JP2009173621A - 2−アミノ−n−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)クロロアセチルクロライドと2,2,2−トリフルオロエチルアミンをジクロロメタン中、トリエチルアミンを塩基として用いて製造する方法(非特許文献2)。
(2)ブロモアセチルブロマイドと2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩をジクロロメタン中、トリエチルアミンを塩基として用いて製造する方法(特許文献3)
(3)2−クロロプロピオン酸クロライドと2,2,2−トリフルオロエチルアミンを反応させて製造する方法(製法の詳細な記述はない)(非特許文献3)
(4)2−フルオロプロピオン酸クロライドと2,2,2−トリフルオロエチルアミンを用いて、ジクロロメタン中、イミダゾールを塩基として用いて製造する方法(非特許文献4)
しかし、非特許文献2、特許文献3の方法では、溶媒としてジクロロメタン等のハロゲン系溶媒を用いる為環境負荷が高く、また収率も46〜77%と中程度である。さらに反応終了後副生するトリエチルアミン塩酸塩を除去する操作が必要となり、工業的製法としては望ましくない。また非特許文献3はクロロプロピオン酸クロライドと2,2,2−トリフルオロエチルアミンから製造するとしか記述が無く、詳細な製造法は開示されていない。非特許文献4では、典型的な反応例として2−フルオロプロピオン酸クロライドと(L)−フェニルアラニンエチルエステルとの反応のみが製造方法として開示されているが、この方法では、高価なイミダゾールを塩基として用いており、また収率は32%と低収率である(同様の方法で製造したアミドの収率は10〜70%であった、との記述しかない)。さらに、反応後イミダゾール塩酸塩を除去する操作が必要となり、工業的製法としては望ましくない。
[1]2,2,2−トリフルオロエチルアミンまたはその塩と式(2)
[2]無機塩基の存在下で行う、[1]記載の製造方法。
[3]X2が炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子の場合において、水の存在下で行う、[1]又は[2]記載の製造方法。
[4][1]、[2]又は[3]記載の方法で製造した式(5)
で表される2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造方法。
[5][1]、[2]又は[3]記載の方法で製造した式(3)
本発明において出発原料として用いる2,2,2−トリフルオロエチルアミン又はその塩は市販品として入手することが出来る。置換アシル化合物は公知の方法で製造することが出来、また一部は市販品として入手することが出来る。
本工程で原料として用いるN−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物は上記の方法で製造することが出来る。
本工程で原料として使用するフタロイルグリシル化合物は式
本工程で原料として使用する2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物は式
[実施例1]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
500ml四つ口フラスコに、水酸化ナトリウム30.4g(759.3mmol)と水50gを加え、室温で溶解させた後、5℃まで冷却した。ここに2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩50g(370.4mmol)を水60gに溶解させた溶液を5℃で滴下した。tert-ブチルメチルエーテル85gを投入して30分攪拌した後、5℃に保ったままクロロアセチルクロライド43.9g(388.9mmol)をtert-ブチルメチルエーテル15gに溶解した溶液を滴下した。反応液を10℃に昇温し、1時間攪拌した。ガスクロマトグラフィにて2,2,2−トリフルオロエチルアミンの消失を確認した後、室温まで昇温し分液した。水層をtert-ブチルメチルエーテル100gで抽出し、有機層を合わせて溶媒を減圧留去して液量を調整し、2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドのtert-ブチルメチルエーテル溶液258gを得た。高速液体クロマトグラフィによる内標定量の結果、収量は65g、収率は100%、濃度は25.1重量%であった。得られた溶液をヘプタンに滴下して晶析させることで取り出した2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの融点は、53.8℃(DSCにて測定)であった。
1H NMR (CDCl3, Me4Si, 400MHz) δ6.88 (brs, 1H), 4.13 (s, 2H), 4.02-3.92 (m, 2H)。
[実施例2]
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
実施例1で得られた2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドのtert-ブチルメチルエーテル溶液257g(含まれる2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド64.8g(370.3mmol))と41%アンモニア水648gとを2Lのオートクレーブに投入し、60℃まで加熱し、1時間攪拌した。この間ゲージ圧は0.4−0.5MPaまで上昇した。10℃まで冷却し、tert-ブチルメチルエーテル30gと水30gを使用して2Lのナスフラスコに移し変えた。ここに、水酸化ナトリウム14.8g(370.3mmol)を水100gに溶解した溶液を10℃で投入し10分攪拌した後に、減圧留去によって溶媒と過剰のアンモニアを除いた。さらに減圧留去を行い、総重量が165gとなるまで濃縮した。これを5℃まで冷却すると白色固体が析出した。このまま30分攪拌した後、冷水25gを使用して温度を保ったままろ過して白色固体を除去し、2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの水溶液177gを得た。高速液体クロマトグラフィによる内標定量の結果、収量は52.3g、収率は91%、溶液の濃度は29.6重量%であった。
沸点:71℃(27Pa)
1H NMR (CDCl3, Me4Si, 400MHz) δ7.85 (brs, 1H), 3.99-3.90 (m, 2H), 3.42 (s, 2H), 1.54 (brs, 2H)。
[実施例3]
2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
1L四つ口フラスコに水271gを投入し10℃まで冷却した。ここに炭酸カリウム77g(570.4mmol)を投入し、溶解させた。これを3℃に冷却し、2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩30.1g(223.2mmol)を投入した。3℃で10分間攪拌し、ここにフタロイルグリシルクロライド50g(223.2mmol)をアセトニトリル150.7gに溶解した溶液を、反応液が20℃以下を保つ速度で滴下した。1時間攪拌した後、反応で析出した生成物をろ過し、水150.7gで洗浄した。得られた個体を60℃で減圧乾燥し、2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドを白色固体として得た。収量は59.7g、収率は93.5%であった。
融点:256.5−257.0℃
[実施例4]
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
300ml四つ口フラスコに、実施例3で製造した2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド20g(69.9mmol)とエタノール200gを投入し、80℃まで過熱した。ここにヒドラジン一水和物2.98g(59.6mmol)を滴下し、80℃で1時間攪拌した。この後、ヒドラジン一水和物0.18g(3.6mmol)を追加で滴下し、80℃で30分攪拌を4回繰り返した。ここに酢酸エチル60gを投入し、25℃まで放冷した。反応液をろ過し、酢酸エチル60gで洗浄した。ろ液を減圧留去し、得られた残渣に酢酸エチル60gを加えて再びろ過し、最初のろ過で除去し切れなかった不純物を除去した。得られたろ液の溶媒を減圧留去、続けて減圧乾燥し、2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドを淡黄色固体として得た。収量は9.9g、収率は90%であった。
[実施例5]
2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパナミドの製造
フタロイル−D,L‐アラニン15g(68.4mmol)およびピリジン11.9g(150.6 mmol)のジクロロメタン90ml溶液に氷冷下で、ピバロイルクロリド9.08g(75.3 mmol)を滴下した。その後、室温付近になるまで攪拌し、そこに2,2,2−トリフルオロエチルアミン8.1g(81.8 mmol)を滴下し、室温で3時間攪拌した。反応完了後、反応液を水洗した後、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、減圧濾過後に溶媒を留去した。得られた固体をジイソプロピルエーテルにて洗浄し、減圧下で乾燥することにより、目的物10.3g(34.3 mmol)を白色固体として得た。
融点 150.0−151.5℃
1H NMR (CDCl3, Me4Si, 300MHz) δ7.85-7.92 (m, 2H), 7.72-7.80 (m, 2H), 6.51 (brs, 1H), 5.00 (q, J=7.5Hz, 1H), 3.88-4.02 (m, 2H), 1.73 (d, J=7.5Hz, 3H)。
[実施例6]
2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパナミドの製造
フタロイル−D,L‐アラニン2.19g(10mmol)のトルエン12ml溶液を70℃に加熱し、そこに触媒量(1滴)のN,N−ジメチルホルムアミド、次いで塩化チオニル1.1ml(15mmol)を滴下し、70−80℃で1.5時間攪拌した。反応完了後、溶媒および過剰の塩化チオニルを減圧下で留去し、残留物をクロロホルム10mlに溶解した。この溶液を、2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.19g(12mmol)およびトリエチルアミン1.52g(15mmol)のクロロホルム10ml溶液に、氷冷下で滴下し、同温度で30分間攪拌した。反応完了後、溶媒を減圧下で留去した後に、残留物を酢酸エチルに溶解し、水、希塩酸、水および飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥・ろ過を行い、溶媒を減圧下で留去した。得られた固体をジイソプロピルエーテルおよびn−ヘキサンの混合溶媒にて洗浄し、減圧濾過、次いで減圧乾燥することにより、目的物2.64g(8.8mmol)を白色固体として得た。
[実施例7]
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパナミドの製造。
1H NMR (CDCl3, Me4Si, 300MHz) δ7.86 (brs, 1H), 3.85-4.00 (m, 2H), 3.57 (q, J=7.1Hz, 1H), 1.51 (brs, 2H), 1.37 (d, J=7.1Hz, 3H)。
[実施例8]
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド塩酸塩の製造
1L四つ口フラスコに2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド50gとジエチルエーテル500mlを投入して溶解し、10℃まで冷却した。攪拌しながら塩化水素ガスを30分間バブリングした。バブリングの間、温度は10~20℃を保った。ジエチルエーテル200mlを追加し、窒素ガスで10分間バブリングして過剰の塩化水素ガスを除去した後、ろ過、減圧乾燥し、白色固体55gを得た。
融点:171−174℃
[実施例9]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
50mlナスフラスコに1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩2.02g(10.5mmol)、ジクロロメタン15mlを加え攪拌した。ここに室温でクロロ酢酸1g(10.5mmol)を加え、5分間攪拌した後、2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.15g(11.6mmol)を反応液の温度が30度を超えない速度で滴下した。室温で30分間攪拌した後、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩2.02g(10.5mmol)を追加し、さらに2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.15g(11.6mmol)を追加し、室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧留去し、残渣に水50mlを加えて溶解させ、ターシャリーブチルメチルエーテル50mlで抽出した。分液した後、水層をターシャリーブチルメチルエーテル50mlで再び抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウム上で脱水した。ろ過後溶媒を減圧留去、減圧乾燥し、目的物を白色固体として1.46g得た(収率77%)。
[実施例10]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
50ml四つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.49g、tert-ブチルメチルエーテル3.0gおよび水2.0gを投入し、窒素雰囲気下および氷冷下で攪拌した。そこにクロロアセチルクロライド0.56g(5.0mmol)のtert-ブチルメチルエーテル0.56g溶液を温度が10℃を超えない速度で滴下し、30分間攪拌した。その後、反応液を有機層と水層に分液し、水層をtert-ブチルメチルエーテル8mlで抽出し、有機層を合わせた。得られた有機層を減圧下で溶媒留去し、さらに減圧乾燥することにより、目的物0.83gを黄色固体として得た。得られた固体をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、面積百分率は98.9%であった。
[実施例11]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
50ml四つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.49gおよび水3.0gを投入し、窒素雰囲気下および氷冷下で攪拌した。そこにクロロアセチルクロライド0.56g(5.0mmol)を温度が10℃を超えない速度で滴下し、1時間攪拌した。その後、反応液をtert-ブチルメチルエーテル8mlで2回抽出し、有機層を合わせた。得られた有機層を減圧下で溶媒留去し、さらに減圧乾燥することにより、目的物0.79gを白色固体として得た。得られた固体をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、面積百分率は98.7%であった。
[実施例12]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
50ml四つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.49g(15.0mmol)およびtert-ブチルメチルエーテル3.0gを投入し、窒素雰囲気下および氷冷下で攪拌した。そこにクロロアセチルクロライド0.56g(5.0mmol)のtert-ブチルメチルエーテル0.56g溶液を温度が10℃を超えない速度で滴下した。2時間攪拌した後、析出した2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩を減圧濾過にて除去した。得られたろ液を減圧下で溶媒留去し、さらに減圧乾燥することにより、目的物0.88gを白色固体として得た。得られた固体をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、面積百分率は97.4%であった。
[実施例13]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
50ml四つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルアミン4.95g(50.0mmol)を投入し、窒素雰囲気下および氷冷下で攪拌した。そこにクロロアセチルクロライド0.56g(5.0mmol)を温度が30℃を超えない速度で滴下した。1時間攪拌した後、反応液にtert-ブチルメチルエーテル10mlを投入し、溶媒および過剰の2,2,2−トリフルオロエチルアミンを減圧留去した。そこに再度tert-ブチルメチルエーテル7.0mlを投入して、氷冷下で1時間攪拌した後、不溶の2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩を減圧濾過にて除去した。得られたろ液を減圧下で溶媒留去し、さらに減圧乾燥することにより、目的物0.66gを白色固体として得た。得られた固体をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、面積百分率は94.9%であった。
Claims (5)
- 2,2,2−トリフルオロエチルアミンまたはその塩と式(2)
(R1は水素原子又はメチル基を表し、X1は炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子又は
を表し、X2は炭素数1〜5のアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子を表し、R2〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニル基、炭素数1〜3のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す)で表されるアシル化合物を反応させることによる式(3)
(R1およびX1は前記の通り)で表されるN−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物の製造方法。 - 無機塩基の存在下で行う、請求項1記載の製造方法。
- X2が炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子の場合において、水の存在下で行う、請求項1又は2記載の製造方法。
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