JP2009185690A - 内燃機関用トランジスタ式点火装置 - Google Patents

Abstract

【課題】小さい入力電力で高電圧出力が得られるようにしてガスエンジンに適したトランジスタ式点火装置を提供する。
【解決手段】バッテリ６に接続された一次コイル２１および点火プラグ４に接続された二次コイル２２からなるイグニッションコイル２と、一次コイル２１に流れる電流をオン・オフ制御するトランジスタ３２を含む制御回路３とを有する。
一次コイル２１と並列に接続され、一次コイル２１の誘導電圧によって電荷が蓄積されるサージ吸収コンデンサ５を備える。サージ吸収コンデンサ５は一次コイル２１の誘導電圧によって電荷が蓄積され、この電荷の放電によって高い二次電圧が二次コイル２２に誘導される。
【選択図】図１

Description

本発明は、内燃機関用トランジスタ式点火装置に関し、特に、少ない入力電力によって高い出力電圧を得るのに好適なトランジスタ式点火装置に関する。

従来、内燃機関の点火装置としてＣＤＩ点火装置やトランジスタ式点火装置が知られる。ＣＤＩ点火装置の例としては特開平１０−９１１１号公報に記載されたものがある。一方、トランジスタ式点火装置としては特開平１０−５４３３２号公報に記載されたものがある。ＣＤＩ点火装置およびトランジスタ式点火装置はいずれも長所や短所があって用途により使い分けられる。コジェネレーション装置に用いられるガスエンジンではトランジスタ式点火装置が採用されることが多い。
特開平１０−９１１１号公報 特開平１０−５４３３２号公報

一般に内燃機関であるガスエンジンを使用するコジェネレーション装置では、点火プラグを摩耗させないように点火火花エネルギを小さくしてメンテナンスサイクルを長くすることが望まれる。また、ガスエンジンでは、圧縮ガスに着火するために、点火装置の出力電圧として、ガソリンエンジンの１．５倍程度の高電圧が要求される。

高電圧を得る方法として、ＣＤＩ点火装置を用い、一次側と二次側との結合度が低いイグニッションコイルを使用することが考えられる。しかし、ＣＤＩ点火装置はエンジン補機で一般的な直流低電圧を電源とする場合、回路構成要素が多くなるので、基板サイズや電磁ノイズが増大したりコストを増大させたりする。

この課題を解消するために、回路構成が簡易であるトランジスタ式点火装置に、結合度が低いイグニッションコイルを使用することが考えられるが、トランジスタ式点火装置は誘導電圧の発生時間が短いために、二次側に十分な誘導電圧を伝達することができず、高い出力電圧を得ることができないという課題があった。

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小さい入力電力によって高い出力電圧を得ることができる内燃機関用トランジスタ式点火装置を提供することを目的とする。

本発明は、エンジン用トランジスタ式点火装置において、イグニッションコイルの一次コイルと並列に接続され、一次コイルの誘導電圧によって電荷が蓄積されるサージ吸収コンデンサを備えた点に特徴がある。

上記特徴を有する本発明によれば、サージ吸収コンデンサには、一次コイルの電流遮断時に該一次コイルに発生する誘導電圧によって電荷が蓄積される。そして、この蓄積電荷によるコンデンサ電圧が一次コイルの誘導電圧を超えたときに、サージ吸収コンデンサからの放電による誘導電圧が発生する。サージ吸収コンデンサの放電による誘導電圧は一次コイルの電流遮断による誘導電圧と比較して、電流の時間変化が少ないので、結合度の低いイグニッションコイルを使用した場合でも、高電圧出力を得ることができる。

本発明によれば、基板サイズや電磁ノイズおよびコストを増大させることがあるＣＤＩ点火装置を用いることなく、トランジスタ式点火装置において、入力電力を大きくすることなく高電圧出力を得ることができる。また、入力電力を大きくすることなく高出力電圧が得られるので省電力効果も期待できる。

さらに、サージ吸収コンデンサによって高い誘導電圧を抑制することができるので、耐圧の低い構成部品を使用することができるという効果もある。

以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図１は本発明の一実施形態に係るトランジスタ式点火装置のシステム構成図である。トランジスタ式点火装置（以下、単に「点火装置」という）１は、例えば、コジェネレーション装置用ガスエンジンに適用される。この点火装置１は、イグニッションコイル２、制御回路３、点火プラグ４、およびコンデンサ（サージ吸収コンデンサ）５からなる。点火装置１にはバッテリ６が接続され、該バッテリ６は１２ボルト〜１５ボルトの直流電圧を点火装置１に印加する。

イグニッションコイル２はバッテリ６のプラス側に接続された一次コイル２１と点火プラグ４のプラス側に接続された二次コイル２２とからなる。サージ吸収コンデンサ５は一次コイル２１と並列に配置されている。したがって、バッテリ６のプラス側はサージ吸収コンデンサ５にも接続されている。

制御回路３は制御信号発生部３１とトランジスタ３２とを含む。トランジスタ３２のコレクタはサージ吸収コンデンサ５のマイナス側並びに一次コイル２１および二次コイル２２のマイナス側に接続される。トランジスタ３２のエミッタは接地される。

制御信号発生部３１は、図示しないエンジン回転角度検出センサからの検出信号に基づいて点火時期を判断し、トランジスタ３２のベースに点火制御信号を入力する機能を有する。なお、この制御信号発生部３１の機能は周知であり、ＣＰＵによって実現することができる。

上記構成の点火装置１の動作を説明する。トランジスタ３２がオンになっている状態、つまり一次コイル２１にバッテリ６から電流が供給されていた状態で、点火制御信号が入力されてオフになると、一次コイル２１に流れていた電流が遮断されて一次コイル２１内に誘導電圧が発生する。誘導電圧Ｅ１は数式１で表される。

式１において、Ｅ１は一次コイル誘導電圧、Ｌ１は一次コイルリアクタンス、Ｉ１は一次コイル２１通電電流、ｔＴｒは電流遮断時間である。

誘導電圧Ｅ１は二次コイル２２に二次電圧（出力電圧）を発生させるとともに、誘導電圧によってサージ吸収コンデンサ５に充電電流が流れ、サージ吸収コンデンサ５は、この充電電流によって電荷を蓄積する。充電電流は一次コイル２１のインダクタンス、コイル抵抗、およびサージ吸収コンデンサ５の容量によって決定される。サージ吸収コンデンサ５に蓄積される電荷Ｑｃは数式２で表される。

式２において、ｉｃは充電電流、ＲＬ１は一次コイル２１の抵抗である。

電流の遮断が完了し、サージ吸収コンデンサ５のコンデンサ電圧が誘導電圧を超えると、コンデンサ電圧による電流が一次コイルに流れ、二次コイル２２に出力電圧が発生する。つまり、一次コイル２１には、電流遮断によって誘導された誘導電圧に続いて、サージ吸収コンデンサ５の放電による誘導電圧で二次電圧が誘導される。

この動作をサージ吸収コンデンサ５を設けていない従来の場合と比較する。サージ吸収コンデンサ５を有していない場合、誘導電圧の発生時間が短いので、一次コイル２１の誘導電圧を十分に二次コイル２２の出力電圧に変換することができない。

これに対して、本実施形態のようにサージ吸収コンデンサ５を設けることにより、サージ吸収コンデンサ５はコイル抵抗とコンデンサ容量で決定される時定数に従って一次コイル２１に誘導電圧を発生させるので、一次コイル２１に発生する誘導電圧を有効に出力電圧に変換することができる。特に、コンデンサ放電による誘導電圧は、電流遮断による誘導電圧と比較して、電流の時間変化が少ないので、結合度の低いイグニッションコイルを使用した場合でも、高出力電圧を得ることができる。本発明者等の実験によれば、サージ吸収コンデンサ５を備えた場合、サージ吸収コンデンサ５を備えない場合と比較して約２０％の出力電圧の向上が図れた。

サージ吸収コンデンサ５を設けることによって、点火装置の回路構成部品の耐圧を低くすることができる。トランジスタ式点火装置では、電流遮断時に一次コイルに大きい誘導電圧（例えば、５５０ボルト）が発生する。したがって、回路構成部品を、この誘導電圧以上の電圧に耐えるものとする必要がある。しかし、サージ吸収コンデンサ５を採用することによって電流遮断時の誘導電圧を例えば４５０ボルト程度に抑えることができるので回路構成部品は耐圧の小さいものとすることができる。

このように、本実施形態によれば、トランジスタ式点火装置によって、少ない入力電力でＣＤＩ点火装置と同様の高電圧を得ることができるので、ガソリンエンジンより高電圧出力性能を要求されるガスエンジンに適した点火装置を提供することができる。

本発明の一実施形態に係るトランジスタ式点火装置のシステム構成図である。

符号の説明

１…トランジスタ式点火装置、 ２…イグニッションコイル、 ３…制御回路、 ４…点火プラグ、 ５…サージ吸収コンデンサ、 ６…バッテリ、 ２１…一次コイル、 ２２…二次コイル、 ３１…制御信号発生部、 ３２…トランジスタ

Claims (1)

1. 電源に接続された一次コイルおよび点火プラグに接続された二次コイルからなるイグニッションコイルと、前記一次コイルに流れる電流をオン・オフ制御するトランジスタを含む制御回路とを有する内燃機関用トランジスタ式点火装置において、
   前記一次コイルと並列に接続され、前記一次コイルの誘導電圧によって電荷が蓄積されるサージ吸収コンデンサを備えたことを特徴とする内燃機関用トランジスタ式点火装置。

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