤装置10−2は、第1実施形態の鍵盤装置10が備えていた双方向駆動型の電磁アクチュエータ40に代えて、単方向駆動型の電磁アクチュエータ40−2を備えている。それ以外の構成は、第1実施形態の鍵盤装置10と同じである。すなわち、電磁アクチュエータ40−2は、単一のコイル41及び該コイル41の内側に配置された一本のプランジャ42を備えて構成されている。電磁アクチュエータ40−2は、コイル41の駆動でプランジャ42を下方(鍵20側)にのみ移動させるようになっている。また、図示は省略するが、本実施形態の鍵盤装置10−2が備える駆動制御回路は、単一のコイル41を備えた電磁アクチュエータ40−2の駆動を制御するための構成を備えている。
この鍵盤装置10−2では、電磁アクチュエータ40−2で伝達部材46を下方(鍵20側)に駆動することで、鍵20にかかる質量体30の質量あるいは慣性負荷による反力と、電磁アクチュエータ40−2で鍵20に付与される反力とを合わせたものが、押鍵操作を行う演奏者の指にかかる反力となる。これにより、第1実施形態における図7に示すものと同様の反力分布を創生して、鍵20の演奏操作に対する力覚制御を行うことができる。
本実施形態の鍵盤装置10−2によれば、単方向駆動型の電磁アクチュエータ40−2を備えることで、第1実施形態の鍵盤装置10と比較して、鍵盤装置10−2の構成の簡素化及び駆動制御の容易化を図ることができる。したがって、本実施形態の鍵盤装置10−2は、第1実施形態の鍵盤装置10と比較して、より簡易な構成の電子鍵盤楽器や低廉な電子鍵盤楽器に適用して好適である。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態にかかる鍵盤装置について説明する。図9は、第3実施形態の鍵盤装置10−3の構成を概念的に示す図である。本実施形態の鍵盤装置10−3は、第1実施形態の鍵盤装置10と比較して、鍵20と質量体30の配置の上下関係が逆転しており、それに伴い、鍵20と質量体30の間に設置した電磁アクチュエータ40の向きも上下逆転している。また、鍵20、質量体30、電磁アクチュエータ40それぞれの動作の方向も逆になっている。
すなわち、本実施形態の鍵盤装置10−3では、鍵20の下側に質量体30が設置されており、鍵20の下面と質量体30との間に電磁アクチュエータ40及び伝達部材46が配置されている。伝達部材46は、上方に延びる第2ロッド42cの上端が鍵支点12よりも前側(押鍵部20cと同じ側)の鍵20の下面に当接しており、下方に延びる第1ロッド42bに固定された台部材44の下端が、質量体支点31に対して質量部33とは反対側に延伸するシャンク部32の上面に当接している。
第1実施形態の鍵盤装置10では、鍵20の鍵支点12に対する押鍵部20cと反対側(後側)において、下側から鍵20、電磁アクチュエータ40及び伝達部材46、質量体30の順で配置されていたのに対して、本実施形態の鍵盤装置10−3では、鍵20の鍵支点12に対する押鍵部20cと同じ側(前側)において、上側から鍵20、電磁アクチュエータ40及び伝達部材46、質量体30の順で配置されている。すなわち、本実施形態では、質量体30は、質量部33を鍵30の下方で回動自在に支持するシャンク部(腕部)32を備えており、伝達部材46は、鍵20の支点12に対して押鍵部20cと同じ側の部分と、質量体30の腕部32とに当接している。
本実施形態の鍵盤装置10−3においても、鍵20は、鍵支点12の前後の自重バランスと、伝達部材46を介してかかる質量体30からの荷重との両方によって、押鍵操作がされてない状態では、図9に示すように、後端20bの下面が鍵上限ストッパー21に当接した非押鍵位置にある。このとき、質量体30は、質量体下限ストッパー35に当接した下限位置にある。そして、押鍵操作が行われると、鍵20は、伝達部材46を介して質量体30のシャンク部32を押し下げながら回動する。こうして、鍵20は、前端20aの下面が鍵下限ストッパー22に当接する押鍵位置になる。プランジャ42を介して鍵20により押し下げられることで回動した質量体30は、鍵20が押鍵位置のとき、質量体上限ストッパー34に当接して上限位置になる。一方、鍵20を押し下げている押鍵力が解除されると、鍵20には、回動する質量体30から伝達部材46を介して荷重が加わる。鍵20は、この荷重と自重バランスとの両方で非押鍵位置へ復帰する。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。たとえば、鍵盤装置10−1,10−2で、シャンク部32に取り付けたローラ36は、伝達部材46に対する良好な緩衝作用及び摺動作用を確保できるものであれば、他の部材に置き換えることも可能であり、例えば、球面状の接触部を有する部材(ベアリング)などであってもよい。また、ローラ36を省略して、伝達部材46を鍵20に直接当接させることも可能である。
また、上記各実施形態では、本発明の鍵盤装置を鍵20の動作に伴い発音する電子音源を有する電子鍵盤楽器1に適用した構成例を示している。したがって、質量体30は、単に鍵20に慣性質量を付与して鍵タッチ感をアコースティックピアノなどの自然鍵盤楽器に近付ける機能のみを有し、実際に弦を叩いて発音させる機能を有するものではない。しかしながら、本発明の鍵盤装置はこの構成に限るものではなく、質量体がアコースティックピアノのハンマ体のように、実際に弦を叩いて発音させる機能を備えていてもよい。なお、その場合は、鍵の動作に応じて電子音を発生させる機構は省略することも可能である。
また、上記各実施形態では、質量体30は、質量体支点31を中心に回動するように構成しているが、本発明の鍵盤装置が備える質量体の動作は、回動には限定されず、直動あるいはそれ以外の動作をする構成であってもよい。また、鍵と伝達部材と質量体の配置関係は、上記実施形態に示すように上下方向に配列したものには限定されない。したがって、例えば、詳細な図示は省略するが、鍵と質量体を横方向に並べて配置し、それらの間に伝達部材を配置して、鍵の動作が伝達部材を介して質量体に向けて横方向に伝達されるように構成することも可能である。この場合は、質量体は、回動するように構成してもよいし、直動するように構成してもよい。