JP2009185759A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
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Abstract

【課題】ポンピング損失を低減させつつ燃焼室内に供給される吸入空気量を正確に制御することができる制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関は機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構Aと、吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構Bとを具備する。本発明の制御装置によれば、機関中高負荷運転時においては機関負荷が低くなるほど吸気弁の閉弁時期を圧縮下死点から離れる方向に移動させることによって要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給される。また、機関低負荷運転時には、最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされると共に、要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室5内に供給されるように吸気枝通路内の脈動している圧力に基づいて吸気弁の閉弁時期が制御される。
【選択図】図11

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構とを具備し、機関中負荷運転時および機関高負荷運転時には過給機による過給作用を行い、かつこれら機関中高負荷運転時においては実圧縮比を一定に保持した状態で機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比を増大すると共に吸気弁の閉弁時期を遅くするようにした内燃機関が公知である(例えば特許文献1を参照)。
特許文献1に記載されたこの内燃機関では、機関低負荷運転領域には、機械圧縮比が高くされると共に吸気弁の閉弁時期が遅角せしめられる。特許文献1によれば、吸気弁の閉弁時期が遅くされることによりポンピング損失が低減されると共に、機械圧縮比を高く設定することができることにより、燃費率を低減することができるとしている。
特開2004−218522号公報
ところで、本願発明者により、機関低負荷域から高負荷域に亘って燃焼室内に供給される吸入空気量の制御をスロットル弁ではなく吸気弁で行い、実圧縮比を一定に維持しつつ膨張比のみを高く制御する超高膨張比制御が提案されている。この超高膨張比制御では、機関低負荷運転時においては燃焼室内に供給される吸入空気量が少ないことから、吸気弁のみによっては吸入空気量を制御することができず、吸気弁に加えてスロットル弁により吸入空気量の制御を行うこととしている。
しかしながら、スロットル弁による吸入空気量の制御を行うと、ポンピング損失が増大してしまい、その結果、機関低負荷運転時における燃費を十分に向上させることができなくなってしまう。
一方、スロットル弁による吸入空気量の制御を行う機会を少なくするために、できる限り吸気弁の閉弁時期の制御により燃焼室内に供給される吸入空気量の制御を行おうとすると、吸入空気量を適切に制御することができなくなってしまう。すなわち、吸気弁の閉弁時期を極端に遅角させた場合、吸気弁の閉弁時期が僅かにずれると実際に燃焼室内に供給される吸入空気量が大きく変化してしまい、燃焼室内に供給される吸入空気量にずれが生じてしまっていた。
そこで、上記問題に鑑み、本発明の目的は、機関低負荷運転時において、スロットル弁によって燃焼室内に供給される吸入空気量を制御する期間を減少させつつ、燃焼室に供給される吸入空気量を正確に制御することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構とを具備する内燃機関の制御装置において、機関中高負荷運転時においては機関負荷が低くなるほど吸気弁の閉弁時期を圧縮下死点から離れる方向に移動させることによって要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給され、機関低負荷運転時には、最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされると共に、要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給されるように吸気枝通路内の脈動している圧力に基づいて吸気弁の閉弁時期が制御される。
第1の発明によれば、機関低負荷運転時に機関負荷が低くなるほど吸気弁の閉弁時期を圧縮下死点から離れる方向に移動させた場合に燃焼室内に供給される吸入空気量にずれを生じさせる原因となる吸気枝通路内の脈動を考慮して吸気弁の閉弁時期が制御される。このため、機関低負荷運転時においても吸気弁の閉弁時期の制御により燃焼室内に供給される吸入空気量を比較的正確に制御することができるようになる。
第2の発明では、第1の発明において、吸気・圧縮行程中に吸気枝通路内の脈動している圧力が最小となった時期に上記吸気弁を閉弁したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では機関吸気通路内に配置されたスロットル弁によって燃焼室内に供給される吸入空気量が制御される。
上記課題を解決するために、第3の発明では、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構とを具備する内燃機関の制御装置において、機関負荷が低くなるほど吸気弁の閉弁時期を圧縮下死点から離れる方向に移動させることによって要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給され、機関低負荷運転時には最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされ、機関低負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期を吸気弁の機構上限界となる機構限界閉弁時期まで圧縮下死点から離れる方向に移動させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量よりも、吸気弁の閉弁時期を上記機構限界閉弁時期よりも圧縮下死点側に移動させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量の方が吸気脈動の影響により少なくなる場合には、吸気弁を上記圧縮下死点側の閉弁時期に閉弁する。
第4の発明では、第3の発明において、吸気弁の閉弁時期を上記機構限界閉弁時期まで圧縮下死点から離れる方向に移動させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量よりも、吸気弁の閉弁時期を上記機構限界閉弁時期よりも圧縮下死点側に移動させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量の方が吸気脈動の影響により少なくなる場合には、吸気・圧縮行程中に吸気枝通路内の脈動している圧力が最小となった時期に上記吸気弁を閉弁する。
記課題を解決するために、第5の発明では、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構と、吸気ポート内に設けられると共に該吸気ポートを開閉可能な吸気制御弁とを具備する内燃機関の制御装置において、機関中高負荷運転時においては機関負荷が低くなるほど吸気弁の閉弁時期を圧縮下死点から離れる方向に移動させることによって要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給され、機関低負荷運転時には、最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされると共に、要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給されるように吸気枝通路内の脈動している圧力に基づいて上記吸気制御弁の閉弁時期が制御される。
上記課題を解決するために、第6の発明では、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構と、吸気ポート内に設けられると共に該吸気ポートを開閉可能な吸気制御弁とを具備する内燃機関の制御装置において、機関負荷が低くなるほど吸気弁の閉弁時期を圧縮下死点から離れる方向に移動させることによって要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給され、機関低負荷運転時には最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされ、機関低負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期を吸気弁の機構上限界となる機構限界閉弁時期まで圧縮下死点から離れる方向に移動させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量よりも、上記吸気制御弁を上記機構限界閉弁時期よりも圧縮下死点側の閉弁時期に閉弁させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量の方が吸気脈動の影響により少なくなる場合には、上記吸気制御弁を上記圧縮下死点側の閉弁時期に閉弁する。
本発明によれば、ポンピング損失を低減させつつ燃焼室内に供給される吸入空気量を正確に制御することができるようになる。
図1に火花点火式内燃機関の側面断面図を示す。
図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火栓、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11にはそれぞれ対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いた吸入空気量検出器18とが配置される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19を介して例えば三元触媒を内蔵した触媒コンバータ20に連結され、排気マニホルド19内には空燃比センサ21が配置される。
一方、図1に示される実施形態ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられており、更に吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構Bが設けられている。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器18の出力信号および空燃比センサ21の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火栓6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bに接続される。
図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50が形成されており、各突出部50内にはそれぞれ断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔ててそれぞれ対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52が形成されており、これらの各突出部52内にもそれぞれ断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図2に示されるように一対のカムシャフト54、55が設けられており、各カムシャフト54、55上には一つおきに各カム挿入孔51内に回転可能に挿入される円形カム56が固定されている。これらの円形カム56は各カムシャフト54、55の回転軸線と共軸をなす。一方、各円形カム56間には図3においてハッチングで示すように各カムシャフト54、55の回転軸線に対して偏心配置された偏心軸57が延びており、この偏心軸57上に別の円形カム58が偏心して回転可能に取付けられている。図2に示されるようにこれら円形カム58は各円形カム56間に配置されており、これら円形カム58は対応する各カム挿入孔53内に回転可能に挿入されている。
図3(A)に示すような状態から各カムシャフト54、55上に固定された円形カム56を図3(A)において実線の矢印で示されるように互いに反対方向に回転させると偏心軸57が下方中央に向けて移動するために円形カム58がカム挿入孔53内において図3(A)の破線の矢印に示すように円形カム56とは反対方向に回転し、図3(B)に示されるように偏心軸57が下方中央まで移動すると円形カム58の中心が偏心軸57の下方へ移動する。
図3(A)と図3(B)とを比較するとわかるようにクランクケース1とシリンダブロック2の相対位置は円形カム56の中心と円形カム58の中心との距離によって定まり、円形カム56の中心と円形カム58の中心との距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大し、従って各カムシャフト54、55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更することができる。
図2に示されるように各カムシャフト54、55をそれぞれ反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸にはそれぞれ螺旋方向が逆向きの一対のウォームギア61、62が取付けられており、これらウォームギア61、62と噛合する歯車63、64がそれぞれ各カムシャフト54、55の端部に固定されている。本実施形態では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。なお、図1から図3に示される可変圧縮比機構Aは一例を示すものであっていかなる形式の可変圧縮比機構でも用いることができる。
一方、図4は図1において吸気弁7を駆動するためのカムシャフト70の端部に取付けられた可変バルブタイミング機構Bを示している。図4を参照すると、この可変バルブタイミング機構Bは機関のクランク軸によりタイミングベルトを介して矢印方向に回転せしめられるタイミングプーリ71と、タイミングプーリ71と一緒に回転する円筒状ハウジング72と、吸気弁駆動用カムシャフト70と一緒に回転しかつ円筒状ハウジング72に対して相対回転可能な回転軸73と、円筒状ハウジング72の内周面から回転軸73の外周面まで延びる複数個の仕切壁74と、各仕切壁74の間で回転軸73の外周面から円筒状ハウジング72の内周面まで延びるベーン75とを具備しており、各ベーン75の両側にはそれぞれ進角用油圧室76と遅角用油圧室77とが形成されている。
各油圧室76、77への作動油の供給制御は作動油供給制御弁85によって行われる。この作動油供給制御弁85は各油圧室76、77にそれぞれ連結された油圧ポート78、79と、油圧ポンプ80から吐出された作動油の供給ポート81と、一対のドレインポート82、83と、各ポート78、79、81、82、83間の連通遮断制御を行うスプール弁84とを具備している。
吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を進角すべきときは図4においてスプール弁84が右方に移動せしめられ、供給ポート81から供給された作動油が油圧ポート78を介して進角用油圧室76に供給されると共に遅角用油圧室77内の作動油がドレインポート83から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印方向に相対回転せしめられる。
これに対し、吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を遅角すべきときは図4においてスプール弁84が左方に移動せしめられ、供給ポート81から供給された作動油が油圧ポート79を介して遅角用油圧室77に供給されると共に進角用油圧室76内の作動油がドレインポート82から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印と反対方向に相対回転せしめられる。
回転軸73が円筒状ハウジング72に対して相対回転せしめられているときにスプール弁84が図4に示される中立位置に戻されると回転軸73の相対回転動作は停止せしめられ、回転軸73はそのときの相対回転位置に保持される。従って可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を所望の量だけ進角させることができ、遅角させることができることになる。
図5において実線は可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も進角されているときを示しており、破線は吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も遅角されているときを示している。従って吸気弁7の開弁期間は図5において実線で示す範囲と破線で示す範囲との間で任意に設定することができ、従って吸気弁7の閉弁時期も図5において矢印Cで示す範囲内の任意のクランク角に設定することができる。
図1および図4に示される可変バルブタイミング機構Bは一例を示すものであって、例えば吸気弁の開弁時期を一定に維持したまま吸気弁の閉弁時期のみを変えることのできる可変バルブタイミング機構や吸気弁の開弁時期及び閉弁時期を自由に変えることのできる可変バルブタイミング機構等、種々の形式の可変バルブタイミング機構を用いることができる。
次に図6を参照しつつ本願において使用されている用語の意味について説明する。なお、図6の(A)、(B)、(C)には説明のために燃焼室容積が50mlでピストンの行程容積が500mlであるエンジンが示されており、これら図6の(A)、(B)、(C)において燃焼室容積とはピストンが圧縮上死点に位置するときの燃焼室の容積を表している。
図6(A)は機械圧縮比について説明している。機械圧縮比は圧縮行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積のみから機械的に定まる値であってこの機械圧縮比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6(A)に示される例ではこの機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
図6(B)は実圧縮比について説明している。この実圧縮比は実際に圧縮作用が開始されたときからピストンが上死点に達するまでの実際のピストン行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの実圧縮比は(燃焼室容積+実際の行程容積)/燃焼室容積で表される。即ち、図6(B)に示されるように圧縮行程においてピストンが上昇を開始しても吸気弁が開弁している間は圧縮作用は行われず、吸気弁が閉弁したときから実際の圧縮作用が開始される。従って実圧縮比は実際の行程容積を用いて上記のように表される。図6(B)に示される例では実圧縮比は(50ml+450ml)/50ml=10となる。
図6(C)は膨張比について説明している。膨張比は膨張行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの膨張比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6(C)に示される例ではこの膨張比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
次に図7および図8を参照しつつ本発明において最も基本となっている特徴について説明する。なお、図7は理論熱効率と膨張比との関係を示しており、図8は本発明において負荷に応じ使い分けられている通常のサイクルと超高膨張比サイクルとの比較を示している。
図8(A)は吸気弁が下死点近傍で閉弁し、ほぼ圧縮下死点付近からピストンによる圧縮作用が開始される場合の通常のサイクルを示している。この図8(A)に示す例でも図6の(A)、(B)、(C)に示す例と同様に燃焼室容積が50mlとされ、ピストンの行程容積が500mlとされている。図8(A)からわかるように通常のサイクルでは機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11であり、実圧縮比もほぼ11であり、膨張比も(50ml+500ml)/50ml=11となる。即ち、通常の内燃機関では機械圧縮比と実圧縮比と膨張比とがほぼ等しくなる。
図7における実線は実圧縮比と膨張比とがほぼ等しい場合の、即ち通常のサイクルにおける理論熱効率の変化を示している。この場合には膨張比が大きくなるほど、即ち実圧縮比が高くなるほど理論熱効率が高くなることがわかる。従って通常のサイクルにおいて理論熱効率を高めるには実圧縮比を高くすればよいことになる。しかしながら機関高負荷運転時におけるノッキングの発生の制約により実圧縮比は最大でも12程度までしか高くすることができず、斯くして通常のサイクルにおいては理論熱効率を十分に高くすることはできない。
一方、このような状況下で本発明者は機械圧縮比と実圧縮比とを厳密に区分して理論熱効率を高めることについて検討し、その結果理論熱効率は膨張比が支配し、理論熱効率に対して実圧縮比はほとんど影響を与えないことを見出したのである。即ち、実圧縮比を高くすると爆発力は高まるが圧縮するために大きなエネルギーが必要となり、斯くして実圧縮比を高めても理論熱効率はほとんど高くならない。
これに対し、膨張比を大きくすると膨張行程時にピストンに対し押下げ力が作用する期間が長くなり、斯くしてピストンがクランクシャフトに回転力を与えている期間が長くなる。従って膨張比は大きくすれば大きくするほど理論熱効率が高くなる。図7の破線は実圧縮比を10に固定した状態で膨張比を高くしていった場合の理論熱効率を示している。このように実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くしたときの理論熱効率の上昇量と、図7の実線で示したように実圧縮比も膨張比と共に増大せしめられる場合の理論熱効率の上昇量とは大きな差がないことがわかる。
このように実圧縮比が低い値に維持されているとノッキングが発生することがなく、従って実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くするとノッキングの発生を阻止しつつ理論熱効率を大巾に高めることができる。図8(B)は可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bを用いて、実圧縮比を低い値に維持しつつ膨張比を高めるようにした場合の一例を示している。
図8(B)を参照すると、この例では可変圧縮比機構Aにより燃焼室容積が50mlから20mlまで減少せしめられる。一方、可変バルブタイミング機構Bによって実際のピストン行程容積が500mlから200mlになるまで吸気弁の閉弁時期が遅らされる。その結果、この例では実圧縮比は(20ml+200ml)/20ml=11となり、膨張比は(20ml+500ml)/20ml=26となる。図8(A)に示される通常のサイクルでは前述したように実圧縮比がほぼ11で膨張比が11であり、この場合に比べると図8(B)に示される場合には膨張比のみが26まで高められていることがわかる。これが超高膨張比サイクルと称される所以である。
前述したように一般的に言って内燃機関では機関負荷が低いほど熱効率が悪くなり、従って車両走行時における熱効率を向上させるためには、即ち燃費を向上させるには機関低負荷運転時における熱効率を向上させることが必要となる。一方、図8(B)に示される超高膨張比サイクルでは圧縮行程時の実際のピストン行程容積が小さくされるために燃焼室5内に吸入しうる吸入空気量は少なくなり、従ってこの超高膨張比サイクルは機関負荷が比較的低いときにしか採用できないことになる。従って本発明では機関低負荷運転時には図8(B)に示す超高膨張比サイクルとし、機関高負荷運転時には図8(A)に示す通常のサイクルとするようにしている。これが本発明が基本としている特徴である。
次に図9を参照しつつ運転制御全般について説明する。
図9には機関負荷に応じた機械圧縮比、膨張比、吸気弁7の閉弁時期、実圧縮比、吸入空気量、スロットル弁17の開度およびポンピング損失の各変化が示されている。なお、本発明による実施形態では触媒コンバータ20内の三元触媒によって排気ガス中の未燃HC、COおよびNOXを同時に低減しうるように通常燃焼室5内における平均空燃比は空燃比センサ21の出力信号に基づいて理論空燃比にフィードバック制御されている。
さて、前述したように機関高負荷運転時には図8(A)に示される通常のサイクルが実行される。従って図9に示されるようにこのときには機械圧縮比は低くされるために膨張比は低く、吸気弁7の閉弁時期は図5において実線で示されるように早められている。また、このときには吸入空気量は多く、このときスロットル弁17の開度は全開又はほぼ全開に保持されているのでポンピング損失は零となっている。
一方、図9に示されるように機関負荷が低くなるとそれに伴って機械圧縮比が増大され、従って膨張比も増大される。またこのときには実圧縮比がほぼ一定に保持されるように機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期が遅くされる。なお、このときにもスロットル弁17は全開又はほぼ全開状態に保持されており、従って燃焼室5内に供給される吸入空気量はスロットル弁17によらずに吸気弁7の閉弁時期を変えることによって制御されている。このときにもポンピング損失は零となる。
このように機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるときには実圧縮比がほぼ一定のもとで吸入空気量が減少するにつれて機械圧縮比が増大せしめられる。即ち、吸入空気量の減少に比例してピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積が減少せしめられる。従ってピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は吸入空気量に比例して変化していることになる。なお、このとき燃焼室5内の空燃比は理論空燃比となっているのでピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は燃料量に比例して変化していることになる。
機関負荷が更に低くなると機械圧縮比は更に増大せしめられ、機械圧縮比が燃焼室5の構造上限界となる限界機械圧縮比に達すると、機械圧縮比が限界機械圧縮比に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では機械圧縮比が限界機械圧縮比に保持される。従って機関低負荷運転時には機械圧縮比は最大となり、膨張比も最大となる。別の言い方をすると本発明では機関低負荷運転時に最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされる。また、このとき実圧縮比は機関中高負荷運転時とほぼ同じ実圧縮比に維持される。
図9に示されるように機関低負荷運転時には機関負荷にかかわらずに実圧縮比がほぼ一定に保持される。このときの実圧縮比は機関中高負荷運転時の実圧縮比に対してほぼ±10パーセントの範囲内とされ、好ましくは±5パーセントの範囲内とされる。なお、本発明による実施形態では機関低回転時の実圧縮比はほぼ10±1、即ち、9から11の間とされる。ただし、機関回転数が高くなると燃焼室5内の混合気に乱れが発生するためにノッキングが発生しにくくなり、従って本発明による実施形態では機関回転数が高くなるほど実圧縮比が高くされる。
一方、前述したように図8(B)に示す超高膨張比サイクルでは膨張比が26とされる。この膨張比は高いほど好ましいが20以上であればかなり高い理論熱効率を得ることができる。従って本発明では膨張比が20以上となるように可変圧縮比機構Aが形成されている。
また、図9に示される例では機械圧縮比は機関負荷に応じて連続的に変化せしめられている。しかしながら機械圧縮比は機関負荷に応じて段階的に変化させることもできる。
なお、図9において破線で示すように機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を早めることによってもスロットル弁17によらずに吸入空気量を制御することができる。従って、図9において実線で示される場合と破線で示される場合とをいずれも包含しうるように表現すると、本発明による実施形態では吸気弁7の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期L2まで圧縮下死点BDCから離れる方向に移動せしめられることになる。なお、以下の説明においても、上記説明と同様に機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を遅くする場合を例にとって説明するが、機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を早める場合にも適用可能である。
ところで、上述したように、機関中高負荷運転時においては、機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を遅らせて燃焼室内に供給される吸入空気量を減少させている。ところが、機関低負荷運転時においては、特に所定の機関負荷以下の領域においては、単純に吸気弁7の閉弁時期を遅らせるだけでは機関負荷に応じた量の吸入空気を燃焼室5内に供給することができない。
すなわち、吸気枝管11から吸気ポート8にかけての吸気通路(以下、「吸気枝通路」という)内で圧力脈動が発生しており、上記所定の機関負荷以下の領域においては燃焼室5内に供給される吸入空気量に対する圧力脈動の影響が大きい。このため、必ずしも吸気弁7の閉弁時期を遅らせた分だけ燃焼室5内に供給される吸入空気量が減少するとは限らず、よって単純に吸気弁7の閉弁時期を遅らせても機関負荷に応じた量の吸入空気を燃焼室5内に供給することができない場合がある。
また、吸気弁7の閉弁時期によっては吸気枝通路内での圧力脈動の影響により、その吸気弁7の閉弁時期の前後では吸気枝通路内の圧力が急激に変化する場合がある。この場合、吸気弁7の閉弁時期が僅かにずれただけでも燃焼室5内に供給される吸入空気量が大きく変化してしまう。したがって、このような理由によっても、単純に吸気弁7の閉弁時期を遅らせても機関負荷に応じた量の吸入空気を燃焼室5内に供給することができない。
そこで、従来では、機関低負荷運転時においては、特に上記所定の機関負荷以下の領域においては、吸気弁7の閉弁時期による吸入空気量の制御を行わずに吸気弁7の閉弁時期を一定に維持し、スロットル弁17により吸入空気量を制御することが提案されていた。ところが、スロットル弁17により吸入空気量を制御すると、ポンピング損失が生じてしまい、その結果、機関低負荷運転時における燃費を十分に向上させることができなくなってしまう。
そこで、本発明では、吸気枝管11から吸気ポート8にかけての吸気枝通路内で発生する圧力脈動を考慮して吸気弁7の閉弁時期を制御することとしている。
図10は、クランク角度に対する、吸気枝管11から吸気ポート8にかけての吸気枝通路内の圧力と、ピストンの運動によって変化している燃焼室容積との推移の例を表す図である。図示した例では、或る気筒が吸気行程及び圧縮行程にある場合を示しており、これら行程中にはその気筒のピストンが下降して圧縮下死点に到達すると共にその後上昇する。このピストンの運動に伴って、図10(b)に示したように、燃焼室容積は吸気行程中に減少すると共に圧縮行程中に増大する。一方、図10(b)に示したように、これら吸気行程及び圧縮行程中においては吸気枝通路内に生じる圧力脈動に伴って吸気枝通路内の圧力も上下する。
ここで、燃焼室5内に供給される吸入空気量は吸気弁7の閉弁時における燃焼室容積と吸気枝通路内の圧力との積に比例する。従って、例えば吸気枝通路内に圧力脈動が発生せずに吸気枝通路内の圧力が一定であれば、燃焼室5内に供給される吸入空気量は吸気弁7の閉弁時期における燃焼室容積に比例する。このため、吸気枝通路内の圧力が一定であれば、機関低負荷運転時においても、機関負荷が低くなるにつれて、すなわち燃焼室5内に供給すべき吸入空気量が減少するにつれて、吸気弁7の閉弁時期を遅らせればよいことになる。
しかしながら、図10(a)に示したように、吸気枝通路内の圧力は圧力脈動により変化する。従って、例えば、時期Aにおいて吸気弁7を閉弁した場合と、時期Bにおいて吸気弁7を閉弁した場合とを比べると、時期Bにおける燃焼室容積は時期Aにおける燃焼室容積よりも小さいが、時期Bにおける吸気枝通路内の圧力は時期Aにおける吸気枝通路内の圧力よりも高い。このため、時期Bは時期Aよりも遅いが、時期Aに吸気弁7を閉弁した場合の吸入空気量は時期Bに吸気弁7を閉弁した場合の吸入空気量よりも必ずしも多くない。
ここで、機関中高負荷運転時であれば、燃焼室5内に供給される吸入空気量が多い。このため、吸気枝通路内の圧力に脈動が生じたとしても、吸入空気量に対する影響は小さい。このため、機関中高負荷運転時においては、吸気弁7の閉弁時期を設定するにあたって吸気枝通路内の圧力脈動を考慮する必要がない。
ところが、機関低負荷運転時では、燃焼室5内に供給される吸入空気量が少ない。このため、吸入空気量に対する吸気枝通路内圧力に生じる圧力脈動の影響は大きい。特に、図10に示したような場合には、圧力脈動の影響が大きいことにより、時期Aに吸気弁7を閉弁した場合の吸入空気量は時期Bに吸気弁7を閉弁した場合の吸入空気量よりも少なくなる。従って、機関低負荷運転時においては、吸気枝通路内の圧力脈動を考慮して吸気弁7の閉弁時期を設定する必要がある。
ここで、吸気枝通路内の圧力脈動を考慮した場合、圧力脈動による吸気枝通路内の圧力の変化が小さいときに吸気弁7を閉弁する必要がある。すなわち、吸気枝通路に生じる圧力脈動は全てのサイクルにおいてクランク角に対して同じように発生するわけではなく、サイクル毎に変化する。このため、圧力脈動による吸気枝通路内の圧力変化が大きいときに吸気弁7を閉弁した場合、圧力脈動が変化すると吸気弁7の閉弁時における吸気枝通路内の圧力が大きく変化してしまい、その結果燃焼室5内に供給される吸入空気量に大きな誤差が生じてしまうことになる。
図10に示した例を参照すると、脈動している吸気枝通路内の圧力が極小値近傍であるときには、吸気枝通路内の圧力の変化が小さい。例えば、図10中の時期Aと時期Cとを比較すると、吸気枝通路内の圧力はほとんど変わらない。このため、圧力脈動が変化して例えば図10に示した吸気枝通路内の圧力の推移が全体的に進角方向又は遅角方向にずれたとしても、燃焼室5内に供給される吸入空気量に対する影響が小さい。
そこで、本実施形態では、機関負荷が低いときには、吸気枝通路内の圧力が極小値付近の圧力となっている時期(図中の領域X)に吸気弁を閉弁することとしている。これにより、吸気枝通路内に生じる圧力脈動が変化しても適切な量の吸入空気を燃焼室5内に供給することができる。
また、この領域Xにおいては吸気枝通路内の圧力はあまり変化しないが燃焼室容積は変化するため、この領域X内で吸気弁7の閉弁時期を変更するだけで燃焼室5内に供給される吸入空気量を適切に制御することができる。
また、この領域X内の時期に吸気弁7を閉弁する場合、吸気弁7の閉弁時期が僅かにずれても燃焼室5内に供給される吸入空気量は大きく変化しない。すなわち、機関低負荷運転時においては燃焼室容積の変化よりも吸気枝通路内の圧力の変化の方が吸入空気量に対する影響が大きい。上記領域X内の時期に吸気弁7を閉弁すれば、吸気弁7の閉弁時期が僅かにずれても吸気枝通路内の圧力はあまり変化せず、よって吸入空気量もあまり大きくは変化しない。
図11は、機関低負荷運転領域近傍における機関負荷と吸気弁7の閉弁時期との関係を示す図である。図中の破線lは、吸気脈動を考慮せずに吸気弁7の閉弁時期を機関負荷が低くなるにつれて遅らせるように制御した場合の吸気弁7の閉弁時期の推移を示している。この破線lでは、或る一定の機関負荷L1よりも負荷の低い領域では、吸気弁7の閉弁時期が一定に維持されている。これは、吸気脈動を考慮せずに吸気弁7の閉弁時期を設定しているため、機関負荷L1よりも負荷の低い領域では吸気弁7の閉弁時期のみによっては燃焼室5内に供給される吸入空気量を制御することができないためである。この場合、機関負荷L1よりも負荷の低い領域では破線l’で示したようにスロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御されることになるため、ポンピング損失が増大し(破線l’’)、燃費の悪化を招いてしまう。
また、図中の破線mは、破線lと同様に、吸気脈動を考慮せずに吸気弁7の閉弁時期を機関負荷が低くなるにつれて遅らせるように制御した場合の吸気弁7の閉弁時期の推移を示している。この破線mは、或る一定の機関負荷L1よりも負荷が低い領域においても吸気弁7の閉弁時期を機関負荷が低くなるにつれて遅らせるように制御した場合の例である。この破線mで示した例では、吸気弁7の閉弁時期は吸気弁7の機構上限界となる機構限界閉弁時期VCmaxまで遅らされる。この場合、破線m’で示したようにスロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御される領域が少ないため、ポンピング損失は低減される(破線m’’)。しかしながら、上述したように、この場合、燃焼室5内に供給される吸入空気量を適切に制御することができない。
一方、図中の実線nは、本実施形態のように吸入空気量を制御した場合における吸気弁7の閉弁時期の推移を示している。実線nのように推移させた場合には、実線n’で示したようにスロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御される領域が少ないためポンピング損失を低減させることができる(実線n’’)と共に、上述したように吸入空気量を適切に制御することができる。
なお、図11から分かるように、吸気弁7の閉弁時期を実線nのように推移させた場合には、機関負荷の極めて低い領域であっても、吸気弁7の閉弁時期は機構限界閉弁時期VCmaxよりも進角側の時期とされる。これは、図示した例では、吸気弁7の閉弁時期を機構限界閉弁時期VCmaxとしたときに燃焼室5内に供給される吸入空気量よりも、吸気弁7の閉弁時期を機構限界閉弁時期VCmaxよりも進角側の時期としたときに燃焼室5内に供給される吸入空気量の方が少ないためである。ただし、斯かる状況は、吸気枝通路内に発生する圧力脈動に応じて変化し、吸気弁7の閉弁時期を機構限界閉弁時期VCmaxとしたときに燃焼室5内に供給される吸入空気量よりも、吸気弁7の閉弁時期を機構限界閉弁時期VCmaxよりも進角側の時期としたときに燃焼室5内に供給される吸入空気量の方が多い場合もあり、この場合には吸気弁7の閉弁時期は機構限界閉弁時期VCmaxまで遅らされる。
ところで、上述したように制御しても要求負荷が或る一定負荷以下にまで低下すると、もはや吸気弁の閉弁時期のみでは吸入空気量を制御することができなくなる。そこで、本実施形態では、図11において実線で示したように吸気枝通路内の圧力が極小値となっている時期に吸気弁7が閉弁されたときの機関負荷L2よりも負荷の低い領域では、吸気弁7の閉弁時期が吸気枝通路内の圧力が最小値となっている時期に保持される。吸気弁7の閉弁時期が吸気枝通路内の圧力が最小値となっている時期に保持されるともはや吸気弁7の閉弁時期の変化によっては吸入空気量を制御しえないので他の何らかの方法によって吸入空気量を制御する必要がある。
図11に示した実施形態ではこのときの機関負荷L2よりも負荷の低い領域ではスロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御される。ただし、スロットル弁17による吸入空気量の制御が行われると図11に示されるようにポンピング損失が増大する。
なお、このようなポンピング損失が発生しないように吸気弁7の閉弁時期が機関負荷L2よりも負荷の低い領域ではスロットル弁17を全開又はほぼ全開に保持した状態で機関負荷が低くなるほど空燃比を大きくすることもできる。このときには燃料噴射弁13を燃焼室5内に配置して成層燃焼させることが好ましい。
或いは、排気マニホルド19とサージタンク12との間にEGR導管が設けられると共にこのEGR導管内にEGR制御弁が配置された内燃機関では、機関負荷L2よりも負荷の低い領域では機関負荷が低くなるにつれてEGR制御弁の開度を徐々に大きくすることにより、燃焼室5内に供給される気体中に含まれる新気の割合を低くするようにしてもよい。
図12は、本実施形態の内燃機関の制御装置における吸入空気量制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定時間間隔の割り込みによって行われる。
図12を参照すると、まずステップS11では、負荷センサ41によって機関負荷が検出され、この機関負荷に基づいて要求吸入空気量が算出される。次いで、ステップS12では、暖機が完了したか否かが判定される。例えば、機関冷却水が所定温度以上となったときに暖機が完了したと判定される。ステップS12において暖機が完了していないと判定された場合にはステップS13へと進む。
ステップS13では、ステップS11で検出された機関負荷に基づいて吸気弁7の目標閉弁時期が算出され、次いでステップS14では目標スロットル開度が算出される。なお、これらステップS13、14では超高膨張比制御は行われない。このため、これらステップでは、通常制御時における吸気弁7の閉弁時期及びスロットル開度が設定される。その後、ステップS15へと進む。
一方、ステップS12において暖機が完了したと判定された場合にはステップS16へと進む。ステップS16では、ステップS11で検出された機関負荷Lが上述した機関負荷L1以下であるか否かが判定される。ステップS16において機関負荷LがL1よりも高いと判定された場合には、吸気脈動を考慮して吸気弁7の閉弁時期を設定する必要がないため、ステップS17へと進む。
ステップS17では、ステップS11で検出された機関負荷に基づいて吸気弁7の目標閉弁時期が算出される。なお、ステップS17においては、吸気枝管通路内の圧力以外のパラメータであれば、機関負荷に加えて他のパラメータに基づいて吸気弁7の目標閉弁時期を算出してもよい。次いで、ステップS18では、目標スロットル開度が全開又はほぼ全開とされ、ステップS15へと進む。
一方、ステップS16において、機関負荷LがL1以下であると判定された場合にはステップS19へと進む。ステップS19では、吸気ポート8又は吸気枝管11内に配置された圧力センサ(図示せず)により吸気枝通路内の圧力Pmが検出される。なお、この吸気枝通路内の圧力Pmとしては前回のサイクル以前の吸気枝通路内の圧力Pmの値が取得される。次いで、ステップS20では、ステップS11で検出された機関負荷LとステップS19で検出された吸気枝通路内の圧力Pmに基づいて吸気弁7の目標閉弁時期が算出される。ステップS20においても、ステップS17と同様に機関負荷及び吸気枝通路内の圧力に加えて他のパラメータに基づいて吸気弁7の目標閉弁時期を算出してもよい。
次いで、ステップS21では、ステップS11で検出された機関負荷Lが上述した機関負荷L2以下であるか否かが判定される。ステップS21において機関負荷LがL2よりも高いと判定された場合には、燃焼室5内に供給される吸入空気量の制御をスロットル弁17で行う必要がないため、ステップS18へと進む。一方、ステップS21において、機関負荷LがL2以下であると判定された場合には、ステップ22へと進む。ステップ22では、機関負荷や吸気弁7の閉弁時期等に基づいて目標スロットル開度が算出される。
次いでステップS15では吸気弁7がステップS13、S17又はS20で算出された目標閉弁時期に閉弁するように制御され、スロットル弁17の開度がステップS14、S18又はS22で算出された目標スロットル開度になるように制御される。
なお、上記実施形態では、ステップS19において検出された吸気枝通路内の圧力Pmに基づいて吸気弁7の目標閉弁時期を算出しているが、吸気枝通路内の圧力Pmを検出することなく機関負荷等のパラメータを引数として吸気脈動を考慮して作成されたマップにより吸気弁7の目標閉弁時期を算出するようにしてもよい。
図13は、本発明の第二実施形態の制御装置を有する内燃機関を示す図である。第二実施形態の内燃機関の制御装置の構成は基本的に第一実施形態の制御装置の構成と同様である。ただし、図13に示したように、第二実施形態の内燃機関では、吸気ポート8内に吸気制御弁90が設けられている。
吸気制御弁90は、吸気弁7と干渉しない程度に燃焼室5に近接して吸気ポート8内に設けられており、吸気ポート8を開閉することができる。また、本実施形態では、吸気制御弁90は、その応答速度が吸気弁7よりも速くなるように構成される。
本実施形態では、機関低負荷運転時において、吸気弁7の代わりに吸気制御弁90によって燃焼室5内に供給される吸入空気量を制御することとしている。したがって、吸気制御弁90は、機関低負荷運転時において、例えば図11に実線nで示した時期と同様な時期に閉弁せしめられる。これにより、第一実施形態の制御装置と同様に、ポンピング損失を低減させつつ、上述したように吸入空気量を適切に制御することができる。
ここで、図4に示したような動弁機構では、吸気弁7の目標閉弁時期に対する応答性が比較的遅い。これは、上述した可変バルブタイミング機構では、吸気弁7の閉弁時期を変更するにあたり油圧機構を介していること等に基づくものである。このため、吸気弁7の閉弁時期に関する応答遅れにより、燃焼室5内に供給される吸入空気量を適切に制御することができない場合がある。
一方、吸気制御弁90は高い応答性を有する。このため、吸気制御弁90の実際の閉弁時期は目標閉弁時期に対してほとんど遅れることがない。このため、吸気制御弁90を用いることにより燃焼室5内に供給される吸入空気量をより適切に制御することができるようになる。
ただし、吸気制御弁90は吸気弁7よりも上流側に配置されており、吸気制御弁90と吸気弁7との間には空間が存在している。したがって、吸気制御弁90を閉弁しても吸気弁7が開いている間は吸気制御弁90と吸気弁7との間の空間に存在する空気が燃焼室5内に吸入されることから、吸気制御弁90によって燃焼室5内に供給される吸入空気量を制御する場合には、吸気制御弁90は上記第一実施形態における吸気弁7の閉弁時期よりも早く閉弁せしめられることになる。
火花点火式内燃機関の全体図である。 可変圧縮比機構の分解斜視図である。 図解的に表した内燃機関の側面断面図である。 可変バルブタイミング機構を示す図である。 吸気弁および排気弁のリフト量を示す図である。 機械圧縮比、実圧縮比および膨張比を説明するための図である。 理論熱効率と膨張比との関係を示す図である。 通常のサイクルおよび超高膨張比サイクルを説明するための図である。 機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。 吸気枝管から吸気ポートにかけての吸気枝通路内の圧力のクランク角推移を表す図である。 機関低負荷運転領域近傍における機関負荷と吸気弁の閉弁時期との関係を示す図である。 吸入空気量制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。 第二実施形態の制御装置を有する内燃機関を示す図である。
符号の説明
1 クランクケース
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 ピストン
5 燃焼室
7 吸気弁
70 吸気弁駆動用カムシャフト
A 可変圧縮比機構
B 可変バルブタイミング機構

Claims (6)

  1. 機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構とを具備する内燃機関の制御装置において、
    機関中高負荷運転時においては機関負荷が低くなるほど吸気弁の閉弁時期を圧縮下死点から離れる方向に移動させることによって要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給され、
    機関低負荷運転時には、最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされると共に、要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給されるように吸気枝通路内の脈動している圧力に基づいて吸気弁の閉弁時期が制御される、内燃機関の制御装置。
  2. 吸気・圧縮行程中に吸気枝通路内の脈動している圧力が最小となった時期に上記吸気弁を閉弁したときの機関負荷よりも負荷の低い領域では機関吸気通路内に配置されたスロットル弁によって燃焼室内に供給される吸入空気量が制御される、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構とを具備する内燃機関の制御装置において、
    機関負荷が低くなるほど吸気弁の閉弁時期を圧縮下死点から離れる方向に移動させることによって要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給され、機関低負荷運転時には最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされ、
    機関低負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期を吸気弁の機構上限界となる機構限界閉弁時期まで圧縮下死点から離れる方向に移動させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量よりも、吸気弁の閉弁時期を上記機構限界閉弁時期よりも圧縮下死点側に移動させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量の方が吸気脈動の影響により少なくなる場合には、吸気弁を上記圧縮下死点側の閉弁時期に閉弁する、内燃機関の制御装置。
  4. 吸気弁の閉弁時期を機構限界閉弁時期まで圧縮下死点から離れる方向に移動させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量よりも、吸気弁の閉弁時期を上記機構限界閉弁時期よりも圧縮下死点側に移動させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量の方が吸気脈動の影響により少なくなる場合には、吸気・圧縮行程中に吸気枝通路内の脈動している圧力が最小となった時期に上記吸気弁を閉弁する、請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構と、吸気ポート内に設けられると共に該吸気ポートを開閉可能な吸気制御弁とを具備する内燃機関の制御装置において、
    機関中高負荷運転時においては機関負荷が低くなるほど吸気弁の閉弁時期を圧縮下死点から離れる方向に移動させることによって要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給され、
    機関低負荷運転時には、最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされると共に、要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給されるように吸気枝通路内の脈動している圧力に基づいて上記吸気制御弁の閉弁時期が制御される、内燃機関の制御装置。
  6. 機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構と、吸気ポート内に設けられると共に該吸気ポートを開閉可能な吸気制御弁とを具備する内燃機関の制御装置において、
    機関負荷が低くなるほど吸気弁の閉弁時期を圧縮下死点から離れる方向に移動させることによって要求負荷に応じた量の吸入空気が燃焼室内に供給され、機関低負荷運転時には最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされ、
    機関低負荷運転時において、吸気弁の閉弁時期を吸気弁の機構上限界となる機構限界閉弁時期まで圧縮下死点から離れる方向に移動させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量よりも、上記吸気制御弁を上記機構限界閉弁時期よりも圧縮下死点側の閉弁時期に閉弁させたときに燃焼室内に供給される吸入空気量の方が吸気脈動の影響により少なくなる場合には、上記吸気制御弁を上記圧縮下死点側の閉弁時期に閉弁する、内燃機関の制御装置。
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