JP2009192016A - 伝動歯車 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常の運転回転域および高回転域のいずれにおいても無端伝動要素にばたつきが生じないようにすることができる伝動歯車を提供する。
【解決手段】周方向に離間する複数の歯11を有し、チェーン20が巻き掛けられる歯付ホイール部12と、歯付ホイール部12を支持するようカムシャフト1に固定される支持部13とを備えたカムスプロケット10において、歯付ホイール部12に巻き掛けられたチェーン20の張力が予め設定された張力値に達するとき、歯付ホイール部12が、チェーン20と噛み合っている角度範囲Zm内で、ピッチ円Cpを実質的に真円とする通常の形状からピッチ円Cpを部分的に通常の形状より外側に変化させるように変形する。
【選択図】図1

Description

本発明は、チェーンまたはタイミングベルト等の無端伝動要素に噛合して回転伝動を行う伝動歯車、特に内燃機関のクランク軸から動弁機構その他に装備される他の回転軸に動力伝達する動力伝達経路に好適に配置できるスプロケットやタイミングプーリ等の伝動歯車に関する。
内燃機関の動弁機構やポンプその他に装備される回転軸は、その内燃機関のクランク軸からの動力を利用して回転駆動される場合が多く、その場合、比較的離れた平行軸間でチェーンやタイミングベルトといった無端伝動要素とそれに噛合する伝動歯車とを介して回転駆動されるのが一般的である。
従来のこの種の回転駆動用の装置としては、例えば伝動経路を構成するタイミングベルトの一部にオーバル形状(楕円形状)の伝動歯車を係合させることで、バルブの駆動毎にピークとなる無端伝動要素の張力変動に、そのアイドル伝動歯車から無端伝動要素に加える逆の位相で張力変動を重ねて、トータルの張力変動を抑えるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、非円形のスプロケットを用いることで、カムシャフトの周期的なトルク変動を相殺するようにチェーンの張力を変動させるようにしたものが知られている。
特開平10−266868号公報 ライテンツ社(LITENTS Automotive Group)の「Chain Drive Technology」「Chain Vibration Control SmartSprocket(TM)」[2008年2月4日検索]、インターネットURL<http://www.litens.com/chaintech.cfm>。
しかしながら、タイミングベルトの一部に楕円形状のアイドル伝動歯車を係合させる従来の伝動歯車にあっては、機関回転数より高い周波数(この場合、回転2次)の回転変動が常時生じる構成であり、無端伝動要素であるチェーンのばたつきが発生してしまうとともに、チェーンのガイドが容易でないという問題がある。
また、非特許文献1に記載のように、回転軸側に非円形形状の伝動歯車を装着すれば、チェーンのガイドがある程度容易化され得るが、伝動歯車のピッチ円径が位相によって変化するため、例えばV型6気筒エンジンの場合にトリオーバル形状の伝動歯車を装着して高回転時のチェーンの張力変動をある程度抑えようとしても、チェーンの張力が比較的小さい通常の運転回転域においても回転3次の回転変動が常に生じることになり、チェーンのばたつきが発生してしまうという問題が解消できない。
そこで、本発明は、通常の運転回転域および高回転域のいずれにおいても無端伝動要素にばたつきが生じないようにすることができる伝動歯車を提供することを目的とする。
本発明に係る伝動歯車は、上記目的達成のため、(1)周方向に離間する複数の歯を有し、無端伝動要素が巻き掛けられる歯付ホイール部と、前記歯付ホイール部を支持するよう回転軸に固定される支持部と、を備えた伝動歯車において、前記歯付ホイール部に巻き掛けられた前記無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達するとき、前記歯付ホイール部が前記無端伝動要素と噛み合っている角度範囲内で、前記歯付ホイール部が、ピッチ円を実質的に真円とする通常の形状から前記ピッチ円を部分的に前記真円より外側に変化させるように変形することを特徴とする。
この構成により、無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達すると、歯付ホイール部が無端伝動要素と噛み合っている角度範囲内で、そのピッチ円が部分的に真円形状より外側に変化することになり、非円形形状となる。したがって、例えば、内燃機関が通常の運転範囲を超える高回転域に達し、無端伝動要素が高張力となるとき、ピッチ円を部分的に真円形状から予め設定した非円形形状に変化させ、負荷トルク変動に伴う無端伝動要素の張力変動を抑えることが可能となる。また、内燃機関の通常の運転範囲においては、歯付ホイール部のピッチ円は実質的に真円であり、歯付ホイール部の形状に起因する無端伝動要素のばたつきが生じることもない。
上記(1)の構成を有する伝動歯車においては、(2)前記支持部が、前記回転軸の回転中心から放射外方側に延びる複数のスポークを有し、前記無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達するとき、前記無端伝動要素が前記歯付ホイール部と噛み合っている角度範囲外で、前記複数のスポーク部が、互いに周方向に接近するように弾性変形するものであるのが好ましい。
この構成により、伝動歯車の各部の弾性変形と形状選択によって無端伝動要素の高張力時の張力変動を抑える非円形形状を生じさせる場合に、歯付ホイール部の放射外方に向かって各スポークの外端部近傍では凸となり、その間の歯付ホイール部では凹となるような非円形形状が生じることになり、周期的な負荷トルク変動の周期と位相に対応してスポークを配置することで、高張力時に無端伝動要素の張力変動や共振等を抑えることが可能となる。
上記(1)、(2)の構成を有する伝動歯車においては、(3)前記回転軸が複数のカムが一定の角度間隔で装着されたカムシャフトであり、前記支持部の複数のスポークが、前記カムシャフトの複数のカムの角度間隔に対応する角度間隔で配置されるとともに、該複数のスポークの各々が前記複数のカムのうちいずれかが最大リフト量となるときにリフト方向に向かうように方向付けられていることが望ましい。
この構成により、カムが最大リフト量となるときに複数のスポークがリフト方向の両側に位置する配置となり、高張力の無端伝動要素の負荷が増大するときに無端伝動要素の張力状態を緩和することができる。
また、上記(1)〜(3)の構成を有する伝動歯車においては、(4)前記スポークが、前記歯付ホイール部の半径方向に延びるとともに前記歯付ホイール部の周方向に湾曲しているのが好ましい。
この構成により、歯付ホイール部に支持部側から加わるトルクと無端伝動要素から歯付ホイール部に加わる力とを受けながら、スポークが半径方向の長さを変化させることになり、ピッチ円の非円形形状を生じさせることが可能となる。
さらに、上記(4)の構成を有する伝動歯車においては、(5)前記無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達するとき、前記スポークが、前記歯付ホイール部からの力を受けて前記湾曲した形状を伸長する方向に弾性変形するのがよい。
この構成により、歯付ホイール部に支持部側から加わるトルクと無端伝動要素から歯付ホイール部に加わる力とを受けながら、スポークが湾曲した形状を伸長する方向に弾性変形することになり、スポークの外端部近傍を放射外方への凸部とする非円形形状を生じさせることが可能となる。
さらに、上記(1)〜(5)の構成を有する伝動歯車においては、(6)前記無端伝動要素の張力が前記予め設定された張力値に達するとき、前記歯付ホイール部が前記無端伝動要素と噛み合っている範囲角度内のうち前記無端伝動要素の張り側で、前記歯付ホイール部が、部分的に前記通常の形状よりも内側に弾性変形するのが好ましい。
この構成により、歯付ホイール部のピッチ円が通常の真円形状と無端伝動要素の高張力状態を緩和できる非円形形状とに変化することになる。
なお、無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達するときにピッチ円を部分的に真円形状から予め設定した非円形形状に変化させるためには、無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達するまでの間は歯付ホイール部および支持部の弾性変形によってもピッチ円の実質的な真円形状が維持され、無端伝動要素の張力が予め設定された張力値以上になると歯付ホイール部および支持部の弾性変形によってピッチ円が実質的な真円形状から外れて予め定めた非円形形状に移行するように、歯付ホイール部および支持部の形状と各部剛性を設定するのが好ましいが、無端伝動要素の張力が予め設定された張力値以上になると歯付ホイール部および支持部を強制的に予め定めた非円形形状に移行させるように支持部側にアクチュエータを設けることも考えられる。
伝動歯車の各部の剛性設定および形状設定によって高張力時に無端伝動要素の張力変動を抑える程度の非円形形状を生じさせる場合、実質的に一定形状での使用を前提とする従来の伝動歯車の弾性変形とは部分的に弾性変形の方向が異なり、全体としての弾性変形形状が異なるものとなる。さらに、ここでの非円形形状は、高張力時に無端伝動要素の張力変動を抑える程度のものであるから、ピッチ円半径の変化は最大でも1%程度かそれ以下のわずかな変化量で十分である。
また、歯付ホイール部は、周方向に隣り合う複数の略円弧状の分割体で構成し、スポークに片持ち支持させることも考えられるし、片持ちに近い撓みが生じるように歯付ホイール部にスポーク間で部分的にくびれた部分を形成することも考えられる。また、スポーク側にその特定方向への撓みを容易にするくびれ部を設けたりスポークの外端部だけを細くしつつ湾曲させたりすることも考えられる。
本発明によれば、無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達すると、歯付ホイール部が無端伝動要素と噛み合っている角度範囲内において、そのピッチ円が部分的に真円形状より外側に変化することで非円形形状となるようにしているので、例えば内燃機関が通常の運転範囲を超える高回転域に達し、無端伝動要素が高張力となるときにピッチ円を非円形形状に変化させて負荷トルク変動に伴う無端伝動要素の張力変動を抑えることができ、しかも、内燃機関の通常の運転範囲においては、歯付ホイール部のピッチ円は実質的に真円で、歯付ホイール部の形状に起因する無端伝動要素のばたつきを生じることのない伝動歯車を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る伝動歯車の正面図であり、本発明の伝動歯車を内燃機関の動弁機構に設けられるカムシャフト駆動用のスプロケット(鎖伝動歯車)に適用した場合を例示している。
まず、その構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態のカムシャフト駆動用のスプロケット(以下、カムスプロケットという)10は、周方向に離間する複数の歯11を有し、無端伝動要素であるチェーン20が巻き掛けられる円環状の歯付ホイール部12と、その歯付ホイール部12を支持するよう回転軸であるカムシャフト1(詳細は図示していない)に固定される支持部13とを備えている。このカムスプロケット10は、チェーン20によって図1中の時計回りの回転方向Rに回転駆動されるとき、カムシャフト1にその回転を伝動することで、カムシャフト1を駆動するようになっている。
カムシャフト1の詳細形状は図示していないが、カムシャフト1は、それぞれ多気筒エンジン(内燃機関)、例えばV型6気筒エンジンの各バンクに設けられている。また、カムシャフト1は、各気筒に装備される給排気弁、例えば吸気弁5のステム部5sにタペット6を介して係合する複数のカム2を有している。これら複数のカム2は、気筒間隔に応じてカムシャフト1の軸方向に離間するとともにカムシャフト1に一定の角度間隔で装着され、それぞれ吸気弁5を図示しないリターンスプリングの付勢力に抗して開閉させるカムリフト量に設定されている。
カムスプロケット10は、例えば鋳鉄に近い強度を持つ材料であり、好ましくは鋳鉄よりばね性に優れた材料からなる。
歯付ホイール部12の複数の歯11は、公知のチェーンスプロケットの歯と同様のものであるが、タイミングギヤのような歯で構成されてもよく、その場合、チェーン20はタイミングベルトのような歯付形状となる。歯付ホイール部12は、歯面部の歯幅方向(軸方向)寸法よりも、内周部の軸方向幅寸法が狭くなっているが、断面形状は任意である。
チェーン20は、図示しないクランク軸に装着されたクランク軸側のチェーンスプロケットと、カムスプロケット10との間に掛け渡されており、クランク軸の回転に応じてクランク軸側からの回転動力をカムスプロケット10に伝動することができる。
一方、支持部13は、カムシャフト1の回転中心近傍から放射外方側に向かって延びる複数、例えば3つのスポーク14と、それらスポーク14の内端部14aを連結する略円筒状のハブ15とを有している。ここで、ハブ15は、カムシャフト1にキーまたはスプラインにより一体的に結合されている。
これら複数のスポーク14は、カムシャフト1の複数のカム2の角度間隔、例えば120度に対応する120度の角度間隔で等角度間隔に配置されており、図1に示すように、複数のカム2のうちいずれかが最大リフト量となるとき、それら複数のスポーク14のうちいずれかがほぼリフト方向に向かうように、これら複数のスポーク14が方向付けられている。すなわち、複数のカム2のうちいずれか1つが最大リフト量となるとき、複数のスポーク14のうちいずれか1つが吸気弁5のステム部5sの軸線上かその近傍に位置するように、複数のスポーク14は、複数のカム2に対して一定の角度をなして配置されている。
各スポーク14は、歯付ホイール部12の半径方向に延在するとともに、スポーク14の内端部14aがカムスプロケット10の回転方向で最も進んだ位置にあり、スポーク14の外端部14bがカムスプロケット10の回転方向で最も遅れた位置にあるように回転方向に傾斜している。
また、各スポーク14は、全体的に歯付ホイール部12の周方向一方側、例えばカムスプロケット10の回転方向とは反対の側に湾曲しており、スポーク14の外端部14b側の曲率半径がスポーク14の内端部14a側の曲率半径より小さくなっている。
さらに、各スポーク14は、その内端部14aから外端部14b側へと徐々に断面積を減少するように形成されており、内端部14a側よりも外端部14b側で撓み易くなっている。
もっとも、スポーク14は初期の形状が回転方向と逆方向に湾曲しているので、歯付ホイール部12の回転駆動とカムシャフト1側の負荷トルクを受けるスポーク14の撓みは、真直に近付く方向となる。
すなわち、各スポーク14は、エンジン回転数が高回転、例えば、4000〜5000rpm超となって運転時のチェーン20の張力が予め設定された張力値(例えば2000N≒200kg重程度あるいはそれより若干小さい張力値)に達するとき、歯付ホイール部12からの力を受けるとともにカムシャフト1からの負荷トルクを受けることにより、チェーン20が歯付ホイール部12と噛み合っている約半周分の角度範囲Zm内で、図1中の湾曲した形状を伸長する方向に弾性変形するようになっている。
また、複数のスポーク14は、歯付ホイール部12に巻き掛けられたチェーン20の張力が予め設定された張力値に達するとき、チェーン20が歯付ホイール部12と噛み合っている約半周分の角度範囲Zm外(図1中のカムスプロケット10の下半部の領域)で、互いに周方向に接近するよう相互の角度間隔を狭める方向に撓む(弾性変形する)ようになっている。
そして、カムスプロケット10は、歯付ホイール部12に巻き掛けられたチェーン20の張力が予め設定された張力値に達するとき、歯付ホイール部12がチェーン20と噛み合っている約半周分の角度範囲Zm内において、ピッチ円Cpを実質的に真円とする通常の形状から、ピッチ円Cpがスポーク14の外端部近傍で部分的に通常の真円形状(図1中に一転鎖線で示す真円形状)より外側に出るような非円形形状(図1中に点線で示す歯形状部分)に変形するようになっている。また、チェーン20の張力が予め設定された張力値に達するとき、歯付ホイール部12がチェーン20と噛み合っている範囲角度内のうち少なくともチェーン20の張り側において、スポーク14の外端部近傍から外れる部分の歯付ホイール部12は、部分的に通常の形状よりも内側に撓むようになっている。
なお、チェーン20の張力が予め設定された張力値に達するときにピッチ円Cpをスポーク14の近傍で放射外方に凸形状をなす非円形形状に変化させるためには、チェーン20の張力が予め設定された張力値に達するまでの間は歯付ホイール部12および支持部13の弾性変形にかかわらずピッチ円Cpの実質的な真円形状が維持されるようにし、チェーン20の張力が予め設定された張力値以上になると歯付ホイール部12および支持部13の弾性変形によってピッチ円Cpが実質的な真円形状から外れて予め定めた非円形形状に移行するように、歯付ホイール部12および支持部13の各部形状と各部剛性を設定する必要がある。
また、カムスプロケット10の各部の剛性設定および形状設定によって高張力時にチェーン20の張力変動を抑える程度にピッチ円Cpの非円形形状を生じさせる場合、実質的に一定形状での使用を前提とする従来のカムスプロケットの弾性変形とは部分的な弾性変形の方向は異なり、全体としての弾性変形形状は真円より放射外方に凸となる点で大きく異なるものとなる。ただし、ここでの非円形形状は、高張力時にチェーン20の張力変動を抑える程度のものであるから、ピッチ円Cp半径の変化は最大でも1%程度かそれ以下のわずかな変化量で十分である。
次に、動作について説明する。
エンジンが駆動され、そのクランク軸が回転するとき、そのクランク軸の回転速度に応じてチェーン20が駆動され、そのチェーン20を介して、カムスプロケット10がクランク軸からの回転動力により駆動される。
この状態においては、エンジン回転数、すなわちクランク回転速度が高くなるほど、チェーン20には、クランク軸側のスプロケットにより図1中の時計方向に高速駆動される一方で、カムスプロケット10側からはカムシャフト1側からの負荷トルクがかかることになり、大きな張力が作用することになる。
いま、エンジンが高回転で運転され、チェーン20の張力が予め設定された張力値に達したとする。
このとき、図2に模式的に示すように、歯付ホイール部12がチェーン20と噛み合っている角度範囲内で、そのピッチ円Cpがスポーク14の外端部近傍で部分的に真円形状(図2中の左側の模式図の形状)より外側に変化することになり、スポーク14の外端部近傍を放射外方に凸の形状とする非円形形状(図2中の右側の模式図の形状)となる。
より具体的には、このとき、歯付ホイール部12がスポーク14の外端部側で外側に放射外方に凸となり、スポーク14間の歯付ホイール部12が放射外方に凹となるような非円形形状が生じることになるが、周期的な負荷変動の周期と位相に対応してスポーク14が配置されているので、高張力時にチェーン20の張力変動を抑えるようなチェーン20の張力変動をカムスプロケット10により生じさせることになる。
また、本実施形態においては、カム2が最大リフト量となるときに複数のスポーク14がリフト方向の両側に位置する配置となり、高張力状態のチェーン20の負荷が増大するときにチェーン20の張力状態を緩和することができることになる。
また、チェーン20が高張力となるとき、歯付ホイール部12に支持部13側から加わる負荷トルクとチェーン20から歯付ホイール部12に加わる駆動力とを受けながら、スポーク14が半径方向の長さを変化させることになるから、チェーン20が高張力時にチェーンの共振やカムスプロケット10の磨耗・疲労等を抑制するように、ピッチ円Cpの非円形形状を生じさせることができる。
一方、チェーン20の張力が低下するエンジンの通常の運転範囲においては、歯付ホイール部12のピッチ円は実質的に真円であり、歯付ホイール部12の形状に起因するチェーン20のばたつきが生じることはない。
このように、本実施形態では、エンジンが通常の運転範囲を超える高回転域に達し、チェーン20が高張力となった状態下において、カム2の駆動負荷の変動に伴うチェーン20の周期的な張力変動に対して、その変動を相殺する位相でチェーン20の張力を変動させるように歯付ホイール部12のピッチ円Cpが真円形状から予め設定した非円形形状に変化することで、負荷トルク変動に伴うチェーン20の張力変動を抑えることができ、チェーン20の高張力状態での共振、カムスプロケット10およびチェーン20の磨耗や疲労等を抑えることができる。
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る伝動歯車の正面図であり、本発明の伝動歯車を上述の第1実施形態と同様なカムスプロケットに適用した場合を例示している。なお、本実施形態は、上述の第1実施形態と全体構成がほぼ同様であって、歯付ホイール部の内周部形状が相違するのみであるから、第1の実施形態と同一の構成については図1および図2と同一の符号で示し、相違点についてのみ詳述する。
図3に示すように、本実施形態のカムスプロケット30は、周方向に離間する複数の歯11を有し、無端伝動要素であるチェーン20が巻き掛けられる円環状の歯付ホイール部32と、その歯付ホイール部32を支持するよう回転軸であるカムシャフト1に固定される支持部13とを備えている。
このカムスプロケット30の歯付ホイール部32は、歯部の形状自体は第1の実施形態の歯付ホイール部12と同様であるが、図3中に便宜的に斜線を付けて示す切欠き部32e、32fを形成し、歯付ホイール部32を切欠き部32e、32fでそれぞれくびれた形状にしたものである。
図3中の切欠き部32e、32fの近傍における歯付ホイール部32の断面高さb1は、切欠き部32e、32fから離れた部分の歯付ホイール部32の断面高さb2よりも、小さくなっている(b1<b2)。
このように構成された本実施形態のカムスプロケット30では、上述の第1実施形態と同様回転方向と逆方向に湾曲したスポーク14をチェーン20の高張力時に伸長側に撓ませる構成であるから、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
しかも、本実施形態では、切欠き部32e、32fによって歯付ホイール部32が各スポーク14の外端部近傍において曲げ剛性が低くなり、チェーン20の高張力時における歯付ホイール部32の弾性変形形状が実質的に3つの凸部を持つトリオーバル形状に近付くことから、カムスプロケット30により、高張力時のチェーン20の張力変動をカム2の駆動負荷をより確実に相殺するように変化させ、高張力時のチェーン20のトータルの張力変動を有効に抑制することができる。
なお、図3中の切欠き部32e、32fは、それぞれ各スポーク14の近傍で周方向に投等間隔に形成されるが、図中では120度の区間のみで例示し、他の区間については省略している。切欠き部32e、32fは、周方向に短い切欠きであってもよく、駆動方向は一方向であるから、切欠き部32e、32fが対称な形状である必要がないことは勿論である。
上述の各実施形態においては、伝動歯車としてのカムスプロケットの各部の形状と剛性の設定によりチェーン(無端伝動要素)の高張力時に振動抑制に有効な非円形形状のピッチ円形状に変化させるものとしたが、無端伝動要素の張力が予め設定された張力値以上になると歯付ホイール部および支持部を強制的に予め定めた非円形形状に移行させる油圧作動式あるいは電気的に作動するアクチュエータを支持部側に設けることも考えられる。
また、歯付ホイール部は、周方向に隣り合う複数の略円弧状の分割体で構成し、スポークに片持ち支持させることも考えられるし、片持ちに近い撓みが生じるように歯付ホイール部にスポーク間で部分的にくびれた部分を形成することも考えられる。また、スポーク側にその曲げを容易にするくびれ部を設けたりスポークの外端部だけを細くしつつ湾曲させたりすることも考えられる。
さらに、本発明は上述のようなカムスプロケットのみならず、クランク軸側のチェーンスプロケットに適用することもできるし、タイミングベルトによる回転伝動を行うタイミングギヤ等にも適用できることはいうまでもない。
以上説明したように、本発明は、無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達すると、歯付ホイール部が無端伝動要素と噛み合っている角度範囲内において、そのピッチ円が部分的に真円形状より外側に変化することで非円形形状となるようにしているので、例えば内燃機関が通常の運転範囲を超える高回転域に達し、無端伝動要素が高張力となるときにピッチ円を非円形形状に変化させて負荷トルク変動に伴う無端伝動要素の張力変動を抑えることができ、しかも、内燃機関の通常の運転範囲においては、歯付ホイール部のピッチ円は実質的に真円で、歯付ホイール部の形状に起因する無端伝動要素のばたつきを生じることもない伝動歯車を提供することができるという効果を奏するものであり、チェーンまたはタイミングベルト等の無端伝動要素に噛合して回転伝動を行う伝動歯車、特に内燃機関のクランク軸から動弁機構その他に装備される他の回転軸に動力伝達する動力伝達経路に好適に配置できるスプロケットやタイミングプーリ等の伝動歯車に全般的に有用である。
本発明の第1の実施の形態に係る伝動歯車の実装状態での正面図である。 第1の実施の形態に係る伝動歯車の作用説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る伝動歯車の実装状態での正面図である。
符号の説明
1 カムシャフト
2 カム
5 吸気弁
5s ステム部
10、30 カムスプロケット(伝動歯車)
11 歯
12、32 歯付ホイール部
13 支持部
14 スポーク
20 チェーン(無端伝動要素)
32e、32f 切欠き部

Claims (6)

  1. 周方向に離間する複数の歯を有し、無端伝動要素が巻き掛けられる歯付ホイール部と、前記歯付ホイール部を支持するよう回転軸に固定される支持部と、を備えた伝動歯車において、
    前記歯付ホイール部に巻き掛けられた前記無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達するとき、前記歯付ホイール部が前記無端伝動要素と噛み合っている角度範囲内で、前記歯付ホイール部が、ピッチ円を実質的に真円とする通常の形状から前記ピッチ円を部分的に前記真円より外側に変化させるように変形することを特徴とする伝動歯車。
  2. 前記支持部が、前記回転軸の回転中心から放射外方側に延びる複数のスポークを有し、前記無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達するとき、前記無端伝動要素が前記歯付ホイール部と噛み合っている角度範囲外で、前記複数のスポーク部が、互いに周方向に接近するように弾性変形することを特徴とする請求項1に記載の伝動歯車。
  3. 前記回転軸が複数のカムが一定の角度間隔で装着されたカムシャフトであり、
    前記支持部の複数のスポークが、前記カムシャフトの複数のカムの角度間隔に対応する角度間隔で配置されるとともに、該複数のスポークの各々が前記複数のカムのうちいずれかが最大リフト量となるときにリフト方向に向かうように方向付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伝動歯車。
  4. 前記スポークが、前記歯付ホイール部の半径方向に延びるとともに前記歯付ホイール部の周方向に湾曲していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の伝動歯車。
  5. 前記無端伝動要素の張力が予め設定された張力値に達するとき、前記スポークが、前記歯付ホイール部からの力を受けて前記湾曲した形状を伸長する方向に弾性変形することを特徴とする請求項4に記載の伝動歯車。
  6. 前記無端伝動要素の張力が前記予め設定された張力値に達するとき、前記歯付ホイール部が前記無端伝動要素と噛み合っている範囲角度内のうち前記無端伝動要素の張り側で、前記歯付ホイール部が、部分的に前記通常の形状よりも内側に弾性変形することを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか1の請求項に記載の伝動歯車。
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