JP2009191727A - エンジンの過給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車用のディーゼルエンジンにおいて、運転状態が予混合燃焼領域から拡散燃焼領域に移行したときに、速やかにEGRガスを適正量に変更して良好な拡散燃焼を行うことを可能にする手段を提供する。
【解決手段】過給装置として排気ターボ過給機19と電動過給機21とを備えているディーゼルエンジンEは、予混合燃焼領域では燃料噴射時期を圧縮上死点よりも早めるとともにEGRガスを大量に供給して燃料を予混合燃焼させる。他方、拡散燃焼領域では、燃料噴射時期を圧縮上死点付近として燃料を拡散燃焼させる。エンジンEにおいては、加速時には、ターボラグを防止するために電動過給機21が駆動される。また、エンジンEの運転状態が予混合燃焼領域から拡散燃焼領域に移行する際にも、電動過給機21が駆動され、吸気系に残留しているEGRガスが掃気される。
【選択図】図1

Description

本発明は、排気ターボ過給機と電動過給機とを備えたエンジンの過給装置に関するものである。
ディーゼルエンジンは、熱効率が高く燃費性能が良好であるので、地球温暖化の一因である二酸化炭素の排出量を少なくすることができ、また耐久性及び信頼性が高いので、自動車用エンジンとして広く用いられている。そして、自動車用のディーゼルエンジンには、通常、その出力を高めるために排気ターボ過給機が設けられる(例えば、特許文献1参照)。排気ターボ過給機は、エンジンの軸動力を消費することなく、排気ガスのエネルギを有効に利用して過給を行うことができるので、燃費性能を損なうことなく、出力を高めることができる。
一方、ディーゼルエンジンの排気ガスには、NOx(窒素酸化物)、煤等の大気汚染物質が含まれているので、近年、これらの大気汚染物質を大幅に低減することが求められている。そこで、低出力領域では燃焼室に比較的大量のEGRガスを導入するともに、燃料噴射時期を圧縮上死点よりも早めて燃料を予混合燃焼させることにより(以下、この領域を「予混合燃焼領域」という。)、大気汚染物質の排出量を低減するようにした自動車用のディーゼルエンジンが提案されている。なお、このように予混合燃焼を行うようにしたディーゼルエンジンにおいても、上記低出力領域以外の領域(高出力領域)では、普通のディーゼルエンジンと同様に、圧縮上死点付近で燃料を噴射して拡散燃焼させるようにしている(以下、この領域を「拡散燃焼領域」という。)。
特開2006−105034号公報(段落[0031]、図2)
しかしながら、このように予混合燃焼領域で燃料を予混合燃焼させるようにしたディーゼルエンジンでは、運転状態が予混合燃焼領域から拡散燃焼領域に移行したときには、移行後しばらくの間は吸気系に比較的大量のEGRガスが残留しているので、新気の供給量が少なくなり、良好な拡散燃焼を行うことができないといった問題がある。
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、所定の予混合燃焼領域で燃料を予混合燃焼させるようにした自動車用のディーゼルエンジンにおいて、運転状態が予混合燃焼領域から拡散燃焼領域に移行したときに、速やかにEGRガス量を拡散燃焼に適した量に変更して良好な拡散燃焼を行うことを可能にする手段を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明に係るエンジンの過給装置は、燃焼形態切換手段と、電動過給機と、電動過給機制御手段とを備えている。燃焼形態切換手段は、燃料噴射時期を圧縮上死点よりも早めるとともにEGRガスを供給して燃料を予混合燃焼させる予混合燃焼形態と、燃料噴射時期を圧縮上死点付近として燃料を拡散燃焼させる拡散燃焼形態とに燃焼形態を切換える。電動過給機制御手段は、要求空気量が不足する状況下(条件下)では電動過給機を駆動させる。ここで、電動過給機制御手段は、予混合燃焼形態から拡散燃焼形態への移行時は、要求空気量が不足しない状況下(条件下)でも電動過給機を駆動させる。
本発明の第1の変形例に係るエンジンの過給装置においては、予混合燃焼を行う運転領域(以下「予混合燃焼領域」という。)中の低負荷側領域では高負荷側領域よりもEGRガスの供給量が少なく設定されている。そして、電動過給機制御手段は、エンジンの運転状態が低負荷側領域から拡散燃焼を行う運転領域(以下「拡散燃焼領域」という。)へ移行するときには、電動過給機を第1の駆動量で駆動するとともに、燃料噴射時期を徐々に(緩慢に)圧縮上死点付近に変更する。一方、高負荷側領域から拡散燃焼領域へ移行するときには、電動過給機制御手段は、電動過給機を第1の駆動量よりも大きい第2の駆動量で駆動するとともに、燃料噴射時期を直ちに圧縮上死点付近に変更する。
本発明の第2の変形例に係るエンジンの過給装置においては、電動過給機制御手段は、エンジンの燃焼形態が予混合燃焼形態から拡散燃焼形態へ移行する際に、エンジンの加速度合が小さいときは、電動過給機の駆動により拡散燃焼に適したEGRガス量となった後に、燃料噴射時期を圧縮上死点付近に変更する。一方、加速度合が大きいときは、電動過給機制御手段は、電動過給機の駆動開始後直ちに燃料噴射時期を圧縮上死点付近に変更する。
本発明の第3の変形例に係るエンジンの過給装置においては、エンジンにアクセル開度に基づいて目標トルクを設定する目標トルク設定手段が設けられている。そして、燃焼形態切換手段は、目標トルク設定手段によって設定された目標トルクに基づいて予混合燃焼形態と拡散燃焼形態とを切換える。
本発明に係るエンジンの過給装置によれば、予混合燃焼形態から拡散燃焼形態への移行時に、電動過給機の駆動により、予混合燃焼時に供給され吸気系に残留しているEGRガスを迅速に排出して新気(吸入空気)の供給量を増加させることができるので、エンジンの運転状態を速やかに拡散燃焼形態へ移行させることができる。また、拡散燃焼開始時における、EGRガスの残留に起因する煤の発生を防止ないしは抑制することができ、かつ、エンジン出力を迅速に高めることができる。
本発明の第1の変形例に係るエンジンの過給装置によれば、EGRガス量が少ない低負荷側領域から拡散燃焼領域への移行時には、エンジンの運転状態は電動過給機の駆動量が抑えられた状態で徐々に拡散燃焼形態に移行するので、該移行時のトルクの低下を抑制することができる。一方、EGRガス量が多い高負荷側領域から拡散燃焼領域への移行時には、吸気系に残留している大量のEGRガスを早期に減少させる必要があるが、電動過給機の駆動量が大きいので、エンジンの運転状態を迅速に拡散燃焼形態に移行させることができる。
本発明の第2の変形例に係るエンジンの過給装置によれば、加速度合が小さいときには、燃料噴射時期は、EGRガス量が拡散燃焼に適したEGRガス量となるまで圧縮上死点付近に変更されないので、予混合燃焼形態から拡散燃焼形態への移行時における煤の発生を防止ないしは抑制することができる。また、加速度合が大きいときには、電動過給機の駆動開始後直ちに燃料噴射時期が圧縮上死点付近に変更されるので、エンジン出力を迅速に高めることができる。
本発明の第3の変形例に係るエンジンの過給装置によれば、目標トルクに基づいて予混合燃焼領域から拡散燃焼領域への移行を予測することができ、この予測に基づいて燃焼形態の移行を行うことができるので、燃焼形態の移行応答性を向上させることができる。
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(本発明を実施するための最良の形態)を具体的に説明する。図1は、本発明に係る直噴式ディーゼルエンジンE(以下、略して「エンジンE」という。)のシステム構成を示している。このエンジンEでは、所定の予混合燃焼領域では、比較的大量のEGRガスを吸気系に導入するとともに燃料を圧縮上死点よりも前に噴射して予混合燃焼を行わせることにより、燃費性能を良好に維持しつつ、NOx、煤(スモーク)等の大気汚染物質の排出量を低減するようにしている。他方、所定の拡散燃焼領域では、燃料を圧縮上死点付近で噴射して拡散燃焼を行わせることにより、エンジン出力を十分に高めるようにしている。なお、エンジンEは多気筒(例えば、4気筒、6気筒…)エンジンであるが、図1では1つの気筒のみを示し、他の気筒の図示は省略している。
図1に示すように、エンジンEにおいては、吸気弁1が開かれたときに、吸気ポート2から燃焼室3内に燃料燃焼用の空気が吸入される(以下、この空気を「吸入空気」という。)。そして、燃焼室3内の吸入空気はピストン4によって圧縮され、高温・高圧状態となる。そして、圧縮行程上死点より前(予混合燃焼時)又は圧縮行程上死点付近(拡散燃焼時)で、燃料噴射弁5から燃焼室3内に燃料(軽油等)が噴射され、この燃料は自己着火して燃焼する。燃焼により生じたガスすなわち排気ガスは、排気弁6が開かれたときに排気ポート7に排出される。なお、図示していないが、燃料は、燃料タンクからコモンレールを介して高圧で燃料噴射弁5に供給される。
これらの一連の動作が繰り返され、ピストン4はシリンダ8内でシリンダ軸方向に往復運動を繰り返す。このピストン4の往復運動は、コネクチングロッド9、クランクアーム(図示せず)、クランクピン(図示せず)等を備えたリンク機構により、クランクシャフト10の回転運動(トルク)に変換される。クランクシャフト10の回転運動は、エンジン出力として取り出され、図示していないが、エンジンEを搭載している車両を駆動するとともに、オルタネータやエアコンなどの補機を駆動する。エンジンEは、始動時には、エンジンスタータ11によって駆動(クランキング)される。なお、図示していないが、クランクシャフト10の駆動力は、変速機、ファイナルギヤ等を介して駆動輪に伝達される。
エンジンEにおいては、吸気弁1は吸気弁開閉カム機構12によって所定のタイミングで開閉される。吸気弁開閉カム機構12に対して、電磁式の吸気弁カム制御装置13が設けられている。この吸気弁カム制御装置13は、コントロールユニットCからの制御信号に従って、吸気弁開閉カム機構12を介して、吸気弁1の開閉タイミングを進角させ又は遅角させることができる。他方、排気弁6は排気弁開閉カム機構14によって所定のタイミングで開閉される。排気弁開閉カム機構14に対して、電磁式の排気弁カム制御装置15が設けられている。この排気弁カム制御装置15は、コントロールユニットCからの制御信号に従って、排気弁開閉カム機構14を介して、排気弁6の開閉タイミングを進角させ又は遅角させることができる。
エンジンEの各気筒の燃焼室3に吸入空気を供給する吸気系(吸気システム)には、全気筒に共通な単一の共通吸気通路16が設けられている。共通吸気通路16の先端(上流端)は大気に開放され、その先端部近傍には、吸入空気の流れ方向にみて上流側から順に、吸入空気中のダスト等を除去するエアクリーナ(図示せず)とエアフローセンサ17(図2参照)とが設けられている。さらに、共通吸気通路16には、吸入空気の流れ方向にみて上流側から順に、コントロールユニットCによって弁開度(すなわち、共通吸気通路16の流路断面積)が制御される電磁式の吸気制御弁18と、排気ターボ過給機19のコンプレッサ19aと、空冷式のインタークーラ20とが設けられている。ここで、コンプレッサ19a(排気ターボ過給機19)は、吸入空気を加圧・圧縮してエンジンEを過給する。また、インタークーラ20は、加圧・圧縮により温度が上昇した吸入空気を冷却する。
共通吸気通路16は、インタークーラ20の下流側で第1分岐吸気通路16aと第2分岐吸気通路16bとに分岐し、分岐部よりやや下流で両分岐吸気通路16a、16bは集合して再び単一の共通吸気通路16となっている。そして、第1分岐吸気通路16aには、電気モータ(図示せず)によって回転駆動される電動過給機21が設けられている。他方、第2分岐吸気通路16bには、該第2分岐吸気通路16bを開閉する逆止弁22が設けられている。ここで、逆止弁22は、電動過給機21が駆動されているときには第2分岐吸気通路16bを閉じ、電動過給機21が停止されているときには第2分岐通路16bを開く。
第1分岐吸気通路16aと第2分岐吸気通路16bとの集合部より下流側において、共通吸気通路16の下流端は、吸入空気の脈動を減衰させてその流れを安定させるサージタンク23に接続されている。サージタンク23には、各気筒の燃焼室3に個別に吸入空気を供給する複数の独立吸気通路24が接続され、これらの独立吸気通路24の下流端は、それぞれ対応する気筒の吸気ポート2に接続されている。なお、サージタンク23には、吸入空気の圧力を検出する吸気圧センサ25が設けられている。
また、エンジンEには、各燃焼室3から排出された排気ガスを大気中に排出する排気系(排気システム)が設けられ、この排気系には、各気筒に共通な単一の共通排気通路26が設けられている。ただし、排気ガスの流れ方向にみて、上流端近傍部(排気マニホールド)では、排気系は気筒毎に分岐して、対応する気筒の排気ポート7に接続されている。そして、共通排気通路26には、排気ガスによって駆動される排気ターボ過給機19のタービン19bが設けられている。
排気ターボ過給機19は、可動式の多数のフラップ27によりタービン19bへの排気ガスの通路断面積を変化させることができる可変ターボ過給機(VGT)である。これらのフラップ27は、フラップアクチュエータ28によって制御される。そして、コントロールユニットCは、フラップアクチュエータ28とフラップ27とを介して、排気ガスの通路断面積を変化させ、タービン19b(排気ターボ過給機19)の過給圧を制御する。
さらに、共通排気通路26には、排気の流れ方向にみてタービン19bより下流側に、酸化触媒を含み排気ガスを浄化する排気ガス浄化触媒30(DOC)と、煤(パティキュレート)を捕集するパティキュレートフィルタ31(DPF)とが設けられている。排気ガス浄化触媒30及びパティキュレートフィルタ31は、耐熱性を有する1つのケーシング32内に収容されている。パティキュレートフィルタ31に捕集された煤は、適宜に、例えばパティキュレートフィルタ31の前後の差圧が設定値を超えたときに、排気ガス浄化触媒31が高温化する運転状態にして、例えば膨張行程で燃料噴射を行って燃焼させることにより除去される。
排気ガスの流れ方向にみて、パティキュレートフィルタ31のやや上流側とやや下流側とには、それぞれ、第1温度センサ33と第2温度センサ34とが設けられている。さらに、共通排気通路26には、パティキュレートフィルタ31ないしは第2温度センサ34より下流側に、該共通排気通路26を開閉する排気開閉弁35が設けられている。なお、排気開閉弁35の弁開度(すなわち、共通排気通路26の通路断面積)は、コントロールユニットCによって制御される。
また、エンジンEには、燃料の燃焼に起因するNOxの発生量を低減することを主な目的として、共通排気通路26のタービン上流の比較的高圧の排気ガスの一部を、EGRガスとして吸気系に還流させる高圧EGR装置36が設けられている。この高圧EGR装置36には、EGRガス流路となる高圧EGR通路37が設けられている。ここで、EGRガスの流れ方向にみて高圧EGR通路37の上流端は、排気ガスの流れ方向にみてタービン19bより上流側の部位で共通排気通路26に接続されている。他方、EGRガスの流れ方向にみて高圧EGR通路37の下流端はサージタンク23に接続されている。そして、高圧EGR通路37には、EGRガスの流れ方向にみて上流側から順に、高温(例えば、600〜800℃)のEGRガスを冷却する水冷式の高圧EGRクーラ38と、EGRガスの供給量を制御する高圧EGR制御弁39とが設けられている。
さらに、エンジンEには、燃料の燃焼に起因するNOxの発生量を低減することを主な目的として、共通排気通路26のパティキュレートフィルタ下流(タービン下流)の比較的低圧の排気ガスの一部を、EGRガスとして吸気系に還流させる低圧EGR装置41が設けられている。この低圧EGR装置41には、EGRガスの流路となる低圧EGR通路42が設けられている。ここで、EGRガスの流れ方向にみて低圧EGR通路42の上流端は、パティキュレートフィルタ31と排気開閉弁35との間の部位で共通排気通路26に接続されている。他方、EGRガスの流れ方向にみて低圧EGR通路42の下流端は、吸気制御弁17とコンプレッサ19aとの間の部位で共通吸気通路16に接続されている。そして、低圧EGR通路42には、EGRガスの流れ方向にみて上流側から順に、EGRガスを冷却する空冷式の低圧EGRクーラ43と、EGRガスの供給量を制御する低圧EGR制御弁44とが設けられている。
図2に示すように、エンジンEには、その運転状態に関する各種情報を収集するために種々のセンサが設けられている。すなわち、前記のエアフローセンサ17、吸気圧センサ25、第1温度センサ33及び第2温度センサ34のほかに、さらに、クランクシャフト10の回転数(エンジン回転数)を検出するエンジン回転数センサ51、クランク角を検出するクランク角センサ52、エンジンEの冷却水温度(エンジン水温)を検出するエンジン水温センサ53、アクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ54及び吸入空気の温度を検出する吸気温センサ55が設けられている。これらの各センサの検出信号は、エンジンE等の制御情報としてコントロールユニットCに入力される。
コントロールユニットCは、課題を解決するための手段の欄に記載された「燃焼形態切換手段」、「電動過給機制御手段」及び「目標トルク設定手段」を含むエンジンEないしはその付属機器の総合的な制御手段である。詳しくは図示していないが、コントロールユニットCは、制御信号の入出力を行う入出力部(インターフェース)、デー夕や制御情報等を記憶する記憶部(ROM、RAM等)、各種演算処理を行う中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたコンピュータである。
そして、コントロールユニットCは、前記各センサによって検出された各種データに基づいて、燃料噴射弁5、吸気弁カム制御装置13、排気弁カム制御装置15、吸気開閉弁17、電動過給機21、逆止弁22、フラップアクチュエータ28、排気開閉弁35、高圧EGR制御弁39、低圧EGR制御弁44等を制御ないしは駆動することにより、燃料噴射制御、EGR制御、過給圧制御、パティキュレートフィルタ31の再生制御等の普通のエンジン制御を行うとともに、本発明に係る加速ないしは燃料の燃焼形態に応じた電動過給機21の駆動制御及び燃料噴射時期の変更制御(以下「電動過給機制御」という。)を行うようになっている。しかしながら、普通のエンジン制御については、その制御手法は当業者にはよく知られており、またこのような普通のエンジン制御は本願発明の要旨とするところでもないので、その説明を省略する。
以下、図3〜図5に示すフローチャートを参照しつつ、コントロールユニットCによって実行される、本発明に係る電動過給機制御の制御手順を具体的に説明する。図3に示すように、この電動過給機制御においては、制御が開始されると(スタート)、まずステップS1で、各センサ17、25、33、34、51〜55によって検出された物性値ないしは検出値に対応する各種信号が読み込まれる。そして、ステップS2で、エンジン回転数センサ51によって検出されたエンジン回転数と、アクセル開度センサ54によって検出されたアクセル開度とに基づいて、エンジンEの要求トルクが算出される。
続いて、ステップS3で、アクセル開度ないしはその増加速度に基づいて、エンジンEの運転状態が、吸入空気が不足する過渡状態(例えば加速状態)であるか否かが判定される。例えば、アクセルペダルが踏み込まれてエンジンEが加速を開始したときには、アクセルペダルの踏み込み動作に対して、排気ターボ過給機19による吸入空気の圧力の上昇(過給)の時間遅れ、いわゆるターボラグが生じ、吸入空気が不足する。そこで、このエンジンEでは、エンジンEの運転状態がこのような過渡状態(例えば加速状態)であるときは、電動過給機21を駆動して吸入空気の圧力の上昇(過給)を助勢し、ターボラグの発生を防止ないしは抑制するようにしている。
ステップS3でエンジンEの運転状態が、吸入空気が不足する過渡状態であると判定されたときには(YES)、ステップS4で、電動過給機21が駆動量Aで駆動(オン)される一方、逆止弁22が閉弁される。この場合、吸入空気は電動過給機21によって迅速に加圧され、ターボラグの発生が防止ないしは抑制される。なお、駆動量Aは、過渡状態におけるターボラグを補償して、エンジンEの要求トルクに対応するエンジン出力が迅速に得られるように、好ましく設定される。なお、駆動量Aを電動過給機21の最大駆動量としてもよい。
他方、ステップS3でエンジンEの運転状態が、吸入空気が不足する過渡状態でないと判定されたときには(NO)、ステップS5で、電動過給機21が停止(オフ)される一方、逆止弁22が開弁される。この場合、吸入空気は電動過給機21をバイパスして、第2分岐吸気通路16bを経由して流れる。このように、電動過給機21が駆動され又は停止させられた後、ステップS6で、エンジンEの運転状態が予混合燃焼領域に入っているか否かが判定される。
図6は、エンジンEの運転領域を、エンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータ(ないしは独立変数)とする2次元座標系であらわした図である。図6に示すように、このエンジンEでは、低回転・低負荷領域である予混合燃焼領域では、比較的大量のEGRガスを吸気系に供給するとともに燃料を圧縮上死点より前(例えば、圧縮上死点前60〜70°CA)に噴射して予混合燃焼を行わせるようにしている。なお、予混合燃焼領域は、EGRガスの供給量が多い高負荷側の領域Aと、EGRガスの供給量が少ない低負荷側の領域Bとに区分されている。他方、高回転領域又は高負荷領域である拡散燃焼領域、すなわち予混合燃焼領域以外の領域では、燃料を圧縮上死点付近で噴射して拡散燃焼を行わせるようにしている。なお、図6中のLは、全負荷状態を示している。
図7は、一般的なディーゼルエンジンにおいて、燃料の局所燃焼温度と局所等量比(空気過剰率の逆数)とをパラメータとする2次元座標系において、CO、HC、煤又はNOxが比較的多く発生する領域を示した図である。図7から明らかなとおり、CO及びHCは主として低温・高等量比領域で発生し、煤は主として高温・高等量比領域で発生し、NOxは主として高温・低等量比領域で発生する。そして、CO及びHCが多く発生する領域並びに煤が多く発生する領域と、NOxが多く発生する領域との間には、CO、HC、煤及びNOxの発生量がともに少ない間隙領域が存在する。
そこで、本発明に係るエンジンEでは、予混合燃焼を行わせるときには、燃料の燃焼状態がこの間隙領域内の領域Pに入るように、吸入空気量、燃料噴射量、EGRガスの供給量、燃料噴射時期等を調整ないしは制御するようにしている。具体的には、予混合燃焼時には、比較的大量のEGRガスを吸気系に供給し、燃料の燃焼温度を低下させてNOxの発生を抑制するようにしている。また、主として低圧EGR装置41を用いて、もともと比較的低温でありかつインタークーラ20によって冷却されるEGRガスを供給することにより、燃焼室3に供給される吸入空気等の温度を低下させ、密度を高めて等量比を低下させ(空気過剰率を高め)、HC、CO及び煤の発生を抑制するようにしている。つまり、予混合燃焼は、大量のEGRと噴射タイミングの早期化により、火花点火エンジン(例えばガソリンエンジン)とほぼ同等に混合された燃料と空気とを低温で燃焼させ、主としてNOx及び煤の発生量を抑制するものである。
図8は、予混合燃焼が行われる運転状態において、燃料が燃焼する前における燃焼室3内の燃料、新気及びEGRガス並びに残留ガスの比率を概念的ないしは模式的に示している。なお、残留ガスは、前回のサイクルで排気されず燃焼室3内に残留している燃焼ガスである。また、図8中には、予混合燃焼時における燃料噴射タイミング及び拡散燃焼時における燃料噴射タイミングも示されている。図8から明らかなとおり、予混合燃焼時には、燃焼室3内には大量(例えば、約20%)のEGRガスが含まれている。また、燃料噴射は、例えばクランク角で上死点前60〜70°の時期に行われる。
図9に、拡散燃焼が行われる運転状態において、燃料が燃焼する前における燃焼室3内の燃料、新気及び残留ガスの比率を示す。なお、拡散燃焼時における吸気系へのEGRガスの供給量は少ないので、図9ではEGRガスの図示を省略している。また、図9中には、拡散燃焼時における燃料噴射タイミングも示されている。図9から明らかなとおり、拡散燃焼時には、燃料噴射はほぼ圧縮上死点で行われる。
例えば図8に示す形態で予混合燃焼を行う場合に、問題となるのは予混合燃焼では不可欠な大量のEGRガスである。このような予混合燃焼状態から通常の拡散燃焼状態に移行すると、移行直後は、吸気系に大量のEGRガスが残留しているので、比較的大量の煤(スモーク)が発生するだけでなく、燃焼状態が変化することにより空気利用率が変化し、トルクが急激に変化したり、燃焼音の音質や音圧が変化したりして、エンジンEの商品性に問題が生じるおそれがある。
そこで、このエンジンEの制御ルーチンでは、アクセルペダルの踏み込み速度、エンジン回転数等に基づいて燃焼領域の移行速度を予測ないしは算出し、予混合燃焼状態から拡散燃焼状態への移行が予測される場合、電動過給機21を用いて吸入空気(新気)の割合を増加させ、吸気系に残留しているEGRガスを迅速に掃気し(EGRガス含有率を低下させ)、通常の拡散燃焼状態における気筒内空気状態をいち早く実現できるようにしている。
このように、高回転領域ないしは高負荷領域で燃料を拡散燃焼させる理由は、およそ次のとおりである。すなわち、前記のとおり予混合燃焼によれば、高い燃費性能を維持しつつNOx、煤等の大気汚染物質の排出を低減することができる。しかしながら、大量のEGRガスを吸気系に供給すると、燃料の供給量が多いときには燃料の完全燃焼に必要な空気量の確保が困難となるので、エンジンEのすべての運転領域で燃料を予混合燃焼させることは困難である。そこで、燃料の供給量が多い高負荷領域又は高回転領域(すなわち、拡散燃焼領域)では、従来のディーゼルエンジンと同様に燃料を拡散燃焼させるようにしている。
かくして、前記のステップS6で、エンジンEの運転状態が予混合燃焼領域に入っていると判定されたときは(YES)、ステップS7で、予混合燃焼領域用のパイロット噴射が行われ、続いてステップS8で予混合燃焼領域用のメイン噴射が行われる。本実施の形態では、燃料と吸入空気の混合を促進するために、予混合燃焼領域における燃料噴射を、パイロット噴射とメイン噴射とに分けて行うようにしている。
次に、ステップS9で、予混合燃焼領域用のEGRガスの供給量で、吸気系にEGRガスが供給される。EGRガスの供給量の制御は、高圧EGR装置36の高圧EGR弁39の開度と、低圧EGR装置41の低圧EGR弁44の開度とを制御することにより行われる。この場合、EGRガスと吸入空気の混合気体の温度を低下させるために、主として又は専ら低圧EGR装置41によりEGRガスを供給するのが好ましい。この後、制御ルーチンはステップS1に復帰する(リターン)。
他方、ステップS6で、エンジンEの運転状態が予混合燃焼領域に入っていないと判定されたとき(NO)、すなわち拡散燃焼領域に入っていると判定されたときには、予混合燃焼を行わないので、ステップS7〜S9をスキップして、ステップS10が実行される。そして、ステップS10では、前回の制御ルーチンで、エンジンEの運転状態が予混合燃焼領域に入っていたか否かが判定される。
ステップS10で前回の制御ルーチンでエンジンEの運転状態が予混合燃焼領域に入っていたと判定されたとき(YES)、すなわち今回の制御ルーチンで、エンジンEの運転状態が予混合燃料領域から拡散燃焼領域に移行したと判定されたときには、吸気系内のEGRガスを迅速に掃気するために、電動過給機21が駆動される。電動過給機21の駆動量は、後で詳しく説明するように、エンジンEの加速度合ないしは予混合燃料領域から拡散燃焼領域への移行速度(以下「領域移行速度」という。)の大小に応じて設定される。
前記のとおり、予混合燃焼領域では、燃焼温度を低下させてNOx、煤等の発生量を低減するために、吸気系(共通吸気通路16、インタークーラ20、サージタンク23、独立吸気通路24等)に大量のEGRガスが供給されている。これに対して、拡散燃焼領域では、エンジン出力を高めるために、EGRガスの供給量を少なくして吸入空気(新気)の供給量を可及的に高めるようにしている。しかしながら、エンジンEの運転状態が予混合燃料領域から拡散燃焼領域に移行した直後は、吸気系に大量のEGRガスが残留しているので、電動過給機21を駆動することにより、吸気系内のEGRガスを迅速に掃気するようにしている。
具体的には、ステップS10で前回の制御ルーチンではエンジンEの運転状態が予混合燃焼領域に入っていたと判定された場合は、ステップS11で、エンジンEの加速度合ないしはエンジンEの運転状態の領域移行速度が予め設定されたしきい値αより大きいか否かが判定される。ここで、加速度合がしきい値αより大きいと判定された場合は(YES)、ステップS12〜S15で、燃料噴射形態及びEGRガス供給形態が、予混合燃焼用の形態から拡散燃焼用の形態に急速に移行させられる。
具体的には、ステップS12で、電動過給機21が、比較的大きい前記駆動量A(例えば、最大駆動量)で駆動される。なお、電動過給機21を、駆動量Aと異なる駆動量で駆動してもよい。続いて、ステップS13で、拡散燃焼領域用のパイロット噴射が行われ、さらにステップS14で拡散燃焼領域用のメイン噴射が行われる。すなわち、前回までは予混合燃焼用のパイロット噴射及びメイン噴射が行われていた燃料噴射形態が、今回から拡散燃焼用のパイロット噴射及びメイン噴射が行われる燃料噴射形態に切り替えられる。なお、拡散燃焼領域におけるパイロット噴射は、主として、メイン噴射により噴射された燃料の急激な燃焼を抑制して、NOxの発生を抑制するとともに燃焼音を低減するために行われる。
次に、ステップS15で、拡散燃焼に適したEGRガスの供給量で、吸気系にEGRガスが供給される。前記のとおり、予混合燃焼領域では大量のEGRガスが吸気系に供給されるが、拡散燃焼領域では少量のEGRガスしか供給されない。なお、エンジン出力をとくに高める必要があるときは、EGRガスの供給を停止してもよい。EGRガスの供給量の制御は、高圧EGR装置36の高圧EGR弁39の開度と、低圧EGR装置41の低圧EGR弁44の開度とを制御することにより行われる。この後、制御ルーチンはステップS1に復帰する(リターン)。
図10(a)〜(c)に、このように電動過給機21を比較的大きい駆動量Aで駆動しつつ、パイロット噴射及びメイン噴射の燃料噴射形態及びEGRガス供給形態を、予混合燃焼用の形態から拡散燃焼用の形態に直ちにないしは急速に移行させる場合における、燃焼室内のEGRガスの比率、電動過給機21の仕事量、並びに、パイロット噴射及びメイン噴射の噴射量及び噴射タイミングのクランク角に対する変化特性(経時変化)を概念的ないしは模式的に示す。
アクセルペダルが急激に踏み込まれエンジンEの加速度合が大きいとき、ないしは領域移行速度が大きいときには、吸気系内に残留している大量のEGRガスが掃気されてEGRガスの比率が拡散燃焼に適した(拡散燃焼領域用の)値に移行するのを待っていたのでは、その間加速性が低下する。また、この場合、燃料燃焼形態を徐々に移行するようにしても煤の発生を十分には抑制することができないことがある。そこで、この場合は、加速性の確保を優先させ、パイロット噴射及びメイン噴射の燃料噴射形態及びEGRガス供給形態を、予混合燃焼に適した(予混合燃焼領域用の)形態から拡散燃焼に適した形態に直ちにないしは急速に移行させるようにしている。
他方、ステップS11で、加速度合ないしは領域移行速度がしきい値α以下であると判定された場合は(NO)、ステップS16〜S20で、燃料噴射形態及びEGRガス供給形態が、予混合燃焼に適した形態から拡散燃焼に適した形態に徐々に移行させられる。具体的には、まずステップS16で移行フラグFに1がセットされる。移行フラグFは、エンジンEの運転状態が予混合燃焼領域から拡散燃焼領域へ移行したときにおいて、加速度合ないしは領域移行速度がしきい値α以下である場合に1がセットされ、エンジンEの運転状態が完全に拡散燃焼に適した状態となったときに0に戻される(リセットされる)フラグである。すなわち、移行フラグFは、エンジンEの運転状態が予混合燃焼形態から拡散燃焼形態への移行の途上にあるとき、換言すればステップS17〜S20が繰り返し実行されているときに1がたてられるフラグである。
次に、ステップS17で、電動過給機21が、前記の駆動量Aよりも小さい駆動量Bで駆動される。続いて、ステップS18で、パイロット噴射の燃料噴射形態が、予混合燃焼用の燃料噴射形態から拡散燃焼領域用の燃料噴射形態に徐々に移行させられる(変更される)。さらに、ステップS19で、メイン噴射の燃料噴射形態が、予混合燃焼用の燃料噴射形態から拡散燃焼領域用の燃料噴射形態に徐々に移行させられる(変更される)。なお、この場合も、パイロット噴射は、主として、メイン噴射により噴射された燃料の急激な燃焼を抑制してNOxの発生を抑制するとともに燃焼音を低減するために行われる。
次に、ステップS20で、EGRガスの供給量が、予混合燃焼用の供給量から拡散燃焼用の供給量に徐々に移行させられる(変更される)。EGRガスの供給量の制御は、高圧EGR装置36の高圧EGR弁39の開度と、低圧EGR装置41の低圧EGR弁44の開度とを制御することにより行われる。
この後、ステップS21で、エンジンEの運転状態(パイロット噴射及びメイン噴射の燃料噴射形態)が拡散燃焼用の燃料噴射形態に一致するとともにEGRガスの供給状態が拡散燃焼用のEGRガス供給形態に一致したか否かが判定される。一致していなければ(NO)、燃料噴射形態及びEGRガス供給形態の移行はまだ完了していないので、制御ルーチンはステップS1に復帰する(リターン)。この場合、次の制御ルーチンでは、後で説明するようにステップS10とステップS23とを経由して、ステップS17〜S20が再び実行され、燃料噴射形態及びEGRガス供給形態の移行が続行されることになる。
図11(a)〜(e)に、このように電動過給機21を比較的小さい駆動量Bで駆動しつつ、パイロット噴射及びメイン噴射の燃料噴射形態及びEGRガス供給形態を、予混合燃焼に適した形態から拡散燃焼に適した形態に徐々に移行させる場合における、燃焼室内のEGRガスの比率、電動過給機21の仕事量、並びに、パイロット噴射及びメイン噴射の噴射量及び噴射タイミングのクランク角に対する変化特性(経時変化)を概念的ないしは模式的に示す。
図11(a)〜(e)に示すように、アクセルペダルが比較的緩やかに踏み込まれエンジンEの加速度合が小さいとき、ないしは領域移行速度が小さいときには、加速要求はさほど大きくないので、吸気系内のEGRガス量の減少に応じて、燃料噴射量及び噴射タイミングが、予混合燃焼形態から拡散燃焼形態へ徐々に移行させられる。なお、最終的には拡散燃焼用のEGRガス率となり燃焼も通常燃焼となる。このとき、電動過給機21によってEGRガス率が制御され、また燃料噴射量及び燃料噴射タイミングも制御(λコントロール)されているので、燃料形態は急激には移行せず、緩やかに移行する。
ステップS21で、パイロット噴射及びメイン噴射の燃料噴射形態が拡散燃料用の燃料噴射形態に一致していると判定されたときは(YES)、燃料噴射形態及びEGRガス供給形態の移行がすでに完了しているので、ステップS22で移行フラグFが0に戻され(リセットされ)、制御ルーチンはステップS1に復帰する(リターン)。この場合、次の制御ルーチンでは、後で説明するようにステップS10とステップS23を経由して、ステップS13〜S15が実行され、拡散燃焼領域用の燃料噴射形態でパイロット噴射及びメイン噴射が行われるとともに、拡散燃焼用のEGRガス供給形態でEGRガスが供給されることになる。すなわち、普通の拡散燃焼が行われる。
ところで、前記のステップS10で、前回の制御ルーチンではエンジンEの運転状態が予混合燃焼領域に入っていなかったと判定されたとき(NO)、すなわち前回の制御ルーチンですでに拡散燃焼領域に入っていたと判定されたときには、ステップS23で、移行フラグFが1であるか否かが判定される。ここで、移行フラグFが1であると判定されたときは(YES)、エンジンEの運転状態は、燃料噴射形態及びEGRガス供給形態が、予混合燃焼用の形態から拡散燃焼用の形態への移行中であるので、ステップS17〜S20が実行され、電動過給機21を駆動量Bで駆動しつつ、燃料噴射形態及びEGRガス供給形態の移行が続行される。
他方、ステップS23で移行フラグFが1でない(すなわち0である)と判定された場合は(NO)、燃料噴射形態及びEGRガス供給形態の移行がすでに完了しているので、ステップS13〜S15が実行され、拡散燃焼領域用の燃料噴射形態でパイロット噴射及びメイン噴射が行われるとともに、拡散燃焼用のEGRガス供給形態でEGRガスが供給され、普通の拡散燃焼が行われる。この後ステップS1に復帰する。
前記のとおり、図3と図4とに示す一連のフローチャートにかかる制御ルーチンでは、エンジンEの加速度合ないしは領域移行速度がしきい値αを超えているか否かにより、燃料噴射形態及びEGRガス供給形態を、予混合燃焼用の形態から拡散燃焼用の形態に直ちに移行させるか、それとも徐々に移行させるかを切り換えるようにしている(ステップS11)。しかしながら、図5に示すように、図4に示すフローチャート中のステップS11に代えて、エンジンEの運転状態が、予混合燃焼領域中のEGRガス供給量が多い領域(EGR多量域)、すなわち図6中の領域Aに入っているか否かにより、燃料噴射形態及びEGRガス供給形態を、予混合燃焼用の形態から拡散燃焼用の形態に直ちに移行させるか、それとも徐々に移行させるかを切り換えるようにしてもよい。
かくして、図5に示す制御ルーチンでは、ステップS30でエンジンEの運転状態が予混合燃焼領域中のEGRガス供給量が多い領域、すなわち図6中の領域Aに入っていると判定された場合は(YES)、ステップS12〜S15で、電動過給機21が駆動量Aで駆動される一方、パイロット噴射及びメイン噴射の燃料噴射形態及びEGRガス供給形態が、予混合燃焼用の形態から拡散燃焼用の形態に直ちにないしは急速に移行させられる。この場合は、吸気系内に残留しているEGRガスの量が多いので、電動過給機21を比較的大きい駆動量Aで駆動してEGRガスの掃気を促進するようにしている。
他方、ステップS30でエンジンEの運転状態が予混合燃焼領域中のEGRガス供給量が多い領域に入っていないと判定された場合(NO)、すなわち図6中の領域Bに入っていると判定された場合は、ステップS16で移行フラグFに1がセットされた後、ステップS17〜S20で、電動過給機21が駆動量Bで駆動される一方、パイロット噴射及びメイン噴射の燃料噴射形態及びEGRガス供給形態が、予混合燃焼用の形態から拡散燃焼用の形態に徐々に移行させられる。この場合は、吸気系内に残留しているEGRガスの量が少ないので、電動過給機21を比較的小さい第1駆動量で駆動するようにしている。その他の点は、図3及び図4に示す制御ルーチンと同様である。
以上、本発明の実施の形態に係るエンジンEによれば、予混合燃焼形態から拡散燃焼形態への移行時に、電動過給機21の駆動により、予混合燃焼時に供給され吸気系に残留しているEGRガスを迅速に排出して新気の供給量を増加させることができるので、運転状態を速やかに拡散燃焼形態へ移行させることができる。また、拡散燃焼開始時における、EGRガスの残留に起因する煤の発生を防止ないしは抑制することができ、かつ、エンジン出力を迅速に高めることができる。
本発明に係る過給装置を備えたディーゼルエンジンのシステム構成を示す模式図である。 図1に示すディーゼルエンジンの制御システムの構成を示すブロック図である。 図1に示すディーゼルエンジンの電動過給機制御の制御手順を示すフローチャートである。 図1に示すディーゼルエンジンの電動過給機制御の制御手順を示すフローチャートである。 図1に示すディーゼルエンジンの電動過給機制御の制御手順を示すフローチャートである。 図1に示すディーゼルエンジンの運転領域を、エンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータとする2次元座標系であらわした図である。 燃料の局所燃焼温度と局所等量比とをパラメータとする2次元座標系において、CO、HC、煤又はNOxが比較的多く発生する領域を示した図である。 予混合燃焼時における、燃焼前の燃焼室内の燃料、新気及びEGRガス並びに残留ガスの比率を概念的に示す図である。 拡散燃焼時における、燃焼前の燃焼室内の燃料及び新気並びに残留ガスの比率を概念的に示す図である。 (a)〜(c)は、予混合燃焼形態から拡散燃焼形態に急速に移行させる場合における、燃焼室内のEGRガスの比率、電動過給機の仕事量、並びに、パイロット噴射及びメイン噴射の噴射量及び噴射タイミングのクランク角に対する変化特性を概念的に示す図である。 (a)〜(e)は、予混合燃焼形態から拡散燃焼形態に緩慢に移行させる場合における、燃焼室内のEGRガスの比率、電動過給機の仕事量、並びに、パイロット噴射及びメイン噴射の噴射量及び噴射タイミングのクランク角に対する変化特性を概念的に示す図である。
符号の説明
E ディーゼルエンジン、C コントロールユニット、1 吸気弁、2 吸気ポート、3 燃焼室、4 ピストン、5 燃料噴射弁、6 排気弁、7 排気ポート、8 シリンダ、9 コネクチングロッド、10 クランクシャフト、11 エンジンスタータ、12 吸気弁開閉カム機構、13 吸気弁カム制御装置、14 排気弁開閉カム機構、15 排気弁カム制御装置、16 共通吸気通路、16a 第1分岐吸気通路、16b 第2分岐吸気通路、17 エアフローセンサ、18 吸気開閉弁、19 排気ターボ過給機、19a コンプレッサ、19b タービン、20 インタークーラ、21 電動過給機、22 逆止弁、23 サージタンク、24 独立吸気通路、25 吸気圧センサ、26 共通排気通路、27 フラップ、28 フラップアクチュエータ、30 排気ガス浄化触媒、31 パティキュレートフィルタ、32 ケーシング、33 第1温度センサ、34 第2温度センサ、35 排気開閉弁、36 高圧EGR装置、37 高圧EGR通路、38 高圧EGRクーラ、39 高圧EGR制御弁、41 低圧EGR装置、42 低圧EGR通路、43 低圧EGRクーラ、44 低圧EGR制御弁、51 エンジン回転数センサ、52 クランク角センサ、53 エンジン水温センサ、54 アクセル開度センサ、55 吸気温センサ。

Claims (4)

  1. 燃料噴射時期を圧縮上死点よりも早めるとともにEGRガスを供給して燃料を予混合燃焼させる予混合燃焼形態と、燃料噴射時期を圧縮上死点付近として燃料を拡散燃焼させる拡散燃焼形態とに燃焼形態を切換える燃焼形態切換手段と、
    電動過給機と、
    要求空気量が不足する状況下では上記電動過給機を駆動させる電動過給機制御手段とを備えているエンジンの過給装置であって、
    上記電動過給機制御手段は、予混合燃焼形態から拡散燃焼形態への移行時は、要求空気量が不足しない状況下でも上記電動過給機を駆動させることを特徴とするエンジンの過給装置。
  2. 予混合燃焼を行う運転領域中の低負荷側領域では高負荷側領域よりもEGRガスの供給量が少なく設定されていて、
    上記電動過給機制御手段は、エンジンの運転状態が上記低負荷側領域から拡散燃焼を行う運転領域へ移行するときには、上記電動過給機を第1の駆動量で駆動するとともに燃料噴射時期を徐々に圧縮上死点付近に変更する一方、上記高負荷側領域から拡散燃焼を行う運転領域へ移行するときには、上記電動過給機を上記第1の駆動量よりも大きい第2の駆動量で駆動するとともに燃料噴射時期を直ちに圧縮上死点付近に変更することを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの過給装置。
  3. 上記電動過給機制御手段は、エンジンの燃焼形態が予混合燃焼形態から拡散燃焼形態へ移行する際に、エンジンの加速度合が小さいときは、上記電動過給機の駆動により拡散燃焼に適したEGRガス量となった後に、燃料噴射時期を圧縮上死点付近に変更する一方、上記加速度合が大きいときは、上記電動過給機の駆動開始後直ちに燃料噴射時期を圧縮上死点付近に変更することを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの過給装置。
  4. アクセル開度に基づいて目標トルクを設定する目標トルク設定手段が設けられていて、
    上記燃焼形態切換手段は、目標トルク設定手段によって設定された目標トルクに基づいて予混合燃焼形態と拡散燃焼形態とを切換えることを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの過給装置。
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