JP2009177035A - 半導体装置用気密端子とその製造方法 - Google Patents

半導体装置用気密端子とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体装置用気密端子の放熱性を向上させること。
【解決手段】ベース1とヒートシンク5とを銅または銅系合金で一体に形成した半導体装置用気密端子7であり、封着ガラス3で封着する際に塑性変形域温度まで加熱してヒートシンク5の硬度低下を招いても、ワイヤーボンド予定部に平面状にパンチングを施してコイニング8を形成することでワイヤーボンド予定部の硬度を上げることができ、ボンダビリティーを損なうこと無く、放熱性を向上出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は半導体装置に用いられる気密端子に係り、特に高出力で放熱性を要求される半導体装置用気密端子とその製造方法に関する。
従来の半導体装置用気密端子としては、例えば図4に示すものがある。図4(a)は斜視図であり、図4(b)は図4(a)におけるY−Y´線に沿った断面図である。
図4において、101は外周金属ベース、102は貫通孔、103はガラス、104はリード端子、105はヒートシンク、106は半導体素子、107は半導体装置用気密端子を各々示している。
図4に示した半導体装置用気密端子107は、外周金属ベース101が鉄または鉄系合金あるいはステンレスから成り、外周金属ベース101に形成した貫通孔102にリード端子104を挿通している。貫通孔102にはガラス103を充填しており、ガラス103がリード端子104とベース101とを貫通孔102に気密、かつ絶縁的に封着している。外周金属ベース101の一方の主面には、銅または銅系合金から成るヒートシンク105をはんだや銀ロー等のロー剤でロー付けして立設している。
一般に、この様な半導体装置用気密端子107は、ヒートシンク105の一面に半導体素子106をはんだや銀ペースト等で固着して使用される。半導体素子106に形成した接続用電極(図示せず)とリード端子104やヒートシンク105との間は、金やアルミまたは銅等から成るワイヤー(図示せず)でワイヤーボンドして電気導通を取る。外周金属ベース101の一方の主面上には、金属蓋体(図示せず)をロー付けや電気熔接によって取り付けており、金属蓋体が貫通孔102の開口とリード端子104とヒートシンク105と半導体素子106とワイヤー(図示せず)を密封することで半導体装置として完成する。
この構成において、リード端子104に通電して半導体素子106を動作させる際には半導体素子106から熱が発生する。この半導体装置用気密端子107では、半導体素子106を固着するヒートシンク105が銅または銅系合金から成り、鉄または鉄系合金あるいはステンレスから成る外周金属ベース101よりもヒートシンク105の熱伝導率が高いので、外周金属ベース101とヒートシンク105とを鉄または鉄系合金あるいはステンレスで一体に形成したものよりも、熱の放熱性が良好である。
この様な半導体装置用気密端子107の製造方法としては以下に述べる方法が採用されている。カーボン等から成る組立治具に各構成部品を組み込み、組立治具ごと加熱炉に通炉して加熱する。この加熱によりガラスやロー剤を溶融させてガラス封着やロー付けを施す。ガラス封着に要求される加熱温度は約1000℃であり、銀ローによるロー付けに要求される加熱温度は約800℃であり、夫々異なる加熱温度である。
このため、約1000℃の加熱炉へ通炉してガラス封着工程を行なって外周金属ベース101とリード端子104とをガラス103でガラス封着した後に、約800℃の加熱炉へ通炉してロー付け工程を行なって外周金属ベース101とヒートシンク105とをロー剤にてロー付けすることが一般である。
ところで、出力がより大きくて動作時の損失に伴う発熱が大きくなる半導体装置に半導体装置用気密端子107を採用する場合には、半導体装置用気密端子107を構成する外周金属ベース101の材質に、鉄または鉄系合金等より熱伝導率が高いものとして、ヒートシンク105と同一の銅または銅系合金を採用し、外周金属ベース101とヒートシンク105とを一体に構成する。この場合には、製造過程における加熱は上述のガラス封着工程のみにおいて行なえば良い。
特開平3−11656号公報
しかしながら、上記した従来の構成では、ガラス封着工程において、銅の塑性変形域温度をはるかに超えた温度、つまりガラス封着に要求される約1000℃に晒されるので、銅または銅系合金で一体に構成した外周金属ベース101とヒートシンク105に粒界の再結晶化現象をもたらして素材の硬度低下を招く問題があった。
このことは、後の工程の半導体装置を完成させる過程において、ヒートシンク105にワイヤーボンドを施す場合に課題となる。つまり、素材の硬度低下に起因してワイヤーボンダーのツール尖端で加える加圧力や超音波(US)パワーが正常に伝わり難くなり、ワイヤーボンダーのパラメータ設定範囲が狭くなる。このため、ワイヤーボンダーの設定に厳密な管理が要求されるという課題を有していた。
本発明は、上記した従来の課題を解決するものであり、ベースとヒートシンクとを銅または銅系合金で一体に形成し、かつヒートシンクに対するワイヤーボンドのボンダビリティーを損なうことが無い半導体装置用気密端子とその製造方法を提供することを目的とする。
上記した従来の課題を解決するために、本発明の半導体装置用気密端子は、リード線を封着材で封着したベースと半導体素子を搭載するヒートシンクとを同材質の連続した一体に形成してなり、前記ヒートシンクのワイヤーボンド予定部にコイニング加工を施したことを特徴とする。
また、前記封着材が封着ガラスからなり、前記ベースと前記ヒートシンクとが銅または銅系合金から成ることを特徴とする。
また、前記ベースは板状を成して第一主面から第二主面へ貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔に前記リード線を挿通し、前記貫通孔に充填した前記封着材をなす封着ガラスによって前記リード線を前記ベースの前記貫通孔に気密、かつ絶縁的に封着し、前記ベースの第一主面に前記ヒートシンクを立設し、前記ヒートシンクが半導体素子を搭載する半導体素子搭載予定面を有することを特徴とする。
また、前記ヒートシンクが少なくとも一面を前記半導体素子搭載予定面とする角柱状をなし、前記一面もしくは他面に前記ワイヤーボンド予定部を有することを特徴とする。
また、前記ワイヤーボンド予定部にコイニング加工としてパンチングにて凹部をなすコイニングを形成したことを特徴とする。
本発明の半導体装置用気密端子の製造方法は、リード線を封着するための貫通孔を有するベースと半導体素子搭載予定面を有するヒートシンクとを銅または銅系合金の素材から連続した一体に形成するベース加工工程と、前記リード線とガラスタブレットと前記ベース加工工程を経た前記ベースおよび前記ヒートシンクとを組立治具へ組み込む組立工程と、前記組立工程を経た前記組立治具を加熱炉に通炉してガラスタブレットを溶融させて前記ベースの前記貫通孔に前記リード線をガラス封着するガラス封着工程と、前記ガラス封着工程を経た前記ヒートシンクのワイヤードンド予定部にコイニング加工としてパンチングして凹部であるコイニングを形成するパンチング工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、ベースおよびヒートシンクを銅または銅系合金で一体に形成し、かつガラス封着工程にて約1000℃まで加熱することで、ヒートシンクが軟化して硬度が低下する場合でも、ヒートシンクのワイヤーボンド予定部にコイニング加工を施し、その鍛造効果によりワイヤーボンド予定部の硬度を再び上げることができる。コイニング加工はワイヤーボンド予定部を例えば平面的にパンチングしてコイニングを形成することで行う。したがって、ベースとヒートシンクとを一体に銅または銅系合金で形成することで、半導体素子が動作する際に生ずる熱の放熱性を従来のものよりも向上させることが出来、しかもヒートシンクのワイヤーボンド予定部に所定の硬度を確保してワイヤーボンドのボンダビリティーを損なうことがない。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態における半導体装置用気密端子を示すものであり、図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)のX−X´線に沿った断面図である。
図1において、1はベース、2は貫通孔、3は封着ガラス、4はリード線、5はヒートシンク、6は半導体素子、7は半導体装置用気密端子、8はコイニング部を各々示している。
図1において、半導体装置用気密端子7は、円板状を成すベース1が一方の主面である第一主面から他方の主面である第二主面へ貫通する貫通孔2を有しており、貫通孔2にリード線4を挿通している。貫通孔2には封着材をなす封着ガラス3を充填しており、封着ガラス3がベース1とリード線4とを貫通孔2に気密に、かつ絶縁的に封着している。
ベース1の第一主面には角柱状のブロックをなすヒートシンク5が立設してあり、ベース1とヒートシンク5は銅または銅系合金から成り、両者を連続した一体に形成している。ヒートシンク5は少なくとも一面が半導体素子6を搭載する半導体素子搭載予定面をなし、半導体素子搭載予定面におけるワイヤーボンド予定部にコイニング8が形成してある。コイニング8はコイニング加工として平面的にパンチングを施して形成した底面が平坦な凹部である。
この様な半導体装置用気密端子7は以下の方法により製造する。
(ベース加工工程)
プレスや研削等の公知公用の方法によって、銅または銅系合金の素材から円板状を成すベース1と角柱状のブロックであるヒートシンク5とを連続した一体に形成する。詳しくは、ベース1には一方の主面である第一主面から他方の主面である第二主面へ貫通する貫通孔2を形成し、ヒートシンク5はベース1の第一主面に立設して形成する。
(組立工程)
ベース加工工程にて一体に形成したベース1およびヒートシンク5と、リード線4と、封着ガラス3の溶融前の状態をなすガラスタブレットとを、ベース1とリード線4との間にガラスタブレットが介在する状態に組立治具へ組み込む。
詳しくは、ガラスタブレットは軸芯方向に貫通する貫通孔を有しており、ベース1の貫通孔2にリード線4を挿通し、さらにガラスタブレットの貫通孔にリード線4を挿通し、ガラスタブレットをベース1の貫通孔2に挿通させる。
(ガラス封着工程)
組立工程で組立治具に組み込んだ、ベース1およびヒートシンク5と、リード線4と、ガラスタブレットとを組立治具とともに加熱炉へ通炉し、加熱炉でガラス溶融温度である1000℃に加熱してガラスタブレットを溶融させ、封着ガラス3でリード線4をベース1の貫通孔2にガラス封着する。
(パンチング工程)
ガラス封着工程の後に、ヒートシンク5のワイヤーボンド予定部に凹部をなすコイニング8を形成する。コイニング8はパンチ金型等にて平面状にパンチングを施してコイニング加工することで形成する。
上述した構成において、銅または銅系合金で一体に形成したベース1とヒートシンク5は、ガラス封着工程において銅の塑性変形域温度以上に加熱されることで、ヒートシンク5のワイヤーボンド予定部の硬度が低下する。
しかしながら、ガラス封着工程の後の工程において、硬度が低下したヒートシンク5のワイヤーボンド予定部にパンチングでコイニング加工を施すことで、ワイヤーボンド予定部の硬度を再び上げて所定の硬度を確保することが出来る。
この結果、後の工程で半導体装置として完成させる過程においてヒートシンク5にワイヤーボンドを施す場合に、ボンダビリティーを損なうこと無く、容易に良好なワイヤーボンドを施すことが可能である。
つまり、ワイヤーボンド予定部が所定の硬度を有することで、ワイヤーボンダーのツール尖端で与える加圧力や超音波(US)パワーが正常に伝わり難くなることはなく、ワイヤーボンダーのパラメータ設定範囲が狭まることがないので、厳密な管理を必要とせずにワイヤーボンダーの設定を行える。
また、ベース1とヒートシンク5は、銅または銅系合金の素材で連続した一体に形成するので、従来のようにヒートシンク5をベース1にロー付けするための加熱工程が不要と成り、ガラス封着工程における一度の加熱処理で製造することができる。
以下に、参考として図2と図3に基づいて説明する。図2は、鉄系素材(SPC)と銅素材(OFC)との加熱処理による硬度変化を応力に対する歪として示すグラフ図であり、加熱処理前の初期状態と1000℃で加熱処理後の状態におけるそれぞれの素材の応力に対する歪みを比較したものである。
これによれば、鉄系素材(SPC)の弾性変形から塑性変形への屈伏点は、加熱処理前の初期状態で270MPaであり、加熱処理後で210MPaである。銅素材(OFC)の弾性変形から塑性変形への屈伏点は、加熱処理前の初期状態で360MPaであり、加熱処理後で20MPaである。
よって、加熱処理後の屈伏点が鉄系素材(SPC)で210MPaであるのに対して銅素材(OFC)では20MPaとなることから、銅素材(OFC)は加熱処理による屈伏点の低下が鉄系素材(SPC)に比べて桁違いに大きくなることが分かる。
図3は、上述したパンチング工程に相当するものとして施す叩き加工(以降、叩きと称する場合が有る)の有無と、1000℃の加熱処理の有無とを条件として、ヌープ硬度の差を確認した結果を示すグラフ図である。
これによれば、加熱処理なしで叩きなしのリファレンスのものが硬度100近辺を示すのに対して、加熱処理ありで叩きなしのものが硬度50近辺を示し、加熱処理ありで叩きありのものが硬度100近辺を示している。
よって、加熱処理された銅は、叩きを施すことで略熱処理前のリファレンスの硬度へ戻ることが可能と言える。
なお、本実施の形態において、ヒートシンク5の形状を角柱状として説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも一面が半導体素子6を搭載する半導体素子搭載予定面をなすブロックであれば良い。
また、ヒートシンク5のワイヤーボンド予定部であるコイニング8をヒートシンク5の半導体素子搭載予定面に形成したが、これに限定されるものではなく、コイニング8は半導体素子搭載予定面と異なる別の面に形成することも可能である。
また、本発明の半導体装置用気密端子7には必要に応じて鍍金を施すことが可能であるが、特にヒートシンク5のコイニング8を含む部分にニッケルその他の鍍金を施してコイニング8の硬度を補っても良い。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施が可能であることは言うまでもない。
本発明は半導体装置用気密端子として有用であり、特に高出力の光半導体装置に適している。
本発明の実施の形態における半導体装置用気密端子を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図 鉄系素材(SPC)と銅素材(OFC)との熱処理による硬度変化を応力に対する歪として示すグラフ図 叩き加工の有無と加熱処理の有無とを条件としたヌープ硬度の差を示すグラフ図 従来の半導体装置用気密端子を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図
符号の説明
1 ベース
2、102 貫通孔
3 封着ガラス
4 リード線
5、105 ヒートシンク
6、106 半導体素子
7、107 半導体装置用気密端子
8 コイニング
101 外周金属ベース
103 ガラス
104 リード端子

Claims (6)

  1. リード線を封着材で封着したベースと半導体素子を搭載するヒートシンクとを同材質の連続した一体に形成してなり、前記ヒートシンクのワイヤーボンド予定部にコイニング加工を施したことを特徴とする半導体装置用気密端子。
  2. 前記封着材が封着ガラスからなり、前記ベースと前記ヒートシンクとが銅または銅系合金から成ることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用気密端子。
  3. 前記ベースは板状を成して第一主面から第二主面へ貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔に前記リード線を挿通し、前記貫通孔に充填した前記封着材をなす封着ガラスによって前記リード線を前記ベースの前記貫通孔に気密、かつ絶縁的に封着し、前記ベースの第一主面に前記ヒートシンクを立設し、前記ヒートシンクが半導体素子を搭載する半導体素子搭載予定面を有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置用気密端子。
  4. 前記ヒートシンクが少なくとも一面を前記半導体素子搭載予定面とする角柱状をなし、前記一面もしくは他面に前記ワイヤーボンド予定部を有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置用気密端子。
  5. 前記ワイヤーボンド予定部にコイニング加工としてパンチングにて凹部をなすコイニングを形成したことを特徴とする請求項1記載の半導体装置用気密端子。
  6. リード線を封着するための貫通孔を有するベースと半導体素子搭載予定面を有するヒートシンクとを銅または銅系合金の素材から連続した一体に形成するベース加工工程と、前記リード線とガラスタブレットと前記ベース加工工程を経た前記ベースおよび前記ヒートシンクとを組立治具へ組み込む組立工程と、前記組立工程を経た前記組立治具を加熱炉に通炉してガラスタブレットを溶融させて前記ベースの前記貫通孔に前記リード線をガラス封着するガラス封着工程と、前記ガラス封着工程を経た前記ヒートシンクのワイヤードンド予定部にコイニング加工としてパンチングして凹部であるコイニングを形成するパンチング工程とを含むことを特徴とする半導体装置用気密端子の製造方法。
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