JP2009190236A - プラスチックフィルム、シート部材およびその製造方法 - Google Patents

プラスチックフィルム、シート部材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】強度を確保しつつ多孔質構造としたプラスチックフィルム、シート部材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の空孔が形成された多孔質構造のプラスチックフィルムであって、上記プラスチックフィルムの両側の表面もしくは片側の表面から少なくとも10ナノメートル以上の深さであって、いくつかの上記空孔が連結してなる連結孔が表面に露出するように形成された表面層103と、上記表面層103より内側もしくは下側の部分であって、各上記空孔が独立してなる独立孔が形成された内部層102と、上記内部層102より内側もしくは下側の部分であって、上記空孔が形成されない基部層101とを有するシート部材が提供される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属膜との密着性に優れ、機械的強度低下の少ない多孔質構造を有する高周波回路基板に適したプラスチックフィルム、シート部材およびその製造方法に関する。
従来、ポリマー部材(ポリマー成形品)の表面に安価に金属膜を形成する方法としては、無電解メッキ法が知られている。しかしながら、無電解メッキ法では、メッキ膜の密着を確保するために、無電解メッキの前処理として、六価クロム酸や過マンガン酸等の環境負荷の大きい酸化剤を用いてポリマー部材表面をエッチングし、ポリマー部材の表面を粗化する必要がある。また、これらのエッチング液は、中和等の後処理が必要となるため、コスト高の一因になる。また、欧州では、電気・電子製品に含まれる特定有害物質を規制するRoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electric equipment)指令が制定され、材料・部品供給メーカーは、2006年7月1日以降欧州市場に投入される新しい電気・電子機器には六価クロム等が含まれていないことを保証しなければならない。このように、従来のプラスチックの無電解メッキプロセスは、環境負荷が大きいなどの課題があり、代替技術への移行が必須課題となっている。
また、現在、工業レベルで無電解メッキ法により金属膜を形成できるポリマー基材は、ABSに略限定されている。ABSは、それに含まれるブタジエンゴム成分がエッチング液に選択的に浸漬されるので、表面に凹凸(アンカー)を形成することができる。その他のポリマーでは、エッチング液に選択的に酸化される成分が少ないため、基材表面に凹凸(アンカー)を均一に形成することが難しい。そのため、ABS以外のポリマーであるポリカーボネート等では、無電解メッキを可能にするために、ABSやエラストマーを混合してアロイ化する。このアロイ化したポリカーボネート等は、メッキグレードとして市販されているが、主材料に比べて耐熱性が低下する等の物性の劣化が生じているため、耐熱性を要求されるような製品に使用することは難しい。
特開2001−145826号公報 特開2002−167434号公報 特開2002−146085号公報
一方、回路基板に使用される従来からのポリイミドやガラスエポキシ等のポリマーは、誘電率および誘電正接が大きい。そのため、情報社会における情報の大容量化および高速伝送化の流れに伴い、ポリイミドやガラスエポキシ等を用いた回路基板での伝送ロスの増大の問題が、顕在化してきている。また、自動車の衝突防止用に採用されているミリ波レーダー用の回路基板では、GHz帯の高周波数領域の信号を伝播する必要があるため、回路基板に使用するポリマー基材の電気特性の改善が要望されている。
ポリマーの誘電率を空気の誘電率に近づけるために、ポリマーを多孔化することが各種提案されている。例えば、特許文献1には、ポリイミドフィルム全体を延伸させ、多孔質ポリイミドを得る方法が開示されている。しかしながら、この特許文献1のポリマーでは、全体が多孔質化されてしまうため、機械的強度が大幅に低下してしまう。
とろこで、回路基板を伝送する信号が高周波になるほど、表皮効果と呼ばれるように、電気は表層を流れる。つまり、ポリマー基材の表層の誘電率や表面粗さは、高周波信号の伝送特性に影響を与えるが、内部の誘電率や表面粗さは、殆ど影響しない。そのため、各種回路基板や高周波アンテナの基板としては、表層のみ多孔質化し、内部を多孔質化しないようにすることが望ましいといえる。表皮効果は、回路基板を伝送する信号の周波数に依存するが、例えば、およそ1GHzで2μm、5GHzで0.9μm、10GHzで0.6μmである。つまり、この数値より深いところでのポリマー基材の電気特性は、高周波信号の伝送特性に殆ど影響しない。
また、回路基板の表面の平滑性も、伝送特性に影響を与える。基材表面が十分に平滑でないと、伝送ロスが生じる。回路基板の表面に露出する孔の大きさが、ミクロンオーダである場合とナノオーダーである場合とでは、回路基板の性能として大きな差が生じる。
さらに、特許文献2および3は、ポリマー内部を多孔化するために、超臨界二酸化炭素を用いた方法を開示する。特許文献2および3は、ポリイミド前駆体からなる連続相に、低分子量物質からなる非連続相が分散したポリマーマトリクスから、超臨界二酸化炭素を主成分とする流体を用いて前記低分子量物質を抽出除去し、これにより多孔質ポリイミドを製造する方法を開示する。ただし、特許文献2および3では、基材にステンレス箔等の金属材料を用いて多孔質ポリイミド膜を形成しており、ポリマー基材とポリイミドからなる多孔質膜を一体化する方法については示唆されていない。また、特許文献2および3には、無電解メッキ膜等、金属性導電膜との密着性を確保しつつ、回路基板の表面を伝送ロスに悪影響を与えないほどに多孔質化する方法は示唆および開示されていない。
なお、プラスチックフイルムを用いた回路基板としては、たとえばフレキシブルプリント基板(FPC)が知られている。FPCにおいても、高周波信号の伝送ロスの低減などの課題がある。また、プラスチックフイルム上にCu金属膜を形成する場合、Cuのプラスチックフイルム内への熱拡散を防止して長期信頼性を確保するために、従来は、Cu金属膜をプラスチックフイルム上に直接形成するのではなく、下地にNi合金膜あるいはCr金属膜を形成し、その上にCu金属膜を形成している。
そこで本発明の目的は、強度を確保しつつ多孔質構造としたプラスチックフィルム、シート部材およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、最表面はメッキ膜や蒸着、スパッタによる金属膜により置換された多孔構造を有し、その内部表面には、ポリイミドやエポキシ樹脂による独立多孔構造を有する、高周波回路基板に適し機械的強度低下の少ない多孔質構造を有する回路基板、フレキシブル回路基板およびその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様に従えば、複数の空孔が形成された多孔質構造のプラスチックフィルムであって、上記プラスチックフィルムの両側の表面もしくは片側の表面から少なくとも10ナノメートル以上の深さであって、いくつかの上記空孔が連結してなる連結孔が表面に露出するように形成された表面層と、上記表面層より内側もしくは下側の部分であって、各上記空孔が独立してなる独立孔が形成された内部層と、上記内部層より内側もしくは下側の部分であって、上記空孔が形成されない基部層とを有することを特徴とするプラスチックフィルムが提供される。
この第1の態様では、プラスチックフィルムは、空孔が形成されない基部層を有するので、その強度を確保することができる。また、その基部層の外側あるいは上側に多孔質構造の内部層および表面層を有するので、プラスチックフィルムの表面部分の誘電率が低下し、表皮効果による高周波信号の伝送ロスは低減される。
しかも、この第1の態様では、プラスチックフィルムの表面に、少なくとも10ナノメートルの深さの連結孔が露出しているので、金属膜を形成した場合、その金属材料の一部が連結孔に入り込み、アンカー効果による密着性を得ることができる。
また、この第1の態様では、上記表面層および上記内部層の合計の厚さは、0.5〜1マイクロメートルであってもよい。これにより高周波信号が伝播する表皮部分の誘電率を全体的に低減することができる。また、この合計厚さを1マイクロメートル以下に抑えることで、基部層の厚さを確保してシート部材の強度を確保することができる。
また、この第1の態様では、上記連結孔によって上記プラスチックフィルムの表面に形成される開口は、10〜99ナノメートルの断面幅であってもよい。これにより、プラスチックフィルムの表面は平らになり、プラスチックフィルムの表面にミクロンオーダの孔を形成した場合のように表面が荒れなくなるので、プラスチックフィルムを多孔質化して低誘電率化したことによる伝送ロスの低減効果が、表面の荒れにより相殺されないようにすることができる。
また、この第1の態様では、上記表面層および上記内部層は、熱硬化性樹脂材料であってもよい。また、この熱硬化性樹脂材料は、ポリイミド樹脂あるいはエポキシ樹脂であってもよい。また、上記プラスチックフィルムにおいて、上記基部層には、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂のいずれかからなる無孔質のプラスチックフィルム基材が用いられていてもよい。また、上記表面層、上記内部層および上記基部層は、同じ樹脂材料により形成されていてもよい。
ここで、図1に、第1の態様のプラスチックフィルムを有するシート部材100の一例の概念図を示す。同図のシート部材100は、表面から順番に、島状の独立孔と複数の孔がいくつか連なった連結孔とが形成された連結多孔層(表面層)103と、微細な独立孔が形成された独立多孔層(内部層)102と、多孔質構造をもたないポリマー基材(基部層)101とを有する。なお、同図では、連結多孔層103において孔(独立孔および連結孔)は略均一に分散しており、独立多孔層102において独立孔は略均一に分散している。また、ポリマー基材101は、熱硬化性樹脂からなり、表面が平滑なプラスチックフィルムである。この構成は、たとえば、表面が平滑なポリマー基材101上に、後述の方法で独立多孔層102、連結多孔層103を順次、積層形成することにより得ることができる。また、ポリマー基材101と独立多孔層102との間に接着層があってもよい。
そして、この構成では、連結多孔層103は金属膜を形成する際のアンカーリング効果により強固な接着層となり、独立多孔層102が内部に形成された空孔により表層のみ誘電率が低下した表皮効果に優れた電気特性を担い、ベースとなるポリマー基材101により機械的強度が確保される。
本発明の第2の態様に従えば、複数の空孔が形成された多孔質構造が、その両側もしくは片側の表面から少なくとも0.5マイクロメートルの深さにわたって且つ空孔の一部が表面に露出するように形成され、しかも、その多孔質構造の内側もしくは下側に、上記空孔がない基部層が形成されたプラスチックフィルムと、上記プラスチックフィルムの上記多孔質構造の部分と重ねて形成された金属膜とを有し、上記金属膜を構成する金属材料の一部が、上記プラスチックフィルムの表面に露出した上記空孔に入っていることを特徴とするシート部材が提供される。
この第2の態様では、プラスチックフィルムは、空孔が形成されない基部層を有するので、その強度を確保することができる。また、その基部層の外側あるいは上側に多孔質構造を有するので、プラスチックフィルムの表面部分の誘電率が低下し、表皮効果の下で伝送される高周波信号の伝送ロスは低減される。特に、多孔質構造は、0.5マイクロメートル以上の深さで形成されているので、高周波信号が伝播する表皮部分の誘電率を全体的に低減することができる。なお、多孔質構造を0.5マイクロメートル以上の深さとすることで、上記金属膜は、ギガヘルツ帯あるいはそれより高い周波数帯の信号を伝播する際に、その信号ロスを効果的に減らすことができる。
しかも、この第2の態様では、プラスチックフィルムの表面に孔が露出し、そこに金属膜を形成する金属材料の一部が入り込んでいるので、プラスチックフィルムの表面が平らである場合にくらべて高い密着性を得ることができる。
また、この第2の態様において、上記プラスチックフィルムの上記多孔質構造の部分の表面には、いくつかの上記空孔が連結してなる連結孔であって、その表面から少なくとも10ナノメートルの深さにいたる連結孔が露出し、上記金属材料の一部は、上記連結孔に入るようにしてもよい。また、この第2の態様において、上記プラスチックフィルムの表面に露出する上記空孔によって上記プラスチックフィルムの表面に形成される開口は、10〜99ナノメートルの断面幅であってもよい。
また、この第2の態様では、上記複数の空孔が形成された多孔質構造の部分は、熱硬化性樹脂材料であってもよい。また、上記熱硬化性樹脂材料は、ポリイミド樹脂あるいはエポキシ樹脂であってもよい。また、上記プラスチックフィルムにおいて、上記基部層には、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂のいずれかからなる無孔質のプラスチックフィルム基材が用いられていてもよい。また、上記多孔質層の部分および基部層は、同じ樹脂材料により形成されていてもよい。
本発明の第3の態様に従えば、複数の空孔が形成された多孔質構造のプラスチックフィルムを有するシート部材であって、上記多孔質構造は、上記プラスチックフィルムの片側もしくは両側の表面から少なくとも0.5マイクロメートルの深さにわたって形成されるとともに、その内側もしくは下側に上記空孔が形成されない基部層が形成されるように上記プラスチックフィルムに部分的に形成され、上記プラスチックフィルムの表面には、いくつかの上記空孔が連結してなる連結孔が露出することを特徴とするシート部材が提供される。
この第3の態様では、プラスチックフィルムは、空孔が形成されない基部層を有するので、その強度を確保することができる。また、その基部層の外側あるいは上側に多孔質構造を有するので、プラスチックフィルムの表面部分の誘電率が低下し、表皮効果の下で伝送される高周波信号の伝送ロスは低減される。特に、多孔質構造は、0.5マイクロメートル以上の深さで形成されているので、高周波信号が伝播する表皮部分の誘電率を全体的に低減することができる。
しかも、この第3の態様では、プラスチックフィルムの表面に孔が露出し、そこに金属膜を形成する金属材料の一部が入り込んでいるので、プラスチックフィルムの表面が平らである場合にくらべて高い密着性を得ることができる。
また、この第3の態様では、上記孔は、上記プラスチックフィルムの表面から少なくとも10ナノメートルの深さに達する連結孔であってもよい。また、上記プラスチックフィルムの表面に露出する上記空孔によって上記プラスチックフィルムの表面に形成される開口は、10〜99ナノメートルの断面幅であってもよい。また、上記プラスチックフィルムの上記多孔質構造の部分には、上記連結孔の他に、各上記空孔が独立してなる独立孔が形成され、単位断面積あたりの上記独立孔の個数は、上記連結孔が形成された表面層より、上記連結孔が形成されていない内部層で多くてもよい。
また、この第3の態様では、上記プラスチックフィルムは、上記空孔が形成されていないフィルム基材と、上記フィルム基材上に直接形成されあるいは接着層を介して形成された被膜とを有し、上記被膜において、上記プラスチックフィルムの上記多孔質構造の部分が形成されてもよい。
また、この第3の態様では、上記いずれかのシート部材であって、上記シート部材の上記プラスチックフィルムの上記多孔質構造の部分に重ねて形成された金属膜を有し、上記金属膜を構成する金属材料の一部が、上記プラスチックフィルムの表面に露出した上記連結孔に入って混合層を形成していてもよい
本発明の第4の態様に従えば、熱硬化性樹脂とその熱硬化性樹脂が硬化した場合に相分離する添加剤との混合材料を、フィルム状に成形またはプラスチックフィルム基材上に塗工した後に加熱により完全硬化して、上記混合材料が完全硬化したフィルム部材を得る工程と、上記完全硬化したフィルム部材から上記添加剤を抽出除去して、独立多孔質構造のフィルム部材を得る工程と、上記混合材料あるいはそれとは異なる組成の混合材料を、上記独立多孔質構造のフィルム部材上に塗布した後に半硬化状態まで加熱して、新たに塗布した上記混合材料が半硬化したフィルム部材を得る工程と、上記半硬化したフィルム部材から上記添加剤を抽出除去して、連結多孔質構造のフィルム部材を得る工程と、を含むことを特徴とするシート部材の製造方法が提供される。
この製造方法によりシート部材を形成することで、複数の空孔が形成された多孔質構造のプラスチックフィルムを有するシート部材であって、上記プラスチックフィルムは、その両側の表面もしくは片側の表面において、いくつかの上記空孔が連結してなる連結孔が表面に露出するように形成された表面層と、上記表面層より内側もしくは下側の部分であって、各上記空孔が独立してなる独立孔が形成された内部層と、上記内部層より内側もしくは下側の基部層であって、上記空孔が形成されない基部層とを有するシート部材を製造することができる。
なお、半硬化状態とは、樹脂成分の硬化反応が不完全である状態をいい、本発明では樹脂の硬化収縮に伴う膜厚変化から硬化状態を硬化指数として次式1で定義し、硬化指数=1〜0.05の範囲を半硬化状態と定義した。そして、この状態にある樹脂から添加剤を除去して完全硬化すると、連結孔が形成できる。たとえば、本発明の実施例に用いたポリイミド樹脂の場合、120度30分で溶媒を乾燥した後、150度から230度で10分から30分程度の加熱を行なった場合の硬化指数は約1.1〜0.05であった。なお、350度で10分以上の加熱をすると、それ以降に膜厚の変化は生じることはなく、完全硬化状態であった。
硬化指数 = (半硬化膜厚−完全硬化膜厚)/完全硬化膜厚 ・・・式1
ここで、図1のシート部材100を例として、このシート部材の製造方法の一例を詳しく説明する。図1のシート部材の独立多孔層102、連結多孔層103は、たとえば図2に示す工程で形成する。具体的には、熱硬化性樹脂溶液と、熱硬化性樹脂溶液に分散または相溶可能な添加物とを調合した混合溶液を作成し(図2のS11)、調合した混合溶液を基体上に塗工する(図2のS12)。
次に、塗工した皮膜を高温加熱処理により乾燥、硬化させる(図2のS13)。この高温加熱処理において、つまり塗工皮膜中の熱硬化樹脂成分が乾燥硬化する過程において、混合した添加物は熱硬化性樹脂成分に対して不溶化し、熱硬化樹脂成分を海とし且つ添加物が島とした相分離が起きた状態で硬化する。熱硬化樹脂の乾燥硬化の初期段階では不溶化した添加物が凝集するため、相分離領域は不溶化した添加物の島が互いに連結した構造になる。その後、硬化が進むにつれて相分離構造は徐々に微細化し添加物の島が互いに独立した相分離構造になる。
なお、熱硬化性樹脂材料と添加物の化学的性質に合わせて加熱温度や加熱時間を制御することにより、相分離構造の形態を適当に変化させることができる。そして、塗工した皮膜を加熱温度や加熱時間を制御しながら高温加熱処理により完全硬化させることにより、添加物の島が独立した相分離構造を形成することができる(図2のS14a)。また、完全硬化に至る以前の半硬化状態においては、添加物の島が互いに連結した相分離構造を形成することができる(図2のS14b)。
次に、完全硬化状態から抽出を行い、添加物が相分離構造となった皮膜から添加物を抽出、除去する。これにより、添加物が除去された部分が空孔となり、独立多孔層102が(図2のS15a)が形成される。
次に、塗布工程(図2のS11〜S12)および加熱工程(図2のS13)を繰り返し、半硬化状態から抽出を行う。これにより、連結多孔層103が形成される(図2のS15b)。半硬化状態から抽出した後には、再び高加熱処理を行い完全硬化させる(図2のS16)。
また、第4の態様において、各上記添加剤の抽出除去工程では、超臨界又は亜臨界状態にある二酸化炭素の高圧流体の溶媒を用いて行うようにしてもよい。この場合、高圧二酸化炭素の圧力は5〜25MPaであるのが好ましく、より好ましくは超臨界状態であることが望ましい。また、上記添加剤が、水溶性ポリマーまたは水溶性モノマーであってもよい。また、上記添加剤が、平均分子量50〜2000のポリエチレングリコールであってもよい。また、上記添加剤が、ε―カプロラクタムであってもよい。また、上記添加剤が、テトラエトキシシラン(TEOS)であってもよい。また、上記添加剤が、フッ素系化合物であってもよい。
また、第4の態様において、上記いずれかのシート部材の製造方法であって、さらに、上記連結多孔質構造のフィルム部材を、二酸化炭素高圧流体雰囲気下で無電解メッキすることにより、上記フィルム部材上に金属膜を形成する工程を有してもよい。この方法によれば、金属膜を形成するための金属材料の一部が連結孔に入り込み、金属膜とプラスチックフィルムとの高い密着性を得ることができる。
なお、図2の工程でシート部材を製造する場合、ポリマー基材101としては、たとえば従来プリント基板やフレキシブルプリンティッドサーキット(FPC)に用いられているポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイドなどのほか、線膨張係数が低く寸法安定性に優れる液晶ポリマーなどを用いることができる。このうち絶縁性、耐熱性の観点から回路基板、フレキシブルプリント配線基板などのベース材料としては、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイドのいずれかが好適である。
また、連結多孔層103、独立多孔層102としては、熱硬化性樹脂で構成されポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などのほか、ポリマー基材101と接着する材料あれば特に限定されないが、絶縁性、耐熱性の観点からポリイミド樹脂が好適である。また熱硬化性樹脂材料はその樹脂の原材料から合成しても良いが、市販の樹脂溶液または前駆体溶液を用いても問題ない。
また、熱硬化性樹脂材料と共に混合され、後に抽出除去される添加物材料は、熱硬化性樹脂材料に対して混合分散可能で、かつ、後述するように、抽出溶媒によって熱硬化性樹脂材料から抽出除去できる化合物であれば、特に制限されることなく用いることができる。本発明の添加物としては水溶性ポリマーまたは水溶性モノマー、フッ素系化合物、SiO前駆体のテトラエトキシシラン(TEOS)等の金属アルコキシドなどを用いることができる。
水溶性ポリマーまたは水溶性モノマーとしては、ポリアルキルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリビニルアルコール、ε−カプロラクタム、ポリオールエステルなどが挙げられる。
フッ素系化合物としてはPerfluoro−2,5,8,11,14−pentam ethyl−3,6,9,12,15−pentaoxaoctadecanoyl fluoride(分子式:C1836シンクエスト・ラボラトリー製、分子量:996.2、沸点:235℃)、Perfluorotripentylamine(分子式:C1533Nシンクエスト・ラボラトリー製、分子量:821.1、沸点:220℃)、Perfluoro−2,5,8−trimethyl−3,6,9−trioxadodecanoic acid, methyl ester(分子量:676、沸点:196℃)、Perfluorooctadecanoic acid(分子量:915、沸点:235℃)、Perfluoro(tetradecahydrophenanthrene)(分子量:624、沸点:215℃)、SpectraSynQ1621(シンクエスト・ラボラトリー製、分子量:2120、沸点:220℃)、1H,1H−Perfluoro−1−octadecanol(分子量:900、沸点:211℃)、Hecakis(1H,1H,5H−octafluoropentoxy)phosphazene(分子量:1521、沸点:207℃)、1,2−Bis(dipentafluorophenylphosphino)ethane(分子量:758、沸点:190℃)、Perfluorododecanoic acid(分子量:614、沸点:245℃)、Perfluoro−2,5,8,11−tetramethyl−3,6,9,12−tetraoxapentadecanoyl fluoride(分子量:830、沸点:203℃)、Perfluorohexadecanoic acid(分子量:814、沸点:211℃)、Perfluoro−1,10−decanedicarboxylic acid(分子量:610、沸点:240℃)、が挙げられる。
金属アルコキシドとしては例えば、Al(O−i−C、Ba(OC、B(OCH、B(OC、Bi(O−t−C11、Ca(OC、Fe(O−i−C、In(O−i−C、KOC、La(O−i−C、LiOCH、Mg(OC、NaOC、Nb(OC、PO(OC、P(OCH、Si(OC(TEOS)、Sn(O−i−C、Ta(OC、Ti(O−i−C、Zr(O−i−C等を用いることができる。特に、高圧二酸化炭素に対する溶解度が高い二酸化珪素の前駆体であるテトラエトキシシロン(TEOS)を用いることができる。
なお、添加物の分子量が大きくなりすぎると抽出溶媒に対する溶解度が低下し、抽出困難となるため、添加物の分子量は50〜2000程度とすることが好ましい。
独立多孔層102、連結多孔層103を形成するための混合溶液は、塗工皮膜の膜厚を調整するために希釈溶媒を加えて粘度を調整して使用しても良い。希釈溶媒としては、熱硬化性樹脂の特性を損なわない有機溶媒であれば特に限定されない。熱硬化性樹脂材料がポリミド樹脂場合は、ポリイミド前駆体溶液を調合する際に用いられるN―メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)などのほか、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどを用いてもよい。熱硬化性樹脂材料がエポキシ樹脂の場合はエタノール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンなどを用いることができる。
混合溶液の塗工方法は特に限定されず、スピンコート法、ブレードコート法、キャステイング法など公知の方法により行うことができる。
添加物の抽出には、有機溶媒を抽出溶媒とする公知の方法や、超臨界状態または亜臨界状態にある二酸化炭素高圧流体を抽出溶媒として用いることができる。抽出効率および無害性の観点から、二酸化炭素高圧流体を用いることが好ましい。上記高圧流体の圧力は、5〜25MPaであることが好ましい。高圧流体に対する添加物の溶解度は圧力の上昇とともに高くなる。圧力が5MPa以下であると添加物の溶解度が極めて低くなり、プラスチック部材からの添加剤の抽出効果が現れない。また、25MPa以上の高圧になると、プラスチック部材に対する高圧流体の浸透性が高くなり、プラスチック部材の発泡の制御が困難となる恐れがある。
本発明の表面多孔質のプラスチックフィルム上に金属膜を形成する方法としては、無電解メッキ法、スパッタ法など公知の方法によることが可能である。その際、連結多孔層が金属膜とのアンカーとなるため、表面粗化のためのエッチングや特別な前処理をしなくとも十分な密着強度を得ることができる。更に好ましくは、無電解メッキ法を用いる場合において超臨界状態または亜臨界状態にある二酸化炭素高圧流体雰囲気下で行う方法である。超臨界状態または亜臨界状態にある二酸化炭素高圧流体はポリマー樹脂に対する浸透性が高く、二酸化炭素高圧流体に溶解したメッキ液をポリマー樹脂内部にまで浸透させることができる。従って通常、常圧下で行われる無電解メッキ法に比べ高い密着強度を得ることができる。
本発明は、プラスチックフィルムをその強度を確保しつつ、多孔質構造としたシート部材およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明のプラスチックフィルム、シート部材およびその製造方法について説明するが、以下に述べる実施例は本発明の好適な具体例であり、本発明はこれに限定されない。
熱硬化性樹脂材料として市販のポリイミド樹脂前駆体溶液(製品名:U−ワニスA、 固形分(樹脂成分)濃度:18%、溶媒:NMP(N−メチル−2−ビロリドン)、宇部興産(株)製)を用いるとともに、添加剤材料として二酸化炭素の高圧流体に対して可溶なポリエチレングリコールを用いた。樹脂皮膜膜厚調整のためにNMPを希釈溶媒として用い粘度を調整した。
(第1の層:独立多孔層102の形成)
まず始めに第1の層形成のためポリイミド樹脂前駆体溶液と、平均分子量200のポリエチレングリコールを100:10の重量比の割合で配合し、攪拌して透明な均一混合溶液を準備する。この混合溶液を、多孔質構造をもたない表面が平滑な市販のポリイミドシート(製品名:ユーピレックスS、厚み:50μm、宇部興産(株)製)上にスピンコート法により塗布した。このとき、乾燥、完全硬化後の仕上がり膜厚が10μmとなるように塗布した。なお、塗布被膜とベースシートの密着性を高める目的でベースシートとして用いた前記市販のポリイミドシートは予め紫外線照射処理を行った。
次に、熱風循環式オーブン中で図3に示す温度プロセスにしたがって段階的に温度を上昇させながら、完全硬化条件となる350℃まで加熱し、乾燥、完全硬化させた。
次に、二酸化炭素の高圧流体によりポリエチレングリコールの抽出操作(抽出処理)を行った。上記ポリイミド樹脂皮膜が形成されたシートをエタノール(抽出助剤)30mLとともに、予め60℃に調温しておいた図4に示す高圧容器203(内容積300mL)に入れて密閉した。その後、二酸化炭素を導入し、15MPa、60℃で容器内の二酸化炭素とエタノールをマグネットスターラーで攪拌しながら1時間保持した。その後、続けて15MPaの圧力を保持したまま、すなわち密閉したまま10mL/min.の流量で二酸化炭素を1時間流し、ポリエチレングリコールの抽出を行った。その後、二酸化炭素を排出(容器を減圧)し、ポリイミド樹脂皮膜が形成されたシートを容器から取り出した。
なお、図4は、無電解メッキ装置200を示す。無電解メッキ装置200は、主に、液体二酸化炭素ボンベ201と、シリンジポンプ202と、高圧容器203とを有する。
高圧容器203は、温調流路211を流れる図示しない温調機により温度制御された温調水により30℃から200℃の任意の温度により温調することができる。容器本体203Aと蓋203Bとが、公知のバネが内蔵されたポリイミド製シール203Cによりシールされることで、高圧容器203は、高圧ガスなどを内部に密閉することができる。
なお、高圧容器203には、腐食されにくい材質を用いることが望ましく、SUS316、SUS316L、インコネル、ハステロイ、チタン等を用いることができるが、本実施例においてはSUS316Lを用いた。本発明においては、高圧容器203の内壁面が無電解メッキ液204に接触する場合、容器内部にメッキ膜が成長しないように、内壁面表面には、非メッキ成長膜がコーティングされていることが望ましい。非メッキ成長膜の材質としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)、PEEK(ポリエチルエーテルケトン)等を用いることができるが、本実施例の高圧容器203は、DLCをCVD(Chemical Vapor Deposition化学気相法)にてコーティングされている。
(第2の層:連結多孔層103の形成)
次に、ポリイミド樹脂前駆体溶液と、平均分子量200のポリエチレングリコールと、樹脂皮膜膜厚調整用の希釈溶媒NMPとを100:10:200の重量比の割合で配合し、攪拌して透明な均一混合溶液を準備した。この混合溶液を、上記第1の層および独立多孔が形成されたポリイミドシートにスピンコート法により塗布した。このとき、乾燥、完全硬化後の仕上がり膜厚が0.3μmとなるように塗布した。次に、半硬化条件となる230℃まで図5に示す温度プロセスにしたがって、熱風循環式オーブン中で段階的に温度を上昇させながら、加熱し乾燥、半硬化させた。半硬化状態の膜厚は0.4μmであった。この場合の硬化指数は、0.33(=(0.4−0.3)/0.3)となる。
次に、二酸化炭素の高圧流体を用いて、半硬化状態の第2の層からポリエチレングリコールの抽出操作を行った。抽出の方法と条件は、第1の層で実施した方法と同じとした。
次に、完全硬化条件となる350℃まで図6に示す温度プロセスにしたがって、熱風循環式オーブン中で加熱し、半硬化状態の第2の層を完全硬化させた。
以上の方法で得られた第1の層および第2の層が多層形成されたポリイミド樹脂皮膜の断面構造をSEM観察した結果、表面が連結多孔/独立多孔の積層構造を有するポリイミド樹脂フィルムとなっていた。完全硬化状態から抽出操作を行った第1の層(独立多孔層102)は、ポリエチレングリコールが除去された部分が微細且つ均一に分散した空孔となった独立多孔構造となっており、平均空孔径は約15nmであった。また、半硬化状態から抽出操作を行った第2の層(連結多孔層103)は、ポリエチレングリコールが除去された部分が島状に且つ幾つかの島が連なった状態で均一に分散した空孔を有した連結多孔構造となっており、連結した空孔の平均短径は20nm、平均長径は60nmとなっていた。
本実施例では、添加剤材料を変更し、ポリイミド前駆体溶液、添加剤材料および希釈溶媒NMPの配合割合を変更した以外は実施例1と同様である。具体的には、表1の2〜4行目に示すように、添加剤材料を、二酸化炭素の高圧流体に対して可溶性を示すε―カプロラクタム(分子量113)、テトラエトキシシラン(分子量208)、あるいは極性基を有し二酸化炭素の高圧流体に対して可溶性を示すフッ素系化合物Perfluoro−2,5,8,11,14−pentamethyl−3,6,9,12,15−pentaoxaoctadecanoyl fluoride (分子式:C18F36O6 (分子量:996.2、沸点:235℃)に変更し、それぞれの表に形成する配合割合に変更した。
表1には、実施例1および実施例2の各例についての、得られたポリイミド皮膜の第1の層および第2の層の膜厚および平均空孔径を示す。表1に示すように、本実施例中の各添加剤材料はポリイミド前駆体溶液に相溶し、加熱によるポリイミド樹脂の硬化により相分離を起こす材料であり、また二酸化炭素高圧流体に溶解し抽出可能な材料であるため、実施例1の添加剤材料としてポリエチレングリコールを用いた場合と同様に、第1の層は独立多孔構造、第2の層は連結多孔構造となった。
比較例1.
比較例1では、表1に示すように、添加剤材料を平均分子量3000のポリエチレングリコールに変更した以外は、実施例1と同様である。得られたポリイミド樹脂皮膜の断面構造をSEM観察した結果、ポリイミド樹脂とポリエチレングリコールの相分離構造は観察されたが、空孔はほとんど観察されなかった。平均分子量3000と高いために二酸化炭素高圧流体に対する溶解度が低下し、抽出効率が低下したためと考えられる。
本実施例では、表面連結多孔質構造を有するプラスチックフィルム上に金属膜を形成する例を示す。
(表面連結多孔質皮膜の形成)
熱硬化性樹脂材料として、市販のポリイミド樹脂前駆体溶液(製品名:U−ワニスA、固形分(樹脂成分)濃度:18%、溶媒:NMP、宇部興産(株)製)を用い、添加剤材料として、二酸化炭素の高圧流体に対して可溶性を示す平均分子量200のポリエチレングリコールを用いた。樹脂皮膜膜厚調整のためにNMPを希釈溶媒として用い、粘度を調整した。ポリイミド樹脂前駆体溶液と、平均分子量200のポリエチレングリコールと、樹脂皮膜膜厚調整用の希釈溶媒NMPとを、重量比の混合比率が100:15:150となるように配合した混合溶液を生成した。この混合溶液を、多孔質構造をもたない表面が平滑な市販のポリイミドシート(製品名:ユーピレックスS、 厚み:50μm、宇部興産(株)製)上にスピンコート法により塗布した。このとき、乾燥、完全硬化後の仕上がり膜厚が0.8μmとなるように塗布した。また、実施例1(第2の層:連結多孔層103の形成)と同様の工程(操作)により塗布皮膜の半硬化、ポリエチレングリコールの抽出、完全硬化まで行い、平滑なポリイミドシートの表面に連結多孔構造を有するポリイミド樹脂皮膜を形成した。なお、塗布被膜とベースシートの密着性を高める目的で、ベースシートとして用いた前記市販のポリイミドシートには予め紫外線照射処理を行った。半硬化状態の膜厚は1.1μmであった。この場合の硬化指数は、0.375となる。
(高圧流体雰囲気中での金属膜の形成)
前記の方法で得られた表面に連結多孔構造を有するポリイミド樹脂シート上に、二酸化炭素高圧流体雰囲気中でNiP金属膜の形成を行った。二酸化炭素高圧流体雰囲気中でNiP金属膜の形成は次の方法で行った。
まず、前記の方法で得られた表面に連結多孔構造を有するポリイミド樹脂シート2は、金属錯体とともに図4の高圧容器203内に装着される。この際、表面連結多孔構造を有するポリイミド樹脂シートの全表面が、後に高圧容器203へ導入される二酸化炭素と接触するように、表面連結多孔構造を有するポリイミド樹脂シート2を高圧容器の中央部分に浮かせて保持した。また、この例では、金属錯体として、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)を用いた。
表面連結多孔構造を有するポリイミド樹脂シート2および金属錯体を、高圧容器に収容した後、高圧容器内に15MPaの二酸化炭素高圧流体を導入した。高圧容器内に仕込まれた金属錯体は、二酸化炭素高圧流体に溶解し、二酸化炭素高圧流体とともに、表面連結多孔構造を有するポリイミド樹脂シート2の表面からその内部へ浸透する。用いたヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)金属錯体の熱還元温度は約150℃である。そのため、二酸化炭素高圧流体の圧力を150℃で30分間を保持することにより、表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2の表面連結多孔層内部に浸透した金属錯体の一部は還元する。
次に、金属錯体が浸透した表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2に無電解メッキを施し、表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2の表面にメッキ膜(金属膜)を形成した。実際には、二酸化炭素高圧流体と無電解メッキ液の混合溶液を用い、その混合溶液中で無電解メッキを行った。
具体的には、まず、金属錯体(金属触媒核、金属微粒子)を付与した表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2を図6の高圧容器203内に装着した。
表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2は、その全表面が後に高圧容器203へ導入される二酸化炭素高圧流体と接触するように、表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2を高圧容器203の蓋203Bから吊るして保持されている。また、高圧容器203には、表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2の全表面が浸漬するように無電解ニッケルメッキ液204が満たされ、マグネチックスタラー205が配設されている。
なお、本発明において用いることのできる無電解メッキ液204の種類はニッケル−リン、ニッケル−ホウ素、パラジウム、銅、銀、コバルト等任意であるが、本実施例においてはニッケル−リンを用いた。高圧二酸化炭素がメッキ液204に浸透することでメッキ液204のpHが低下するので、本発明では中性あるいは弱アルカリ性から酸性の浴でメッキできる液が好適であり、ニッケル−リンはpH4〜6の範囲で用いることができるので望ましい。なお、pHが低下すると、リン濃度が上昇し、析出速度が低下してしまうなどの弊害が生じるので、予めメッキ液204のpHを上昇させておくようにしてもよい。
また、本発明の二酸化炭素高圧流体を用いた無電解メッキに関しては、アルコールが含まれる無電解メッキ液204中でメッキ反応を行っても良い。アルコールは、攪拌せずとも、二酸化炭素高圧流体と相溶しやすい。本発明者らの検討によれば、メッキ液204は水が主成分であるが、アルコールを添加することにより、高圧状態の二酸化炭素とメッキ液204が安定に混ざりやすくなる。また、メッキ液204にアルコールを添加すると、メッキ液204の表面張力が低下するため、表面連結多孔構造を有するポリイミド樹脂シート2内に二酸化炭素高圧流体とともにメッキ液204が浸透し易くなり、その内部でメッキ反応を成長させるために好都合である。
通常、無電解メッキ液204は、金属イオンや還元剤等の入った原液に、例えばメーカー推奨の成分比により水で薄めてメッキ液204を健浴するが、本発明においては、この水に、アルコールを任意の割合で添加すればよい。水とアルコールの体積比は、任意であるが、メッキ液204の10〜80%の範囲であることが望ましい。アルコール成分比が10%より小さいと、安定な混合液が得られにくくなる。また、アルコール成分比が80%より大きいと、たとえばニッケル−リンメッキに用いられる硫酸ニッケルは、エタノール等の有機溶媒に不溶であるため、浴が安定しないことがある。
そして、本実施例においては、メッキ液204中に、硫酸ニッケルの金属塩とともに、還元剤や錯化剤の含まれる原液として奥野製薬社製ニコロンDKを150ml添加し、水を350ml、アルコールとしてエタノールを500mlそれぞれ加え調合した。つまり、アルコール成分比は、メッキ液204中50%とした。硫酸ニッケルはアルコールに不溶なので、アルコールの添加量が80%を超えると硫酸ニッケルが多く沈殿してしまうので適用できないことがわかった。
なお、上記アルコールの種類は任意であり、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘプタノール、エチレングリコール等を用いることができるが、本実施例ではエタノールを用いた。
図4の金属無電解メッキ装置200に、錯体が付与された表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2を装着した後、無電解メッキ装置200に二酸化炭素高圧流体を導入した。二酸化炭素高圧流体は、液体二酸化炭素ボンベ111からフィルター206を通ってシリンジポンプ202で15MPaに昇圧され、手動バルブ207から高圧容器203へ導入される。シリンジポンプ202は、手動バルブ207を開いた状態で圧力を一定にする制御を実行し、高圧容器203の内部温度あるいは二酸化炭素高圧流体の密度が変化したとしてもそれによる圧力変動を吸収し、高圧容器203の内部圧力を安定に保持することができる。
高圧容器203へ二酸化炭素高圧流体を導入する際の、高圧容器203およびメッキ液204の温度は、温調流路211を流れる温調水により、50℃に維持されている。これに対して、メッキ液204の反応温度は、70℃〜85℃である。したがって、この二酸化炭素高圧流体の導入時には、マグレチックスタラー205を高速で回転させたとしても、無電界メッキ液204は二酸化炭素高圧流体とともに表面連結多孔構造を有するポリイミド樹脂シート2の内部に入り込むだけであり、表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2においてメッキが成長してしまうことはない。
その後、表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2および二酸化炭素高圧流体と相溶したメッキ液204の温度を、メッキ液204の反応温度(85℃)に上昇させた。これにより、収容容器203内では、メッキ反応が起きた。
このようにメッキ反応温度よりも低い温度において二酸化炭素高圧流体を導入し、その後にメッキ反応温度へ上昇させることにより、無電解メッキ液204は、二酸化炭素高圧流体とともに表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2の内部に予め浸透し、その事前の浸透がなされた状態においてメッキ膜の成長が始まることになる。その結果、メッキ膜は、表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2の内部において反応し、表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2の内部から成長するように形成される。
メッキ処理後、マグネチックスタラー205を停止させた。これにより、二酸化炭素とメッキ液204とは、収容容器内で2相に分離する。その後、導入側の手動バルブ207を閉じ、排出側の手動バルブ208を開き、二酸化炭素を排気し、表面連結多孔構造ポリイミド樹脂シート2を高圧容器203から取り出した。
形成されたNiP金属膜表面は、その表面全体に金属光沢がみられた。図7(A)〜(C)は、表面連結多孔構造ポリイミド樹脂およびその表面に形成されたNiP金属膜301との断面構造を示すSEM観察画像を示す。図7に示すように、NiP金属膜301と連結多孔構造ポリイミド皮膜303との界面304は、平滑である。なお、302は、ポリイミドシートである。また、NiP金属膜301は、連結多孔構造ポリイミド皮膜303の内部から成長しており、界面304から150〜400nmの深さの領域で高い濃度で観察されている。また、連結多孔構造ポリイミド皮膜303の膜厚方向下側に向かって徐々に濃度が薄くなっているが、形成した連結多孔構造ポリイミド皮膜303の厚み(0.8μm)の略全域にわたってNiP金属が入り込んでいる。なお、拡大された界面近傍断面像(図7(C))では、連結多孔構造ポリイミド皮膜303の内部でNiP金属膜301が粒状に観察されている部分もあるが、図7のSEM断面像は一切断平面であり、実際にはポリイミド皮膜303の連結多孔領域に沿って3次元的に(つまり紙面に垂直な方向に向かって)、NiP金属が入り込んで成長しているものと考えられる。また、このNiP金属が入り込むことにより、連結多孔層の一部には0.5マイクロメートル程度の厚さの混合層が形成されている。
(ポリイミド皮膜と金属膜間の密着性評価)
表面連結多孔構造ポリイミド樹脂とNiPメッキ膜301との密着強度を、垂直引っ張り試験機(オートグラフAGS−100NJ、(株)島津製作所)にてJISH8630に準じて測定した。なお、NiPメッキ金属膜301は8μmと薄く、引っ張り試験時にせん断してしまう可能性があるため、この垂直引っ張り試験では、NiPメッキ金属膜301の表面にさらに常圧にて公知のCu電解メッキを厚さ50μmで形成し、試験をした。
表2は、実施例3〜6および比較例2における垂直引っ張り試験の結果を示すものである。この実施例3での表面連結多孔構造ポリイミド樹脂とNiPメッキ膜301との密着強度は、9〜13N/cmであった。なお、実用化されているフレキシブルプリンティッドサーキット(FPC)は、ポリイミド樹脂基体上にNi/Crスパッタ膜を形成し、さらにその上に電解Cuを形成して製造されるものであるが、この従来のFPCでの垂直引っ張り試験の目標値は、密着力5N/cmである。実施例3では、この目標値より十分に高い値を得ることができた。
したがって、本実施例のシート部材は、高速伝送用の各種回路基板として使用したり、高周波アンテナの基板として使用したりできる。本実施例では、金属膜との界面が平滑で、かつ金属膜との密着性に優れたシート部材が得られた。
本実施例では、実施例1と同じ方法により、表面に連結多孔/独立多孔の積層構造を有するポリイミド樹脂シートを作成し、次いで実施例3と同じ方法により、NiP金属膜8μm/Cu金属膜50μmを形成した。
このシート部材について断面SEM観察を行った結果、NiP金属膜と連結多孔ポリイミド樹脂との界面は実施例3と同様に非常に平滑でかつ、NiP金属膜が連結多孔ポリイミド樹脂103の内部から成長しているのが確認された。しかし、連結多孔層103より内部の独立多孔層102には、NiP金属膜301は確認できなかった。これは独立多孔層の空孔は3次元的には結合せず、ポリイミド樹脂マトリックス内で独立に形成されており、無電解NiPメッキ液もしくは無電解NiPメッキのために付与された金属錯体が独立多孔層102まで侵入しなかったためと考えられる。
この表面に連結多孔/独立多孔積層構造を有するポリイミド樹脂シートとNiPメッキ膜の密着強度は、表2に示すように、垂直引っ張り試験において9〜12N/cmとなり、最表面連結多孔構造のみを有するポリイミド樹脂シートの場合(実施例3の場合)と同等であった。
したがって、本実施例のシート部材は、高速伝送用の各種回路基板として使用したり、高周波アンテナの基板として使用したりできる。本実施例では、金属膜との界面が平滑で、かつ金属膜との密着性に優れたシート部材が得られた。
本実施例では、実施例1と同じ方法により、表面に連結多孔/独立多孔積層構造を有するポリイミド樹脂シートを作成し、次いで、常圧下での公知の無電解メッキ法により、表面に連結多孔/独立多孔積層構造ポリイミド樹脂シート上にCu金属膜を形成した。具体的には、以下の工程により、無電解Cuメッキ膜を形成した。
まず、連結多孔/独立多孔積層構造ポリイミド樹脂シートを、公知のコンディショナー(奥野製薬工業(株)製OPC−370)を用いて脱脂した。次いで、連結多孔/独立多孔積層構造ポリイミド樹脂シートに、触媒(奥野製薬工業(株)製OPC−80キャタリスト)を付与し、その後、活性剤(奥野製薬工業(株)製OPC−500アクセレーターMX)を用いて触媒を活性化した。次いで、無電解銅メッキを施した。なお、メッキ液には、奥野製薬工業(株)製OPC−750無電解銅メッキ液を用いた。無電解銅メッキ膜の膜厚は5μmとし、その上にさらに常圧にて公知のCu電解メッキを50μm形成した。
得られたCu金属膜と表面連結多孔/独立多孔積層構造ポリイミド樹脂シートの密着力は、垂直引っ張り試験の結果(表2)5〜7N/cmであった。二酸化炭素高圧流体雰囲気中で無電解メッキされた実施例3、実施例4の場合に比べて密着強度は低いが、従来FPCの密着強度目標値より高い密着力が得られた。
本実施例では、実施例1と同様の方法により市販のポリイミドシート上に表面連結多孔層0.5μm/独立多孔層8μmの積層構造を有するエポキシ樹脂層を形成した。ここで、熱硬化性樹脂材料として市販のエポキシ樹脂(製品名:アロンマイティAS―60、固形分(樹脂成分)濃度:22%、標準硬化条件:150℃*60分、東亞合成(株)製)を用い、添加剤材料として、平均分子量200のポリエチレングリコールを用い、さらに、希釈溶媒として、メタノールを用いた。また、独立多孔層102を形成すための混合溶液では、エポキシ樹脂溶液と、ポリエチレングリコールと、メタノールとの配合比を100:10:0とし、連結多孔層103を形成するための混合溶液では、100:10:150の配合割合とした。また、独立多孔層102の硬化条件は、図8に示す温度プロセスとし、連結多孔層については、ポリエチレングリコール抽出前の半硬化条件を図9に示す温度プロセスとし、抽出後の完全硬化条件を図10に示す温度プロセスとした。ここで、半硬化後の連結多孔層103の膜厚は0.55μmであった。この場合の硬化指数は、0.1となる。
また、本実施例では、実施例3と同様の方法により、二酸化炭素高圧流体雰囲気中で、連結多孔エポキシ樹脂の表面に無電解NiPメッキ膜を膜層5μmで形成し、さらに公知の手法にて電解Cuメッキ層を45μm厚で形成した。
得られたシート部材において、NiP金属膜と表面連結多孔/独立多孔積層構造エポキシ樹脂との界面は、SEM観察において実施例4の場合と同様に平滑であり、NiP金属膜は、連結多孔エポキシ樹脂層103の内部から成長していた。また、独立多孔エポキシ樹脂層102には独立した空孔のみが観察された。また、このシート部材についての表面連結多孔/独立多孔積層構造エポキシ樹脂フィルムとNiPメッキ膜との密着強度は、垂直引っ張り試験において10〜12N/cmであった。
比較例2.
本比較例では、実施例1と同様の方法により、膜厚20μmの独立多孔ポリイミド皮膜形成した。このとき、熱硬化性樹脂材料として、市販のポリイミド樹脂前駆体溶液を用い、添加剤として平均分子量200のポリエチレングリコールを用いた。
次に、実施例3と同様の方法により、二酸化炭素高圧流体雰囲気中で無電解NiPメッキ層を5μm厚に形成し、さらに公知の手法により、電解Cuメッキ層を45μm厚に形成した。
得られたシート部材において、ポリイミド樹脂皮膜とNiPメッキ膜との密着強度は2〜4N/cm(垂直引っ張り試験による)であった。表面が独立多孔層である場合、表面が連結多孔層である場合に比べて金属膜のアンカーリング効果が小さいために、密着力が低下していると考えられる。
なお、以上の具体的な例(実施例)では、連続多孔層103の膜厚は、表1および表2に示すように0.3〜0.8マイクロメートル(um)であって、これによりFPCなどの用途で剥がれない十分な引張強度が得られるが、1マイクロメートル以下の膜厚とすれば十分である。また、連続多孔層103は10ナノメートル(nm)以上の膜厚、好ましくは50ナノメートル以上の膜厚、さらに好ましくは100ナノメートル以上の膜厚であれば、連続多孔層103にメッキ膜(金属膜)が入り込み、アンカー効果による密着性を期待できる。なお、このように薄い膜厚は、たとえば図2の塗布形成工程S13における厚さを調整したり、添加剤の抽出工程S15a,S15bでの抽出条件を調整することで形成可能である。
また、以上の具体的な例(実施例)では、連続多孔層103と独立多孔層102との合計の膜厚は、表1および表2に示すように、8.3〜12.6マイクロメートルであるが、高周波信号表皮効果により伝播することを勘案すると、この合計膜厚は0.5〜1マイクロメートル、好ましくは0.6〜2マイクロメートルであればよい。これにより、1GHz以上の高周波信号が表皮効果により伝播するプラスチックフィルムの表面部分の誘電率を全体的に低減し、伝播ロスを低減することができる。プラスチックフィルムの実質的な誘電率を、その材料の誘電率により制限されないようにすることができる。また、このように合計膜厚を1または2マイクロメートル以下に抑えることで、プラスチックフィルムに、空孔が形成されない領域を十分に残すことができ、この基部層によりシート部材の強度を確保することができる。特に、複数のシート部材を重ねて1枚のFPCとする多層FPCにおいては、シート部材の1枚の厚さが数〜数十マイクロメートルとなると予想され、このような薄さにおいてもFPCとして使用に耐えうる強度を確保することができる。なお、このように薄い膜厚は、たとえば図2の塗布形成工程S13における厚さを調整したり、添加剤の抽出工程S15a,S15bでの抽出条件を調整することで形成可能である。
また、以上の具体的な例(実施例)では、プラスチックフィルムの表面に露出する空孔による開口幅は、図7の断面に示すように、数十ナノメートル(10〜99ナノメートルの範囲内)である。この開口の断面幅は、現在使用されている無電解メッキの前処理での表面粗化技術による孔径が数〜数百マイクロメートルであることを考えると、多孔化しつつも、格段に表面が平滑化されていることになる。多孔化と平滑性とを高度に両立することができる。そのため、プラスチックフィルムの表面粗さが、プラスチックフィルムの表面部分を多孔質化して誘電率を下げたことによる高周波信号の伝播ロスの低減効果を相殺してしまわないようにすることができる。
本発明のシート部材は、高周波用の電気回路基板、FPC、アンテナ用回路基板などとして好適に用いることができる。また、本発明のシート部材の製造方法は、高周波の伝送特性に優れたシート部材を得るために好適に用いることができる。
図1は、本発明の第1の態様のシート部材の一例の概念図を示す。 図2は、図1のシート部材の製造工程の一例を示す。 図3は、実施例1での独立多孔層形成温度プロセスを示す。 図4は、金属無電解メッキ装置の概略構成を示す。 図5は、実施例1での連結多孔層形成温度プロセスの前半(半硬化まで)を示す。 図6は、実施例1での連結多孔層形成温度プロセスの後半(完全硬化まで)を示す。 図7は、実施例3のシート部材の断面のSEM観察画像を示す。 図8は、実施例6での独立多孔層形成温度プロセスを示す。 図9は、実施例6での連結多孔層形成温度プロセスの前半(半硬化まで)を示す。 図10は、実施例6での連結多孔層形成温度プロセスの後半(完全硬化まで)を示す。
符号の説明
100 シート部材
101 ポリマー基材
102 独立多孔層
103 連結多孔層
301 NiP金属膜
302 ポリイミドシート
303 ポリイミド皮膜
304 界面

Claims (24)

  1. 複数の空孔が形成された多孔質構造のプラスチックフィルムであって、
    上記プラスチックフィルムの両側の表面もしくは片側の表面から少なくとも10ナノメートル以上の深さであって、いくつかの上記空孔が連結してなる連結孔が表面に露出するように形成された表面層と、
    上記表面層より内側もしくは下側の部分であって、各上記空孔が独立してなる独立孔が形成された内部層と、
    上記内部層より内側もしくは下側の部分であって、上記空孔が形成されない基部層とを有することを特徴とするプラスチックフィルム。
  2. 上記表面層および上記内部層の合計の厚さは、0.5〜1マイクロメートルである請求項1記載のプラスチックフィルム。
  3. 上記連結孔によって上記プラスチックフィルムの表面に形成される開口は、10〜99ナノメートルの断面幅である請求項1または2に記載のプラスチックフィルム。
  4. 上記表面層および上記内部層は、熱硬化性樹脂材料である請求項1から3のいずれか1項に記載のプラスチックフィルム。
  5. 上記熱硬化性樹脂材料は、ポリイミド樹脂あるいはエポキシ樹脂である請求項1から4のいずれか1項に記載のプラスチックフィルム。
  6. 上記プラスチックフィルムにおいて、上記基部層には、ポリイミド、液晶ポリマー及びポリフェニレンサルファイド樹脂から選ばれた1種の無孔質のプラスチックフィルム基材が用いられている請求項1から5のいずれか1項に記載のプラスチックフィルム。
  7. 上記表面層、上記内部層および上記基部層は、同じ樹脂材料により形成されている請求項1から6のいずれか1項に記載のプラスチックフィルム。
  8. 複数の空孔が形成された多孔質構造が、その両側もしくは片側の表面から少なくとも0.5マイクロメートルの深さにわたって且つ空孔の一部が表面に露出するように形成され、しかも、その多孔質構造の内側もしくは下側に、上記空孔がない基部層が形成されたプラスチックフィルムと、
    上記プラスチックフィルムの上記多孔質構造の部分と重ねて形成された金属膜とを有し、
    上記金属膜を構成する金属材料の一部が、上記プラスチックフィルムの表面に露出した上記空孔に入っていることを特徴とするシート部材。
  9. 上記プラスチックフィルムの上記多孔質構造の部分の表面には、いくつかの上記空孔が連結してなる連結孔であって、その表面から少なくとも10ナノメートルの深さを有する連結孔が露出し、
    上記金属材料の一部は、上記連結孔に入っている請求項8記載のシート部材。
  10. 上記金属膜には、ギガヘルツ帯あるいはそれより高い周波数帯の信号が伝播されるものである請求項8または9記載のシート部材。
  11. 複数の空孔が形成された多孔質構造のプラスチックフィルムを有するシート部材であって、
    上記多孔質構造は、上記プラスチックフィルムの片側もしくは両側の表面から少なくとも0.5マイクロメートルの深さにわたって形成されるとともに、その内側もしくは下側に上記空孔が形成されない基部層が形成されるように上記プラスチックフィルムに部分的に形成され、
    上記プラスチックフィルムの表面には、いくつかの上記空孔が連結してなる連結孔が露出することを特徴とするシート部材。
  12. 上記孔は、上記プラスチックフィルムの表面から少なくとも10ナノメートルの深さを有する連結孔であることを特徴とする請求項11記載のシート部材。
  13. 上記プラスチックフィルムの表面に露出する上記空孔によって上記プラスチックフィルムの表面に形成される開口は、10〜99ナノメートルの断面幅であることを特徴とする請求項11または12記載のシート部材。
  14. 上記プラスチックフィルムの上記多孔質構造の部分には、上記連結孔の他に、各上記空孔が独立してなる独立孔が形成され、単位断面積あたりの上記独立孔の個数は、上記連結孔が形成された表面層より、上記連結孔が形成されていない内部層で多いことを特徴とする請求項11または12に記載のシート部材。
  15. 上記プラスチックフィルムは、上記空孔が形成されていないフィルム基材と、上記フィルム基材上に直接形成されあるいは接着層を介して形成された被膜とを有し、上記被膜において、上記プラスチックフィルムの上記多孔質構造の部分が形成されていることを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載のシート部材。
  16. 請求項11から15のいずれか1項に記載のシート部材であって、
    上記シート部材の上記プラスチックフィルムの上記多孔質構造の部分に重ねて形成された金属膜を有し、
    上記金属膜を構成する金属材料の一部が、上記プラスチックフィルムの表面に露出した上記連結孔に入って混合層を形成することを特徴とするシート部材。
  17. 熱硬化性樹脂とその熱硬化性樹脂が硬化した場合に相分離する添加剤との混合材料を、フィルム状に成形またはプラスチックフィルム基材上に塗工した後に加熱により完全硬化して、上記混合材料が完全硬化したフィルム部材を得る工程と、
    上記完全硬化したフィルム部材から上記添加剤を抽出除去して、独立多孔質構造のフィルム部材を得る工程と、
    上記混合材料あるいはそれとは異なる組成の混合材料を、上記独立多孔質構造のフィルム部材上に塗布した後に半硬化状態まで加熱して、新たに塗布した上記混合材料が半硬化したフィルム部材を得る工程と、
    上記半硬化したフィルム部材から上記添加剤を抽出除去して、連結多孔質構造のフィルム部材を得る工程と、
    を含むことを特徴とするシート部材の製造方法。
  18. 各上記添加剤の抽出除去を、超臨界又は亜臨界状態にある二酸化炭素の高圧流体の溶媒を用いて行う請求項17記載のシート部材の製造方法。
  19. 上記添加剤が、水溶性ポリマーまたは水溶性モノマーである請求項17または18記載のシート部材の製造方法。
  20. 上記添加剤が、平均分子量50〜2000のポリエチレングリコールである請求項17から19のいずれか1項に記載のシート部材の製造方法。
  21. 上記添加剤が、ε―カプロラクタムである請求項17から19のいずれか1項に記載のシート部材の製造方法。
  22. 上記添加剤が、テトラエトキシシランである請求項17または18に記載のシート部材の製造方法。
  23. 上記添加剤が、フッ素系化合物である請求項17または18に記載のシート部材の製造方法。
  24. 請求項17〜23のいずれか1項に記載のシート部材の製造方法であって、さらに、
    連結多孔質構造の上記フィルム部材を、二酸化炭素高圧流体雰囲気下で無電解メッキすることにより、上記フィルム部材上に金属膜を形成する工程を有するシート部材の製造方法。
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JP2015168714A (ja) * 2014-03-05 2015-09-28 三菱瓦斯化学株式会社 樹脂構造体、並びにそれを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板、及びプリント配線板
CN112004650A (zh) * 2019-03-25 2020-11-27 宝洁公司 多层可溶解固体制品及其制备方法

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