JP2009168978A - プラズマディスプレイパネルの駆動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラズマディスプレイパネルの誤点灯に対する駆動マージンを確保するとともに書込み不良に対する駆動マージンをも確保する。
【解決手段】1フィールド期間を初期化期間、書込み期間および維持期間を有する複数のサブフィールドで構成するとともに、複数のサブフィールドの初期化期間には全セル初期化動作または選択初期化動作を行うように構成し、かつ複数のサブフィールドのうちの少なくとも1つのサブフィールドの初期化期間の後に、走査電極に矩形波形電圧を印加する異常電荷消去期間を設け、さらに表示すべき画像信号のAPLに基づいて異常電荷消去期間を制御するように構成するとともに、APLがあらかじめ定めた所定のしきい値未満の場合に異常電荷消去期間を設けるサブフィールドは、APLが所定のしきい値以上の場合に異常電荷消去期間を設けるサブフィールドよりも前に位置するサブフィールドとした。
【選択図】図8

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルの駆動方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面基板と背面基板との間に多数の放電セルが形成されている。前面基板上には、1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対が互いに平行に複数対形成され、それら表示電極対を覆うように誘電体層および保護層が形成されている。背面基板上には、複数の平行なデータ電極と、それらを覆うように誘電体層と、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁がそれぞれ形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面基板と背面基板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には放電ガスが封入されている。ここで表示電極対とデータ電極とが対向する部分に放電セルが形成される。このような構成のパネルにおいて、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で赤、緑、青の各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
パネルを駆動する方法としては、サブフィールド法、すなわち、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割したうえで、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行う方法が一般的である。また、サブフィールド法の中でも、階調表示に関係しない発光を極力減らして黒輝度の上昇を抑え、コントラスト比を向上した新規な駆動方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
以下にその駆動方法について簡単に説明する。各サブフィールドはそれぞれ初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間は、続く書込み動作のために必要な壁電荷を形成する初期化動作を行う。なお初期化期間には、画像表示を行う全ての放電セルに対して初期化放電を行う全セル初期化動作と直前のサブフィールドにおいて維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化放電を行う選択初期化動作とのいずれかの初期化動作を行う。以下、全セル初期化動作を行う初期化期間を「全セル初期化期間」、選択初期化動作を行う初期化期間を「選択初期化期間」と称する。
続く書込み期間では、走査電極に走査パルスを順次印加するとともに、データ電極には表示すべき画像信号に対応した書込みパルスを印加し、走査電極とデータ電極との間で選択的に書込み放電を起こし、選択的な壁電荷形成を行う。そして維持期間では、走査電極と維持電極との間に輝度重みに応じた所定の回数の維持パルスを印加し、書込み放電による壁電荷形成を行った放電セルを選択的に放電させ発光させる。
画像を正しく表示するためには書込み期間における選択的な書込み放電を確実に行うことが重要であるが、そのためには書込み動作のための準備となる初期化動作を確実に行うことが重要となる。
しかしながら、全セル初期化動作においてはデータ電極を陰極とする放電を発生させる必要があるが、データ電極側には電子放出係数の小さい蛍光体が塗布されているため初期化放電が不安定となり異常な壁電荷が蓄積されることがあった。これにより、発光すべきでない放電セルで維持放電が発生する誤動作(以下、「誤点灯」と略記する)が生じ、画像表示品質を低下させる課題があった。さらに、この現象はパネルに封入されている放電ガスのキセノン分圧を増加させると顕著になる傾向がある。
そのため、全セル初期化期間の直後に異常電荷消去期間を設け、走査電極に矩形波形電圧を印加して異常な壁電荷を蓄積している放電セルに対して異常な壁電圧を消去する自己消去放電を発生させて、この課題を改善していた(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、点灯セルと非点灯セルが混在する場合には、放電開始電圧が低下する等の理由により、全セル初期化動作の直後に異常電荷消去期間を設けると、異常な壁電圧が蓄積されていない放電セルであっても自己消去放電が発生することがあった。そしてその場合には、その後の書込み期間において書込み放電を発生させることができず、発光すべき放電セルで維持放電が発生しなくなる誤動作(以下、「書込み不良」と略記する)が生じ、画質を著しく悪化させる原因となることがあった。
そのため、全セル初期化期間を有するサブフィールドには異常電荷消去期間を設けずに、その後の選択初期化期間を有するサブフィールドに異常電荷消去期間を設けることにより書込み不良に対する駆動電圧マージンを拡大させる提案がなされている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−242224号公報 特開2005−326612号公報 特開2006−308626号公報
上述したように、全セル初期化期間を有するサブフィールドには異常電荷消去期間を設けず、その後の選択初期化期間を有するサブフィールドに異常電荷消去期間を設けることにより書込み不良に対する駆動マージンを拡大させることができる。しかしながら、誤点灯に対する駆動マージンが減少してしまうという課題があった。このように、誤点灯に対する駆動マージンと書込み不良に対する駆動マージンとは一般にトレードオフの関係にあり、これらを両立させることが難しかった。
本発明は、これらの課題に鑑みなされたものであり、誤点灯に対する駆動マージンを確保するとともに書込み不良に対する駆動マージンをも確保することによって、品質のよい画像を表示させることができるパネルの駆動方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、走査電極および維持電極とデータ電極との交差部に放電セルを形成してなるパネルの駆動方法であって、1フィールド期間を初期化期間、書込み期間および維持期間を有する複数のサブフィールドで構成するとともに、複数のサブフィールドの初期化期間には、画像表示を行う全ての放電セルに対して初期化放電を発生させる全セル初期化動作、または直前のサブフィールドにおいて維持放電を発生した放電セルに対して選択的に初期化放電を発生させる選択初期化動作を行うように構成し、かつ複数のサブフィールドのうちの少なくとも1つのサブフィールドの初期化期間の後に、走査電極に矩形波形電圧を印加する異常電荷消去期間を設け、さらに表示すべき画像信号のAPLに基づいて異常電荷消去期間を制御するように構成するとともに、APLがあらかじめ定めた所定のしきい値未満の場合に異常電荷消去期間を設けるサブフィールドは、APLが所定のしきい値以上の場合に異常電荷消去期間を設けるサブフィールドよりも前に位置するサブフィールドとしたことを特徴とする。この方法により、誤点灯に対する駆動マージンを確保するとともに書込み不良に対する駆動マージンをも確保することによって、品質のよい画像を表示させることができるパネルの駆動方法を提供することができる。
また本発明のパネルの駆動方法は、APLがあらかじめ定めた所定のしきい値未満の場合には全セル初期化期間を有するサブフィールドに異常電荷消去期間を設けて、APLが所定のしきい値以上である場合には全セル初期化期間を有するサブフィールドに異常電荷消去期間を設けないように制御してもよい。この方法により、APLが非常に低い画像を表示する場合の誤放電を効果的に抑制することができる。
本発明によれば、誤点灯に対する駆動マージンを確保するとともに書込み不良に対する駆動マージンをも確保することによって、品質のよい画像を表示させることができるパネルの駆動方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態におけるパネルの駆動方法について、図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に用いるパネルの要部を示す斜視図である。パネル10は、ガラス製の前面基板12と背面基板13とを対向配置して、その間に放電空間を形成するように構成されている。前面基板12上には表示電極対を構成する走査電極14と維持電極15とが互いに平行に対をなして複数形成されている。そして、走査電極14および維持電極15を覆うように誘電体層16が形成され、誘電体層16上には保護層17が形成されている。保護層17としては安定した放電を発生させるために二次電子放出係数が大きくかつ耐スパッタ性の高い材料が望ましく、本実施の形態においてはMgO薄膜が用いられている。
背面基板13上には絶縁体層18で覆われた複数のデータ電極19が付設され、データ電極19の間の絶縁体層18上にデータ電極19と平行して隔壁20が設けられている。また、絶縁体層18の表面および隔壁20の側面に蛍光体層21が設けられている。そして、走査電極14および維持電極15とデータ電極19とが交差する方向に前面基板12と背面基板13とを対向配置しており、その間に形成される放電空間には、放電ガスとして、例えばネオンとキセノンの混合ガスが封入されている。本実施の形態においてはパネル10の発光効率を向上させるために、パネル10に封入されている放電ガスのキセノン分圧を10%と高くしている。
図2は、本発明の実施の形態におけるパネル10の電極配列図である。行方向にn本の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極14)およびn本の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極15)が交互に配列され、列方向にm本のデータ電極D1〜Dm(図1のデータ電極19)が配列されている。そして、1対の走査電極SCiおよび維持電極SUi(i=1〜n)と1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。
図3は、本発明の実施の形態におけるパネル10の駆動方法を使用するプラズマディスプレイ装置30の回路ブロック図である。このプラズマディスプレイ装置30は、パネル10、画像信号処理回路31、データ電極駆動回路32、走査電極駆動回路33、維持電極駆動回路34、タイミング発生回路35、APL(アベレージ・ピクチャ・レベル)算出回路39および電源回路(図示せず)を備えている。
画像信号処理回路31は、入力された画像信号をサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。データ電極駆動回路32は、サブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜Dmに対応する信号に変換し各データ電極D1〜Dmを駆動する。APL算出回路39は画像信号のAPLを算出する。具体的には、例えば画像信号の輝度値を1フィールド期間または1フレーム期間にわたって累積する等の一般に知られた手法を用いることによってAPLを算出することができる。
タイミング発生回路35は、水平同期信号、垂直同期信号およびAPLに基づき各回路を制御するタイミング信号を発生する。本実施の形態においては、タイミング発生回路35はAPL算出回路39から出力されるAPLに基づいて、1フィールドを構成する各々のサブフィールドの初期化動作を全セル初期化か選択初期化かのいずれかに決定し、かつ異常電荷消去期間を配置するサブフィールドを決定する。
走査電極駆動回路33は、タイミング信号に基づいて走査電極SC1〜SCnに駆動電圧波形を供給し、維持電極駆動回路34は、タイミング信号に基づいて維持電極SU1〜SUnに駆動電圧波形を供給する。
具体的なサブフィールドの構成については後述することとし、まずパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形とその動作について説明する。サブフィールドには、初期化期間に全セル初期化動作を行いその後に異常電荷消去期間を配置するサブフィールド(全セル初期化・異常電荷消去サブフィールド)と、初期化期間に全セル初期化動作を行いその後に異常電荷消去期間を配置しないサブフィールド(全セル初期化サブフィールド)と、初期化期間に選択初期化動作を行いその後に異常電荷消去期間を配置するサブフィールド(選択初期化・異常電荷消去サブフィールド)と、初期化期間に選択初期化動作を行いその後に異常電荷消去期間を配置しないサブフィールド(選択初期化サブフィールド)とがある。以下、それぞれのサブフィールドについて説明する。
まず、全セル初期化・異常電荷消去サブフィールドについて説明する。図4は、本発明の実施の形態における全セル初期化・異常電荷消去サブフィールドの駆動電圧波形図である。
初期化期間の前半部では、維持電極SU1〜SUnおよびデータ電極D1〜Dmを0(V)に保持し、走査電極SC1〜SCnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi1から放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇するランプ電圧を印加する。すると、走査電極SC1〜SCnを陽極とし維持電極SU1〜SUnおよびデータ電極D1〜Dmを陰極とする微弱な初期化放電が発生する。こうして、全ての放電セルにおいて1回目の微弱な初期化放電を発生し、走査電極SC1〜SCn上に負の壁電圧を蓄えるとともに維持電極SU1〜SUn上およびデータ電極D1〜Dm上に正の壁電圧を蓄える。ここで、電極上の壁電圧とは、電極を覆う誘電体層上あるいは蛍光体層上に蓄積した壁電荷により生じる電圧をあらわす。
初期化期間の後半部では、維持電極SU1〜SUnを正の電圧Veに保ち、走査電極SC1〜SCnに電圧Vi3から電圧Vi4に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加する。すると、全ての放電セルにおいて、走査電極SC1〜SCnを陰極とし維持電極SU1〜SUnおよびデータ電極D1〜Dmを陽極とする2回目の微弱な初期化放電を起こす。そして、走査電極SC1〜SCn上の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上の壁電圧も書込み動作に適した値に調整される。このように、全セル初期化・異常電荷消去サブフィールドの初期化動作は全ての放電セルにおいて初期化放電させる全セル初期化動作である。
続く異常電荷消去期間では、再び維持電極SU1〜SUnを0(V)に戻す。そして、走査電極SC1〜SCnには放電開始電圧に満たない正の電圧Vsを印加した後、負の電圧Vaを印加する。このようにして走査電極SC1〜SCnに矩形波形電圧を印加する。この間、安定した初期化放電を行った放電セルにおいては放電は発生せず、壁電圧も初期化期間後半部の状態を保持する。しかしながら、走査電極SCi上に正の異常な壁電荷が蓄積している放電セルに対しては、走査電極SC1〜SCnに電圧Vs印加すると放電開始電圧を超えるので強い放電が発生し走査電極SCi上の壁電圧が反転する。そして走査電極SC1〜SCnに負の電圧Vaを印加すると自己消去放電が発生し放電セル内部の壁電圧が消去される。
続く書込み期間では、維持電極SU1〜SUnを正の電圧Veに保ち、走査電極SC1〜SCnを一旦電圧Vcに保持する。次に、データ電極D1〜Dmのうち、1行目に表示すべき放電セルのデータ電極Dkに電圧Vdの書込みパルスを印加するとともに、1行目の走査電極SC1に負の電圧Vaの走査パルスを印加する。このとき、データ電極Dkと走査電極SC1との交差部の電圧は、外部印加電圧(Vd−Va)にデータ電極Dk上の壁電圧および走査電極SC1上の壁電圧の大きさが加算されたものとなり、放電開始電圧を超える。そして、データ電極Dkと走査電極SC1との間および維持電極SU1と走査電極SC1との間に書込み放電が起こり、この放電セルの走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。このようにして、1行目に表示すべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。
一方、書込みパルスを印加しなかったデータ電極と走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。また、初期化期間の異常電荷消去期間で放電を起こした放電セルはデータ電極上の壁電圧も消去されているため書込み放電が発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで順次行い、書込み期間が終了する。
続く維持期間では、まず、維持電極SU1〜SUnを0(V)に戻し、走査電極SC1〜SCnに電圧Vsの維持パルスを印加する。このとき、書込み放電を起こした放電セルにおいては、走査電極SCi上と維持電極SUi上との間の電圧は、電圧Vsに走査電極SCi上および維持電極SUi上の壁電圧の大きさが加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。このときデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧状態が保持される。
続いて、走査電極SC1〜SCnを0(V)に戻し、維持電極SU1〜SUnに電圧Vsの維持パルスを印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との間の電圧は放電開始電圧を超えるので、再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。
以降同様に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに交互に維持パルスを印加することにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルでは維持放電が継続して行われる。なお、維持期間の最後には走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとの間にいわゆる細幅パルスを印加して、データ電極Dk上の正の壁電荷を残したまま、走査電極SC1〜SCn上および維持電極SU1〜SUn上の壁電圧を消去している。こうして維持期間における維持動作が終了する。
次に、全セル初期化サブフィールドについて説明する。図5は、本発明の実施の形態における全セル初期化サブフィールドの駆動電圧波形図である。
初期化期間の前半部および初期化期間の後半部の駆動電圧波形は、上述した全セル初期化・異常電荷消去サブフィールドと同様であるため説明を省略する。
初期化期間の後には異常電荷消去期間が設けられておらず、書込み期間が続く。書込み期間の駆動電圧波形も、上述した全セル初期化・異常電荷消去サブフィールドと同様である。続く維持期間の駆動電圧波形も、上述した全セル初期化・異常電荷消去サブフィールドと同様である。
次に、選択初期化・異常電荷消去サブフィールドについて説明する。図6は、本発明の実施の形態における選択初期化・異常電荷消去サブフィールドの駆動電圧波形図である。
初期化期間では、維持電極SU1〜SUnを電圧Veに保持し、データ電極D1〜Dmを0(V)に保持し、走査電極SC1〜SCnに電圧Vi3’から電圧Vi4に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加する。すると前のサブフィールドの維持期間で維持放電を行った放電セルでは、微弱な初期化放電が発生し、走査電極SC1上および維持電極SUi上の壁電圧が弱められ、データ電極Dk上の壁電圧も書込み動作に適した値に調整される。一方、前のサブフィールドで書込み放電および維持放電を行わなかった放電セルについては放電することはなく、前のサブフィールドの初期化期間終了時における壁電荷状態がそのまま保たれる。このように、選択初期化サブフィールドの初期化動作は、前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルにおいて初期化放電させる選択初期化動作である。
続く、異常電荷消去期間、書込み期間、維持期間の駆動電圧波形は、上述した全セル初期化・異常電荷消去サブフィールドと同様であるため説明を省略する。
次に、選択初期化サブフィールドについて説明する。図7は、本発明の実施の形態における選択初期化サブフィールドの駆動電圧波形図である。
初期化期間の駆動電圧波形は、上述した選択初期化・異常電荷消去サブフィールドと同様であるため説明を省略する。
初期化期間の後には異常電荷消去期間が設けられておらず、書込み期間が続く。書込み期間の駆動電圧波形および維持期間の駆動電圧波形も、上述した選択初期化・異常電荷消去サブフィールドと同様である。
次に、サブフィールド構成について説明する。本実施の形態においては、1フィールドを10のサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第10SF)に分割し、各サブフィールドはそれぞれ(1、2、3、6、11、18、30、44、60、80)の輝度重みをもつものとする。このように、後ろのサブフィールドほど輝度重みが大きくなるように構成している。そして本実施の形態においては、第1SFの初期化期間には全セル初期化を行い、第2SF〜第10SFの初期化期間には選択初期化動作を行う。そして上述したように、タイミング発生回路35は、APLに基づいて異常電荷消去期間を設けるサブフィールドを決定している。
図8は、本発明の実施の形態におけるAPLとサブフィールド構成との関係を示す図である。なお図8に示した駆動電圧波形はサブフィールド構成を示す模式図であり、波形の詳細は図4〜図7に示したとおりである。本実施の形態においては所定のしきい値を5%と設定し、APLが5%未満の場合には第2SFに異常電荷消去期間を設け、APLが5%以上の場合には第4SFに異常電荷消去期間を設けている。このようにAPLがあらかじめ定められた所定のしきい値5%未満である場合に最初に異常電荷消去期間を設けるサブフィールドは第2SFであり、APLが所定のしきい値5%以上である場合に最初に異常電荷消去期間を設ける第4SFよりも前に配置する。
このように異常電荷消去期間をAPLに基づいて設定する理由は以下のとおりである。第1SFの初期化期間において全セル初期化動作を行う際に不安定な初期化放電が生じて異常電荷が蓄積された放電セルでは、続く維持期間および異常電荷消去期間のいずれかの期間に放電する可能性がある。どちらの期間で放電を発生するかは確率の問題であるが、おおむね電圧Vsを印加する累積時間と相関があると考えることができる。
そのため、異常電荷消去期間において走査電極に電圧Vsを印加する矩形波形電圧の印加時間を維持パルスのパルス幅よりもはるかに長く設定して、異常電荷消去期間に放電する可能性を高めている。また維持期間で放電を発生する確率は、維持パルス数の多いサブフィールド、すなわち輝度重みの大きいサブフィールドで高くなる。
また、維持期間および異常電荷消去期間のどちらの期間で放電を発生するかにより、その後の放電セルの動作が異なる。異常電荷消去期間に放電した場合には、その放電に伴う輝度は低いものの、放電により壁電圧が消去されるので、次に全セル初期化動作を行うまでは書込み動作ができなくなり、書込み不良が発生する。一方、維持期間に放電した場合には誤点灯となる。そしてその輝度は、誤点灯が発生したサブフィールドの維持パルスが続く限り放電し続けるので、輝度重みの大きいサブフィールドほど輝度が高くなる傾向がある。しかし一旦維持放電が発生すると、続く初期化期間において正常に初期化動作が行われるので、以降のサブフィールドでは書込み不良は発生しない。
以上の理由により、誤点灯を抑制するためには全セル初期化動作の後、できるだけ前に異常電荷消去期間を設けることが望ましい。一方、書込み不良を抑制するためには維持期間に放電を発生させたほうがよく、異常電荷消去期間は輝度重みの比較的小さいサブフィールドの後に設けることが望ましい。
そのため本実施の形態においては、APLが5%未満の暗い画像を表示する場合には誤点灯を抑制するために第2SFに異常電荷消去期間を設け、APLが5%以上の明るい画像を表示する場合には書込み不良を抑制するために異常電荷消去期間を、第4SFに設けている。
加えて、本発明者らは、放電セルの放電開始電圧について検討し、維持放電を行わなかった放電セルの放電開始電圧は維持放電を行った放電セルの放電開始電圧より低く、この傾向はAPLの高い画像ほど強くなることを実験的に見出した。すなわち、APLの高い画像を表示する際に維持放電を行わなかった放電セルの放電開始電圧は、APLの低い画像を表示する際に維持放電を行わなかった放電セルの放電開始電圧よりもさらに低くなった。
この点に考慮すると、APLの高い画像を表示する際に、仮に全セル初期化動作の後できるだけ前に異常電荷消去期間を設けたと仮定すると、維持放電を行わなかった放電セルの放電開始電圧は非常に低くなっているので、異常電荷の蓄積の少ない放電セルであっても異常電荷消去期間で放電が発生して書込み不良になる確率が高くなる。しかし本実施の形態においては、輝度重みの比較的小さいサブフィールドの後に異常電荷消去期間を設けているので、輝度重みの比較的小さいサブフィールドの維持期間で放電が発生し、その後の書込み不良を防ぐことができる。そして一旦維持放電が発生すると放電開始電圧が上昇するため、それ以降の誤点灯も防ぐこともできる。
また、APLの低い画像を表示する際に、仮に後ろのサブフィールドに異常電荷消去期間を設けたと仮定すると、放電開始電圧が高く放電が発生しにくいため異常電荷の蓄積した放電セルは維持パルス数の少ない維持期間には放電せず、輝度重みの大きいサブフィールドで放電して輝度の高い誤点灯につながる確率が高くなる。しかし本実施の形態においては、全セル初期化動作の後できるだけ前に配置されたサブフィールドに異常電荷消去期間を設けているので、異常電荷の蓄積した放電セルは異常電荷消去期間に放電し、誤点灯を防ぐことができる。
以上の理由により、本実施の形態においては、APLが低い画像を表示する場合に最初に異常電荷消去期間を設けるサブフィールドは、APLが高い画像を表示する場合に最初に異常電荷消去期間を設けるサブフィールドよりも前に配置するように、異常電荷消去期間を設けるサブフィールドを切り替えている。
なお本実施の形態においては、所定のしきい値を1つだけ設定して、サブフィールド構成を切り替えるものとして説明したが、しきい値を複数設定してもよい。図9は、本発明の他の実施の形態におけるAPLとサブフィールド構成との関係を示す図である。なお図9に示した駆動電圧波形はサブフィールド構成を示す模式図であり、波形の詳細は図4〜図7に示したとおりである。図9に示した実施の形態においては、1%および5%の2つの所定のしきい値を設定し、APLが1%未満の場合には第1SFに異常電荷消去期間を設け、APLが1%以上5%未満の場合には第2SFに異常電荷消去期間を設け、APLが5%以上の場合には第4SFに異常電荷消去期間を設けている。このように複数のしきい値を設け、APLが非常に低い画像を表示する場合には全セル初期化期間を有するサブフィールドに異常電荷消去期間を設けることにより、誤放電を抑制している。
なお、本発明は、サブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではなく、他のサブフィールド構成においても同様に適用することができる。
さらに、本実施の形態において用いた具体的な各数値は、単に一例を挙げたに過ぎず、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
本発明は、パネルの誤点灯に対する駆動マージンを確保するとともに書込み不良に対する駆動マージンをも確保することができるので、パネルの駆動方法として有用である。
本発明の実施の形態に用いるパネルの要部を示す斜視図 本発明の実施の形態におけるパネルの電極配列図 本発明の実施の形態におけるパネルの駆動方法を使用するプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図 本発明の実施の形態における全セル初期化・異常電荷消去サブフィールドの駆動電圧波形図 本発明の実施の形態における全セル初期化サブフィールドの駆動電圧波形図 本発明の実施の形態における選択初期化・異常電荷消去サブフィールドの駆動電圧波形図 本発明の実施の形態における選択初期化サブフィールドの駆動電圧波形図 本発明の実施の形態におけるAPLとサブフィールド構成との関係を示す図 本発明の他の実施の形態におけるAPLとサブフィールド構成との関係を示す図
符号の説明
10 パネル
12 前面基板
13 背面基板
14 走査電極
15 維持電極
19 データ電極

Claims (2)

  1. 走査電極および維持電極とデータ電極との交差部に放電セルを形成してなるプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、
    1フィールド期間を初期化期間、書込み期間および維持期間を有する複数のサブフィールドで構成するとともに、前記複数のサブフィールドの初期化期間には、画像表示を行う全ての放電セルに対して初期化放電を発生させる全セル初期化動作、または直前のサブフィールドにおいて維持放電を発生した放電セルに対して選択的に初期化放電を発生させる選択初期化動作を行うように構成し、
    かつ前記複数のサブフィールドのうちの少なくとも1つのサブフィールドの初期化期間の後に、前記走査電極に矩形波形電圧を印加する異常電荷消去期間を設け、さらに表示すべき画像信号のAPLに基づいて前記異常電荷消去期間を制御するように構成するとともに、前記APLがあらかじめ定めた所定のしきい値未満の場合に異常電荷消去期間を設けるサブフィールドは、前記APLが前記所定のしきい値以上の場合に異常電荷消去期間を設けるサブフィールドよりも前に位置するサブフィールドとしたことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
  2. 前記APLがあらかじめ定めた所定のしきい値未満の場合には全セル初期化期間を有するサブフィールドに異常電荷消去期間を設け、前記APLが前記所定のしきい値以上である場合には全セル初期化期間を有するサブフィールドに異常電荷消去期間を設けないように制御したことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
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