JP2009178085A - 単糖の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より安価な単糖の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】酸化チタンを含む光触媒の存在下、光を照射して多糖から単糖を製造する方法とする。
【解決手段】酸化チタンを含む光触媒の存在下、光を照射して多糖から単糖を製造する方法とする。
Description
本発明は、単糖の製造方法に関し、特に多糖を低分子化して単糖を製造する方法に好適なものに関する。
グルコースといった単糖は、エタノール、アミノ酸の材料として非常に有用なものである。一般に、グルコースといった単糖はこれらを構成成分とする多糖、例えばデンプンの酵素分解、酸加水分解により製造される。
しかしながら、上記酵素分解による製造方法では、原料がデンプンである場合が多く、穀物類の供給量の限界など観点から改良の余地が残る。
ところで、多糖は単糖が複雑に結合したものであるため、この多糖を分解して低分子化して単糖を得ようとする方法が、例えば下記特許文献1に記載されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術であっても、最終的に酵素分解法を用いる、低分子化するために多大なる熱エネルギーを要するという点において課題が残る。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、より安価な単糖の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行っていたところ、光触媒を用い、光を照射することで、多糖を単糖に低分子化できる点を発見し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の一手段に係る単糖の製造方法は、二酸化チタンを含む光触媒の存在下、光を照射して多糖を単糖を製造する。この場合において、多糖をセルロースとすると、この結果得られる単糖はグルコースを含むものとなる。
本発明によると、二酸化チタンの存在下で光照射を行うことで多糖、例えばセルロースにおけるベータ1−4グリコシド結合を加水分解することでグルコースといった単糖を得ることができる。特に本法によると、加熱分解といった作業などが不要となり、簡便で低コストで単糖を得ることができるといった効果がある。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明するが、本発明は多くの異なる態様による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例の記載そのものに限定されるものでないことはいうまでもない。
本実施形態に係る単糖を製造する方法は、二酸化チタンを含む光触媒の存在下、光を照射して多糖から単糖を製造することを特徴の一つとする。
本実施形態において、多糖は限定されるわけではないが単糖を製造する材料としてセルロースであることが原料価格、原料入手の容易さの観点から好ましい。
また本実施形態において、製造される単糖は、グルコースを含んでいる。
また本実施形態において、用いる光触媒の量と分解されるセルロースの量としては、分解できる限りにおいて限定されるわけではないが、用いる光触媒の重量を1とした場合に0.1以上10以下の範囲としておくことが好ましく、より好ましくは0.5以上1以下である。0.1以上とすることで短時間でグルコースが得られるといった利点があり、100以下とすることでグルコース以外の分解物を減らすことができるといった利点がある。
また本実施形態において、照射する光の波長としては、300nm以上750nm以下の波長の光であること、より好ましくは350nm以上500nm以下である。350nm以上とすることでグルコースの分解を抑えるとともに短時間のグルコースの生成が可能となり、500nm以下とすることでグルコース純度を高めることが可能になる。
また本実施形態において、照射する光のエネルギー量は、限定されるわけではないが1MJ以上1000MJ以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは10MJ以上100MJ以下である。10MJ以上とすることで高純度のグルコースの生成といった効果を得ることができ、100MJ以下とすることで短時間でのグルコースの生成といった効果を得ることができる。
また本実施形態において、限定されるわけではないが、この分解反応は水溶液中で行われることが好ましく、酸性又は中性の水溶液中で行われることがより好ましい。アルカリ性とすると、生成したグルコースの分解といった虞がある。なおここで中性又は酸性といえるためには、pH4以上8以下の範囲であることが好ましい。
また、本実施形態において、水溶液中で上記単糖の製造を行う方法は、セルロース及び二酸化チタンが水に難溶であることを利用し、セルロース及び二酸化チタンを懸濁させた水溶液に光を照射することで実現できる。本方法によると、製造された単糖は水に可溶であるため、水と懸濁物とを濾過することで容易に分離できるといった利点もある。
以上、本実施形態によると、従来の方法に比べ、加熱分解といった工程が不要となり、より簡便に低コストで単糖を製造できるといった利点がある。
以下、上記実施形態において説明した単糖の製造方法について、実際に実験を行い、効果の確認を行った。以下説明する。
(実施例1)
100mlの水に、0.5gの二酸化チタン(和光純薬社製、製造用)と5gのセルロース(分子量5000〜100000)を加え、耐熱ガラス製ビーカーに入れ攪拌して懸濁液を作成した。
100mlの水に、0.5gの二酸化チタン(和光純薬社製、製造用)と5gのセルロース(分子量5000〜100000)を加え、耐熱ガラス製ビーカーに入れ攪拌して懸濁液を作成した。
そしてこの懸濁液に対し、低圧水銀ランプ(セン社製、500W、波長250nm〜470nm)を用い、室温中(15〜30℃)、にて600分照射した。なおこの場合において照射したエネルギー量としては、18MJと換算できた。
そしてこの光照射ののち、懸濁液を濾過し、その濾液90mlを得た。
この濾液90mlに対し、高速液体クロマトグラフィーによる中性糖の定量測定を行った結果、グルコース0.02gが含まれていることを確認した。
以上、本実施例によると、二酸化チタンとセルロースとを水に加えて光を照射するといった非常に簡便な方法で単糖を製造することができることを確認した。
(実施例2)
本実施例は、実施例1と同様であるが、光の波長及び照射したエネルギー量が異なる。具体的には、照射する光を耐熱ガラス製ビーカーで吸収させ、波長を350nm以上とし、室温中、1000分とした。なおこの場合において照射したエネルギー量としては、30MJと換算できた。
本実施例は、実施例1と同様であるが、光の波長及び照射したエネルギー量が異なる。具体的には、照射する光を耐熱ガラス製ビーカーで吸収させ、波長を350nm以上とし、室温中、1000分とした。なおこの場合において照射したエネルギー量としては、30MJと換算できた。
この結果、上記と同様の方法により濾液90mlを得、それに対し高速液体クロマトグラフィーによる中性糖の定量測定を行った。この結果、グルコース0.01gを得ることができた。
以上、本実施例によっても、二酸化チタンとセルロースとを水に加えて光を照射するといった非常に簡便な方法で単糖を製造することができることを確認した。
単糖類、特にグルコースはアルコール、アミノ酸の材料として産業上利用可能であるため、多糖類から単糖類を得る本発明は当然に産業上の利用可能性を有する。また、光源として太陽光を利用することも可能となる。
Claims (5)
- 酸化チタンを含む光触媒の存在下、光を照射して多糖から単糖を製造する方法。
- 前記多糖はセルロースを含み、前記単糖はグルコースを含む、請求項1記載の単糖を製造する方法。
- 300nm以上750nm以下の波長の光を照射する請求項1記載の単糖を製造する方法。
- 照射する光のエネルギー量は、1MJ以上1000MJ以下の範囲である、請求項1記載の単糖を製造する方法。
- 酸性又は中性の水溶液中で行われる請求項1記載の単糖を製造する方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009207485A (ja) * | 2008-02-10 | 2009-09-17 | Univ Of Miyazaki | 光触媒を使ったバイオマス由来の燃料および/または燃料前駆体の製造方法 |
EP2286846A1 (en) | 2009-07-30 | 2011-02-23 | Sanyo Electric Co., Ltd. | Hydrogen peroxide supplying apparatus |
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