JP2009191384A - 親水性繊維、及びこれを用いた親水性フィルター材 - Google Patents

親水性繊維、及びこれを用いた親水性フィルター材 Download PDF

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JP2009191384A JP2008031157A JP2008031157A JP2009191384A JP 2009191384 A JP2009191384 A JP 2009191384A JP 2008031157 A JP2008031157 A JP 2008031157A JP 2008031157 A JP2008031157 A JP 2008031157A JP 2009191384 A JP2009191384 A JP 2009191384A
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裕一郎 村山
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Abstract

【課題】本発明は、高い吸水性を有し、保水性、防汚性及びその持続性に優れた繊維の提供を目的とする。
【解決手段】特定構造を有する親水性ポリマーを含む親水性組成物で繊維を処理して得られる親水性繊維を使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維や紙の親水化に適した親水性組成物及びこれを用いて親水化した、高い親水性及び防汚性を有し吸水性に優れた、繊維及び繊維の加工品に関する。
吸水性に富む繊維や紙のニーズは多岐にわたっている。これらの応用製品としては、例えば、おむつ、生理用品、救急用品、ウエットティッシュ、化粧布、母乳パット、おしぼり、マスクなどが知られている。
吸水性に富む繊維や紙は繊維や紙を親水化することで吸水性を向上させている。繊維や紙の吸水性あるいは防汚性を改善する技術は、すでに種々提案され、これらをもとに製品化されているものも多い。
防汚性を改善した例としては、繊維表面にビニル系ポリマー及び多官能反応性化合物を付着させた防汚性布(例えば、特許文献1参照)を挙げることができる。繊維の親水化に関しては、アルキレンオキシド系界面活性剤を使用した親水性繊維(例えば、特許文献2参照)、アシル基及び水酸基を有する化合物を含有する処理剤(例えば、特許文献3参照)などを挙げることができる。親水性繊維製品の例としては、特定の吸水性ポリマーからなる快適おむつ(例えば、特許文献4参照)、水に不溶な吸水性繊維からなるパック化粧品(例えば、特許文献5参照)などを挙げることができる。
さらに、広範な一般部材を対象とした特定構造からなる親水性組成物が開示されている(例えば、特許文献6参照)。但し、繊維や布に適用した記載はない。
しかしながら、上記技術では、未だ吸水性、保水性及びその持続性(特に耐水性)が充分とは言えず、更なる改善が求められている。
特開2006−316360号公報 特開2007−107144号公報 特開2006−233405号公報 特開2007−244882号公報 特開2007−39438号公報 特開2007−269932号公報
本発明は、高い吸水性を有し、防汚性、保水性及びその持続性に優れた繊維及びこれを用いた親水性部材の提供を目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、下記手段により上記目的を達成できることを見出した。
[1]
下記一般式(I)または下記一般式(II)で表される構造をいずれか少なくとも1種含む親水性ポリマーを含有する親水性組成物で繊維を親水化処理して得られる親水性繊維。
Figure 2009191384
一般式(I)および一般式(II)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、Xは反応性基を表し、AおよびL、L,Lは、それぞれ独立に、単結合または連結基を示し、Yは−NHCOR、−CONH2、−CON(R2、−COR、−OH、−CO2M、−SO3M、−POM、−OPOM又は−N(R71を表し、ここで、Rはアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表し、Bは−NHCOR70、−CONH2、−CON(R702、−COR70、−OH、−CO2M、−SO3M、−POM、−OPOM、もしくは−N(R7010(ここで、R70はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z10はハロゲンイオンを表す)を表すか、または下記一般式(III)で表される構造を含む基を表す。
Figure 2009191384
一般式(III)中、R1、R2、L及びYは一般式(I)および一般式(II)中のそれらと同義である。
[2]
前記親水性ポリマーが下記一般式(I−2)または下記一般式(II−2)で表される構造をいずれか少なくとも1種含む親水性ポリマーである[1]に記載の親水性繊維。
Figure 2009191384
式中)DはOCH3、OCH2CH3、OCH2CH2CH3から選ばれる。A、B、X、Y、Lは前記一般式(I)、(II)、(III)中のそれらと同じである。
[3]
前記親水性ポリマーが下記式(I−3)または下記式(II−3)で表される構造をいずれか少なくとも1種含む親水性ポリマーである[1]または[2]に記載の親水性繊維。
Figure 2009191384
[4]
前記繊維が、綿、羊毛、麻、ポリエステル繊維、アクリル繊維のうちの少なくとも1種からなる[1]〜[3]のいずれかに記載の親水性繊維。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の親水性繊維を用いて得られる親水性フィルター材。
本発明は、親水性が極めて高く、防汚性及び吸水性に優れた繊維及び繊維の加工品を提供するものである。本発明の繊維及び繊維の加工品は、特に耐水性にも優れ、長期に水に浸漬させても吸水性が低下しない特徴をもつ。この作用は、本発明にかかる親水性ポリマーがポリマー内の親水性部位であるアミド基やアルコキシシリル基により繊維に吸着するとともに三次元架橋構造をもつため、長期にわたり水浸漬させても親水性組成物が溶け出さないことに基づくと考えられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の親水性繊維は、支持体である繊維または繊維布に親水性組成物を被覆した親水性部材であって、該親水性組成物は親水性ポリマーを含有する。
本発明の親水性繊維は、繊維または布を親水性ポリマー(A)を含む親水性組成物で親水化処理したのちに、加熱、乾燥させることにより作製することができる。
本発明の親水性組成物は、親水性ポリマー(A)の他に、必要に応じて、Si、Ti、Zn、Alから選択される金属元素(B)、触媒(C)、添加剤(D)を含有することができる。以下、これらの成分について詳述する。
〔(A)親水性ポリマー〕
本発明に使用される親水性ポリマーは親水性基を有するポリマーである。また、金属アルコキシド化合物と、触媒の作用等により結合を生じる基を有するポリマーであることが好ましい。
親水性ポリマーが架橋構造を有しており、末端で化学結合しているか、または、架橋構造物に化学結合した主鎖に親水性ポリマーが結合しているグラフトポリマー構造を有しているため、親水性ポリマー鎖の運動性が非常に高く、親水性に優れた親水性層を提供できる。
親水性ポリマーの親水性基としては、好ましくはカルボキシ基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩、ヒドロキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基等の官能基が挙げられる。これらの基は、ポリマー中のどの位置に存在しても良い。ポリマー主鎖より直接、または連結基を介し結合しているか、ポリマー側鎖やグラフト側鎖中に結合しており、複数個が存在するポリマー構造が好ましい。金属アルコキシド化合物と、触媒の作用により結合を生じる基としては、カルボキシル基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、無水カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メチロール基、メルカプト基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和基、エステル基、テトラゾール基などの反応性基が挙げられる。また親水性基、および金属アルコキシド化合物と触媒の作用等により結合を生じる基を有するポリマー構造としては、エチレン性不飽和基(例えばアクリレート基、メタクリレート基、イタコン酸基、クロトン酸基、桂皮酸基、スチレン基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基など)がビニル重合したポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミック酸などのような縮重合したポリマー、ポリウレタンなどのような付加重合したポリマーの他、セルロース、アミロース、キトサンなどの天然物環状ポリマー構造を好ましく挙げることができる。具体的には一般式(I)または(II)で表される構造を挙げられる。
Figure 2009191384
一般式(I)および(II)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8のもの)を表し、Xは反応性基(好ましくはカルボキシル基、その塩、無水カルボン酸基、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基)を表し、AおよびL1、L2,L3は、それぞれ独立に単結合または連結基を示し、Yは−NHCOR7、−CONH2、−CON(R72、−COR7、−OH、−CO2M、−SO3M、−PO3M、−OPO3M又は−N(R731を表し、ここで、R7はアルキル基(好ましくは炭素数1〜18のもの)、アリール基、またはアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表し、Bは−NHCOR70、−CONH2、−CON(R702、−COR70、−OH、−CO2M、−SO3M、−POM、−OPOM、もしくは−N(R7010(ここで、R70はアルキル基(好ましくは炭素数1〜18のもの)、アリール基、またはアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z10はハロゲンイオンを表す)を表すか、または下記一般式(III)で表される構造を含む基を表す。
Figure 2009191384
一般式(III)中、R1、R2、L1及びYは一般式(I)および(II)中のものと同じである。
より好ましくは、(A)親水性ポリマーは、下記一般式(I−2)または下記一般式(II−2)で表される構造をいずれか少なくとも1種含む親水性ポリマーである。
Figure 2009191384
式中)DはOCH3、OCH2CH3、OCH2CH2CH3から選ばれる。A、B、X、Y、Lは前記一般式(I)、(II)、(III)中のそれらと同じである。
また(A)親水性ポリマーは、下記一般式(IV−a)及び(IV−b)で表される構造を含む化合物であることも好ましい。
Figure 2009191384
一般式(IV−a)及び(IV−b)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基(好ましくは炭素数8以下)を表す。Lは単結合又は多価の有機連結基を表す。Lは単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。mは1〜3の整数を表す。x、yは組成比を表し、xは0<x<100、yは0<y<100であり、x+y=100となる数を表す。Xは−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
本発明で用いられる親水性ポリマーは、反応性基と親水性基を有する。反応性基は、主鎖の一つの末端のみに有する場合や、主鎖に複数個有する場合などがある。
「反応性基」は、金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合物に反応して化学結合を形成できる官能基を意味する。また、反応性基同士が化学結合を形成してもよい。親水性ポリマーは、水溶性であることが好ましく、金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合物と反応することにより水不溶性になることが好ましい。
化学結合は、通常の意味と同様に、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合を含む。化学結合は、共有結合であることが好ましい。
反応性基は、一般には、ポリマーの架橋剤に含まれる反応性基と同様であり、熱または光により架橋を形成できる化合物である。架橋剤について、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載がある。
反応性基の例は、カルボキシル(HOOC−)、その塩(MOOC−、Mはカチオン)、無水カルボン酸基(例えば、無水コハク酸、無水フタル酸または無水マレイン酸から誘導される一価の基)、アミノ(H2N−)、ヒドロキシル(HO−)、エポキシ基(例、グリシジル基)、メチロール(HO−CH2−)、メルカプト(HS−)、イソシアナート(OCN−)、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基を含む。反応性基としては、アルコキシシリル基が最も好ましい。片末端には、2以上の反応性基を有していてもよい。2以上の反応性基は、互いに異なっていてもよい。
親水性ポリマーの繰り返し単位と反応性基との間や、親水性ポリマーの繰り返し単位と主鎖に連結基が介在していることが好ましい。連結基AおよびL1、L2,L3は、それぞれ独立に単結合または、−O−、−S−、−CO−、−NH−、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、およびそれらの組合せから選ばれることが好ましい。連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NH−、あるいは、−O−、−S−、−CO−、−NH−を含む組合せであることが好ましい。
(一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマー)
一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマーは、片末端に反応性基を有する親水性ポリマーであり、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter (Macromolecules1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、親水性モノマー(例、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸3−スルホプロピルのカリウム塩)をラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基(例、カルボキシル)を有するラジカル重合開始剤を用いて、親水性モノマー(例、アクリルアミド)をラジカル重合させてもよい。
片末端に反応性基を有する親水性ポリマーの質量平均分子量は、100万以下が好ましく、1000乃至100万がさらに好ましく、2000乃至10万が最も好ましい。
上記一般式(I)において、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表す。炭化水素基としては、炭素数8以下のものが好ましく、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数8以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。R1、R2は、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては好ましくは炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、より好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができ、さらに好ましくは炭素原子数1から8までの直鎖状、炭素原子数3から8までの分岐状ならびに炭素原子数5から8までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルアバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
AおよびL1は単結合又は有機連結基を表す。ここで、AおよびL1が有機連結基を表す場合、AおよびL1は非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、0個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、0個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2009191384
また、Yは−NHCOR7、−CONH2、−CON(R72、−COR7、−OH、−CO2M、−SO3M、−PO3M、−OPO3M又は−N(R731を表し、ここで、R7は、直鎖(好ましくは炭素数1〜18)、分岐又は環状のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表す。また、−CON(R72のように複数のR7を有する場合、R7同士が結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R7はさらに置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R1、R2がアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
7としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。また、Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。Yとしては、具体的には、−NHCOCH3、−CONH2、−COOH、−SO3 -NMe4 +、モルホリル基等が好ましい。
本発明に好適に用い得る一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマーの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009191384
Figure 2009191384
Figure 2009191384
Figure 2009191384
上記に例示した親水性ポリマーは、下記一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(ii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤を用いてラジカル重合することにより合成することができる。シランカップリング剤(ii)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
Figure 2009191384
上記式(i)及び(ii)において、A、R1、R2、L1、Yは、上記式(I)と同義である。また、これらの化合物は、市販されおり、また容易に合成することもできる。
前記一般式(I)で表される構造を含む親水性ポリマーは下記式(I−3)で表される構造を含むものが特に好ましい。
Figure 2009191384
(一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマー)
一般式(II)で表される構造を含む親水性ポリマー(特定親水性ポリマー(II)ともいう)は、反応性基を複数個有する親水性ポリマーであり、金属アルコキシドと反応し得る官能基を有する幹ポリマーに親水性ポリマー側鎖を導入してなる親水性グラフトポリマーを用いることができる。
一般式(II)において、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、上記式(I)のR1、R2と同様の置換基を表す。L、L3は、前記一般式(I)のL1と同義である。Bは、前記一般式(III)で表され、一般式(III)中の、R1、R2、L1及びYは式(I)および(II)中のものと同じである。Xは前記一般式(I)と同義である。
この親水性グラフトポリマーは、一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用いて合成することができる。具体的には、一般的なグラフト重合体の合成方法は、“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和52年発行、高分子刊行会、および“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995、に記載されており、これらを適用することができる。
グラフト重合体の合成方法としては、基本的に1.幹高分子から枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に枝高分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重合させる(マクロマー法)という3つの方法に分けられる。これらの3つの方法のうち、いずれを使用しても本発明に用いる親水性グラフトポリマーを合成することができるが、特に製造適性、膜構造の制御という観点からは「3.マクロマー法」が優れている。
マクロモノマーを使用したグラフトポリマーの合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載されている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されている。本発明に使用されるグラフトポリマーは、まず、前記の方法により合成した親水性のマクロモノマー(親水性ポリマー側鎖の前駆体に相当する)と架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマーとを共重合することにより、合成することができる。
(親水性マクロモノマー)
本発明で使用される親水性マクロモノマーのうち特に有用なものは、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、およびその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系マクロモノマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基もしくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖もしくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。これらのマクロモノマーのうち有用な高分子の質量平均分子量(以下、単に分子量と称する)は400〜10万の範囲であり、好ましい範囲は1000〜5万、特に好ましい範囲は1500〜2万である。分子量が400以上であれば有効な親水性が得られ、また10万以下であれば主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が高くなる傾向があり、いずれも好ましい。
親水性マクロモノマーと共重合可能でかつ架橋剤と反応し得る官能基(以下、適宜、反応性官能基と称する)を有するモノマーの反応性官能基としては、カルボキシル基あるいはその塩、アミノ基、水酸基、フェノール性水酸基、グリシジルなどのエポキシ基、メチル基、(ブロック)イソシアネート基、シランカップリング剤等が挙げられる。一般的なモノマーとしては、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊〔1981〕、「紫外線硬化システム」加藤清視著、総合技術センター刊〔1989〕、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」加藤清視著、高分子刊行会〔1985〕、「新・感光性樹脂の実際技術」赤松清著、シーエムシー刊行(102−145頁)〔1987〕等に記載されているモノマーが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、下記式(1)で表される如きフェノール性水酸基含有モノマー、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、N−メチロールメタクリルアミド、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、また、下記式(2)で例示されるようなブロックイソシアネートモノマー等のブロックイソシアネートモノマー、ビニルアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランなどが挙げられる。
Figure 2009191384
これらのグラフトポリマーとしては、質量平均分子量が100万以下のものが好ましく用いられ、分子量1000〜100万、さらに好ましくは2万〜10万の範囲のものである。分子量が100万以下であれば親水性被膜形成用親水処理液を調製する際に溶媒への溶解性が悪化することなく、親水処理液粘度が低くなり、均一な被膜を形成し易いなどハンドリング性に問題がなく、好ましい。
上記親水性ポリマーは、式中Yで表される親水性を発現する親水性官能基を有しており、この官能基の密度が高いほど表面親水性が高くなり好ましい。親水性官能基密度は、親水性ポリマー1g当たりの官能基モル数で表すことができ、0.1〜70meq/gが好ましく、より好ましくは0.5〜60meq/g、最も好ましくは1〜50meq/gである。
親水性ポリマー(II)の組成比は、親水性官能基Yの量が上記範囲内になるように任意に設定することができる。好ましくは、Bを含有するモノマーのモル比(m)とXを含有するモノマーのモル比(n)が、m/n=30/70〜99/1の範囲が好ましく、m/n=40/60〜98/2がより好ましく、m/n=50/50〜97/3が最も好ましい。mがm/n=30/70以上の比率であれば親水性が不足することなく、一方、nがm/n=99/1以上の比率であれば、反応性基量が十分量となり、十分な硬化が得られ、膜強度も十分なものとなる。
上記親水性ポリマーは、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と混合した状態で架橋被膜を形成する。有機成分である親水性ポリマーは、被膜強度や被膜柔軟性に対して関与しており、特に、親水性ポリマーの粘度が0.1〜100cPs(5%水溶液、25℃測定)、好ましくは0.5〜70cPs、さらに好ましくは1〜50cPsの範囲にあると、良好な膜物性を与える。
(一般式(IV−a)または(IV−b)で表される構造を含む親水性ポリマー)
本発明で使用することのできる(A)親水性ポリマーは、下記一般式(IV−a)または(IV−b)で示される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2009191384
一般式(IV−a)及び(IV−b)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表す。Lは単結合又は多価の有機連結基を表す。Lは単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。mは1〜3の整数を表す。x、yは組成比を表し、xは0<x<100、yは0<y<100であり、x+y=100となる数を表す。Xは−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
〜Rが炭化水素基を表す場合の炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜8であり、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
〜Rは、効果および入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、
アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(−PO)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホルノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、R〜Rにおいて挙げたアルキル基が同様に挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては好ましくは炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、より好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができ、さらに好ましくは炭素原子数1から8までの直鎖状、炭素原子数3から8までの分岐状ならびに炭素原子数5から8までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
は単結合又は多価の有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマーの主鎖とXが連結鎖なしに直接結合していることを表す。さらに、有機連結基とは非金属原子からなる連結基を示し、具体的には、0個から200個までの炭素原子、0個から150個までの窒素原子、0個から200個までの酸素原子、0個から400個までの水素原子、および0個から100個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2009191384
また、Lはポリマー又はオリゴマーから形成されていてもよく、具体的には不飽和二重結合系モノマーからなるポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニル、ポリスチレンなどを含むことが好ましく、その他の好ましい例として、ポリ(オキシアルキレン)、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミノ酸、ポリシロキサン等が挙げられ、好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニル、ポリスチレンが挙げられ、より好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレートである。
これらポリマー及びオリゴマーに用いられる構造単位は1種類でもよく、2種類以上であってもよい。また、Lがポリマーまたはオリゴマーの場合は構成する元素数に制限は特になく、分子量は1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
は単結合又は−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−、−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する多価の有機連結基を表す。ここで、単結合とはポリマー主鎖とSi原子が連結基なしに直接結合していることを表す。また、L中に、前記構造は2つ以上存在してもよく、その場合には、互いに同じものでも、異なるものであってもよい。前記構造を1つ以上含むのであれば、他の構造はLで挙げられたものと同様の構造を有することができる。
また、Xは親水基であって、−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基を表し、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rは、直鎖(好ましくは炭素数1〜8)、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。また、−CON(R)(R)、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SON(R)(R)−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、−PO(R)(R)、−N(R)(R)(R)又は−N(R)(R)(R)(R)についてR〜Rがお互い結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R〜Rはさらに置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R〜Rがアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
、R又はRとしては具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
、Rとしては具体的には、R〜Rで挙げられるアルキル基の他に、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、または、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。
としては具体的には、R〜Rで挙げられるアルキル基の他に、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;硝酸アニオン、硫酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等の無機アニオン、メタンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等の有機アニオンが挙げられる。
また、このようなXとしては具体的には、−CO Na、−CONH、−SO Na、−SONH、−PO等が好ましい。
x及びyは(A)親水性ポリマーにおける、一般式(IV−a)で表される構造単位と一般式(IV−b)で表される構造単位の組成比を表す。xは0<x<100、yは0<y<100であり、x+y=100となる数を表す。重合モル比x:yは、50:50〜90:10の範囲であることが好ましく、70:30〜90:10の範囲であることがさらに好ましい。成分aを50%以上とすることにより、高い親水性が発現され、成分bを50%以上とすることにより、架橋が充分になる。
なお、ここで、ポリマー鎖を構成する構造単位である(IV−a)及び(IV−b)は、それぞれすべて同じものであっても、異なる複数の構造単位を含むものであってもよく、その場合、一般式(IV−a)に相当する構造単位と一般式(IV−b)に相当する構造単位の重合モル比が上記範囲であることが好ましい。
以下に、特定親水性ポリマー(II)の具体例をその質量平均分子量(M.W.)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例のポリマーは、記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体であることを意味する。
Figure 2009191384
Figure 2009191384
Figure 2009191384
Figure 2009191384
Figure 2009191384
一般式(II)で表される構造を有する親水性ポリマーは、下記式(II−3)で表される構造を有するものが好ましい。
Figure 2009191384
特に下記化合物AおよびBが好ましい。
Figure 2009191384
特定親水性ポリマー(II)を合成する各化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。
特定親水性ポリマー(II)を合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局) 等に記載されており、これらを適用することができる。
また、特定親水性ポリマー(II)は、後述するような他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−またはi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−またはi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
共重合体の合成に使用されるこれらの他のモノマーの割合は、諸物性の改良に十分な量である必要があるが、親水性膜としての機能が十分であり、(A)親水性ポリマーを添加する利点を十分得るために、割合は大きすぎないほうが好ましい。従って、(A)親水性ポリマー中の他のモノマーの好ましい総割合は80質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以下である。
(A)親水性ポリマーの分子量としては、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
本発明に係る繊維や紙などの基材に被着した親水性膜中の(A)親水性ポリマーの含量は、本発明の親水性組成物の不揮発性成分に対して、硬化性と親水性の観点から、50質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であることが好ましい。含量を高くすることにより、充分な親水性と架橋性を確保できる。これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。ここで、不揮発成分とは、揮発する溶媒を除いた成分をいう。
〔(B)Si、Ti、Zn、Alから選択される金属元素〕
親水性繊維に好適に含有される(B)Si、Ti、Zn、Alから選択される金属元素は、Si、Ti、Zn、Alから選択される金属元素のアルコキシド化合物(以下金属アルコキシド化合物またはアルコキシド化合物と称する場合がある)を親水性組成物に添加することにより用いることが好ましい。
金属アルコキシド化合物はその構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、(A)親水性ポリマーと縮重合することで、架橋構造を有する強固な被膜を形成する。
また、金属アルコキシド化合物を加水分解、縮重合した架橋構造は、架橋密度の高い硬化膜であり、強度に優れた耐久性の良い被膜を形成する。
(B)金属アルコキシド化合物は、下記一般式(IV)で表される化合物であることがより好ましく、親水性膜を硬化させるために、架橋構造を形成するにあたっては、前記(A)親水性ポリマー、及び一般式(IV)で表される(B)金属アルコキシド化合物を混合して支持体表面に被覆し、加熱、乾燥することが好ましい。
Figure 2009191384
一般式(IV)中、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R10はアルキル基又はアリール基を表し、YはSi、Al、Ti又はZrを表し、kは0〜2の整数を表す。R及びR10がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
以下に、一般式(IV)で表される(B)金属アルコキシド化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。YがSiの場合、即ち、金属アルコキシド化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトルイメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
YがAlである場合、即ち、金属アルコキシド化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
YがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
YがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
これらの中でも、YがSiであるアルコキシドが被膜性の観点から好ましい。
本発明に係る(B)金属アルコキシド化合物は、単独で用いても2種以上併用してもよい。
(B)金属アルコキシド化合物は、本発明の親水性組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜70質量%の範囲で使用される。
金属アルコキシド化合物は市販品が容易に入手できるし、公知の合成方法、たとえば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
〔(C)触媒〕
本発明の親水性組成物においては、(A)親水性ポリマー、(B)金属アルコキシド化合物などの架橋成分を溶媒に溶解し、よく攪拌することで、これらの成分が加水分解、重縮合し、有機−無機複合体ゾル液が形成され、このゾル溶液によって、高い親水性と高い膜強度を有する親水性膜が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために(C)触媒を用いることが好ましい。触媒を使用することにより、親水性層被膜形成するための乾燥温度を低く設定することが可能であり、支持体繊維や布の熱変形を抑制できる。
本発明で用いられる(C)触媒としては、前記(B)アルコキシド化合物を加水分解、重縮合し、(A)親水性ポリマーと結合を生起させる反応を促進する触媒が選択され、酸、あるいは塩基性化合物をそのまま用いるか、又は、酸、あるいは塩基性化合物を水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)を用いる。酸、あるいは塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には乾燥後に被膜中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
また、前記の触媒の他に金属錯体からなるルイス酸触媒もまた好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、Sr、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素、Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトンまたはアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系親水処理液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、親水処理液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、被着後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより親水処理液経時安定性及び被膜面質の改善と、高親水性、高耐久性の、いずれも満足させるに至った。
(C)触媒は、本発明の親水性組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは0〜50質量%、更に好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。また、(C)触媒は、単独で用いても2種以上併用してもよい。
本発明に用いられる親水性組成物は(A)親水性ポリマー、好ましくは(B)金属アルコキシド、(C)触媒を含有することが好ましく、更に目的に応じて種々の化合物を、本発明の効果を損なわない限りにおいて併用することができる。以下、併用しうる成分((D)添加剤)について説明する。
〔(D)添加剤〕
(界面活性剤)
本発明においては、前記親水性組成物の被膜面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号及び同60−168144号の各公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、本発明の親水性組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で使用される。また、界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(無機微粒子)
本発明に用いられる親水性組成物には、形成される親水性膜の硬化被膜強度向上及び親水性向上のために無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が、好ましくは5nm〜10μm、より好ましくは0.5〜3μmであるのがよい。上記範囲であると、親水層中に安定に分散して、親水層の膜強度を十分に保持し、親水性に優れる膜を形成することができる。上述したような無機微粒子はコロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
本発明に係る無機微粒子は、本発明の親水性組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下の範囲で使用される。また、無機微粒子は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(酸化防止剤)
本発明の親水性部材の安定性向上のため、親水性層形成用親水化処理液に酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8質量%であることが好ましい。
(高分子化合物)
本発明の親水性部材の親水性層形成用親水化処理液には、親水性層の膜物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合体が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、基板への密着性を改善するために、親水性を阻害しない範囲でタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
〔抗菌剤〕
本発明の親水性繊維に抗菌性、防カビ性、防藻性を付与するために、親水化処理液組成物に抗菌剤を含有させることができる。親水性層の形成において、親水性、水溶性抗菌剤を含有させることが好ましい。親水性、水溶性抗菌剤を含有させることにより、表面親水性を損なうことなく抗菌性、防カビ性、防藻性に優れた表面親水性部材が得られる。
抗菌剤としては、親水性部材の親水性を低下させない化合物を添加することが好ましく、そのような抗菌剤としては、無機系抗菌剤または、水溶性の有機系抗菌剤が挙げられる。抗菌剤としては、黄色ブドウ球菌や大腸菌に代表される細菌類や、かび,酵母などの真菌類など、身の回りに存在する菌類に対して殺菌効果を発揮するものが用いられる。
有機系の抗菌剤としては、フェノールエーテル誘導体,イミダゾール誘導体,スルホン誘導体,N・ハロアルキルチオ化合物,アニリド誘導体,ピロール誘導体,第4アンモニウム塩、ピリジン系、トリアジン系、ベンゾイソチアゾリン系、イソチアゾリン系などが挙げられる。
例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−フルオルジクロロメチルチオ−フタルイミド、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N−トリクロロメチルチオ−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、8−キノリン酸銅、ビス(トリブチル錫)オキシド、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール〈以後、TBZと表示〉、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル〈以後、BCMと表示〉、10,10'−オキシビスフェノキシアルシン〈以後、OBPAと表示〉、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォン)ピリジン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛〈以後、ZPTと表示〉、N,N−ジメチル−N'−(フルオロジクロロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド〈ジクロルフルアニド〉、ポリ−(ヘキサメチレンビグアニド)ハイドロクロライド、ジチオ−2−2'−ビス(ベンズメチルアミド)、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ヘキサヒドロ−1,3−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン、p−クロロ−m−キシレノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
これら有機系の抗菌剤は、親水性、耐水性、昇華性、安全性等を考慮し、適宜選択して使用することができる。有機系抗菌剤中では、親水性、抗菌効果、コストの点から2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、TBZ、BCM、OBPA、ZPTが好ましい。
無機系の抗菌剤としては、殺菌作用の高い順に、水銀,銀,銅,亜鉛,鉄,鉛,ビスマスなどが挙げられる。例えば、銀、銅、亜鉛、ニッケル等の金属や金属イオンをケイ酸塩系担体、リン酸塩系担体、酸化物、ガラスやチタン酸カリウム、アミノ酸等に担持させたものが挙げられる。たとえばゼオライト系抗菌剤、ケイ酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、リン酸カルシウム抗菌剤、酸化亜鉛系抗菌剤、溶解性ガラス系抗菌剤、シリカゲル系抗菌剤、活性炭系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、チタニア系抗菌剤、有機金属系抗菌剤、イオン交換体セラミックス系抗菌剤、層状リン酸塩−四級アンモニウム塩系抗菌剤、抗菌ステンレス等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
天然系抗菌剤としては、カニやエビの甲殻等に含まれるキチンを加水分解して得られる塩基性多糖類のキトサンがある。
本発明には、アミノ酸の両側に金属を複合させたアミノメタルから成る日鉱の「商品名ホロンキラービースセラ」が好ましい。
これらは蒸散性ではなく、また、親水層のポリマーや架橋剤成分と相互作用しやすく、安定に分子分散あるいは固体分散可能であり、親水層表面に抗菌剤が効果的に露出しやすく、かつ、水がかかっても溶出することなく、効果を長期間持続させることができ、人体に影響を及ぼすこともない。また、親水層や親水化処理液に対して安定に分散することができ、親水層や親水化処理液の劣化もおこらない。
上記抗菌剤の中では、抗菌効果が大きいことから、銀系無機抗菌剤と水溶性有機抗菌剤が最も好ましい。特にケイ酸塩系担体であるゼオライトに銀を担持させた銀ゼオライトやシリカゲルに銀を担持させた抗菌剤や2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、TPN、TBZ、BCM、OBPA、ZPTが好ましい。特に好ましい市販の銀ゼオライト系抗菌剤としては、品川燃料の「ゼオミック」や富士シリシア化学の「シルウェル」や日本電子材料の「バクテノン」等がある。その他、銀を無機イオン交換体セラミックスに担持させた東亜合成の「ノバロン」や触媒化成工業の「アトミーボール」やトリアジン系抗菌剤の「サンアイバックP」も好ましい。
抗菌剤の含有量は、一般的には0.001〜10質量%であるが、0.005〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.02〜1.5質量%が特に好ましく、0.05〜1質量%が最も好ましい。含有量が0.001質量%以上であれば効果的な抗菌効果を得ることができる。また、含有量が10質量%以下であれば親水性も低下せず、かつ経時性も悪化せず、防汚性、防曇性に悪影響を及ぼさない。
〔親水性組成物の調製〕
本願に用いられる親水性組成物の調製方法について記述する。
親水性組成物(親水化処理液とも言う)の調製は、好ましくは(A)親水性ポリマー、(B)金属アルコキシド化合物及び(C)触媒、更に好ましくは(D)添加剤を溶媒に溶解後、攪拌することで実施できる。(C)触媒は基材に親水性組成物を被着する直前に混合することが好ましい。具体的には(C)触媒の混合直後〜1時間以内で被着することが好ましい。なお、上記のように溶媒を含む親水性組成物は親水化処理液とも称している。
(C)触媒を混合し、長時間放置したのちに被着すると親水性組成物の粘度があがり、被着むら等の欠陥を生じることがある。
その他の成分も被着直前に混合することが好ましいが混合後、長時間保存してもかまわない。
調製における反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましく、この攪拌により(A)及び(B)成分の加水分解・重縮合を進行させて、有機無機複合体ゾル液を得ることができる。
前記親水性組成物を調製する際に用いる溶媒としては、これらを均一に、溶解、分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、水等の水系溶媒が好ましい。
以上述べたように、親水性組成物により親水性膜を形成するための有機無機複合体ゾル液の調製は、ゾルゲル法を利用している。ゾルゲル法については、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島硯「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述され、それらに記載の方法を本発明において親水性組成物の調製に適用することができる。
〔親水化処理の方法〕
親水化処理方法としては公知の方法を用いことができる。例えば、繊維部材に対して0.01〜10%の範囲で親水性組成物を被着させる方法として、浸漬法、スプレー法、ローラー法があり、紡糸や延伸工程で付着させる方法もある。
親水性被着膜の形成において、親水性組成物を被着した後の加熱、乾燥条件としては、高密度の架橋構造を効率よく形成するといった観点からは、乾燥温度を10〜150℃とすることが好ましく、25〜100℃とすることがさらに好ましい。乾燥温度が低いと十分な架橋反応が進まず被膜強度が低くなり、温度が高すぎると被膜のひび割れを生じやすく部分的に防曇性が不十分になる。乾燥時間は5分〜1時間が好ましい。更に好ましくは10分〜30分間である。乾燥時間が短いと乾燥不十分により被膜強度が低下することがある。必要以上に乾燥時間を長くしすぎると基材が劣化したりする。
親水性被膜の厚さは、0.1μm〜10μmが好ましく、さらに好ましくは0.5μm〜2μmである。膜厚が0.1μm以上の場合は、十分な親水性、耐久性が得られ好ましく、膜厚が10μm以下の場合は、乾燥むらなど製膜性に問題を来たすことがなく、好ましい。
〔繊維〕
本発明に用いることができる繊維は特に限定されないが公知の天然繊維、化学繊維、無機繊維、金属繊維を用いることができる。以下にその具体例をあげる。
天然繊維としては木材パルプ、綿、カポック、麻、リネン、ラミー、大麻、ジュート、ヤシ、イグサ、バショウ、サボテンなどから得られる植物繊維、羊毛、カシミヤ、モヘヤ、アルパカ、ヤク、ラクダ、ウサギ、蚕、羽毛などから得られる動物繊維が挙げられる。
化学繊維としてはレーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等の再生セルロース系繊維、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、酢酸セルロース、硝酸セルロース、燐酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリカプロラクトン変性セルロースアセテートなどのアセテート類、プロミックスなどのタンパク質類などの半合成繊維、ナイロン6、ナイロン66などの脂肪族ポリアミド、全芳香族系のアラミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCHDT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、全芳香族ポリエステル(ポリアリレート)などのポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、イタコン酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド及びこれらの共重合体からなるアクリル系繊維、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、メタリルスルホン酸、ビニルアルコール、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸などのビニル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、その他ポリウレタン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリイミド繊維、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリ尿素繊維がある。また必要に応じて前記の繊維を共重合したものでもよい。
無機系繊維としてはガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイト繊維、ポロン繊維、チラノ繊維、無機ウイスカー、岩石繊維、スラグファイバーなどがある。金属繊維としては金系、銀系、銅系、スチール系及び合金系がある。
本発明に好ましい繊維としては本発明の親水性組成物との濡れ性がよく繊維表面を十分に親水化できるものが好ましい。天然繊維のなかでは綿、麻、羊毛が好ましい。特に好ましくは綿である。化学繊維の中で好ましいものはポリエステル系、アクリル系である。ポリエステルのなかでも特に好ましくはPET繊維である。アクリル系繊維の中でも特に好ましくはポリアクリル酸繊維、ポリアクリルアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維及びこれらの共重合体である。
これらの好ましい繊維と本願の親水性ポリマーとは濡れ性がよいため、特にこの組み合わせは織り込んだ繊維内部の極めて小さい細孔まで繊維表面を親水化できることで毛細管現象による吸水効果が極めて高い特徴をもつ。更に前記式(I−2)、(II−2)、(I−3)、(II−3)に示したようなアルコシキシシリル基を有する親水性ポリマーと組み合わせることで予想外に耐水性性も優れる特徴がある。これはアルコキシシリル基が加水分解してできる架橋構造により吸水しても親水ポリマーが溶け出さずに親水性を維持できているためと考えられる。
本発明に用いることのできる繊維は、繊度0.1〜15デニールであることが好ましい。0.1デニール未満であると繊維が緻密になりすぎて吸水経路が小さくなり十分な吸水性が得られないことがある。15デニールより大きいと繊維中の毛細管効果が小さく十分な吸水性が得られないことがある。
本発明に用いることのできる繊維は、引っ張り弾性率が2GPa〜30GPaであることが好ましい。2GPaより小さいと衣類等の強度が小さく繊維としての性能が発揮しないことがある。30Gpaより大きいと紡糸しにくくなることがある。より好ましくは5GPa〜15GPaである。
本発明に用いることのできる繊維は、破断伸びが5%〜100%であることが好ましい。5%より小さいと強度が小さく繊維としての性能が発揮しないことがある。100%よりも大きいと繊維が柔らかくなりすぎることがあり、よごれが付着しやすくなることがある。
本発明に用いることのできる繊維は、ガラス転移温度100℃〜300℃であることが好ましい。100℃より低いと耐熱性の低い繊維となり繊維としての種々の問題が発生することがある。300℃よりも高いと紡糸しにくくなることがある。より好ましくは150〜250℃である。
本発明に用いることのできる繊維は、固有粘度[η]が、1.0dl/g〜3.0dl/gであることが好ましい。1.0dl/gより低いと強度が低下することがある。3.0dl/gよりも大きいと紡糸しにくいことがある。より好ましくは1.5〜2.5dl/gである。
〔親水性部材の用途例〕
本発明の親水性部材は繊維、紙そのものとして用いてもよいが加工したものでもよい。具体的例としては、各種加工を施したシート状の織物、編み物、不織布、フェルト、キルティングなどが挙げられる。なお、本発明では、各種加工を施したシート状のものを布と総称している。これらの繊維を用いた製品としてはおむつ、生理用品、救急用品、ウエットティッシュ、化粧布、母乳パット、おしぼり、マスクなどが挙げられる。親水性繊維を紡糸した釣り糸や魚網に加工したものにも適用できる。
また、本発明の親水性部材は各種フィルター、ろ材へも好ましく適用できる。フィルターとしては汚水などの各種流体をろ過するものやエアーフィルター、オイルフィルターなどにも応用が可能である。用途例としては自動車用、エアコン、レンジフードなどの電化製品用、水性インクの充填材として文具などにも適用することができるがこれらに限定されるものではない。
以下本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
表1記載の親水ポリマー及びその他の成分からなる総固形分100部に、蒸留水400部、エタノール70部を加え、25℃で30分間攪拌し親水性組成物を得た。
次いで表1に記載の部材を中性洗剤に5分間浸漬させたのち水洗し、洗浄処理を行った。洗浄した基材1部に対して100部の親水性組成物の割合で10時間浸漬させたのちに100℃10分間加熱乾燥を行った。得られた親水性部材を下記方法で評価した。
<評価法>
(吸水性)
得られた親水性部材をメチレンブルー0.1質量%蒸留水溶液に浸漬し、目視にて吸水速度を評価し比較例1との相対評価をした。結果は部材前面が青色になるまでの時間から下記のランクで表した。なお、ポリエステル製釣り糸の吸水性は評価しなかった。
優秀:青色になるまでの時間が比較例1の3/4未満のもの。
良好:青色になるまでの時間が比較例1の3/4以上2倍未満のもの。
不良:青色になるまでの時間が比較例1の2倍以上のもの。
(防汚性)
機械油100部に対してカーボンブラック10部を混合させた擬似汚れ物を得られた親水性部材100部に対して50部の割合で均一に表面付着させたのち流速10L/hrの水道水で洗い流し、擬似汚れ物の残存量を目視観察し、以下のランクで評価した。
優秀:汚れなし
良好:全体の半分以上の汚れは除去されている
不良:全体の半分以上の汚れが除去されていない
(耐水性)
80℃に温調した水道水中に500時間浸漬させたのち90℃5分間乾燥させたものを上記の防汚性と同様の方法で評価した。
上記評価方法に従った評価結果を表1に示す。
〔実施例2〜12、比較例1〜9〕
親水ポリマー、その他の成分、部材を表1記載のものにした以外は実施例1と同様に試料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 2009191384
表1における親水ポリマーは下記のとおりである。
化合物A:下記式1の成分a/bの共重合比=80/20モル比(Mw42000)
化合物B:下記式1の成分a/bの共重合比=70/30モル比(Mw45000)
化合物C: 下記式2の化合物
化合物D:ポリビニルアルコール(Mw40000)
化合物E:ポリアクリル酸(Mw45000)
Figure 2009191384
Figure 2009191384
部材は下記のとおりである。
ポリエステル製フィルター孔径:1μm
ポリエステル布:厚み約1mm
アクリル製布:厚み約1mm
麻ひも:約1mmφ
ポリエステル製釣り糸:0.5mmφ
羊毛布:厚み約1mm
また、その他の成分のTMOSはテトラメトキシシランである。
表1から明らかなように、本発明の親水性組成物を用いた親水性部材は吸水性、耐水性、防汚性に優れる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)または下記一般式(II)で表される構造をいずれか少なくとも1種含む親水性ポリマーを含有する親水性組成物で繊維を親水化処理して得られる親水性繊維。
    Figure 2009191384
    一般式(I)および一般式(II)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、Xは反応性基を表し、AおよびL、L,Lは、それぞれ独立に、単結合または連結基を示し、Yは−NHCOR、−CONH2、−CON(R2、−COR、−OH、−CO2M、−SO3M、−POM、−OPOM又は−N(R71を表し、ここで、Rはアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z1はハロゲンイオンを表し、Bは−NHCOR70、−CONH2、−CON(R702、−COR70、−OH、−CO2M、−SO3M、−POM、−OPOM、もしくは−N(R7010(ここで、R70はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表し、Z10はハロゲンイオンを表す)を表すか、または下記一般式(III)で表される構造を含む基を表す。
    Figure 2009191384
    一般式(III)中、R1、R2、L及びYは一般式(I)および一般式(II)中のそれらと同義である。
  2. 前記親水性ポリマーが下記一般式(I−2)または下記一般式(II−2)で表される構造をいずれか少なくとも1種含む親水性ポリマーである請求項1に記載の親水性繊維。
    Figure 2009191384
    式中)DはOCH3、OCH2CH3、OCH2CH2CH3から選ばれる。A、B、X、Y、Lは前記一般式(I)、(II)、(III)中のそれらと同じである。
  3. 前記親水性ポリマーが下記式(I−3)または下記式(II−3)で表される構造をいずれか少なくとも1種含む親水性ポリマーである請求項1または2に記載の親水性繊維。
    Figure 2009191384
  4. 前記繊維が、綿、羊毛、麻、ポリエステル繊維、アクリル繊維のうちの少なくとも1種からなる請求項1〜3のいずれかに記載の親水性繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の親水性繊維を用いて得られる親水性フィルター材。
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