JP2009173343A - ブリスターパック用カバー材およびこれを用いたブリスターパック - Google Patents

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Abstract

【課題】蓋材固定時の作業性を低下させることなく、異物侵入のおそれが少ないブリスターパック用のカバー材を提供する。
【解決手段】カバー材1は、物品の収容部3を有する凹部2と、凹部2の開口周縁から外方に延在するフランジ部5とを備える。凹部2の下端には、当該カバー材1の背面に蓋材20を固定して得られるブリスターパックBPを自立可能とする脚部4が設けられる。カバー材1の下端縁には、カバー材1の背面側に繰り返し折り返し可能のフラップ部6が一体的に設けられる。フラップ部6は、望ましくは凹部2の開口下端と同幅、さらに望ましくは凹部2の開口下端よりも幅広に形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、ブリスターパック用のカバー材およびこれを用いたブリスターパックに関する。
ブリスターパックは、化粧品、日用品、医薬品、小型電気部品等を、店頭において陳列するための包装体として広く用いられている。ブリスターパックとしては、樹脂シートから熱成形され、物品の収容部が設けられた凹部を有するカバー材と、カバー材の凹部開口を封止する平板状の蓋材とで構成されるものが公知である。この種のブリスターパックは、ステープル等の止め具を用いてカバー材に蓋材が固定される止め具固定タイプ、カバー材に蓋材が熱圧着される圧着固定タイプ(例えば、特許文献1)、およびカバー材の両側縁を折り返すことによって形成したガイド溝に沿って蓋材が挿入されるスライドタイプ(例えば、特許文献2)などに大別され、近年では、意匠性に富む、蓋材の封止および開封が簡便に行い得る等の理由で、圧着固定タイプやスライドタイプが多用される傾向にある。
この種のブリスターパックは、店頭において、フック等に吊り下げられた状態で陳列される他、棚に自立させた状態で陳列される場合もある。自立状態で陳列されるブリスターパック用のカバー材には、凹部の下端に、ブリスターパックを自立可能とするための脚部が設けられる(特許文献2)。
特開平09−255030号公報 特開2006−137430号公報
例えば、スライドタイプのブリスターパックにおいて、その側部ではカバー材の折り返し部分に蓋材が係合することによって凹部(収容部)の開口が封止されるが、下端部(あるいは上端部)ではカバー材と蓋材が密着していないため、両者間に形成される隙間から異物が収容部内に入り込むおそれが、また物品を抜き取られるおそれがある。特に、上記特許文献2のように、カバー材に、ブリスターパックを自立可能とする脚部を形成した場合、ブリスターパックの自立安定性を確保するには、脚部をできるだけカバー材の下端縁に接近した位置に設ける必要があるため、上記の問題が生じ易い。またこの場合、蓋材が圧着固定されるカバー材においては、カバー材の下端で蓋材との圧着面積が極小化されるために蓋材との圧着不良が生じ易いという問題もある。かかる圧着不良は、上記同様、異物が収容部内に入り込んだり、物品を抜き取られたりする等の問題を招く。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、蓋材固定時の作業性を低下させることなく、異物が侵入したり、物品が抜き取り取られたりするおそれの少ないブリスターパック用のカバー材を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明では、樹脂シートから熱成形され、物品の収容部を有する凹部と、凹部の開口周縁から外方に延在するフランジ部とを備え、凹部の開口が別体の蓋材で封止されるブリスターパック用のカバー材において、カバー材の端縁に、カバー材の背面側に繰り返し折り返し可能のフラップ部が設けられていることを特徴とするブリスターパック用カバー材を提供する。
なお、本発明でいう「熱成形」とは、加熱軟化された樹脂シートを型に沿わせて変形させることによって所定形状の成形品を得る手法を言い、具体的には、真空引きによって樹脂シートを型に沿わせて変形させる真空成形、圧縮空気の供給により樹脂シートを型に沿わせて変形させる圧空成形、あるいは真空引きと圧縮空気の供給を併用して樹脂シートを型に沿わせて変形させる真空圧空成形等の手法を言う。
上記のように、本発明に係るカバー材は、その端縁に、当該カバー材の背面側に繰り返し折り返し可能のフラップ部が設けられていることを特徴とするものである。このような構成とすれば、フラップ部を折り返すことにより、カバー材の端部と蓋材との接触面積を増大させることができる。これにより、蓋材が圧着固定されるカバー材においては、圧着不良が生じ難くなり、異物の侵入防止等が図られる。また、蓋材がスライド挿入されるカバー材においては、フラップ部を弾性的に蓋材に密着させることができるため、埃等が侵入するおそれを低減することが可能となる。なお、フラップ部はカバー材の端縁に設けられるものであり、上記の作用効果は、フラップ部をフランジ部の背面側に折り返すだけで得られるものであるから、蓋材固定時の作業性が、フラップ部を設けない場合に比べて低下するような事態は生じない。
フラップ部は、凹部の開口端部と同幅か、もしくはこれよりも幅広とするのが望ましい。このようにすることで、異物の侵入および物品の抜き取りを一層効果的に抑制あるいは防止することができる。
フラップ部の折り返し時、フラップ部の背面とフランジ部の背面とを同一平面上に位置させるのが望ましい。蓋材との接触面に段差がなくなるため、例えば蓋材を圧着固定する際には、その固定精度を高めることができるからである。また、蓋材の表面に不自然な凹凸が形成されるのを防止することができ、ブリスターパックの意匠性が低下するのを防止することができる。
ところで、ブリスターパックは様々な商品を収容するための包装体として用いられるものであるが、例えば、開封後に組立を行う組立式の商品を包装する場合には、従来のブリスターパックでは解消し得ない別の問題がある。詳細に述べると、このような商品は、完成品と概ね同視できる態様で各構成物品を展示すべく、各構成物品の芯合わせを行った状態で収容される場合が多い。しかしながら、各物品が同径であることは稀であり、従って相対的に小径の物品はブリスターパック内でがたつくという問題がある。この種の問題は、例えば、相対的に小径に形成された物品背面と蓋材表面との間に、隙間を埋める別部材を設けることで回避可能であるが、部品点数の増大、またこれに起因した組立の煩雑化を招く。かかる問題は、複数物品で構成された組立式の商品のみならず、例えばチューブ状の商品のように、長さ方向(軸方向)の各所で厚みが異なる商品を包装する場合でも同様に起こり得る。
上記の問題は、フラップ部に、折り返しにより、収容部側に突出する立体形状部を設けることで解消可能である。すなわち、フラップ部の適切な位置に適切な形状の立体形状部を設ければ、このフラップ部を折り返した状態で蓋材を固定することにより、隙間を埋めることができる。しかも、立体形状部は、フラップ部に形成されることから、部品点数の増大、およびこれに起因した蓋材組み付け時の作業性低下が生じることはない。従って、上記構成によれば、各構成物品・部位を適切な態様で収容しつつも、相対的に小径の物品・部位のガタ止めを低コストに実現することが可能となる。
また、例えば、円筒状の物品を包装する場合には、当該物品の回り止めを図る必要がある。輸送時等に物品が収容部内で回転すると、適切な態様で店頭に陳列することが難しくなるからである。現状、例えば、収容部内の両側面に凸部を設け、これら凸部間で円筒物品を挟持(拘束)する、収容部の形状自体を物品の外面に密着する形状に形成する等、の対策が講じられているが、前者の手段では確実に回り止めを図ることができず、後者の手段では収容部形状が複雑化して製造コストが増大する。
そこで本発明では、さらに、フラップ部の先端縁に、繰り返し折り曲げ可能で、収容部の深さ方向に沿って延びる補助フラップを設け、かつこの補助フラップに、物品の一端を収容する補助収容部を設けた構成を提供する。この場合、補助収容部は、物品の一端外面を全周に亘って拘束し得る環状形態に形成することができる。そのため、補助収容部の内径寸法を適切に設定しておけば、上記のように収容部形状に特段の工夫を凝らす必要はなく、むしろ収容部形状を単純化しつつも物品の回り止めを図ることができる。従い、効果的に物品の回り止めを図り得るカバー材を低コストに得ることができる。
上記構成を採用した場合、上述のとおり収容部形状を単純化することができるというメリットはあるが、収容部形状を単純化すると収容部内壁面と物品外面の間のクリアランスが大きくなる。そのため、収容部内で補助フラップががたつくと、収容部内で物品が大きくがたつくおそれがある。かかる問題が生じるのを回避すべく、上記構成を採用した場合には、収容部の内壁面に、折り曲げた補助フラップと係合する係合部を設けるのが望ましい。
凹部を有するカバー材は、通常、凹部成形用の型部が樹脂シートの送り方向に連設された(さらにシートの幅方向に連設される場合もある)成形型を用いて一群の成形品を熱成形した後、当該一群の成形品を個々のカバー材形状にトリミングすることによって製造される。そして使用する成形型には、真空引きや圧空供給によって樹脂シートを各型部に密着させる際の伸び代を確保するため、ロス部と称される余剰部分を型部間に介在させることが必須となっている。一般に、ロス部は、隣接する型部の最大高さ(あるいは深さ)と概ね等しい長さとされるため、トリミング後に排出される樹脂シートは未使用部分が多く残存する材料ロスの多いものであった。
この点、フラップ部の全長を凹部の最大深さよりも短小とすれば、上記のロス部を利用して、換言すると元来廃棄処理されていた樹脂シートの未使用部分を利用して、フラップ部、さらにはこれに立体形状部を形成することが可能となる。従って、特段のコスト増を招くことなく、上記の各種作用効果を奏し得るフラップ部および立体形状部を得ることが可能となるため、望ましい。また、廃棄物低減の観点からも好適である。なお、ここで言う「フラップ部の全長」とは、フラップ部の先端縁に補助フラップを設けた場合には、この補助フラップも含めた全長寸法をいう。
カバー材に設けたフラップ部は、これを折り返した状態で蓋材を固定すると、蓋材に弾性的に密着させることができる。
以上のように、本発明によれば、蓋材固定時の作業性を低下させることなく、異物が侵入したり、物品が抜き取り取られたりするおそれの少ないブリスターパック用のカバー材を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るブリスターパック用カバー材1(以下、単に「カバー材1」と称す)の背面に、蓋材20を熱圧着してなる、いわゆる圧着固定タイプのブリスターパックBPの一例を示す斜視図である。
カバー材1は、樹脂シート、本実施形態ではポリエチレンテレフタレート(PET)製の樹脂シートから熱成形されたものであり、図2(a)(b)にも示すように、図示しない商品(物品)が収容される収容部3が設けられた凹部2と、凹部2の開口周縁から外方に延在するフランジ部5とで主要部が構成される。凹部2の下端には、ブリスターパックBPを自立させるための脚部4が、カバー材1の幅方向に離隔した二箇所に設けられる。なお、図2(a)は展開状態のカバー材1の背面図、図2(b)は、図2(a)のY−Y断面図をそれぞれ示すものである。但し、後述する実施形態も含め、断面図におけるカバー材1の肉厚は誇張して描いている。
本実施形態において、フランジ部5は、凹部2の開口側縁および開口上縁から外方に延びる第1のフランジ部5aと、凹部2の開口下縁から外方に延びる第2のフランジ部5bとで構成される。第2のフランジ部5bは、カバー材1の厚みに概ね等しい幅(高さ)の段部5cを介して第1のフランジ部5aよりも低い位置にあり、第1のフランジ部5aと一体に形成されている。
カバー材1の下端縁(第2のフランジ部5bの下端縁)には、下方に延在し、その基端部7(第2のフランジ部5bとの接続部分)を支点としてカバー材1の背面側に繰り返し折り返し可能な舌片状のフラップ部6が一体的に設けられる。フラップ部6は、凹部2の開口下端と同幅かこれよりも幅広(図示例は幅広)とされ、その折り返し時に凹部2の開口下端を封止する(図3(a)を参照)。また、フラップ部6は、その折り返し時に弾性で戻ろうとして蓋材20に密着する。さらに、本実施形態のフラップ部6は、上記態様で設けられた第2のフランジ部5bから下方に延在するものであり、折り返し後は段部5cに収容される。そのため、ブリスターパックBPの状態では、フラップ部6の背面が、図3(b)に示すように、第1のフランジ部5aの背面と同一平面上に位置するようになっている。また、フラップ部6の長さL1は、凹部2の最大深さD1よりも短い。
フラップ部6の基端部7には、当該フラップ部6の折り返しを容易化するため(折り返しを繰り返し行うことを可能とするため)、例えば、ミシン目状の貫通孔が形成されている。もちろん、フラップ部6の折り返しを容易化するための手段は、ミシン目状の貫通孔に限定されるものではなく、けい線(折り目)等であっても良い。
そして、以上の構成からなるカバー材1の収容部3内に物品(図3(b)中に二点鎖線で示す)を収容した後、フラップ部6をカバー材1の背面に折り返し、この状態で第1のフランジ部5a、フラップ部6の背面に蓋材20を熱圧着することにより、図1に示すブリスターパックBPが完成する。
以上に示す本発明に係るカバー材1は、その下端縁に、当該カバー材1の背面側に繰り返し折り返し可能のフラップ部6が一体的に設けられているものであるから、フラップ部6を折り返すことにより、凹部2の開口下端を封止することができ、しかもカバー材1下端と蓋材20との接触面積(圧着面積)を増大させることができる。これにより、蓋材20の圧着不良に起因した隙間が生じるのを効果的に防止することができ、異物の侵入防止、物品の抜き取り防止が図られる。また、フラップ部6は、カバー材1の下端縁に一体的に設けられており、このフラップ部6を背面側に折り返すだけで上記の効果が得られるから、蓋材2圧着時の作業性が低下することはない。
特に本実施形態では、図3からも明らかなように、フラップ部6が、その折り返し時に、収容部3の形成領域に至る長さに形成されているので、蓋材20の固定時(圧着時)には、フラップ部6の前面を物品で支持することができ、フラップ部6の背面に蓋材20を精度良く圧着することができる。
また、フラップ部6の折り返し時、フラップ部6の背面とフランジ部5(第1のフランジ部5a)の背面とを同一平面上に位置させるようにし、両面間で段差が生じないようにしたので、蓋材20の圧着精度を高めることができる。またかかる構成とすることにより、ブリスターパックBPの背面に不自然な凹凸が生じ、ブリスターパックBPの意匠性が低下するのを回避することができる。
次に、上述したカバー材1の製造方法について説明する。
図4は、カバー材1の成形装置40の要部を概念的に示す側面図である。同図において、図中左方に配置された原反ロール41からはPET製の樹脂シート42が繰り出される。この樹脂シート42は、図示しない搬送手段によって、成形機50、図示しない中間パンチャーおよびトリミング機に順送りされ、トリミング機から排出された段階で完成品としてのカバー材1が得られる。なお、カバー材1に装飾を施したり、原材料名等を刻印したりする箔押機やパッド印刷機等をインライン上に配設することも可能である。
成形機50は、加熱部51と成形部52とで主要部が構成された真空成形機である。加熱部51は、樹脂シート42を成形適温に加熱軟化させるためのものであり、図示しないヒータが搬送路の上方または下方の何れか一方又は双方に配置されている。加熱部51で成形適温に加熱軟化された樹脂シート42は成形部52に移送される。成形部52では、図5にも示すように、凹部2を型成形するための型部53aがシート送り方向および幅方向に所定間隔で連設された成形型53を用いて、1ショットで多数(複行複列)の凹部2が樹脂シート42に型成形される。成形型53には無数の吸気孔53bが設けられており、図示しない吸気装置から各吸気孔53bを介して樹脂シート42と成形型53との間の空気を引くと、樹脂シート42が各型部53aに沿って変形し(図5中に点線で示す)、これにより、多数の凹部2が所定間隔で樹脂シート42に型成形される。
多数の凹部2が型成形された樹脂シート42は遊び部43に移送され、弛んだ状態で一旦滞留する。これにより、1ショットで複行複列の凹部2を樹脂シート42に成形する成形機50と、1ショットでシート送り方向の一列分のみを加工する後段各機との間のサイクルタイムのずれが吸収される。次いで、樹脂シート42は図示しない中間パンチャーに移送され、この中間パンチャーで、カバー材1に設けるべきフラップ部6の基端に対応する位置に、フラップ部6の折り返しを容易化するためのミシン目状貫通孔が形成される。その後、樹脂シート42はトリミング機に移送され、このトリミング機で樹脂シート42を所定形状にトリミングすることにより、個々の完成品(カバー材1)が得られる。一方、トリミング後の樹脂シート42は、図示しないスクラップワインダーに巻き取られる。
量産時には、以上の動作が並行して連続的に行われ、カバー材1は連続成形される。
ところで、上述した成形部52において、1ショットで複行複列の凹部2を型成形する場合、成形型53の型部53a間(厳密には、樹脂シート42の送り方向で隣接する型部53a間)には、真空引きによって樹脂シート42を各型部53aに密着させる際の伸び代を確保するため、隣接する型部53aの最大高さH1と概ね等しい長さLr1のロス部Rと称される余剰部分を介在させることが必須となっている。本実施形態に係るカバー材1を例にとって詳述すると、このカバー材1にフラップ部6を設けない場合であっても、型部53aをシート42送り方向に連設する際の配置間隔は、フランジ部5の両端縁間の離間距離と、ロス部Rの長さLr1とを合算した値とする必要がある。この場合、トリミング後に排出される樹脂シート42は、未使用部分が多く残存する材料ロスが多いものとならざるを得ない。
本願発明者らは上述の樹脂シート42の未使用部分に着目し、フラップ部5の全長L1を、凹部2の最大深さD1よりも小さく、換言するとロス部Rの長さLr1よりも短くすることにより、従来廃棄処分されていた樹脂シート42の未使用部分を利用して、フラップ部6を形成するようにした。従って、上述した作用効果を奏するカバー材1は、特段のコスト増を招くことなく得られる。
以上で説明したカバー材1においては、その下端縁に繰り返し折り返し可能なフラップ部6を設けたが、フラップ部6は、凹部2の形成態様に応じてカバー材1の上端縁や側縁に設けることも可能である。
図6および図7は、本発明に係るカバー材1の第2実施形態を示すものであり、蓋材20が背面にスライド挿入される、いわゆるスライドタイプのブリスターパック用カバー材1である。同図に示すカバー材1は、図6(b)中に点線で示すような分離独立した第1部材B1、第2部材B2、および第3部材B3からなる組立式の商品の包装に供されるものである。なお、説明を簡略化するため、以上で述べた第1実施形態に係るカバー材1と同一の機能を奏する部位には共通の参照番号を付し、重複説明を省略する。
凹部2の収容部3は、第1部材B1を収容するための第1収容部31、第2部材B2を収容するための第2収容部32、および第3部材B3を収容するための第3収容部33に区画され、各部材B1〜B3は各収容部31〜33にそれぞれ設けられた係止部31a〜33a(図6(a)を参照)と軸方向に係合することで、それぞれ分離独立して収容部3内に保持可能とされている。第1収容部31および第2収容部32は、陳列状態における第1部材B1および第2部材B2の奥行(外径寸法)に概ね等しい深さとされる一方、第3収容部33は、第3部材B3の奥行よりも所定量深くなっている(図6(b)を参照)。これは、第1〜第3部材B1〜B3を組み付けて得られる完成品と概ね同視できる態様(各部材を芯合わせした態様)で、各部材を陳列可能とするためである。
凹部2の下端に設けられる脚部4は、本実施形態では凹部2(カバー材1)の幅方向中央部の一箇所に設けられる。
上記の第1実施形態と同様、カバー材1の下端縁(第2のフランジ部5bの下端縁)には、下方に延在し、その基端部7を支点として当該カバー材1の背面側に繰り返し折り返し可能な舌片状のフラップ部6が一体的に設けられる。フラップ部6は、凹部2の開口下端(脚部4の幅)と同幅もしくはこれよりも幅広(図示例は、幅広)とされる。フラップ部6の折り返し時には、フラップ部6が弾性で戻ろうとして蓋材20に密着するため、凹部2の開口下端がフラップ部6で封止される(図7(a)を参照)。また、フラップ部6は、図2に示す第1実施形態と同様に、カバー材1の厚みに概ね等しい幅の段部5cを介して第1のフランジ部5aよりも低い位置にある第2のフランジ部5bから下方に延在するものであるから、フラップ部6を折り返した状態で、フラップ部6の背面は第1のフランジ部5aの背面と同一平面上に位置可能である(図7(b)を参照)。フラップ部6の長さL2は、凹部2の最大深さD2よりも短い。
フラップ部6には、図6に示す展開状態では収容部3とは反対方向に所定量突出する一方、図7(a)(b)に示す背面側への折り返し時には、第3収容部33側に突出する立体形状部8が設けられる。立体形状部8のうち、第3収容部33内に収容される第3部材B3との対向面は、第3部材B3の背面に概ね倣った形状に形成される。この立体形状部8の突出量は、これと第3部材B3の厚みとを合算した値が、第3収容部33の深さに概ね等しくなるように設定される。
フランジ部5(第1のフランジ部5a)の両側縁の軸方向に離隔した二箇所には、その基端を支点としてカバー材1の背面側に折り返される小フラップ9,9がそれぞれ設けられる。全体として4箇所設けられた小フラップ9のうち図中左下に位置する小フラップ9には、当該小フラップ9の表裏に開口した貫通孔9aが設けられる。この貫通孔9aには蓋材20の一側縁に形成した突出部20a(図8を参照)が嵌合可能とされ、カバー材1と蓋材20の組み付け時に、突出部20aを貫通孔9aに嵌合させることにより両者の相対移動が規制される。
そして、以上の構成からなるカバー材1に対する蓋材20の組み付けは以下のようにして行われる。まず、図7(a)(b)に示すように、各小フラップ9をカバー材1の背面側に折り返してガイド溝9bを形成した状態で、各収容部31〜33内に各部材B1〜B3を収容する。次いで、カバー材1の下方から、両側縁をガイド溝9bに沿わせるようにして蓋材20をスライド挿入する。そして、蓋材20に設けた突出部20aをカバー材1に設けた貫通孔9a(図8を参照)に嵌合させると、図8に示すブリスターパックBPが完成する。
以上に示す本発明の第2実施形態に係るカバー材1は、その下端縁に、当該カバー材1の背面側に繰り返し折り返し可能のフラップ部6が一体的に設けられ、このフラップ部6は、弾性的に蓋材20に密着するものであるから、凹部2の開口下端を封止することができる。これにより、埃等の異物が凹部2(収容部3)内に侵入するのを効果的に抑制することが可能となる。また、このフラップ部6は、カバー材1の下端側にのみ設けられるものであるから、蓋材20の挿入性が低下することもない。
また、本実施形態に係るカバー材1においては、フラップ部6に、当該フラップ部6の折り返しにより、第3収容部33側に突出する立体形状部8を設けているため、フラップ部6を折り返すだけで、第3部材B3の背面と蓋材20との間に形成される隙間を埋めることができる。これにより、第1および第2部材B1,B2に比べて小径の第3部材B3の視認性が陳列状態で低下するのを防止することが、また、第3部材B3がカバー材1表裏方向でがたつくのを防止することができる。かかる効果を奏する立体形状部8は、フラップ部6に一体的に設けられるので、部品点数の増大、およびこれに起因した蓋材20の挿入性低下は回避される。
次に、本発明の第2実施形態に係るカバー材1の製造方法について説明する。但し、このカバー材1の成形装置の要部は図4に示すものと実質的に同一であり、成形機50の成形部52の構成のみが第1実施形態と異なる。そのため、成形部52の具体例のみを図9に示し、成形装置40のその他の部分および挙動についての説明は省略する。
図9に示す成形部52で用いられる成形型53には、凹部2および立体形状部8を型成形するための型部53a,53cが、それぞれシート送り方向および幅方向に所定間隔で連設されており、1ショットで多数の凹部2,立体形状部8が樹脂シート42に型成形される。成形型53には無数の吸気孔53bが設けられており、図示しない吸気装置から各吸気孔53bを介して樹脂シート42と成形型53との間の空気を引くと、図中点線で示すように樹脂シート42が各型部53a,53cに沿って変形し、これにより多数の凹部2および立体形状部8が所定間隔で樹脂シート42に型成形される。
図示例の成形型53においても、凹部2を成形するための型部53a間には、隣接する型部53aの最大高さH2、換言すると、凹部2の最大深さD2と概ね等しい長さLr2のロス部Rが設けられており、立体形状部8を成形するための型部53cは、ロス部Rの範囲内に設けられている。従って、以上で説明した本発明の第2実施形態に係るカバー材1においても、従来廃棄処分されていた樹脂シート42の未使用部分を利用してフラップ部6、さらには立体形状部8を形成しているので、このカバー材1も特段のコスト増を招くことなく得られる。
以上に示す第2実施形態では、奥行の異なる分離独立した複数の部材B1〜B3からなる商品包装用のカバー材1について説明を行ったが、図6等に示す構成は、このような商品のみならず、例えばチューブ状商品のように、長さ方向の各所で厚みの異なる商品包装用のカバー材にも好適に適用可能である。
また、以上に示す第2実施形態では、下端縁に繰り返し折り返し可能なフラップ部6を設けたカバー材1について説明を行ったが、かかる構成のフラップ部6は、カバー材1の上端縁に設けることも可能である。
図10は本発明の第3実施形態に係るカバー材1の展開状態を、また図11は同カバー材1に図示しない蓋材を組み付ける直前の状態をそれぞれ示すものであり、いわゆるスライドタイプのブリスターパック用カバー材1の第2構成例である。図示例のカバー材1は、全長に亘って概ね径一定に形成された円筒状の商品C(図11中の点線参照)の包装に供されるものであり、上記各実施形態のカバー材1同様に、樹脂シートから熱成形されたものである。以下、本実施形態に係るカバー材1の各部についての説明を行うが、以上で述べた実施形態とは異なる部位についての説明を重点的に行うこととし、共通する部位についての説明は簡略化、もしくは省略する。
凹部2(収容部3)は、平面視で略矩形状をなし、その深さD3は軸方向全長に亘って略同一寸法に設定されている。但し、収容部3の開口幅は、成形時の抜き勾配を確保する観点から、カバー材1の表面側に向かって漸次縮小している。凹部2の下端には、完成品としてのブリスターパックBPを自立させるための脚部4が、カバー材1の幅方向に離隔した二箇所に設けられる。
カバー材1の下端縁には、繰り返し折り返し可能とされ、折り返し時にはフランジ部5と係合する舌片状のフラップ部6が設けられ、さらに当該フラップ部6の下端縁(先端縁)には、下方に延在した舌片状の補助フラップ10が設けられる。補助フラップ10の基端部12には、フラップ部6の基端部7と同様にミシン目状の貫通穴(あるいはけい線)が設けられており、これにより補助フラップ10は、その基端部12を支点として繰り返し折り曲げ可能とされる。補助フラップ10の長さL3は収容部3の深さD3よりも若干量短小に形成される一方、補助フラップ10の幅は、収容部3の開口幅がカバー材1表面側に向かって漸次縮小するのに対応するかたちで下方に向かって漸次縮小している。
また、この補助フラップ10には、図10に示す展開状態で収容部3とは反対方向に所定量突出する一方、図11に示す状態で当該カバー材1の上下方向に延び、商品Cの下端を収容する補助収容部11が設けられる。図10(a)に示すように、補助収容部11は平面視で環状に形成され、その内壁面には、周方向の複数箇所に離隔して突起11aが設けられている。そして、これら各突起11aの先端部を繋いで形成される円(仮想円)の内径寸法は、商品Cの下端外径寸法よりも小径とされる。
収容部3の両内側面には、折り曲げられた補助フラップ10と係合する係合部としての凸状部13が設けられる。詳細に述べると、この凸状部13は、その下端部が、展開状態から背面側に180°折り返されたフラップ部6の先端部(補助フラップ10の基端部12)と略同一平面上に位置するように設けられている(図11(b)を参照)。
そして、以上の構成からなるカバー材1に対する図示しない蓋材の組み付けは以下のようにして行われる。図10(b)に示すように商品Cの下端部を補助フラップ10の補助収容部11に収容(圧入)した後、フラップ部6を背面側に180°折り返し、さらに補助フラップ10を収容部3側に90°折り曲げる。これにより、補助フラップ10が収容部3の深さ方向に沿って延びた状態で収容部3内に収容され、またこれと同時に商品Cが収容部3内に収容される。このとき、補助フラップ10は、収容部3の内側面に設けた凸状部13と係合する(図11(b)を参照)。そして、各小フラップ9をカバー材1の背面側に折り返してガイド溝9bを形成し、ガイド溝9bに沿って図示しない蓋材をスライド挿入する。なお、商品Cは、カバー材1を上記所定の態様に形成した後、その下端部を補助収容部11に、さらにはその全体を収容部3内に収容するようにしても良い。
以上に示すように、補助フラップ10に設けた補助収容部11は、商品Cの下端外面を全周に亘って拘束し得る環状形態に形成することができる。そのため、補助収容部11の内径寸法(厳密には、複数の突起11aの先端部を繋いで形成される仮想円の直径寸法)を、上記のように商品Cの下端外径寸法よりも小径としておけば、収容部3の形状に特段の工夫を凝らす必要はなく、むしろ収容部3の形状を単純化しつつも商品Cの回り止め機能を高めることができる。従い、効果的に商品Cの回り止めを図り得るカバー材1を低コストに得ることができる。
但し、本実施形態のように、収容部3形状を単純化すると、収容部3の内壁面と商品Cの外面との間のクリアランスが大きくなる。そのため、収容部3内で補助フラップ10ががたつくと、収容部3内で商品Cが大きくがたつくおそれがある。この点、収容部3の内側面に設けた係合部としての凸状部13と補助フラップ10とを係合させるようにしたので、この種の問題も効果的に抑制することができる。なお、かかる効果は、商品Cの重みによって補助フラップ10が下方に押し付けられ、かつ、フラップ部6が弾性で戻ろうとするのを図示しない蓋材で規制されることによって得られる。
本実施形態では図示を省略しているが、第1および第2実施形態と同様、フラップ部6の折り返し時に、フラップ部6の背面とフランジ部5の背面とが同一平面上に位置するように、カバー材1の下端縁付近の形状に工夫を凝らすことも可能である。
また、図示は省略するが、以上で説明した各実施形態の構成は、組み合わせて用いることも可能である。具体的には、例えば、図6に示す構成と、図10に示す構成とを幅方向に連続して設けることも可能である。このようにすれば、複数物品を並列展示する場合に、各物品を最適な態様で陳列することができる。
以上では、真空引きによって樹脂シート42を型に沿わせて変形させるいわゆる真空成形により、カバー材1の凹部2(さらに立体形状部8や補助収容部11)を形成するようにしているが、凹部2等は、圧縮空気の供給により樹脂シート42を型に沿わせて変形させる圧空成形、あるいは真空引きと圧縮空気の供給を併用して樹脂シート42を型に沿わせて変形させる真空圧空成形によって形成することも可能である。
また、以上では、PET製の樹脂シート42から熱成形したカバー材1について説明を行ったが、カバー材1の成形に使用可能な樹脂シート42はこれに限定されるわけではなく、例えば、ポロプロピレン(PP)や生分解性樹脂等からなる樹脂シート42を使用することも可能である。
ブリスターパックの一例を示す斜視図である。 (a)図は本発明の第1実施形態に係るカバー材の展開状態における背面図、(b)図は(a)図のY−Y断面図である。 (a)図は、図2(a)に示すカバー材背面に、蓋材を固定する直前の状態を示す背面図、(b)図は(a)図のY−Y断面図である。 カバー材成形装置の要部を概念的に示す側面図である。 成形装置内におけるカバー材成形部の要部拡大断面図である。 (a)図は本発明の第2実施形態に係るカバー材の展開状態における背面図、(b)図は(a)図のY−Y断面図である。 (a)図は、図6(a)に示すカバー材背面に、蓋材を固定する直前の状態を示す背面図、(b)図は(a)図のY−Y断面図である。 図6に示すカバー材に蓋材を固定してなるブリスターパックの背面図である。 成形装置内における、図6に示すカバー材成形部の要部拡大断面図である。 (a)図は本発明の第3実施形態に係るカバー材の展開状態における背面図、(b)図は(a)図のY−Y断面図である。 (a)図は、図10(a)に示すカバー材背面に、蓋材を固定する直前の状態を示す背面図、(b)図は(a)図のY−Y拡大断面図である。
符号の説明
1 ブリスターパック用カバー材
2 凹部
3 収容部
4 脚部
5 フランジ部
5a 第1のフランジ部
5b 第2のフランジ部
5c 段部
6 フラップ部
7 基端部
8 立体形状部
10 補助フラップ
11 補助収容部
13 係合部(凸状部)
20 蓋材
42 樹脂シート
50 成形機
52 成形部
53 成形型
53a (凹部成形用の)型部
53c (立体形状部成形用の)型部
D1、D2 凹部の最大深さ
L1、L2 フラップ部の全長
L3 補助フラップの全長

Claims (7)

  1. 樹脂シートから熱成形され、物品の収容部を有する凹部と、凹部の開口周縁から外方に延在するフランジ部とを備え、凹部の開口が別体の蓋材で封止されるブリスターパック用のカバー材において、
    端縁に、カバー材の背面側に繰り返し折り返し可能のフラップ部が設けられていることを特徴とするブリスターパック用カバー材。
  2. フラップ部の折り返し時に、フラップ部の背面とフランジ部の背面とが同一平面上に位置する請求項1記載のブリスターパック用カバー材。
  3. フラップ部が、折り返しにより、収容部側に突出する立体形状部を有する請求項1又は2記載のブリスターパック用カバー材。
  4. フラップ部の先端縁に、繰り返し折り曲げ可能で、収容部の深さ方向に沿って延びる補助フラップが設けられ、かつ、この補助フラップが、物品の一端を収容する補助収容部を有する請求項1記載のブリスターパック用カバー材。
  5. 収容部の内壁面に、折り曲げた補助フラップと係合する係合部を設けた請求項4記載のブリスターパック用カバー材。
  6. フラップ部の全長を、凹部の最大深さよりも短小とした請求項1〜5の何れか記載のブリスターパック用カバー材。
  7. 請求項1〜6の何れか記載のカバー材のフラップ部を折り返すことにより、フラップ部を弾性的に蓋材に密着させたブリスターパック。
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