JP2009181942A - 燃料電池劣化判定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の不可逆的な発電性能の低下を招くことなく該燃料電池の電解質膜の劣化を感度よく判定する。
【解決手段】電解質膜を有するセルを介して、酸素を含む酸化ガスと水素を含む燃料ガスとの電気化学反応によって発電を行う燃料電池の、該電解質膜の劣化を検知する燃料電池劣化判定システムであって、燃料電池内に供給された酸化ガス及び燃料ガスを、該燃料電池内に封入し、その封入状態の燃料電池の出力電圧が所定消費電圧となるように、該燃料電池を発電させる。そして所定時間発電を行った後、燃料電池のセルの出力電圧に基づいて、該セルの有する電解質膜の劣化を判定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電解質膜を有するセルにおいて酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応にて電力を発電する燃料電池に対し、その電解質膜の劣化を判定する燃料電池劣化判定システムに関する。
近年、運転効率および環境性に優れる電源として燃料電池が注目されている。電解質膜を有する燃料電池のセルにおいては、カソード側に酸化ガスが供給され且つアノード側に燃料ガスが供給されることで、その電解質膜において所定の電気化学反応が起こり、発電に至る。ここで、電解質膜で電気化学反応が発生し発電が行われるに従って、電解質膜が痩せて行き、ピンホールが生じて燃料ガスのクロスリークが発生する場合がある。このクロスリークが発生すると、セルとしての発電能力が低下するため、適切な時期に電解質膜の修理、交換が行われるのが好ましい。
そこで、燃料電池のセルに備えられる電解質膜の劣化を判定する技術として、例えば特許文献1に記載の技術が挙げられる。この技術では、燃料電池への酸化ガス及び燃料ガスの供給を停止した後の、該燃料電池での発電による正常セルと非正常セルとの間でのクロスリークに起因する電流密度の差に基づいて、セルの電解質膜の劣化を判定している。
また、特許文献2においては、燃料電池のセルに備えられる電解質膜の劣化を判定する技術として、燃料電池に供給される酸化ガスと燃料ガスの供給量を一定に保った状態から、カソードとアノード間に差圧を生じさせて強制的なクロスリークを発生させることで、セルの電解質膜の劣化を判定する技術が開示されている。
特開2004−186137号公報 特開2005−63724号公報
燃料電池の性能を維持し、該燃料電池から安定的に電力を供給するためにも、燃料電池の発電性能の劣化を判定する必要性は高い。ここで、電解質膜における酸化ガスと燃料ガスとの電気化学反応によって発電を行う燃料電池では、この電解質膜の劣化、例えば電解質膜におけるクロスリークの発生を感度よく判定することが求められる。しかし、従来の判定方法では、燃料電池への酸化ガス及び燃料ガスの供給を停止した後の、該燃料電池での発電による正常セルと非正常セルとの間でのクロスリークに起因する電流密度の差に基づくため、クロスリークの検出感度が低くならざるを得ない。従って、比較的大きなクロスリークが発生して初めてその存在を検知でき、その検知感度は決して高くはない。
一方で、クロスリークの検出時にセルのカソード側を高電位にすることで、その検出感度を上昇させる判定方法もあるが、その場合カソード側の電極内の触媒、例えば白金が溶解し、結果的に燃料電池の発電性能が不可逆的に低下してしまう問題が生じる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、不可逆的な発電性能の低下を招くことなく該燃料電池の電解質膜の劣化を感度よく判定する燃料電池劣化判定システムを提供することを目的とする。
本発明においては、上記課題を解決するために、電解質膜の劣化判定に際して燃料電池
に所定の発電をさせ、その発電時の出力電圧を所定の一定電圧とすることとした。このようにすることで、燃料電池において不可逆的な発電性能の低下を回避できるとともに、燃料電池の電流電圧特性(以下、「IV特性」とも言う。)の変化から、クロスリークの存在を感度よく検出することが可能となる。
そこで、詳細には、本発明は、電解質膜を有するセルを介して、酸素を含む酸化ガスと水素を含む燃料ガスとの電気化学反応によって発電を行う燃料電池の、該電解質膜の劣化を検知する燃料電池劣化判定システムであって、前記燃料電池内に供給された前記酸化ガス及び前記燃料ガスを、該燃料電池内に封入するガス封入手段と、前記ガス封入手段によって前記酸化ガス及び前記燃料ガスが封入された状態の前記燃料電池の出力電圧が所定消費電圧となるように、該燃料電池を発電させる発電手段と、前記発電手段によって所定時間発電を行った後、前記燃料電池の前記セルの出力電圧に基づいて、該セルの有する前記電解質膜の劣化を判定する劣化判定手段と、を備える。
本発明に係る燃料電池劣化判定システムの劣化判定の対象は、電解質膜を有している燃料電池のセルである。即ち、劣化判定手段によってセルの出力電圧に基づいた電解質膜の劣化判定が行われる。ここで、この燃料電池劣化判定システムで劣化判定が行われる際、燃料電池に供給された酸化ガス及び燃料ガス(以下、この両者を「反応ガス」とも言う。)が、ガス封入手段によって該燃料電池内に封入された状態となる。即ち、この封入状態では、燃料電池は外部からの反応ガスの供給が絶たれた状態となる。
そして、上記封入状態において、燃料電池の出力電圧が所定消費電圧に維持されるように、発電手段による発電が行われる。従って、発電手段による発電では、燃料電池内に封入された反応ガスが次第に消費されていくことになる。ここで、発電手段による所定消費電圧での発電が進行するに従い、特に燃料電池内の酸化ガスが消費されるに従い、燃料電池の電流電圧特性(以下、「IV特性」とも言う。)は、電流の変動に対する電圧の変動の割合が大きくなっていく傾向がある。その結果、セルの電解質膜に存在するクロスリークの程度が大きいほど、発電手段の発電経過後にセルの出力電圧の低下としてより顕著に現れてくる。
また、発電手段による発電では燃料電池の出力電圧が所定消費電圧に維持されるため、燃料電池の電極に過度に高い電圧が印加されるのを回避することができる。即ち、この所定消費電圧は、燃料電池において不可逆的な発電性能の低下を招くことのない電圧であり、例えば、前記セルの有する電極に前記化学反応に供される触媒が設けられている場合、所定消費電圧は、前記発電手段を介した発電によって、前記セルが有する前記電極の触媒の溶解が生じる所定溶解電圧より低い電圧である。
以上より、劣化判定手段による劣化判定が行われるときには、燃料電池のIV特性がクロスリークをセルの出力電圧で感度よく検出可能な特性となっており、且つ燃料電池の電極に過度な高電圧が印加されることがない状態とはなっている。従って、本発明に係る燃料電池システムでは、電解質膜の劣化判定に際して、不可逆的な発電性能の低下を招くことなく、且つセルの電解質膜に存在するクロスリークを感度よく判定することが可能となる。尚、上記所定消費電圧は、一定の電圧、即ち一定の所定消費電圧であってもよい。
ここで、上述したように、発電手段の発電によって、燃料電池のIV特性は、クロスリークの検出を感度よく行うことができるように電流の変動に対する電圧の変動の割合が大きくなっていく傾向がある。しかし、通常の正常なセル、即ち燃料電池の使用上クロスリークの問題は無いとされるセルであって、上記所定の正常セルにおいても、物理的に完全にクロスリークの存在を消すことは困難であり、何らかのオーダーでのクロスリークは存在している。そして、クロスリークは、直接には燃料電池からの出力電流に影響するので
、劣化判定手段による劣化判定を行うに際して、燃料電池の状態を、所定の正常セルにおけるクロスリークに起因するクロスリーク電流と同程度のオーダーの電流が流れる状態にするのが好ましい。
そこで、上記の燃料電池劣化判定システムにおいて、前記所定時間は、前記発電手段による発電で、前記セルを流れる電流密度が、所定の正常セルにおけるクロスリーク電流値に基づいて決定される所定電流密度のオーダーに至るまでの時間であってもよい。これにより、所定の正常セルにおけるクロスリークも加味した上で、セルの電解質膜の劣化をより正確に判定することが可能となる。
また上述までの燃料電池劣化判定システムにおいて、前記電極の触媒の一例として白金が挙げられ、このとき前記所定消費電圧は、前記所定溶解電圧より低い電圧であって且つ0.8V以上としてもよい。尚、一般に、白金の所定溶解電圧は、0.9V〜0.95Vである。このように所定消費電圧を所定溶解電圧の近傍の値であって且つ該所定溶解電圧を超えない値とすることで、電極の白金の溶解を回避しながらクロスリークの存在を感度よく判定することが可能となる。
本発明に係る燃料電池劣化判定システムによれば、燃料電池の不可逆的な発電性能の低下を招くことなく該燃料電池の電解質膜の劣化を感度よく判定することが可能となる。
本発明に係る燃料電池劣化判定システムの実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態に係る燃料電池劣化判定システムによって劣化判定される燃料電池11は、移動体である車両1の駆動装置である駆動モータ16に対して電力を供給するものであるが、船舶やロボット等の車両1以外の移動体や、移動は行わないが電力の供給を受ける必要がある物に対しても適用が可能である。
図1は、本発明に係る燃料電池劣化判定システムであって、燃料電池(以下、「FC」ともいう。)11の劣化判定を行うシステムの概略構成を示す図である。この燃料電池11は、複数のセルが積層されセルスタックの形態で構成されたものであり、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化ガスとの電気化学反応によって発電を行う。具体的には、各セルのアノード側には、水素タンク17に蓄えられた燃料ガスがアノードガス供給通路23を介して供給され、また各セルのカソード側には、コンプレッサ18によって圧送された酸化ガスがカソードガス供給通路25を介して供給される。そして、各セルの電解質膜を介して、燃料ガスと酸化ガスとの間で電気化学反応が生じ、各セルのアノード側電極とカソード側電極を通して燃料電池11からの電力が出力される。尚、両電極においては、上記電気化学反応を促進させるため、触媒としての白金が使用されている。また、燃料電池11への燃料ガスの供給量を制御するアノードバルブ22が、アノードガス供給通路23に設けられており、同様に燃料電池11への酸化ガスの供給量を制御するカソードバルブ24が、カソードガス供給通路25に設けられている。
上記燃料電池11は車両1に搭載され、燃料電池11からの電力によって、車両1は、駆動輪2が駆動モータ(以下、単に「モータ」という。)16によって駆動され、以て移動可能となる。尚、このモータ16は、いわゆる三相交流モータであって、インバータ15から交流電力の供給を受ける。そして、このインバータ15へ燃料電池11と、二次電池であるバッテリ13から直流電力が供給され、それがインバータ15で交流へ変換されている。尚、バッテリ13は、充放電が可能な蓄電装置であって、該バッテリ13とインバータ15との間には、DC−DCコンバータであるバッテリ昇圧コンバータ14が電気
的に接続されている。これにより、バッテリ13からの出力電圧は、バッテリ昇圧コンバータ14によって制御可能な範囲で任意の電圧に昇圧され、インバータ15に印加される。尚、バッテリ昇圧コンバータ14の制御は既知の技術であるから、本実施例においてはその詳細な説明は割愛する。
また車両1には、電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)20が備えられ、上述した各制御対象に電気的に接続されることで、燃料電池11への燃料ガスや酸化ガスの供給量及び発電、モータ16の駆動等が制御されることになる。例えば、車両1には、ユーザからの加速要求を受けるアクセルペダルが設けられ、その開度がアクセルペダルセンサ21によって検出され、その検出信号がECU20に電気的に伝えられる。そして、その結果に従って、ECU20は、アノードバルブ22およびカソードバルブ24の開度が制御される。
また、燃料電池11に対してはセルモニター26が設けられており、燃料電池11を形成する複数のセルのそれぞれの出力電圧や出力電流がセルモニター26によって検知される。そして、セルモニター26はECU20に接続され、ECU20が各セルの出力電圧を検知可能となっている。
ここで、燃料電池11を構成するセルにおいては、上述の通り電解質膜が備えられ、該電解質膜を介して燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応が生じる。そして、この電気化学反応が行われていくに従い、電解質膜の厚さが薄くなっていき、最終的に電解質膜にピンホールが形成され、いわゆるクロスリークが生じる。このクロスリークは、電解質膜に形成されたピンホールを介して、燃料ガスと酸化ガスが互いの逆の極に流れ込んでしまう現象であり、燃料電池11の発電性能を低下させる燃料電池劣化の一因である。そして、燃料電池11の発電性能を維持するためにも、この電解質膜におけるクロスリークに起因する燃料電池11の劣化を感度よく判定することが求められる。
そこで、燃料電池11の劣化を判定するための制御(以下、「燃料電池劣化判定制御」という)の一例について、図2及び図3に基づいて説明する。図2に示す燃料電池劣化判定制御は、ECU20によって、所定のタイミングで、例えば車両1の駆動後の燃料電池11の停止時等のタイミングで実行される。また、図3は、燃料電池11において本燃料電池劣化判定制御が行われるときの、該燃料電池11の電流電圧特性(IV特性)を示す。
ここで、本燃料電池劣化判定制御が開始される時点の、燃料電池11のIV特性について言及する。この時点での燃料電池11のIV特性は線L1で示される。そして、正常なセル、即ちクロスリークの程度が燃料電池11の発電性能上支障が無い程度のセルのIV特性の状態は、点P1で現される。一方で、セルとして正常とは言えないセル、即ちクロスリークの程度が燃料電池11の発電性能上支障があると判断される程度のセルのIV特性の状態は、点P1’で現され、点P1よりもセルの端子電圧が低い。これは、クロスリークの存在によるセルの発電能力の低下に起因する。
しかし、図3に示すように、線L1で示されるIV特性の状態である燃料電池11では、セルの端子電圧が白金溶解電圧以下での燃料電池11のIV特性は、電流の変化に対して電圧変化が極めて緩やかである。従って、クロスリークの存在による点P1と点P1’の違い、言い換えるならばクロスリークの大きさに相当するセルの端子電圧差ΔV1は非常に小さく、従ってクロスリークの存在を感度よく判定するのは難しい。尚、燃料電池11のIV特性のうち白金溶解電圧以下の領域を考慮するのは、後述にも示すように、セルの電極触媒の白金が溶解して、セルの発電性能が不可逆的に劣化してしまうのを回避するためである。
そこで、本燃料電池劣化判定制御は、クロスリークの存在を感度よく判定するために行われる。先ず、S101では、燃料電池11の一セルあたりの出力電圧が0.85Vになるように、モータ16による燃料電池11に対する負荷を調整する。この0.85Vの値は、本発明における所定消費電圧に対応する一セルあたりの電圧であり、一セルにおいて電極の白金が溶解する開回路電圧である上記白金溶解電圧(本実施例では0.9Vとする)より低い値であるので、後述するS102〜S105の処理が行われる際に、セルの電極の白金が溶解するのを確実に回避できる。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
S102では、ECU20からの指示により、アノードバルブ22及びカソードバルブ24が閉じられ、燃料電池11への燃料ガスと酸化ガスの供給が停止される。その結果、S103に示すように、燃料電池11において燃料ガスと酸化ガスの封入状態が形成される。従って、この状態では、セルの端子電圧が0.85Vに維持される状態で、モータ16の駆動が継続され、S103で燃料電池11内に封入された燃料ガスと酸化ガスが消費されていく(S104に示す状態)。
S104の処理が継続されると燃料電池11内の封入された酸化ガスが消費され、そのIV特性が顕著に変化する。具体的には、燃料電池11内に封入された酸化ガスが消費されるに従って、当初図3に線L1で示されていた燃料電池のIV特性は、図中線L2に示すIV特性に向かって変化していく。即ち、酸化ガスの消費に従って、燃料電池11のIV特性は、電流の変化に対する電圧変化が急峻になってくる。尚、線L2に示すIV特性については後述する。
S105では、S104の処理が継続されている状態の燃料電池11のセルにおいて出力される電流の密度が、所定の値0.05A/cm2以下であるか否かが判定される。こ
の電流密度の所定値は、燃料電池11の各セルにおける電解質膜の劣化を判定するためのタイミングを判断する閾値であり、燃料電池11からの電流密度がこの所定値に至ることで、該燃料電池11のIV特性が図3中の線L2で示す状態となる。以下に、この電流密度の閾値である所定値0.05A/cm2の技術的意義について、説明する。
S104の処理で燃料電池11の出力電圧が0.85Vに維持された状態で、燃料電池11内に封入された酸化ガスの消費が行われ、該燃料電池11のIV特性が図3中の線L2で示された状態に至ると、電流変化に対する電圧変化が顕著になることは上述のとおりである。そして、その結果、燃料電池11の各セルにおけるクロスリークに起因する発電性能の劣化を、セルの出力電圧の低下として感度よく検出することが可能となる。具体的には、上記点P1で示される正常なセルはクロスリークの影響が無いため、燃料電池11の電流密度が上記所定値となっても、その出力電圧は線L2上の点P2、即ち点P1とほぼ同電位となる。一方で、上記点P1’で示される非正常なセルは、クロスリークの影響を受けて、燃料電池11の電流密度が上記所定値となると、その出力電圧は、点P1’の電位よりも大きく低下した電位である線L2上の点P2’の電位となる。従って、本燃料電池劣化判定制御が開始された当初のセル間のクロスリークの影響は、比較的小さな電圧差ΔV1としてしか検出できなかったが、燃料電池11のIV特性が線L2に示す状態となることで、比較的大きな電圧差ΔV2として検出できるようになる。
また、たとえ電解質膜が正常なセルであっても、物理的には非常に小さいが何らかの程度のクロスリークが存在しているのが現実である。この不可避的なクロスリークによっては、燃料電池11のセルのでは0.03A/cm2程度の電流密度への影響が生じる。従
って、S104の処理を継続して燃料電池11のセルの出力電流の密度を、正常なセルにおけるクロスリークに起因する電流密度と同じオーダーの電流に至らしめることで、セル
の電解質膜におけるクロスリークが正常な状態であるか、非正常な状態であるかをより的確に判定することが可能となる。
尚、S105において燃料電池11の出力電流の密度が上記所定値以下となったか否かの判定を行うに際しては、セルモニター26によって検出される各セルからの出力電流に基づいて判定が行われる。S105で燃料電池11の出力電流の密度が上記所定値以下と判定されると、燃料電池11のIV特性が図3中の線L2で示される状態となっていることを意味し、S106以降の処理が行われることになる。一方で、S105で燃料電池11の出力電流の密度が上記所定値以下ではないと判定されると、再びS104以降の処理が行われる。
S106では、図3中の線L2で示されるIV特性状態となっている燃料電池11に対して、セルモニター26によって各セルの出力電圧が検出される。その後、S107では、検出された各セルの出力電圧と、基準となるセル基準電圧とが比較され、その比較結果に基づいてS108で各セルの劣化判定が行われる。このセル基準電圧は、燃料電池11の発電性能の劣化をユーザに対して知らせるタイミングが適切なものとなるように設定されればよい。例えば、図3に示すように正常セルと非正常セルとの電圧差がΔV2で示されるときは、セル基準電圧を0.85−ΔV2(V)に設定すればよい。従って、S108では、S106で検出されたセルの出力電圧が、セル基準電圧以下である場合は、当該セルは劣化していると判定され、その結果がユーザへ通知される(S109の処理)。尚、この通知は、ECU20から、車両1内に設けられているテレビ用ディスプレイ等を介して行われる。
このように本燃料電池劣化判定制御によれば、燃料電池11の劣化判定を感度よく行え、またその判定に際してセルの電極に過大な電圧が印加されるのを回避することが可能となる。その結果、不可逆的な発電性能の低下を招くことなく燃料電池11の劣化を適切に判断できるため、ユーザに対して燃料電池11の修理や交換等を滞りなく通知でき、結果的に燃料電池の安定的な電力供給の継続が可能となる。
ここで、本燃料電池劣化判定制御の、劣化判定の感度と不可逆的な発電性能低下の回避に対する利点について、図4Aおよび図4Bに示す従来の劣化判定方法との比較の上、更に言及する。先ず、図4Aは、従来の燃料電池の劣化判定法と該燃料電池のIV特性との相関関係を示す図である。図4Aに示す従来の劣化判定法では、クロスリークの存在を感度よく判定するために、燃料電池のIV特性のうち、セルの端子電圧が白金溶解電圧を超えた領域、即ち電流の変化に対する電圧の変化が比較的大きい領域で、該判定を行う。従って、クロスリークに起因する電圧変化ΔV3(正常セルの電位P3と非正常セルの電位P3’の電圧差)を検出するために、燃料電池のセルに白金溶解電圧を超える電圧を印加する必要が生じる。その結果、セルにおいて不可逆的な発電性能の低下が生じる可能性が高い。一方で、本発明に係る燃料電池11の劣化判定法では、セルに印加される電圧は白金溶解電圧より低いため、この不可逆的な発電性能の低下は生じない。
また、図4Bに示す従来の劣化判定法では、本発明の場合と同様に、燃料電池の内部に供給された酸化ガスと燃料ガスを封入するが、モータ等の外部負荷に頼るのではなく、燃料電池の内部電池による自然な消費によって生じる電圧低下でクロスリークの存在の判定を行う。燃料電池に封入直後の該燃料電池のIV特性は線L3で示され、内部電池の電圧低下によって該燃料電池のIV特性は線L4に示された状態となる。ここで、正常なセルの電位P4はこの電圧低下によって点P4’で示される電位となり、非正常なセルの電位P5は点P5’で示される電位となる。
そして、電解質に問題のあるクロスリークが存在する非正常なセルにおいては、この電
圧低下におけるその速度(電圧低下速度)が大きい傾向があるので、その点を利用してクロスリークの判定が行われる。具体的には、正常なセルの電圧低下速度S4では、所定時間経過後にセルの端子電圧がクロスリーク判定電圧を下回っておらず、一方で非正常なセルの電圧低下速度S5では、同じ所定時間経過後にセルの端子電圧がクロスリーク判定電圧を下回った状態となる。そこで、この所定時間経過後のセルの端子電圧がクロスリーク判定電圧より下か否かに基づいて、該セルでのクロスリークの存在が判定される。
しかし、この従来の劣化判定法では、燃料電池での内部電池による電圧低下を利用しているため、上記電圧低下を生じさせるまでに比較的長い時間を要し、またクロスリークの程度が比較的小さい場合は電圧低下速度も小さくなるためその存在を検知することが難しい、即ちクロスリークの存在の判定感度が低い。その点については、本発明に係る燃料電池11の劣化判定法は、上述の通り、燃料電池11の出力電圧を一定にした状態で酸化ガス等を消費するため、クロスリークの存在を感度よく判定できる。
本発明の実施例に係る燃料電池劣化判定システムが適用される燃料電池システムの概略構成を示す図である。 本発明に係る燃料電池劣化判定システムにおいて、燃料電池のセルが有する電解質膜の劣化判定を行うための制御のフローチャートである。 図2に示す燃料電池劣化判定制御が行われる際の、燃料電池の電流電圧特性(IV特性)の変化を示す図である。 従来の燃料電池の劣化判定が行われる際の、該燃料電池の電流電圧特性(IV特性)の変化を示す第一の図である。 従来の燃料電池の劣化判定が行われる際の、該燃料電池の電流電圧特性(IV特性)の変化を示す第二の図である。
符号の説明
1・・・・車両
11・・・・燃料電池(FC)
13・・・・バッテリ
14・・・・バッテリ昇圧コンバータ
15・・・・インバータ
16・・・・モータ
20・・・・ECU
21・・・・アクセルペダルセンサ
22・・・・アノードバルブ
24・・・・カソードバルブ
26・・・・セルモニター

Claims (4)

  1. 電解質膜を有するセルを介して、酸素を含む酸化ガスと水素を含む燃料ガスとの電気化学反応によって発電を行う燃料電池の、該電解質膜の劣化を検知する燃料電池劣化判定システムであって、
    前記燃料電池内に供給された前記酸化ガス及び前記燃料ガスを、該燃料電池内に封入するガス封入手段と、
    前記ガス封入手段によって前記酸化ガス及び前記燃料ガスが封入された状態の前記燃料電池の出力電圧が所定消費電圧となるように、該燃料電池を発電させる発電手段と、
    前記発電手段によって所定時間発電を行った後、前記燃料電池の前記セルの出力電圧に基づいて、該セルの有する前記電解質膜の劣化を判定する劣化判定手段と、
    を備える燃料電池劣化判定システム。
  2. 前記セルは、前記化学反応に供される触媒が設けられた電極を有し、
    前記所定消費電圧は、前記発電手段を介した発電によって、前記セルが有する前記電極の触媒の溶解が生じる所定溶解電圧より低い電圧である、
    請求項1に記載の燃料電池劣化判定システム。
  3. 前記所定時間は、前記発電手段による発電で、前記セルを流れる電流密度が、所定の正常セルにおけるクロスリーク電流値に基づいて決定される所定電流密度のオーダーに至るまでの時間である、
    請求項1又は請求項2に記載の燃料電池劣化判定システム。
  4. 前記触媒は白金であって、
    前記所定消費電圧は、前記所定溶解電圧より低い電圧であって且つ0.8V以上である、
    請求項2に記載の燃料電池劣化判定システム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102856571A (zh) * 2011-07-01 2013-01-02 通用汽车环球科技运作有限责任公司 燃料电池堆的膜失效和燃料电池系统构件缺陷的早期检测方法

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CN102856571A (zh) * 2011-07-01 2013-01-02 通用汽车环球科技运作有限责任公司 燃料电池堆的膜失效和燃料电池系统构件缺陷的早期检测方法

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