JP2009175937A - 異常検出装置及び異常検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】協働して被加工物に対する加工又は処理を実施する複数の駆動系と、該複数の駆動系それぞれをフィードバック制御す制御系とからなる製造プラントの駆動系で発生する異常な稼働状態を検出する異常検出装置3を提供する。この異常検出装置3は、駆動系の動作状態を検知したフィードバック信号を測定する測定部132,133と、一の駆動系110のフィードバック信号、又は当該フィードバック信号から生成される該一の駆動系の駆動信号から、所定周波数成分を抽出する周波数解析部302と、所定周波数成分の振幅値に基づいて、一の駆動系と協働する他の駆動系120で発生する異常な稼働状態を異常の発生に先立って検出する異常検出部304と、を有する。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、原子力・火力等の発電プラントや化学・鉄鋼などの各種プラントに設置され、そのプラントの状態を監視・診断するプラント診断装置が開示されている。又、特許文献2には、各種の生産機械・工作機械等における性能低下や故障発生の可能等を環視する設備状態監視方法が開示されている。特許文献1及び特許文献2に開示された装置によれば、FFT(Finite Fourier transform)等の周波数成分分析手法を用いて、監視する駆動系の物理的信号を解析する。そして、解析により得られたスペクトルと、正常のスペクトル又は基準となるスペクトルとの差異を評価して、駆動系の異常を診断する。
この構成によれば、異常な稼働状態の発生が検出される他の駆動系に対する一の駆動系を、帯状物の被加工物又は一連の被加工物に対して協働して製造工程の加工又は処理を実施する駆動系に決定することができる。よって、他の駆動系で発生する異常な稼働状態の前兆は、帯状物の被加工物又は一連の被加工物を介して一の駆動系に伝達される。よって、一の駆動系のフィードバック信号又は駆動信号の所定の周波数成分の振幅値から、他の駆動系で発生する異常な稼働状態を予め検出することができる。
この構成によれば、周波数解析部は、2以上の駆動系からの所定の周波数成分の振幅値に基づいて、他の駆動系で発生する異常な稼働状態を検出することができる。つまり、例えば、2以上の振幅全てに兆候が現われた場合に異常を検出したり、いずれかの振幅値に兆候が現われた場合に異常を検出したり、兆候が現われた振幅値が過半数を超えた場合に異常を検出したり、兆候が現われた振幅値を演算した結果から異常を検出するなど、2以上の振幅値の組み合わせにより、他の駆動系で発生する異常な稼働状態を検出できる。よって、他の駆動系で発生する異常な稼働状態の検出精度を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る異常検査装置の構成を説明するための説明図である。図2は、本実施形態に係る異常検査装置の適用例であるプラントの構成を説明するための説明図である。
図1には、本発明の一実施形態に係る異常検査装置が適用されるプラントとして、タンデム圧延機を有するプラント1を例示している。タンデム圧延機は、鋼板Sの通板方向Dに沿って配置された複数のスタンドを有する。ここでは、各スタンドを、上流側より順次第1スタンド101,第2スタンド102,第3スタンド103,…と呼び、各スタンドを総称してスタンド100と呼ぶ。各スタンド100には、圧延機110が配置される。例えば、製鋼プラントで製造されたスラブは、加熱炉で加熱され、粗圧延機及び仕上げ圧延機により圧延されて、帯状の連続的に長い鋼板Sが製造される。なお、ここでは、仕上げ圧延機のみを図示している。
図2を参照しつつ、各スタンド100の構成について説明する。
図2に示すように、各スタンド100内には、圧延機110とルーパ120とが配置される。
つまり、ミルモータ112がワークロール111を回転させることにより、ワークロール111と接触している鋼板Sが通板方向Dに通板される。
この際、ASR113は、プラント制御装置2によって制御される。より具体的には、ASR113は、プラント制御装置2のルーパ制御部210から、ロール速度指令信号を取得する。そして、ASR113は、ワークロール111の回転速度がこのロール速度指令信号を満たす(一致する)ように、ミルモータ112にミル電流を出力してミルモータ112を回転させる。この際、ASR113は、ミルモータ112を、ワークロール111又はミルモータ112の回転速度によりフィードバック制御してもよい。
この際、ASR124は、プラント制御装置2によって制御される。より具体的には、ASR124は、プラント制御装置2のルーパ制御部210から、ルーパモータ速度指令信号を取得する。そして、ASR124は、ルーパモータ123の回転速度がこのルーパモータ速度指令信号を満たす(一致する)ように、ルーパモータ123に電流を出力してルーパモータ123を回転させる。この際、ASR124は、ルーパモータ123を、ルーパモータ123の回転速度によりフィードバック制御してもよい。
図2を参照しつつ、更にプラント制御装置2の構成について説明する。
図2に示すように、プラント制御装置2は、各スタンド100に対応して、目標張力設定部201と、張力偏差算出部202と、目標角度設定部203と、角度偏差算出部204と、ルーパ制御部210とを有する。
図1を参照しつつ、更に本発明の一実施形態に係る異常検出装置3について説明する。
図1に示すように、異常検出装置3は、測定信号取得部301と、周波数解析部302と、測定信号記憶部303と、異常検出部304と、異常回避制御部305と、表示部306と、パラメータ設定部307とを有する。
図3に示すように、この第1の測定例の場合、角度θの1.9Hzの成分の振幅値から、t=35秒近傍で第5スタンド105のルーパ120にルーパハンチング(ピークPθ)が発生していることが判る。一方、このルーパハンチングが発生した時刻よりもΔtI(=11.4秒)前に、第6スタンド106のミル電流Iの16.1Hzの成分の振幅値に、ピークPIが発生していることが判る。また、ΔtT(=7.9秒)前には、第2スタンド102の張力Tの10.2Hzの成分の振幅値に、ピークPTが発生していることが判る。
上記第1の測定例と同じプラント1において、他のハンチングを検出した第2の測定例を図4に示す。図4に示すように、この第2の測定例の場合、角度θの1.9Hzの成分の振幅値から、t=45秒近傍で第5スタンド105のルーパ120にルーパハンチング(ピークPθ)が発生していることが判る。一方、このルーパハンチングが発生した時刻よりもΔtI(=2.9秒)前に、第6スタンド106のミル電流Iの16.5Hzの成分の振幅値に、ピークPIが発生していることが判る。また、ΔtT(=4.3秒)前には、第2スタンド102の張力Tの10.5Hzの成分の振幅値に、ピークPTが発生していることが判る。
パラメータ設定部307は、パラメータ設定モードにおいて、測定信号記憶部303から周波数解析部302が解析した周波数成分の履歴を取得して、各種のパラメータを設定又は更新する。このパラメータ設定部307で設定されるパラメータの例としては、周波数解析部302が測定信号から振幅値を抽出する周波数、異常検出部304が使用する各振幅値に対する閾値、「異常検出部304が監視対象の駆動系の異常な稼働状態を検出する際にどの測定信号の振幅値を使用するのか」を表した振幅値などが含まれてもよい。これら各種のパラメータを取得した周波数解析部302及び異常検出部304は、それぞれのパラメータを使用して上記の動作を行う。
パラメータ設定部307は、上述の通り、測定信号記憶部303に記憶された周波数成分の履歴に基づいて、各種のパラメータを設定する。この周波数成分には、パラメータ設定モードで周波数解析部302が抽出した、所定の周波数と他の周波数を含む周波数帯域の成分が含まれる。この周波数帯域の成分から、各種のパラメータを設定する方法について、以下では説明する。そこで以下では、周波数帯域の成分として、図2に示した第1の測定例を例に挙げ、そして、図5A〜図8を参照しつつ説明する。
図5Aは、ルーパ張力測定器132が測定した張力Tの時間変化を示す。
図5Aに示すように、張力Tの時間変化は、周期的な振動成分を有する。これは、プラント1が、圧延機110のワークロール111等の回転動作によりスラブ等を圧延する設備であることによる。換言すれば、各駆動系が駆動することによる振動など、様々な振動が張力Tの測定信号に現れている。よって、この張力Tだけでなく他の測定信号も同様に周期的な振動成分を有する(図6A,図7A参照。)。
周波数解析部302が、この張力Tを周波数解析して約0〜20Hzの周波数帯域の成分を抽出した結果(パラメータ設定モードにおける抽出結果)を、図5B及び図5Cに示す。
図5Bに示すように、駆動系(例えば圧延機110及びルーパ120)が通常の稼働状態であれば、上記周期的な振動成分が現れる。この張力Tの場合、数Hz帯域に振動が現れている。測定信号記憶部303には、図5Bに示すような張力Tのスペクトルが時系列に沿ったデータとして記録される。
同様に、ミル電流Iについて説明する。
図6Aは、ミル電流測定器133が測定したミル電流Iの時間変化を示す。
図6Aに示すように、ミル電流Iの時間変化も、周期的な振動成分を有し、測定信号取得部301は、このミル電流Iを取得する。
図6Bに示すように、駆動系(例えば圧延機110及びルーパ120)が通常の稼働状態であれば、上記周期的な振動成分が現れる。このミル電流Iの場合、約0〜5Hz帯域に振動が現れている。測定信号記憶部303には、図6Bに示すようなミル電流Iのスペクトルが時系列に沿ったデータとして記録される。
同様に、ルーパ120の角度θについて説明する。
図7Aは、ルーパ角度測定器131が測定した角度θの時間変化を示す。
図7Aに示すように、角度θの時間変化も、周期的な振動成分を有し、測定信号取得部301は、この角度θを取得する。
図7Bに示すように、駆動系(例えば圧延機110及びルーパ120)が通常の稼働状態であれば、上記周期的な振動成分が現れる。この角度θの場合、約1Hz帯域に振動が現れている。測定信号記憶部303には、図7Bに示すような角度θのスペクトルが時系列に沿ったデータとして記録される。
つまり、パラメータ設定部307は、図5B及び図5C(張力T)と、図6B及び図6C(ミル電流I)と、図7B及び図7C(角度θ)に示すような各測定信号のスペクトルの時間変化を表したデータを、測定信号記憶部303から取得する。そして、これらのデータを解析して、上記各種のパラメータを設定する。
まず、パラメータ設定部307は、過去の履歴のデータから、ルーパハンチングが発生したルーパ120を、どのスタンド100のルーパ120であるのかをも含めて特定する。そして、そのルーパハンチングが発生したルーパ120を、監視対象の駆動系に設定する。
(1)ハンチングが発生した時に測定したピークの振幅の最小値
(2)ハンチングが発生していない時に測定した振幅の最大値
(3)ハンチングが発生した時に測定したピークの振幅の平均値と、ハンチングが発生していない時に測定した振幅の平均値との平均値
(4)ハンチングが発生した時に測定したピークの振幅の下位(その振幅が小さいピーク)所定個数の平均値
次に、図9を参照しつつ、本実施形態に係る異常検出装置3の動作について説明する。
図9は、本実施形態に係る異常検出装置の動作を説明するための説明図である。
プラント制御装置2がプラント1の制御を開始すると、異常検出装置3は、図9に示すステップS01を処理する。ステップS01(測定信号取得ステップ、測定ステップの一例)では、測定信号取得部301が、各駆動系を制御する際に使用されている上記測定信号を取得する。つまり、異常検出装置3は、新たに別途の信号などを計測したり測定する必要はなく、既にフィードバック制御のループ内のフィードバック信号と駆動信号を取得するだけで、異常な稼働状態を検出することができる。そして、このステップS01の処理後は、ステップS03に進む。
以上、本発明の一実施形態に係る異常検出装置3について説明した。
この異常検出装置3によれば、一の駆動系のフィードバック信号又は駆動信号をモニターすることにより、その駆動系と協働した他の駆動系で発生する異常な稼働状態の前兆を検出することができる。よって、監視対象の駆動系(他の駆動系)の異常な稼働状態を、その異常が発生する前に事前に検出することが可能である。また、事前に異常な稼働状態を検出することにより、通常運転時には各駆動系の性能を最大限に発揮することも可能である。そして、ルーパハンチングなど、異常な稼働状態が発生して製品の品質が低下したり、生産性が低下することを効率的かつより確実に防止することができる。
2 プラント制御装置
3 異常検出装置
100,101,102,103,104,105,106 スタンド
110 圧延機
111 ワークロール
112 ミルモータ
113 ASR
120 ルーパ
121 ルーパロール
122 回転中心
123 ルーパモータ
124 ASR
131 ルーパ角度測定器
132 ルーパ張力測定器
133 ミル電流測定器
201 目標張力設定部
202 張力偏差算出部
203 目標角度設定部
204 角度偏差算出部
210 ルーパ制御部
301 測定信号取得部
302 周波数解析部
303 測定信号記憶部
304 異常検出部
305 異常回避制御部
306 表示部
307 パラメータ設定部
θ 角度
I ミル電流
S 鋼板
T 張力
Claims (8)
- 一の製造ラインに沿って配置され、協働して被加工物に対する加工又は処理を実施する複数の駆動系と、該複数の駆動系それぞれをフィードバック制御するための制御系と、からなる製造プラントについて、該製造プラントの駆動系で発生する異常な稼働状態を検出する異常検出装置であって、
前記各々の駆動系の動作状態を検知したフィードバック信号を測定する測定部と、
前記複数の駆動系のうちの一の駆動系に対する前記フィードバック信号、又は当該フィードバック信号に基づいて生成され該一の駆動系を制御する駆動信号から、所定の周波数成分を抽出する周波数解析部と、
前記周波数解析部が抽出した所定の周波数成分の振幅値に基づいて、前記一の駆動系と協働する他の駆動系で発生する異常な稼働状態を異常の発生に先立って検出する異常検出部と、
を有することを特徴とする、異常検出装置。 - 前記一の駆動系及び前記他の駆動系は、帯状の被加工物又は一連の被加工物に対して協働して製造工程の加工又は処理を実施することを特徴とする、請求項1に記載の異常検出装置。
- 前記製造プラントが製造する製品は鋼板であり、
前記一の駆動系及び前記他の駆動系は、前記鋼板に対して連続的に前記製造工程を実施することを特徴とする、請求項2に記載の異常検出装置。 - 前記周波数解析部は、2以上の前記駆動系のそれぞれの前記フィードバック信号又は前記駆動信号から、それぞれ所定の周波数成分を抽出し、
前記異常検出部は、前記周波数解析部が抽出した2以上の前記所定の周波数成分の振幅値に基づいて、前記他の駆動系で発生する異常な稼働状態を予め検出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の異常検出装置。 - 一の製造ラインに沿って配置され、協働して被加工物に対する加工又は処理を実施する複数の駆動系と、該複数の駆動系それぞれをフィードバック制御するための制御系と、からなる製造プラントについて、該製造プラントの駆動系で発生する異常な稼働状態を検出する異常検出方法であって、
前記各々の駆動系の動作状態を検知したフィードバック信号を測定する測定ステップと、
前記複数の駆動系のうちの一の駆動系に対する前記フィードバック信号、又は当該フィードバック信号に基づいて生成され該一の駆動系を制御する駆動信号から、所定の周波数成分を抽出する周波数解析ステップと、
前記周波数解析ステップで抽出した所定の周波数成分の振幅値に基づいて、前記一の駆動系と協働する他の駆動系で発生する異常な稼働状態を異常の発生に先立って検出する異常検出ステップと、
を有することを特徴とする、異常検出方法。 - 前記一の駆動系及び前記他の駆動系は、帯状の被加工物又は一連の被加工物に対して協働して製造工程の加工又は処理を実施することを特徴とする、請求項5に記載の異常検出方法。
- 前記製造プラントが製造する製品は鋼板であり、
前記一の駆動系及び前記他の駆動系は、前記鋼板に対して連続的に前記製造工程を実施することを特徴とする、請求項6に記載の異常検出方法。 - 前記周波数解析ステップでは、2以上の前記駆動系のそれぞれの前記フィードバック信号又は前記駆動信号から、それぞれ所定の周波数成分を抽出し、
前記異常検出ステップでは、前記周波数解析ステップで抽出した2以上の前記所定の周波数成分の振幅値に基づいて、前記他の駆動系で発生する異常な稼働状態を予め検出することを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の異常検出方法。
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