JP2009173621A - 2−アミノ−n−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 置換2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド又はその塩の製造方法を提供する
【解決手段】
【化1】
Figure 2009173621

2,2,2−トリフルオロエチルアミン又はその塩をアシル化合物と、好ましくは水および無機塩基の存在下で反応させて得られる2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物を経由する2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド又はその塩の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、農薬や医薬の製造中間体等として有用な化合物である2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩を製造する方法に関する。
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩は、医薬農薬の中間体等として有用な化合物である。2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造法としては以下の方法が知られているのみである。
窒素原子をtert−ブトキシカルボニル基で保護したアミノ酸と2,2,2−トリフルオロエチルアミンを縮合剤を用いて縮合した後、酸を用いて保護基を外し、置換2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドを製造する方法(特許文献1、特許文献2)。
しかし、特許文献1、特許文献2の方法では、窒素原子をtert−ブトキシカルボニル基で保護したアミノ酸と2,2,2−トリフルオロエチルアミンを縮合する際に高価な縮合剤を用いており、また16時間もしくは一晩という長時間の反応が必要である。また、特許文献1では、脱保護に際しては過剰のトリフルオロ酢酸を必要としており取扱いも困難で、工業製造上現実的ではない。
また、2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドは非特許文献1に記載があるが、その製造法の記載は無い。
本発明で中間体として使用する式(3)で表されるN−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物の製造法としては以下の方法が知られている。
(1)クロロアセチルクロライドと2,2,2−トリフルオロエチルアミンをジクロロメタン中、トリエチルアミンを塩基として用いて製造する方法(非特許文献2)。
(2)ブロモアセチルブロマイドと2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩をジクロロメタン中、トリエチルアミンを塩基として用いて製造する方法(特許文献3)
(3)2−クロロプロピオン酸クロライドと2,2,2−トリフルオロエチルアミンを反応させて製造する方法(製法の詳細な記述はない)(非特許文献3)
(4)2−フルオロプロピオン酸クロライドと2,2,2−トリフルオロエチルアミンを用いて、ジクロロメタン中、イミダゾールを塩基として用いて製造する方法(非特許文献4)
しかし、非特許文献2、特許文献3の方法では、溶媒としてジクロロメタン等のハロゲン系溶媒を用いる為環境負荷が高く、また収率も46〜77%と中程度である。さらに反応終了後副生するトリエチルアミン塩酸塩を除去する操作が必要となり、工業的製法としては望ましくない。また非特許文献3はクロロプロピオン酸クロライドと2,2,2−トリフルオロエチルアミンから製造するとしか記述が無く、詳細な製造法は開示されていない。非特許文献4では、典型的な反応例として2−フルオロプロピオン酸クロライドと(L)−フェニルアラニンエチルエステルとの反応のみが製造方法として開示されているが、この方法では、高価なイミダゾールを塩基として用いており、また収率は32%と低収率である(同様の方法で製造したアミドの収率は10〜70%であった、との記述しかない)。さらに、反応後イミダゾール塩酸塩を除去する操作が必要となり、工業的製法としては望ましくない。
このように、中間体の製造を含めて、高収率、高選択的に置換2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド又はその塩を、工業的に満足できる形で製造する方法は知られていない。
WO2007041130 WO2006127587 公開特許公報 昭61−33189 Journal of Medicinal Chemistry, 2001, 44, 2630-2660 Langmuir, 11(11), 4371-82; 1995 Tetrahedron, (1991), 47(44), 9207-9214 Applied Radiation and Isotopes, (1994), 45(6), 715-727
以上のように、農薬や医薬の製造中間体等として有用な化合物である2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造方法が引き続き求められている。
本発明者は、このような状況に鑑み、鋭意検討した結果、2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造法として、以下の製法を見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、
[1]2,2,2−トリフルオロエチルアミンまたはその塩と式(2)
Figure 2009173621
(Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子または
Figure 2009173621
を表し、Xはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子を表し、R〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニル基、炭素数1〜3のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子を表す)で表されるアシル化合物を反応させることによる式(3)
Figure 2009173621
(RおよびXは前記の通り)で表されるN−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物の製造方法。
[2]無機塩基の存在下で行う、[1]記載の製造方法。
[3]Xが炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子の場合において、水の存在下で行う、[1]又は[2]記載の製造方法。
[4][1]、[2]又は[3]記載の方法で製造した式(5)
Figure 2009173621
(R〜Rは前記の通り)で表される2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物のフタルイミド部分を脱保護することによる式(1)
Figure 2009173621
(Rは前記の通り)
で表される2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造方法。
[5][1]、[2]又は[3]記載の方法で製造した式(3)
Figure 2009173621
(Rは前記の通りであり、Xは炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子を表す)で表されるN−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物をアンモニアと反応させることによる2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造方法。
本発明の製造方法により、農医薬の製造中間体として重要な2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩を、工業的に実現可能な方法で、高収率、高選択的に製造することが出来る。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)で表される化合物には1個の不斉炭素原子の存在に起因する光学活性体が存在するが、本発明は全ての光学活性体、ラセミ体、又はそれぞれの光学活性体の任意の割合での混合物の全てを包含する。
本明細書において示した各置換基の具体例を以下に示す。ここで、n−はノルマル、i−はイソ、s−はセカンダリー及びtert−はターシャリーを各々意味する。
本明細書におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
本明細書における炭素数1〜5のアルキル基の表記は、炭素原子数が1〜5個よりなる直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基が具体例として挙げられる。
本明細書における炭素数1〜5のアルコキシ基の表記は、炭素原子数が1〜5個よりなる前記の意味であるアルキル−O−基を表し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチルブチルオキシ基、2−メチルブチル基、3−メチルブチルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、1,1−ジメチルプロピルオキシ基、1,2−ジメチルプロピルオキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基が具体例として挙げられる。
本明細書における炭素数1〜5のアルキルカルボニル基の表記は、炭素原子数が1〜5個よりなる前記の意味であるアルキル−C(O)−基を表し、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、i−ブチリル基、バレリル基、i−バレリル基、2−メチルブタノイル基、ピバロイル基が具体例として挙げられる。
本明細書における炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基の表記は、炭素原子数が1〜5個よりなる前記の意味であるアルキル−O−C(O)−基を表し、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、i−プロピルオキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が具体例として挙げられる。
本明細書における炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基の表記は、炭素原子数が1〜5個よりなる前記の意味であるアルキル−C(O)−O−基を表し、例えばアセチルオキシ基、プロピルオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、i−ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、2−メチルブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基等が具体例として挙げられる。
本明細書における炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基の表記は、前記の意味であるアルキル基の炭素数1〜3のものについて、水素原子が全てフッ素原子に置換したものであり、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ヘプタフルオロプロピル基、i−ヘプタフルオロプロピル基が具体例として挙げられる。
本発明における各工程について、以下に詳細に説明する。
N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物の製造
本発明において出発原料として用いる2,2,2−トリフルオロエチルアミン又はその塩は市販品として入手することが出来る。置換アシル化合物は公知の方法で製造することが出来、また一部は市販品として入手することが出来る。
反応形式は、回転式(バッチ式)、流通式のいずれでも良い。
反応に用いる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、イミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン等の有機塩基等を、2,2,2−トリフルオロエチルアミンに対して1〜4当量用いることができる。また、2,2,2−トリフルオロエチルアミンを過剰量用いて、塩基とすることもできる。
反応は、有機溶媒を用いて行っても、有機溶媒と水を用いて二相系で行っても良いが、有機溶媒を用いる場合は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペンタノール、イソペンタノール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のホルムアミド類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン等のスルホン類、あるいはこれらの混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素と水との二相系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類と水との混合溶媒、又はジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類と水との二相系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル等のエーテル類と水との二相系である。より好ましくは、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素と水との二相系、又はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル等のエーテル類と水との二相系であり、これらの溶媒を使用した場合は、反応終了後そのまま分液操作をするだけで、塩と不純物を除去することが出来、溶液のまま次の置換2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造を行うことが出来る点で、製造上有利である。
反応温度は、例えば−10〜100℃、好ましくは0〜80℃である。
反応時間は、バッチ処理の場合には0.5〜20時間、好ましくは1〜15時間である。
式(2)で表されるアシル化合物の内、Xがヒドロキシ基の場合は縮合剤を使用するが、ペプチド合成で一般的に使用される縮合剤を使用することが出来、例えば1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1‐ヒドロキシベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、1‐エトキシカルボニル‐2‐エトキシ‐1,2‐ジヒドロキノリン、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸n−プロピル、クロロギ酸 i−プロピル、クロロギ酸tert-ブチル、クロロギ酸 i−ブチル、4−(4,6−ジメトキシー1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ピバロイルクロライド、N,N − ジメチルイミゾリニウムクロライド、ジエチルリン酸シアニド、ジフェニルリン酸アジド、カルボニルジイミダゾール、3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン等が挙げられる。
反応には塩基を使用しても使用しなくても良いが、使用する場合は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、イミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン等の有機塩基等を、2,2,2−トリフルオロエチルアミンに対して1〜4当量用いることができる。また、2,2,2−トリフルオロエチルアミンを過剰量用いて、塩基とすることもできる。
反応に用いる縮合剤とカルボン酸化合物とのモル比(縮合剤/カルボン酸化合物)は、特に制限は無いが、1以上が好ましい。
使用する溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のホルムアミド類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン等のスルホン類、あるいはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
反応温度は、例えば−20〜100℃、好ましくは0〜80℃である。
反応時間は、バッチ処理の場合には0.1〜48時間、好ましくは0.5〜24時間である。
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物の製造
本工程で原料として用いるN−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物は上記の方法で製造することが出来る。
反応に用いるアンモニアとN−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物とのモル比(アンモニア/N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物)は、特に制限は無く、通常は1以上であるが、30以上が好ましく、35以上が特に好ましい。
用いるアンモニアとしては、アンモニア水、アンモニアのメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペンタノール、イソペンタノール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール溶液、液化アンモニア、及びアンモニアガスが挙げられる。
反応は、有機溶媒を用いてアンモニア水との混合溶媒中で行っても、有機溶媒中で液化アンモニウムを用いて行っても、有機溶媒を用いずアンモニア水中で行っても、有機溶媒を用いず液体アンモニア中で行っても良いが、有機溶媒を用いる場合は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペンタノール、イソペンタノール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のホルムアミド類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン等のスルホン類、あるいはこれらの混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペンタノール、イソペンタノール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール類とアンモニア水の混合溶媒系、 ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル等のエーテル類とアンモニア水との二相系、又はベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類とアンモニア水との二相系である。
反応開始時の初期圧力は常圧でよいが、反応温度に応じて加圧しても良い。加圧する場合は1〜2MPaの穏やかな圧力でよい。反応は耐圧密閉容器中で行う為、初期圧力が常圧であっても、反応の設定温度到達時には0.1〜0.7MPaまで内圧が上昇する。
反応温度は、例えば−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。
反応時間は、バッチ処理の場合には0.5〜72時間、好ましくは1〜48時間である。
本工程ではアンモニア一分子に対して二分子のN−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物が反応して式
Figure 2009173621
(Rは[1]に記載の通り)で表される二級アミン(6)が副生するが、反応終了後、反応液を濃縮、0〜10℃まで冷却することで、二級アミン(6)を析出させ、ろ過して除去することで高純度の目的物を得ることが出来る。
本発明において製造される置換2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドは、アミンとして取り出しても良いし、また酸付加塩として取り出しても良い。酸付加塩として取り出す場合、常法に従って酸付加塩にすることができるものは、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸等のハロゲン化水素酸の塩、硝酸、硫酸、燐酸、塩素酸、過塩素酸等の無機酸の塩、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のスルホン酸の塩、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、酒石酸、蓚酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、マンデル酸、アスコルビン酸、乳酸、グルコン酸、クエン酸等のカルボン酸の塩又はグルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸の塩とすることができる。
2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物の製造
本工程で原料として使用するフタロイルグリシル化合物は式
Figure 2009173621
(X、R〜Rは前記の通り)で表される化合物であり、これらは公知の方法で製造することが出来、一部は市販品として入手することが出来る。また、原料として使用する2,2,2−トリフルオロエチルアミン又はその塩は市販品として入手することが出来る。
反応形式は、回転式(バッチ式)、流通式のいずれでも良い。
反応に用いる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、イミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン等の有機塩基等を、2,2,2−トリフルオロエチルアミンに対して1〜4当量用いることができる。
反応は、有機溶媒を用いて行っても、有機溶媒と水を用いて二相系で行っても良いが、有機溶媒を用いる場合は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペンタノール、イソペンタノール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のホルムアミド類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン等のスルホン類、あるいはこれらの混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素又はこれらと水との二相系、又はジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類又はこれらと水との二相系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル等のエーテル類又はこれらと水との二相系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類又はこれらと水との混合溶媒である。
反応温度は、例えば−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。
反応時間は、バッチ処理の場合には0.5〜72時間、好ましくは1〜48時間である。
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物の製造
本工程で原料として使用する2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物は式
Figure 2009173621
(R〜Rは前記の通り)で表される化合物であり、上記の方法で製造することが出来る。
本工程で反応に用いる資材としては、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、メチルアミン、エチレンジアミン、2−アミノエタノール、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸等のハロゲン化水素酸、硝酸、硫酸、燐酸、塩素酸、過塩素酸等の無機酸が挙げられる。
反応にヒドラジンを用いる場合、ヒドラジンと2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物とのモル比(ヒドラジン/2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物)は、特に制限は無いが、1以上であることが好ましい。用いるヒドラジンとしては、ヒドラジン一水和物、無水ヒドラジン、ヒドラジンの塩酸塩、硫酸塩又は酢酸塩のような酸の塩、又はこれらの適当な濃度の水溶液を使用しても良い。
反応にヒドロキシルアミンを用いる場合、ヒドロキシルアミンと2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物とのモル比(ヒドロキシルアミン/2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物)は、特に制限は無いが、1以上であることが好ましい。用いるヒドロキシルアミンは、例えば、塩酸塩、硫酸塩又は酢酸塩のような酸の塩の形で使用しても良いし、適当な濃度の水溶液を使用しても良い。
反応にメチルアミンを用いる場合、メチルアミンと2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物とのモル比(メチルアミン/2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物)は、特に制限は無いが、2以上であることが好ましい。用いるメチルアミンは、例えば、塩酸塩、硫酸塩又は酢酸塩のような酸の塩の形で使用しても良いし、適当な濃度の水溶液を使用しても良い。
反応にエチレンジアミンを用いる場合、エチレンジアミンと2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物とのモル比(エチレンジアミン/2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物)は、特に制限は無いが、1以上であることが好ましい。用いる2−アミノエタノールは、例えば、塩酸塩、硫酸塩又は酢酸塩のような酸の塩の形で使用しても良いし、適当な濃度の水溶液を使用しても良い。
反応に2−アミノエタノールを用いる場合、2−アミノエタノールと2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物とのモル比(2−アミノエタノール/2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物)は、特に制限は無いが、1以上であることが好ましい。用いる2−アミノエタノールは、例えば、塩酸塩、硫酸塩又は酢酸塩のような酸の塩の形で使用しても良いし、適当な濃度の水溶液を使用しても良い。
反応にハロゲン化水素酸又は無機酸を用いる場合、ハロゲン化水素酸又は無機酸と2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物とのモル比(ハロゲン化水素酸又は無機酸/2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物)は、特に制限は無いが、好ましくは100以下である。用いるハロゲン化水素酸又は無機酸は、適当な濃度の水溶液を使用しても良い。
反応は、有機溶媒を用いて行っても、有機溶媒と水を用いて二相系で行っても良いが、有機溶媒を用いる場合は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペンタノール、イソペンタノール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のホルムアミド類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン等のスルホン類、あるいはこれらの混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペンタノール、イソペンタノール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール類である。
反応温度は、例えば−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。
反応時間は、バッチ処理の場合には0.5〜72時間、好ましくは1〜48時間である。
本発明において製造される2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物は、アミンとして取り出しても良いし、また酸付加塩として取り出しても良い。酸付加塩として取り出す場合、常法に従って酸付加塩にすることができるものは、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸等のハロゲン化水素酸の塩、硝酸、硫酸、燐酸、塩素酸、過塩素酸等の無機酸の塩、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のスルホン酸の塩、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、酒石酸、蓚酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、マンデル酸、アスコルビン酸、乳酸、グルコン酸、クエン酸等のカルボン酸の塩又はグルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸の塩とすることができる。
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
500ml四つ口フラスコに、水酸化ナトリウム30.4g(759.3mmol)と水50gを加え、室温で溶解させた後、5℃まで冷却した。ここに2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩50g(370.4mmol)を水60gに溶解させた溶液を5℃で滴下した。tert-ブチルメチルエーテル85gを投入して30分攪拌した後、5℃に保ったままクロロアセチルクロライド43.9g(388.9mmol)をtert-ブチルメチルエーテル15gに溶解した溶液を滴下した。反応液を10℃に昇温し、1時間攪拌した。ガスクロマトグラフィにて2,2,2−トリフルオロエチルアミンの消失を確認した後、室温まで昇温し分液した。水層をtert-ブチルメチルエーテル100gで抽出し、有機層を合わせて溶媒を減圧留去して液量を調整し、2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドのtert-ブチルメチルエーテル溶液258gを得た。高速液体クロマトグラフィによる内標定量の結果、収量は65g、収率は100%、濃度は25.1重量%であった。得られた溶液をヘプタンに滴下して晶析させることで取り出した2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの融点は、53.8℃(DSCにて測定)であった。

1H NMR (CDCl3, Me4Si, 400MHz) δ6.88 (brs, 1H), 4.13 (s, 2H), 4.02-3.92 (m, 2H)。

[実施例2]
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
実施例1で得られた2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドのtert-ブチルメチルエーテル溶液257g(含まれる2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド64.8g(370.3mmol))と41%アンモニア水648gとを2Lのオートクレーブに投入し、60℃まで加熱し、1時間攪拌した。この間ゲージ圧は0.4−0.5MPaまで上昇した。10℃まで冷却し、tert-ブチルメチルエーテル30gと水30gを使用して2Lのナスフラスコに移し変えた。ここに、水酸化ナトリウム14.8g(370.3mmol)を水100gに溶解した溶液を10℃で投入し10分攪拌した後に、減圧留去によって溶媒と過剰のアンモニアを除いた。さらに減圧留去を行い、総重量が165gとなるまで濃縮した。これを5℃まで冷却すると白色固体が析出した。このまま30分攪拌した後、冷水25gを使用して温度を保ったままろ過して白色固体を除去し、2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの水溶液177gを得た。高速液体クロマトグラフィによる内標定量の結果、収量は52.3g、収率は91%、溶液の濃度は29.6重量%であった。

沸点:71℃(27Pa)

1H NMR (CDCl3, Me4Si, 400MHz) δ7.85 (brs, 1H), 3.99-3.90 (m, 2H), 3.42 (s, 2H), 1.54 (brs, 2H)。

[実施例3]
2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
1L四つ口フラスコに水271gを投入し10℃まで冷却した。ここに炭酸カリウム77g(570.4mmol)を投入し、溶解させた。これを3℃に冷却し、2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩30.1g(223.2mmol)を投入した。3℃で10分間攪拌し、ここにフタロイルグリシルクロライド50g(223.2mmol)をアセトニトリル150.7gに溶解した溶液を、反応液が20℃以下を保つ速度で滴下した。1時間攪拌した後、反応で析出した生成物をろ過し、水150.7gで洗浄した。得られた個体を60℃で減圧乾燥し、2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドを白色固体として得た。収量は59.7g、収率は93.5%であった。

融点:256.5−257.0℃

[実施例4]
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
300ml四つ口フラスコに、実施例3で製造した2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド20g(69.9mmol)とエタノール200gを投入し、80℃まで過熱した。ここにヒドラジン一水和物2.98g(59.6mmol)を滴下し、80℃で1時間攪拌した。この後、ヒドラジン一水和物0.18g(3.6mmol)を追加で滴下し、80℃で30分攪拌を4回繰り返した。ここに酢酸エチル60gを投入し、25℃まで放冷した。反応液をろ過し、酢酸エチル60gで洗浄した。ろ液を減圧留去し、得られた残渣に酢酸エチル60gを加えて再びろ過し、最初のろ過で除去し切れなかった不純物を除去した。得られたろ液の溶媒を減圧留去、続けて減圧乾燥し、2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドを淡黄色固体として得た。収量は9.9g、収率は90%であった。

[実施例5]
2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパナミドの製造
フタロイル−D,L‐アラニン15g(68.4mmol)およびピリジン11.9g(150.6 mmol)のジクロロメタン90ml溶液に氷冷下で、ピバロイルクロリド9.08g(75.3 mmol)を滴下した。その後、室温付近になるまで攪拌し、そこに2,2,2−トリフルオロエチルアミン8.1g(81.8 mmol)を滴下し、室温で3時間攪拌した。反応完了後、反応液を水洗した後、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、減圧濾過後に溶媒を留去した。得られた固体をジイソプロピルエーテルにて洗浄し、減圧下で乾燥することにより、目的物10.3g(34.3 mmol)を白色固体として得た。

融点 150.0−151.5℃

1H NMR (CDCl3, Me4Si, 300MHz) δ7.85-7.92 (m, 2H), 7.72-7.80 (m, 2H), 6.51 (brs, 1H), 5.00 (q, J=7.5Hz, 1H), 3.88-4.02 (m, 2H), 1.73 (d, J=7.5Hz, 3H)。

[実施例6]
2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパナミドの製造
フタロイル−D,L‐アラニン2.19g(10mmol)のトルエン12ml溶液を70℃に加熱し、そこに触媒量(1滴)のN,N−ジメチルホルムアミド、次いで塩化チオニル1.1ml(15mmol)を滴下し、70−80℃で1.5時間攪拌した。反応完了後、溶媒および過剰の塩化チオニルを減圧下で留去し、残留物をクロロホルム10mlに溶解した。この溶液を、2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.19g(12mmol)およびトリエチルアミン1.52g(15mmol)のクロロホルム10ml溶液に、氷冷下で滴下し、同温度で30分間攪拌した。反応完了後、溶媒を減圧下で留去した後に、残留物を酢酸エチルに溶解し、水、希塩酸、水および飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥・ろ過を行い、溶媒を減圧下で留去した。得られた固体をジイソプロピルエーテルおよびn−ヘキサンの混合溶媒にて洗浄し、減圧濾過、次いで減圧乾燥することにより、目的物2.64g(8.8mmol)を白色固体として得た。

[実施例7]
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパナミドの製造。
実施例5で得られた2−フタロイル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)プロパナミド5g(16.7 mmol)およびヒドラジン一水和物1g(20 mmol)のエタノール60ml溶液を加熱還流下で3.5時間攪拌した。反応完了後、氷冷下で攪拌し、析出した固体を減圧濾過により取り除き、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残留物にクロロホルムを加えて攪拌し、さらに析出した固体を減圧濾過により取り除いた後に、ろ液からクロロホルムを減圧留去することにより、目的物2.8g(16.5 mmol)を得た。

1H NMR (CDCl3, Me4Si, 300MHz) δ7.86 (brs, 1H), 3.85-4.00 (m, 2H), 3.57 (q, J=7.1Hz, 1H), 1.51 (brs, 2H), 1.37 (d, J=7.1Hz, 3H)。

[実施例8]
2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド塩酸塩の製造
1L四つ口フラスコに2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド50gとジエチルエーテル500mlを投入して溶解し、10℃まで冷却した。攪拌しながら塩化水素ガスを30分間バブリングした。バブリングの間、温度は10~20℃を保った。ジエチルエーテル200mlを追加し、窒素ガスで10分間バブリングして過剰の塩化水素ガスを除去した後、ろ過、減圧乾燥し、白色固体55gを得た。

融点:171−174℃

[実施例9]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
50mlナスフラスコに1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩2.02g(10.5mmol)、ジクロロメタン15mlを加え攪拌した。ここに室温でクロロ酢酸1g(10.5mmol)を加え、5分間攪拌した後、2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.15g(11.6mmol)を反応液の温度が30度を超えない速度で滴下した。室温で30分間攪拌した後、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩2.02g(10.5mmol)を追加し、さらに2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.15g(11.6mmol)を追加し、室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧留去し、残渣に水50mlを加えて溶解させ、ターシャリーブチルメチルエーテル50mlで抽出した。分液した後、水層をターシャリーブチルメチルエーテル50mlで再び抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウム上で脱水した。ろ過後溶媒を減圧留去、減圧乾燥し、目的物を白色固体として1.46g得た(収率77%)。

[実施例10]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
50ml四つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.49g、tert-ブチルメチルエーテル3.0gおよび水2.0gを投入し、窒素雰囲気下および氷冷下で攪拌した。そこにクロロアセチルクロライド0.56g(5.0mmol)のtert-ブチルメチルエーテル0.56g溶液を温度が10℃を超えない速度で滴下し、30分間攪拌した。その後、反応液を有機層と水層に分液し、水層をtert-ブチルメチルエーテル8mlで抽出し、有機層を合わせた。得られた有機層を減圧下で溶媒留去し、さらに減圧乾燥することにより、目的物0.83gを黄色固体として得た。得られた固体をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、面積百分率は98.9%であった。
[実施例11]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
50ml四つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.49gおよび水3.0gを投入し、窒素雰囲気下および氷冷下で攪拌した。そこにクロロアセチルクロライド0.56g(5.0mmol)を温度が10℃を超えない速度で滴下し、1時間攪拌した。その後、反応液をtert-ブチルメチルエーテル8mlで2回抽出し、有機層を合わせた。得られた有機層を減圧下で溶媒留去し、さらに減圧乾燥することにより、目的物0.79gを白色固体として得た。得られた固体をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、面積百分率は98.7%であった。
[実施例12]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
50ml四つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルアミン1.49g(15.0mmol)およびtert-ブチルメチルエーテル3.0gを投入し、窒素雰囲気下および氷冷下で攪拌した。そこにクロロアセチルクロライド0.56g(5.0mmol)のtert-ブチルメチルエーテル0.56g溶液を温度が10℃を超えない速度で滴下した。2時間攪拌した後、析出した2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩を減圧濾過にて除去した。得られたろ液を減圧下で溶媒留去し、さらに減圧乾燥することにより、目的物0.88gを白色固体として得た。得られた固体をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、面積百分率は97.4%であった。
[実施例13]
2−クロロ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミドの製造
50ml四つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルアミン4.95g(50.0mmol)を投入し、窒素雰囲気下および氷冷下で攪拌した。そこにクロロアセチルクロライド0.56g(5.0mmol)を温度が30℃を超えない速度で滴下した。1時間攪拌した後、反応液にtert-ブチルメチルエーテル10mlを投入し、溶媒および過剰の2,2,2−トリフルオロエチルアミンを減圧留去した。そこに再度tert-ブチルメチルエーテル7.0mlを投入して、氷冷下で1時間攪拌した後、不溶の2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩を減圧濾過にて除去した。得られたろ液を減圧下で溶媒留去し、さらに減圧乾燥することにより、目的物0.66gを白色固体として得た。得られた固体をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、面積百分率は94.9%であった。
本発明の製造方法は、農薬、医薬の中間体等として有用な化合物である置換2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド又はその塩の製造方法として有用である。

Claims (5)

  1. 2,2,2−トリフルオロエチルアミンまたはその塩と式(2)
    Figure 2009173621

    (Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子又は
    Figure 2009173621

    を表し、Xは炭素数1〜5のアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子を表し、R〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニル基、炭素数1〜3のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す)で表されるアシル化合物を反応させることによる式(3)
    Figure 2009173621

    (RおよびXは前記の通り)で表されるN−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物の製造方法。
  2. 無機塩基の存在下で行う、請求項1記載の製造方法。
  3. が炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子の場合において、水の存在下で行う、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 請求項1、2又は3記載の方法で製造した式(5)
    Figure 2009173621

    (R〜Rは前記の通り)で表される2−(2’−フタロイル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物のフタルイミド部分を脱保護することによる式(1)
    Figure 2009173621

    (Rは前記の通り)
    で表される2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造方法。
  5. 請求項1、2又は3記載の方法で製造した式(3)
    Figure 2009173621

    (Rは前記の通りであり、Xは炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子を表す)で表されるN−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物をアンモニアと反応させることによる2−アミノ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造方法。
JP2008086194A 2007-10-29 2008-03-28 2−アミノ−n−(2,2,2−トリフルオロエチル)アセトアミド化合物又はその塩の製造方法 Active JP5403205B2 (ja)

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