JP2009174693A - オイルストレーナ - Google Patents

オイルストレーナ Download PDF

Info

Publication number
JP2009174693A
JP2009174693A JP2008016820A JP2008016820A JP2009174693A JP 2009174693 A JP2009174693 A JP 2009174693A JP 2008016820 A JP2008016820 A JP 2008016820A JP 2008016820 A JP2008016820 A JP 2008016820A JP 2009174693 A JP2009174693 A JP 2009174693A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
suction port
strainer
pan
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008016820A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4872935B2 (ja
Inventor
Tatsuki Uchida
龍城 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin AW Co Ltd
Original Assignee
Aisin AW Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin AW Co Ltd filed Critical Aisin AW Co Ltd
Priority to JP2008016820A priority Critical patent/JP4872935B2/ja
Publication of JP2009174693A publication Critical patent/JP2009174693A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4872935B2 publication Critical patent/JP4872935B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • General Details Of Gearings (AREA)

Abstract

【課題】大型化や重量増加を防止した上で、オイルの低温時および高温時のいずれにおいても、エアの吸い込みを確実に防止することができるオイルストレーナを提供すること。
【解決手段】オイルストレーナ40は、車両用駆動装置10に潤滑油及び作動油として用いられるオイルOを貯留するオイルパン21内に設置され、オイルパン21内のオイルOを吸入して濾過するものである。このオイルストレーナ40は、オイルOを吸入するために、オイルパン21の底部と所定の距離Lをとれるようオイルストレーナ40自体の底部に設けられたオイル吸入口45と、オイル吸入口45を上下動させる吸入口移動機構50とを有している。そして、吸入口移動機構50により、オイルOの温度上昇に伴ってオイル吸入口45を下降させ、オイル吸入口45とオイルパン21の底部との距離Lを小さくするようになっている。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両の自動変速機に備わるオイルストレーナに関する。より詳細には、歯車等の潤滑や、クラッチ、トルクコンバータ等の作動に用いられるオイルの濾過を行うオイルストレーナに関するものである。
車両に広く用いられているトルクコンバータ利用の自動変速機では、歯車等の潤滑や、クラッチ、トルクコンバータ等の作動に用いられるオイルが、ケース(トランスアクスルケース)下部のオイルパン内に貯められている。そして、オイルパン内に貯められているオイルをオイルポンプにより吸引して、各種の制御バルブや各潤滑部等へ供給するようになっている。
ここで、一般的には、オイルパン内にオイルストレーナが設けられており、このオイルストレーナを介してオイルを濾過した後、オイルポンプに吸引させるようになっている(特許文献1参照)。そして、オイルパンから供給されるオイルにエアが噛み込んでしまうと、制御バルブの動作不良やクラッチの係合不良などが発生するおそれがある。そのため、オイルパンから供給されるオイルにエアが噛み込まないように、オイルストレーナのオイル吸入口とオイルパン底部との距離を厳密に管理することにより、オイルストレーナにおけるエアの吸い込みが防止されている。
特開平9−173723号公報
しかしながら、上記したオイルストレーナでは、エアの吸い込みを確実に防止することができないという問題があった。ここで、オイルの温度が低く粘度が高い状態では、オイルがオイルストレーナのオイル吸入口とオイルパン底部との間を通過する際の抵抗を考慮して、これらの間に所定値以上の距離を設ける必要がある。そうしないと、オイルストレーナのオイル吸入口からオイルを吸入している際に、オイルの粘性が高いためにオイル吸入口全域にオイルが充填されず隙間が生じてしまい、大量のエアが吸い込まれるからである。一方、オイルの温度が高く粘性が低い状態では、車両の加減速や旋回などによってオイルパンでオイルの偏りが生じることを考慮すると、エアの吸い込みを防止するためには、オイルストレーナのオイル吸入口とオイルパン底部との距離を小さくすることが必要となる。ところが、上記したオイルストレーナでは、このような相反する要求を満たすことができない。
このため、オイルストレーナのオイル吸入口とオイルパン底部との距離を厳密に管理しても、エアの吸い込みを確実に防止することができないのである。すなわち、オイルストレーナのオイル吸入口とオイルパン底部との距離を大きくしてオイルの低温時に発生するエアの吸い込みを防止すると、オイルの高温時にオイルパンでオイルの偏りが生じた場合に、エアの吸い込みが発生してしまう。一方、オイルストレーナのオイル吸入口とオイルパン底部との距離を小さくしてオイルの高温時に発生するエアの吸い込みを防止すると、オイルの粘性が高くなる低温時に発生するエアの吸い込みが発生してしまう。
なお、オイルの量を増やすことにより、オイルの低温時及び高温時のいずれにおいても、オイルストレーナにおけるエアの吸い込みを防止することはできる。ところが、オイルの量を増やすことは、オイルパンの大型化や自動変速機の重量増加をもたらすので、自動変速機に対する小型化、軽量化、及び車両の最低地上高の確保などの要望に反してしまう。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、自動変速機の大型化や重量増加を防止した上で、オイルの低温時および高温時のいずれにおいても、エアの吸い込みを確実に防止することができるオイルストレーナを提供することを課題とする。
上記問題点を解決するためになされた本発明に係るオイルストレーナは、車両用駆動装置のオイルを貯留するオイルパン内に設置され、前記オイルパン内のオイルを吸入して濾過するオイルストレーナにおいて、オイルを吸入するために、前記オイルパンの底部と所定の距離をとれるようオイルストレーナ自体の底部に設けられたオイル吸入口と、前記オイル吸入口を上下動させる吸入口移動機構とを有し、前記吸入口移動機構は、オイルの温度上昇に伴って前記オイル吸入口を下降させ、前記オイル吸入口と前記オイルパンの底部との距離を小さくすることを特徴とする。
このオイルストレーナでは、オイルの粘度が低い、すなわちオイルが流動しやすいオイル高温時には、吸入口移動機構により、オイル吸入口が下降させられて、オイル吸入口とオイルパンの底部との距離が小さくされる。このため、オイル高温時に車両の加減速や旋回などによってオイルパンでオイルの偏りが生じたとしても、エアの吸い込みを確実に防止することができる。
一方、オイルの粘度が高い、すなわちオイルが流動しにくいオイル低温時には、吸入口移動機構により、オイル吸入口が高い位置に戻されて(上昇させられて)、オイル吸入口とオイルパンの底部との距離が大きくなる。これにより、高粘度時に必要とされるオイル吸入口とオイルパンの底部との距離を大きく(十分に確保する)ことができる。このとき、オイル吸入口とオイルパンの底部との距離を大きくしても、オイルの粘度が高いため、車両の加減速や旋回などによってオイルパンでオイルがほとんど流動しないのでオイルに偏りが生じない。従って、オイル低温時においても、エアの吸い込みを確実に防止することができる。
本発明に係るオイルストレーナにおいては、前記吸入口移動機構は、油温が車両用駆動装置の暖機終了時における温度より低い状態で、前記オイル吸入口と前記オイルパンの底部との距離を最小にすることが望ましい。
油温は、車両用駆動装置の暖気中に徐々に上昇していき、オイルの粘度は徐々に低くなっていく。このため、車両用駆動装置の暖気が進むにつれて、オイルが徐々に流動しやすくなっていく。ここで、車両用駆動装置の構成上、暖気中に車両の加減速や旋回などによって、オイルパンでオイルの偏りが生じるが、偏ったオイルが元に戻りにくい状態(油温が40〜50℃程度)が生じてしまう。そして、このときにエアの吸い込みが最も起こりやすい。なお、車両用駆動装置の暖気が終了した状態では、オイルの粘度が完全に低くなっているので、車両の加減速や旋回などによってオイルパンでオイルの偏りが生じても、その偏ったオイルは直ちに元に戻るため、エアの吸い込みは起こりにくい。
そこで、このオイルストレーナでは、吸入口移動機構により、油温が車両用駆動装置の暖機終了時における温度より低い状態、つまり上記した最もエアの吸い込みが起こりやすい状態で、オイル吸入口とオイルパンの底部との距離を最小にするようにしている。これにより、エアの吸い込みを効果的に防止することができ、オイルストレーナにおけるエアの吸い込みをより確実に防止することができる。
そして、本発明に係るオイルストレーナにおいては、前記吸入口移動機構は、感温媒体により前記オイル吸入口を上下動させることが望ましい。
このように、感温媒体を用いることにより、非常に簡単な構成かつ安価に、吸入口移動機構を実現することができる。これにより、コスト上昇および重量増加を抑えた簡単な構成で、温度条件によってオイル吸入口を上下動させることができる。従って、オイルストレーナのコスト上昇および重量増加を抑えつつ、オイルの低温時および高温時のいずれにおいても、エアの吸い込みを確実に防止することができる。なお、感温媒体として、具体的には、バイメタル、形状記憶合金、あるいはワックスなどを挙げることができる。
特に、本発明に係るオイルストレーナにおいては、前記感温媒体は、バイメタルであることが好ましい。
このように、感温媒体としてバイメタルを用いることにより、構造が最も簡単で、かつ最も小さくて軽い吸入口移動機構を実現することができる。その結果、オイルの低温時および高温時のいずれにおいても、エアの吸い込みを確実に防止することができるオイルストレーナを、コスト上昇および重量増加をほとんど伴うことなく実現することができる。
本発明に係るオイルストレーナによれば、上記した通り、自動変速機の大型化や重量増加を防止した上で、オイルの低温時および高温時のいずれにおいても、エアの吸い込みを確実に防止することができる。
以下、本発明に係るオイルストレーナを具体化した最も好適な実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。本実施形態は、本発明に係るオイルストレーナを適用した車両用駆動装置である。そこで、この車両用駆動装置について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る車両用駆動装置の概略構成を示す部分断面図である。
図1に示されるように、車両用駆動装置10は、駆動装置10の各部を収納するトランスアクスルケース15と、駆動装置10の各部で潤滑油や作動油として用いられるオイルOを循環させるオイル循環機構20と、を備えている。
オイル循環機構20は、オイルOの受け皿であるオイルパン21と、オイルパン21内に貯められたオイルOを吸引するオイルポンプ(不図示)と、オイルパン21からオイルOを吸引する際にオイルOを濾過するオイルストレーナ40と、を備えている。
オイルパン21は、トランスアクスルケース15の下部に取り付けられている。このオイルパン21には、各部の潤滑油や作動油として用いられたオイルOが、自然落下して貯まるようになっている。また、このオイルパン21は、浅底の油皿に形成されている。これにより、車両駆動装置に要求される最低地上高さを確保するとともに、オイルの量を必要最低限にとどめ、軽量化が図られている。
オイルポンプは、本実施形態では、例えば機械式のものが用いられている。そして、このオイルポンプを作動させることにより、オイルパン21に貯まったオイルOが、オイルストレーナ40を通過してオイルポンプ内へと吸引されるようになっている。そして、オイルポンプ内に吸引されたオイルOは、車両用駆動装置10の随所に形成された油路を介してクラッチや各種制御バルブなどに供給されるようになっている。
オイルストレーナ40について、図2〜図4を参照しながら詳細に説明する。図2は、本実施形態の車両用駆動装置に備わるオイルストレーナを示す正面図である。図3は、図2のオイルストレーナを下方から見上げた下面図である。図4は、図2のオイルストレーナ(図3のCDEF線で切った状態)を示す断面図である。なお、図4では、オイルOの流れが太線矢印で示されている。
オイルストレーナ40は、オイルパン21内に設置され、オイルパン21内のオイルOをオイルポンプ内へ吸引する際に濾過するものである。こうしてオイルOを濾過することにより、オイルOに混じったゴミを分離して、各部の故障や作動機能の低下を防止することができる。このオイルストレーナ40は、図2に示されるように、中空形状をなすボディ41と、オイルパン21からボディ41内へオイルOを吸入するためのオイル吸入口45と、オイル吸入口45から吸い上げたオイルOを濾過するフィルタ42(図4参照)と、フィルタ42を通過したオイルOをオイルポンプへと導入するためのポンプ導入口43と、オイル吸入口45を上下動させる吸入口移動機構50(図4参照)と、を備えている。
ボディ41は、図3に示されるように、内部にオイルOを吸い込めるように扁平な箱型形状をなしている。また、ボディ41の底面には、オイル吸入口45を突出させるように円形状の開口部41bが形成されている。この開口部41bには、図4に示されるように、全周にわたってシール部材(Oリング)44が嵌め込まれている。
オイル吸入口45は、図3及び図4に示されるように、開口部41bに対応する断面円形の筒型形状をなしており、ボディ41の開口部41bにシール部材44を介して上下動可能に取り付けられている。また、オイル吸入口45の上端部(オイルストレーナ40内部に位置する)には、水平方向に突出したフランジ部46が形成されている。このオイル吸入口45は、オイルパン21の底部との間に後述する所定の距離L(L1、L2)をとれるようになっている。
フィルタ42は、不織布製の濾過部材からなるものである。このフィルタ42は、図4に示されるように、オイルストレーナ40のボディ41に設けられた支持部材41aにより、オイルストレーナ40内部に支持されている。また、このフィルタ42は、オイルストレーナ40内部で水平面全体に渡る大きさに形成されている。これにより、オイルストレーナ40の内部を通過するオイルOは、確実にフィルタ42を通過するようになっている。
ポンプ導入口43は、オイルストレーナ40内部でフィルタ42を通過したオイルOをオイルポンプへと導くものである。このポンプ導入口43は、ボディ41の上部に上方へ開口するように形成されている。
吸入口移動機構50は、オイルOの温度変化に伴ってオイル吸入口45を上下動させるものである。この吸入口移動機構50は、オイル吸入口45を上方へ付勢するスプリング51と、温度に応じて湾曲するバイメタル52と、バイメタル52を支持する支持部材53と、を備えている。
支持部材53は、オイル吸入口45より径の大きい円筒形状をなしており、ボディ41の上部内面に、オイル吸入口45と同軸となるように設けられている。この支持部材53の下端部には、バイメタル52を支持できるように段差が設けられている。また、本実施形態において支持部材53の上部の円筒面には、等間隔に四つの貫通孔53aが形成されている(図4参照)。さらに、支持部材53の下部の円筒面には、等間隔に四つの貫通孔53bが、貫通孔53aとは位置をずらすように形成されている(図3参照)。これらの貫通孔53a、53bにより、オイルOが支持部材53の随所を通過できるようになっている。なお、これらの貫通孔53a、53bの数や位置、形状は、特に限定されず、適宜自由に変更してもよい。
スプリング51の一端は、オイルストレーナ40のボディ41の底面に取り付けられ、スプリング51の他端は、オイル吸入口45のフランジ部46に取り付けられている。これにより、スプリング51は、オイル吸入口45を常に上方へ付勢するようになっている。この付勢力は、後述するバイメタル52の湾曲する力より弱く設定されている。
バイメタル52は、図3に示されるように、円形板状をなしており、その中央にはオイル吸入口45に対応した円形状の切抜部が形成されている。そして、図3及び図4に示されるように、バイメタル52の外周部は、支持部材53に当接し支持されている。一方、バイメタル52の切抜部は、オイル吸入口45のフランジ部46に当接し支持されている。
このバイメタル52は、相対的に熱膨張率の大きい金属と相対的に熱膨張率の小さい金属とを張り合わせたものである。例えば、熱膨張率の大きい金属として、マンガン、クロム、銅などが用いられる。一方、熱膨張率の小さい金属として、インバー(鉄64%とニッケル36%の合金)が用いられる。そして、これらを冷間圧延で張り合わせることにより形成されている。
本実施形態では、バイメタル52は、熱膨張率の大きい金属板M1を下面とし、熱膨張率の小さい金属板M2を上面とするように取り付けられている。そして、オイルストレーナ40内部はオイルOで満たされているので、オイルOの温度が上昇すると、それにつれてバイメタル52の温度も上昇するようになっている。これにより、オイルOの温度上昇に伴って、熱膨張率の大きい金属板M1が熱膨張率の小さい金属板M2より長く伸び、合板全体が熱膨張率の大きい金属板M1側(図5において下側)へ中央部を突出させるように湾曲するようになっている。そして、バイメタル52が湾曲することにより、オイル吸入口45のフランジ部46が下方に押圧され、オイル吸入口45が下方に移動するようになっている。
このように、バイメタル52を用いることによって、非常に簡単な構成かつ安価に、吸入口移動機構50を実現することができる。これにより、コスト上昇および重量増加を抑えた簡単な構成で、温度条件によってオイル吸入口45を上下動させることができる。
次に、本実施形態に係るオイルストレーナ40の動作について、図4及び図5を参照しながら詳細に説明する。図5は、図4のオイルストレーナの油温上昇時の状態を示す説明図である。なお、図5においても、オイルOの流れが太線矢印で示されている。
オイルパン21内に自然落下して貯められたオイルOは、図4及び図5に太線矢印で示されるように、オイルポンプの作動によりオイルストレーナ40のオイル吸入口45からオイルストレーナ40内部へと吸引される。そして、吸引されたオイルOは、例えばフィルタ42を介し支持部材53の上部の貫通孔53aを通過してポンプ導入口43へと流れ、また、例えば支持部材53の下部の貫通孔53bを通過しフィルタ42を通過してポンプ導入口43へと流れる。そして、ポンプ導入口43を通過したオイルOは、オイルポンプ内へと導入される。
このとき、オイルパン21から吸引されるオイルOにエアが噛み込んでしまうと、各部を流れるオイルOが潤滑油や作動油として十分に機能せず、過度の摺動摩擦や動作不良などを生じるおそれがある。このため、オイルパン21から供給されるオイルOにエアが噛み込まないように、オイルストレーナ40のオイル吸入口45とオイルパン21底部との距離L(L1、L2)を厳密に管理して、オイルストレーナ40におけるエアの吸い込みを防止する必要がある。
また、車両用駆動装置10に潤滑油や作動油として用いられるオイルOの温度は、エンジンの運転状態や外部環境などに応じて広範囲(例えば−40〜120℃)に変化する。一般にオイルOの温度は、車両用駆動装置10の暖気中に徐々に上昇していく。一方、オイルOの粘度は、温度が上昇するにつれて徐々に低くなっていく。このため、車両用駆動装置10の暖気が進むにつれて、オイルOは徐々に流動しやすくなっていく。
こうした状況の下、本実施形態に係るオイルストレーナ40では、吸入口移動機構50が、(1)オイルの温度が低い場合(例えば−40〜40℃)、(2)オイルの温度が高い場合(例えば40〜120℃)、のそれぞれにおいて、以下のような動作を行う。
(1)オイルの温度が低い場合(図4参照)
この場合には、上記のようにオイルOの粘度が高くなるため、オイルOは流動しにくい。このため、オイルOの偏りによるエアの吸い込みは比較的発生しにくい。しかしながら、この場合には、オイルストレーナ40のオイル吸入口45からオイルOを吸入していると、オイルOがオイルストレーナ40のオイル吸入口45とオイルパン21底部との間を通過するときの抵抗が大きくなり、オイル吸入口45全域にオイルOが充填されず、隙間が生じるおそれがある。その結果、オイルストレーナ40内に大量のエアが吸い込まれるおそれがある。
そこで、本実施形態に係るオイルストレーナ40では、オイルOの温度が低い場合に、上記のように吸入口移動機構50に備わるバイメタル52の湾曲が比較的小さくなり、オイル吸入口45は、スプリング51の付勢力を受けて上方に位置する。このとき、オイル吸入口45とオイルパン21底部との距離L1は大きくなっている。このため、オイルOがオイルストレーナ40のオイル吸入口45とオイルパン21底部との間を通過するときの抵抗が小さくなるので、オイル吸入口45全域にオイルOを充填することができる。こうして、エアの吸い込みを確実に防止することができる。
(2)オイルの温度が高い場合(図5参照)
この場合には、上記のようにオイルOの粘度が低くなるため、オイルOは流動しやすくなっている。ここで、本実施形態に係る車両用駆動装置10の構成上、暖気中に車両の加減速や旋回などによって、オイルパン21内に貯められたオイルOに偏りが生じるときがある。このとき、オイルOの油面Sは、図1に示されるように、大きく傾斜する。そして、図2に示されるように、オイル吸入口45全域が油面S1に浸からなくなると、オイルストレーナ40内に大量のエアが吸い込まれることになる。
特に、油温が40〜50℃程度の場合には、偏ったオイルOが元に戻りにくい状態が発生してしまう。そして、このときにエアの吸い込みが最も起こりやすい。なお、車両用駆動装置10の暖気が終了してオイルOの温度が例えば50℃付近を超えた状態では、オイルOの粘度が完全に低くなっているので、車両の加減速や旋回などによってオイルパン21でオイルOの偏りが生じても、その偏ったオイルOは直ちに元に戻るようになる。
そこで、本実施形態に係るオイルストレーナ40では、オイルOの温度が40〜50℃程度の間に、上記のように吸入口移動機構50に備わるバイメタル52が最大に湾曲するようになっている。このため、オイル吸入口45は、バイメタル52の湾曲により下方に押圧されて最下位置に下降する。そして、オイル吸入口45とオイルパン21の底部との距離L2が最小となる。これにより、上記オイルOの偏りによりオイル吸入口45に隙間が発生するのを防止し、オイル吸入口45全域にオイルOを充填することができる。こうして、オイルストレーナ40にエアが吸い込まれるのを確実に防止することができる。なお、オイルの温度が高い場合には、オイルOの粘度が低いため、オイルOがオイルストレーナ40のオイル吸入口45とオイルパン21底部との間を通過するときの抵抗を考慮しなくてすむ。したがって、オイル吸入口45とオイルパン21底部との距離Lを大きくとる必要はない。
なお、オイルOの量自体を増やせば、図2に示されるように、車両の加減速や旋回の際の油面Sが、油面S2の位置まで移動する。これにより、オイルOの低温時及び高温時のいずれにおいても、オイルストレーナ40におけるエアの吸い込みを防止することはできる。ところが、オイルOの量を増やすことは、オイルパン21の大型化や車両駆動装置10の重量増加をもたらし、車両駆動装置10に対する小型化、軽量化、及び車両の最低地上高の確保などの要望に反してしまうため、現実的な解決策にはならない。
以上、詳細に説明したように本実施の形態に係る車両用駆動装置10によれば、小型化、軽量化、及び車両の最低地上高の確保などの要望を満たしつつ、オイルOの低温時および高温時のいずれにおいても、エアの吸い込みを確実に防止することができる。
[変更例]
次に、本実施形態の車両駆動装置10が備えるオイルストレーナの変更例について、図6を参照しながら説明する。図6は、変更例に係るオイルストレーナを下方から見上げた下面図である。この変更例に係るオイルストレーナ60は、以下に示す部品の形状において上記実施形態と相違している。なお、このオイルストレーナ60において、上記実施形態のオイルストレーナ40と同一の構成品については、図面に同符号を付してその説明を適宜省略し、以下では相違点を中心に説明する。
変更例に係るオイルストレーナ60は、図6に示されるように、中空形状をなすボディ41と、オイルパン21からボディ41内へオイルOを吸入するためのオイル吸入口61と、オイル吸入口61から吸い上げたオイルOを濾過するフィルタ42(図4参照)と、フィルタ42を通過したオイルOをオイルポンプへと導入するポンプ導入口43(図2参照)と、オイル吸入口61を上下動させる吸入口移動機構50(図4参照)と、を備えている。
ボディ41の底面には、オイル吸入口61を突出させるように、上記実施形態とは異なる楕円形状の開口部62が形成されている。この開口部62には、全周にわたってシール部材(Oリング)44が嵌め込まれている。オイル吸入口61は、開口部62に対応する断面楕円形の筒型形状をなしており、開口部62にシール部材44を介して上下動可能に取り付けられている。また、オイル吸入口61の上端部(オイルストレーナ60内部に位置する)には、水平方向に突出したフランジ部46が形成されている(図4参照)。
吸入口移動機構50は、オイル吸入口61を上方へ付勢するスプリング51(図4参照)と、温度に応じて湾曲するバイメタル66と、バイメタル66を支持する支持部材65と、を備えている。支持部材65は、オイルストレーナ60のボディ41内面に並設された二枚の平板である。バイメタル66は、長方形板状をなしており、その中央にはオイル吸入口61に対応した楕円形状の切抜部が形成されている。そして、バイメタル66の長手方向両端は、支持部材65に当接し支持されている。一方、バイメタル66の切抜部は、オイル吸入口61のフランジ部46に当接し支持されている。
この変更例に係るオイルストレーナ60では、オイルパン21内に自然落下して貯められたオイルOは、オイルポンプの作動によりオイルストレーナ60のオイル吸入口61からオイルストレーナ60内部へと吸引される。そして、吸引されたオイルOは、バイメタル66の支持部材65の両側を通過しフィルタを通過してポンプ導入口43へと流れる。そして、ポンプ導入口43を通過したオイルOは、オイルポンプ内へと導入される。
以上、詳細に説明したように変更例に係るオイルストレーナ60によれば、上記実施形態とは異なった形状(例えば楕円形状)のオイル吸入口61に対して本発明を適用できる。また、支持部材65やバイメタル66の形状を簡単にしたり、オイルストレーナ60内部のオイルOの流れ等を変更したりすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。例えば、上記した実施形態及びその変更例では、感温媒体としてバイメタル52、66を用いているが、他の感温媒体(例えば形状記憶合金、あるいはワックスなど)を用いることもできる。
本実施形態に係る車両用駆動装置を示す概略構成図である。 同車両用駆動装置に備わるオイルストレーナを示す正面図である。 図2のオイルストレーナを下方から見上げた下面図である。 図2のオイルストレーナを示す断面図である。 図4のオイルストレーナの油温上昇時の状態を示す説明図である。 変更例に係るオイルストレーナを下方から見上げた下面図である。
符号の説明
10 車両用駆動装置
20 オイル循環機構
21 オイルパン
40 オイルストレーナ
45 オイル吸入口
50 吸入口移動機構
52 バイメタル
L 距離
L1 距離(オイル低温時)
L2 距離(オイル高温時)
O オイル

Claims (4)

  1. 車両用駆動装置に潤滑油及び作動油として用いられるオイルを貯留するオイルパン内に設置され、前記オイルパン内のオイルを吸入して濾過するオイルストレーナにおいて、
    オイルを吸入するために、前記オイルパンの底部と所定の距離をとれるようオイルストレーナ自体の底部に設けられたオイル吸入口と、
    前記オイル吸入口を上下動させる吸入口移動機構とを有し、
    前記吸入口移動機構は、オイルの温度上昇に伴って前記オイル吸入口を下降させ、前記オイル吸入口と前記オイルパンの底部との距離を小さくする
    ことを特徴とするオイルストレーナ。
  2. 請求項1に記載するオイルストレーナにおいて、
    前記吸入口移動機構は、オイルの温度が車両用駆動装置の暖機終了時における温度より低い状態で、前記オイル吸入口と前記オイルパンの底部との距離を最小にする
    ことを特徴とするオイルストレーナ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載するオイルストレーナにおいて、
    前記吸入口移動機構は、感温媒体により前記オイル吸入口を上下動させる
    ことを特徴とするオイルストレーナ。
  4. 請求項3に記載するオイルストレーナにおいて、
    前記感温媒体は、バイメタルであることを特徴とするオイルストレーナ。
JP2008016820A 2008-01-28 2008-01-28 オイルストレーナ Expired - Fee Related JP4872935B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008016820A JP4872935B2 (ja) 2008-01-28 2008-01-28 オイルストレーナ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008016820A JP4872935B2 (ja) 2008-01-28 2008-01-28 オイルストレーナ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009174693A true JP2009174693A (ja) 2009-08-06
JP4872935B2 JP4872935B2 (ja) 2012-02-08

Family

ID=41029983

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008016820A Expired - Fee Related JP4872935B2 (ja) 2008-01-28 2008-01-28 オイルストレーナ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4872935B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60116958A (ja) * 1983-11-30 1985-06-24 Nissan Motor Co Ltd 液面安定機構
JPH11218015A (ja) * 1998-02-02 1999-08-10 Nippon Soken Inc 潤滑装置
JP2000074194A (ja) * 1998-09-01 2000-03-07 Jatco Corp 自動変速機の下部構造
JP2003028281A (ja) * 2001-07-19 2003-01-29 Piolax Inc オイルストレイナ
JP2005514563A (ja) * 2002-01-11 2005-05-19 イーベーエスフィルトランクンストシュトッフメタルエルツォイクニッセ ゲーエムベーハー 可動吸引チューブを備える変速機又はエンジンの吸引オイルフィルタ

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60116958A (ja) * 1983-11-30 1985-06-24 Nissan Motor Co Ltd 液面安定機構
JPH11218015A (ja) * 1998-02-02 1999-08-10 Nippon Soken Inc 潤滑装置
JP2000074194A (ja) * 1998-09-01 2000-03-07 Jatco Corp 自動変速機の下部構造
JP2003028281A (ja) * 2001-07-19 2003-01-29 Piolax Inc オイルストレイナ
JP2005514563A (ja) * 2002-01-11 2005-05-19 イーベーエスフィルトランクンストシュトッフメタルエルツォイクニッセ ゲーエムベーハー 可動吸引チューブを備える変速機又はエンジンの吸引オイルフィルタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP4872935B2 (ja) 2012-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100309687B1 (ko) 변속기의 통기방법및 장치
CN101484728B (zh) 具有集成的旁通阀的热交换器和具有热交换器 的变速器
CN104806739B (zh) 变速器系统及调温旁通阀
KR100849050B1 (ko) 오일 팬 및 윤활 장치
KR20100092002A (ko) 열교환기, 특히 오일 쿨러
JP4670806B2 (ja) 車両用変速機
EP2659166B1 (en) Lubrication system for a differential of a driven axle and automotive vehicle comprising such a lubrication system
US20090101312A1 (en) Regulating Transmission Fluid and Engine Coolant Temperatures in a Motor Vehicle
US8899266B2 (en) Fluid displacement reservoir
US20140172250A1 (en) Transmission sump level control system
US20080169030A1 (en) Valve Assembly for Transmission Fluid Level Management
US20060254974A1 (en) Filtration system with bypass valve flow control apparatus and method
JP2008190720A (ja) 自動トランスミッションシステムのための2段逆止め弁
US20160074778A1 (en) Filter Element with Air Vent
US20130312696A1 (en) Temperature-controlled segregation of hot and cold oil in a sump of an internal combustion engine
CN204582666U (zh) 过滤器组件
US20150354697A1 (en) Dual sump transmission hydraulic control system
JP2010203610A (ja) 自動車の変速機の切換バルブを備えたオイル冷却循環機構
JP6684925B2 (ja) サーモスタチックバルブ
JP4872935B2 (ja) オイルストレーナ
CN106166407A (zh) 变速器滤油器总成
US11148528B2 (en) Transfer gearbox device
EP2232026B1 (en) Cooling system for motor vehicle
DE102005006811A1 (de) Getriebe mit Miniaturmotor zur Steuerung des Ölstroms
CN106015503A (zh) 变速器液压控制系统

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110719

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110919

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111025

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111107

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141202

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees