JP2009180319A - 旋回リング - Google Patents

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Abstract

【課題】
旋回直径の大きな構造を容易に且つ低コストで生産することが可能な旋回リングを提供することにある。
【解決手段】
多数の転動体2と、内周面の周方向に沿って前記転動体2の転走面11を有するアウターリング1と、前記転動体2を介してこのアウターリング1の半径方向内側に組付けられたインナーリング3とを含み、前記インナーリング3は、前記アウターリング1の転走面11と対向する転動体2の負荷転走面31を周方向に不連続的に有すると共に、前記負荷転走面31を転走する転動体2の無限循環路32を有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固定構造物に対する可動構造物の旋回運動を可能とする旋回リングに関する。
例えば、風力発電装置においては、風車及びこの風車により回転駆動される発電機を収容したナセルがタワー上部に搭載されており、このナセルは風車が正面から風力を受けるよう、風向きに応じてタワーに対してヨー旋回(略水平面上の旋回)するように構成されている。
そして、前記ナセルをタワーに対してヨー旋回させる構造としては、複数のボール又はローラを介してインナーリングとアウターリングとを組み合わせた旋回軸受が使用されており、インナーリング又はアウターリングの一方がタワーに、他方がナセルに固定されるようになっている(特開2007−107411)。
一方、パワーショベルやクレーンなどの建設機械においても、下部構造体であるトラックフレームに対して運転席やカウンタウェイトを備えた上部フレームが旋回可能に搭載されており、かかる旋回構造として前記旋回軸受が使用されている(特開2005−61574)。
前記旋回軸受は、内周面に沿って転動体の転走面が形成されたアウターリングと、アウターリング側の転走面に対向する転走面が外周面に形成されたインナーリングと、これらアウターリングとインナーリングとの間で荷重を受けながら転走する多数の転動体とから構成されている。転動体としてはボール又はローラのいずれを使用することも可能であるが、ボールではなくローラを使用する場合には、荷重によってインナーリングとアウターリングが分離することのないよう、1条の転走面に対してローラをクロスローラ構造で配置するか、あるいは転走面を複列とし、各転走面でローラの傾斜方向を異ならせる必要がある。
特開2007−107411 特開2005−61574
近年、前記風力発電装置は定格出力の増強を図るための大型化が進行しており、それに伴って風車直径が増大し、ナセルが大型化する傾向にある。このため、前記旋回構造に使用される旋回軸受も大径化が著しく、直径4m以上の巨大な旋回軸受が必要とされるケースも発生している。
しかし、そのような巨大な旋回軸受のインナーリング及びアウターリングの生産には特殊な設備が必要であり、また、生産に適した大径の鋼材を調達しなければならないことから、生産コストが嵩むといった問題があった。更に、製品が大径化するほど鋼材の入手が困難となり、また、製品コストにおける素材費の割合が高くなることから、この点においても生産コストが嵩むものとなっていた。加えて、近年は地球温暖化問題との関係から、風力発電等の自然エネルギか注目されており、風力発電装置に対する需要が増大化する傾向にあるが、前述した大径の旋回軸受は短期間で大量に生産することはできず、需要に対して供給が追いつかないといった課題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、旋回直径の大きな構造を容易に且つ低コストで生産することが可能な旋回リングを提供することにある。
すなわち、本発明の旋回リングは、内周面の周方向に沿って転動体の転走面を有するアウターリングと、多数の転動体を介してこのアウターリングの内側に組付けられたインナーリングとから構成され、前記インナーリングは、前記アウターリングの転走面と対向する転動体の負荷転走面を周方向に間隔をおいて部分的に有すると共に、各負荷転走面を転走する転動体の無限循環路を有している。
このような本発明の旋回リングでは、インナーリングの外周面には部分的に転動体の負荷転走面が形成され、転動体はアウターリングの転走面とインナーリングの負荷転走面とが対向している領域でのみこれら両者の間に作用する荷重を負荷している。また、インナーリングは各負荷転走面を転走する転動体の無限循環路を有していることから、負荷転走面がインナーリングの外周面に対して部分的に形成されていても、かかるインナーリングをアウターリングに対して無制限に回転させることができる。
このような構成によれば、前記負荷転走面をインナーリングの周方向のどの位置に形成し、その周方向長さをどの程度に設定するかは、アウターリングの直径や必要とする負荷荷重に応じて任意に決定することができる。すなわち、従来の旋回軸受のようにインナーリングの外周面の全域に転動体の転走面を形成する必要はなく、その分だけインナーリングに対する無駄な加工作業を減じ、結果として使用用途に対して充分な性能を有する旋回リングを安価に提供することが可能となる。
本発明の旋回リングにおいて、前記転動体としてはボール又はローラのいずれを使用しても差し支えない。また、アウターリングに形成する転動体の転走面の条数はこの旋回リングに要求される荷重負荷能力に応じて適宜設計変更して差し支えない。
以下、添付図面を用いて本発明の旋回リングの実施の形態を詳細に説明する。
図1及び図2は本発明を適用した旋回リングの実施の形態を示すものである。この旋回リングは、円環状のアウターリング1と、多数のボール2を介してこのアウターリング1の内側に組付けられたインナーリング3とから構成されており、前記インナーリング3がアウターリング1の周方向へ自由に移動することが可能となっている。従って、インナーリング3に固定された第一の構造物をアウターリング1に固定された第二の構造物に対して自在に旋回させ、あるいはその逆に、アウターリング1に固定された第二の構造物をインナーリング3に固定された第一の構造物に対して自在に旋回させ得るようになっている。
また、前記アウターリング1の外周面には周方向に沿って歯列10が設けられており、この歯列に噛み合うピニオンギヤ及び当該ピニオンギヤを回転駆動するモータをインナーリング3側の第一の構造物に搭載することで、かかる構造物をアウターリング1側の第二の構造物に対して任意に旋回させることが可能となっている。
アウターリング1の内周面にはボール2の転走面11が周方向に沿って形成されている。アウターリング1に形成する転走面11の条数は必要とする荷重の負荷能力に応じて適宜選択することが可能であるが、図1に示す実施の形態では2条の転走面11が互いに平行に形成されている。これらの転走面11の長手方向に垂直な断面はゴシックアーチ溝形状に形成されているが、かかる転走面の断面形状はこれに限らず、必要とする荷重負荷能力及び荷重作用方向に応じ、適宜変更して差し支えない。尚、図1は前記インナーリング3の一部を切り欠いて描いてある。
また、前記アウターリング1には、軸方向に沿って設けられたタップ孔が周方向に沿って複数配列されており、これらタップ孔を利用して固定ボルトを締結することで、アウターリング1を前記第二の構造物に固定することができるようになっている。
一方、前記インナーリング3の外周面には前記アウターリング1の転走面11と対向する負荷転走面31が周方向に沿って形成されており、ボール2はアウターリング1の転走面11とインナーリング3の負荷転走面31との間で、これらアウターリング1又はインナーリング3に作用する荷重を受けながら転動する。但し、この負荷転走面31はインナーリング3の周方向に沿って連続的に形成されているのではなく、周方向に間隔をおいて部分的に形成されている。すなわち、インナーリング3の外周面には複数の負荷転走面31が不連続な状態で形成されており、前記負荷転走面は円弧状をなして両端を有するものとなっている。また、前記負荷転走面31がインナーリング3の周方向に沿って不連続で形成されているにもかかわらず、かかるインナーリング3がアウターリング1に対して制限なく回転することができるよう、インナーリング3には各負荷転走面31を転走し終えたボール2を再び負荷転走面31の始まりの位置の戻すための無限循環路32が具備されている。
図2はインナーリング3に具備されたボール2の無限循環路32を示す断面図である。前記インナーリング3の外周面にはアウターリング1の転走面11と対向する負荷転走面31が部分的に形成されており、これら転走面11と負荷転走面31とが対向することによってボール2の負荷通路が形成されている。ボール2は前記負荷通路においてアウターリング1の転走面11とインナーリング3の負荷転走面31との双方に接し、荷重を受けながら当該負荷通路を転走する。
インナーリング3には各負荷転走面31の両端に対応してプレート挿入孔33が設けられており、各プレート挿入孔33にはボール2の方向転換路34を備えた循環部材35が装着されるようになっている。また、各循環部材35はインナーリング3の内周面から内側に突出しており、前記負荷転走面31の両側に位置する一対の循環部材35の間にはボール戻し通路36を構成する連絡通路部材37が装着されている。ボール2は前記ボール戻し通路36内を無負荷状態で転走する。この連絡通路部材36は一対の循環部材35の間に挟まれるようにしてインナーリング3の半径方向内側に組付けられている。
前記循環部材35に形成された方向転換路34はボール2の進行方向を約180度変更させるべく略半円状に形成されており、前記負荷通路と前記連絡通路部材37のボール戻し通路36とを連結している。また、前記循環部材はインナーリングの負荷転走面よりもアウターリングの転走面に向けて突出しており、アウターリングの転走面を転走してきたボールを当該転走面から離脱させ、前記方向転換路に導くように構成されている。このため、アウターリング1とインナーリング3との間に存在する負荷通路を転走し終えたボール2は、一方の循環部材35の方向転換路34に進入し、この方向転換路34で転走方向を転換させた後に前記ボール戻し通路36に進入する。そして、ボール戻し通路36を転走したボール2は他方の循環部材35の方向転換路34に進入し、ここで再び転走方向を転換させた後に前記負荷通路に戻される。これにより、インナーリング3にボール2の無限循環路32が具備されるようになっている。
また、前記インナーリング3にはタップ孔38が形成されており、このタップ孔38に螺合する固定ボルトを締結することによって構造物をインナーリング3に固定することができるようになっている。
そして、以上のように構成された旋回リングでは、アウターリング1の周方向へインナーリング3を移動させると、かかるインナーリング3の無限循環路32に配列されたボール2はアウターリング1の転走面11とインナーリング3の負荷転走面31との間で荷重を受けながら該無限循環路32内を循環し、それによってインナーリング3をアウターリング1の周方向へ軽い力で移動させることが可能である。
従って、例えば、アウターリング1を第一の構造物に固定し、前記インナーリング3を第二の構造物に固定することで、第一の構造物に対する旋回運動を第二の構造物に与えることが可能となる。
また、この旋回リングでは前記無限循環路32に配列するボール2の直径を適宜選択することにより、かかるボール2に対して予圧を与えることが可能であり、予圧の程度をこの旋回リングの使用用途に応じて適宜設定することにより、アウターリング1に対するインナーリング3のガタつきを排除し、両者の間における機械的剛性を高めることが可能となる。
図1に示す例では、前記アウターリング1は円環状に形成されているが、これを周方向に沿って複数に分割しても差し支えない。すなわち、複数の円弧状レールを繋ぎ合わせることによってアウターリング1を構成することが可能である。アウターリング1が大型化する場合には、当該旋回リングの製作前においては鋼材の入手が困難となり、製作後においては使用場所への搬送が困難となるので、このように複数の円弧状レールを組み合わせてアウターリング1を製作することにより、生産コスト及び搬送コストの低減化を図ることが可能となる。
尚、以上説明してきた実施の形態では転動体としてボールを使用した例を説明してきたが、本発明の旋回リングは転動体としてローラを使用することも可能である。
本発明の旋回リングの実施の形態を示す斜視図である。 インナーリングに具備されたボールの無限循環路の詳細を示す断面図である。
符号の説明
1…アウターリング、2…ボール(転動体)、3…インナーリング、11…転走面、31…負荷転走面、32…無限循環路、35…循環部材、37…連絡通路部材

Claims (2)

  1. 多数の転動体と、内周面の周方向に沿って前記転動体の転走面を有するアウターリングと、前記転動体を介してこのアウターリングの半径方向内側に組付けられたインナーリングとを含み、
    前記インナーリングは、前記アウターリングの転走面と対向する転動体の負荷転走面を周方向に不連続的に有すると共に、前記負荷転走面を転走する転動体の無限循環路を有することを特徴とする旋回リング。
  2. 前記無限循環路は、前記負荷転走面の両端に対応して前記インナーリングに装着されると共に、前記アウターリングの転走面から転動体を離脱させてインナーリングの内周面側へ導く一対の循環部材と、前記インナーリングの半径方向内側に組付けられると共に一方の循環部材から他方の循環部材へ転動体を無負荷状態で転走させる連絡通路部材とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の旋回リング。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103256311A (zh) * 2013-04-26 2013-08-21 洛阳轴承研究所有限公司 一种内圈具有v型带槽的转盘轴承

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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