JP2009178669A - エアフィルター用濾材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 環境上問題がある臭素系難燃剤を使用することなく、かつ難燃性に優れたエアフィルター用濾材を提供する。
【解決手段】 本発明のエアフィルター用濾材は、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維とを含み、前記リン系難燃剤の含有量が全体の12〜20質量%であり、かつ前記リン系難燃剤と前記溶融紡糸繊維との質量比(リン系難燃剤:溶融紡糸繊維)が90:10〜34:66である。
【選択図】なし
【解決手段】 本発明のエアフィルター用濾材は、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維とを含み、前記リン系難燃剤の含有量が全体の12〜20質量%であり、かつ前記リン系難燃剤と前記溶融紡糸繊維との質量比(リン系難燃剤:溶融紡糸繊維)が90:10〜34:66である。
【選択図】なし
Description
本発明は、エアフィルター用途、特にキャビンフィルター用途に好適に使用される濾材に関する。
難燃剤として、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤・リン系難燃剤・無機系難燃剤が良く知られている。従来、一般に使用される難燃性濾材には、難燃性を発現できる、経済的な難燃剤として臭素系難燃剤が使用されてきた。ところが、近年になり臭素系および塩素系化合物は、焼却等によりダイオキシンなどの有害物質が発生することが知られてきた。このため、これらの化合物を使用禁止にする方向で世界的に進んできている。例えば、欧州における電気・電子機器ではRoHS指令によりPBDE(ポリブロモジフェニルエーテル)等の一部の臭素系難燃剤が使用禁止になった。
また、自動車用途でも臭素や塩素の使用を禁止する動きがある。自動車用途に関しては内装製品の難燃性規格として米国連邦自動車安全規格であるFMVSS 302「内装材料の可燃性」がある。臭素系、塩素系難燃剤以外の難燃剤を用いて、この評価方法で自消性を満足させるのは容易ではない。そのため、新規難燃濾材の開発が強く望まれている。
新規難燃濾材に、リン系や無機系の難燃剤を用いることが種々検討されている。しかし、リン系や無機系の難燃剤は、塩素系や臭素系の難燃剤に比べて、単位付着重量当たりの難燃効果が低い。このため、実用レベルまで達していないのが実状である。例えば、特許文献1や特許文献2には、リン系難燃剤を使用する難燃性フィルターが記載されている。
しかし、充分な難燃性を付与するために必要な量のリン系難燃剤を使用すると、フィルターの圧力損失上昇を引き起こすという問題がある。一方、所望の圧力損失を達成するためには、難燃剤の使用量を抑制する必要があり充分な難燃性が得られない。例えば、特許文献1の実施例では濾材全重量の22質量%がリン系難燃剤である。また、リン系難燃剤などを含めた繊維以外の樹脂成分が濾材全質量の68%も占めており、キャビンフィルターのようなダスト保持性が必要な用途には向かない。
さらに、特許文献1で使用している難燃剤であるリン酸グアニジンは、水溶性である。このため、洗車時や雨天走行時に水がかかる恐れのある用途に適していないなど実用的ではない。
特許文献2の実施例においても、濾材全重量の28質量%がリン系難燃剤である。また、リン系難燃剤などを含めた繊維以外の樹脂成分が濾材全質量の40%も占めている。このため、キャビンフィルターのようなダスト保持性が必要な用途には向かない。
特開2000−288321号公報
特開2000−126523号公報
そこで、本発明では、上記課題を解決し、環境上問題がある臭素系難燃剤を使用することなく、かつ難燃性に優れたエアフィルター用濾材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維の割合を規定することで、濾材内のリン系難燃剤の使用量を抑制しても難燃性が十分に達成でき、低圧損な難燃濾材の発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維とを含み、前記リン系難燃剤の含有量が全体の12〜20質量%であり、かつ前記リン系難燃剤と前記溶融紡糸繊維との質量比(リン系難燃剤:溶融紡糸繊維)が90:10〜34:66である、エアフィルター用濾材である。
本発明でいう溶融紡糸繊維とは、溶融紡糸法により製造された繊維を指す。溶融紡糸法とは、熱を加えて原料ポリマーを溶かし、そのまま小さい孔から押し出し引っ張って空気で冷やして、ポリマーを繊維にする方法である。
本発明のエアフィルター用濾材は、リン系難燃剤を用いる。このため、臭素系難燃剤を用いなくてもよい。また、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維とを所定の質量比で含む。これにより、リン系難燃剤の含有量が少なくとも、FMVSS 302の自消性を有し、フィルター材として充分な難燃性を有するエアフィルター用濾材を提供することができる。さらに、リン系難燃剤の含有量が少ないので、圧力損失の小さいエアフィルター用濾材を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明のエアフィルター用濾材は、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維とを所定の質量比で含むことが重要である。
本発明のエアフィルター用濾材は、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維とを所定の質量比で含むことが重要である。
この構成とすることにより、リン系難燃剤の量を全濾材重量の12質量%〜20質量%に押さえてもFMVSS 302の自消性を有し、フィルター材として充分な難燃性を有し、圧力損失の低い難燃濾材を提供することができる。
リン系難燃剤率が少ないにも関わらず本発明が難燃性を発現メカニズムは、以下のように推測される。
燃焼には次の3要素((1)可燃性物質、(2)酸素、(3)火源)が必要である。このうちどの一つが欠けても燃焼は起こらない。難燃剤は、上記3要素のいずれか一つもしくは二つ以上を阻害する働きで難燃性を発現させる。
リン系難燃剤は、他の成分の炭化を促進することでチャーと呼ばれる炭化物断熱層を形成する。これにより、可燃性物質と火源を遠ざけることにより難燃性を発揮させる。
濾材の中に溶融紡糸繊維があるとリン系難燃剤がチャーの形成をする前に燃焼により溶融紡糸繊維が溶融する。これにより、火源が可燃性物質と接触し燃焼を引き起こすと考えられる。
したがって、リン系難燃剤がチャーの形成をするために十分な量のリン系難燃剤と、圧力損失を低くするための溶融紡糸繊維との質量比(リン系難燃剤:溶融紡糸繊維)が重要となる。本発明では、この質量比(リン系難燃剤:溶融紡糸繊維)を、90:10〜34:66とすることで、エアフィルター用濾材として機能することを見出した。
リン系難燃剤と溶融紡糸繊維との質量比を、90:10以上とすることで、レーヨン、ビニロンまたは天然繊維などの溶融紡糸繊維以外の親水性繊維の量を減らすことができる。同時に、濾材自体に耐水性を生じさせることができる。また、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維との質量比を、50:50以上とすると、濾材の耐水性がさらに高まるので、好ましい。一方、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維との質量比を、34:66以下とすることで、溶融紡糸繊維に対するリン系難燃剤の量が十分に確保されるので、チャー形成が行われ難燃性が達成できる。
リン系難燃剤は、全濾材重量の12質量%〜20質量%であればよい。リン系難燃剤の含有量が、全濾材重量の12質量%以上であれば、難燃性を達成できる。また、リン系難燃剤の含有量が、全濾材重量の20質量%以下であれば、濾材中の繊維量を十分に確保できる。この結果、濾材の圧力損失の上昇を防ぐことができ、ダスト保持性が向上する。
本発明で使用するリン系難燃剤としては、水溶性、水不溶性リン系難燃剤である、公知のリン系難燃剤が使用できる。例えば、リン酸エステル類、ポリリン酸塩類、リン酸グアニジン、リン酸メラミンなどが挙げられる。これらのリン系難燃剤は、単独で、あるいは2種以上を混合して使用すればよい。
上記のリン系難燃剤の中で、特に好ましくは、リン酸メラミンなどの水不溶性リン系難燃剤である。水不溶性リン系難燃剤は、キャビンフィルターのような水がかかる環境下で使用される場合においても難燃剤が溶出しないので、実用的である。
溶融紡糸繊維としては、ナイロン繊維やポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維などを用いることができる。特に、ポリエステル繊維は熱に強く、熱セット性が高いので、プリーツ加工がしやすく、コストも安価であるためエアフィルター用途に適している。
本発明のエアフィルター用濾材には、上記リン系難燃剤、溶融紡糸繊維以外に、繊維や積層不織布を接着するためのバインダーや、例えばパルプなどの天然繊維やビニロンのような湿式紡糸繊維などの溶融紡糸繊維以外の繊維が含まれていてもよい。
また、本発明のエアフィルター用濾材には、フッ素系高分子化合物を含有させてもよい。フッ素は、ハロゲンではあるため非ハロゲンのエアフィルター用濾材ではなくなる。フッ素は、フロンなど一部の化学物質を除き、臭素や塩素に比べ燃焼時にダイオキシンなどの有害物質を発生するわけではないので環境影響が少ない。特に、フッ素系の高分子化合物は、少量でも撥水性など様々な機能を発現させることができるので好ましい。
例えば濾材の繊維を接着させるバインダーにフッ素基を導入すると、バインダーがフッ素系高分子化合物となるので、濾材に撥水性を持たせることができる。特に、キャビンフィルターのような水がかかる場所で使用される場合は有用である。
また、例え水に不溶性のリン酸メラミンを使用したエアフィルター用濾材を、水に浸積させるとその難燃性が若干低下する。このメカニズムは定かでないが、濾材の撥水性を高めることは濾材への水の進入を防ぐために重要である。特に、キャビンフィルターのような水がかかる恐れがある場所で用いられる場合、非常に有用である。
本発明で採用する溶融紡糸繊維および溶融紡糸繊維以外の繊維の繊維径としては、濾材を使用する用途において目標とする通気性や集塵性能に応じて選択すればよい。好ましくは1〜1000μm、より好ましくは5〜100μmである。1μm以上とすることで圧力損失の上昇を防ぐことができる。また1000μm以下とすることで、繊維同士を緻密に交絡させることが出来、捕集効率を向上させることが出来る。
本発明のエアフィルター用濾材の形態は、織布、不織布、フィルム割線、ネットまたは紙などであってもよい。濾材自体がダストを保持し、濾材自体にプリーツ加工性を持たせるために不織布の形態が望ましい。不織布としては、湿式不織布やレジンボンド式乾式不織布、サーマルボンド式乾式不織布、スパンボンド式乾式不織布、ニードルパンチ式乾式不織布、ウォータジェットパンチ式乾式不織布、メルトブロー式乾式不織布またはフラッシュ紡糸式乾式不織布等などのような不織布であればよい。目付や厚みが均一にできることから抄紙法による湿式不織布がより好ましい。
また、湿式不織布の製造方法としては、湿式抄紙法が好ましい。この方法によれば捲縮繊維を使わないため、濾材の剛性を高くすることができる。すなわち、繊維長が数ミリ〜10ミリと短い非捲縮短繊維を抄紙して得られる湿式の抄紙法不織布は、繊維集積が平面的である。このため、1本1本の単繊維の配向性が1次元的でありルーズ性のない状態である。この繊維集積体の単繊維間を固定した濾材は、外力が加わった時に、ルーズ性に伴う伸びが少ない。この結果、外力が加わった時すぐに単糸物性に応じた引っ張り抵抗力が発生し易く、濾材の剛性が高くなると考えられる。
湿式抄紙法には、丸編み方式と傾斜ワイヤー方式とがある。傾斜ワイヤー方式は、繊維を分散した水を網で漉いて繊維を網面に集積させた後、バインダー液を含浸して乾燥する。このため、漉ける繊維長に幅があり繊維長が10mmを越える長い短繊維であっても抄紙できる。従って、傾斜ワイヤー方式を用いるのがより、好ましい。
また、湿式抄紙法は、繊維特性が異なる複数の繊維群を任意に混合して不織布を製造することができるという点でも好ましい方法である。
本発明のエアフィルター用濾材は、単独で用いることもできるが、他の濾材を積層して用いてもよい。例えば、本発明のエアフィルター用濾材を直行流型フィルターとしての使用する場合に、下流側に極細繊維からなる不織布シートを積層すればよい。このような構成とすることで、高捕集効率化が可能となる。
さらにこの極細繊維からなる不織布シートが、エレクトレット処理されていればなお好ましい。エレクトレット処理がされていることにより、通常では除去しにくいサブミクロンサイズやナノサイズの微細塵を静電気力により捕集することができる。
本発明のエアフィルター用濾材を使用したエアフィルターの形状としては、そのまま平面状で使用してもよいが、プリ−ツ型やハニカム型を採用すると好ましい。プリーツ型は直行流型フィルターとしての使用において、またハニカム型は平行流型フィルターとしての使用において、処理エアの接触面積を大きくして捕集効率を向上させるとともに、低圧損化を同時に図ることができる。
本発明のエアフィルター用濾材は、目付が10〜500g/m2であれば好ましく、30〜200g/m2であればより好ましい。濾材の目付を10g/m2以上とすることで、エアを通気させた際にフィルター構造を維持するのに必要な剛性が得られる。また目付を500g/m2以下とすることで、濾材厚みを低減でき、プリーツ形状やハニカム形状に二次加工する際の取り扱い性の面でも好ましい。
本発明のエアフィルター用濾材の厚さは、使用する目的に応じて適宜変更できるが、好ましくは0.3mm以上0.8mm以下である。0.3mm以上とすることでダストを保持できる空隙が十分に確保され、0.8mm以下とすることによってプリーツフィルター状で使用したときにフィルターの圧力損失の上昇を押さえることができる。
本発明のエアフィルター用濾材は、FMVSS 302の自消性を有する。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
本実施例における目付、圧力損失、難燃性、水負荷試験、撥水性の測定は、以下に記載の方法を用いる。測定装置は、以下の測定方法と同等の結果が得られるものであれば、他の装置を用いてもよい。
本実施例における目付、圧力損失、難燃性、水負荷試験、撥水性の測定は、以下に記載の方法を用いる。測定装置は、以下の測定方法と同等の結果が得られるものであれば、他の装置を用いてもよい。
(1)目付
24℃60%RHの室温に8時間以上放置して、評価試料(不織布、耐電加工不織布または濾材)の質量を求め、その面積から1m2当たりの質量に直して、それぞれの評価試料の目付として求める。サンプルング最小面積は0.01m2以上とする。
24℃60%RHの室温に8時間以上放置して、評価試料(不織布、耐電加工不織布または濾材)の質量を求め、その面積から1m2当たりの質量に直して、それぞれの評価試料の目付として求める。サンプルング最小面積は0.01m2以上とする。
(2)圧力損失
平板状の繊維シートを実験用のダクトに取り付け、ダクトに温度23℃、湿度50%RHの空気を0.3m/secの速度で送風した。その際の繊維シートの上流側と下流側との差圧をMODUS社製デジタルマノメータMA2−04Pにて測定した。
平板状の繊維シートを実験用のダクトに取り付け、ダクトに温度23℃、湿度50%RHの空気を0.3m/secの速度で送風した。その際の繊維シートの上流側と下流側との差圧をMODUS社製デジタルマノメータMA2−04Pにて測定した。
(3)難燃性
FMVSS 302法に準じて濾材の両面から実施し、濾材が両面とも全焼する前に消火した場合は「自消性」、濾材各面どちら側かでも全焼した場合は「全焼」とした。
FMVSS 302法に準じて濾材の両面から実施し、濾材が両面とも全焼する前に消火した場合は「自消性」、濾材各面どちら側かでも全焼した場合は「全焼」とした。
(4)水負荷試験
濾材を十分な水に10分間浸積させた後、風乾させる。濾材が浮いてくる場合は重石などをのせて水中に浸るようにして行うこととする。この水負荷試験を行った濾材について、上記難燃性の試験を行った。
濾材を十分な水に10分間浸積させた後、風乾させる。濾材が浮いてくる場合は重石などをのせて水中に浸るようにして行うこととする。この水負荷試験を行った濾材について、上記難燃性の試験を行った。
(5)撥水性
濾材の両面にスポイトで1滴水を垂らし、両面ともに水滴が濾材上にできたものは「撥水性」、濾材各面どちら側かでもスポイトで垂らした水がすぐに浸積してしまったものは「撥水性なし」とした。
濾材の両面にスポイトで1滴水を垂らし、両面ともに水滴が濾材上にできたものは「撥水性」、濾材各面どちら側かでもスポイトで垂らした水がすぐに浸積してしまったものは「撥水性なし」とした。
[実施例1]
傾斜ワイヤー方式の湿式抄紙方法により、リン酸メラミン10.4g/m2、ポリエステル繊維6.3g/m2、パルプ5.6g/m2、ビニロン繊維20.8g/m2、スチレンアクリル樹脂7.8g/m2、四フッ化エチレン樹脂(PTFE樹脂)1.0g/m2から構成された目付52g/m2、厚み0.45mmの不織布を作製した。
傾斜ワイヤー方式の湿式抄紙方法により、リン酸メラミン10.4g/m2、ポリエステル繊維6.3g/m2、パルプ5.6g/m2、ビニロン繊維20.8g/m2、スチレンアクリル樹脂7.8g/m2、四フッ化エチレン樹脂(PTFE樹脂)1.0g/m2から構成された目付52g/m2、厚み0.45mmの不織布を作製した。
この不織布とポリプロピレン繊維を用いた帯電メルトブロー不織布12g/m2(平均繊維径6.0μm、厚み0.12mm)を低融点パウダー3.0g/m2で接着積層して、エアフィルター用濾材を作成した。
このエアフィルター用濾材の目付は、67g/m2、厚みは0.62mm、圧損は9.0Paであった。
上記エアフィルター用濾材のリン系難燃剤と溶融紡糸繊維の質量比は、36/64であり、リン系難燃剤は全濾材重量の15.5質量%である。
(難燃性)
濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
[実施例2]
低融点パウダー量を9.0g/m2にした以外は、実施例1と同様にエアフィルター用濾材を作成した。
低融点パウダー量を9.0g/m2にした以外は、実施例1と同様にエアフィルター用濾材を作成した。
このエアフィルター用濾材の目付は、73g/m2、厚みは0.62mm、圧損は9.1Paであった。
上記エアフィルター用濾材のリン系難燃剤と溶融紡糸繊維の質量比は、36/64であり、リン系難燃剤は全濾材重量の14.3質量%である。
(難燃性)
濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
[実施例3]
傾斜ワイヤー方式の湿式抄紙方法により、リン酸メラミン20.8g/m2、ポリエステル繊維12.6g/m2、パルプ10.2g/m2、ビニロン繊維41.6g/m2、スチレンアクリル樹脂15.6g/m2、PTFE樹脂2.0g/m2から構成された目付104g/m2、厚み0.7mmの不織布を作製した。
傾斜ワイヤー方式の湿式抄紙方法により、リン酸メラミン20.8g/m2、ポリエステル繊維12.6g/m2、パルプ10.2g/m2、ビニロン繊維41.6g/m2、スチレンアクリル樹脂15.6g/m2、PTFE樹脂2.0g/m2から構成された目付104g/m2、厚み0.7mmの不織布を作製した。
この不織布とポリプロピレン繊維を用いた帯電メルトブロー不織布12g/m2(平均繊維径6.0μm、厚み0.12mm)を低融点パウダー3.0g/m2で接着積層して、エアフィルター用濾材を作成した。
このエアフィルター用濾材の目付は、119g/m2、厚みは、0.8mm、圧損は9.3Paであった。
上記エアフィルター用濾材のリン系難燃剤と溶融紡糸繊維のA/Bの質量比は、46/54であり、リン系難燃剤は全濾材重量の17.5質量%である。
(難燃性)
濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
[実施例4]
リン系難燃剤をリン酸グアニジンにした以外は、実施例1と同様にエアフィルター用濾材を作成した。
リン系難燃剤をリン酸グアニジンにした以外は、実施例1と同様にエアフィルター用濾材を作成した。
このエアフィルター用濾材の目付は、67g/m2、厚みは、0.62mm、圧損は9.1Paであった。
上記エアフィルター用濾材のリン系難燃剤と溶融紡糸繊維の質量比は、36/64であり、リン系難燃剤は全濾材重量の15.5質量%である。
(難燃性)
エアフィルター用濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は全焼であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
エアフィルター用濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は全焼であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
[実施例5]
PEFE樹脂を除いた以外は、実施例1と同様にエアフィルター用濾材を作成した。
PEFE樹脂を除いた以外は、実施例1と同様にエアフィルター用濾材を作成した。
このエアフィルター用濾材の目付は、66g/m2、厚みは0.62mm、圧損は9.0Paであった。
上記エアフィルター用濾材のリン系難燃剤と溶融紡糸繊維の質量比は、36/64であり、リン系難燃剤は全濾材重量の15.8質量%である。
(難燃性)
エアフィルター用濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
撥水性は無かった。
エアフィルター用濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
撥水性は無かった。
[比較例1]
ポリエステル繊維を12.0g/m2にした以外は、実施例1と同様にエアフィルター用濾材を作成した。
ポリエステル繊維を12.0g/m2にした以外は、実施例1と同様にエアフィルター用濾材を作成した。
このエアフィルター用濾材の目付は、73g/m2、厚みは0.62mm、圧損は9.4Paであった。
上記エアフィルター用濾材のリン系難燃剤と溶融紡糸繊維の質量比は、30/70であり、リン系難燃剤は全濾材重量の14.3質量%である。
(難燃性)
エアフィルター用濾材の難燃性は全焼であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は全焼であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
エアフィルター用濾材の難燃性は全焼であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は全焼であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
[比較例2]
リン酸メラミンの量を6.5g/m2にした以外は、実施例1と同様にエアフィルター用濾材を作成した。
リン酸メラミンの量を6.5g/m2にした以外は、実施例1と同様にエアフィルター用濾材を作成した。
このエアフィルター用濾材の目付は、63g/m2、厚みは、0.62mm、圧損は9.4Paであった。
上記エアフィルター用濾材のリン系難燃剤と溶融紡糸繊維の質量比は、26/74であり、リン系難燃剤は全濾材重量の10.3質量%である。
(難燃性)
エアフィルター用濾材の難燃性は全焼であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は全焼であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
エアフィルター用濾材の難燃性は全焼であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は全焼であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
[比較例3]
リン酸メラミンの量を22.0g/m2にした以外は、実施例1と同様に濾材を作成した。
リン酸メラミンの量を22.0g/m2にした以外は、実施例1と同様に濾材を作成した。
この用濾材の目付は、79g/m2、厚みは0.62mm、圧損は15.0Paであった。また、できた濾材は繊維やリン酸メラミンが脱落し、エアフィルター用濾材として使用できるものでなかった。
上記濾材のリン系難燃剤と溶融紡糸繊維の質量比は、55/45であり、リン系難燃剤は全濾材重量の28.0質量%である。
(難燃性)
濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
[比較例4]
実施例1と同様な方法で、リン酸メラミン44.0g/m2、ポリエステル繊維12.6g/m2、パルプ11.6g/m2、ビニロン繊維41.6g/m2、スチレンアクリル樹脂15.6g/m2、四フッ化エチレン樹脂(PTFE樹脂)2.0g/m2から構成された目付127g/m2、厚み0.82mmの不織布を作製した。
実施例1と同様な方法で、リン酸メラミン44.0g/m2、ポリエステル繊維12.6g/m2、パルプ11.6g/m2、ビニロン繊維41.6g/m2、スチレンアクリル樹脂15.6g/m2、四フッ化エチレン樹脂(PTFE樹脂)2.0g/m2から構成された目付127g/m2、厚み0.82mmの不織布を作製した。
この不織布とポリプロピレン繊維を用いた帯電メルトブロー不織布12g/m2(平均繊維径6.0μm、厚み0.12mm)を低融点パウダー3.0g/m2で接着積層して、エアフィルター用濾材を作成した。
このエアフィルター用濾材の目付は、145g/m2、厚みは0.92mm、圧損は25.0Paであった。
上記エアフィルター用濾材のリン系難燃剤と溶融紡糸繊維の質量比は、64/36であり、リン系難燃剤は全濾材重量の30.3質量%である。
上記エアフィルター用濾材のリン系難燃剤と溶融紡糸繊維の質量比は、64/36であり、リン系難燃剤は全濾材重量の30.3質量%である。
(難燃性)
濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
濾材の難燃性は自消性であった。
(水負荷試験後の難燃性)
水負荷後の難燃性は自消性であった。
(撥水性)
両面とも撥水性であった。
[比較例5]
傾斜ワイヤー方式の湿式抄紙方法により、リン酸メラミン10.4g/m2、パルプ15.0g/m2、ビニロン繊維20.8g/m2、スチレンアクリル樹脂7.8g/m2、四フッ化エチレン樹脂(PTFE樹脂)1.0g/m2から構成された目付55g/m2、厚み0.6mmの不織布を作製した。
傾斜ワイヤー方式の湿式抄紙方法により、リン酸メラミン10.4g/m2、パルプ15.0g/m2、ビニロン繊維20.8g/m2、スチレンアクリル樹脂7.8g/m2、四フッ化エチレン樹脂(PTFE樹脂)1.0g/m2から構成された目付55g/m2、厚み0.6mmの不織布を作製した。
このエアフィルター用濾材の圧損は12.0Paであった。
上記エアフィルター用濾材は溶融紡糸繊維を使用していなく、リン系難燃剤は全濾材重量の18.9質量%である。
水に不溶性のリン酸系難燃剤を用いた実施例1〜3は、濾材自体に難燃性があり水負荷をしても難燃性が落ちなかった。一方、水溶性の難燃剤を用いた実施例4は、水負荷後の難燃性が無くなった。この原因は、水溶性の難燃剤を用いたことにより、水溶液中に難燃剤が溶けだしてしまったものと考えられる。
フッ素系高分子であるPTFE樹脂を用いなかった実施例5は、フッ素系高分子の撥水性効果がなかったため、撥水性が得られなかった。また、水負荷後の難燃性は自消性を有していたものの、消火するまでに時間がかかり実施例1に対し難燃能力が低下していた。
リン系難燃剤と溶融紡糸繊維との質量比が本発明の範囲を超える比較例1、2は、濾材自体の難燃性が無かった。比較例1と実施例2は、同量のリン酸メラミンを使用しているにも関わらず、難燃性に著しく差が出ている。これは、比較例1、2では、溶融紡糸繊維の含有量が多いため、リン系難燃剤によるチャーの形成が出来なかったためと考えられる。事実、実施例1〜3では、チャーの形成が行われ自消していた。一方、比較例1では、チャーが形成されようとするが、その前に火が濾材上を走っていく現象が見受けられた。一方、リン系難燃剤の含有量が本発明の範囲より少ない比較例2も、濾材自体の難燃性が無かった。比較例2では、濾材の燃え方が激しかったことから根本的に難燃剤量が少なかったことが原因であると考えられる。
リン系難燃剤の含有量が本発明の範囲が本発明の範囲を超え、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維との質量比が本発明の範囲にある比較例3、4では、濾材の難燃性はあった。しかし、目が詰まってしまっており、濾材圧損が急激に上がった。この原因は、粉末状のリン酸メラミンが著しく増えたことにより目が詰まったものと考えられる。また、出来上がった濾材は繊維やリン酸メラミンと思われる粉末物質の脱落が多かった。これは、バインダー量に対しリン酸メラミン量が多すぎるため、バインダー効果が不足してしまったためと考えられる。
また、比較例4の濾材は濾材厚みが大きすぎプリーツフィルター状で使用したときにフィルターの圧力損失が急激に上昇した。
溶融紡糸繊維を含まず、リン系難燃剤の含有量が本発明の範囲にある比較例5は、濾材の難燃性はあった。しかし、溶融紡糸繊維の代わりに親水性のパルプが増えてしまったことにより、フッ素樹脂を同量加えても実施例1と同等の撥水性は得られなかった。また、プリーツ加工性が著しく低下した。これは、熱セット性が高いポリエステル繊維を除いてしまったことが原因だと考えられる。
以上の結果から、リン系難燃剤と溶融紡糸繊維とを含み、リン系難燃剤の含有量が全体の12〜20質量%であり、かつ前記リン系難燃剤と前記溶融紡糸繊維との質量比(リン系難燃剤:溶融紡糸繊維)が90:10〜34:66である、本発明のエアフィルター用濾材は、塩素系や臭素系の難燃剤を用いず、難燃性を有し、圧力損失が少ないことがわかる。したがって、本発明のエアフィルター用濾材は、フィルター用途特にキャビンフィルター用途に適していることは明らかである。
本発明のエアフィルター用濾材は、自動車や鉄道車両等の車室内の空気を清浄化するためのエアフィルター、健康住宅、ペット対応マンション、高齢者入所施設、病院、オフィス等で使用される空気清浄機用フィルター、エアコン用フィルター、OA機器の吸気・排気フィルター、ビル空調用フィルター、産業用クリーンルーム用フィルター等のエアフィルター濾材として好ましく使用される。
Claims (4)
- リン系難燃剤と溶融紡糸繊維とを含み、
前記リン系難燃剤の含有量が全体の12〜20質量%であり、かつ前記リン系難燃剤と前記溶融紡糸繊維との質量比(リン系難燃剤:溶融紡糸繊維)が90:10〜34:66である、エアフィルター用濾材。 - 前記リン系難燃剤は、水不溶性リン系難燃剤である、請求項1に記載のエアフィルター用濾材。
- 前記溶融紡糸繊維は、ポリエステル繊維を含む、請求項1または2に記載のエアフィルター用濾材。
- 前記エアフィルター用濾材は、フッ素系高分子化合物を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のエアフィルター用濾材。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008020640A JP2009178669A (ja) | 2008-01-31 | 2008-01-31 | エアフィルター用濾材 |
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