[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照しながら本発明の実施の形態に係る絶縁膜の形成方法が行われる基板処理システムについて説明を行う。図1は、例えば基板としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と記す)Wに対し、例えばプラズマ酸化処理、成膜処理、改質処理等の各種の処理を行なうように構成された基板処理システム200を示す概略構成図である。この基板処理システム200は、マルチチャンバ構造のクラスタツールとして構成されている。
基板処理システム200は、主要な構成として、ウエハWに対して各種の処理を行う4つのプロセスモジュール101a,101b,101c,101dと、これらのプロセスモジュール101a〜101dに対してゲートバルブG1を介して接続された真空側搬送室103と、この真空側搬送室103にゲートバルブG2を介して接続された2つのロードロック室105a,105bと、これら2つのロードロック室105a,105bに対してゲートバルブG3を介して接続されたローダーユニット107とを備えている。
4つのプロセスモジュール101a〜101dは、ウエハWに対して例えばプラズマ酸化処理、CVD処理、プラズマ改質処理などの処理を行う処理装置である。プロセスモジュール101a〜101dは、ウエハWに対して同じ内容の処理を行うものであってもよいし、あるいはそれぞれ異なる内容の処理を行うものであってもよい。本実施の形態では、少なくとも、プロセスモジュール101a〜101dにおいて、ウエハWのシリコンを酸化して酸化珪素膜を形成するプラズマ酸化処理と、CVD法による成膜処理と、該成膜処理によって形成された酸化珪素膜に対してプラズマを作用させて改質を行うプラズマ改質処理と、を行うことができるように構成されている。
真空引き可能に構成された真空側搬送室103には、プロセスモジュール101a〜101dやロードロック室105a,105bに対してウエハWの受け渡しを行う第1の基板搬送装置としての搬送装置109が設けられている。この搬送装置109は、互いに対向するように配置された一対の搬送アーム部111a,111bを有している。各搬送アーム部111a,111bは同一の回転軸を中心として、屈伸及び旋回可能に構成されている。また、各搬送アーム部111a,111bの先端には、それぞれウエハWを載置して保持するためのフォーク113a,113bが設けられている。搬送装置109は、これらのフォーク113a,113b上にウエハWを載置した状態で、プロセスモジュール101a〜101d間、あるいはプロセスモジュール101a〜101dとロードロック室105a,105bとの間でウエハWの搬送を行う。
ロードロック室105a,105b内には、それぞれウエハWを載置する載置台106a,106bが設けられている。ロードロック室105a,105bは、真空状態と大気開放状態を切り替えられるように構成されている。このロードロック室105a,105bの載置台106a,106bを介して、真空側搬送室103と大気側搬送室119(後述)との間でウエハWの受け渡しが行われる。
ローダーユニット107は、ウエハWの搬送を行う第2の基板搬送装置としての搬送装置117が設けられた大気側搬送室119と、この大気側搬送室119に隣接配備された3つのロードポートLPと、大気側搬送室119の他の側面に隣接配備され、ウエハWの位置測定を行なう位置測定装置としてのオリエンタ121とを有している。
大気側搬送室119は、例えば窒素ガスや清浄空気がダウンフローしてクリーンな環境を形成する循環設備(図示省略)を備え、クリーンな環境が維持されている。大気側搬送室119は、平面視矩形形状をなしており、その長手方向に沿ってガイドレール123が設けられている。このガイドレール123に搬送装置117がスライド移動可能に支持されている。つまり、搬送装置117は図示しない駆動機構により、ガイドレール123に沿ってX方向へ移動可能に構成されている。この搬送装置117は、上下2段に配置された一対の搬送アーム部125a,125bを有している。各搬送アーム部125a,125bは屈伸及び旋回可能に構成されている。各搬送アーム部125a,125bの先端には、それぞれウエハWを載置して保持する保持部材としてのフォーク127a,127bが設けられている。搬送装置117は、これらのフォーク127a,127b上にウエハWを載置した状態で、ロードポートLPのウエハカセットCRと、ロードロック室105a,105bと、オリエンタ121との間でウエハWの搬送を行う。
ロードポートLPは、ウエハカセットCRを載置できるようになっている。ウエハカセットCRは、複数枚のウエハWを同じ間隔で多段に載置して収容できるように構成されている。
オリエンタ121は、図示しない駆動モータによって回転される回転板133と、この回転板133の外周位置に設けられ、ウエハWの周縁部を検出するための光学センサ135とを備えている。
以上のような構成を有する基板処理システム200においては、以下の手順でウエハWに対するプラズマ酸化処理、CVD処理およびプラズマ改質処理が行われる。まず、大気側搬送室119の搬送装置117のフォーク127を用い、ロードポートLPのウエハカセットCRより1枚のウエハWが取り出され、オリエンタ121で位置合わせされた後、ロードロック室105a(または105b)に搬入される。ウエハWが載置台106a(または106b)に載置された状態のロードロック室105a(または105b)では、ゲートバルブG3が閉じられ、内部が真空状態に減圧排気される。その後、ゲートバルブG2が開放され、真空側搬送室103内の搬送装置109のフォーク113によってウエハWがロードロック室105a(または105b)から運び出され、プロセスモジュール101a〜101dのいずれかに搬入される。
本実施の形態では、例えばプロセスモジュール101aでは、ウエハW表面のシリコンを酸化するプラズマ酸化処理を行なうことができるように構成されている。また、プロセスモジュール101b,101cでは、ウエハW上に絶縁膜例えば酸化珪素膜などを形成するCVD処理を行なうことができるように構成されている。また、プロセスモジュール101dでは、前記絶縁膜を形成した後にその絶縁膜を改質するプラズマ改質処理を行なうことができるように構成されている。なお、プロセスモジュール101aおよび101dにおいて、それぞれプラズマ酸化処理とプラズマ改質処理の両方の処理を行えるようにしてもよい。
搬送装置109によりロードロック室105a(または105b)から運び出されたウエハWは、まず、プロセスモジュール101aに搬入され、ゲートバルブG1を閉じた後でウエハWに対してプラズマ酸化処理が行われる。
次いで、前記ゲートバルブG1が開放され、酸化珪素膜が形成されたウエハWが搬送装置109によりプロセスモジュール101aから真空状態のままプロセスモジュール101b,101cのいずれか片方に搬入される。そして、ゲートバルブG1を閉じた後でウエハWに対してCVD処理が行われる。CVD処理によって、前記酸化珪素膜の上に絶縁膜が堆積形成される。
次いで、前記ゲートバルブG1が開放され、CVD法による絶縁膜が形成されたウエハWが搬送装置109によりプロセスモジュール101b(または101c)から真空状態のままプロセスモジュール101dに搬入される。そして、ゲートバルブG1が閉じられた後で前記絶縁膜に対してプラズマ改質処理が行われる。次に、プロセスモジュール101dのゲートバルブG1が開放され、プラズマ改質処理されたウエハWが、搬送装置109により取り出され、ロードロック室105a(または105b)に搬入される。そして、前記とは逆の手順でロードポートLPのウエハカセットCRに処理済みのウエハWが収納され、基板処理システム200における1枚のウエハWに対する処理が完了する。なお、基板処理システム200における各処理装置の配置は、効率的に処理を行うことができる配置であれば、いかなる配置構成でもよい。さらに、基板処理システム200におけるプロセスモジュールの数は4つに限らず、5つ以上であってもよい。
図2は、基板処理システム200において行われるプラズマ酸化処理およびプラズマ改質処理に共通して利用可能なプラズマ処理装置100の概略構成を模式的に示す断面図である。また、図3は、図2のプラズマ処理装置100の平面アンテナを示す平面図である。
プラズマ処理装置100は、複数のスロット状の孔を有する平面アンテナ、特にRLSA(Radial Line Slot Antenna;ラジアルラインスロットアンテナ)にて処理室内にマイクロ波を導入してプラズマを発生させることにより、高密度かつ低電子温度のマイクロ波励起プラズマを発生させ得るRLSAマイクロ波プラズマ処理装置として構成されている。プラズマ処理装置100では、1×1010〜5×1012/cm3のプラズマ密度で、かつ0.7〜2eV(特にウエハWの近傍では1.1eV以下)の低電子温度を有するプラズマにより、ウエハWへのダメージを与えない処理が可能である。従って、プラズマ処理装置100は、各種半導体装置の製造過程において、シリコンを酸化して酸化珪素膜(例えばSiO2膜)を形成するプラズマ酸化処理や、CVD法によって形成された酸化珪素膜(例えばSiO2膜)をプラズマダメージなく改質する目的で好適に利用できる。
プラズマ処理装置100は、主要な構成として、気密に構成されたチャンバ(処理室)1と、チャンバ1内にガスを供給するガス供給機構18と、チャンバ1内を減圧排気するための排気機構としての排気装置24と、チャンバ1の上部に設けられ、チャンバ1内にマイクロ波を導入するマイクロ波導入機構27と、これらプラズマ処理装置100の各構成部を制御する制御部50と、を備えている。
チャンバ1は、接地された略円筒状の容器により形成されている。なお、チャンバ1は角筒形状の容器により形成してもよい。チャンバ1は、アルミニウム等の材質からなる底壁1aと側壁1bとを有している。
チャンバ1の内部には、被処理体であるウエハWを水平に支持するための載置台2が設けられている。載置台2は、熱伝導性の高い材質例えばAlN等のセラミックスにより構成されている。この載置台2は、排気室11の底部中央から上方に延びる円筒状の支持部材3により支持されている。支持部材3は、例えばAlN等のセラミックスにより構成されている。
また、載置台2には、その外縁部をカバーし、ウエハWをガイドするためのカバーリング4が設けられている。このカバーリング4は、例えば石英、AlN、Al2O3、SiN等の材質で構成された環状部材である。
また、載置台2には、温度調節機構としての抵抗加熱型のヒータ5が埋め込まれている。このヒータ5は、ヒータ電源5aから給電されることにより載置台2を加熱して、その熱で被処理基板であるウエハWを均一に加熱する。
また、載置台2には、熱電対(TC)6が配備されている。この熱電対6によって温度計測を行うことにより、ウエハWの加熱温度を例えば室温から900℃までの範囲で制御可能となっている。
また、載置台2には、ウエハWを支持して昇降させるためのウエハ支持ピン(図示せず)が設けられている。各ウエハ支持ピンは、載置台2の表面に対して突没可能に設けられている。
チャンバ1の内周には、石英からなる円筒状のライナー7が設けられている。また、載置台2の外周側には、チャンバ1内を均一排気するため、多数の排気孔8aを有する石英製のバッフルプレート8が環状に設けられている。このバッフルプレート8は、複数の支柱9により支持されている。
チャンバ1の底壁1aの略中央部には、円形の開口部10が形成されている。底壁1aにはこの開口部10と連通し、下方に向けて突出する排気室11が設けられている。この排気室11には、排気管12が接続されており、この排気管12を介して排気装置24に接続されている。
チャンバ1の上部には、環状のアッパープレート13が接合されている。アッパープレート13の内周は、内側(チャンバ内空間)へ向けて突出し、環状の支持部13aを形成している。
チャンバ1の側壁1bには、環状をなすガス導入部15が設けられている。このガス導入部15は、酸素含有ガスやプラズマ励起用ガスを供給するガス供給機構18に接続されている。なお、ガス導入部15はノズル状またはシャワー状に設けてもよい。
また、チャンバ1の側壁1bには、プラズマ処理装置100と、これに隣接する搬送室103(図1参照)との間で、ウエハWの搬入出を行うための搬入出口16と、この搬入出口16を開閉するゲートバルブG1とが設けられている。
ガス供給機構18は、例えば不活性ガス供給源19a、酸素含有ガス供給源19bおよび水素ガス供給源19cを有している。なお、ガス供給機構18は、上記以外の図示しないガス供給源として、例えばチャンバ1内雰囲気を置換する際に用いるパージガス供給源、チャンバ1内をクリーニングする際に用いるクリーニングガス供給源等を有していてもよい。
不活性ガスとしては、例えばN2ガスや希ガスなどを用いることができる。希ガスとしては、例えばArガス、Krガス、Xeガス、Heガスなどを用いることができる。これらの中でも、経済性に優れている点でArガスを用いることが特に好ましい。また、酸素含有ガスとしては、例えば酸素ガス(O2)、水蒸気(H2O)、一酸化窒素(NO)、一酸化二窒素(N2O)などを用いることができる。
不活性ガス、酸素含有ガスおよび水素ガスは、ガス供給機構18の不活性ガス供給源19a、酸素含有ガス供給源19bおよび水素ガス供給源19cから、ガスライン20を介してガス導入部15に至り、ガス導入部15からチャンバ1内に導入される。各ガス供給源に接続する各々のガスライン20には、マスフローコントローラ21およびその前後の開閉バルブ22が設けられている。このようなガス供給機構18の構成により、供給されるガスの切替えや流量等の制御が出来るようになっている。
排気機構としての排気装置24は、例えばターボ分子ポンプなどの高速真空ポンプを備えている。前記のように、排気装置24は、排気管12を介してチャンバ1の排気室11に接続されている。チャンバ1内のガスは、排気室11の空間11a内へ均一に流れ、さらに空間11aから排気装置24を作動させることにより、排気管12を介して外部へ排気される。これにより、チャンバ1内を所定の真空度、例えば0.133Paまで高速に減圧することが可能となっている。
次に、マイクロ波導入機構27の構成について説明する。マイクロ波導入機構27は、主要な構成として、透過板28、平面アンテナ31、遅波材33、カバー34、導波管37、マッチング回路38およびマイクロ波発生装置39を備えている。
マイクロ波を透過させる透過板28は、アッパープレート13において内周側に張り出した支持部13a上に配備されている。透過板28は、誘電体、例えば石英やAl2O3、AlN等のセラミックスから構成されている。この透過板28と支持部13aとの間は、シール部材29を介して気密にシールされている。したがって、チャンバ1内は気密に保持される。
平面アンテナ31は、透過板28の上方において、載置台2と対向するように設けられている。平面アンテナ31は、円板状をなしている。なお、平面アンテナ31の形状は、円板状に限らず、例えば四角板状でもよい。この平面アンテナ31は、アッパープレート13の上端に係止されている。
平面アンテナ31は、例えば表面が金または銀メッキされた銅板、アルミニウム板もしくはニッケル板またはこれら金属の合金の板から構成されている。平面アンテナ31は、マイクロ波を放射する多数のスロット状のマイクロ波放射孔32を有している。マイクロ波放射孔32は、所定のパターンで平面アンテナ31を貫通して形成されている。
個々のマイクロ波放射孔32は、例えば図3に示すように、細長い長方形状(スロット状)をなしている。そして、典型的には隣接するマイクロ波放射孔32が「T」字状に配置されている。また、このように所定の形状(例えばT字状)に組み合わせて配置されたマイクロ波放射孔32は、さらに全体として同心円状に配置されている。
マイクロ波放射孔32の長さや配列間隔は、マイクロ波の波長(λg)に応じて決定される。例えば、マイクロ波放射孔32の間隔は、λg/4、λg/2またはλgとなるように配置される。なお、図3においては、同心円状に形成された隣接するマイクロ波放射孔32どうしの間隔をΔrで示している。なお、マイクロ波放射孔32の形状は、円形状、円弧状等の他の形状であってもよい。さらに、マイクロ波放射孔32の配置形態は特に限定されず、同心円状のほか、例えば、螺旋状、放射状等に配置することもできる。
平面アンテナ31の上面には、真空よりも大きい誘電率を有する遅波材33が設けられている。この遅波材33は、真空中ではマイクロ波の波長が長くなることから、マイクロ波の波長を短く調整する機能を有し、マイクロ波を効率良くマイクロ波放射孔32からチャンバ1内へ導入できるように構成されている。遅波材33の材質としては、例えば石英、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリイミド樹脂などを用いることができる。
なお、平面アンテナ31と透過板28との間、また、遅波材33と平面アンテナ31との間は、それぞれ接触させても離間させてもよいが、マイクロ波を効率よくチャンバ1内へ導入する上で、接触させることが好ましい。
チャンバ1の上部には、これら平面アンテナ31および遅波材33を覆うように、カバー34が設けられ、平面アンテナ31と偏平導波路を構成する。カバー34は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。アッパープレート13の上端とカバー34とは、シール部材35によりシールされている。また、カバー34の内部には、冷却水流路34aが形成されている。この冷却水流路34aに冷却水を通流させることにより、カバー34、遅波材33、平面アンテナ31および透過板28を冷却できるようになっている。なお、カバー34は接地されている。
カバー34の上壁(天井部)の中央には、開口部36が形成されており、この開口部36には導波管37が接続されている。導波管37の他端側には、マッチング回路38を介してマイクロ波を発生するマイクロ波発生装置39が接続されている。
導波管37は、上記カバー34の開口部36から上方へ延出する断面円形状の同軸導波管37aと、この同軸導波管37aの上端部にモード変換器40を介して接続された水平方向に延びる矩形導波管37bとを有している。モード変換器40は、矩形導波管37b内をTEモードで伝播するマイクロ波をTEMモードに変換する機能を有している。
同軸導波管37aの中心には内導体41が延在している。この内導体41は、その下端部において平面アンテナ31の中心に接続固定されている。このような構造により、マイクロ波は、同軸導波管37aの内導体41を介して平面アンテナ31へ放射状に効率よく均一に伝播される。
以上のような構成のマイクロ波導入機構27により、マイクロ波発生装置39で発生したマイクロ波が導波管37を介して平面アンテナ31へ伝搬され、さらに透過板28を介してチャンバ1内に導入されるようになっている。なお、マイクロ波の周波数としては、例えば2.45GHzが好ましく用いられ、他に8.35GHz、1.98GHz等を用いることもできる。
プラズマ処理装置100の各構成部は、制御部50に接続されて制御される構成となっている。制御部50は、コンピュータを有しており、例えば図4に示したように、CPUを備えたプロセスコントローラ51と、このプロセスコントローラ51に接続されたユーザーインターフェース52および記憶部53を備えている。プロセスコントローラ51は、プラズマ処理装置100において、例えば温度、圧力、ガス流量、マイクロ波出力などのプロセス条件に関係する各構成部(例えば、ヒータ電源5a、ガス供給機構18、排気装置24、マイクロ波発生装置39など)を統括して制御する制御手段である。
ユーザーインターフェース52は、工程管理者がプラズマ処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマ処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を有している。また、記憶部53には、プラズマ処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ51の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピが保存されている。
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース52からの指示等にて任意のレシピを記憶部53から呼び出してプロセスコントローラ51に実行させることで、プロセスコントローラ51の制御下、プラズマ処理装置100のチャンバ1内で所望の処理が行われる。また、前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリ、DVD、ブルーレイディスクなどに格納された状態のものを利用したり、あるいは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
このように構成されたプラズマ処理装置100では、600℃以下、好ましくは500℃以下の低温で下地膜等へのダメージフリーでサーマルバジェットの少ないプラズマ処理を行うことができる。また、プラズマ処理装置100は、プラズマの均一性に優れていることから、大口径のウエハWに対しても、その面内で処理の均一性を実現できる。
図5に、プロセスモジュール101b,101cとして適用可能な枚葉CVD成膜装置300の概略の構成例を示した。この枚葉CVD成膜装置300は、気密に構成された略円筒状の処理容器301を有している。処理容器301の中には被処理体であるウエハWを水平に支持するためのサセプタ303が配備されている。サセプタ303は、円筒状の支持部材305により支持されている。また、サセプタ303には,ヒータ307が埋め込まれている。このヒータ307はヒータ電源309から給電されることにより、ウエハWを所定の温度に加熱する。
処理容器301の開閉天壁301aには、シャワーヘッド311が設けられている。このシャワーヘッド311は、内部にガス拡散空間311aを有している。また、シャワーヘッド311の下面には、ガス拡散空間311aに連通する多数のガス吐出孔313が形成されている。また、シャワーヘッド311の中央部には、ガス拡散空間311aに連通するガス供給配管315が接続されている。このガス供給配管315は、マスフローコントローラ(MFC)317と、その前後に配備されたバルブ318a,318bを介して、例えばジクロルシラン、一酸化二窒素(N2O)などの成膜原料ガスや処理容器301内の雰囲気置換をするためのパージガスなどを供給するガス供給源319に接続されている。そして、ガス供給源319から、ガス供給配管315、マスフローコントローラ317を介して、前記成膜原料ガスなどがシャワーヘッド311へ供給される。
処理容器301の底壁301bには、排気孔331が形成されており、この排気孔331には排気管333を介して排気装置335が接続されている。そしてこの排気装置335を作動させることにより処理容器301内を所定の真空度まで減圧できるように構成されている。なお、シャワーヘッド311に、図示しない高周波電源から高周波電力を供給することにより、シャワーヘッド311を介して処理容器301内に供給された原料ガスをプラズマ化して成膜することもできる。
また、処理容器301の側壁301cには、ウエハWを搬入、搬出するための搬入出口337が設けられており、この搬入出口337を介してウエハWの搬入出が行われる。搬入出口337は、ゲートバルブG1によって開閉される。
以上のような構成の枚葉CVD成膜装置300では、サセプタ303にウエハWを載置した状態で、ヒータ307によりウエハWを加熱しつつ、シャワーヘッド311からウエハWへ向けて原料ガスを供給することにより、ウエハWの表面に例えばSiO2膜の薄膜をCVD法により成膜することができる。
以上の構成を有する枚葉CVD成膜装置300も、制御部50(図4参照)によって制御される。なお、CVD成膜装置としては、枚葉式に限らず、バッチ式のLP(Low Pressure)CVD成膜装置を使用することも可能である。
次に、基板処理システム200において行われる、プラズマ酸化処理、プラズマ改質処理を含む絶縁膜の形成方法について図6および図7を参照しながら説明する。図6は、シリコンをプラズマ酸化処理して第1の絶縁膜を形成する工程と、この第1の絶縁膜の上に第2の絶縁膜を成膜する工程と、この第2の絶縁膜を改質する工程と、を含む絶縁膜の形成方法の流れを示すフロー図であり、図7は、その主要な工程を説明する図面である。
本実施の形態の絶縁膜の形成方法は、例えば図6に示したステップS1からステップS7の手順により実施される。まず、図6のステップS1では、真空側搬送室103内の搬送装置109により、処理対象のウエハWを前記の手順でプラズマ処理装置100(プロセスモジュール101a)に搬入する。次に、ステップS2では、図7(a)に示したように、ウエハWの表面に露出したシリコン層201に対してプラズマ酸化処理を行う。このプラズマ酸化処理によって、図7(b)に示したように、シリコン層201の表面を酸化して所定膜厚で第1の絶縁膜としての酸化珪素膜202を形成する。プラズマ酸化処理は、以下に示す手順および条件で実施される。
[プラズマ酸化処理の手順]
まず、プラズマ処理装置100のチャンバ1内を減圧排気しながら、ガス供給機構18の不活性ガス供給源19aおよび酸素含有ガス供給源19bから、希ガスおよび酸素含有ガスを所定の流量でそれぞれガス導入部15を介してチャンバ1内に導入する。このようにして、チャンバ1内を所定の圧力に調節する。
次に、マイクロ波発生装置39で発生させた所定周波数例えば2.45GHzのマイクロ波を、マッチング回路38を介して導波管37に導く。導波管37に導かれたマイクロ波は、矩形導波管37bおよび同軸導波管37aを順次通過し、内導体41を介して平面アンテナ31に供給される。つまり、マイクロ波は、矩形導波管37b内ではTEモードで伝搬し、このTEモードのマイクロ波はモード変換器40でTEMモードに変換されて、同軸導波管37a内を平面アンテナ31に向けて伝搬されていく。そして、マイクロ波は、平面アンテナ31に貫通形成されたスロット状のマイクロ波放射孔32から透過板28を介してチャンバ1内におけるウエハWの上方空間に放射される。この際のマイクロ波出力は、例えば200mm径以上のウエハWを処理する場合には、2000W以上5000W以下の範囲内から目的に応じて選択することができる。
平面アンテナ31から透過板28を経てチャンバ1に放射されたマイクロ波により、チャンバ1内で電磁界が形成され、不活性ガスおよび酸素含有ガスがそれぞれプラズマ化する。このマイクロ波励起プラズマは、マイクロ波が平面アンテナ31の多数のマイクロ波放射孔32から放射されることにより、略1×1010〜5×1012/cm3の高密度で、かつウエハW近傍では、略1.1eV以下の低電子温度プラズマとなる。このようにして形成されるマイクロ波励起高密度プラズマは、プラズマ中の活性種として例えばO(1D2)ラジカルやO2 +イオンが主体のプラズマであり、該プラズマの作用によりウエハW表面のシリコン層201が酸化されてイオン等によるプラズマダメージが少ない酸化珪素膜202が形成される。
[プラズマ酸化処理条件]
プラズマ酸化処理の処理ガスとしては、希ガスと酸素含有ガスとを含むガスを用いることが好ましい。希ガスとしてはArガスを、酸素含有ガスとしてはO2ガスを用いることが好ましい。この場合、全処理ガスに対するO2ガスの体積流量比率(O2ガス流量/全処理ガス流量の百分率)は、プラズマ中の活性種としてO2 +イオンおよびO(1D2)ラジカルを優勢にする観点から、0.1%以上30%以下の範囲内とすることが好ましく、0.5%以上3%以下の範囲内とすることがより好ましい。例えば200mm径以上のウエハWを処理する場合には、Arガスの流量は50mL/min(sccm)以上5000mL/min(sccm)以下の範囲内、O2ガスの流量は0.05mL/min(sccm)以上1000mL/min(sccm)以下の範囲内から、上記流量比になるように設定することができる。
また、処理圧力は、プラズマ中の活性種としてO2 +イオンおよびO(1D2)ラジカルを優勢にする観点から、6.7Pa以上267Pa以下の範囲内が好ましく、6.7Pa以上67Pa以下の範囲内がより好ましい。
また、マイクロ波のパワー密度は、プラズマ中の活性種としてのO2 +イオンおよびO(1D2)ラジカルを効率よく発生させる観点から、0.5W/cm2以上3W/cm2以下の範囲内とすることが可能であり、0.51W/cm2以上2.56W/cm2以下の範囲内とすることが好ましい。なお、マイクロ波のパワー密度は、透過板28の面積1cm2あたりに供給されるマイクロ波パワーを意味する(以下、同様である)。例えば200mm径以上のウエハWを処理する場合には、マイクロ波パワーを1000W以上5000W以下の範囲内とすることが好ましい。
また、ウエハWの加熱温度は、載置台2の温度として、例えば200℃以上600℃以下の範囲内とすることが好ましく、400℃以上600℃以下の範囲内に設定することがより好ましい。
プラズマ酸化処理によってウエハWのシリコン層201に形成される酸化珪素膜202の膜厚T1は、シリコン層201と酸化珪素膜202の界面の平坦性を高める観点から、3nm以上10nm以下の範囲内が好ましく、4nm以上8nm以下の範囲内がより好ましい。
以上の条件は、制御部50の記憶部53にレシピとして保存されている。そして、プロセスコントローラ51がそのレシピを読み出してプラズマ処理装置100の各構成部例えばガス供給機構18、排気装置24、マイクロ波発生装置39、ヒータ電源5aなどへ制御信号を送出することにより、所望の条件でプラズマ酸化処理が行われる。
次に、ステップS3では、真空側搬送室103内の搬送装置109により、酸化珪素膜が形成されたウエハWを枚葉CVD成膜装置300(プロセスモジュール101bまたは101c)に移送する。この移送は、真空側搬送室103内の搬送装置109によって真空状態のまま実施される。
次に、ステップS4では、図7(c)に示したように、ウエハWの表面に形成された酸化珪素膜202の上に、CVD法による成膜処理を行う。これにより、図7(d)に示したように、酸化珪素膜202の上に重ねて第2の絶縁膜としての酸化珪素膜203が形成される。このCVD法として、基板処理システム200を使用する本実施の形態では熱CVD法を用いるが、例えばプラズマCVD法、減圧CVD法、常圧CVD法などの方法で成膜を行うことが可能である。なお、成膜方法は枚葉式でもバッチ式でもよい。
CVD法による成膜処理によってウエハWの酸化珪素膜202の上に積層形成される酸化珪素膜203の膜厚T2は、膜厚方向に対する改質効果を高くする観点から、3nm以上10nm以下の範囲内が好ましく、4nm以上8nm以下の範囲内がより好ましい。
次に、ステップS5では、酸化珪素膜202および酸化珪素膜203が形成されたウエハWをプラズマ改質処理装置としてのプラズマ処理装置100(プロセスモジュール101d)に移送する。この移送は、真空側搬送室103内の搬送装置109によって真空状態のまま実施される。次に、ステップS6では、図7(e)に示したように、酸化珪素膜203に対してプラズマ改質処理を実施する。プラズマ処理装置100を用いて行われるプラズマ改質処理の手順は、上記プラズマ酸化処理の手順に準ずるので、ここでは説明を省略する。ステップS6のプラズマ改質処理の条件は、以下のとおりである。
[プラズマ改質処理条件]
プラズマ改質処理の処理ガスとしては、希ガスと酸素含有ガスとを含むガスを用いることが好ましい。希ガスとしてはArガスを、酸素含有ガスとしてはO2ガスを、それぞれ使用することが好ましい。このとき、全処理ガスに対するO2ガスの体積流量比率(O2ガス流量/全処理ガス流量の百分率)は、プラズマ中の活性種としてO2 +イオンおよびO(1D2)ラジカルを優勢にする観点から、0.1%以上30%以下の範囲内とすることが好ましく、0.1%以上5%以下の範囲内とすることがより好ましい。例えば200mm径以上のウエハWを処理する場合には、Arガスの流量は500mL/min(sccm)以上5000mL/min(sccm)以下の範囲内、O2ガスの流量は0.5mL/min(sccm)以上1000mL/min(sccm)以下の範囲内から、上記流量比になるように設定することができる。
また、処理圧力は、プラズマ中の活性種としてO2 +イオンおよびO(1D2)ラジカルを優勢にする観点から、6.7Pa以上267Pa以下の範囲内が好ましく、6.7Pa以上67Pa以下の範囲内がより好ましい。
また、マイクロ波のパワー密度は、プラズマ中の活性種としてのO2 +イオンおよびO(1D2)ラジカルを効率よく発生させて、酸化珪素膜203中の欠陥を修復させる観点から、0.51W/cm2以上2.56W/cm2以下の範囲内とすることが好ましい。例えば200mm径以上のウエハWを処理する場合には、マイクロ波パワーを1000W以上5000W以下の範囲内とすることが好ましい。
また、ウエハWの加熱温度は、載置台2の温度として、例えば200℃以上600℃以下の範囲内とすることが好ましく、400℃以上600℃以下の範囲内に設定することがより好ましい。
以上の条件は、制御部50の記憶部53にレシピとして保存されている。そして、プロセスコントローラ51がそのレシピを読み出してプラズマ処理装置100の各構成部例えばガス供給機構18、排気装置24、マイクロ波発生装置39、ヒータ電源5aなどへ制御信号を送出することにより、所望の条件でプラズマ改質処理が行われる。
ステップS6のプラズマ改質処理が終了した後は、ステップS7で真空搬送室103内の搬送装置109により処理済のウエハWをプラズマ処理装置100(プロセスモジュール101d)から搬出し、前記手順でロードポートLPのウエハカセットCRに収納する。
以上のように、基板処理システム200では、プラズマ酸化処理法によるシリコンの酸化処理と、CVD法による酸化珪素膜203の成膜処理と、酸化珪素膜203の改質処理を真空下で連続的に実施することができる。なお、プロセスモジュール101aおよび101dにおいて、それぞれステップS2のプラズマ酸化処理とステップS6のプラズマ改質処理の両方の処理を行ってもよい。
[作用]
次に、基板処理システム200において実施される酸化珪素膜の形成方法の作用機構について、図8を参照しながら説明する。通常のCVD法によってシリコン層201の表面に成膜された酸化珪素膜203は、熱により堆積されたものである。成膜の初期には、まずシリコン表面が熱酸化されてシリコン酸化膜が形成される。しかし、シリコンには面方位があるため、図8(a)に示したように、シリコン層201との界面に微小な凹凸が形成され、ミクロ的に平坦性が悪い。また、酸化珪素膜203とシリコン層201との境界(SiO2/Si界面)付近では、多くの欠陥が形成され、界面準位密度が大きくなる。その結果、キャリア(電子やホール)の移動度が低下して例えばトランジスタであればその動作速度が低下したり、リーク電流を増大させてデバイスの電気的性能を低下させたりしてしまう。
本実施の形態に係る絶縁膜の形成方法では、CVD処理に先立って、まず、シリコン層201の表面にプラズマ処理装置100を用いて、低圧、低酸素分圧でプラズマ酸化処理を施す。このように形成された酸化珪素膜202と、シリコン層201との境界(SiO2/Si界面)は、図8(b)に示したように、極めて平坦に形成できる。このため、酸化珪素膜202とシリコン層201との境界(SiO2/Si界面)付近では、欠陥が少なくなり、界面準位密度の増加が抑制される。そして、この酸化珪素膜202の上にCVD法によって酸化珪素膜203を所定の厚さで形成する。
図9は、プラズマ改質処理によって酸化珪素膜内で生じる化学的な変化を模式的に示したものである。また、プラズマ処理装置100を用いて酸素を含む処理ガスのプラズマを生成する場合、処理圧力によってプラズマ中の酸化活性種が変化する。具体的には、プラズマ中のO2 +イオンやO(1D2)ラジカルは、低い圧力条件(267Pa以下、好ましくは6.7Pa以上267Pa以下、より好ましくは6.7Pa以上67Pa以下)で増加する。O2 +イオンやO(1D2)ラジカルは、改質処理の対象である酸化珪素膜を透過する能力が低い。このため、これらの活性種がプラズマ中で支配的となるプラズマ生成条件でプラズマ改質処理を行うと、図9に示したように、O2 +イオンやO(1D2)ラジカルが酸化珪素膜203中に入り込んでSiのダングリングボンドとの結合を形成する。この際、酸化珪素膜203中に含まれていたCVD法における成膜原料由来のCl、H、OHなどの不安定な不純物は、O2 +イオンやO(1D2)ラジカルと置換されて膜外へ排出される。このような機構によって、低い圧力条件でプラズマ改質処理を行うことにより、酸化珪素膜203の膜質が緻密になり、不純物やダングリングボンドが少ない良質な膜に改質される。
一方、高い圧力条件(例えば333Pa以上)ではプラズマ中の活性種としてO2 +イオンやO(1D2)ラジカルは減少し、替わりにO(3P2)ラジカルが主体となる。このO(3P2)ラジカルは、酸化珪素膜203を透過する性質を有しているため、O(3P2)ラジカルが支配的となるプラズマ生成条件では、O2 +イオンやO(1D2)ラジカルが主体のプラズマのような優れた改質効果は得られない。
本実施の形態の絶縁膜の形成方法では、上記のような処理圧力によるプラズマ中の活性種の変化に着目し、O2 +イオンやO(1D2)ラジカルが支配的となる低い圧力条件(267Pa以下)を選択して酸化珪素膜203に対してプラズマ改質処理を行うことによって、酸化珪素膜203に対して高い改質効果を得ることができた。
このように、シリコンをプラズマ酸化処理してシリコンとの界面が極めて平坦になるように酸化珪素膜を形成し、この酸化珪素膜の上にCVD法により絶縁膜を成膜し、この絶縁膜を、酸素を含むプラズマで改質することにより、SiO2/Si界面での界面準位密度が小さく、かつ緻密で不純物やダングリングボンドが少ない膜質に改善できる。従って、SiO2/Si界面を移動するキャリアの移動度の低下が抑制され、デバイスの電気的性能が改善された良質な絶縁膜(酸化珪素膜202および酸化珪素膜203)を形成することができる。この絶縁膜は、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)素子のゲート絶縁膜等としての用途に用いられ、特に、5nm以上1000nm以下の範囲内、好ましくは8nm以上100nm以下の範囲内で有利に利用できる。
図10は、本実施の形態にかかる絶縁膜の形成方法を適用可能なTFT素子400の概略構成を示す断面図である。ガラス基板401上には、部分的に例えばポリシリコンからなるゲート電極402が形成されている。ゲート電極402の表面には、酸化珪素膜402aの薄膜が形成されている。そして、酸化珪素膜402aを含むゲート電極402およびガラス基板401の表面を覆うように二酸化珪素(SiO2)からなるゲート絶縁膜403が形成されている。ゲート絶縁膜403上にはトランジスタを形成するためのSi系膜としてa−Si(アモルファスシリコン)膜404が形成されており、かつゲート電極402の上部にはチャネル部405が形成されている。a−Si膜404の上には、高融点金属材料例えばモリブデン、タングステンなどを含むソース電極406およびドレイン電極407が形成されている。ソース電極406およびドレイン電極407の上には、窒化ケイ素(Si3N4)からなるパッシベーション膜408が形成され、TFT素子400の表面保護がなされている。
図10に示したような構成のTFT素子400に本実施形態の絶縁膜の形成方法を適用する場合には、ガラス基板401上にポリシリコンからなるゲート電極402をパターン形成した後、その表面を、プラズマ処理装置100を用いてプラズマ酸化処理し、ゲート電極402の表面部分に酸化珪素膜402aを形成しておく。次に、ゲート電極402およびガラス基板401の表面を覆うように、CVD法によりゲート絶縁膜403を形成する。さらに、プラズマ処理装置100を用いてゲート絶縁膜403をプラズマ改質処理することにより、緻密で不純物の少ない酸化珪素膜に改質する。以上の処理は、図6のステップS1〜ステップS7の手順に従って実施することができる。その後、常法に従い、成膜とエッチングを繰り返し、a−Si膜404の成膜とパターン形成、ソース電極406およびドレイン電極407の成膜とパターン形成、パッシベーション膜408の成膜ならびにITO電極(図示省略)の形成を行うことにより、TFT素子400を形成することができる。
図10に例示したTFT素子400では、ゲート電極402の表面部分を、プラズマ処理装置100を用いてプラズマ酸化処理し、酸化珪素膜402aを形成しておくことにより、ゲート絶縁膜403が形成された後の絶縁膜(酸化珪素膜402aおよびゲート絶縁膜403)とゲート電極402(ポリシリコン)の界面を極めて平坦にすることができる。このため、絶縁膜(酸化珪素膜402aおよびゲート絶縁膜403)とゲート電極402との境界(SiO2/ポリシリコン界面)付近は、欠陥が少なくなり、界面準位密度の増加が抑制される。したがって、界面を移動するキャリアの移動度の低下が抑制され、TFT素子400の電気的性能を改善することができる。
また、プラズマ処理装置100を用いて低い圧力条件でプラズマ改質処理を行うことにより、ゲート絶縁膜403の膜質が緻密になり、不純物やダングリングボンドが少ない良質な膜に改質することができる。なお、ゲート絶縁膜403は、プラズマCVD法によって成膜することが好ましい。
次に、本発明の基礎となった実験データについて説明する。熱CVD法により成膜された酸化珪素膜に対して、図2に示したプラズマ処理装置100を用い、以下の条件1〜条件4でプラズマ改質処理を行った。改質後の酸化珪素膜について、膜厚の増加量、屈折率の増加量、0.125%の希フッ酸処理(30秒間)によるウエットエッチングレートを調べた。また、改質後の酸化珪素膜をゲート絶縁膜として用いてMOSキャパシタを製造し、その電気的な特性としてリーク電流密度(Jg;−10MV/cm)、絶縁膜経時破壊(TDDB;63%)、電子トラップの変化量(Δvge;11秒)について調べた。なお、比較のため、改質を行わない場合、アニールによって改質を行った場合、および熱酸化膜についても上記と同様の測定を行った。その結果を表1に示した。
[改質条件1]
Arガス流量;1000mL/min(sccm)
O2ガス流量;300mL/min(sccm)
流量比(O2/Ar+O2);0.23
処理圧力;6.7Pa
載置台2の温度;500℃
マイクロ波パワー;4000W
マイクロ波パワー密度;2.05W/cm2(透過板面積1cm2あたり)
[改質条件2]
Arガス流量;1980mL/min(sccm)
O2ガス流量;20mL/min(sccm)
流量比(O2/Ar+O2);0.01
処理圧力;200Pa
載置台2の温度;500℃
マイクロ波パワー;4000W
マイクロ波パワー密度;2.05W/cm2(透過板面積1cm2あたり)
[改質条件3]
Arガス流量;1200mL/min(sccm)
O2ガス流量;400mL/min(sccm)
流量比(O2/Ar+O2);0.25
処理圧力;667Pa
載置台2の温度;500℃
マイクロ波パワー;4000W
マイクロ波パワー密度;2.05W/cm2(透過板面積1cm2あたり)
[改質条件4]
Arガス流量;1200mL/min(sccm)
O2ガス流量;370mL/min(sccm)
H2ガス流量;30mL/min(sccm)
流量比(O2/Ar+O2+H2);0.23
流量比(H2/Ar+O2+H2);0.019
処理圧力;667Pa
載置台2の温度;500℃
マイクロ波パワー;4000W
マイクロ波パワー密度;2.05W/cm2(透過板面積1cm2あたり)
[アニール改質処理条件]
雰囲気;N2/O2=10/0.1L/min
温度;900℃
圧力;133Pa
[熱酸化膜形成条件]
雰囲気;H2/O2=450/900mL/min(sccm)
温度;950℃
圧力;15000Pa
[熱CVD成膜条件]
SiH2Cl2ガス流量;75mL/min(sccm)
N2Oガス流量;150mL/min(sccm)
処理圧力;48Pa
処理温度;780℃
表1に示した物理分析の結果から、200Pa以下の低い条件1および条件2でプラズマ改質処理を行った場合には、屈折率が増加し、ウエットエッチングレートが減少している。これらのデータは、プラズマ改質処理によって酸化珪素膜の膜質が改善され、膜密度が上昇したことを示している。また、条件1、条件2のウエットエッチングレートをアニールによる改質処理と比較すると、条件1と条件2の方が熱アニール改質に比べてエッチングレートが少なく、改質効果がより高いことが示された。
また、条件4でプラズマ改質処理を行った場合には、屈折率の変化は見られず、ウエットエッチングレートもアニールによる改質処理とほぼ同等であった。つまり、膜質の改善効果については、条件4のプラズマ改質処理は、アニールによる改質処理と同様の結果であった。しかし、条件4でプラズマ改質処理を行った場合には、酸化珪素膜の膜厚の増加が顕著に見られた。これは、CVD法により成膜された酸化珪素膜と下地のシリコンとの界面がプラズマ中のO(3P2)ラジカルによって酸化され、増膜したものと考えられた。
以上の結果から、処理圧力が267Pa以下例えば6.7Pa以上267Pa以下のプラズマ改質処理では、CVD法により成膜された酸化珪素膜の膜質の改善効果がアニールによる改質処理よりも高いことが示された。一方、処理圧力が667Paと高い圧力条件でのプラズマ改質処理の場合には、CVD法により成膜された酸化珪素膜の膜質の改善効果はアニールによる改質処理と同等であるが、増膜作用があることが判明した。
表2に示した電気的特性評価の結果では、処理圧力が200Pa以下と低い条件1および条件2でプラズマ改質処理を行った場合には、リーク電流密度(Jg)が処理圧力が667Paと高い条件3や、アニールによる改質処理に比べて大きく改善した。
図11に、条件1〜条件3のプラズマ改質処理の処理圧力とリーク電流との関係を示した。ここでは、アニール改質処理と熱酸化膜のリーク電流についても併せて掲載した。この図11から、処理圧力が267Pa以下例えば6.7Pa以上267Paであれば、リーク電流を2.1×10−4[A/cm2]以下に抑えることが可能であることが読み取れる。従って、リーク電流特性の改善を目的とする場合には、プラズマ改質処理の処理圧力を267Pa以下にすることが好ましい。
絶縁膜経時破壊(TDDB)は、条件1〜条件3でプラズマ改質処理を行った場合の方が、アニールによる改質処理に比べて大幅に改善されていた。特に、条件2によるプラズマ改質処理の場合には、熱酸化膜を超える非常に優れた信頼性を示した。
図12に、条件1〜条件3のプラズマ改質処理の処理圧力とTDDBとの関係を示した。ここでは、アニール改質処理と熱酸化膜のリーク電流についても併せて掲載した。この図12から、処理圧力が533Pa以下であれば、TDDBを33[C/cm2]以上にできることがわかる。従って、TDDB特性の改善を目的とする場合には、プラズマ改質処理の処理圧力を533Pa以下例えば6.7Pa以上533Pa以下にすることが好ましく、400Pa以下例えば6.7Pa以上400Pa以下がより好ましく、267Pa以下例えば6.7Pa以上267Pa以下が望ましい。
また、図13に、条件1〜条件3におけるO2/(Ar+O2)比とTDDBとの関係を示した。プラズマ改質処理では、図13に示したように、O2/(Ar+O2)比を0.23以下とすることにより、TDDB特性を効果的に改善でき、特にO2/(Ar+O2)比を0.1以下とすることで、熱酸化膜を超える高いTDDB特性が得られることが判明した。
電子トラップの変化量(Δvge)については、条件1および条件2でプラズマ改質処理を行った場合には、アニールによる改質処理に比べてほぼ半減しており、大きく改善した。条件3でプラズマ改質処理を行った場合にも、アニールによる改質処理に比べて若干電子トラップの変化量が減少しており改善された。また、プラズマ改質処理では、表2に示したように、O2/(Ar+O2)比を0.23以下とすることにより、Δvge特性を効果的に改善できることが判明した。
以上の結果から、267Pa以下の低い処理圧力で、かつ、O2/Ar+O2比が0.23以下の条件でプラズマ改質処理を行うことにより、酸化珪素膜を熱酸化膜と同等のレベルまで、欠陥が少なく、緻密で良質な膜質に改善できることが示された。また、このようにして改質された酸化珪素膜を用いることにより、デバイスの電気的特性を改善できることも確認された。
次に、プラズマ改質処理によって、CVD法により成膜された酸化珪素膜中に残留する塩素(原料のSiH2Cl2由来)の量がどのように変化するか検討を行った。酸化珪素膜中の残留塩素量は、TXRF(全反射蛍光X線;Total reflection X−ray Fluorescence)分析によって測定した。その結果を表3に示した。
表3から、プラズマ改質処理を実施した場合には、改質処理を行なわない場合に比べて残留塩素量が少なく、酸化珪素膜中の不純物を除去できることが示された。なお、プラズマ改質処理の後に、熱アニール処理を行うことも可能である。プラズマ改質処理に熱アニール処理を組み合わせることにより、残留塩素量を9.60×1011[atoms/cm2]まで低下させることができた。
次に、プラズマ処理装置100を用い、下記表4に示した条件(条件5〜条件7)でシリコン基板をプラズマ酸化処理して酸化珪素膜を形成した。形成された酸化珪素膜を剥離して、該酸化珪素膜とシリコン基板のシリコンとの界面(SiO2/Si界面)の状態を原子間力顕微鏡(AFM)で計測し、平坦度のRMSを算出した。その結果を表4および図14に示した。また、参照のため、シリコン基板をWVG法で熱酸化処理した酸化珪素膜についても、同様に平坦度のRMSを算出し、表4および図14に示した。
上記表4および図14示した結果から、プラズマ処理装置100を用いて、133Pa以下の低い処理圧力でプラズマ酸化処理を行った条件5、条件6では、いずれも平坦度のRMSが0.13nm以下であり、酸化珪素膜とシリコンとの界面(SiO2/Si界面)の状態を極めて平坦に形成できることが確認された。これに対し、熱酸化処理や、667Paの高い圧力条件のプラズマ酸化処理で形成された酸化珪素膜では、いずれも平坦度のRMSが0.2nmを超えており、酸化珪素膜とシリコンとの界面(SiO2/Si界面)をあまり平坦化することはできなかった。
平坦度のRMSは、0.1nm〜0.2nm程度の範囲で変化することにより、高集積化が進むデバイスの性能に大きな影響を与える。良好なデバイス性能を維持するためには、平坦度のRMSが0.13nm以下例えば0.05〜0.13nm以下であることが好ましい。本実施の形態の絶縁膜の形成方法では、プラズマ処理装置100を用いてプラズマ酸化処理を行うことにより、上記平坦度の要求を満たすことが可能である。
上記結果から、酸化珪素膜とシリコンとの界面(SiO2/Si界面)の平坦度のRMSを0.13nm以下にするために、プラズマ酸化処理の処理圧力を、267Pa以下例えば6.7Pa以上267Pa以下とすることが好ましく、133Pa以下例えば6.7Pa以上133Pa以下とすることがより好ましく、67Pa以下例えば6.7Pa以上67Pa以下とすることが望ましい。
また、プラズマ酸化処理における酸素分圧は、5Pa以下例えば0.1Pa以上5Pa以下が好ましく、2Pa以下例えば0.1Pa以上2Pa以下がより好ましい。
また、条件5と条件6との比較から、プラズマ酸化処理においては、処理ガス中に水素を添加することがより好ましいことも判明した。この場合、酸素ガス流量に対する水素ガス流量の比率は、25%以上例えば25%以上75%以下が好ましく、50%以上75%以下がより好ましい。
以上のように、本実施の形態の絶縁膜の形成方法では、シリコンと絶縁膜としての酸化珪素膜との界面が、デバイス製造に用いられるシリコン基板の平坦度に比べて極めて平坦になるように酸化珪素膜を形成し、その上にCVD法で絶縁膜を形成し、その絶縁膜をプラズマ改質処理することによって、絶縁膜を形成するので、例えば界面準位密度を抑制する必要性が高く、かつ緻密かつ良質な絶縁膜が必要となる上記アプリケーション(例えばTFT素子のゲート絶縁膜の形成)に好ましく利用できる。
[第2の実施の形態]
次に、図15および図16を参照しながら本発明の第2の実施の形態に係る絶縁膜の形成方法について説明する。図15は、第2の実施の形態に係る絶縁膜の形成方法の手順の一例を示すフロー図であり、図16は、その主要な工程を説明する図面である。本実施の形態では、プラズマ酸化処理の後に、CVD法による絶縁膜の形成と、プラズマ改質処理とを複数回繰り返し行い、緻密で良質な絶縁膜を厚膜に形成できるようにした。
図15において、まずステップS11では、真空側搬送室103内の搬送装置109により、処理対象のウエハWを前記の手順でプラズマ処理装置100(プロセスモジュール101a)に搬入する。次に、ステップS12では、図16(a)に示したように、ウエハWの表面に露出したシリコン層201に対してプラズマ酸化処理を行う。このプラズマ酸化処理によって、図16(b)に示したように、シリコン層201のシリコンをその表面から酸化して所定膜厚で第1の絶縁膜としての酸化珪素膜202を形成する。以上のステップS11、ステップS12の処理は、第1の実施の形態のステップS1〜ステップS2の処理(図6参照)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、ステップS13では、真空側搬送室103内の搬送装置109により、酸化珪素膜が形成されたウエハWを枚葉CVD成膜装置300(プロセスモジュール101bまたは101c)に移送する。この移送は、真空側搬送室103内の搬送装置109によって真空状態のまま実施される。
次に、ステップS14では、図16(c)に示したように、ウエハWの表面に形成された酸化珪素膜202の上に、CVD法による成膜処理を行う。これにより、図16(d)に示したように、酸化珪素膜202の上に重ねて第2の絶縁膜としての酸化珪素膜203が形成される。このCVD法として、基板処理システム200を使用する本実施の形態ではCVD法を用いるが、例えば熱CVD法、減圧CVD法、常圧CVD法などの方法で成膜を行うことが可能である。
次に、ステップS15では、酸化珪素膜202および酸化珪素膜203が形成されたウエハWをプラズマ改質処理装置としてのプラズマ処理装置100(プロセスモジュール101d)に移送する。この移送は、真空側搬送室103内の搬送装置109によって真空状態のまま実施される。次に、ステップS16では、図16(e)に示したように、酸化珪素膜203に対してプラズマ改質処理を実施する。本実施の形態では、上記ステップS13〜ステップS16の処理を、必要に応じて複数回繰り返し実施する。すなわち、図16(f)および図16(g)に示したように、第2の絶縁膜としての酸化珪素膜203の上に、CVD法によってさらに第2の絶縁膜としての酸化珪素膜204を積層形成し、次いで、図16(h)に示したように、最上層の酸化珪素膜204にプラズマ改質処理を施す。ステップS13〜ステップS16の処理は、第2の絶縁膜(酸化珪素膜203,204…)の合計膜厚T3が所定の厚みになるまで繰り返し実施される。なお、ステップS13〜ステップS16の処理は、第1の実施の形態のステップS3〜ステップS6の処理(図6参照)と同様に行うことができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
以上のように、ステップS13からステップS16の処理を繰り返した後は、ステップS17で真空搬送室103内の搬送装置109により処理済のウエハWをプラズマ処理装置100(プロセスモジュール101d)から搬出し、前記手順でロードポートLPのウエハカセットCRに収納する。
本実施の形態の絶縁膜の形成方法では、このステップS13〜ステップS16の繰り返しにより、緻密で良質な絶縁膜(酸化珪素膜)の膜厚T3を、所望の厚みに形成することができる。すなわち、1回のCVD法によって、仮に10nm〜1000nmの厚い酸化珪素膜を形成できたとしても、そのままでは緻密で良質な膜質に改質することは困難である。その理由は、前記のとおりO2 +イオンやO(1D2)ラジカルは、改質処理の対象である酸化珪素膜を透過する能力が低いため、プラズマ改質が可能な酸化珪素膜の膜厚(表面からの深さ)には限界があるためである。このため、本実施の形態の絶縁膜の形成方法では、絶縁膜としてのCVD法による酸化珪素膜の堆積と、プラズマ改質処理を繰り返し実施することによって、所望の膜厚T3で、緻密で良質な膜質の絶縁膜を形成できる。
また、複数回のCVD法による成膜処理に先立ち、ステップS12で下地のシリコン層をプラズマ酸化処理しておくことによって、シリコンと酸化珪素膜との界面を平坦化することができる。これにより、固定電荷の蓄積による界面準位密度の上昇を防止し、キャリアの移動度を確保してデバイスの電気的特性を改善することができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。なお、プロセスモジュール101aおよび101dにおいて、それぞれステップS12のプラズマ酸化処理とステップS16のプラズマ改質処理の両方の処理を行ってもよい。
以上、本発明の実施の形態を述べたが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施例では、プラズマ改質処理の対象となる絶縁膜として熱CVD法により形成された酸化珪素膜(SiO膜2)を挙げたが、熱CVD法による酸化珪素膜に限らず、他のCVD法、例えばプラズマCVD法により形成された酸化珪素膜を対象とすることが可能である。この場合、膜質があまり良好でない(例えば膜質が疎な)酸化珪素膜ほど高い改質効果が得られる。
また、プラズマ改質処理の対象となる絶縁膜としては、酸化珪素膜に限らず、例えばジルコニウム、タンタル、チタン、バリウム、ストロンチウム、アルミニウム、ハフニウム等の金属の酸化物を含む高誘電率金属酸化膜(Hi−k膜)に対してもプラズマ改質処理を適用可能である。この場合、シリコン表面にCVD法で高誘電率金属酸化膜を形成しただけでは、平坦な界面を形成できないので、成膜の前にプラズマ酸化処理を行い、極めて平坦な界面を形成しておき、その上に高誘電率金属酸化膜を形成することが有効である。
1…チャンバ(処理室)、2…載置台、3…支持部材、5…ヒータ、12…排気管、15…ガス導入部、16…搬入出口、18…ガス供給機構、19a…不活性ガス供給源、19b…酸素含有ガス供給源、19c…水素ガス供給源、24…排気装置、28…透過板、29…シール部材、31…平面アンテナ、32…マイクロ波放射孔、37…導波管、37a…同軸導波管、37b…矩形導波管、39…マイクロ波発生装置、50…制御部、51…プロセスコントローラ、52…ユーザーインターフェース、53…記憶部、100…プラズマ処理装置、200…基板処理システム、300…枚葉CVD成膜装置、W…半導体ウエハ(基板)