JP2010053780A - 内燃機関の点火装置 - Google Patents

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光宏 泉
Yoshiyuki Fukumura
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Abstract

【課題】イオン検出回路を確実に動作させて、正確に燃焼状態を把握できるよう工夫した内燃機関の点火装置を提供する。
【解決手段】一次コイルL1と二次コイルL2とからなる点火コイルCLと、制御装置ECUから受ける点火信号SGに基づいてON/OFF動作するスイッチング素子Qと、二次コイルL2の誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグPGと、イオン電流検出回路IONとを中心に構成される。二次コイルL2は、同一方向に巻かれた第1巻線L2aと第2巻線L2bとに区分されて構成され、点火プラグPGに点火放電用の高電圧が供給されるタイミングで、第2巻線L2aの電圧によって電源用コンデンサC1が充電されて、イオン電流検出回路のバイアス電圧が生成され、その後、点火プラグPGの電圧が降下すると、電源用コンデンサC1のバイアス電圧によって、点火プラグPGを経由してイオン電流が流れるよう構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の点火装置に関し、特に、高精度にイオン電流を検出できるイオン電流検出回路を内蔵した点火装置に関する。
イオン電流検出回路を内蔵する点火装置に関して、出願人は、先に、特許文献1に記載の発明を提案している。
特開平10−141107号公報
この発明では、ダイオードDを通して一次コイルL1に接続されるコンデンサCを設け、これにツェナーダイオードZDを並列接続することで、イオン電流検出回路のバイアス電圧を生成している。この回路では、スイッチング素子QがOFF動作すると、点火プラグPGが点火放電すると共に、コンデンサCが所定レベルV1まで充電される。そして、その後、点火プラグPGの両端電圧V2が降下すると、コンデンサCの充電電圧V1によるイオン電流が、イオン電流検出回路で検出されるようになっている(図4参照)。
しかしながら、上記した特許文献1に記載の回路では、コンデンサCの充電電圧が、スイッチング素子QのOFF遷移時に誘起される一次電圧V1によって決まるので、任意レベルの高電圧が得られないという問題がある。すなわち、点火プラグPGには点火放電に必要な高電圧が要求されるので、これに必要な一次コイルL1と二次コイルL2の巻数比から、一次電圧V1を必要なレベルまで高めることができないことがある。かかる場合、イオン電流検出回路の電流検出抵抗Rを増加させることも考えられるが、これでは、電流検出抵抗Rによってイオン電流を抑制することにしかならず、かえってSN比を悪化させる。
ここで、イオン電流検出回路のバイアス電圧が低いと、点火プラグの両端電圧V2がバイアス電圧のレベルV1まで降下するのに時間を要する。そのため、イオン電流の検出タイミングが遅れ、必要なイオン電流が検出できず、ノック判定や失火判定に支障が生じることがあった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、イオン検出回路を確実に動作させて、正確に燃焼状態を把握できるよう工夫した内燃機関の点火装置を提供することが課題とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、一次コイルと二次コイルとからなる点火コイルと、制御装置から受ける点火信号に基づいてON/OFF動作するスイッチング素子Qと、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、イオン電流検出回路とを中心に構成され、前記二次コイルは、同一方向に巻かれた第1巻線と第2巻線とに区分されて構成され、前記点火プラグに点火放電用の高電圧が供給されるタイミングで、前記第2巻線の電圧によって電源用コンデンサが充電されて、前記イオン電流検出回路のバイアス電圧が生成され、その後、点火プラグの電圧が降下すると、前記電源用コンデンサのバイアス電圧によって、前記点火プラグを経由してイオン電流が流れるよう構成されている。
また、請求項2に係る発明は、一次コイルと二次コイルとからなる点火コイルと、制御装置から受ける点火信号に基づいてON/OFF動作するスイッチング素子Qと、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、イオン電流検出回路とを中心に構成され、前記二次コイルと同一位相の電圧が誘起されるよう構成された三次コイルを設け、前記点火プラグに点火放電用の高電圧が供給されるタイミングで、前記三次コイルの電圧によって電源用コンデンサが充電されて、前記イオン電流検出回路のバイアス電圧が生成され、その後、点火プラグの電圧が降下すると、前記電源用コンデンサのバイアス電圧によって、前記点火プラグを経由してイオン電流が流れるよう構成されている。
上記何れの発明でもノック電流検出回路の電源用バイアス電圧を任意に設定できるので、ノック判定や失火判定など、内燃機関の燃焼状態を正確に判定することができる。
本発明は、好ましくは、前記二次コイルの高圧端子と前記点火プラグとの間に、第1ダイオードが配置されて逆方向放電を防止するべきである。また、前記第2巻線又は前記三次コイルから正電圧を受けると、前記電源用コンデンサに充電電流を流す向きに配置される第2ダイオードを設けるべきである。
ところで、前記電源用コンデンサには、好ましくは、ツェナーダイオードが並列接続されるべきである。この場合、本発明の構成によれば、ツェナーダイオードの降伏電圧を300V以上に設定することが容易である。但し、電源用コンデンサの充電電圧を、むやみに上昇させると、燃焼行程後の排気行程や吸気行程において、点火プラグが放電してしまうおそれもある。そこで、かかる弊害も考慮しつつ、気筒内圧が低い状態でも電源用コンデンサに充電された印加電圧が放電しないレベルに設定される。
また、前記電源用コンデンサの正電圧側の端子と、前記点火プラグとの間に、第3ダイオードが配置されて逆方向電流を阻止しているのが好ましい。
上記何れの発明でも、点火コイル、スイッチング素子、及びイオン電流検出回路は、本装置の使用状態では、点火プラグが配置されるプラグホールから露出する位置に配置されるのが最適である。
上記した本発明によれば、イオン検出回路を確実に動作させて、正確に燃焼状態を把握することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1は、第1実施例に係る点火装置IGNを示す回路図である。
図示の通り、この点火装置IGNは、一次コイルL1と二次コイルL2とからなる点火コイルCLと、ECU(Engine Control Unit)から受ける点火パルスSGに基づく遷移動作によって一次コイルL1の電流をON/OFF制御するスイッチング素子Qと、二次コイルL2の誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグPGと、イオン電流検出回路IONとを中心に構成されている。
スイッチング素子Qは、ここではIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が使用されている。そして、スイッチング素子Qのコレクタ端子は、一次コイルL1を経由してバッテリ電圧BTを受けており、エミッタ端子は、グランドに接続されている。
二次コイルL2は、同一方向に巻かれた第1巻線L2aと第2巻線L2bとに区分されて構成されており、巻線全体として、一次コイルL1に対して、N倍の巻数比を有している。したがって、二次コイルL2の両端電圧は、理論的には、一次コイルL1の両端電圧のN倍となり、このN倍の誘起電圧によって点火プラグPGの放電動作が実現される。
一方、一次コイルL1と、第2巻線L2bとは、1:Mの巻数比に設定されている。ここで、巻数比Mは、イオン電流検出回路IONに必要なバイアス電圧値に対応して決定され、この実施例では、例えば500Vのバイアス電圧を実現する巻数比Mとしている。従来の回路構成では、バイアス電圧値は、250V程度が実用上の限界であったが、本実施例では、第2巻線L2bを設けることで、任意の高電圧に設定することができる。但し、バイアス電圧値を、むやみに上昇させると、燃焼行程後の排気行程や吸気行程において、点火プラグが放電してしまうおそれもあるので、気筒内圧が低い状態でも点火プラグが放電しないレベルに設定される。
二次コイルL2の低圧端子(−)は、一次コイルL1の電源側端子と共に、バッテリ電圧BTを受けている。一方、二次コイルL2の高圧端子(+)は、ダイオードD1を通して点火プラグPGに接続されている。ダイオードD1が設けられているので、スイッチング素子QのON遷移時に、点火プラグPGが放電するおそれはない。
二次コイルL2の第1巻線L2aと、第2巻線L2bの接続点は、電流制限抵抗R1とダイオードD2を通して、コンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列接続回路に接続されている。図示の通り、ダイオードD2は、コンデンサC1を正方向に充電する方向に接続されている。また、ツェナーダイオードZDは、コンデンサC1に並列接続されるが、ここでは500V程度の電圧で降伏することで、充電状態のコンデンサの両端電圧を、バイアス電圧たる500Vに安定化している。
コンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列接続回路と、点火プラグPGとの間には、ダイオードD3が接続されている。図示の通り、ダイオードD3のカソード端子が、点火プラグPGに接続されているので、点火プラグPGの両端電圧V2が所定レベルまで降下しない限り、ダイオードD3が導通することはない。
コンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列接続回路には、互いに逆方向に並列接続されたダイオードD4,D5が、グランドとの間に直列接続されている。そして、ダイオードD4のアノード端子及びダイオードD5のカソード端子が、OPアンプAMPの反転入力端子(−)に接続されている。一方、OPアンプAMPの非反転入力端子(+)はグランドに接続され、反転入力端子(−)と出力端子との間には、イオン電流Iの電流検出抵抗R2が接続されている。そして、OPアンプAMPの出力電圧I*R2は、ECUに供給される。
本発明の点火装置は、上記の通りに構成されているので、以下の動作をする。先ず、点火パルスSGがLレベルからHレベルに変化すると、スイッチング素子QがON動作することで、一次コイルL1に電流が流れ始める。なお、このON動作時、二次コイルには、高圧端子(+)が負レベルとなる誘起電圧が生じるが、ダイオードD1が配置されているので、点火プラグPGが点火放電するおそれはない。
次に、一次コイルL1に電流が流れている状態で、点火パルスSGがHレベルからLレベルに変化すると、スイッチング素子QがOFF動作して、二次コイルL2には、高圧端子(+)が正レベルとなる誘起電圧が発生する。この誘起電圧は、二次コイルL2の第1巻線L2aと第2巻線L2bの誘起電圧の総和であり、点火プラグPGの放電に十分な高電圧である。そのため、点火プラグPGが点火放電して、図示の方向に点火放電電流が流れる。
また、このとき、第2巻線L2bの誘起電圧が、バッテリ電圧BTに加算されて、コンデンサC1に加わる。そのため、電流制限抵抗R1→ダイオードD2→コンデンサC1→ダイオードD4の経路で、コンデンサC1の充電電流が流れる。この実施例では、コンデンサC1には、500V用のツェナーダイオードZDが並列接続され、また、コンデンサC1には、500Vより適度に高い最大電圧が加わるよう構成されているので、コンデンサC1は、素早く500Vまで充電される。この動作によってイオン電流検出回路のバイアス電圧として、500Vが確保される。
点火プラグPGが点火放電した後、しばらく経過すると、点火プラグPGの両端電圧V2が降下するが、そのレベルが500Vに達すると、それまでOFF状態であったダイオードD3が導通して、イオン電流Iが流れる。図示の通り、イオン電流は、電流検出抵抗R2→コンデンサC1→ダイオードD3→点火プラグPGの経路で流れる。そして、OPアンプAMPの反転入力端子(−)の電位は0Vであると考えることができるので、OPアンプAMPからは、イオン電流Iに比例したI*R2が出力されることになる。
以上のように構成された点火装置IGNは、その点火コイルCL部分をプラグホールHOに配置する構成(図3(a))を採っても良いし、点火装置IGNの実質的に全ての構成要素を、プラグホールHOから露出するプラグ頭部HDに配置する構成(図3(b))を採っても良い。但し、ペンシルタイプとも称する図3(a)の構成を採ると、(1)二次コイルL2の最先端とプラグ頭部HDとの間であるプラグホールの位置にダイオードD3を配置するか、或いは、(2)プラグ頭部HDに配置したダイオードD3から二次コイルL2の最先端に接続線を引き回す必要があり、また、(3)二次コイルの途中から、プラグ頭部HDに配置した電流制限抵抗R1への接続線も必要となり、装置構成上に問題が生じる。
これに対して、プラグ頭部HDに、点火装置IGNの全ての構成要素を配置し、プラグホールHOには、ダイオードD1からの出力線だけを配置する図3(b)の構成を採れば、上記した(1)〜(3)の問題が生じない上に、プラグホールが小径化されても、問題なく対応できるので好適である。図3(a)の構成を採ると、プラグホールの口径上の制限などから、二次コイルの第2巻線L2bを自由に増やすことができず、この点が問題になるが、図3(b)の構成を採ると、第2巻線L2bを自由に設定でき、また、プラグホールHOの内部に接続線CBLを配置するだけで足りるので極めて好適である。
また、一次コイルと二次コイルの磁束通路とを閉磁路とすることができるので、特に大型化しなくても、必要な高電圧を自由に生成することができる。その結果、バイアス電圧を高く設定することも容易であるので、イオン電流を確実に把握することができ、失火判定やノック判定の精度を上げることができる。
以上、本発明の第1実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、第1実施例では、二次コイルL2を、第1巻線L2aと第2巻線L2bに区分して構成したが、三次コイルL3を設けても良いのは勿論である。
図2は、この第2実施例を示す回路図である。ここでは、磁束の通過方向に対して、二次コイルL2と三次コイルL3の巻線を同一方向に巻いている。そのため、一次コイルL1の電流が遮断されて、二次コイルL2の高圧端子(+)に、正の高電圧が誘起されたタイミングでは、三次コイルL3に誘起された正電圧によってコンデンサC1が充電されて、イオン電流検出回路IONのバイアス電圧が生成される。
第1実施例に係る点火装置を示す回路図である。 第2実施例に係る点火装置を示す回路図である。 各点火装置の配置状態を示す概念図である。 従来技術を説明する回路図である。
符号の説明
L1 一次コイル
L2 二次コイル
L2a 第1巻線
L2b 第2巻線
CL 点火コイル
ECU 制御装置
SG 点火信号
Q スイッチング素子
PG 点火プラグ
ION イオン電流検出回路
C1 電源用コンデンサ

Claims (7)

  1. 一次コイルと二次コイルとからなる点火コイルと、制御装置から受ける点火信号に基づいてON/OFF動作するスイッチング素子Qと、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、イオン電流検出回路とを中心に構成され、
    前記二次コイルは、同一方向に巻かれた第1巻線と第2巻線とに区分されて構成され、
    前記点火プラグに点火放電用の高電圧が供給されるタイミングで、前記第2巻線の電圧によって電源用コンデンサが充電されて、前記イオン電流検出回路のバイアス電圧が生成され、
    その後、点火プラグの電圧が降下すると、前記電源用コンデンサのバイアス電圧によって、前記点火プラグを経由してイオン電流が流れるよう構成されたことを特徴とする内燃機関の点火装置。
  2. 一次コイルと二次コイルとからなる点火コイルと、制御装置から受ける点火信号に基づいてON/OFF動作するスイッチング素子Qと、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、イオン電流検出回路とを中心に構成され、
    前記二次コイルと同一位相の電圧が誘起されるよう構成された三次コイルを設け、
    前記点火プラグに点火放電用の高電圧が供給されるタイミングで、前記三次コイルの電圧によって電源用コンデンサが充電されて、前記イオン電流検出回路のバイアス電圧が生成され、
    その後、点火プラグの電圧が降下すると、前記電源用コンデンサのバイアス電圧によって、前記点火プラグを経由してイオン電流が流れるよう構成されたことを特徴とする内燃機関の点火装置。
  3. 前記二次コイルの高圧端子と前記点火プラグとの間に、第1ダイオードが配置されて逆方向放電を防止している請求項1又は2に記載の点火装置。
  4. 前記第2巻線又は前記三次コイルから正電圧を受けると、前記電源用コンデンサに充電電流を流す向きに配置される第2ダイオードを設けた請求項1〜3の何れかに記載の点火装置。
  5. 前記電源用コンデンサにツェナーダイオードが並列接続され、前記ツェナーダイオードの降伏電圧は、300V以上に設定されている請求項1〜4の何れかに記載の点火装置。
  6. 前記電源用コンデンサの正電圧側の端子と、前記点火プラグとの間に、第3ダイオードが配置されて逆方向電流を阻止している請求項1〜5の何れかに記載の点火装置。
  7. 前記点火コイル、前記スイッチング素子、及び前記イオン電流検出回路は、本装置の使用状態では、前記点火プラグが配置されるプラグホールから露出する位置に配置される請求項1〜6の何れかに記載の点火装置。
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