図1は本発明に係る光ピックアップ装置を示す要部の斜視図、図2は本発明の動作を説明するための図、図3及び図4は本発明に係る光ピックアップ装置に組み込まれる光検出器とレーザー光との関係を説明するための図、図5及び図6は従来の光ピックアップ装置に組み込まれる光検出器とレーザー光との関係を説明するための図、図7はレーザー光の強度分布を説明するための特性図である。
まず、光ピックアップ装置の構成について図1を参照して説明する。図1において、1はレーザー駆動回路から供給される駆動信号に対応した出力のレーザー光L1を放射するレーザーダイオードであり、レーザー光L1は断面が楕円状のレーザー光である。
2は前記レーザーダイオード1から放射されるレーザー光L1が入射される回折格子であり、メインビームである0次光とサブビームである+1次光及び−1次光より成るレーザー光L2を生成出射する作用を成すものである。
3は前記回折格子2から出射されるレーザー光L2が入射される偏光ビームスプリッタ
であり、光ディスクDに照射されるレーザー光L3を透過させるとともにレーザー光の出力を制御するべく設けられているフロントモニター用ダイオード4へ照射されるモニター用レーザー光L4を反射させる反射膜3aが設けられている。また、前記反射膜3aは後述するように光ディスクDから反射される戻り光を制御用レーザー光として反射させる作用も成すように構成されている。
5は前記偏光ビームスプリッタ3の反射膜3aを透過したレーザー光L3が入射されるコリメートレンズであり、入射されるレーザー光L3を平行光であるレーザー光L5に変更する作用を成すものである。6は前記レーザー光L5が入射される反射ミラーであり、前記レーザー光L5の全てをレーザー光L6として光ディスクD方向へ反射させる作用を成すものである。斯かる反射ミラー6は、一般的には立ち上げミラーと呼ばれている。
7は前記反射ミラー6から反射されたレーザー光L6が入射される1/4波長板であり、レーザー光L6の位相を1/4波長ずらせる作用を成すものである。8は前記1/4波長板7を透過したレーザー光L7が入射される対物レンズであり、光ディスクDに設けられている信号記録層に絞ったレーザー光L8として集光させる作用を成すものである。また、前記対物レンズ8は、光ディスクDの信号面に対して垂直方向への変位動作によってフォーカシング制御動作を行うとともに光ディスクDの径方向への変位動作によってトラッキング制御動作を行うように構成されている。斯かる動作を行う対物レンズは、例えば4本の支持ワイヤーにてフォーカシング制御方向及びトラッキング制御方向へ変位可能に設けられているが、斯かる構成は周知であるので、その説明は省略する。
前記対物レンズ8によって光ディスクDの信号記録層に照射されたレーザー光L8は前記信号記録層から反射された戻り光として前記対物レンズ8に入射される。前記対物レンズ8に入射される戻り光は、前記1/4波長板7、反射ミラー6及びコリメートレンズ5を通して前記偏光ビームスプリッタ3に入射される。
このようにして、前記偏光ビームスプリッタ3に入射される戻り光の位相は前記1/4波長板7を往復透過するため、即ち2回透過するため、周知のように1/2波長だけずれることになる。このようにして位相がずれた戻り光が前記偏光ビームスプリッタ3に入射されると、該偏光ビームスプリッタ3に形成されている反射膜3aによって制御用レーザー光L9として反射される。
9は前記偏光ビームスプリッタ3の反射膜3aにて反射された制御用レーザー光L9が入射されるセンサーレンズであり、該制御用レーザー光L9をPDICと呼ばれる光検出器10に設けられている受光部に集光レーザー光L10として照射させる作用を有している。また、前記センサーレンズ9にはシリンドリカルレンズ等が組み込まれており、非点収差法によるフォーカシング制御動作を行うために非点収差を発生させるように構成されているが、斯かる点は周知であるので、その説明は省略する。
図1に示した光ピックアップ装置において、レーザーダイオード1から放射されるレーザー光L1は、回折格子2、偏光ビームスプリッタ3、コリメートレンズ5、反射ミラー6及び1/4波長板7を通して対物レンズ8に入射され、該対物レンズ8の集光動作によって光ディスクDの信号記録層に照射されることになる。
前記信号記録層に照射されたレーザー光L8は該信号記録層から反射されて戻り光として対物レンズ8に入射される。前記対物レンズ8に入射された戻り光は、1/4波長板7、反射ミラー6及びコリメートレンズ5を介して偏光ビームスプリッタ3に入射される。
前記偏光ビームスプリッタ3に入射された戻り光は、該偏光ビームスプリッタ3に設け
られている反射膜3aによって制御用レーザー光L9として反射される。このようにして得られる制御用レーザー光L9はセンサーレンズ9に入射されるとともに集光レーザー光L10として光検出器10に設けられている受光部に照射される。
前記光検出器10に設けられている受光部としては、図3に示すように0次光であるメインビームMが照射されるとともに信号再生動作やフォーカシング制御動作に使用されるメインビーム用受光部MD、+1次光である先行サブビームS1が照射されるとともにトラッキング制御動作に使用される先行サブビーム用受光部SD1及び−1次光である後行サブビームS2が照射されるとともにトラッキング制御動作に使用される後行サブビーム用受光部SD2にて構成されている。
前記光検出器10には、前述したようにメインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2が設けられているが、その配列方向はトラッキング制御方向、即ち対物レンズ8にて集光されるスポットが光ディスクDの径方向に変位するとメインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2に照射されるメインビームM、先行サブビームS1及び後行サブビームS2が変位する方向と一致するように構成されている。
また、前記メインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2は、図示したように各々4分割されたセンサーにて構成されている。そして、前記メインビーム用受光部MDを構成する全センサーA、B、C、Dに照射されるメインビームの光量に応じた信号を加算することによって光ディスクDに記録されている信号を再生信号として読み出すように構成されているが、斯かる動作は周知であり、その説明は省略する。
そして、前記メインビーム用受光部MDを構成する4分割センサーの中の対角関係にあるセンサーから得られる信号を加算するとともにこの加算信号から他方の対角関係にあるセンサーから得られる信号を加算信号した信号を減算することによってフォーカスエラー信号を生成させ、このフォーカスエラー信号を利用してフォーカシング制御動作を行うように構成されているが、斯かるフォーカシング制御動作は非点収差法と呼ばれるフォーカシング制御方法であり、その説明は省略する。
斯かる非点収差法に対して、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2を各々構成する4分割センサーの中の対角関係にあるセンサーを加算するとともにこの加算信号から他方の対角関係にあるセンサーから得られる信号を加算した信号を減算することによってサブフォーカスエラー信号を生成し、これらのサブフォーカスエラー信号と前記メインビーム用受光部MDを構成する4分割センサーから得られるメインフォーカスエラー信号とからフォーカスエラー信号を演算生成してフォーカシング制御動作を行うように構成されている。斯かるフォーカシング制御動作は差動非点収差法と呼ばれる制御方法である。
次に前述した差動非点収差法によるフォーカシング制御動作について説明する。斯かるフォーカシング制御動作は、前述したようにメインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2から生成されるメインフォーカスエラー信号及びサブフォーカスエラー信号を使用して行われる。
前記メインビーム用受光部MDを構成する4分割センサーの中の2つのセンサーA、Cから得られる信号を加算するとともにこの加算信号から2つのセンサーB、Dから得られる信号を加算した信号を減算させてメインのフォーカスエラー信号を得る。
そして、先行サブビーム用受光部SD1を構成する4分割センサーの中の2つのセンサーI、Kから得られる信号を加算するとともにこの加算信号から2つのセンサーJ、Lから得られる信号を加算した信号を減算させて第1制御信号を得、また、後行サブビーム用受光部SD2を構成する4分割センサーの中の2つのセンサーE、Gから得られる信号を加算するとともにこの加算信号から2つのセンサーF、Hから得られる信号を加算した信号を減算させて第2制御信号を得、このようにして得られた第1制御信号と第2制御信号とを演算処理することによってサブのフォーカスエラー信号を得る。
差動非点収差法におけるフォーカスエラー信号は、メインビーム用受光部MDから得られるメインフォーカスエラー信号から先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2から得られるサブフォーカスエラー信号を減算することによって得るように構成されている。
次に、斯かるフォーカスエラー信号の生成動作について図3に示した各センサー部の符号を参照にして説明する。メインのフォーカスエラー信号をMFEとすると、MFE=(A+C)−(B+D)となり、サブのフォーカスエラー信号をSFEとすると、SFE={(E+G)−(F+H)}+{(I+K)−(J+L)}と表される。
そして、斯かる差動非点収差法におけるフォーカシング制御動作は、差動プッシュプル信号DPPに基づいて行われるが、このDPP信号は、DPP=MFE−k×SFEとして得られる。ここで、kはメインビームの光強度とサブビームの光強度に基づいて決定される定数である。
このようにメインビームとサブビームとを組み合わせたフォーカシング制御動作を行うように構成された光ピックアップ装置が開発されているが、次に斯かる構成の光ピックアップ装置におけるトラッキング制御動作について説明する。
斯かるトラッキング制御動作は、先行サブビーム用受光部SD1への先行サブビームS1の照射動作及びへの後行サブビームS2の照射動作によって行われる。
例えば、先行サブビーム用受光部SD1を構成する4分割センサーの中の上側にある2つのセンサーI、Jから得られる信号を加算するとともにこの加算信号から下側にある2つのセンサーL、Kから得られる信号を加算した信号を減算させて第1制御信号を得、また、後行サブビーム用受光部SD2を構成する4分割センサーの中の上側にある2つのセンサーE、Fから得られる信号を加算するとともにこの加算信号から下側にある2つのセンサーH、Gから得られる信号を加算した信号を減算させて第2制御信号を得、このようにして得られた第1制御信号と第2制御信号とを演算処理することによってトラッキングエラー信号を生成させるように構成されているが、斯かる動作は周知であり、その説明は省略する。
また、前述したトラッキング制御動作に加えて最近では、サブビームS1、S2だけでなくメインビームMが照射されるメインビーム用受光部MDから得られるトラッキングエラー信号を利用してトラッキング制御動作を行う方式、所謂差動プッシュプルと呼ばれる方式が精度向上のために採用されている。
斯かる方式におけるトラッキングエラー信号は、メインビーム用受光部MDから得られるメイントラッキングエラー信号から先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2から得られるサブトラッキングエラー信号を減算することによって得るように構成されている。
図示したセンサー部の符号を参照して説明する。メインのトラッキングエラー信号をMTEとすると、MTE=(A+B)−(C+D)となり、サブのトラッキングエラー信号をSTEとすると、STE={(E+F)−(G+H)}+{(I+J)−(L+K)}と表される。
そして、斯かる差動プッシュプル方式におけるトラッキング制御動作は、差動プッシュプル信号DPPに基づいて行われるが、このDPP信号は、DPP=MTE−k×STEとして得られる。ここで、kはメインビームの光強度とサブビームの光強度に基づいて決定される定数である。
このようにサブビームとメインビームとを組み合わせたトラッキング制御動作を行う光ピックアップ装置が開発されている。
また、前記レーザーダイオード1から放射されたレーザー光L1は、回折格子2によって回折されたレーザー光L2として偏光ビームスプリッタ3に入射されるが、その一部は反射膜3aによって反射されてモニター用レーザー光L4としてフロントモニター用ダイオード4へ照射される。
前記フロントモニター用ダイオード4に照射されるモニター用レーザー光L4は、前記レーザーダイオード1から放射されるレーザー光L1の出力レベルに応じて変化することになる。従って、前記フロントモニター用ダイオード4によって生成されるモニター信号をレーザーダイオード1に駆動信号を供給するべく設けられている駆動回路に帰還させることによってレーザーダイオード1から放射されるレーザー光L1の出力を所定値になるように制御するレーザーサーボ動作を行うことが出来る。斯かるレーザーサーボ動作は、周知であり、その説明は省略する。
前述したようにメインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2から得られる信号からフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成させ、このフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいてフォーカシング制御動作及びトラッキング制御動作は行われるが、斯かるフォーカシング制御動作は対物レンズ8を光ディスクDの信号面に対して垂直方向に変位させることによって行われ、トラッキング制御動作は対物レンズ8を光ディスクDの径方向に変位させることによって行われる。
図2は光ディスクDに設けられている第1信号記録層L0と第2信号記録層L1と対物レンズ8との関係を示すものであり、図示した状態は第1信号記録層L0にレーザー光L8をフォーカシング制御動作によって集光させた状態を示すものである。即ち、斯かる状態では、第1信号記録層L0にレーザー光L8が集光されており、該第1信号記録層L0に設けられている信号トラックに対するトラッキング制御動作が行われて該第1信号記録層L0に記録されている信号の再生動作が行われることになる。
第2信号記録層L1に記録されている信号の再生動作を行う場合には、対物レンズ8を図2に示した位置より下方へ変位させることによってレーザー光L8を該第2信号記録層L1に集光させることによって行われるが、斯かる各信号記録層に対するフォーカシング制御動作は周知であるので、その説明は省略する。
以上に説明したように本発明に係る光ピックアップ装置は構成されているが、次に本発明の要旨、即ちフォーカシング制御動作に対する迷光対策について説明する。
まず、従来の光ピックアップ装置における迷光による悪影響動作について説明する。図
2に示すように第1信号記録層L0に記録されている信号の再生動作を行っているとき、該第1信号記録層L0には、回折格子2にて生成されたメインビームM、先行サブビームS1及び後行サブビームS2より成るレーザー光L8が照射された状態にある。
そして、斯かるメインビームM、先行サブビームS1及び後行サブビームS2は、各々前記第1信号記録層L0から反射された後、対物レンズ8、1/4波長板7、反射ミラー6及びコリメートレンズ5を通して偏光ビームスプリッタ3の反射膜3aに入射される。このようにして入射されたレーザー光は、前述したように前記偏光ビームスプリッタ3の反射膜3aにて反射され、制御用レーザー光L9としてセンサーレンズ9に入射される。
前記センサーレンズ9に入射された制御用レーザー光L9は、該センサーレンズ9の集光作用によって集光レーザー光L10として光検出器10に設けられている受光部に照射される。図3は、このようにして照射される集光レーザー光L10と受光部との関係を示すものであり、同図より明らかなようにメインビームM、先行サブビームS1及び後行サブビームS2が各々メインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2上に照射されることになる。
このようにメインビームM、先行サブビームS1及び後行サブビームS2が各々メインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2上に照射される結果、第1信号記録層L0へのフォーカシング制御動作及び該第1信号記録層L0に設けられている信号トラックに対するトラッキング制御動作が行われる。従って、前記第1信号記録層L0に記録されている信号の再生動作を行うことが出来る。
前述したように対物レンズ8の集光動作によって光ディスクDの第1信号記録層L0にレーザー光L8が照射されるが、このレーザー光L8の中のメインビームMは、第2信号記録層L1から迷光として、図2の破線で示すように反射される。このようにして、第2信号記録層L1から反射される迷光は、第1信号記録層L0から反射されるレーザー光と同様に対物レンズ8、1/4波長板7、反射ミラー6、コリメートレンズ5を通して偏光ビームスプリッタ3の反射膜3aに入射される。
このようにして偏光ビームスプリッタ3の反射膜3aに入射された迷光は、該反射膜3aにて反射された後、センサーレンズ9を通して光検出器10に設けられている受光部に照射される。斯かる迷光は、第1信号記録層L0からの反射光のように集光されたレーザー光ではないので、該センサーレンズ9によって受光部に集光されることはない。
図5は、前述したメインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2と迷光との関係を示すものであり、破線で示す輪Pの内側の部分が迷光ビームの照射部分である。
この図より明らかなように迷光ビームが光検出器10に設けられているメインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2上に照射されることになる。
メインビームである0次光とサブビームである+1次光及び−1次光は、回折格子2によって生成されるが、その光量比、即ち1つのサブビームとメインビームの光量比は、一般に1対15程度に設定されている。従って、第2信号記録層L1から迷光として反射されるサブビームの光量は、迷光として反射されるメインビームの光量と比較して十分に小さいので、フォーカシング制御動作等に与える影響は無視することが出来る。
また、メインビーム用受光部MDに照射されるメインビームMの光量は、迷光ビームの
光量よりも十分大きいので、メインビーム用受光部MDによる信号生成動作、即ち第1信号記録層L0に記録されている信号の再生動作及びフォーカスエラー信号の生成動作等に悪影響を与えることはない。
一方、前述したように先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2にフォーカスエラー信号を生成するために照射される先行サブビームS1及び後行サブビームS2の光量は、メインビームMの光量より小さくなるように設定されている。そのため先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2から得られる信号を増幅するべく設けられている増幅器の利得は、メインビーム用受光部MDから得られる信号を増幅するべく設けられている増幅器の利得より一般的には高くなるように設定されている。
その結果、第2信号記録層L1から反射されるメインビームMから生成される迷光が先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2上に照射されることによって受ける影響が大きくなる。即ち、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2から得られるフォーカスエラー信号に迷光の光強度に応じた信号が作用するので、正確なフォーカスエラー信号を得ることが出来ず、その結果フォーカシング制御動作が不安定になるという問題がある。
本発明は、斯かる問題を解決するために図3に示したように先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の受光部の面積をメインビーム用受光部MDの面積より小さくしたことを特徴とするものである。また、本発明の先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2は、面積をメインビーム用受光部MDの面積より小さくするとともに八角形の形状になるようにされている。
更に、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2は、図示したようにトラッキング制御方向、即ち矢印N1方向に長い形状になるように構成されている。即ち、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の形状をトラッキング制御方向に長い形状にしたので、トラッキングのずれやそのずれを補正するトラッキング制御動作に伴って先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2に照射される先行サブビームS1及び後行サブビームS2が矢印N1方向に変位しても先行サブビームS1及び後行サブビームS2が各々先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2上から食み出ることはない。
斯かる構成によれば、レーザースポットがトラッキング方向に変位しても先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2上に先行サブビームS1及び後行サブビームS2を位置させることが出来るので、フォーカシング制御動作を正確に行うことが出来る。
そして、本発明の先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2は、図示したようにトラッキング制御方向に対して直角方向、即ち矢印N2方向の長さをサブビームS1、S2の径とほぼ同一になるように構成されている。斯かる構成によれば、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の面積を最大限小さくすることが出来るので、迷光による影響を極力避けることが出来、フォーカシング制御動作を正確に行うことが出来る。
前述したようにメインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2は構成されているが、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2のN2方向の長さであるXは前述したようにサブビームS1、S2の径とほぼ同一になるように設定されている。
このように先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2のN2方向の長さXの値はサブビームS1、S2の径に基づいて設定されるが、次に矢印N1にて示すトラッキング制御方向の長さであるSLの設定について説明する。
先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2のN1方向の長さSLの値は、トラッキング制御動作に伴う対物レンズ8の変位動作に伴うサブビームS1、S2の光量低下を考慮して設定される。即ち、対物レンズ8の変位動作に伴って先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2から得られる信号のレベルが低下してもフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に基づくフォーカシング制御動作及びトラッキング制御動作を支障なく行うことが出来る長さになるように設定される。
斯かる先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2のN1方向の長さSLの値とメインビーム用受光部MDのN1方向の長さMLの値との比率をPとしたとき、即ちP=SL/MLとしたとき、この比率Pの値を段階的に変化させることによって先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2のN1方向の長さSLの値を設定することが出来る。
即ち、メインビーム用受光部MDのN1方向の長さMLの値を固定した状態にて先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2のN1方向の長さSLの値を変化させ、テストディスクを使用したフォーカシング制御動作を行うことによってSLの値を設定することが出来る。本出願人が実験した結果では、比率Pの値が略0.6以上であれば、対物レンズ8の変位動作に伴ってサブビームS1、S2の光量が低下しても問題なくフォーカシング制御動作やトラッキング制御動作を行うことが出来ることが確かめられた。
前述したように先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2のN1方向の長さSLとメインビーム用受光部MDのN1方向の長さMLの比率Pを0.6程度に設定すれば先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2のN1方向の長さSLを最も短くすることが出来る。その結果、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の受光面積をフォーカシング制御動作及びトラッキング制御動作を正確に行うことが出来る範囲で最も狭くすることが出来るので、迷光による影響を極限まで抑えることが出来る。
以上に説明したように本実施例における先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の形状を八角形にしたが、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2に照射されて生成される先行サブビームS1及び後行サブビームS2の形状に近似した形状にすれば迷光による影響を更に改善することが出来る。
図4は他の実施例であり、メインビーム用受光部MDは四角形の4分割センサーにて構成され、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の形状は、4分割センサーを形成する四角形の4辺が削除された形状にされている。斯かる先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の形状によれば、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の受光面積を狭くすることが出来るので、迷光による影響を抑えることが出来るもののその大きさを設定することが出来なかった。
本発明では、図3に示した実施例と同様に先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2のN2方向の長さであるXはサブビームS1、S2の径とほぼ同一になるように設定されている。また、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム
用受光部SD2のN1方向の長さであるSLは、前述した実施例と同様にメインビーム用受光部のN1方向の長さであるMLとの比率Pに基づいて設定される。斯かる比率Pに基づく設定は、図3に示した実施例と同様に行われるので、その説明は省略する。
尚、本実施例では、2層式の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行う光ピックアップ装置に実施した場合について説明したが、3層以上の信号記録層が設けられている多層式光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行う光ピックアップ装置に実施することも出来る。
また、本実施例では、2層式の光ディスクにおいて、フォーカシング制御動作が行われていない信号記録層から反射される迷光に対する改善動作について説明したが、1層の光ディスクにおけるフォーカシング制御動作に対しても不要なレーザー光に対する改善動作を行うことが出来る。
図6は従来の光ピックアップ装置に使用されている光検出器に組み込まれているメインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2と不要光との関係を示すものである。対物レンズ8による集光動作が行われていない状態では、メインビームM、先行サブビームS1及び後行サブビームS2はメインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2上に集光されずメインビームPM、先行サブビームPS1及び後行サブビームPS2のように広がった状態にて各受光部に照射されることになる。
斯かる受光状態にあるとき、前述したようにサブビームの光量はメインビームの光量に対して小さいので、メインビーム用受光部MDに照射されるサブビームPS1、PS2の影響は無視することが出来るが、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2に照射されるメインビームPMの影響は無視することは出来ない。
本発明では、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の面積をメインビーム用受光部MDの面積よりも小さくしたり、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の形状及び長さ等を前述したように工夫したので、メインビームPMの影響を小さくすることが出来、その結果フォーカシング制御動作やトラッキング制御動作を正確に行うことが出来る。
尚、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2の形状を八角形形状にした場合と従来の四角形形状とした場合に比較した場合、八角形形状の方がフォーカスエラー信号のピーク値が従来技術と比較して10%程度低下するが、光ピックアップ装置のフォーカシング制御動作に何等支障がないことが確認出来た。
また、本発明の光ピックアップ装置におけるフォーカスサーチ動作時、即ち光ディスクが光ディスク装置に挿入されて対物レンズを動作位置に変位させる動作を行う場合には、メインビーム用受光部MDに照射されるメインビームMのみを使用する非点収差法にてフォーカシング制御動作を行い、その後のフォーカシング制御動作は、先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2に照射される先行サブビームS1及び後行サブビームS2を利用した差動非点収差法を利用して行うようにすると、フォーカスサーチ動作時におけるメインビームMDの先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2に対する誤照射による影響を排除することが出来るので、フォーカシング制御動作を正確に行うことが出来る。
以上に説明したように本発明に係る光検出器10は構成されているが、次に前記光検出器10に設けられているメインビーム用受光部MD、先行サブビーム用受光部SD1及び
後行サブビーム用受光部SD2に戻り光が照射されて生成されるスポットについて図7に示す特性図を参照にして説明する。
レーザーダイオード1から放射されるレーザー光は、ガウシアンと呼ばれる特性を有しており、図7は斯かるガウシアン特性を有するレーザー光の強度分布特性を示すものである。また、光ピックアップ装置においては、対物レンズ8及びセンサーレンズ9等の光学系に使用されるレンズの開口数や光ディスクに記録されている信号の再生動作を行うために必要なレーザー強度及び光ディスクに信号を記録するために必要なレーザー光を得るためにスポットとして使用する径を設定するようにされている。
使用するスポットの径は図7に示す特性図において必要なレーザー強度が得られる範囲にて設定される。例えば、レーザー光の最大強度を1.0としたとき、0.5即ち強度が最大強度に対して半分となる50%強度の位置、所謂半値幅と呼ばれる位置よりも強度が高いレーザー光の部分をスポットとして利用するようにスポット径を設定したり、0.135即ち強度が最大強度に対して1/e2(eは自然対数の底)となる13.5%強度の位置よりも強度が高いレーザー光の部分をスポットとして利用するようにスポット径を設定することが行われている。
前述したようにレーザー強度分布に基づいてスポット径の設定が行われるが、スポットとして使用するレーザー光の強度範囲はスポットのサイズ、スポットのピーク光強度及びスポットの全パワーの内でどの値を優先するかによって決定されている。
そして、現在の光ピックアップ装置では、レーザー光の強度分布に基づいて設定されるスポット径は、レーザー光のパワーロスを考慮して設定されており、一般には強度が最大強度に対して1/e2となる13.5%強度の位置よりも強度が高いレーザー光の部分をスポットとして利用するように設定されている。このようにしてスポット径を設定すれば、多くの光ピックアップ装置の再生特性や記録特性を満足させるスポット径を得ることが出来る。
前述したようにスポット径が設定されるので、そのスポット径を決定するレーザー光の強度範囲に合わせて光検出器を構成する先行サブビーム用受光部SD1及び後行サブビーム用受光部SD2のN2方向の長さXの値を設定すれば、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号の生成に使用される受光部の大きさを最小になるように設定することが出来、その結果迷光による悪影響を極力小さくすることが出来る。