JP2009176401A - Cpp型磁気抵抗効果素子および磁気ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シールド層の磁区制御を安定化させて、外部磁場に対する出力変動を低減させ、素子動作の信頼性に優れる磁気抵抗効果素子を提供する。
【解決手段】第1のシールド層3および第2のシールド層5と、を有し、積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP構造の磁気抵抗効果素子であって、第1のシールド層、および第2のシールド層は、X−Y平面が、枠形状体に形成されており、第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部31,51を有し、磁気抵抗効果部を構成する第1の強磁性層および第2の強磁性層には、それぞれ、第1のシールド層のフロント枠構成部および第2のシールド層のフロント枠構成部の磁気的作用の影響を受けて、互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態が形成される作用が働くように構成される。
【選択図】図1
【解決手段】第1のシールド層3および第2のシールド層5と、を有し、積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP構造の磁気抵抗効果素子であって、第1のシールド層、および第2のシールド層は、X−Y平面が、枠形状体に形成されており、第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部31,51を有し、磁気抵抗効果部を構成する第1の強磁性層および第2の強磁性層には、それぞれ、第1のシールド層のフロント枠構成部および第2のシールド層のフロント枠構成部の磁気的作用の影響を受けて、互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態が形成される作用が働くように構成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁気記録媒体等の磁界強度を信号として読み取るための磁気抵抗効果素子、その磁気抵抗効果素子を備える薄膜磁気ヘッド、ならびにその薄膜磁気ヘッドを含むヘッドジンバルアセンブリおよび磁気ディスク装置に関する。
近年、ハードディスク(HDD)の高記録密度化に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能の向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、読み出し専用の磁気抵抗効果素子(以下、単にMR(Magneto-resistive)素子と簡略に記すことがある)を有する再生ヘッドと、書き込み専用の誘導型磁気変換素子を有する記録ヘッドと、を積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く使用されている。
現在、再生ヘッドとして、スピンバルブGMR素子と呼ばれる素子の膜面平行に電流を流して動作させる、いわゆるCIP(Current In Plane)構造の磁気抵抗効果素子が広く用いられている(CIP−GMR素子)。このような構造のスピンバルブGMR素子は、軟磁性金属膜で形成される上下のシールド層の間に位置するとともに、ギャップ層と呼ばれる絶縁層により挟まれた形態で配置されている。ビット方向の記録密度は、上下のシールド層の間隙(シールドギャップあるいはRead Gap長さ)により決定される。
記録密度の増大に伴い、再生ヘッドの再生素子に対しては、狭シールドギャップ化や狭トラック化への要求が強くなってきている。再生素子の狭トラック化とそれに伴う素子高さの短小化によって、素子の面積が減少するが、従来の構造では放熱効率が面積の減少に伴い低下することから、動作電流が信頼性の観点から制限されるという問題があった。
このような問題を解決するために、上下のシールド層(上部シールド層および下部シールド層)と磁気抵抗効果素子を電気的に直列に接続し、シールド間の絶縁層を不要とするCPP(Current Perpendicular to Plane)構造のGMR素子(CPP−GMR素子)が提案されており、200Gbits/in2を超えるような記録密度を達成するためには必須の技術とされている。
このようなCPP−GMR素子は、導電性の非磁性中間層を両側から挟むように形成された第1の強磁性層および第2の強磁性層を含む積層構造を有している。代表的なスピンバルブタイプのCPP−GMR素子の積層構造は、基板側から、下部電極/反強磁性層/第1の強磁性層/導電性の非磁性中間層/第2の強磁性層/上部電極を順次積層した積層構造である。
強磁性層の一つである第1の強磁性層の磁化方向は、外部印加磁場がゼロの時、第2の強磁性層の磁化方向と垂直になるように固定されている。第1の強磁性層の磁化方向の固定は、反強磁性層を隣接させ、反強磁性層と第1の強磁性層との交換結合により第1の強磁性層に一方向異方性エネルギー(「交換バイアス」あるいは「結合磁界」とも呼ばれる)を付与することによりなされる。そのため、第1の強磁性層は磁化固定層とも呼ばれる。一方で、第2の強磁性層は、フリー層とも呼ばれる。さらに、磁化固定層(第1の強磁性層)を、強磁性層/非磁性金属層/強磁性層の3層構造(いわゆる「積層フェリ構造」、あるいは「Synthetic Pinned 構造」)層とすることで、2つの強磁性層間に強い交換結合を与え、反強磁性層からの交換結合力を実効的に増大させることができ、しかも磁化固定層から発生する静磁界がフリー層に及ぼす影響を減らすことも可能となり、「Synthetic Pinned 構造」は、現在広く用いられている。
しかしながら、近年の超高記録密度化の要求に応じるべく、磁気抵抗効果素子のさらなる薄層化が必要となっている。このような状況のもと、例えば、文献1(IEEE TRANSACTION ON MAGNETICS, VOL.43, NO.2, FEBRUARY, pp.645-650)や、US 7,019,371B2や、US 7,035,062B1等に開示されているような、強磁性層(Free Layer)/非磁性中間層/強磁性層(Free Layer)のシンプルな3層積層構造を基本構造とする新規なGMR素子構造の提案がなされている。
このような構造を、本願では、便宜上、DFL(Dual Free Layer)素子構造と呼ぶ。DFL素子構造では、2つの強磁性層(Free Layer)の磁化は互いに反平行となるように交換結合されている。そして、素子の媒体対向面に相当するABSとは反対の奥域位置に磁石を配置して、当該磁石から発せられるバイアス磁界の作用を利用して、2つの磁性層(Free Layer)の磁化が、それぞれ、トラック幅方向に対して約45度傾いた初期の状態を作り出している(イニシャルの状態)。このイニシャルの磁化状態にある素子が、媒体からの信号磁界を検出すると、まるでハサミが紙を切る時の動作のように2つの磁性層の磁化方向が変化し、結果として素子の抵抗値が変化する。
このようなDFL素子構造を、いわゆるTMR素子や、CPP−GMR素子に応用した場合、従来までの一般的なスピンバルブ型CPP−GMR素子に比べて、上下シールド層の間隙である「Read Gap長さ」を格段と狭くすることが可能となる。具体的には、一般的なスピンバルブ型CPP−GMR素子に必要とされていた上記の反強磁性層が不要となり、さらには、上記「Synthetic Pinned 構造」の強磁性層も不要となる。その結果、従来においては30nmが限界と言われていた「Read Gap長さ」を、20nm以下にすることが可能となる。
従来の技術におけるDFL素子構造を形成するためには、前述したように、2つの強磁性層(Free Layer)の磁化が互いに反平行となるように交換結合されていることが必要となる。このような従来の基本構造の形成は、2つの強磁性層(Free Layer)の間に、Au、Ag、Cu、Ir、Rh、Ru、Crなどの貴金属等を挿入し、2つの強磁性層に交換結合を発生させれば容易に実現可能である。
しかしながら、TMR素子においては、トンネル効果を得るために2つの強磁性層(Free Layer)の間に、酸化アルミ(AlOx)膜や、酸化マグネシウム(MgO)膜等の絶縁膜を介在させなければならず、2つの強磁性層間に強い交換結合を得ることができないという不都合が生じ得る。結果として、2つの強磁性層(Free Layer)の磁化を反平行結合させることが極めて困難となる。また、例えば、CPP−GMR素子の高出力化技術として、2つの強磁性層(Free Layer)の間に部分的に、NOL(Nano-Oxide-Layer)層を挿入する技術が開示されている(例えば、特開2004−165254号公報、JP特許第3625199号、特開2002−208744号公報等)。しかしながら、この技術は、2つの強磁性層(Free Layer)の反強磁性的な交換結合を極めて弱めてしまうか、あるいは、完全に消失させてしまう恐れがあり、そのままでの適用は出来ない。
また、US 6,169,647B1には、2つの反強磁性体層を用いて、2つの強磁性層(Free Layer)の磁化を、それぞれ、反平行状態に向ける技術が開示されている(特に、FIG.3を参照)。しかしながら、この提案の構造において、実用可能な作用効果を発現させるためには、1つの反強磁性体層につき、5nm以上の厚さが必要となり、「Read Gap長さ」を小さくするという目的にはそぐわないものと言える。さらに、2つの反強磁性体層から発生する交換結合の向きを互いに反平行とする必要があり、それを実現するような熱処理(アニール)が非常に困難であるという問題もある。さらに、素子サイズが狭小化すると、反強磁性体層を構成する粒子の配列個数が少なくなり、いわゆるピンニング機能にふらつきが生じ(換言すれば、ピンニング機能が十分でない)、特性のバラツキの原因となることがあるという不都合が生じてしまう。
このような実状のもとに、本願出願人は、すでに、US Serial No.11/ 946,358 として、2つの強磁性層(Free Layer)間に介在される中間膜の材質や、中間膜の特殊な構造に制約を受けることなく、2つの強磁性層(Free Layer)の反平行の磁化状態を簡易な構造で実現でき、近年の超高記録密度化の要求に応じるべく、「Read Gap長さ」(上下シールド層の間隙)を狭くできる構造を採択して線記録密度の向上を図ることができるとともに、安定した磁気抵抗効果変化を得ることができて信頼性に優れる新たな素子構造を提案している。
IEEE TRANSACTION ON MAGNETICS, VOL.43, NO.2, FEBRUARY, pp.645-650
US 7,019,371B2
US 7,035,062B1
US 6,169,647B1
本願発明は、本願出願人がすでに提案しているUS Serial No.11/ 946,358出願の技術をさらに進展させ、より一層、シールド層の磁区制御を安定化させて、外部磁場に対する出力変動を低減させ、素子動作の信頼性に優れる磁気抵抗効果素子を提案することにある。
上記課題を解決するために、本願発明は、磁気抵抗効果部と、前記磁気抵抗効果部を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層と、を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子であって、前記磁気抵抗効果部は、非磁性中間層と、この非磁性中間層を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層および第2の強磁性層とを有し、前記下方に位置する第1のシールド層、および前記上方に位置する第2のシールド層は、それぞれ、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、枠形状体に形成されており、前記第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部を有し、前記磁気抵抗効果部を構成する第1の強磁性層および第2の強磁性層には、それぞれ、前記第1のシールド層のフロント枠構成部および前記第2のシールド層のフロント枠構成部の磁気的作用の影響を受けて、互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態が形成される作用が働いているように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の端部から後方に向かうサイド位置に配置されるサイド枠構成部とを有し、前記第1のシールド層のサイド枠構成部の幅Y1は、前記第1のシールド層のフロント枠構成部の奥域長さY2よりも大きく形成されており(Y1>Y2)、前記第2のシールド層のサイド枠構成部の幅Y3は、前記第2のシールド層のフロント枠構成部の奥域長さY4よりも大きく形成されており(Y3>Y4)、前記第1のシールド層のサイド枠構成部は、第1非磁性ギャップ層と第1バイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、前記第1非磁性ギャップ層は、前記第1バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記第1のシールド層のフロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、前記第1非磁性ギャップ層と第1バイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記第1のシールド層を構成する枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記第1のシールド層のフロント枠構成部の磁化を単磁区化し、かつ磁化方向を制御するように構成され、前記第2のシールド層のサイド枠構成部は、第2非磁性ギャップ層と第2バイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、前記第2非磁性ギャップ層は、前記第2バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記第2のシールド層のフロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、前記第2非磁性ギャップ層と第2バイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記第2のシールド層を構成する枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記第2のシールド層のフロント枠構成部の磁化を単磁区化し、かつ磁化方向を制御するように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記磁気抵抗効果部を構成する第1の強磁性層は、磁化方向が制御された前記第1のシールド層のフロント枠構成部と、第1の交換結合機能ギャップ層を介して、間接的に磁気的な結合がなされており、前記磁気抵抗効果部を構成する第2の強磁性層は、磁化方向が制御された前記第2のシールド層のフロント枠構成部と、第2の交換結合機能ギャップ層を介して、間接的に磁気的な結合がなされるように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第1の交換結合機能ギャップ層は、前記第1のシールド層側から、交換結合伝達層、ギャップ調整層、および交換結合調整層を順次含み、前記第2の交換結合機能ギャップ層は、前記第2のシールド層側から、交換結合伝達層、ギャップ調整層、および交換結合調整層を順次含み、構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記交換結合伝達層は、Ru、Rh、Ir、Cr、Cu、Ag、Au、Pt、Pdのグループから選択された少なくとも1つの材料から構成され、前記ギャップ調整層は強磁性体から構成され、前記交換結合調整層は、Ru、Rh、Ir、Cr、Cu、Ag、Au、Pt、Pdのグループから選択された少なくとも1つの材料から構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第1の交換結合機能ギャップ層は、前記第1のシールド層側から、交換結合伝達層、ギャップ調整層、交換結合伝達層、ギャップ調整層、および交換結合調整層、を順次含み、前記第2の交換結合機能ギャップ層は、前記第2のシールド層側から、交換結合伝達層、ギャップ調整層、交換結合伝達層、ギャップ調整層、および交換結合調整層、を順次含み、構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記非磁性中間層は、中央にZnOを配置させた3層積層膜から構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第1のシールド層において、第1バイアス磁界印加層から流出される全磁束量をΦ´b、フロント枠構成部の磁化を飽和させるための磁束の飽和量をΦ´f(s)、とした場合、Φ´b/Φ´f(s)=0.3〜2.0の範囲に設定され、前記第2のシールド層において、第2バイアス磁界印加層から流出される磁束の全磁束量をΦb、フロント枠構成部の磁化を飽和させるための磁束の飽和量Φf(s)、とした場合、Φb/Φf(s)=0.3〜2.0の範囲に設定される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第1のシールド層のサイド枠構成部の幅Y1が、前記第1のシールド層のフロント枠構成部の奥域長さY2の1.4〜10倍であり、前記第2のシールド層のサイド枠構成部の幅Y3が、前記第2のシールド層のフロント枠構成部の奥域長さY4の1.4〜10倍であるように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第1非磁性ギャップ層は、前記第1のシールド層のサイド枠構成部に埋設されており、当該第1非磁性ギャップ層に接して第1バイアス磁界印加層が形成されており、前記第2非磁性ギャップ層は、前記第2のシールド層のサイド枠構成部に埋設されており、当該第2非磁性ギャップ層に接して第2バイアス磁界印加層が形成されて構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第1のシールド層および第2のシールド層の厚さが、0.5〜2.0μmであり、前記第1のバイアス磁界印加層および第2のバイアス磁界印加層の厚さが0.1〜0.3μmであるように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記磁気抵抗効果部の奥域の長さ方向(Y方向)には、フリーとして機能する第1の強磁性層および第2の強磁性層に対して、初期状態としての磁化方向アングルを規定するための素子バイアス印加層が配置される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記バイアス磁界印加層および素子バイアス印加層は、一括同時に着磁操作され、長さ方向(Y方向)に着磁されてなるように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部を有し、さらに、前記第1および第2のシールド層の枠形状体の一部には、コイルが巻かれ、当該コイルへの通電により発生した磁束により、前記第1および第2のシールド層のフロント枠構成部の磁化を単磁区化し、かつ磁化方向を制御するように構成される。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された上記の磁気抵抗効果素子と、を有し構成される。
本発明のヘッドジンバルアセンブリは、上記の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと、を備えてなるように構成される。
本発明の磁気ディスク装置は、上記の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、前記スライダを支持するとともに前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と、を備えて構成される。
本発明は、磁気抵抗効果部と、前記磁気抵抗効果部を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層と、を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子であって、前記磁気抵抗効果部は、非磁性中間層と、この非磁性中間層を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層および第2の強磁性層とを有し、前記下方に位置する第1のシールド層、および前記上方に位置する第2のシールド層は、それぞれ、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、枠形状体に形成されており、前記第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部を有し、前記磁気抵抗効果部を構成する第1の強磁性層および第2の強磁性層には、それぞれ、前記第1のシールド層のフロント枠構成部および前記第2のシールド層のフロント枠構成部の磁気的作用の影響を受けて、互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態が形成される作用が働いているように構成されているので、2つの強磁性層(Free Layer)間に介在される中間膜の材質や、中間膜の特殊な構造に制約を受けることなく、2つの強磁性層(Free Layer)の反平行の磁化状態を簡易な構造で実現でき、近年の超高記録密度化の要求に応じるべく、「Read Gap長さ」(上下シールド層の間隙)を狭くできる構造を採択して線記録密度の向上を図ることができる。さらには、安定した磁気抵抗効果変化を得ることができ、より信頼性の向上を図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の磁気抵抗効果素子は、薄膜磁気ヘッド、特に再生ヘッドに好適に用いられる。
以下の本発明の説明において、各図面に示されるX軸方向の寸法を「幅」、Y軸方向の寸法を「長さ」、Z軸方向の寸法を「厚さ」とそれぞれ表記する。
以下の本発明の説明において、各図面に示されるX軸方向の寸法を「幅」、Y軸方向の寸法を「長さ」、Z軸方向の寸法を「厚さ」とそれぞれ表記する。
また、Y軸方向のうちのエアベアリング面(記録媒体と対向する薄膜磁気ヘッドの面)に近い側を「前方」、その反対側(奥域側)を「後方」と表記する。また、素子の積層膜を積み上げる方向を「上方」または「上側」、その反対方向を「下方」または「下側」と称する。
図1は、本発明の実施の形態における磁気抵抗効果素子のABS(Air Bearing Surface)方向から見た斜視図である。ABSとは、素子が記録媒体と対向する面(以下、媒体対向面ともいう)に相当する。本発明でいうABSは素子の積層構造が明瞭に観察できる位置での断面までを含む趣旨であり、例えば、厳密な意味での媒体対向面に位置しているDLC等の保護層(素子を覆う保護層)は必要に応じて省略して考えることができる。また、本発明でいう磁気抵抗効果素子とは、上下に配置されているシールド層をも含む広い概念である。
図2は、図1の丸状の点線で囲まれたエリアAのABS近傍の素子構造を示す斜視図である。
図3は、図2における磁気抵抗効果素子のセンサー領域を含む磁気抵抗効果部を拡大して示した模式図である。
図4は、図1のB−B断面矢視図面である。
図5〜図7は、それぞれ、図3に相当する図面であり、磁気抵抗効果部の構成の変形例を示した図面である。
〔磁気抵抗効果素子の構造の説明〕
本発明の磁気抵抗効果素子は、図1および図2に示されるように、磁気抵抗効果部8と、この磁気抵抗効果部8を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層3(下部シールド層3と呼ぶ場合もある)、および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層5(上部シールド層5と呼ぶ場合もある)とを有し構成されている。
本発明の磁気抵抗効果素子は、図1および図2に示されるように、磁気抵抗効果部8と、この磁気抵抗効果部8を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層3(下部シールド層3と呼ぶ場合もある)、および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層5(上部シールド層5と呼ぶ場合もある)とを有し構成されている。
そして、本発明の磁気抵抗効果素子は、図2に示される磁気抵抗効果部8の積層方向(Z方向)にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子である。
図2に示されるように、磁気抵抗効果部8は、非磁性中間層140と、この非磁性中間層140を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層130および第2の強磁性層150を有している。
本発明において、上方に位置する第2のシールド層5は、図1に示されるように素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、無端状の(連続に繋がっている)枠形状体に形成されている。本発明においては、下方に位置する第1のシールド層3も、第2のシールド層5と同様に、無端状の(連続に繋がっている)枠形状体に形成されている。以下、上方に位置する第2のシールド層5および下方に位置する第1のシールド層3について説明する。
〔第2シールド層5の説明〕
上方に位置する第2のシールド層5の枠形状体は、図1に示されるように、前方の媒体対向面側(ABS)であって、磁気抵抗効果部8が位置する近傍に配置されて幅方向(X方向)に延びる平板状のフロント枠構成部51と、このフロント枠構成部51の端部(図の右側端部)から後方(Y方向)に向かうサイド位置に配置されるサイド枠構成部55とを有している。
上方に位置する第2のシールド層5の枠形状体は、図1に示されるように、前方の媒体対向面側(ABS)であって、磁気抵抗効果部8が位置する近傍に配置されて幅方向(X方向)に延びる平板状のフロント枠構成部51と、このフロント枠構成部51の端部(図の右側端部)から後方(Y方向)に向かうサイド位置に配置されるサイド枠構成部55とを有している。
図1の記載から明らかなように、サイド枠構成部55の幅Y3は、フロント枠構成部の奥域長さY4よりも大きく形成されている(Y3>Y4)。より好ましくは、サイド枠構成部55の幅Y3が、フロント枠構成部51の奥域長さY4の1.4〜10倍となるように構成される。
これらの要件が必要となることは、後述する(1)シールドに形成されるバイアス磁界印加層156の成膜厚さと、第2のシールド層5の(フロント枠構成部51の)成膜厚さとの関係に端を発し、(2)最終的に、後述するバイアス磁界印加層156から流出される全磁束量Φbと、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51の磁化を飽和させるための磁束の飽和量Φf(s)との関係、に起因するものでもある。
前述したように、第2のシールド層5のサイド枠構成部55は、図1や図4に示されるように、第2非磁性ギャップ層155と第2バイアス磁界印加層156との組合わせ体を部分的に備えている。
第2非磁性ギャップ層155は、第2バイアス磁界印加層156から発せられる磁束(符号156a)を、効率よく第2のシールド層5のフロント枠構成部51側まで送り出す作用をするように設計、配置され、しかも、第2非磁性ギャップ層155と第2バイアス磁界印加層156との組合わせ体は、第2のシールド層5を構成する枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路(図1の例示では、左回りの閉磁路)を形成するとともに、磁気抵抗効果部8が位置する第2のシールド層5のフロント枠構成部51の磁化を単磁区化し、かつ磁化方向を制御するように構成されている。
第2のシールド層5において、非磁性ギャップ層155とバイアス磁界印加層156との組合わせ体以外の部材は、透磁率の高い軟磁性材料(例えば、パーマロイ)から構成されており、これが、本願発明において「実質的に軟磁性からなる第2のシールド層5」と記載する理由である。
図4に示されるように、非磁性ギャップ層155は、サイド枠構成部55に埋設されており、この非磁性ギャップ層155に接してバイアス磁界印加層156が形成されている。図示の形態では、非磁性ギャップ層155の上にバイアス磁界印加層156が形成されている。また、図示の形態では、非磁性ギャップ層155により、第2のシールド層5の軟磁性部材が途中、分断されているが、非磁性ギャップ層155とバイアス磁界印加層156との積層体によって、第2のシールド層5の軟磁性部材を途中、分断するようにしてもよい。
本発明において、非磁性ギャップ層155の作用は重要であり、非磁性ギャップ層155は、バイアス磁界印加層156から発せられる磁束を、効率よくフロント枠構成部51側まで送り出す作用をするように設計配置されることが重要である。
もし、仮に、図4において、非磁性ギャップ層155を無くし、非磁性ギャップ層155の箇所が、第2のシールド層5の軟磁性部材に置換されているならば、バイアス磁界印加層156から発せられる磁束の大部分は、置換された軟磁性部材の箇所を通って逆戻りをしてしまうという不都合が生じることがある。つまり、バイアス磁界印加層156から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部51側まで送り出す作用ができなくなってしまう。
このような観点から、本発明における非磁性ギャップ層155とバイアス磁界印加層156との組合わせ体は、第2のシールド層5を構成する枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51の磁化を単磁区化するように設計・構成される。図4に示されるように、非磁性ギャップ層155のY方向長さGpは、シールド膜厚Tf以上となるように設定することが好ましい。またバイアス磁界印加層156のY方向の長さは、バイアス磁界印加層156の膜厚Tbのおよそ5倍以上となるように設定することが好ましい。非磁性ギャップ層155のY方向長さGpおよびバイアス磁界印加層156のY方向の長さ、の双方の上限値は、それぞれ、シールド形状により規定され、図1で示されるdの幅以下とすることが好ましい。
特に、本発明においては、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51の磁化を単磁区化するために、バイアス磁界印加層156から流出される全磁束量をΦb、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51の磁化を飽和させるための磁束の飽和量をΦf(s)とした場合、Φb/Φf(s)の値は、0.3〜2.0の範囲、好ましくは、0.8〜2.0の範囲に設定されることが望しい。
バイアス磁界印加層156から流出される全磁束量Φbは、バイアス磁界印加層156を構成する材料の残留磁束密度Brbと、バイアス磁界印加層156から流出する磁束の断面積Sbとの積として表される。つまり、Φb=Brb×Sbである。なお、断面積SbはX−Z平面であり、図4に示される厚さTb×奥域長さYbで表される(Sb=Tb×Yb)。なお、通常、バイアス磁界印加層156の奥域長さYbはY3と同じ長さとされる(Yb=Y3)。
磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51の磁化を飽和させるための磁束の飽和量Φf(s)は、フロント枠構成部51を構成する材料の飽和磁束密度Bsfと、フロント枠構成部51の断面積Sfとの積として表される。つまり、Φf(s)=Bsf×Sfである。なお、断面積SfはY−Z平面であり、図1および図2に示される厚さTf×奥域長さY4で表される(Sf=Tf×Y4)。
通常、第2のシールド層5の厚さと同じであるフロント枠構成部51の厚さTfは、0.5〜2.0μmとされる。いわゆる磁気シールド機能を発揮するために必要な膜厚であり、当該膜は、いわゆるめっき法により形成される。
これに対して、バイアス磁界印加層156の厚さTbは、例えば、0.1〜0.3μmとされる。当該バイアス磁界印加層156の膜はスパッタ法により成膜されるために、上限値を超えて厚くすることは経済的ロスが大きくなってしまい、また、下限未満とすることはバイアス磁界印加の本来の効果が発揮しにくくなってしまう。
このような膜厚Tf、Tbの違いのもとに、バイアス磁界印加層156から流出される磁束が、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51にまで到達することができ、かつ、フロント枠構成部51の磁化を単磁区化することが出来るまでに必要な磁束が得られるように、上記所望の数値要件を満たすことが必要となる。
なお、フロント枠構成部51の大きさの一例を挙げると、Y4=5μm、Tf=1μm、X方向幅=30μmである。
バイアス磁界印加層156は、例えば、硬磁性層(ハードマグネット)や、強磁性層と反強磁性層との積層体が用いられる。具体的には、前者としてCoPtやCoCrPtを例示することができ、後者は、CoFeとIrMnとの積層体を例示することができる。
また、非磁性ギャップ層155としては、アルミナ、シリカ等の酸化物;アルミナナイトライド、シリコンナイトライド等の窒化物;Cr、Ta、NiCr、Au、Cu等の非磁性金属;を用いることができる。
また、非磁性ギャップ層155のとバイアス磁界印加層156との間には、下地層およびバッファ層を設けることが望ましい。つまり、好ましい態様として、非磁性ギャップ層155の上には、下地層、バッファ層が順次形成され、バッファ層の上に、バイアス磁界印加層156が形成される。
下地層は、主として、非磁性ギャップ層155の表面を平坦化させるために形成され、Ti、Ta等が用いられる。膜厚は、1〜5nm程度とされる。
バッファ層は、バイアス磁界印加層156の結晶性や配向性を向上させる目的で用いられる。バイアス磁界印加層156が硬磁性層(ハードマグネット)から構成される場合、バッファ層の材料としては、Cr、CrTi等が用いられ、膜厚は2〜10nm程度とされる。また、バイアス磁界印加層156が強磁性層と反強磁性層との積層体から構成される場合、バッファ層の材料としては、Ru、NiCr等が用いられ、膜厚は2〜10nm程度とされる。
このような下地層やバッファ層は、双方、用いることが好適ではあるが、下地層やバッファ層のいずれか一方のみを用いてもよい。また、双方使用しない場合であってもよい。
第2のシールド層5の実質的に軟磁性からなる材料としては、NiFe(パーマロイ)、CoZrTa、センダスト、NiFeCo、CoZrNb等を例示することができる。
〔第1シールド層3の説明〕
下方に位置する第1のシールド層3もまた、上述してきた第2のシールド層5と同様な形態から構成されることが望ましい。
下方に位置する第1のシールド層3もまた、上述してきた第2のシールド層5と同様な形態から構成されることが望ましい。
すなわち、下方に位置する第1のシールド層3の枠形状体は、図1に示されるように、前方の媒体対向面側(ABS)であって、磁気抵抗効果部8が位置する近傍に配置されて幅方向(X方向)に延びる平板状のフロント枠構成部31と、このフロント枠構成部31の端部(図の左側端部)から後方(Y方向)に向かうサイド位置に配置されるサイド枠構成部35とを有している。
サイド枠構成部35の幅Y1(図1参照)は、第1のシールド層3のフロント枠構成部31の奥域長さY2(図2参照)よりも大きく形成されている(Y1>Y2)。より好ましくは、サイド枠構成部35の幅Y1が、フロント枠構成部31の奥域長さY2の1.4〜10倍となるように構成される。
なお、第1のシールド層3のフロント枠構成部31は、部材の重なりにより図面ではわかり難いため、奥域長さY2については、図2を参照されたい。
これらの要件が必要となることは、後述する(1)シールドに形成されるバイアス磁界印加層154の成膜厚さと、第1のシールド層3の(フロント枠構成部31の)成膜厚さとの関係に端を発し、(2)最終的に、後述するバイアス磁界印加層154から流出される磁束の全磁束量Φ´bと、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部31の磁化を飽和させるための磁束の飽和量Φ´f(s)との関係、に起因するものでもある。
前述したように、第1のシールド層3のサイド枠構成部35は、第1非磁性ギャップ層153と第1バイアス磁界印加層154との組合わせ体を部分的に備えている。第1非磁性ギャップ層153は、第1バイアス磁界印加層154から発せられる磁束を、効率よく第1のシールド層3のフロント枠構成部31側まで送り出す作用をするように設計、配置されており、しかも、第1非磁性ギャップ層153と第1バイアス磁界印加層154との組合わせ体は、第1のシールド層3を構成する枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路(図1の例示では、右回りの閉磁路)を形成するとともに、第1のシールド層3のフロント枠構成部31の磁化を単磁区化し、かつ磁化方向を制御するように構成される。
第1非磁性ギャップ層153の構成は、図1の記載からは、わかり難いが、その具体的構成を図面から理解するためには、図4を参照されたい。
第1のシールド層3において、非磁性ギャップ層153とバイアス磁界印加層154との組合わせ体以外の部材は、透磁率の高い軟磁性材料から構成されており、これが、本願発明において「実質的に軟磁性からなる第1のシールド層3」と記載する理由である。
非磁性ギャップ層153は、サイド枠構成部35に埋設されており、この非磁性ギャップ層153に接してバイアス磁界印加層154が形成されている(図4参照)。図4の形態では、非磁性ギャップ層153の上にバイアス磁界印加層154が形成されている。また、図示の形態では、非磁性ギャップ層153により、第1のシールド層3の軟磁性部材が分断されているが、非磁性ギャップ層153とバイアス磁界印加層154との積層体によって、第1のシールド層3の軟磁性部材を分断するようにしてもよい。
本発明において、非磁性ギャップ層153の作用は重要であり、非磁性ギャップ層153は、バイアス磁界印加層154から発せられる磁束を、効率よくフロント枠構成部31側まで送り出す作用をするように設計配置されることが重要である。
すなわち、本発明における非磁性ギャップ層153とバイアス磁界印加層154との組合わせ体は、第1のシールド層3を構成する枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部31の磁化を単磁区化するように設計・構成される。非磁性ギャップ層153のY方向長さは、上述した非磁性ギャップ層155と同様にすればよい。また、バイアス磁界印加層154のY方向の長さは、上述したバイアス磁界印加層156と同様にすればよい。
特に、本発明においては、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部31の磁化を単磁区化するために、バイアス磁界印加層156から流出される磁束の全磁束量をΦ´b、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部31の磁化を飽和させるための磁束の飽和量をΦ´f(s)とした場合、Φ´b/Φ´f(s)の値は、0.3〜2.0の範囲、好ましくは、0.8〜2.0の範囲に設定されることが望ましい。
バイアス磁界印加層154から流出される磁束の全磁束量Φ´bは、バイアス磁界印加層154を構成する材料の残留磁束密度Brbと、バイアス磁界印加層154から流出する磁束の断面積Sbとの積として表される。つまり、Φ´b=Brb×Sbである。なお、断面積SbはX−Z平面である。
磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部31の磁化を飽和させるための磁束の飽和量Φ´f(s)は、フロント枠構成部31を構成する材料の飽和磁束密度Bsfと、フロント枠構成部31の断面積Sfとの積として表される。なお、断面積SfはY−Z平面である。
第1のシールド層3の厚さと同じであるフロント枠構成部31の厚さT´fは、0.5〜2.0μmとされる。いわゆる磁気シールド機能を発揮するために必要な膜厚であり、当該膜は、いわゆるめっき法により形成される。
これに対して、バイアス磁界印加層154の厚さT´bは、0.1〜0.3μmとされる。当該バイアス磁界印加層154の膜はスパッタ法により成膜されるために、上限値を超えて厚くすることは経済的ロスが大きくなってしまい、また、下限未満とすることはバイアス磁界印加の本来の効果が発揮しにくくなってしまう。
このような膜厚T´f、T´bの違いのもとに、バイアス磁界印加層154から流出される磁束が、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部31にまで到達することができ、かつ、フロント枠構成部31の磁化を単磁区化することが出来るまでに必要な磁束が得られるように、上記所望の数値要件を満たすことが必要となる。
なお、フロント枠構成部31の大きさの一例を挙げると、Y2=5μm(図2参照)、T´f=1μm、X方向幅=30μmである。
バイアス磁界印加層154は、例えば、硬磁性層(ハードマグネット)や、強磁性層と反強磁性層との積層体が用いられる。具体的には、前者としてCoPtやCoCrPtを例示することができ、後者は、CoFeとIrMnとの積層体を例示することができる。
また、非磁性ギャップ層153としては、アルミナ、シリカ等の酸化物;アルミナナイトライド、シリコンナイトライド等の窒化物;Cr、Ta、NiCr、Au、Cu等の非磁性金属;を用いることができる。
また、非磁性ギャップ層153とバイアス磁界印加層154との間には、下地層およびバッファ層を設けることが望ましい。つまり、好ましい態様として、非磁性ギャップ層153の上には、下地層、バッファ層が順次形成され、バッファ層の上に、バイアス磁界印加層154が形成される。
下地層は、主として、非磁性ギャップ層153の表面を平坦化させるために形成され、Ti、Ta等が用いられる。膜厚は、1〜5nm程度とされる。
バッファ層は、バイアス磁界印加層154の結晶性や配向性を向上させる目的で用いられる。バイアス磁界印加層154が硬磁性層(ハードマグネット)から構成される場合、バッファ層の材料としては、Cr、CrTi等が用いられ、膜厚は2〜10nm程度とされる。また、バイアス磁界印加層154が強磁性層と反強磁性層との積層体から構成される場合、バッファ層の材料としては、Ru、NiCr等が用いられ、膜厚は2〜10nm程度とされる。
このような下地層やバッファ層は、双方、用いることが好適ではあるが、下地層やバッファ層のいずれか一方のみを用いてもよい。また、双方使用しない場合であってもよい。
第1のシールド層3の実質的に軟磁性からなる材料としては、NiFe(パーマロイ)、CoZrTa、センダスト、NiFeCo、CoZrNb等を例示することができる。
上述してきた本発明における第1のシールド層3および第2のシールド層、特に、フロント枠構成部31、51は、それぞれ、
(1)外部磁界からの磁気シールド機能、
(2)電極として機能、および
(3)磁気抵抗効果部8のセンサー領域として機能する第1の強磁性層130および第2の強磁性層150の互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態を形成させるための磁気的作用を与える機能、を有している。
本発明で特に、強調すべきは、(3)の機能である。
(1)外部磁界からの磁気シールド機能、
(2)電極として機能、および
(3)磁気抵抗効果部8のセンサー領域として機能する第1の強磁性層130および第2の強磁性層150の互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態を形成させるための磁気的作用を与える機能、を有している。
本発明で特に、強調すべきは、(3)の機能である。
上記(3)の機能を持たせるために、前述したごとく第1のシールド層3のフロント枠構成部31および第2のシールド層5のフロント枠構成部51は、それぞれ、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体(磁化方向制御手段)により磁化方向が制御されている。
図2に示される実施形態では、第1のシールド層3のフロント枠構成部31は、図面右側から左側に向く、マイナスの幅方向(− X方向:符号31b)に磁化が固定されている。この一方で、第2のシールド層5のフロント枠構成部51は、図面左側から右側に向く、プラスの幅方向(+ X方向:符号51a)に磁化が固定されている。
換言すれば、第1のシールド層3のフロント枠構成部31および第2のシールド層5のフロント枠構成部51は、それぞれ、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体(磁化方向制御手段)により単磁区化されてなるように構成される。なお、第1のシールド層3のフロント枠構成部31および第2のシールド層5のフロント枠構成部51との磁化方向は、それぞれ、図面の状態と互いに逆方向を向くようにしてもよい。
(磁気抵抗効果部8の説明)
図2に示されるように、第1のシールド層3のフロント枠構成部31と第2のシールド層5のフロント枠構成部51との間には、磁気抵抗効果部8が介在されている。そして、磁気抵抗効果部8の両側面には、それぞれ、読取りのためのトラック幅を規定するためのアルミナ(Al2O3)等からなる非磁性層4が配置されている。
図2に示されるように、第1のシールド層3のフロント枠構成部31と第2のシールド層5のフロント枠構成部51との間には、磁気抵抗効果部8が介在されている。そして、磁気抵抗効果部8の両側面には、それぞれ、読取りのためのトラック幅を規定するためのアルミナ(Al2O3)等からなる非磁性層4が配置されている。
図2に示されるように磁気抵抗効果部8は、積層膜の略中央に位置する第1の強磁性層130、非磁性中間層140、および第2の強磁性層150からなるセンサー領域と、このセンサー領域と第1のシールド層3のフロント枠構成部31および第2のシールド層5のフロント枠構成部51との間にそれぞれ介在される、第1の交換結合機能ギャップ層300および第2の交換結合機能ギャップ層500を有して構成される。
センサー領域と第1のシールド層3のフロント枠構成部31との間、およびセンサー領域と第2のシールド層5のフロント枠構成部51との間には、記録密度に応じた所定の間隙(ギャップ)が必要となる。信号としての外部磁界のみを確実にセンサー領域に取り込むためである。間隙(ギャップ)を必要以上に大きく取り過ぎると、信号磁界に加えて、隣接する他の信号磁界をもセンサー領域に取り込むおそれが生じる。また、間隙(ギャップ)が必要な距離に至らず、小さくなり過ぎると、信号磁界がセンサー領域を囲むシールド層3、5のフロント枠構成部31、51に吸い込まれて、センサー領域に入り込まなくなるおそれが生じる。
このようなギャップ機能が第1の交換結合機能ギャップ層300および第2の交換結合機能ギャップ層500に備わっていることは勿論のこと、本発明においてはさらに、第1の交換結合機能ギャップ層300および第2の交換結合機能ギャップ層500は、本発明の要部機能(特徴的機能)を発現させるべく、以下に説明するような積層構造から構成されている。
第1の交換結合機能ギャップ層300の説明
図3に示されるように、第1の交換結合機能ギャップ層300は、第1のシールド層3のフロント枠構成部31側から、交換結合伝達層101、ギャップ調整層111、交換結合調整層121を有して構成される。ギャップ調整層111は強磁性体から構成される、いわゆる強磁性層である。
図3に示されるように、第1の交換結合機能ギャップ層300は、第1のシールド層3のフロント枠構成部31側から、交換結合伝達層101、ギャップ調整層111、交換結合調整層121を有して構成される。ギャップ調整層111は強磁性体から構成される、いわゆる強磁性層である。
交換結合伝達層101は、Ru、Rh、Ir、Cr、Cu、Ag、Au、Pt、Pdのグループから選択された少なくとも1つの材料から構成され、これらの中から選定した材質と厚さのそれぞれの設定によって、第1のシールド層3のフロント枠構成部31の磁化31bと、ギャップ調整層111の磁化111aの磁気的結合の強さを調整できるように作用している。また、選定した材質と厚さのそれぞれの設定によって、第1のシールド層3のフロント枠構成部31の磁化31bと磁気結合するギャップ調整層111の磁化111aの方向も定まる。つまり、磁化が互いに逆の方向を向いて磁気的結合する反強磁性的(antiferromagnetically)結合となるのか、あるいは磁化が互いに同じ方向を向いて磁気的結合する強磁性的(ferromagnetically)結合となるのかが定まる。
交換結合調整層121は、Ru、Rh、Ir、Cr、Cu、Ag、Au、Pt、Pdのグループから選択された少なくとも1つの材料から構成され、これらの中から選定した材質と厚さのそれぞれ設定によって、ギャップ調整層111の磁化111aと、第1の強磁性層130の磁化135の磁気的結合の強さを調整できるように作用している。また、選定した材質と厚さのそれぞれの設定によって、ギャップ調整層111の磁化111aと磁気結合する第1の強磁性層130の磁化135の方向も定まる。つまり、反強磁性的結合となるのか、あるいは強磁性結合となるのかが定まる。
本発明においては、第1の強磁性層130がいわゆる外部磁界に感度良く応答するフリー層として機能させることが必要である。そのため、第1のシールド層3のフロント枠構成部31の磁化31bと、ギャップ調整層111の磁化111aの磁気的結合の強さは大きくなるように設定され、ギャップ調整層111の磁化111aと、第1の強磁性層130の磁化135の磁気的結合の強さは比較的に小さくなるように設定される。
第1の交換結合機能ギャップ層300の厚さは、1.5〜6.0nm程度に設定される。
第2の交換結合機能ギャップ層500の説明
図3に示されるように、第2の交換結合機能ギャップ層500は、第2のシールド層5のフロント枠構成部51側から、交換結合伝達層105、ギャップ調整層115、交換結合調整層125を有して構成される。ギャップ調整層115は強磁性体から構成される、いわゆる強磁性層である。
図3に示されるように、第2の交換結合機能ギャップ層500は、第2のシールド層5のフロント枠構成部51側から、交換結合伝達層105、ギャップ調整層115、交換結合調整層125を有して構成される。ギャップ調整層115は強磁性体から構成される、いわゆる強磁性層である。
交換結合伝達層105は、Ru、Rh、Ir、Cr、Cu、Ag、Au、Pt、Pdのグループから選択された少なくとも1つの材料から構成され、これらの中から選定した材質と厚さのそれぞれの設定によって、第2のシールド層5のフロント枠構成部51の磁化51aと、ギャップ調整層115の磁化115bの磁気的結合の強さを調整できるように作用している。また、選定した材質と厚さのそれぞれの設定によって、第2のシールド層5のフロント枠構成部51の磁化51aと磁気結合するギャップ調整層115の磁化115bの方向も定まる。つまり、反強磁性的結合(磁化が互いに逆の方向を向いて磁気的結合)となるのか、あるいは強磁性的結合(磁化が互いに同じ方向を向いて磁気的結合)となるのかが定まる。
交換結合調整層125は、Ru、Rh、Ir、Cr、Cu、Ag、Au、Pt、Pdのグループから選択された少なくとも1つの材料から構成され、これらの中から選定した材質と厚さのそれぞれの設定によって、ギャップ調整層115の磁化115bと、第2の強磁性層150の磁化151の磁気的結合の強さを調整できるように作用している。また、選定した材質と厚さのそれぞれの設定によって、ギャップ調整層115の磁化115bと磁気結合する第2の強磁性層150の磁化151の方向も定まる。つまり、反強磁性的結合となるのか、あるいは強磁性的結合となるのかが定まる。
本発明においては、第2の強磁性層150がいわゆる外部磁界に感度良く応答するフリー層として機能させることが必要である。そのため、第2のシールド層5のフロント枠構成部51の磁化51aと、ギャップ調整層115の磁化115bの磁気的結合の強さは大きくなるように設定され、ギャップ調整層115の磁化115bと、第2の強磁性層150の磁化151の磁気的結合の強さは比較的に小さくなるように設定される。
第2の交換結合機能ギャップ層500の厚さは、1.5〜6.0nm程度に設定される。
磁気的結合の強さ(交換結合磁界の強さ)の調整についての説明
磁気的結合の強さ(交換結合磁界の強さ)の調整について、図10および図11を参照して、以下に説明する。
磁気的結合の強さ(交換結合磁界の強さ)の調整について、図10および図11を参照して、以下に説明する。
図10は、交換結合伝達層101、105、交換結合調整層121、125の構成材料として、RuおよびCuを用いた場合に、RuおよびCuの厚さt〔Å(オングストローム)〕と、交換結合磁界の強さJ〔erg/cm2〕との関係を示したグラフである。なお、このグラフにおいて、RuまたはCuを挟持して交換結合される磁性材料はCo90Fe10合金を用いている。図11は、Cu厚さt〔Å(オングストローム)〕と交換結合磁界の強さJ〔erg/cm2〕との関係を示したグラフであり、基本的には、図10に記載されたCuに関するグラフと実質的に同じであるが、特に、縦軸に示される交換結合磁界の強さJ〔erg/cm2〕の目盛りスパーンを拡大して、縦軸の変動を分り易く表示したものである。
これらの図10および図11のグラフにおいて、交換結合磁界の強さJ〔erg/cm2〕の値がプラス(+)となる場合、いわゆる強磁性的結合(磁化が互いに同じ方向を向いて磁気的結合)が生じる。これとは反対に、交換結合の強さJ〔erg/cm2〕の値がマイナス(−)となる場合、反強磁性的結合(磁化が互いに同じ方向を向いて磁気的結合)が生じる。
交換結合磁界の強さJ〔erg/cm2〕の絶対値|J|は、結合強さの絶対量そのものを示す。
交換結合磁界の強さJ〔erg/cm2〕の絶対値|J|は、結合強さの絶対量そのものを示す。
交換結合伝達層101、105の設定にあたっては、交換結合磁界の強さJ〔erg/cm2〕の絶対値|J|が0.2〔erg/cm2〕を超えるように設計することが好ましい(|J|>0.2〔erg/cm2〕)。交換結合磁界の強さJ〔erg/cm2〕の絶対値|J|が0.2〔erg/cm2〕以下となると、ギャップ調整層111、115の磁化111a,115bが媒体からの磁界の影響を受けて変動し、シールドとしての機能を有してしまうという不都合が生じる。
このような観点から本発明においては、図8や図9に示されるグラフから分るように、(1)交換結合伝達層101、105にCuを用いた場合、Cuの厚さは6〜10Åの範囲に設定されることが好ましく、(2)交換結合伝達層101、105にRuを用いた場合、Ruの厚さは4〜9Åの範囲および16〜20Åの範囲に設定されることが好ましい。
この一方で、交換結合調整層121、125の設定にあたっては、交換結合の強さJ〔erg/cm2〕の絶対値|J|が0.02〔erg/cm2〕を超え、0.6〔erg/cm2〕未満となるように設計することが好ましい(0.02<|J|<0.6〔erg/cm2〕)。交換結合の強さJ〔erg/cm2〕の絶対値|J|が0.02〔erg/cm2〕以下となると、フリー層として機能する第1および第2の強磁性層130、150の磁化状態が多磁区化してバルクハウゼンノイズが発生するという不都合が生じる。この一方で、交換結合の強さJ〔erg/cm2〕の絶対値|J|が0.6〔erg/cm2〕以上となると、フリー層として機能する第1および第2の強磁性層130、150の磁化が媒体からの信号磁界に対して自由に応答できず、低感度化に繋がるという不都合が生じる。
このような観点から本発明においては、図10や図11に示されるグラフから分るように、(1)交換結合調整層121、125にCuを用いた場合、Cuの厚さは13〜16Åの範囲に設定され、(2)交換結合調整層121、125にRuを用いた場合、Ruの厚さは9.5〜20Åの範囲に設定される。
なお、交換結合伝達層101、105、交換結合調整層121、125の構成材料として、Rh、Ir、Cr、Ag、Au、Pt、Pdを用いた場合であっても、RuやCuと同様な設定をすることができる。
第1の強磁性層130、非磁性中間層140、および第2の強磁性層150からなるセンサー領域についての説明
前述したように、第1の強磁性層130、非磁性中間層140および第2の強磁性層150の積層体が、センサー領域を形成しており、その積層体のトータル厚さは、10〜20nm程度とされる。これらの中で第1の強磁性層130および第2の強磁性層150は、外部から印加された磁界の影響を受けて、各層の磁化の方向が変化するいわゆるフリー層として機能する。
前述したように、第1の強磁性層130、非磁性中間層140および第2の強磁性層150の積層体が、センサー領域を形成しており、その積層体のトータル厚さは、10〜20nm程度とされる。これらの中で第1の強磁性層130および第2の強磁性層150は、外部から印加された磁界の影響を受けて、各層の磁化の方向が変化するいわゆるフリー層として機能する。
第1の強磁性層130および第2の強磁性層150を構成する材料としては、NiFe、CoFe、CoFeB、CoFeNi、Co2MnSi、Co2MnGe、FeOx(Feの酸化物)等を例示することができる。各層の厚さは、それぞれ、0.5〜8nm程度とされる。
非磁性中間層140はMR効果を発現させるための必須の膜であり、Cu、Au、Ag、Zn、Ga、TiOx、ZnO、InO、SnO、GaN、ITO(Indium Tin Oxide)、Al2O3、MgO等を例示することができる。非磁性中間層140を、2層以上の積層膜とすることも好ましい態様である。好適な具体例として、Cu/ZnO/Cuの3層積層膜を挙げることができる。CuをZnで置換したCu/ZnO/Znの3層積層膜も出力の向上が図られて好ましい態様である。
非磁性中間層140の厚さは0.5〜5nm程度とされる。
〔磁気抵抗効果素子の変形例の説明〕
図5〜図7は、それぞれ、図3に相当する図面であり、磁気抵抗効果部8の構成変形例を示した図面である。
図5〜図7は、それぞれ、図3に相当する図面であり、磁気抵抗効果部8の構成変形例を示した図面である。
いずれの変形例を示す図面においても、フリー層として機能する第1の強磁性層130および第2の強磁性層150には、それぞれ、第1のシールド層3のフロント枠構成部31および第2のシールド層5のフロント枠構成部51からの磁気的作用の影響を受けて、互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態が形成される作用が働いている点では同じである。異なるのは交換結合伝達層101、105および交換結合調整層121、125の材質や膜厚仕様を変えて、反強磁性的結合を利用するのか、あるいは強磁性的結合を利用するのかである。
図8は、本発明の他の実施の形態における磁気抵抗効果素子のABS(Air Bearing Surface)から見た斜視図である。図9は、図8における磁気抵抗効果素子のセンサー領域を含む磁気抵抗効果部を拡大して示した模式図である。
図8に示される実施形態では、第1のシールド層3のフロント枠構成部31は、図面右側から左側に向く、マイナスの幅方向(−X方向)に磁化が固定されている。同様に、第2のシールド層5のフロント枠構成部51もまた、図面右側から左側に向く、マイナスの幅方向(−X方向)に磁化が固定されている。
この変形例の実施形態においても、フリー層として機能する第1の強磁性層130および第2の強磁性層150には、それぞれ、第1のシールド層3のフロント枠構成部31および第2のシールド層5のフロント枠構成部51からの磁気的作用の影響を受けて、互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態が形成される作用が働いている。交換結合伝達層101、105および交換結合調整層121、125は、それらの材質や膜厚仕様の選定により、反強磁性的結合を利用できたり、あるいは強磁性的結合を利用できたりする。図9に変えて、図5〜図7に示されるような磁気抵抗効果部8の構成変形例を適用させることができる。
図12には、磁気抵抗効果部8の新たな構成変形例が示されている。上述してきた磁気抵抗効果部8の構成と異なる点は、第1の交換結合機能ギャップ層300の構成、および第2の交換結合機能ギャップ層500の構成である。すなわち、図12において、第1の交換結合機能ギャップ層300は、第1のシールド層3のフロント枠構成部31側から、交換結合伝達層101、ギャップ調整層111、交換結合伝達層102、ギャップ調整層112、および交換結合調整層121、を順次含み、この一方で、第2の交換結合機能ギャップ層500は、第2のシールド層5のフロント枠構成部51側から、交換結合伝達層105、ギャップ調整層115、交換結合伝達層106、ギャップ調整層116、および交換結合調整層125、を順次含む、構成となっている。この実施形態においても、交換結合伝達層、ギャップ調整層、および交換結合調整層と記載された層の各構成は、上述した図3、図5〜図7等で示された交換結合伝達層、ギャップ調整層、および交換結合調整層の構成と同じである。
図12に示される実施形態において、(1)ギャップ調整層111とギャップ調整層112の2つの強磁性層の磁化量Mstを一致させ、かつ、互いに強く反強磁性的結合をさせること、並びに、(2)ギャップ調整層115とギャップ調整層116の2つの強磁性層の磁化量Mstを一致させ、かつ、互いに強く反強磁性的結合をさせることで、外部磁界に対する応答をゼロとすることが可能となり、特に好ましい実施例が実現できる。また、交換結合伝達層の結合強度が比較的弱くても、確実にギャップ層としての機能を持たせることが可能になる。なお、図12に示される構成においては、交換結合調整層としてRuの三番目のピーク(3rd Peak)を使用してもよい。
〔磁気抵抗効果素子の変形例の説明〕
図1に示されるような磁気抵抗効果素子の構造は、バイアス磁界印加層154、156(図1)および後述する素子バイアス磁界印加手段(素子バイアス印加層)600(図15)を、一括同時に着磁操作することが出来る点においても、すぐれた形態である。
図1に示されるような磁気抵抗効果素子の構造は、バイアス磁界印加層154、156(図1)および後述する素子バイアス磁界印加手段(素子バイアス印加層)600(図15)を、一括同時に着磁操作することが出来る点においても、すぐれた形態である。
さらに、図1に示される2つの第1のシールド層3と第2のシールド層5は、それぞれ、別体として形成するのではなく、図13に示されるように、磁路が連続して繋がった一体化物として形成することもできる。この形態も本願発明の範囲内である。
また、図1に示される第1のシールド層3あるいは第2のシールド層5と同じ形態の物を2枚準備して、上下に配置することもできる。この場合において、2つのバイアス磁界印加層を同一のY方向に着磁した場合、第1のシールド層3と第2のシールド層5のフロント枠構成部31、51は、図8に示されるような磁界方向31b、51bとなる。
さらに、変形例というよりは、むしろ、シールドへの磁化の付与手段を変えた他の実施形態が図21に示される。図21は、本発明の他の実施形態における磁気抵抗効果素子の斜視図であって、ABS(Air Bearing Surface)方向から見た斜視図である。図21に示される第1のシールド層3´および第2のシールド層5´の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部31´、51´を有し、さらに、前記第1および第2のシールド層の枠形状体の一部には、コイル154´、156´がそれぞれ巻かれ、当該コイル154´、156´への通電により発生した磁束により、前記第1および第2のシールド層のフロント枠構成部31´、51´の磁化を単磁区化し、かつ磁化方向を制御するように構成される。なお、コイル154´、156´への通電方向(電流印加方向)を適宜選択することにより、第1および第2のシールド層のフロント枠構成部31´、51´の磁化方向を変えることができる。
〔磁気抵抗効果素子の外部磁界の検出動作の説明〕
図14A〜図14Cを参照しつつ本発明の磁気抵抗効果素子の外部磁界の検出動作を説明する。
図14A〜図14Cを参照しつつ本発明の磁気抵抗効果素子の外部磁界の検出動作を説明する。
磁化方向を直交化させる素子バイアス磁界が印加される前においては、第1の強磁性層130および第2の強磁性層150は、それぞれ、第1のシールド層3のフロント枠構成部31および第2のシールド層5のフロント枠構成部51の磁気的作用の影響を受けて、互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態となっている。
第1の強磁性層130および第2の強磁性層150の後方(奥域側:Y方向)には、通常、図15に示されるように、ハードマグネット等の素子バイアス磁界印加手段(素子バイアス印加層)600が設置されており、この素子バイアス磁界印加手段600からのバイアス磁界によって、第1の強磁性層130および第2の強磁性層150に対してバイアス磁界が印加される。これによって、第1の強磁性層130の磁化135および第2の強磁性層150の磁化151の実質的な直交化が図られ、図14Aに示される状態に至る。この状態が磁気抵抗効果素子(磁気抵抗効果部8)としてのイニシャルの状態(初期状態)である。
図14Bに示されるように、ABSから素子側に流入する方向の外部磁界D1を検出すると、第1の強磁性層130の磁化135、および第2の強磁性層150の磁化151は同じ方向を向く傾向となり、素子の抵抗は小さくなる。
この一方で、図14Cに示されるように、ABSから離れる方向の外部磁界D2を検出すると、第1の強磁性層130の磁化135、および第2の強磁性層150の磁化151は双方で反対の方向を向く傾向が生じ、素子の抵抗は大きくなる。
このような外部磁界に対する一連の抵抗変化を測定するによって、外部磁界を検出することができる。
なお、磁気抵抗効果素子の構造を図1に示されるような構造とすることにより、バイアス磁界印加層154、156(図1)および素子バイアス磁界印加手段(素子バイアス印加層)600(図15)は、一括で同時に、同じ着磁方向(Y方向)となるように着磁操作することができ、着磁工程の簡略化および着磁操作の確実性を実現することができる。
〔薄膜磁気ヘッドの全体構造についての説明〕
図16には、いわゆるエアベアリング面(ABS)に平行な薄膜磁気ヘッドの断面図(Y−Z平面での断面)が示されている。
図16には、いわゆるエアベアリング面(ABS)に平行な薄膜磁気ヘッドの断面図(Y−Z平面での断面)が示されている。
図16に示される薄膜磁気ヘッド100は、媒体進行方向Mに移動する例えばハードディスクなどの記録媒体10に磁気的な処理を施すために、例えばハードディスクドライブなどの磁気記録装置に搭載されて使用される。
図面に例示されている薄膜磁気ヘッド100は、磁気的処理として記録処理および再生処理の双方を実行可能ないわゆる複合型ヘッドであり、その構造は、図16に示されるように、例えばアルティック(Al2O3・TiC)などのセラミック材料より構成されたスライダ基板1の上に、磁気ヘッド部101が形成された構成を有している。
磁気ヘッド部101は、磁気抵抗(MR:Magneto-Resistive)効果を利用して記録された磁気情報の再生処理を行う再生ヘッド部100Aと、例えば、垂直記録方式の記録処理を実行するシールド型の記録ヘッド部100Bとが、積層された構成を有している。
以下さらに詳細に説明する。
第1のシールド層3と第2のシールド層5は、スライダ基板1の側面1aに略平行となるように形成された平面的な層であり、また、これらの層3、5は、媒体対向面70であるABSの一部を形成している。
第1のシールド層3と第2のシールド層5は、スライダ基板1の側面1aに略平行となるように形成された平面的な層であり、また、これらの層3、5は、媒体対向面70であるABSの一部を形成している。
磁気抵抗効果部8は、第1のシールド層3および第2のシールド層5に挟まれるように配置されており、媒体対向面70の一部を形成している。そして、媒体対向面70に垂直方向(Y方向)のハイトがMRハイト(MR−h)となる。
第1のシールド層3および第2のシールド層5は、例えば、フレームめっき法を含むパターンめっき等によって形成される。なお、図面では明示してないが、第1のシールド層3および第2のシールド層5は、上述してきた本発明の作用効果を発現するように構成されている必要がある。
磁気抵抗効果部8は、スライダ基板1の側面1aに略平行となるように形成された積層膜であり、媒体対向面70の一部を構成している。
磁気抵抗効果部8は、例えば、その積層面と垂直方向にセンス電流が流れる膜面垂直型(CPP(Current Perpendicular to Plane))の積層膜であり、前述したような構成とされる。
また、図16に示されるように、第2のシールド層5と記録ヘッド部100Bとの間には、第2のシールド層5と同様の材料からなる素子間シールド層9が形成されている。
素子間シールド層9は、センサーとして機能する磁気抵抗効果部8を、記録ヘッド部100Bより発生する磁界から遮断して、読み出しの際の外来ノイズを防止する役割を果たしている。また、素子間シールド層9と記録ヘッド部100Bとの間に、さらにバッキングコイル部が形成されていてもよい。バッキングコイル部は、記録ヘッド部100Bから発生して磁気抵抗効果部8の上下電極層を経由する磁束ループを打ち消す磁束を発生させるものであり、磁気ディスクへの不要な書き込み、または消去動作である広域隣接トラック消去(WATE)現象の抑制を図るように作用する。
磁気抵抗効果部8の媒体対向面70とは反対側の第1および第2シールド層3、5の間隙;並びに第1および第2シールド層3、5、および素子間シールド層9の媒体対向面70とは反対側である後方部位;並びに第1のシールド層3とスライダ基板1との間隙;並びに素子間シールド層9と記録ヘッド部100Bとの間隙、にはそれぞれアルミナ等から形成された絶縁層4、44が形成されている。
記録ヘッド部100Bは、垂直磁気記録用として構成されることが好ましく、図16に示されるように、主磁極層15、ギャップ層18、コイル絶縁層26、コイル層23、および補助磁極層25を有している。
主磁極層15は、コイル層23によって誘導された磁束を、書き込みがなされる磁気記録媒体10の記録層まで収束させながら導くための導磁路として構成される。ここで主磁極層15の媒体対向面70側の端部において、トラック幅方向(図16のX軸に沿った方向)の幅、および積層方向(図16のZ軸に沿った方向)の厚さは、他の部分に比べて小さくすることが好ましい。この結果、高記録密度化に対応した微細で強い書き込み用磁界を発生させることが可能となる。
主磁極層15に磁気的に結合した補助磁極層25の媒体対向面70側の端部は、補助磁極層25の他の部分よりも層断面が広いトレーリングシールド部を形成している。図16に示されるように、補助磁極層25は、アルミナ等の絶縁材料により形成されたギャップ層18、およびコイル絶縁層26を介在させて、主磁極層15の媒体対向面70側の端部と対向配置されている。
このような補助磁極層25を設けることによって、媒体対向面70近傍における補助磁極層25と主磁極層15との間において磁界勾配をより急峻にさせることができる。この結果、信号出力のジッタが小さくなって読み出し時のエラーレートを小さくすることができる。
補助磁極層25は、例えば、フレームめっき法、スパッタリング法等を用いて、例えば、厚さ約0.5〜5μmに形成される。使用材料としては、例えば、Ni、FeおよびCoのうち、いずれか2つ若しくは3つからなる合金を用いたり、あるいは、これらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成される。
ギャップ層18は、コイル層23と主磁極層15とを離間させるように形成される。ギャップ層18は、例えばスパッタリング法、CVD法等を用いて形成された、例えば、厚さ0.01〜0.5μm程度のAl2O3、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等から構成される。
〔ヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置についての説明〕
次いで、上述してきた薄膜ヘッドが搭載されて使用されるヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置の一例について説明する。
次いで、上述してきた薄膜ヘッドが搭載されて使用されるヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置の一例について説明する。
まず、図17を参照して、ヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダ210について説明する。ハードディスク装置において、スライダ210は、回転駆動される円盤状の記録媒体であるハードディスクに対向するように配置される。このスライダ210は、主に基板およびオーバーコートからなる基体211を備えている。
基体211は、ほぼ六面体形状をなしている。基体211の六面のうちの一面は、ハードディスクに対向するようになっている。この一面には、媒体対向面30が形成されている。
ハードディスクが図17におけるz方向に回転すると、ハードディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図17におけるy方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によってハードディスクの表面から浮上するようになっている。なお、図17におけるx方向は、ハードディスクのトラック横断方向である。
スライダ210の空気流出側の端部(図17における左下の端部)の近傍には、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドが形成されている。
次に、図18を参照して、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。
ベースプレート224は、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向xに移動させるためのアクチュエータのアーム230に取り付けられるようになっている。アクチュエータは、アーム230と、このアーム230を駆動するボイスコイルモータとを有している。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
ヘッドジンバルアセンブリ220は、アクチュエータのアーム230に取り付けられる。1つのアーム230にヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。また、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドスタックアセンブリと呼ばれる。
図18は、ヘッドアームアセンブリの一例を示している。このヘッドアームアセンブリでは、アーム230の一端部にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持するための軸234に取り付けられる軸受け部233が設けられている。
次に図19および図20を参照して、ヘッドスタックアセンブリの一例と本実施の形態に係るハードディスク装置について説明する。
図19はハードディスク装置の要部を示す説明図、図20はハードディスク装置の平面図である。
ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250は、ハードディスク装置に組み込まれる。
ハードディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚のハードディスク262を有している。各ハードディスク262毎に、ハードディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、本発明における位置決め装置に対応しスライダ210を支持すると共にハードディスク262に対して位置決めする。
本実施の形態に係るハードディスク装置では、アクチュエータによって、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向に移動させて、スライダ210をハードディスク262に対して位置決めする。スライダ210に含まれる薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって、ハードディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによって、ハードディスク262に記録されている情報を再生する。
本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置は、前述の本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドと同様の効果を奏する。
また、実施の形態では、基体側に再生ヘッド部を形成し、その上に、垂直記録ヘッド部を積層した構造の薄膜磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。また、再生専用の薄膜ヘッドとして用いる場合には、再生ヘッド部だけを備えた構成としてもよい。
以下に、本発明の磁気抵抗効果素子に関する具体的実験例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
(実験例1)
図1および図2に示される構成からなる磁気抵抗効果素子の実験用サンプル(実施例1サンプル)を作製した。
図1および図2に示される構成からなる磁気抵抗効果素子の実験用サンプル(実施例1サンプル)を作製した。
すなわち、下記表1に示されるように、幅30μm(X軸方向の寸法)、長さ5μm(Y軸方向の寸法)、厚さ1μm(Z軸方向の寸法)のNiFeからなる第1のシールド層3のフロント枠構成部31の上に、表1に示される積層構成からなる磁気抵抗効果部8を形成し、この磁気抵抗効果部8の上に、幅30μm(X軸方向の寸法)、長さ5μm(Y軸方向の寸法)、厚さ1μm(Z軸方向の寸法)のNiFeからなる第2のシールド層5のフロント枠構成部51を形成した。磁気抵抗効果部8の両サイドはアルミナにより絶縁した。
第1のシールド層3および第2のシールド層5は、それぞれ、上記寸法のフロント枠構成部31、51を備えており、第1のシールド層3および第2のシールド層5の形態および配置は、図1に示されるような形態および配置とした。
第1のシールド層3のサイド枠構成部35(X方向幅:Y1=Y3=25μm)は、第1非磁性ギャップ層153と第2バイアス磁界印加層154との組合わせ体を部分的に備え、同様に、第2のシールド層5のサイド枠構成部55は、第2非磁性ギャップ層155と第2バイアス磁界印加層156との組合わせ体を部分的に備える形態とした。
第1非磁性ギャップ層153および第2非磁性ギャップ層155は、それぞれ、X方向幅25μm、Y方向長さ25μm、Z方向厚さ1μmの大きさのアルミナ材料から構成し、軟磁性からなるシールドを分断するように埋め込んで形成した。
第1バイアス磁界印加層154および第2バイアス磁界印加層156は、それぞれ、第1非磁性ギャップ層153および第2非磁性ギャップ層155の上に同じX−Y寸法となるように形成した。Z方向厚さは、0.2μmとした。材料は、CoCrPtとした。成膜は、スパッタ法により行なった。なお、非磁性ギャップ層155(153)とバイアス磁界印加層156(154)との間には、非磁性ギャップ層155(153)側から、Taからなる下地層(厚さ3nm)およびCrTiからなるバッファ層(厚さ5nm)を介在させた。
第1バイアス磁界印加層154および第2バイアス磁界印加層156からの磁界により、第1のシールド層3および第2のシールド層5のそれぞれ、フロント枠構成部31、51は、単磁区構造が形成されており、フロント枠構成部31、51の磁化方向は、図1および図2に示されるように反平行とされている。
表1に示される構成においては、図3に示されるごとく、第1のシールド層3のフロント枠構成部31の磁化31bは、ギャップ調整層111の磁化111aと反強磁性的結合しており、ギャップ調整層111の磁化111aは、第1の強磁性層130の磁化135と反強磁性的結合している。また、第2のシールド層5のフロント枠構成部51の磁化51aは、ギャップ調整層115の磁化115bと反強磁性的結合しており、ギャップ調整層115の磁化115bは、第2の強磁性層150の磁化151と反強磁性的結合している。
このようにして形成した実施例1サンプルの磁気抵抗効果素子を用いて、−400 Oe〜400 Oeに相当する媒体からの信号磁界を検出させたところ、実用化可能な磁気抵抗変化を得ることが確認できた。
さらに、実施例1サンプルの磁気抵抗効果素子に対して、外部磁界として500 Oeストレス磁界を印加し、ストレス磁界印加の前および後における出力変動値を測定した結果、不良素子の発生率は、極めて少なく、実施例1サンプルの磁気抵抗効果素子は、耐磁場性に極めて優れることが確認できた。
(実験例2)
上記実験例1の実施例1サンプルにおいて、センサー領域を構成する非磁性中間層140を構成する材料をCu(厚さ0.5nm)/ZnO(厚さ1.8nm)/Cu(厚さ0.5nm)の3層積層体から、MgO(厚さ0.8nm)に変えた。
上記実験例1の実施例1サンプルにおいて、センサー領域を構成する非磁性中間層140を構成する材料をCu(厚さ0.5nm)/ZnO(厚さ1.8nm)/Cu(厚さ0.5nm)の3層積層体から、MgO(厚さ0.8nm)に変えた。
それ以外は、上記実施例1と同様にして、磁気抵抗効果素子の実験用サンプル(実施例2サンプル)を作製した。
このようにして形成した実施例2サンプルの磁気抵抗効果を用いて、−400 Oe〜400 Oeに相当する媒体からの信号磁界を検出させたところ、実用化可能な磁気抵抗変化を得ることが確認できた。さらに、実施例2サンプルの磁気抵抗効果素子に対して、外部磁界として500 Oeストレス磁界を印加し、ストレス磁界印加の前および後における出力変動値を測定した結果、不良素子の発生率は、極めて少なく、実施例2サンプルの磁気抵抗効果素子は、耐磁場性に極めて優れることが確認できた。
(実験例3)
上記実験例1の実施例1サンプルにおいて、第1の交換結合ギャップ層300および第2の交換結合ギャップ層500の積層構成を、下記表2に示されるように変え、図12に示されるような実施形態の磁気抵抗効果素子の実験用サンプル(実施例3サンプル)を作製した。
上記実験例1の実施例1サンプルにおいて、第1の交換結合ギャップ層300および第2の交換結合ギャップ層500の積層構成を、下記表2に示されるように変え、図12に示されるような実施形態の磁気抵抗効果素子の実験用サンプル(実施例3サンプル)を作製した。
表2に示される構成においては、図12に示されるごとく、第1のシールド層3のフロント枠構成部31の磁化31bは、ギャップ調整層111の磁化111aと反強磁性的結合しており、ギャップ調整層111の磁化111aは、ギャップ調整層112の磁化112bの磁化と反強磁性的結合しており、ギャップ調整層112の磁化112bは、第1の強磁性層130の磁化135と反強磁性的結合している。同様に、第2のシールド層5のフロント枠構成部51の磁化51aは、ギャップ調整層115の磁化115bと反強磁性的結合しており、ギャップ調整層115の磁化115bは、ギャップ調整層116の磁化116aの磁化と反強磁性的結合しており、ギャップ調整層116の磁化116aは、第2の強磁性層150の磁化151と反強磁性的結合している。
この実施例3サンプルにおいて、(1)ギャップ調整層111とギャップ調整層112の2つの強磁性層の磁化量Mstは同じであり、かつ、互いに強く反強磁性的結合をさせられており、同様に、(2)ギャップ調整層115とギャップ調整層116の2つの強磁性層の磁化量Mstは同じ一致であり、かつ、互いに強く反強磁性的結合をさせられている。
このようにして形成した実施例3サンプルの磁気抵抗効果を用いて、−400 Oe〜400 Oeに相当する媒体からの信号磁界を検出させたところ、実用化可能な磁気抵抗変化を得ることが確認できた。さらに、実施例3サンプルの磁気抵抗効果素子に対して、外部磁界として500 Oeストレス磁界を印加し、ストレス磁界印加の前および後における出力変動値を測定した結果、不良素子の発生率は、極めて少なく、実施例3サンプルの磁気抵抗効果素子は、耐磁場性に極めて優れることが確認できた。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
すなわち、本発明は、磁気抵抗効果部と、前記磁気抵抗効果部を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層と、を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子であって、前記磁気抵抗効果部は、非磁性中間層と、この非磁性中間層を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層および第2の強磁性層とを有し、前記下方に位置する第1のシールド層、および前記上方に位置する第2のシールド層は、それぞれ、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、枠形状体に形成されており、前記第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部を有し、前記磁気抵抗効果部を構成する第1の強磁性層および第2の強磁性層には、それぞれ、前記第1のシールド層のフロント枠構成部および前記第2のシールド層のフロント枠構成部の磁気的作用の影響を受けて、互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態が形成される作用が働いているように構成されているので、2つの強磁性層(Free Layer)間に介在される中間膜の材質や、中間膜の特殊な構造に制約を受けることなく、2つの強磁性層(Free Layer)の反平行の磁化状態を簡易な構造で実現でき、近年の超高記録密度化の要求に応じるべく、「Read Gap長さ」(上下シールド層の間隙)を狭くできる構造を採択して線記録密度の向上を図ることができる。さらには、安定した磁気抵抗効果変化を得ることができ、より信頼性の向上を図ることができる。
すなわち、本発明は、磁気抵抗効果部と、前記磁気抵抗効果部を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層と、を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子であって、前記磁気抵抗効果部は、非磁性中間層と、この非磁性中間層を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層および第2の強磁性層とを有し、前記下方に位置する第1のシールド層、および前記上方に位置する第2のシールド層は、それぞれ、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、枠形状体に形成されており、前記第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部を有し、前記磁気抵抗効果部を構成する第1の強磁性層および第2の強磁性層には、それぞれ、前記第1のシールド層のフロント枠構成部および前記第2のシールド層のフロント枠構成部の磁気的作用の影響を受けて、互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態が形成される作用が働いているように構成されているので、2つの強磁性層(Free Layer)間に介在される中間膜の材質や、中間膜の特殊な構造に制約を受けることなく、2つの強磁性層(Free Layer)の反平行の磁化状態を簡易な構造で実現でき、近年の超高記録密度化の要求に応じるべく、「Read Gap長さ」(上下シールド層の間隙)を狭くできる構造を採択して線記録密度の向上を図ることができる。さらには、安定した磁気抵抗効果変化を得ることができ、より信頼性の向上を図ることができる。
本発明の産業上の利用可能性として、本発明は、磁気記録媒体等の磁界強度を信号として読み取るための磁気抵抗効果素子を備える磁気ディスク装置の産業に利用できる。
3…第1のシールド層
5…第2のシールド層
8…磁気抵抗効果部
31、51…フロント枠構成部
130…第1の強磁性層
140…非磁性中間層
150…第2の強磁性層
153、155…非磁性ギャップ層
154、156…バイアス磁界印加層
5…第2のシールド層
8…磁気抵抗効果部
31、51…フロント枠構成部
130…第1の強磁性層
140…非磁性中間層
150…第2の強磁性層
153、155…非磁性ギャップ層
154、156…バイアス磁界印加層
Claims (17)
- 磁気抵抗効果部と、
前記磁気抵抗効果部を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層と、を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子であって、
前記磁気抵抗効果部は、非磁性中間層と、この非磁性中間層を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層および第2の強磁性層とを有し、
前記下方に位置する第1のシールド層、および前記上方に位置する第2のシールド層は、それぞれ、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、枠形状体に形成されており、前記第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部を有し、
前記磁気抵抗効果部を構成する第1の強磁性層および第2の強磁性層には、それぞれ、前記第1のシールド層のフロント枠構成部および前記第2のシールド層のフロント枠構成部の磁気的作用の影響を受けて、互いの磁化方向が逆方向となる反平行磁化状態が形成される作用が働いていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 前記第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の端部から後方に向かうサイド位置に配置されるサイド枠構成部とを有し、
前記第1のシールド層のサイド枠構成部の幅Y1は、前記第1のシールド層のフロント枠構成部の奥域長さY2よりも大きく形成されており(Y1>Y2)、
前記第2のシールド層のサイド枠構成部の幅Y3は、前記第2のシールド層のフロント枠構成部の奥域長さY4よりも大きく形成されており(Y3>Y4)、
前記第1のシールド層のサイド枠構成部は、第1非磁性ギャップ層と第1バイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、前記第1非磁性ギャップ層は、前記第1バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記第1のシールド層のフロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、前記第1非磁性ギャップ層と第1バイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記第1のシールド層を構成する枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記第1のシールド層のフロント枠構成部の磁化を単磁区化し、かつ磁化方向を制御するように構成され、
前記第2のシールド層のサイド枠構成部は、第2非磁性ギャップ層と第2バイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、前記第2非磁性ギャップ層は、前記第2バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記第2のシールド層のフロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、前記第2非磁性ギャップ層と第2バイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記第2のシールド層を構成する枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記第2のシールド層のフロント枠構成部の磁化を単磁区化し、かつ磁化方向を制御するように構成されてなる請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記磁気抵抗効果部を構成する第1の強磁性層は、磁化方向が制御された前記第1のシールド層のフロント枠構成部と、第1の交換結合機能ギャップ層を介して、間接的に磁気的な結合がなされており、
前記磁気抵抗効果部を構成する第2の強磁性層は、磁化方向が制御された前記第2のシールド層のフロント枠構成部と、第2の交換結合機能ギャップ層を介して、間接的に磁気的な結合がなされている請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記第1の交換結合機能ギャップ層は、前記第1のシールド層側から、交換結合伝達層、ギャップ調整層、および交換結合調整層を順次含み、
前記第2の交換結合機能ギャップ層は、前記第2のシールド層側から、交換結合伝達層、ギャップ調整層、および交換結合調整層を順次含む、請求項3に記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記交換結合伝達層は、Ru、Rh、Ir、Cr、Cu、Ag、Au、Pt、Pdのグループから選択された少なくとも1つの材料から構成され、
前記ギャップ調整層は強磁性体から構成され、
前記交換結合調整層は、Ru、Rh、Ir、Cr、Cu、Ag、Au、Pt、Pdのグループから選択された少なくとも1つの材料から構成される請求項4に記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記第1の交換結合機能ギャップ層は、前記第1のシールド層側から、交換結合伝達層、ギャップ調整層、交換結合伝達層、ギャップ調整層、および交換結合調整層、を順次含み、
前記第2の交換結合機能ギャップ層は、前記第2のシールド層側から、交換結合伝達層、ギャップ調整層、交換結合伝達層、ギャップ調整層、および交換結合調整層、を順次含む、請求項3に記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記非磁性中間層は、中央にZnOを配置させた3層積層膜から構成される請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記第1のシールド層において、第1バイアス磁界印加層から流出される全磁束量をΦ´b、フロント枠構成部の磁化を飽和させるための磁束の飽和量をΦ´f(s)、とした場合、Φ´b/Φ´f(s)=0.3〜2.0の範囲に設定され、
前記第2のシールド層において、第2バイアス磁界印加層から流出される磁束の全磁束量をΦb、フロント枠構成部の磁化を飽和させるための磁束の飽和量Φf(s)、とした場合、Φb/Φf(s)=0.3〜2.0の範囲に設定されてなる請求項2ないし請求項7のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記第1のシールド層のサイド枠構成部の幅Y1が、前記第1のシールド層のフロント枠構成部の奥域長さY2の1.4〜10倍であり、
前記第2のシールド層のサイド枠構成部の幅Y3が、前記第2のシールド層のフロント枠構成部の奥域長さY4の1.4〜10倍である請求項2ないし請求項8のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記第1非磁性ギャップ層は、前記第1のシールド層のサイド枠構成部に埋設されており、当該第1非磁性ギャップ層に接して第1バイアス磁界印加層が形成されており、
前記第2非磁性ギャップ層は、前記第2のシールド層のサイド枠構成部に埋設されており、当該第2非磁性ギャップ層に接して第2バイアス磁界印加層が形成されている請求項2ないし請求項9のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記第1のシールド層および第2のシールド層の厚さが、0.5〜2.0μmであり、前記第1のバイアス磁界印加層および第2のバイアス磁界印加層の厚さが0.1〜0.3μmである請求項2ないし請求項10のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記磁気抵抗効果部の奥域の長さ方向(Y方向)には、フリーとして機能する第1の強磁性層および第2の強磁性層に対して、初期状態としての磁化方向アングルを規定するための素子バイアス印加層が配置される請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記バイアス磁界印加層および素子バイアス印加層は、一括同時に着磁操作され、長さ方向(Y方向)に着磁されてなる請求項12に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記第1および第2のシールド層の枠形状体は、それぞれ、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部を有し、さらに、前記第1および第2のシールド層の枠形状体の一部には、コイルが巻かれ、当該コイルへの通電により発生した磁束により、前記第1および第2のシールド層のフロント枠構成部の磁化を単磁区化し、かつ磁化方向を制御するように構成されてなる請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
- 記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された請求項1ないし請求項14のいずれかに記載された磁気抵抗効果素子と、
を有してなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 請求項15に記載された薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと、
を備えてなることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。 - 請求項15に記載された薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
前記スライダを支持するとともに前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と、
を備えてなることを特徴とする磁気ディスク装置。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045 Effective date: 20100427 |