JP2009181754A - アルカリ電池用正極缶、及びアルカリ電池 - Google Patents

アルカリ電池用正極缶、及びアルカリ電池 Download PDF

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Abstract

【課題】反応物質を充填可能な有効内容積を十分に確保することができるアルカリ電池用正極缶を提供すること。
【解決手段】正極缶11は、プレス加工により、開口部31、胴部32及び底部33を有する筒状に成形されている。正極缶11は、開口部31の内径D1よりも胴部32の内径D2のほうが小さく、開口部31の板厚T1よりも胴部32の板厚T2のほうが薄く形成されている。正極缶11において、胴部32の内面かつ開口部31に隣接した位置に、開口部31を封口するための集電体を支持可能な凸部40が一体的に突設形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、プレス加工により開口部、胴部及び底部を有する筒状に成形されたアルカリ電池用正極缶、及びその正極缶を用いて構成されたアルカリ電池に関するものである。
図3には、従来のアルカリ電池50が示されている。このアルカリ電池50を製造する場合、まず、有底円筒状の正極缶51内に中空円筒状に成形した正極合剤52を収納し、その正極合剤52の中空部に中空円筒状のセパレータ53を挿入する。そして、セパレータ53の中空部に電解液を注入してセパレータ53と正極合剤52とに電解液を含浸させた後、セパレータ53の中空部にゲル状の負極合剤54を充填する。その後、正極缶51の上端開口部を集電体56で密閉してアルカリ電池50が完成する。集電体56は、負極端子板61、集電子62、リング63及び封口ガスケット64を含んで構成されており、正極缶51の上端開口部に封口ガスケット64を介して負極端子板61が嵌合されている。そして、正極缶51の開口端縁をカール及び絞り加工することで、電池内が密封されている。
上記集電体56(負極端子板61及び封口ガスケット64)の嵌合に先立ち、正極合剤52、負極合剤54等を挿入した正極缶51には、その開口部付近の直径を少し細くして負極端子板61や封口ガスケット64を支えやすくする溝部(いわゆるビード部65)が形成される。この操作はビーディング加工と呼ばれており、正極缶51の側面に円盤状ローラーを押しつけ、正極缶周を回転させることで、ビード部65が形成される。このビード部65は、正極缶51の開口端から所定寸法下方の位置において内周側に鉢巻き状に突出する部分であり、上記集電体56を支持している(例えば、特許文献1,2参照)。
また、特許文献3には、正極缶において、正極合剤や負極合剤などの収納部側の厚さよりも開口部側の厚さを薄くすることにより、ガスケットを保持するための段差を設けたアルカリ電池が提案されている。
特開2007−48730号公報 特開2000−294233号公報 特開平8−148132号公報
ところで、従来の筒型アルカリ電池50においては、正極合剤52などの反応物質を増量することで電池50の放電性能を高めることができる反面、正極合剤52の上端とビード部65との位置が接近することとなる。この場合、正極合剤52を正極缶51内に挿入した後、ビーディング加工を施すと、正極合剤52の上端部に機械的ストレスが加わることで、正極合剤52の割れが発生しやすくなる。その結果、正極合剤52の粉が周囲に飛散、付着することにより、製造工程上のトラブルの発生や組立不良の増加を招くといった問題が生じる。
また、正極缶51にビーディング加工を施さずに電池50を組み立てると、正極缶51のカール及び絞り加工を行う工程で、負極端子板61を含む集電体56が電池50内に落下してしまい、組立不良が発生しやすくなる。そのため、現状では、正極合剤52の上端部に機械的ストレスが加わらないように、正極合剤52から所定の間隔をあけた位置にビーディング加工を施して電池50を組み立てている。このビーディング加工は、正極缶51を塑性変形させるものであり、加工後の形状よりも大きく変形させなければならない。従って、正極合剤52の割れを回避するためには、正極缶51において加工後の形状による体積減少分よりもさらに大きな体積が利用できないといった問題が生じている。
特許文献3のアルカリ電池では、ガスケットを保持するための段差を設けるために、正極缶において反応物質(正極合剤や負極合剤など)の収納部側を厚く形成する必要がある。従って、正極缶において、反応物質を充填可能な有効内容積が小さくなる。このため、特許文献3のアルカリ電池では、放電性能を十分に確保することが困難となる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、反応物質を充填可能な有効内容積を十分に確保することができるアルカリ電池用正極缶を提供することにある。また、別の目的は、正極缶内の反応物質を増量することにより、放電性能を高めることができるアルカリ電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、開口部、胴部及び底部を有する筒状のプレス加工品であり、前記開口部の内径よりも前記胴部の内径のほうが小さく、前記開口部の板厚よりも前記胴部の板厚のほうが薄いアルカリ電池用正極缶であって、前記胴部の内面かつ前記開口部に隣接した位置に、前記開口部を封口するためのアルカリ電池用集電体を支持可能な凸部を一体的に突設形成したことを特徴とするアルカリ電池用正極缶をその要旨とする。
請求項1に記載のアルカリ電池用正極缶によれば、胴部の内径よりも開口部の内径が大きいので、その開口部から胴部内に正極合剤などの反応物質を容易に充填することができる。また、開口部の板厚よりも胴部の板厚のほうが薄いため、反応物質を充填可能な有効内容積を増やすことができる。さらに、胴部の内面かつ開口部に隣接した位置に凸部が一体的に突設形成されているので、従来技術のようにビーディング加工を行わなくても、アルカリ電池用集電体を支持することができる。従って、正極缶のカール及び絞り加工を行う工程でアルカリ電池用集電体が落下して組立不良が発生するといった問題を回避することができる。また、ビーディング加工を行わないことから、その加工時の形状変化によるロスがなく、有効内容積を十分に確保することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記凸部は、プレス加工により形成されたものであることをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記凸部は、前記プレス加工時に前記胴部内面における周囲の金属素材を寄せ集めることで形成されたものであることをその要旨とする。
前記プレス加工時において、開口部よりも胴部を薄く形成するため、胴部内面における金属素材が余る。従って、請求項3に記載の発明のように、プレス加工時に胴部内面における周囲の金属素材を寄せ集めることにより、凸部を確実に形成することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2において、前記凸部は、缶内面の全周にわたって形成された高さ0.01mm以上0.1mm以下の環状突条であることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、凸部は、缶内面の全周にわたって環状突条に形成されているため、缶内面の複数個所に凸部を突設する場合と比較して容易に形成することができる。また、凸部の高さは、0.01mm以上0.1mm以下であり、アルカリ電池用集電体を支持するための適度な高さとなっている。すなわち、凸部は、0.01mmよりも低いと、アルカリ電池用集電体を支持することができず、組み付け時に電池内にその集電体が落下する確率が高まる。また、凸部が0.1mmよりも高いと、プレス加工によってその凸部を形成することが困難となる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の正極缶を用いて構成されたアルカリ電池をその要旨とする。
請求項5に記載の発明によれば、正極缶内に充填される反応物質を増量することができ、電池の放電性能を高めることができる。
以上詳述したように、請求項1〜4に記載の発明によると、反応物質を充填可能な有効内容積を十分に確保することができるアルカリ電池用正極缶を提供することができる。また、請求項5に記載の発明によると、正極缶内に充填される反応物質を増量することにより、放電性能を高めることができるアルカリ電池を提供することができる。
以下、本発明を筒型アルカリ電池に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態における筒型アルカリ電池の概略構成を示す断面図である。
図1に示されるように、筒型アルカリ電池10は、有底筒状の正極缶11(アルカリ電池用正極缶)と、その正極缶11内に収納される中空円筒状の正極合剤12と、正極合剤12の内側に挿入される筒状のセパレータ13と、セパレータ13の中空部に充填されるゲル状の負極合剤14と、正極缶11の開口部に装着される集電体16(アルカリ電池用集電体)とを備える。
正極合剤12は、電解二酸化マンガン、黒鉛、水酸化カリウム、及びバインダーを混合した正極合剤粉を整粒した後、円筒状にプレス成形することで作製される。
セパレータ13は、ビニロン・レーヨン不織布やポリオレフィン・レーヨン不織布などのセパレータ原紙を円筒状に巻回し、重なり合う部分を熱融着させることで作製される。
負極合剤14は、水と酸化亜鉛と水酸化カリウムとを混ぜて溶解し、ポリアクリル酸などのゲル化剤と亜鉛粉とを混合することで作製される。
集電体16は、負極端子板21、集電子22、リング23及び封口ガスケット24を含んで構成されている。具体的には、集電体16は、真鍮からなる棒状の集電子22(集電棒)をその頭部で負極端子板21に抵抗溶接するとともに、集電子22の首部に封口ガスケット24を嵌着することで形成されている。負極端子板21は、正極缶11と同じくニッケルメッキ鋼板をプレス成形することで作製される。この集電体16における集電子22の下端側が負極合剤14に挿入されている。リング23はニッケルメッキ鋼板を打ち抜くことで作製される。また、正極缶11において、封口ガスケット24と接触する上端部内周面にはシール剤25が塗布されており、その接触部のシール性が確保されている。
図2に示されるように、本実施の形態における正極缶11は、開口部31、胴部32及び底部33を有する筒状のプレス加工品であり、ニッケルメッキ鋼板を有底筒状にプレス成形することで作製される。正極缶11は、開口部31の内径D1よりも胴部32の内径D2のほうが小さく、開口部31の板厚T1(例えば、0.3mm)よりも胴部32の板厚T2(例えば、0.25mm)のほうが薄く形成されている。この正極缶11の開口部31において、胴部32との境界部分には、その胴部32側(図2では下側)ほど縮径するよう傾斜面34が形成されている。また、正極缶11の底部中央には、正極端子35が突設されている。
さらに、正極缶11において、胴部32の内面かつ開口部31に隣接した位置(図2では胴部32の上端となる位置)には、集電体16を支持可能な凸部40が一体的に突設形成されている。本実施の形態の凸部40は、缶内面の全周にわたって形成された高さ0.03mm程度、幅0.1mm程度の環状突条である。より詳しくは、正極缶11は、複数種類の金型を用いて複数回のプレス加工を行うことにより、円板状の鋼板を比較的に太く短い円筒形状に成形した後、徐々に細長くする加工を段階的に行うことで製造されている。このプレス加工時に胴部32内面における周囲の金属素材を寄せ集めることで環状突条の凸部40が形成されている。この凸部40は、集電体16を載置するための台座として機能する。
次に、本実施の形態における筒型アルカリ電池10の製造方法を説明する。
まず、あらかじめ中空円筒状に成形された正極合剤12を有底円筒状の正極缶11内に圧入する。その後、正極缶11において開口部31の内周面にシール剤25を塗布する。
さらに、正極合剤12の中空部に中空円筒状のセパレータ13を挿入するとともに、セパレータ13の円筒内部に電解液を注入してセパレータ13と正極合剤12に電解液を浸潤させた後、セパレータ13の円筒内部にゲル状の負極合剤14を充填する。
その後、負極端子板21、集電子22、リング23及び封口ガスケット24を含んで構成された集電体16を台座である凸部40上に載置して位置決めする。その状態で正極缶11の開口部31にカール及び絞り加工を施して封口する。以上の工程を経て本実施の形態の筒型アルカリ電池10が完成する。
上記のように製造した筒型アルカリ電池10において、正極合剤12や負極合剤14などの反応物質を充填可能な正極缶11の有効内容積を従来例のアルカリ電池50(図3参照)と比較した。その比較結果を表1に示している。
Figure 2009181754
従来例のアルカリ電池50では、ビーディング加工時の正極缶51の変形による正極合剤52へのダメージを回避するために、ビード部65から十分離れたところに正極合剤52を配置せざるを得ない。これに対して、本実施の形態のアルカリ電池10(実施例)では、缶変形による体積ロスがなく、凸部40の直下の位置に正極合剤52を配置することができる。また、ビード部65の幅は1mm程度であるのに対し、凸部40の幅は0.1mm程度と短い。この結果、本実施の形態のアルカリ電池10では、有効内容積が44.6ccとなり、従来例のアルカリ電池50の有効内容積(42.8cc)よりも4%増すことができた。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態の正極缶11は、胴部32の内径D2よりも開口部31の内径D1が大きいので、開口部31から胴部32内に正極合剤12を容易に充填することができる。また、正極缶11は、開口部31の板厚T1よりも胴部32の板厚T2のほうが薄いため、反応物質を充填可能な有効内容積を増やすことができる。さらに、胴部32の内面かつ開口部31に隣接した位置に凸部40が一体的に突設形成されているので、従来技術のようにビーディング加工を行わなくても、集電体16を支持することができる。従って、正極缶11のカール及び絞り加工を行う工程で集電体16が落下して組立不良が発生するといった問題を回避することができる。また、ビーディング加工を行わないことから、その加工時の形状変化によるロスがなく、有効内容積を十分に確保することができる。
(2)本実施の形態の正極缶11は、開口部31よりも胴部32を薄く形成している。この場合、プレス加工時において、胴部32内面における金属素材が余るため、その金属素材を寄せ集めることにより、凸部40を確実に形成することができる。
(3)本実施の形態の正極缶11における凸部40は、缶内面の全周にわたって環状突条に形成されているため、缶内面の複数個所に凸部を突設する場合と比較して容易に形成することができる。
(4)本実施の形態のアルカリ電池10では、正極缶11内に充填される反応物質を増量することができ、電池10の放電性能を高めることができる。
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、凸部40は、正極缶11の内面の全周にわたって環状突条に形成されていたがこれに限定されるものではない。例えば、正極缶11の内面における複数個所に突起状の凸部を設けてもよい。
・上記実施の形態では、LR20タイプ(単1形)のアルカリ電池10に具体化したが、LR14タイプ(単2形)やLR6タイプ(単3形)等のアルカリ電池に具体化してもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項4において、前記凸部の幅は、0.2mm以下であることを特徴とするアルカリ電池用正極缶。
本発明を具体化した一実施の形態のアルカリ電池を示す断面図。 正極缶を示す断面図。 従来のアルカリ電池を示す断面図。
符号の説明
10…アルカリ電池
11…アルカリ電池用正極缶としての正極缶
16…アルカリ電池用集電体としての集電体
31…開口部
32…胴部
33…底部
40…凸部
D1…開口部の内径
D2…胴部の内径
T1…開口部の板厚
T2…胴部の板厚

Claims (5)

  1. 開口部、胴部及び底部を有する筒状のプレス加工品であり、前記開口部の内径よりも前記胴部の内径のほうが小さく、前記開口部の板厚よりも前記胴部の板厚のほうが薄いアルカリ電池用正極缶であって、前記胴部の内面かつ前記開口部に隣接した位置に、前記開口部を封口するためのアルカリ電池用集電体を支持可能な凸部を一体的に突設形成したことを特徴とするアルカリ電池用正極缶。
  2. 前記凸部は、プレス加工により形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ電池用正極缶。
  3. 前記凸部は、前記プレス加工時に前記胴部内面における周囲の金属素材を寄せ集めることで形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載のアルカリ電池用正極缶。
  4. 前記凸部は、缶内面の全周にわたって形成された高さ0.01mm以上0.1mm以下の環状突条であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ電池用正極缶。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の正極缶を用いて構成されたアルカリ電池。
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