JP2009174351A - エンジンの始動補助装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンを確実に始動させることが可能なエンジンの始動補助装置を提供する。
【解決手段】吸気ポート21内のインジェクタ3の噴孔31と吸気弁4との途中に環状の加熱スリーブ11を吸気ポート21と同軸上に配置し、加熱スリーブ11の外周に巻回されたコイル12へコントローラ7により交流電圧が印加する構成とした。コイル12により形成される磁界変化により加熱スリーブ11中を誘導電流が流れ、そのときに発生するジュール熱により加熱スリーブ11の温度が上昇する。このような誘導加熱方法によれば、コイル12へ通電開始後直ちに加熱スリーブ11の温度を高めることができ、従来のインテークヒータ等に比べて燃料を所定温度まで加熱するのに要する時間を大幅に短縮することができる。したがって、燃料温度および吸入空気温度を短時間で高めることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガソリンとアルコールとの混合液を燃料とするエンジンの始動補助装置に関するものであり、自動車等に用いて好適である。
近年、ガソリンとアルコールとの混合液を燃料とするエンジン、いわゆるバイフューエルエンジンが開発されている。このようなエンジンにおいては、吸気通路内の吸気弁よりも上流側部分にインジェクタにより燃料を噴射して、燃料噴霧を吸入空気と一緒に燃焼室内へ導入している(特許文献1参照)。
特開2006−257907号公報
アルコールはガソリンと比較して気化しにくいため、上述したガソリンとアルコールとの混合液を燃料とするエンジンにおいては、低温時における始動性が問題となる。燃料中のアルコール濃度が高いほど、始動性は悪化する。この問題を解決するために、様々な方法が提案されている。たとえば、下記の3つの方法が提案されている。
(1)ガソリンとアルコールとの混合液である燃料を貯蔵する主燃料タンクとは別に、ガソリンまたはアルコール濃度の低い混合液を貯蔵する副燃料タンクを備え、エンジン始動時には副燃料タンクから燃料を供給する方法。
(2)燃料タンク内にアルコール分離膜を設置し、エンジン始動時には、アルコール分離膜を挟んでアルコール濃度の低い領域、言い換えるとガソリン濃度が高い領域の燃料をエンジンに供給する方法。
(3)エンジン始動時に、燃料供給通路中に水を供給してガソリンとアルコールとを分離し、アルコールが分離された燃料、つまりガソリンをエンジンに供給する方法。
上記の3つの方法のうち、(1)の方法は、車両は主、副2つの燃料タンクを備え、それぞれに異なる燃料を補充しなければならない。このため、車両使用者の手間が多大なものとなる。また、各タンクに補充する燃料を間違えると、エンジンの始動が困難になる恐れがある。(2)の方法は、アルコール分離膜の分離性能および車両搭載時の信頼性に問題がある。(3)の方法は、燃料タンクに加えて水を貯蔵する水タンクが必要になり、燃料および水を補給する手間が多大となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、単純な構成によりエンジンを確実に始動させることが可能なエンジンの始動補助装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成する為、以下の技術的手段を採用する。
本発明の請求項1に記載のエンジンの始動補助装置は、ガソリンとアルコールとの混合液を燃料とするエンジンの始動補助装置であって、エンジンの燃焼室へ空気を導入するためにシリンダヘッドに形成され吸気通路と、シリンダヘッドに装着され燃焼室と吸気通路との連通遮断を切り替える吸気弁と、吸気弁よりも上流側の吸気通路内に燃料を噴射可能に配置されたインジェクタと、吸気通路内において吸気弁よりも上流側且つインジェクタの噴孔よりも下流側に、その内周を吸気が通過可能且つ吸気通路と同軸上に配置された金属材質から形成された環状部材と、環状部材の外周側に巻回されたコイルと、コイルへの交流電圧印加・遮断を切り替える制御装置と、を備え、コイルへ交流電圧が印加されると環状部材には誘導電流が発生することを特徴としている。
エンジン運転中において、燃料はインジェクタからシリンダヘッドの吸気通路内へ噴射され、噴霧状態で吸入空気流とともに燃焼室内へ供給される。そして、燃料噴霧と空気の混合気が燃焼室内で圧縮され、外部エネルギが供給されて点火される。外部エネルギとしては、一般には点火プラグの電極間に発生する放電火花が用いられている。混合気が放電火花により点火されるためには、燃料温度が燃料自体の引火点温度以上であることが必要である。すなわち、燃焼室内における燃料温度がその引火点以上であれば、燃料は点火可能であり、始動性も良好である。しかし、燃焼室内における燃料温度がその引火点よりも低い場合は、燃料は点火されずエンジンの始動が困難となる。ところで、ガソリンの引火点が−45℃であるのに対してアルコールの引火点は13℃と高い。このため、ガソリンとアルコールとの混合液からなる燃料では、引火点はアルコール濃度が高まるに連れて高くなり、アルコール濃度100%近辺では引火点が約13℃となっている。このように、ガソリンとアルコールとの混合液を燃料として用いるエンジンにおいては、低温時にはエンジン始動時に良好な始動性を確保するために、何らかの始動補助手段が必要となっている。この始動補助手段として、たとえば、主燃料タンクとは別の副燃料タンクにガソリンあるいは低アルコール濃度の混合液を用意し、低温時においては、エンジン始動時にはガソリンを供給しエンジン始動後は主燃料タンクから燃料を供給する構成としたものがある。しかし、このような始動補助手段は、2種類の燃料を補給しなければならず運転者の手間が多大なものになるという問題がある。を用いて燃料温度をその引火点以上に高めてやる必要がある。別の始動補助手段として、インジェクタよりも上流側の吸気通路あるいは吸気マニホルドにインテークヒータを設置して吸入空気温度を高め、それによりインジェクタから噴射された燃料温度を高めるような構成としたものがある。しかし、低温時にエンジン各部の温度が低い場合は、インテークヒータで吸入空気を暖めてもインジェクタ付近に達したときには吸気温度が低下してしまう。そのため、吸気温度をインジェクタ付近においても燃料温度を高められる温度であるようにするためには、インテークヒータの発熱容量を増大させる必要がある。このことは、バッテリ容量増大、発電機容量増大を伴いコスト上昇を招いてしまう。また、インテークヒータに通電を開始してから所望の温度に達するまでに時間を要するため、運転者がエンジンを始動する際にこの昇温時間がもどかしく感じられるという問題がある。
本発明の請求項1に記載の発明によれば、制御装置によりコイルへ交流電圧が印加されると、コイルにより形成される磁界変化により環状部材に誘導電流が発生し、この誘導電流が環状部材中を流れるときに発生するジュール熱により環状部材の温度が上昇する。すなわち、制御装置によりコイルへ交流電圧を印加することで、環状部材の温度を高めることができる。上述のような加熱方法、すなわち誘導加熱方法によれば、コイルへ通電開始後直ちに環状部材の温度を高めることができる。つまり、インテークヒータに比べて発熱部材の温度が所定温度、すなわちエンジンの良好な始動性が得られる温度、たとえば燃料の引火点温度を上回る温度に達するまでの時間である昇温時間を大幅に短縮することができる。したがって、燃料温度および吸入空気温度を短時間で高め、良好な始動性を確保できる始動補助装置を実現することができる。
また、本発明の請求項1に記載の発明の構成においては、環状部材は、吸気通路内において吸気弁とインジェクタの噴孔との間に配置されている。すなわち、従来のインテークヒータの設置部位に比べると大幅に吸気弁、燃焼室に近い部位に設置されている。これにより、環状部材により暖められた燃料噴霧および吸気は直ちに燃焼室内へ導入されるので、加熱手段から燃焼室へ流れる途中における温度低下を最小限度に抑えることができる。
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の発明によれば、シリンダヘッドに環状部材およびコイルを設け、コイルに交流電圧を印加するという簡単な構成により燃料温度を短時間に高効率で高めることができるので、単純な構成によりエンジンを確実に始動させることが可能なエンジンの始動補助装置を提供することができる。
本発明の請求項2に記載のエンジンの始動補助装置は、環状部材はその内周面が吸気通路の内壁と滑らかにつながるようにして配置されることを特徴としている。
上述した構成によれば、環状部材の内周面は吸気通路の一部を構成しており、吸気流れに対する管路抵抗を最小限度に抑えることができる。
本発明の請求項3に記載のエンジンの始動補助装置は、シリンダヘッドには吸気通路の吸気弁側端部に吸気弁の傘部と当接して燃焼室と吸気通路とを遮断する円環状の弁座が設けられ、シリンダヘッドには環状部材およびコイルを収容する収容孔が形成され、収容孔はシリンダヘッドの弁座側端面に開口し且つその開口部の輪郭は弁座の外周の内側にあることを特徴としている。
弁座は、一般に耐摩耗性および耐熱性に優れた金属により形成され、シリンダヘッドに圧入固定されている。コイルを収容する収容孔の開口部の輪郭が弁座の外周の内側にある、ということは、シリンダヘッドの収容孔の直径がシリンダヘッドに設けられた弁座を圧入するための孔の直径よりも小さいことを意味している。すなわち、弁座を圧入する孔の底面に収容孔が開口している。このため、シリンダヘッドに弁座を圧入する際には、弁座が底面に当接することにより弁座の位置が正確に決まる。したがって、シリンダヘッドに弁座を圧入する前であれば、環状部材およびコイルをシリンダヘッドの弁座側端面の開口部から収容孔内へ容易に組み付けることができる。その後、シリンダヘッドに対して正確な位置に弁座を圧入することができる。以上により、環状部材およびコイルからなる加熱手段と弁座とをそれぞれ容易にシリンダヘッドへ組み付けることができる。
本発明の請求項4に記載のエンジンの始動補助装置は、ガソリンとアルコールとの混合液を燃料とするエンジンの始動補助装置であって、エンジンの燃焼室へ空気を導入するためにシリンダヘッドに形成され吸気通路と、シリンダヘッドにその軸方向に移動可能に保持され燃焼室と吸気通路との連通遮断を切り替える吸気弁と、吸気弁よりも上流側の吸気通路内に燃料を噴射可能に配置されたインジェクタと、を備え、吸気弁のシリンダヘッドと嵌合している部位であるステム部の外周側に巻回されたコイルと、コイルへの交流電圧印加・遮断を切り替える制御装置と、を備え、コイルへ交流電圧が印加されると吸気弁には誘導電流が発生することを特徴としている。
上述した構成においては、コイルに交流電圧を印加して誘導加熱される対象部品を吸気弁としている。すなわち、コイルに交流電圧が印加されると、吸気弁のステム部のコイルと径方向に重なっている部分が加熱される。そしてステム部の隣接する部分や傘部の温度も高められる。ステム部は、その一部が吸気通路内に露出しているのでステム部温度を高めることで、吸気温度を高めて燃料温度を高めることができる。一般に、吸気弁は耐熱鋼、つまり鉄系金属により形成されている。鉄系材質は比透磁率が高いので誘導電流が大きくしたがって誘導加熱時の発熱量が大きい。したがって、燃料温度を高める作用も大きくなる。
この場合、本発明の請求項5に記載のエンジンの始動補助装置のように、コイルはステム部のシリンダヘッドとの嵌合部分よりも吸気弁の傘部側に配置される構成とすれば、吸気弁の傘部がステム部の誘導加熱により加熱される部分に隣接するため、傘部温度をコイル通電開始後短時間で高めることができる。吸気通路から吸気弁を介して燃焼室へ向かう吸気流れは弁座付近では傘部表面に沿って傘部の中心から外周へ向かって流れる。したがって、傘部を加熱手段とすることにより、燃料と空気の混合気と加熱手段との接触面積を増大させて、高効率で燃料温度を高めることができる。
本発明の請求項6に記載のエンジンの始動補助装置は、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサと、吸気温度を検出する吸気温度センサと、を備え、制御装置は冷却水温度および吸気温度に基づいてコイルへ交流電圧印加を制御することを特徴としている。
低温時、たとえば外気温度が氷点下のときにエンジンを始動する場合、エンジンが長時間停止放置されているとエンジン各部も冷え切っているので、コイルへの通電は長時間、つまりエンジンが安定して回転するようになるまで必要となる。一方、エンジン停止後短時間が経過した場合は、エンジン各部は暖まっている、つまりアルコールの引火点以上の温度になっている。このような条件下では、コイルへの通電時間は上述の条件下に比べて短いか、あるいは通電しなくても始動可能となる。水温センサによる検出温度は、エンジン温度、たとえば吸気通路や燃焼室壁の温度とみなせる。
したがって、本発明の請求項6に記載のエンジンの始動補助装置の構成によれば、冷却水温度および吸気温度に基づいてコイルへの交流電圧印加を制御することにより、始動補助、つまり燃料加熱が必要なときに必要な時間だけコイルに通電するようにできる。これにより 、バッテリ電力消費量を必要最小限度に抑えることができる。
以下、本発明にかかるエンジンの始動補助装置の実施の形態について、自動車用原動機として用いられているガソリンとアルコールとの混合液を燃料とするエンジンであるバイフューエルエンジン100に装着された始動補助装置である加熱ユニット1に適用した場合を例に説明する。
(第1実施形態)
バイフューエルエンジン100は、大きくは、図1に示すように、シリンダヘッド2、シリンダブロック50、ピストン60を備えている。吸気弁4を介して燃焼室22内に吸入された燃料噴霧と空気の混合気に図示しないスパークプラグの火花エネルギにより点火して、その爆発圧力によりピストン60を直線運動させ、それを図示しないコンロッドを介して図示しないクランク軸の回転運動に変換して回転トルクとして力を取り出すものである。
加熱ユニット1は、バイフューエルエンジン100のシリンダヘッド2に形成された吸気通路である吸気ポート21の装着されている。以下に、指導補助装置10の構成について、関連するバイフューエルエンジン100の構成とともに説明する。
シリンダヘッド2において、吸気通路である吸気ポート21の吸気流れ方向の下流側端部には、図1に示すように、燃焼室22が形成されている。吸気ポート21と燃焼室22との間には、図1に示すように、吸気弁4が配置されている。吸気弁4は、シリンダヘッド2に、その軸方向移動自在に保持されて、吸気ポート21と燃焼室22との連通・遮断を切り替えている。すなわち、吸気弁4が、図1において下方に移動し、シリンダヘッド2に固定されている円環状の弁座であるバルブシート5から離れると、吸気ポート21と燃焼室22とが連通し、空気および燃料噴霧が吸気弁4とバルブシート5との隙間を通って燃焼室22内へ吸入される。
燃焼室22は、図1に示すように、シリンダヘッド2の端面、ピストン60の頂面、およびシリンダブロック50のシリンダ51内面により囲まれた空間として形成される。燃焼室22の容積はシリンダ51内におけるピストン60の位置により変化し、ピストン60が上死点、つまり図1に示す位置にあるときに最小となり、下死点にあるときに最大となる。また、ピストン60が上死点にあるときはピストン60頂面がシリンダ51上端とほとんど同一位置に来るので、そのときは、燃焼室22は、シリンダヘッド2の端面、およびピストン60の頂面に囲まれた空間となる。
シリンダヘッド2には、吸気ポート21内へ燃料を噴射可能にインジェクタ3が配置されている。インジェクタ3へは、図示しない燃料ポンプにより加圧された燃料が供給されている。また、インジェクタ3は、図示しない電磁弁を備えており、この電磁弁への通電および遮断を切り替えることによりニードル弁の開閉が切り替えられる。すなわち、電磁弁に通電されるとニードル弁が開き、加圧された燃料が噴孔から噴射される。電磁弁への通電が遮断されるとニードル弁が閉じ燃料噴射が停止する。インジェクタ3は、その噴孔位置が、吸気ポート21内において吸気弁4よりも上流側にあるように配置されている。
シリンダヘッド2には、吸気ポート21の吸気弁4よりも上流側且つインジェクタ3の噴孔よりも下流側に、加熱ユニット1を構成する部材であり、金属材料から形成された環状部材としての加熱スリーブ11が取り付けられている。加熱スリーブ11は、吸気ポート21内において、図1に示すように、バルブシート5の直ぐ近くに配置されている。加熱スリーブ11は金属材料、たとえば鉄系金属から円環状に形成され、その内周面は吸気ポート21の内面と滑らかにつながるように形成されている。言い換えると、加熱スリーブ11は、その内周面が吸気ポート21の一部を形成するようにして取り付けられている。吸気ポート21の加熱スリーブ11は、その軸方向の両端部に図1に示すように鍔部11aを備えており、糸巻き、あるいはボビンのような形状となっている。加熱スリーブ11の両鍔部11aに挟まれた空間には、加熱ユニット1を構成するもう一つの部材としてのコイル12が巻回されている。このコイル12は、たとえば、複数の銅線を撚り合わせて1本の線に形成したいわゆるリッツ線が用いられている。本発明の第1実施形態による加熱ユニット1においては、直径0.3mmの銅線20本を撚り合わせて1本とした導線を用いている。
シリンダヘッド2の吸気ポート21の断面形状、つまり空気の流れ方向と直交する方向に沿う断面形状は、吸気弁4の直近、すなわち加熱スリーブ11が固定されている部分およびそこに隣接した部分は、円形に形成されている。これに対応して、加熱スリーブ11は、その内径寸法が吸気ポート21の円形断面の直径寸法と同じに形成されている。これにより、加熱スリーブ11の内周面が吸気ポート21の内面と滑らかにつながる。
加熱スリーブ11の外周にコイル12が巻回されたものが加熱ユニット1である。加熱ユニット1のコイル12の両端部は、シリンダヘッド2に形成された図示しない貫通孔を介してシリンダヘッド2外へ引き出されている。
シリンダヘッド2には、加熱ユニット1を収容する収容孔23が形成されている。また、シリンダヘッド2には、バルブシート4を圧入固定するための固定孔24が形成されている。そして収容孔23の直径D1は固定孔24の直径D2よりも小さく、且つ収容孔23および固定孔24は軸方向に並んで互いに同心上に形成されている。したがって、収容孔23と固定孔24との境界部分には段部が形成されている。これにより、シリンダヘッド2の組み付け工程においては、先ず、加熱ユニット4をシリンダヘッド2の収容孔23に装着固定し、次に、バルブシート4をシリンダヘッド2の固定孔24に圧入固定することになる。バルブシート4をシリンダヘッド2に圧入する工程においては、バルブシート4が上述の段部に当接して圧入が完了する。
次に、本発明の第1実施形態による加熱ユニット1の電気回路構成について、図2に基づいて説明する。
加熱ユニット1は、制御装置であるコントローラ7により駆動制御される。コントローラ7は、図2に示すように、バッテリ40からイグニッションスイッチ30を介して直流電力が供給されている。コントローラ7は、図示しない交流生成部および判定部等を備えている。コントローラ7には、図2に示すように、バイフューエルエンジン100の冷却水温度を検出する水温センサ8、吸入空気温度を検出する吸気温センサ9、バイフューエルエンジン100のクランク軸回転数を検出する回転センサ20が、各検出信号を入力可能に接続されている。
次に、本発明の第1実施形態による加熱ユニット1の作動について説明する。
運転者の操作により、イグニッションスイッチ40がONされると、コントローラ7は加熱ユニット1の作動制御を開始する。吸気温度は所定温度以下である場合、および冷却水温度が所定温度以下である場合の少なくともどちらか一方が成立しているときには、コントローラ7は、加熱ユニット1のコイル12は交流電圧を印加する。吸気温度は所定温度以下である場合、および冷却水温度が所定温度以下である場合の少なくともどちらか一方が成立しているとき、とは、一般的に低温時である。この交流電流の周波数は、たとえば50kHzである。コイル12に50kHzの交流電圧が印加されると、コイル12により形成される磁界変化により加熱スリーブ11に誘導電流が発生し、この誘導電流が加熱スリーブ11中を流れるときに発生するジュール熱により加熱スリーブ11の温度が上昇する。すなわち、コントローラ7によりコイル12へ交流電圧を印加することで、加熱スリーブ11の温度を高めることができる。運転者がイグニッションスイッチ30をONした後、さらにイグニッションスイッチ30をスタートポジションへ操作してスタータモータが駆動されると、吸気ポート21内には燃焼室22へ向かう空気流が生じるとともにインジェクタ3から燃料が噴射される。噴射された燃料噴霧は空気流に運ばれて加熱スリーブ11の内周を通過して、吸気弁4とバルブシート5との隙間を通って燃焼室22内へ流入する。このとき、燃料噴霧の一部は、加熱スリーブ11を通過する際に加熱スリーブ11に衝突する、あるいは近くを通ることにより加熱スリーブ11から熱を受けるので、燃料温度が上昇し、燃料の引火点温度以上に高められる。同時に吸気温度も上昇する。これにより、燃料噴霧温度および吸気温度を上昇させて、燃焼室22内において燃料を確実に着火させることができる。したがって、バイフューエルエンジン100を確実に始動させることができる。本発明の第1実施形態による加熱ユニット1による加熱方法、すなわち誘導加熱方法によれば、コイル12へ通電開始後直ちに加熱スリーブ11の温度を高めることができる。つまり、従来の始動補助装置である吸気マニホルドに装着されたインテークヒータに比べて発熱部材の温度が所定温度に達するまでの時間である昇温温度を大幅に短縮することができる。したがって、燃料温度および吸入空気温度を短時間で高めることができる。
コントローラ7は、回転センサ20からの信号に基づき回転数を算出し、バイフューエルエンジン100の回転状況をモニターしている。回転センサ20からの信号に基づいて、バイフューエルエンジン100の回転数が安定したと判定されると、コントローラ7は、コイル12への交流電圧印加を停止する。
また、本発明の第1実施形態による加熱ユニット1は、吸気ポート21内において吸気弁4とインジェクタ3の噴孔との間に配置されている。すなわち、従来のインテークヒータの設置部位に比べると大幅に吸気弁、燃焼室に近い部位に設置されている。これにより、加熱スリーブ11により暖められた燃料噴霧および吸気は直ちに燃焼室22内へ導入されるので、加熱スリーブ11を通過してから燃焼室22へ流入する途中における温度低下を最小限度に抑えることができる。
また、本発明の第1実施形態による加熱ユニット1では、加熱スリーブ11の材質を鉄系金属としている。誘導加熱に用いる材質としては、比透磁率が高く且つ固有抵抗の高い材質が望ましい。この点で、鉄系金属、たとえば純鉄等を用いることにより、より小電力且つ短時間で加熱スリーブ11を所定温度まで高めることができる。
また、交流電流はその周波数が高くなると、導体の表面部を流れ中心部は流れない性質を有している。本発明の第1実施形態による加熱ユニット1では、コイル12として複数の細線を撚り合わせたリッツ線を用いている。これにより、同一断面積の単一線に比べて電流が流れる部分の面積を大きくすることができるので、より大電流を印加して短時間で昇温させることが可能になる。
なお、以上説明した本発明の第1実施形態による加熱ユニット1では、コントローラ7によりコイル12へ印加する交流電圧の周波数を50kHzとしているが、加熱スリーブ11を電磁誘導加熱可能な周波数であれば、50kHz以外の周波数であってもよい。
また、以上説明した本発明の第1実施形態による加熱ユニット1では、コントローラ7によりコイル12へ印加する交流電圧の周波数を50kHzの一種類としているが、周波数を一種類のみとする必要は無い。たとえば、周波数を複数種類設定しておき、コントローラ7が加熱ユニット1の作動制御を開始した時点に検出された吸気温度および冷却水温度の値に応じて、コイル12に印加する交流電圧周波数を選択する構成としてもよい。一般に、電磁誘導により加熱スリーブ11内に発生する誘導電流の大きさはコイル12に印加される交流電圧の周波数が高いほど大きくなるので、加熱スリーブ11の温度も周波数が高いほど高くなる。そこで、加熱ユニット1の作動制御が開始された時の温度が低いほど高い周波数が選択されるようにすれば、加熱ユニット11の作動に要する電力を最適に保ちつつ、バイヒューエルエンジン100の良好な始動性を確保することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による加熱ユニット1について説明する。本発明の第2実施形態による加熱ユニット1は、コイル13および吸気弁4から構成されている。本発明の第2実施形態による加熱ユニット1においては、コイル13が、図3に示すように、吸気弁4のステム部41の外周側にステム部41と同軸上に巻回配置されている。コイル13に交流電圧が印加されると、コイル13により形成される磁界変化により吸気弁4のステム部41内に誘導電流が発生し、この誘導電流がステム部41中を流れるときに発生するジュール熱によりステム部41の温度が上昇する。すなわち、本発明の第2実施形態による加熱ユニット1は、本発明の第1実施形態による加熱ユニット1にいて電磁誘導により発熱する発熱体としての加熱スリーブ11を吸気弁4のステム部41に置き換えたものである。
本発明の第2実施形態による加熱ユニット1が組み込まれたバイフューエルエンジン100において、インジェクタ3から噴射された燃料噴霧は吸気流に乗って吸気弁4を通って燃焼室22へ到る途中で、吸気弁4のステム部41に衝突し衝突する、あるいは近くを通ることによりステム部41から熱を受けるので、燃料温度が上昇し、燃料の引火点温度以上に高められる。
また、コイル13による誘導加熱で直接発熱するのはステム部41であるが、ステム部41に隣接する傘部42の温度も熱伝導により上昇する。つまり、吸気弁4の高温部位の面積を拡大することができる。燃料噴霧が燃焼室22へ向かって流れる際には吸気弁4の傘部42へも衝突する。したがって、燃料を高効率で加熱することができる。
本発明の第1実施形態によるエンジンの始動補助装置1の取付け状態を示す断面図である。 本発明の第1実施形態によるエンジンの始動補助装置1の電気回路構成を示す模式図である。 本発明の第2実施形態によるエンジンの始動補助装置1の取付け状態を示す断面図である。
符号の説明
1 加熱ユニット(始動補助装置)
11 加熱スリーブ(環状部材)
12 コイル
13 コイル
2 シリンダヘッド
21 吸気ポート(吸気通路)
22 燃焼室
23 収容孔
24 固定孔
3 インジェクタ
31 噴孔
4 吸気弁
41 ステム部
42 傘部
5 バルブシート(弁座)
6 排気弁
7 コントローラ(制御装置)
8 水温センサ
9 吸気温度センサ
20 回転センサ
30 イグニッションスイッチ
40 バッテリ
50 シリンダブロック
51 シリンダ
60 ピストン
100 バイフューエルエンジン(エンジン)
D1、D2 直径寸法

Claims (6)

  1. ガソリンとアルコールとの混合液を燃料とするエンジンの始動補助装置であって、
    エンジンの燃焼室へ空気を導入するためにシリンダヘッドに形成され吸気通路と、
    前記シリンダヘッドにその軸方向に自在に保持され前記燃焼室と前記吸気通路との連通遮断を切り替える吸気弁と、
    前記吸気弁よりも上流側の吸気通路内に燃料を噴射可能に配置されたインジェクタと、
    前記吸気通路内において吸気弁よりも上流側且つインジェクタの噴孔よりも下流側に、その内周を吸気が通過可能且つ前記吸気通路と同軸上に配置された金属材質から形成された環状部材と、
    前記環状部材の外周側に巻回されたコイルと、
    前記コイルへの交流電圧印加・遮断を切り替える制御装置と、を備え、
    前記コイルへ交流電圧が印加されると前記環状部材には誘導電流が発生することを特徴とするエンジンの始動補助装置。
  2. 前記環状部材はその内周面が前記吸気通路の内壁と滑らかにつながるようにして配置されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの始動補助装置。
  3. 前記シリンダヘッドには前記吸気通路の前記吸気弁側端部に前記吸気弁の傘部と当接して前記燃焼室と前記吸気通路とを遮断する円環状の弁座が設けられ、
    前記シリンダヘッドには前記環状部材および前記コイルを収容する収容孔が形成され、
    前記収容孔は前記シリンダヘッドの前記弁座側端面に開口し且つその開口部の輪郭は前記弁座の外周の内側にあることを特徴とする請求項1または請求項2のどちらか一つに記載のエンジンの始動補助装置。
  4. ガソリンとアルコールとの混合液を燃料とするエンジンの始動補助装置であって、
    エンジンの燃焼室へ空気を導入するためにシリンダヘッドに形成され吸気通路と、
    前記シリンダヘッドにその軸方向に移動可能に保持され前記燃焼室と前記吸気通路との連通遮断を切り替える吸気弁と、
    前記吸気弁よりも上流側の吸気通路内に燃料を噴射可能に配置されたインジェクタと、を備え、
    前記吸気弁の前記シリンダヘッドと嵌合している部位であるステム部の外周側に巻回されたコイルと、
    前記コイルへの交流電圧印加・遮断を切り替える制御装置と、を備え、
    前記コイルへ交流電圧が印加されると前記吸気弁には誘導電流が発生することを特徴とするエンジンの始動補助装置。
  5. 前記コイルは前記ステム部のシリンダヘッドとの嵌合部分よりも前記吸気弁の傘部側に配置されることを特徴とする請求項4に記載のエンジンの始動補助装置。
  6. エンジンの冷却水温度を検出する水温センサと、
    吸気温度を検出する吸気温度センサと、を備え、
    前記制御装置は前記冷却水温度および前記吸気温度に基づいて前記コイルへの交流電圧印加を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載のエンジンの始動補助装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112879118A (zh) * 2019-11-29 2021-06-01 上海汽车集团股份有限公司 内燃机进气门装置

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