JP2009188322A - 電波吸収体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂中に磁性粉を、磁性粉の充填密度が電波の進行方向に沿って連続的に増加する様にして分散させた磁性粉/樹脂複合体を有している電波吸収体。比誘電率が5以下の樹脂中に磁性粉を、磁性粉の充填密度が電波の進行方向に沿って連続的に増加する様にして分散させ、さらに電波の入射面のインピーダンスが300Ω〜377Ωである磁性粉/樹脂複合体を有している電波吸収体。磁性粉/樹脂複合体の電波の入射面に低誘電率材料からなる層を有している電波吸収体。
【選択図】図1
Description
東北化工株式会社、"製品情報欄の電波暗室用電波吸収体、平板積層型電波吸収体"、[online]、[2008年2月6日検索]、インターネット<URL:http://www1k.mesh.ne.jp/tci/kasei/denpa/anshitsu/uf.html> 東北化工株式会社、"製品情報欄の電波暗室用電波吸収体、ピラミッド型電波吸収体"、[online]、[2008年2月6日検索]、インターネット<URL:http://www1k.mesh.ne.jp/tci/kasei/denpa/anshitsu/up.html>
樹脂中に磁性粉を、前記磁性粉の充填密度が電波の進行方向に沿って連続的に増加する様にして分散させた磁性粉/樹脂複合体を有していることを特徴とする電波吸収体である。
本請求項の発明においては、電波吸収体の磁性粉/樹脂複合体内における磁性粉が、その充填密度(以下、煩雑化を避けるため、原則として「密度」と記す)が電波の進行方向に沿って連続的に増加する様にして分散されており、完全に連続的な濃度分布となっているため、波長の如何にかかわらず電波は磁性粉の密度が低いあるいは0の入射面からインピーダンスの不整合による大きな反射をすることなく磁性粉/樹脂複合体内に侵入し、さらに小さな反射を繰り返す多重反射により吸収されていくこととなる。
また、製造の面からは加熱硬化型の樹脂が好ましいが、製造時の磁性体の酸化を防止するという面からは、硬化温度は200℃以下であるものが好ましく、特に150℃以下であることが好ましい。
比誘電率が5以下の樹脂中に磁性粉を、前記磁性粉の充填密度が電波の進行方向に沿って連続的に増加する様にして分散させ、さらに電波の入射面のインピーダンスが300Ω〜377Ωである磁性粉/樹脂複合体を有していることを特徴とする電波吸収体である。
前記磁性粉/樹脂複合体の電波の入射面に低誘電率材料からなる層を有していることを特徴とする電波吸収体である。
前記樹脂は、エポキシ樹脂またはゴムのいずれかであることを特徴とする電波吸収体である。
前記磁性粉/樹脂複合体は、積層構造であることを特徴とする電波吸収体である。
前記磁性粉は、形状若しくは材質の少なくとも一方が複数の種類の磁性粉であることを特徴とする電波吸収体である。
前記磁性粉/樹脂複合体中の樹脂中に磁性粉を、前記磁性粉の充填密度が電波の進行方向に沿って連続的に増加する様にして分散させる手段として遠心力を用いることを特徴とする電波吸収体の製造方法である。
磁性粉として、パーマロイ粉、センダスト粉等の高透磁率合金を用いた電波吸収体を製造する。これにより、透磁率が高いため電波の吸収性が良くなる傾向を示し、ひいては電波吸収体の厚さを薄くすることが可能となる。また、反磁界効果の影響を受け難い扁平やロッド状の磁性粉を採用して透磁率を高める、MHz帯域の電波を吸収するために、この周波数領域において高い透磁率を有するフェライト系の材料を使用する等の手段を採用することも可能である。
また、磁性粉として扁平状のパーマロイ粉と球状のカルボニル粉を併用して磁性粉/樹脂複合体を作製する。この場合には、両方の磁性粉の樹脂中での分散性が相違するため、磁性粉の粒度分布が大きくなり、反射板近傍での充填密度も増加し、優れた電波の吸収特性を示すこととなる。
実施例1の形態は、磁性粉として球状ケイ素鋼磁性粉を使用するものである。
市販の球状ケイ素鋼磁性粉0.5gを秤量し、これに、同じく市販のエポキシ樹脂主剤0.34gと硬化剤0.16gを添加し、メノウ乳鉢で均一になるまで混合した。この磁性粉と樹脂の混合流体(ただし、粘性は高い)を金型に全量流し込み、金型ごと4000rpmで10分間、遠心処理を行った。加速度は、おおよそ3000G程度である。ただし、この際の加速度は、磁性粉の粒度や配合率、樹脂の種類(主剤と硬化剤の配合率やメーカによって、多少の相違があり得る)や加速度を加える温度における樹脂の粘度(夏季と冬季で多少相違する)等に応じて好ましい値が多少変化するため、加速度を変えた試験を3、4度行って適切な値とすることが好ましい。
実施例2は、実施例1の電波吸収体の電波の入射面側に発泡ウレタン層を形成したものである。
実施例3は、磁性粉としてカルボニル鉄粉(真球状の直径0.3μm〜10μmの粒度分布を有する鉄粉)を使用し、さらにその分散剤をも使用するものである。カルボニル鉄粉は、種々の物が市販されているが、和光純薬工業社製のカルボニル鉄粉(D50:〜3マイクロメートル)を使用した。このカルボニル鉄粉0.4gを秤量し、実施例1に用いたのと同じエポキシ樹脂主剤0.26gと硬化剤0.13gを添加し、メノウ乳鉢で均一になるまで混合し、さらに得られた磁性粉/樹脂の混合流体を全量金型に流し込んで金型ごと4000rpmで10分間、遠心処理を行った。その後、120℃で1時間の加熱を行って樹脂を硬化させた。
実施例4は、連続的に磁性粉の(充填)密度を変化させることの効果を確認することに関する。
カルボニル鉄粉0.45gを秤量し、これに、エポキシ樹脂主剤0.2gと硬化剤0.1gを添加し、メノウ乳鉢で均一になるまで混合し、さらに得られた磁性粉と樹脂の混合流体を金型に流し込み、金型ごと回転速度4000rpmで30分間の遠心処理を行った。その後、120℃で1時間の加熱を行って樹脂を硬化させた。なお、得られた磁性粉/樹脂複合体の厚さは約7mmである。
実施例5は、実施例4の磁性粉充填率で磁性粉の使用量を多くした上で、発泡ウレタン層の有無による相違を比較したものである。
カルボニル鉄粉0.6gを秤量し、これに、エポキシ樹脂主剤0.26gと硬化剤0.13gを添加し、均一になるまでメノウ乳鉢で混合した。この磁性粉と樹脂の混合流体を金型に流し込み、金型ごと回転速度4000rpmで20分間の遠心処理を行った。その後、加熱して樹脂を硬化させ、厚さ10mmの磁性粉/樹脂複合体を得た。
実施例1と実施例2の電波吸収体に比較して磁性粉の密度が大かつ勾配が急ではあるが、何れの電波吸収体においても実施例1と実施例2の電波吸収体と同様に周波数の増加に伴って電波の吸収能力が増加する現象が認められる。
実施例6は、電波吸収体の磁性粉/樹脂複合体を積層構造としたものである。
図8に、実施例6の電波吸収体を、電波の進行方向に沿って切断した断面を概念的に示す。図8において、21は第1の磁性粉/樹脂複合体スライス片層であり、22は第2の磁性粉/樹脂複合体スライス片層であり、23は第3の磁性粉/樹脂複合体スライス片層であり、40は発泡ウレタン層であり、71と72は前記各層の境界面であり、81は磁性粉/樹脂複合体の電波の進行方向における密度分布を示す線であり、縦軸は密度を示す。
また、各磁性粉/樹脂複合体スライス片層21、22、23間の境界面71、72に多少の空気が存在しても性能に悪影響がなかった。
11 粒子径が大きい球状ケイ素鋼磁性粉
20 硬化したエポキシ樹脂
21 第1の磁性粉/樹脂複合体スライス片層
22 第2の磁性粉/樹脂複合体スライス片層
23 第3の磁性粉/樹脂複合体スライス片層
30 アルミニウム箔
40 発泡ウレタン層
50 磁性粉/樹脂複合体
71、72 境界面
81 密度分布を示す線
91 電界強度を示す点線
92 磁界強度を示す破線
Claims (7)
- 樹脂中に磁性粉を、前記磁性粉の充填密度が電波の進行方向に沿って連続的に増加する様にして分散させた磁性粉/樹脂複合体を有していることを特徴とする電波吸収体。
- 比誘電率が5以下の樹脂中に磁性粉を、前記磁性粉の充填密度が電波の進行方向に沿って連続的に増加する様にして分散させ、さらに電波の入射面のインピーダンスが300Ω〜377Ωである磁性粉/樹脂複合体を有していることを特徴とする電波吸収体。
- 前記磁性粉/樹脂複合体の電波の入射面に低誘電率材料からなる層を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電波吸収体。
- 前記樹脂は、エポキシ樹脂またはゴムのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電波吸収体。
- 前記磁性粉/樹脂複合体は、積層構造であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電波吸収体。
- 前記磁性粉は、形状若しくは材質の少なくとも一方が複数の種類の磁性粉であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電波吸収体。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電波吸収体の製造方法であって、
前記磁性粉/樹脂複合体中の樹脂中に磁性粉を、前記磁性粉の充填密度が電波の進行方向に沿って連続的に増加する様にして分散させる手段として遠心力を用いることを特徴とする電波吸収体の製造方法。
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