JP2009172993A5 - - Google Patents
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Description
上記問題点について、本発明者が鋭意検討を行った結果、重合開始剤が粉末状であるため、重合性モノマーを真空蒸着しようとすると、重合開始剤自体が固化しやすく、硬化時にムラが発生することが分かった。また、その結果として、多量の重合開始剤が必要になったり、重合性モノマーが有機層に残存しやすくなったりした。さらに、このような過剰な重合開始剤や重合性モノマーが、無機層等の隣接層に放出され、該隣接層にダメージを与え、バリア性を低下させていることを見出した。かかる状況のもと、本発明者らが鋭意検討を行った結果、液状の重合開始剤を用いることにより、これらの問題点を解決しうることを見出した。従来、この種の分野においては、固体状の重合開始剤の方が融点が高いため無機成膜時に開始剤が揮発しにくいため好ましいと考えられていた。本発明では、驚くべきことに、従来技術と逆転の発想を採用することにより、上記従来技術を解決しうることを見出したものである。
具体的には、下記手段により、上記課題を解決しうることを見出した。
(1)基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有し、前記有機層が、ラジカル重合性モノマーと、1気圧30℃で液状である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させてなり、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルム。
一般式(4)
(一般式(4)中、R 7 は、水素またはメチル基を表し、R 8 は水素原子を表し、L 1 は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、またはこれらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基を表す。m1は、1〜6の整数を表し、m1が2以上のとき、それぞれのR 7 およびR 8 は同一であっても異なっていてもよい。)
(2)基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有し、前記有機層が、ラジカル重合性モノマーと、融点が30℃以下である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させてなり、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルム。
一般式(4)
(一般式(4)中、R 7 は、水素またはメチル基を表し、R 8 は水素原子を表し、L 1 は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、またはこれらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基を表す。m1は、1〜6の整数を表し、m1が2以上のとき、それぞれのR 7 およびR 8 は同一であっても異なっていてもよい。)
(3)前記重合開始剤の分子量が170以上であることを特徴とする、(1)または(2)に記載のガスバリアフィルム。
(4)前記組成物中に、重合開始剤を2重量%以下の割合で含むことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(5)前記重合開始剤が、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
一般式(1)
(一般式(1)中、R1は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリール基、カルボニル基、またはこれらの基が複数個結合した置換基を表し、R2は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。n1は0〜5の整数を表し、n1が2以上のとき、それぞれのR2は同一であっても異なっていてもよい。)
(6)前記重合開始剤が、下記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
一般式(2)
(一般式(2)中、R3は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基を表し、R4は炭素数1〜18の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。n2およびn3は、それぞれ、0〜5の整数を表すが、n2およびn3のいずれもが0になることはない。n2が2以上のとき、それぞれのR3は同一であっても異なっていてもよく、n3が2以上のとき、それぞれのR4は同一でも異なっていてもよい。)
(7)前記有機層が、フラッシュ蒸着により形成されてなる、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(8)前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
一般式(5)
(一般式(5)中、R9は、水素またはメチル基を表し、R10は水素原子を表し、L2は炭素数1〜18の置換または無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、またはこれらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基を表す。m2は、1〜6の整数を表し、m2が2以上のとき、それぞれのR9およびR10は同一であっても異なっていてもよい。)
(9)基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有するガスバリアフィルムの製造方法であって、前記有機層を、ラジカル重合性モノマーと、1気圧30℃で液状である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させて形成し、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(4)
(一般式(4)中、R 7 は、水素またはメチル基を表し、R 8 は水素原子を表し、L 1 は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、またはこれらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基を表す。m1は、1〜6の整数を表し、m1が2以上のとき、それぞれのR 7 およびR 8 は同一であっても異なっていてもよい。)
(10)基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有するガスバリアフィルムの製造方法であって、前記有機層を、ラジカル重合性モノマーと、融点が30℃以下である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させて形成し、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(4)
(一般式(4)中、R 7 は、水素またはメチル基を表し、R 8 は水素原子を表し、L 1 は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、またはこれらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基を表す。m1は、1〜6の整数を表し、m1が2以上のとき、それぞれのR 7 およびR 8 は同一であっても異なっていてもよい。)
(11)分子量が170以上の重合開始剤を用いることを特徴とする、(9)または(10)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(12)前記組成物中に、重合開始剤を2重量%以下の割合で添加することを特徴とする、(9)〜(11)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(13)下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含む重合開始剤を用いることを特徴とする、(9)〜(11)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(1)
(一般式(1)中、R1は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリール基、カルボニル基、またはこれらの基が複数個結合した置換基を表し、R2は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。n1は0〜5の整数を表し、n1が2以上のとき、それぞれのR2は同一であっても異なっていてもよい。)
(14)下記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含む重合開始剤を用いることを特徴とする、(9)〜(11)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(2)
(一般式(2)中、R3は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基を表し、R4は炭素数1〜18の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。n2およびn3は、それぞれ、0〜5の整数を表すが、n2およびn3のいずれもが0になることはない。n2が2以上のとき、それぞれのR3は同一であっても異なっていてもよく、n3が2以上のとき、それぞれのR4は同一でも異なっていてもよい。)
(15)前記有機層を、フラッシュ蒸着により形成することを特徴とする、(9)〜(14)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(16)前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、(9)〜(15)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(5)
(一般式(5)中、R9は、水素またはメチル基を表し、R10は水素原子を表し、L2は炭素数1〜18の置換または無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、またはこれらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基を表す。m2は、1〜6の整数を表し、m2が2以上のとき、それぞれのR9およびR10は同一であっても異なっていてもよい。)
(17)(9)〜(16)のいずれか1項に記載の製造方法により製造したガスバリアフィルム。
(18)(1)〜(8)、(17)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを封止フィルムに用いたデバイス。
(19)(1)〜(8)、(17)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを基板に用いたデバイス。
(20)前記デバイスが電子デバイスである、(18)または(19)に記載のデバイス。
(21)前記デバイスが有機EL素子である、(18)または(19)に記載のデバイス。
(22)(1)〜(8)、(17)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを基板に用いた光学部材。
具体的には、下記手段により、上記課題を解決しうることを見出した。
(1)基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有し、前記有機層が、ラジカル重合性モノマーと、1気圧30℃で液状である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させてなり、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルム。
一般式(4)
(2)基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有し、前記有機層が、ラジカル重合性モノマーと、融点が30℃以下である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させてなり、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルム。
一般式(4)
(3)前記重合開始剤の分子量が170以上であることを特徴とする、(1)または(2)に記載のガスバリアフィルム。
(4)前記組成物中に、重合開始剤を2重量%以下の割合で含むことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(5)前記重合開始剤が、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
一般式(1)
(6)前記重合開始剤が、下記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
一般式(2)
(7)前記有機層が、フラッシュ蒸着により形成されてなる、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(8)前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
一般式(5)
(9)基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有するガスバリアフィルムの製造方法であって、前記有機層を、ラジカル重合性モノマーと、1気圧30℃で液状である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させて形成し、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(4)
(10)基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有するガスバリアフィルムの製造方法であって、前記有機層を、ラジカル重合性モノマーと、融点が30℃以下である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させて形成し、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(4)
(11)分子量が170以上の重合開始剤を用いることを特徴とする、(9)または(10)に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(12)前記組成物中に、重合開始剤を2重量%以下の割合で添加することを特徴とする、(9)〜(11)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(13)下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含む重合開始剤を用いることを特徴とする、(9)〜(11)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(1)
(14)下記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含む重合開始剤を用いることを特徴とする、(9)〜(11)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(2)
(15)前記有機層を、フラッシュ蒸着により形成することを特徴とする、(9)〜(14)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
(16)前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、(9)〜(15)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(5)
(17)(9)〜(16)のいずれか1項に記載の製造方法により製造したガスバリアフィルム。
(18)(1)〜(8)、(17)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを封止フィルムに用いたデバイス。
(19)(1)〜(8)、(17)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを基板に用いたデバイス。
(20)前記デバイスが電子デバイスである、(18)または(19)に記載のデバイス。
(21)前記デバイスが有機EL素子である、(18)または(19)に記載のデバイス。
(22)(1)〜(8)、(17)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを基板に用いた光学部材。
<ガスバリアフィルム>
本発明のガスバリアフィルムは、基材フィルム上に、少なくとも1層の有機層と、少なくとも1層の無機層とからなるバリア層を有し、かつ、有機層が、以下の(1)および(2)の少なくとも一方の要件を満たすガスバリアフィルムである。
(1)一般式(4)で表されるラジカル重合性モノマーと、1気圧30℃で液状である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させてなる有機層である
(2)一般式(4)で表されるラジカル重合性モノマーと、融点が30℃以下である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させてなる有機層である
さらに、本発明のガスバリアフィルムは、有機層と無機層の領域が明確でない有機領域および無機領域を含んでいてもよい。以降、簡略化のため、有機層と有機領域は「有機層」として、無機層と無機領域は「無機層」として記述する。有機層もしくは無機層が複数の場合、通常、有機層と無機層が交互に積層した構成であることが好ましい。
有機領域と無機領域より構成される場合、各領域が膜厚方向に連続的に変化するいわゆる傾斜材料層であってもよい。前記傾斜材料の例としては、キムらによる論文「Journal of Vacuum Science and Technology A Vol. 23 p971−977(2005 American Vacuum Society) ジャーナル オブ バキューム サイエンス アンド テクノロジー A 第23巻 971頁〜977ページ(20005年刊、アメリカ真空学会)」に記載の材料や、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機層と無機層が界面を持たない連続的な層等が挙げられる。
本発明のガスバリアフィルムは、有機層と無機層のほかに機能層を有していても良い。機能層の例としては、後述の基材フィルムの項で述べるものと同様の層が好ましく用いられる。
本発明のガスバリアフィルムは、基材フィルム上に、少なくとも1層の有機層と、少なくとも1層の無機層とからなるバリア層を有し、かつ、有機層が、以下の(1)および(2)の少なくとも一方の要件を満たすガスバリアフィルムである。
(1)一般式(4)で表されるラジカル重合性モノマーと、1気圧30℃で液状である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させてなる有機層である
(2)一般式(4)で表されるラジカル重合性モノマーと、融点が30℃以下である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させてなる有機層である
さらに、本発明のガスバリアフィルムは、有機層と無機層の領域が明確でない有機領域および無機領域を含んでいてもよい。以降、簡略化のため、有機層と有機領域は「有機層」として、無機層と無機領域は「無機層」として記述する。有機層もしくは無機層が複数の場合、通常、有機層と無機層が交互に積層した構成であることが好ましい。
有機領域と無機領域より構成される場合、各領域が膜厚方向に連続的に変化するいわゆる傾斜材料層であってもよい。前記傾斜材料の例としては、キムらによる論文「Journal of Vacuum Science and Technology A Vol. 23 p971−977(2005 American Vacuum Society) ジャーナル オブ バキューム サイエンス アンド テクノロジー A 第23巻 971頁〜977ページ(20005年刊、アメリカ真空学会)」に記載の材料や、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機層と無機層が界面を持たない連続的な層等が挙げられる。
本発明のガスバリアフィルムは、有機層と無機層のほかに機能層を有していても良い。機能層の例としては、後述の基材フィルムの項で述べるものと同様の層が好ましく用いられる。
(有機層)
本発明では、有機層として、一般式(4)で表されるラジカル重合性モノマーを硬化させてなるポリマーの層を有する。有機層は単独の材料からなっていても混合物からなっていてもよい。2層以上の有機層を積層してもよい。この場合、各層が同じ組成であっても異なる組成であってもよい。
本発明では、有機層として、一般式(4)で表されるラジカル重合性モノマーを硬化させてなるポリマーの層を有する。有機層は単独の材料からなっていても混合物からなっていてもよい。2層以上の有機層を積層してもよい。この場合、各層が同じ組成であっても異なる組成であってもよい。
本発明の有機層は、少なくとも1つの下記一般式(4)で表されるラジカル重合性モノマーを硬化させて形成されることが好ましく、下記一般式(5)で表されるラジカル重合性モノマーを硬化させることにより形成されることがより好ましい。
一般式(4)
(一般式(4)中、R7は、水素またはメチル基を表し、R8は水素原子を表し、L1は、炭素数1〜18の置換または無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、またはこれらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基を表す。m1は、1〜6の整数を表し、m1が2以上のとき、それぞれのR7およびR8は同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(5)
(一般式(5)中、R9は、水素またはメチル基を表し、R10は水素原子を表し、L2は炭素数1〜18の置換または無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換または無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、またはこれらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基を表す。m2は、1〜6の整数を表し、m2が2以上のとき、それぞれのR9およびR10は同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(4)
一般式(5)
Claims (22)
- 基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有し、前記有機層が、ラジカル重合性モノマーと、1気圧30℃で液状である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させてなり、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルム。
一般式(4)
- 基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有し、前記有機層が、ラジカル重合性モノマーと、融点が30℃以下である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させてなり、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルム。
一般式(4)
- 前記重合開始剤の分子量が170以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
- 前記組成物中に、重合開始剤を2重量%以下の割合で含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
- 前記重合開始剤が、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
一般式(1)
- 前記重合開始剤が、下記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
一般式(2)
- 前記有機層が、フラッシュ蒸着により形成されてなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
- 基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有するガスバリアフィルムの製造方法であって、前記有機層を、ラジカル重合性モノマーと、1気圧30℃で液状である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させて形成し、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(4)
- 基材フィルム上に、少なくとも1つの有機層と、少なくとも1つの無機層とを有するガスバリアフィルムの製造方法であって、前記有機層を、ラジカル重合性モノマーと、融点が30℃以下である重合開始剤とを含む組成物を真空蒸着し、硬化させて形成し、かつ、前記有機層を構成するラジカル重合性モノマーが、下記一般式(4)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、ガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(4)
- 分子量が170以上の重合開始剤を用いることを特徴とする、請求項9または10に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 前記組成物中に、重合開始剤を2重量%以下の割合で添加することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含む重合開始剤を用いることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(1)
- 下記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含む重合開始剤を用いることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
一般式(2)
- 前記有機層を、フラッシュ蒸着により形成することを特徴とする、請求項9〜14のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 請求項9〜16のいずれか1項に記載の製造方法により製造したガスバリアフィルム。
- 請求項1〜8、17のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを封止フィルムに用いたデバイス。
- 請求項1〜8、17のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを基板に用いたデバイス。
- 前記デバイスが電子デバイスである、請求項18または19に記載のデバイス。
- 前記デバイスが有機EL素子である、請求項18または19に記載のデバイス。
- 請求項1〜8、17のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを基板に用いた光学部材。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008049576A JP4578532B2 (ja) | 2007-12-27 | 2008-02-29 | ガスバリアフィルムおよびこれを用いたデバイスならびに光学部材、ガスバリアフィルムの製造方法 |
US12/343,895 US8431233B2 (en) | 2007-12-27 | 2008-12-24 | Gas-barrier film, device and optical component comprising same, and method for producing gas-barrier film |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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